JPH0683991U - 排水ポンプ用羽根 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポンプ効率を向上して高揚程でかつ低騒音で
あり、またポンプ本体の大気導入孔からドレンを吐出す
ることのない排水ポンプ用羽根を提供する。 【構成】 上方にモータ軸取付部を備えた中心軸５に下
方弾頭部６と平板状補助翼７を設け、下方弾頭部６の上
方には放射状に複数枚の平板状大径主翼８を設け、ま
た、主翼上縁外周部にドーナツ状円板１１を設けること
により排水ポンプ用羽根を構成したものであり、それに
より、ポンプ効率を向上し、高揚程でかつ低騒音のポン
プとし、またポンプ本体の大気導入孔からドレンを吐出
することがないようにしたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、空調機等のドレン水等を排水するためのポンプに用いる羽根に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

空調機における室内側ユニットにおいては、冷房時に熱交換器に空気中の水分 が凝縮して付着しドレンを生ずる。このドレンは、周囲のごみとともに熱交換器 の表面を伝わって滴下するので、これを収集して排水する必要があり、そのため 、熱交換器の下部にドレンパンを配置し、このドレンパンにドレン及びドレンパ ンに溜ったごみ等を収集するとともに、ポンプの吸込口をドレンパン内に配置し 、ポンプを駆動して、室外にドレンを排出することが行われている。

【０００３】 このような排水ポンプとしては、各種のものが提案されているが、その多くの ものは下端に吸込口を有し、側方に水平方向に向いた吐出口を有するポンプ本体 内に羽根を回転自在に設け、この羽根をポンプ本体上部に固定したモータにより 回転させている。また、その羽根は、上部にモータ駆動軸を連結する穴を備えた 軸部を有し、その軸部には、縦軸方向に大径の平板状の回転羽根を設けたものが 用いられている。

【０００４】 それにより、モータを駆動して軸を介して回転羽根を回転させる時、ドレンパ ン内に配置したポンプ本体下端の吸込口までドレンが溜っていると、そのドレン は、回転羽根の下端から吸い上げられ、回転羽根の遠心力により回転羽根の外周 に放出され、ポンプ本体の吐出口から外部に吐出される。

【０００５】 この時、ポンプ本体の中央上方部の開口から大気が導入されると、ポンプ本体 内壁に沿って上昇するドレンは、回転放物面状の自由表面を形成して上昇し、ポ ンプ最上端に達したドレンは、吐出口から外部に吐出されることとなる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来の排水ポンプにおいては、回転羽根の内側まで吸い上げたドレンを、 その遠心力でドレンに運動エネルギーを与え、吐出部でこの運動エネルギーを圧 力エネルギーに変換してポンプ作用を行わせる際、遠心力によりポンプ本体内周 面に沿って上昇し、その内側に自由表面を形成するドレンは、高速で回転しなが ら固定されたポンプ本体の蓋体の下面と衝突することとなる。この時、ドレンは 、蓋体の下面において大きな流動抵抗を受け、回転放物面状の自由表面は乱され 、撹拌され、自由表面から膨れ上がるようになる。

【０００７】 そのため、回転羽根により外周方向に放出するドレン流は乱され、回転羽根の 回転による運動エネルギーが十分にドレンに伝達することができなくなり、した がってポンプ効率が低下し、揚程が低下する欠点があった。また、ドレン流が蓋 体の下面との衝突により乱されることにより騒音を発生し、空調機の室内機とし て極めて重要な低騒音化を阻害する要因となっていた。更に、ドレン流が蓋体の 下面と衝突し、その一部が自由表面の内側に入り込む結果、蓋体の中央部に設け た大気導入用開口側に向かうドレン流を生じ、そのドレンは大気導入用開口から 外部に吐出することとなり、羽根を回転駆動するモータに対して悪影響を及ぼす とともに、空調機内の他の機器に対しても悪影響を及ぼす欠点があった。

