JPH068460U - 側溝掘削用油圧回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ 小旋回用小型油圧ショベルを長時間駐機させ
たとき、その側溝掘削用作業アタッチメントのオフセッ
トシリンダが自重により伸びて、付近の家屋などに対し
接触破損事故をおこすことを防止する。 ［構成］ 側溝掘削用作業アタッチメントにおけるオフ
セットシリンダの負荷側油室と、オフセットシリンダの
負荷側油室と、オフセットシリンダ制御用コントロール
バルブとを連通する管路に電磁シャットオフバルブ、又
はストップバルブ、又はパイロット操作チェックバルブ
を介設し、油圧ショベルの駐機には上記管路を遮断して
オフセットシリンダの負荷側油室を油密に保持し、油圧
ショベルを作動させたときには上記管路を開通するよう
に構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、側溝掘削用作業アタッチメントを装備した主として小型油圧ショベ ルの油圧回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図４は、側溝掘削用作業アタッチメントを装備した小旋回用小型油圧ショベル の側面図である。図において、１は小型油圧ショベルの下部走行体、２は上部旋 回体、３は上部旋回体２の前部に装備した側溝掘削用の作業アタッチメント、４ は作業アタッチメント３のリアブーム、５はフロントブーム、６はアッパブーム 、７はアーム、８はバケット、９はブームシリンダ、１０はオフセットシリンダ 、１１はアームシリンダ、１２はバケットシリンダである。図５は、オフセット シリンダ１０を制御する直接押し引き操作式のコントロールバルブ１３の断面図 である。図において、１４はバルブボディ、１５はスプール、１６は油タンク、 Ｐはメイン圧油導入油路、Ｄはバルブボディ１４のスプール穴径寸法、ｄはスプ ール１５の外径寸法、l はランド幅寸法である。図６は、パイロット切換弁１７ で制御されるブームシリンダ１８を有する油圧ショベル（図示しない）の要部油 圧回路図である。図において、１９はロック弁、２０はブーム用リモコン弁、２ １はブーム用リモコン弁２０の操作レバー、２２及び２３はそれぞれパイロット 弁、２４はメインポンプ、２５はパイロットポンプ、２６はロック弁１９の内部 に設けているプランジャ、２７はシート部、２８はスプール、２９はオーバロー ド用のリリーフ弁である。この図におけるロック弁１９をそなえた油圧回路では 、ブーム用リモコン弁２０の操作レバー２１を中立位置にしているときには、パ イロット切換弁１７のパイロット圧受圧部３０及び３１にパイロット圧（パイロ ット二次圧のこと）が作用しないので、パイロット切換弁１７は中立位置にある 。このときブームシリンダ１８の負荷側圧力すなわちボトム側圧力（ボトム側油 室３２内の圧力をいう）は、管路３３を経て、ロック弁１９内部のプランジャ２ ６の背後に作用する。プランジャ２６はシート部２７に密着するので、リークを 防止してブームをロックすることができる。次にブーム下げを行うときには操作 レバー２１を中立位置よりイ位置方向に操作すると、パイロット弁２２から導出 されるパイロット圧は、管路３４、３５を経て、パイロット切換弁１７のパイロ ット圧受圧部３０に作用する。それと同時に上記パイロット圧は管路３４で分岐 し、管路３６を経て、ロック弁１９のポートＺ1 に作用する。スプール２８はロ 位置よりハ位置に作動するので、プランジャ２６の背後側はスプール２８のハ位 置を介して油タンク３７に連通する。それによりプランジャ２６のシート部２７ が開くので、ブームシリンダ１８は縮小作動し、ブーム下げを行うことができる 。またブームに大なる外力が加わり、ブームシリンダ１８のボトム側油室３２に オーバロード圧が発生したときには、そのオーバロード圧によりリリーフ弁２９ が作動し、その圧力がスプール２８のポートＺ2 に作用する。スプール２８はハ 位置に作動するので、プランジャ２６のシート部２７は開口する。したがってブ ームシリンダ１８のボトム側油室３２内の油を、プランジャ２６の開口部を介し て、パイロット切換弁１７のポートリリーフ弁３８でリリーフさせることができ る。

【０００３】 側溝掘削用の小型油圧ショベルでは、図４のように上部旋回体２の前側にリア ブーム４を起伏可能に設け、そのリアブーム４の先端にフロントブーム５を、ま たそのフロントブーム５の先端にアッパブーム６を順次連結してそれぞれ揺動可 能に設け、そのアッパブーム６の先端にバケット８を装着したアーム７を前後方 向に揺動可能に取付けて作業アタッチメント３を形成している。そしてリアブー ム４とフロントブーム５と間に設けたオフセットシリンダ１０を操作することに より、アーム７を機体の前方にてオフセット移動させて側溝掘削を行うようにし ている。また上記小型油圧ショベルでは、形状をできるだけ小形にかつ製作費を 安価にするために、オフセットシリンダ１０を制御する直接押し引き操作式のコ ントロールバルブ１３をそなえている。このコントロールバルブ１３では、バル ブボディ１４のスプール穴をスプール１５がストローク移動するので、スプール 穴の内径寸法Ｄと、スプール１５の外径寸法ｄとの間にはクリアランスが存在し 、それにともなうスプールリーク量が規定されている。すなわちスプールリーク 量を０（ゼロ）にすることができないので、最小限許容できる内部リークが規定 されている。

