JPH068360A - 片面段ボール製造機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はエンドレスベルトの張力を増加する
ことなく、芯紙とライナとを貼合するのに必要な加圧力
を増加することのできるベルト加圧型シングルフェーサ
を提供することを目的とする。 【構成】 芯紙を波形状に段繰りする上，下段ロールの
下流側に隣接して、エンドレスのベルトを設けた片面段
ボール製造機において、段繰りされた芯紙と、別経路を
経て合流させたライナとを、前記エンドレスベルトと段
ロールの間で挟持し回転搬送することによって、芯紙段
頂部の糊を介して貼合すると共に、前記芯紙，ライナ及
びエンドレスベルトを介し下流側段ロールに対して押圧
力の調整を可能にした少なくとも１個の加圧ロールを設
けた片面段ボール製造機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はコルゲートマシンに設備
するシングルフェーサ、特に段繰りされた芯紙とライナ
とを貼合するに当って必要とする加圧力を、エンドレス
ベルトの張力とは別個に調整することのできるシングル
フェーサに関する。

【０００２】

【従来の技術】図４乃至図８は、共に公知従来型片面段
ボール製造機の構成及び機能の説明図で、図４，図５は
ベルト加圧型、図６〜図８はロール加圧型の一例を示し
ている。コルゲートマシンに於ける公知一般的な片面段
ボール製造機（シングルフェーサ）は、図６に示す如く
上段ロール１と該上段ロール１と噛み合って芯紙５を波
形状に成形（段繰り）する下段ロール２，下段ロール２
との間に、糊付けされた芯紙５とライナ６とを加圧しな
がら通過させ貼合わせる事によって、片面段ボールシー
ト７を製造する圧力ロール１７及び上段，下段ロール
１，２に挟持される事によって形成された芯紙５の波形
段頂部へ糊９を転移供給する糊付ロール１０部等により
構成されている。

【０００３】ところで、前記波形段頂部に転移した糊９
を介して芯紙５とライナ６を貼り合わす場合、条件的に
適度の加圧力と糊９への加熱が必要であり、片面段ボー
ルシート製造機には、係合する各ロール間の初期接触圧
調整装置と共に、上記ロール１，２，１７の内部に蒸気
或いは油を導入して高温に設定できる装置が組み込まれ
ている。

【０００４】次に上段ロール１と下段ロール２の構造に
ついて簡単に説明する。下段ロール２はフレーム１１と
ブラケット１９に挟持された図示省略の軸受を介して位
置固定的に軸支されている。一方上段ロール１は軸受を
介して支点ピン２０を中心として揺動するアーム２１に
軸支されており、該アーム２１他端はピンを介してブラ
ケット１９に揺動自在に取付けられた加圧シリンダ１８
へ連結されている。したがって、加圧シリンダ１８を伸
縮作動させれば、上段，下段ロール１，２の着脱（接
離）が可能であり、又、シリンダ１８の圧力を変更する
事によって、両ロール１，２間の接触圧力を任意に調整
する事ができるようになっている。図６において、芯
紙，ライナを貼合するのに必要となる加圧力Ｐ＝Ｐ
_O （Ｐ_O ：圧力ロールによる加圧力）となる。

【０００５】しかしながら本形式のものは、下段ロール
２と圧力ロール１７の係合状態に関し次のような問題点
があった。つまり、図７に示す如く、従来型上段，下段
ロール１，２の山形歯はロール円周面上にロール軸と平
行な直線歯を刻んだものであり、歯合状態は軸に平行し
た線接触となる。この直線歯に対し圧力ロール１７は真
円状ロールである為下段ロール２との係合点では図８に
示す状態となる。図８の実線は２個の山形歯と係合した
場合であり、一点鎖線は１個の山形歯頂部に接触した場
合を示している。

【０００６】このように両ロールの係合状態は、下段ロ
ール２と圧力ロール１７の相対的回転によって実線と一
点鎖線の状態を交互に繰り返し、両ロール２，１７の軸
間距離は最大Ｓ寸法内に於いて常に変動することにな
る。上記理由により、ロール１，２，１７には振動及び
振動に起因した騒音が発生し、極端な場合、例えば粗悪
な原紙を使用した場合等に於いては、ロール間の衝撃，
振動に伴い紙切れ（破れ）を起こす事もあり、これらの
不良に伴い段ボールシート７の強度等品質低下が避けら
れなかった。

