JPH068434U - 構築用既製杭の杭頭処理金具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 セメントミルク工法等、根固め液、杭周固定
液等を注入した掘削孔に既製杭を圧入する杭の施工方法
において、杭頭の内側に補強筋を挿入することができる
中空部を形成するための杭頭処理金具に関するもので、
高強度で、経済的にも有利な杭頭処理金具を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 筒状体の下面に、該筒状体の内径より小さい
孔部を形設した仕切辺を一体に形成すると共に、該孔部
の外周に沿ってリング状の補強筋を固着する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、セメントミルク工法等、根固め液、杭周固定液等を注入した掘削 孔に、既製杭を圧入して杭を埋設する工法において、既製杭の圧入、養生後、杭 頭に補強筋を埋設して杭頭処理を施すが、その際に杭頭の内側に補強筋を挿入で きる中空部を形成するための金具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、実公平０３−６５７３２号に記載のように、中子本体の下面に中子本体 の内径よりも小さな内径の穴部を備えた円盤体が固着されると共に、該円盤体に 一ないし複数本の棒体が中子本体の内周面に軸方向に沿って固着された構造であ り、既製杭の圧入、養生後、中子本体を、中子本体の内側に流入して、硬化した セメントミルクと共に杭頭より引抜き、杭頭に中空部を形成するものである。 この場合、中子本体の下面に固着した円盤体が、既製杭の圧入により上昇して 、杭頭に固着した中子本体の内側に流入し、硬化したセメントミルクと既製杭内 で硬化したセメントミルクを上下に分割するために、養生後、中子本体の引抜き の際に断面欠損を誘発させると共に、円盤体の穴部を介して上下に連続して硬化 したセメントミルクを破断して、中子本体と中子本体の内側に流入して、硬化し たセメントミルクとを共に杭頭より引き抜くことができ、しかも杭頭に中空部を 形成することができるものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来の方法では、中子本体の引抜力が円盤体の穴部を介して上下に連続し て硬化したセメントミルクの剪断力より大きくなることが必要であり、引抜力が 最も作用する円盤体への強度負担が非常に大きいものとなる。 そのため、強度的な不安を解消するために、円盤体の肉厚を厚くする、円盤体 と中子本体との固着力を高めるために中子本体を二重構造にして固着面を大きく する、円盤体に引抜用の棒体を一ないし複数本固着するなどセメントミルクの剪 断力以上の強度がでるような構成が必要とされ、構成部品の高価格、構成部品数 の増加を招く、経済的に非常に不利なものになるなどの問題点を有する。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

この考案は上記従来の課題に鑑みなされたもので、その目的は、構成部品の安 価、構成部品数の減少を達成し、経済的にも有利な、しかも強度的にも、施工性 にも優れた、信頼性のある杭頭処理金具を提供するものである。

【０００５】 その手段として、既製杭の内径に沿って挿入できる外径を有する筒状体と該筒 状体の下面に筒状体の内径よりも小さい内径の孔部を形設した仕切辺とからなる 既製杭の杭頭処理金具において、筒状体と仕切辺を一体に形成すると共に、仕切 辺に形設した孔部の周縁に沿ってリング状の補強筋を固着したことを特徴とする 。

【０００６】 上記に記載した引抜力とセメントミルクの剪断力の関係を示した通りに、筒状 体の引抜力が仕切辺の孔部を介して上下に連続して硬化したセメントミルクの剪 断力より大きくなることが必要であり、引抜力が最も作用する仕切辺への強度負 担が非常に大きくなり、仕切辺が引抜力により下方へ折れ曲がる変形が考慮され るが、上記構造により、仕切辺に穿設した孔部に沿ってリング状の補強筋を固着 することにより、高強度なリング状の補強筋の剪断力が仕切辺の変形を抑制する と共に、仕切辺の肉厚を厚くしたり、筒状体を２重構造に形成して仕切辺との固 着面を大きくしたり、あるいは、引抜用の棒体を固着することなく、筒状体と仕 切辺を一体に形成することができるなど、前記従来の課題を解消するものである 。