【０００４】 上記のような側溝掘削用作業アタッチメント３、及びオフセットシリンダ１０ 制御用コントロールバルブ１３をそなえた小旋回用小型油圧ショベルは、最近特 に市街地における狭所スペースの現場で多用されている。この狭所スペースで上 記小型油圧ショベルを駐機させるときには、図４のような最小旋回姿勢（すなわ ちブーム上げ，アーム引き，バケット掘削，側溝オフセット左位置の状態）をと るようにしている。しかし上記最小旋回姿勢で長時間駐機しておくと、上記コン トロールバルブ１３内のスプールリークがあるので、側溝掘削用作業アタッチメ ント３の自重によりオフセットシリンダ１０が伸び、右方向へオフセット移動し 、近接の塀，家屋の壁，あるいは他の機械などに接触し、破損事故をおこす不具 合があった。このような事故を防止するためにオフセットシリンダ１０の作動回 路にロック弁を配設しようとしても、図６に示すようにロック弁はコントロール バルブの操作系がパイロット方式でないと使用することができない。また上記ロ ック弁をマニュアル方式のコントロールバルブで使用するとすれば、リミットス イッチや、パイロット圧を導く付属部品などで構造が複雑かつその製作費が高く なり、小旋回用の小型油圧ショベルに適応させることはできないという問題もあ った。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

解決しようとする問題点は、側溝掘削用作業アタッチメントを装備した小型油 圧ショベルを長時間駐機させたとき、直接押し引き操作方式のコントロールバル ブで制御するオフセットシリンダの負荷側油室、及びその負荷側油室とコントロ ールバルブとを連通する管路を油密に保持できない点である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案では請求項１の構成として、側溝掘削用作業アタッチメントにおけるオ フセットシリンダの負荷側油室と、オフセットシリンダ制御用コントロールバル ブとを連通する管路に電磁シャットオフバルブを介設し、油圧ショベルの駐機時 には上記電磁シャットオフバルブを遮断油路位置に設定し、エンジンを作動させ たとき上記電磁シャットオフバルブを開通油路位置に切換えるようにした。また 請求項２の構成として、側溝掘削用作業アタッチメントにおけるオフセットシリ ンダの負荷側油室と、オフセットシリンダ制御用コントロールバルブとを連通す る管路にストップバルブを介設し、またそのストップバルブと、オフセットシリ ンダの負荷側油室とを連通する管路にリリーフ弁を設けた。また請求項３の構成 として、側溝掘削用作業アタッチメントにおけるオフセッシリンダの負荷側油室 と、オフセットシリンダ制御用コントロールバルブとを連通する管路にパイロッ ト操作チェックバルブを介設し、油圧ショベルの駐機時には上記管路を遮断して オフセットシリンダの負荷側油室に油密に保持し、油圧ショベルを作動させたと きにはパイロットポンプからの圧力により上記パイロット操作チェックバルブを 開口するようにした。

【０００７】

【実施例】

図１は、本考案の請求項１の要部油圧回路図である。図において、１０はオフ セットシリンダ、１３はオフセットシリンダ１０の制御用コントロールバルブ、 ３９及び４０はコントロールバルブ１３のそれぞれポートリリーフ弁、４１はメ インポンプ、４２はパイロットポンプ、１６は油タンク、４３はコントロールバ ルブ１３の中立位置時におけるオフセットシリンダ１０の負荷側油室であるロッ ド側油室、４４はボトム側油室、４５は電磁シャットオフバルブ、４６は電磁シ ャットオフバルブ４５のソレノイド、４７は電気回路、４８は電気回路４７内の エンジン用キースイッチ、４９はリレー、５０は電源である。図１における本考 案の請求項１の油圧回路の構成は、オフセットシリンダ１０の負荷側油室である ロッド側油室４３と、コントロールバルブ１３とを連通する管路に電磁シャット オフバルブ４５を介設し、油圧ショベルの駐機時には上記電磁シャットオフバル ブを遮断油路位置ニに設定し、エンジンを作動させたとき上記電磁シャットオフ バルブ４５を開通油路位置ホに切換えるように構成した。それにより本考案の請 求項１の油圧回路の作用としてはまず、油圧ショベルの駐機時にはコントロール バルブ１３が中立位置にあり、また電磁シャッシオフバルブ４５は非通電である ので遮断油路位置ニにある。このときオフセットシリンダ１０の負荷側油室すな わちロッド側油室４３内の油は、ポペット式シート部をそなえた上記遮断油路位 置ニにてリーク無しの油密状態でブロックされる。したがって駐機時には、オフ セットシリンダ１０を確実にロックすることができる。次に油圧ショベルを作動 させるときエンジン用キースイッチ４８をオン操作すると、ソレノイド４６は通 電する。電磁シャットオフバルブ４５は、遮断油路位置ニより開通油路位置ホに 切換わる。それによりオフセットシリンダ１０を、支障なく伸縮作動操作するこ とができる。