【０００８】 したがって、本考案は、ポンプ効率を向上して高揚程でかつ低騒音であり、ま たポンプ本体の大気導入孔からドレンを吐出することのない排水ポンプ用羽根を 提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記課題を解決するため、上方にモータ軸取付部を備えた中心軸に 下方弾頭部と平板状補助翼を設け、該下方弾頭部の上方には放射状に複数枚の平 板状大径主翼を設け、また、主翼上縁外周部にドーナツ状円板を設けることによ り排水ポンプ用羽根を構成したものであり、それにより、ポンプ効率を向上し、 高揚程でかつ低騒音のポンプとし、またポンプ本体の大気導入孔からドレンを吐 出することがないようにしたものである。

【００１０】

【作用】

本考案は、上記のように構成したので、モータにより羽根が回転する時、中心 軸に設けた下方弾頭部と補助翼の下端から吸い込んだドレンは、下側蓋部材内周 に沿って上昇し、更に、補助翼の上方に設けた大径主翼の内側に吸い込まれる。 主翼に吸い込まれたドレンは、主翼の回転による遠心力で外周に飛ばされ、その 運動エネルギーは、ポンプの吐出口部分で圧力エネルギーに変換されて外部に吐 出される。この時、羽根の中心部に外気が導入されると、下方弾頭部と補助翼及 び主翼で回転し上昇するドレン水流の内側には放物線状の自由表面が形成され、 そのドレン水流の上端は、ドーナツ状の円板で押さえられるとともに主翼の外周 に向けてドレン水流を導き、羽根の上部へのドレンの流れを抑止する。

【００１１】

【実施例】

本考案の実施例を図面に沿って説明する。羽根１は、上方にモータ２の回転軸 ３を圧入する挿入孔４を備えた中心軸５を有し、中心軸５の下方には弾頭部６と 平板状補助翼７を設けている。補助翼７の上方には、図１に示す実施例において 、放射状に４枚の平板状大径主翼８を設け、この主翼８の上縁９の外周部に、中 心開口１０を有するドーナツ状円板１１を設けている。

【００１２】 上記羽根１は、その使用に際し、図２に示すように、下側蓋部材１２内に組み 込まれる。この下側蓋部材１２は、下端に吸入口１３を有し、補助翼７の外径よ り大径の内周を有する吸入筒１４と、主翼８の外径より大径の内周を有するポン プ室４０及びこのポンプ室４０と連通する水貯溜室１９から構成される。下側蓋 部材１２の上面には、ポンプ本体１５がタッピンねじ１６により固定され、ポン プ本体１５には、羽根１の中心軸５を収納する円筒部１７と、下側蓋部材１２の 吐出路１９と連通する排出口１８及び外部へ連通する配管２０を接続する吐出口 ２１を備えた排水筒２２を設ける。

【００１３】 円筒部１７の上端部には、回転軸３を挿通するとともにポンプ室４０内に大気 を導く通孔２４を設け、ポンプ本体１５の上面には、円筒部１７を囲むように隔 壁２５を設けている。また、回転軸３には、円筒部１７の通孔２４を覆うように 水切り板２７を設けている。

【００１４】 上記構成からなる排水ポンプ３０は、空調機の室内機におけるドレンパン内底 面にその吸入口１３が近接するよう固定され、空調機の運転により、室内機の熱 交換器表面に生じるドレンが下方に滴下してごみ等と共にドレンパン内に溜ると 、そのドレンの水位が吸入口１３に達する時、モータ２の駆動により回転軸３に 固定した羽根１の回転によって、補助翼７の下端でそのドレンは掻き上げられ、 吸入筒１４の内周面に沿って上昇する。

【００１５】 補助翼７で吸い上げられたドレンは、中心軸５の下方弾頭部６を通って主翼８ の内側に吸い込まれ、主翼８の回転による大きな遠心力によって外周に飛ばされ 、大きな運動エネルギーを得る。このドレンは、ポンプ室４０内に連通する吐出 路１９に押し込められ、ドレンの運動エネルギーは圧力エネルギーに変換され、 排水口１８から排水筒２２の吐出口２１に押し上げられ、配管２０によって外部 に排出される。