【０００７】

【実施例】

第１図は、本考案の実施例を示す斜視図であり、薄肉状の鋼板により既製杭の 内径に沿って挿入できる所望の外径、長さに形成した筒状体１の下面のほぼ中央 に筒状体１の内径よりも小さい内径の孔部２ａを形設した仕切辺２を一体に形成 し、仕切辺２に形設した孔部２ａの周縁に沿って適宜太さのリング状の補強筋３ を仕切辺２の内側に固着する。 また、筒状体１の外周に、筒状体１の上端面より上方に突出し、上端に孔部４ ａ、５ａを穿設した一対の支持腕４、５を対向して付設する。 また、仕切辺２を仕切辺２の外周から孔部２ａに向かって上方に所望の角度傾 斜させること（図示省略）により、既製杭の掘削孔への圧入の際に上昇するセメ ントミルクの圧力による筒状体の既製杭から上方への浮き、あるいは、既製杭か らの抜けを防止して、精度良く空洞部を形成することは、本考案より容易に推考 できる。

【０００８】 第２図は、本考案の実施例の使用状態を示す説明図であり、杭の構築作業が図 面の左側から右側に進行するものである。 まず、掘削機１０１で所要の掘削孔１０２を支持層１０３に到達するまで穿設 し、その掘削孔１０２に根固め液１０４、杭周固定液等のセメントミルク１０５ を注入後、本考案の杭頭処理金具を既製杭１０６上端の内側に挿入し、筒状体１ の外周に付設した一対の支持腕４、５が既製杭１０６の上面より所望の高さ上方 に突出するように固定して既製杭１０６を圧入する。 その際に、既製杭１０６内のセメントミルク１０５が上昇し、筒状体１の下面 の仕切辺２に形設した孔部２ａを通過して筒状体１内にもセメントミルク１０５ は流入する。 数日間の養生後、支持腕４、５のそれぞれの上端に穿設した孔部４ａ、５ａに ワイヤーロープ１０７等を巻着してクレ−ン１０８等により筒状体１と、筒状体 １の内側に流入して硬化したセメントミルク１０５とを共に、杭頭より引抜き、 杭頭に空洞部１０９を形成する。 その後、杭頭の空洞部１０９に鉄筋籠１１０を挿入、コンクリートを打設して 、杭頭の補強、処理をするものである。 また、第３図は、本考案の実施例の使用状態において破断部を示す拡大断面図 であり、既製杭１０６の圧入時に、仕切辺２が上昇してきたセメントミルク１０ ５を上下に分割することにより、筒上体１の引抜きの際に、仕切辺２がセメント ミルク１０５の断面欠損を起こさせると共に、仕切辺２の孔部ａを介して上下に 連続して硬化したセメントミルク１０５を破断して、筒状体と筒状体の内側に流 入して、硬化したセメントミルク１０５とを共に既製杭１０６の杭頭より引き抜 くことができるものである。

【０００９】

【考案の効果】

以上詳細に説明したようにこの考案の構築用既製杭の杭頭処理金具によれば、 仕切辺に形設した孔部に沿ってリング状の補強筋を固着することにより、高強度 なリング状の補強筋の剪断力が仕切辺の変形を抑制すると共に、仕切辺の肉厚を 厚くしたり、筒状体を２重構造に形成して仕切辺との固着面を大きくしたり、あ るいは、引抜用の棒体を固着することなく、筒状体と仕切辺を一体に形成するこ とができるために、構成部品の安価、構成部品数の減少を達成し、経済的にも有 利な商品を提供することができる。 しかも強度的にも、施工的にも優れ、信頼性があるなど実用上有益な構築用既 製杭の杭頭処理金具を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の実施例を示す斜視図

【図２】 本考案の実施例の使用状態を示す参考図

【図３】 本考案の実施例の使用状態において破断部を
示す拡大断面図

【符号の説明】

１ 筒状体 ２ 仕切辺 ２ａ 孔部 ３ 補強筋 ４、５ 支持腕 ４ａ、５ａ 孔部 １０１ 掘削機 １０２ 掘削孔 １０３ 支持層 １０４ 地固め液 １０５ セメントミルク １０６ 既製杭 １０７ ワイヤー １０８ クレ−ン １０９ 空洞部 １１０ 鉄筋籠 Ａ 破断面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 既製杭の内径に沿って挿入できる外径を
   有する筒状体と該筒状体の下面に筒状体の内径よりも小
   さい内径の孔部を形設した仕切辺とからなる既製杭の杭
   頭処理金具において、筒状体と仕切辺を一体に形成する
   と共に、仕切辺に形設した孔部の周縁に沿ってリング状
   の補強筋を固着したことを特徴とする構築用既製杭の杭
   頭処理金具