【０００８】 次に２図は、本考案の請求項２の要部油圧回路図である。図において、請求項 １における油圧回路内機器と同一構成要素を使用するものに対しては同符号を付 す。５１は手動で開閉操作するストップバルブ、５２はリリーフ弁である。図２ における本考案の請求項２の油圧回路の構成は、オフセットシリンダ１０の負荷 側油室であるロッド側油室４３と、コントロールバルブ１３とを連通する管路に ストップバルブ５１を介設し、またそのストップバルブ５１と、オフセットシリ ンダ１０のロッド側油室４３とを連通する管路５３−５４にリリーフ弁５２を設 けた。それにより本考案の請求項２の油圧回路をそなえた油圧ショベルでは、駐 機を行うときストップバルブ５１を手動操作により閉じておくと、オフセットシ リンダ１０は確実にロックされる。そして油圧ショベルを作動させるときに上記 ストップバルブ５１を開いてやると、オフセットシリンダ１０を支障なく伸縮作 動させることができる。なおストップバルブ５１を閉じた状態で誤ってオフセッ トシリンダ４３を伸長操作した場合などには、過負荷の発生したロッド側油室４ ３の油をリリーフ弁５２を通じて、油タンク１６へ逃すことができる。

【０００９】 次に３図は、本考案の請求項３の要部油圧回路図である。図において、請求項 １における油圧回路内機器と同一構成要素を使用するものに対しては同符号を付 す。５５は油圧ショベルに装備されている他の油圧アクチュエータ（図示しない がオフセットシリンダ１０以外のたとえばブームシリンダなど）制御用のパイロ ット切換弁、５６はパイロット切換弁５５操作用の油圧リモコン弁、５７はパイ ロット操作チェックバルブである。図３における本考案の請求項３の油圧回路の 構成は、オフセットシリンダ１０の負荷側油室であるロッド側油室４３と、コン トロールバルブ１３とを連通する管路にパイロット操作チェックバルブ５７を介 設し、油圧ショベルの駐機時には上記管路を遮断してオフセットシリンダ１０の ロッド側油室４３を油密に保持し、油圧ショベルを作動させたときにはパイロッ トポンプ４２からの一次圧力により上記パイロット操作チェックバルブ５７を開 口するように構成した。それにより本考案の請求項３の油圧回路をそなえた油圧 ショベルの駐機時には、オフセットシリンダ１０のロッド側油室４３、管路５８ からの油のリークをパイロット操作チェックバルブ５７が阻止するので、オフセ ットシリンダ１０を確実にロックすることができる。次に油圧ショベルを始動（ エンジン回転の始動でよい）させると、パイロットポンプ４２の一次圧力が管路 ５９、パイロット管路６０を通じて、パイロット操作チェックバルブ５７に作用 する。パイロット操作チェックバルブ５７は開口するので、オフセットシリンダ １０を支障なく伸縮作動操作することができる。

【００１０】

【考案の効果】

以上説明したように本考案では、側溝掘削用作業アタッチメントにおけるオフ セットシリンダ負荷側油室と、オフセットシリンダ制御用コントロールバルブと を連通する管路に電磁シャットオフバルブを介設し、油圧ショベルの駐機時には 上記電磁シャットオフバルブを遮断油路位置に設定し、エンジンを作動させたと き上記電磁シャットオフバルブを開通油路位置に切換えるようにした。あるいは また、オフセットシリンダの負荷側油室と、オフセットシリンダ制御用コントロ ールバルブとを連通する管路にストップバルブを介設し、またそのストップバル ブと、オフセットシリンダの負荷側油室とを連通する管路にリリーフ弁を設けた 。あるいはまた、オフセットシリンダの負荷側油室と、オフセットシリンダ制御 用コントロールバルブとを連通する管路にパイロット操作チェックバルブを介設 し、油圧ショベルの駐機時には上記管路を遮断してオフセットシリンダの負荷側 油室を油密に保持し、油圧ショベルを作動させたときにはパイロットポンプから の圧力により上記パイロット操作チェックバルブを開口するようにした。それに より、油圧ショベルが作業を終了し停止すると同時に、上記電磁シャットオフバ ルブ、パイロット操作チェックバルブ（ストップバルブを配設した場合は手動操 作が必要である）はいわゆるノーマルブロック状態となりオフセットシリンダ回 路を油密に遮断する。したがって最小旋回姿勢で駐機している油圧ショベルの側 溝掘削用作業アタッチメントのオフセットシリンダが自重で伸びて事故をおこす ことはない。また油圧ショベルの作動開始にエンジンを始動させると、オフセッ トシリンダの上記ロックが解除され、支障なく伸縮作動操作を行うことができる 。しかも本考案の油圧回路に配設した電磁シャットオフバルブ、ストップバルブ 、パイロット操作チェックバルブはその形状が小形であるので、油圧ショベル内 におけるスペース占有容積が小さく、かつ安価にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の請求項１の要部油圧回路図である。