【００１６】 吸入筒１４内及びポンプ室４０内において、補助翼７及び主翼８で掻き上げら れるドレン水流は、ポンプ本体１５の円筒部１７上端に設けた通孔２４から大気 が導入されることにより、図２において、通孔２４の下方に大気と気液混合層３ ２との境面である、鎖線で示すような放物線状の自由表面３１を形成する。更に 、補助翼７の先端に気液混合層３２とドレン水との境面３３を形成する。このと き、主翼８及び補助翼７の中心部には、ドーナツ状円板１１の中心開口１０から 大気が導入される。放物線状の自由表面３１を形成するドレン水流の上端は、ド ーナツ状円板１１の下面で押さえられており、かつそのドレン水流をポンプ室４ ０の内周壁に向け導く作用をなす。それにより、ポンプ室４０内のドレン水流の 自由表面３１はくずれることなく安定し、しかも、下方弾頭部６の先端が気液混 合層３２内に設けられているので、ドレン水流は乱されることなく、羽根１の回 転による遠心力を確実にドレン水流に与えることができ、ポンプの高効率化、即 ち、高揚程化がはかられ、室内機の設置自由度が大きくなる。またドレン水流が 安定するので、水の掻き混ぜによる騒音が減少し、低騒音の空調機とすることが できる。

【００１７】 また、ドーナツ状円板１１によって、ドレンは上方への移動を阻止されている ので、円筒部１７の内部を通り、通孔２４から吐出れるドレン水を殆ど無くすこ とができる。そのため、通孔２４から吐出するドレンにより水切り板２７等の存 在にもかかわらずモータ２に入り込むドレンは全くなくなり、周囲の機器への悪 影響も防止できる。

【００１８】

【考案の効果】

本考案は、上記のように構成したので、下方弾頭部が気液混合層内に設けられ ていることで急激な形状変化をせずに、気液混合層が流れるので、排水時の騒音 を減少させることができる。また、ドーナツ状円板により、羽根の回転によって 形成される放物線状の自由表面を形成するドレン水流の上端は押さえられ、自由 表面がくずれなることなく、円滑に外周方向に導き、かつ上方の大気導入孔への 水流をなくすことができ、それによりドレン水流が乱されなくなるので、ポンプ 効率が向上し、高揚程化が計れる。また、ポンプ本体と羽根のドーナツ状円板と のクリアランスを大きくとっても、ドーナツ状円板により水流が押さえられ、高 効率、高揚程のポンプ作用を得ることができる。

【００１９】 更に、ドレン水流の撹拌による騒音が低減するとともに、大気導入孔への水流 がなくなることにより、大気導入孔からのドレンの吐出がなくなり、モータを初 めとする周辺機器に対してドレン水の悪影響をなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の斜視図である。

【図２】本考案の羽根を適用した排水ポンプの断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 羽根 ２ モータ ３ 回転軸 ４ 挿入孔 ５ 中心軸 ６ 弾頭部 ７ 補助翼 ８ 主翼 ９ 上縁 １０ 中心開口 １１ ドーナツ状円板 １２ 下側蓋部材 １３ 吸入口 １４ 吸入筒 １５ ポンプ本体 １６ タッピンねじ １７ 円筒部 １８ 排水口 １９ 吐出路 ２０ 配管 ２１ 吐出口 ２２ 排水筒 ２４ 通孔 ２５ 隔壁 ３０ 排水ポンプ ３１ 自由表面 ３２ 気液混合層 ３３ 気液混合層とドレン水との境面 ４０ ポンプ室

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 田口 勝也 埼玉県狭山市笹井535 株式会社鷺宮製作 所狭山事業所内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上方にモータ軸取付部を備えた中心軸に
   下方弾頭部と平板状補助翼を設け、該下方弾頭部の上方
   には放射状に複数枚の平板状大径主翼を設けたことを特
   徴とする排水ポンプ用羽根。
2. 【請求項２】 主翼上縁外周部にドーナツ状円板を設け
   たことを特徴とする請求項１記載の排水ポンプ用羽根。