【図２】本考案の請求項２の要部油圧回路図である。

【図３】本考案の請求項３の要部油圧回路図である。

【図４】側溝掘削用作業アタッチメントを装備した小旋
回用小型油圧ショベルの側面図である。

【図５】オフセットシリンダを制御する直接押し引き操
作式のコントロールバルブの断面図である。

【図６】パイロット切換弁で制御されるブームシリンダ
を有する油圧ショベルを要部油圧回路図である。

【符号の説明】

３ 側溝掘削用作業アタッチメント １０ オフセットシリンダ １３ コントロールバルブ ２５，４２ パイロットポンプ ４３ ロッド側油室（負荷側油室） ４５ 電磁シャットオフバルブ ４８ エンジン用キースイッチ ５１ ストップバルブ ５２ リリーフ弁 ５７ パイロット操作チェック弁

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部旋回体の前部にリアブームを起伏可
   能に設け、そのリアブームの先端にフロントブームを、
   またそのフロントブームの先端にアッパブームを順次連
   結してそれぞれ揺動可能に設け、そのアッパブームの先
   端にバケットを装着したアームを前後方向に揺動可能に
   取付けて作業アタッチメントを形成し、リアブームとフ
   ロントブームとの間に設けたオフセットシリンダを操作
   することによりアームを機体の前方にてオフセット移動
   させて側溝掘削を行うようにした油圧ショベルにおい
   て、上記オフセットシリンダの負荷側油室と、オフセッ
   トシリンダ制御用コントロールバルブとを連通する管路
   に電磁シャットオフバルブを介設し、油圧ショベルの駐
   機時には上記電磁シャットオフバルブを遮断油路位置に
   設定し、エンジンを作動させたとき上記電磁シャットオ
   フバルブを開通油路位置に切換えるようにしたことを特
   徴とする側溝掘削用油圧回路。
2. 【請求項２】 上部旋回体の前部にリアブームを起伏可
   能に設け、そのリアブームの先端にフロントブームを、
   またそのフロントブームの先端にアッパブームを順次連
   結してそれぞれ揺動可能に設け、そのアッパブームの先
   端にバケットを装着したアームを前後方向に揺動可能に
   取付けて作業アタッチメントを形成し、リアブームとフ
   ロントブームとの間に設けたオフセットシリンダを操作
   することによりアームを機体の前方にてオフセット移動
   させて側溝掘削を行うようにした油圧ショベルにおい
   て、上記オフセットシリンダの負荷側油室と、オフセッ
   トシリンダ制御用コントロールバルブとを連通する管路
   にストップバルブを介設し、またそのストップバルブ
   と、オフセットシリンダの負荷側油室とを連通する管路
   にリリーフ弁を設けたことを特徴とする側溝掘削用油圧
   回路。
3. 【請求項３】 上部旋回体の前部にリアブームを起伏可
   能に設け、そのリアブームの先端にフロントブームを、
   またそのフロントブームの先端のアッパブームを順次連
   結してそれぞれ揺動可能に設け、そのアッパブームの先
   端にバケットを装着したアームを前後方向に揺動可能に
   取付けて作業アタッチメントを形成し、リアブームとフ
   ロントブームとの間に設けたオフセットシリンダを操作
   することによりアームを機体の前方にてオフセット移動
   させて側溝掘削を行うようにした油圧ショベルにおい
   て、上記オフセットシリンダの負荷側油室と、オフセッ
   トシリンダ制御用コントロールバルブとを連通する管路
   にパイロット操作チェックバルブを介設し、油圧ショベ
   ルの駐機時には上記管路を遮断してオフセットシリンダ
   の負荷側油室を油密に保持し、油圧ショベルを作動させ
   たときにはパイロットポンプからの圧力により上記パイ
   ロット操作チェックバルブを開口するようにしたことを
   特徴とする側溝掘削用油圧回路。