【０００７】前記欠点に鑑み、近年、図４，図５に示す
形式のものが提案されている。本形式のものは、互いに
噛み合った上段，下段ロール１，２の間隙を通過する事
によって波形状に段繰りされた芯紙５の山形段頂部へ糊
９を塗布した後、他経路を通って送り込まれたライナ６
と合流させ、所定の加圧力を付加する事によって片面段
ボールシート７を形成するシングルフェーサに於いて、
両シート（芯紙，ライナ）の貼合に必要とする加圧方法
として、前記図６の圧力ロール１７に代えて、エンドレ
スベルト（無端状ベルト）４の一部を接触させ、該ベル
トの張力を介して加圧力を付加させるよう構成したもの
である。図４，図５において、芯紙，ライナを貼合する
のに必要となる加圧力Ｐ＝Ｐ_B （Ｐ_B ：エンドレスベル
トによる加圧力）となる。

【０００８】ところで、転移した糊９を介して段繰りさ
れた芯紙５とライナ６とを貼合せる場合、条件的に所定
の温度，加圧力及び加圧時間が必要で、この加圧力と加
圧時間の間には相関関係が認められている。つまり、前
記加圧力を増加すれば、加圧時間を短縮する事ができ、
加圧時間を延長すれば、加圧力を減少させる事ができる
ようになっている。前記相関関係のもと、エンドレスベ
ルト４を捲回させたロール３の一部を移動可能に構成し
ておき、ベルトの張力や段ロールに対する捲回ロール角
度θが任意に可変設定できるよう構成したものもある。

【０００９】しかし、これ迄のベルト加圧型シングルフ
ェーサは、段繰りされた芯紙５とライナ６とを貼合する
に於いて必要となる加圧力を、エンドレスベルト４の張
力を介して得られる押圧力のみで付加するよう構成した
もので、高い張力に耐え得る強靭なエンドレスベルト４
の開発で相俟って性能的には充分に機能しているが、更
に強い加圧力を必要とする場合の調整及び同状態での耐
久性（寿命）に於いて若干の心配が残り、加えて特殊な
エンドレスベルトの構造と張力調整機構の構造上製造原
価が高くなる不具合があった。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】前記「従来の技術」の
項に於いて説明した如く、ロール加圧型シングルフェー
サの欠点に鑑み開発されたこれ迄のベルト加圧型シング
ルフェーサは、段繰りされた芯紙とライナとを貼合する
に当って必要とする挟持加圧力をエンドレスベルトの張
力を介して得られる段ロール側への押圧力のみで付加す
るよう構成したもので、該ベルトには前記高い張力に耐
え得る強靭な強度が要求される。したがって、耐久性
（ベルト寿命）の面で長いベルト寿命が期待できず、差
替交換に伴いランニングコストが高くなり、又、該交換
作業に多大の時間を要する事になる。その他、ベルトの
特殊な構造上、張力調整装置を含め製造原価が高騰する
不具合もあった。

【００１１】本発明はエンドレスベルトの張力を増加す
ることなく、芯紙とライナとを貼合するのに必要な加圧
力を増加することのできるベルト加圧型シングルフェー
サを提供することを目的とするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】芯紙を波形状に段繰りす
る上，下段ロールの下流側に隣接し複数個のロールを捲
回して走行するエンドレスのベルトを具え、段繰りされ
た芯紙と別経路を経て合流させたライナとを前記エンド
レスベルトの一部と段ロールの間に押圧し、挟持搬送す
る事によって片面段ボールシートを製造するベルト加圧
型シングルフェーサにおいて、更に芯紙とライナ及びエ
ンドレスベルトを介し、下流側段ロールに対して押圧力
が調整できるようにした１個ないし複数個の加圧ロール
を設置する。

【００１３】

【作用】芯紙とライナとを互いに貼合するに当って必要
とする加圧力を、所定の張力をもって下流側段ロールへ
捲回させたエンドレスベルトの押圧力と、該エンドレス
ベルトを介したロールの押付力との合成した作用力によ
って得る事ができる。したがって、エンドレスベルトの
張力を或る程度低く設定しても、前記ロール側の押付力
を変更（増加）させる事によって、貼り合わせに必要と
する加圧力を得る事ができる。従って、エンドレスベル
トの寿命を延ばすことができる。

【００１４】

【実施例】図１は、本発明に係る片面段ボールシート製
造機の基本構造の説明図。図２及び図３は、本発明に係
る他の実施例の説明図である。本発明は、芯紙５を波形
状に段繰りする上，下段ロール１，２の下流側段ロール
１又は２に隣接し複数組のロール３ａ〜３ｎを捲回して
走行するエンドレスベルト４を具え、波型状に段繰りさ
れた芯紙５と、別経路を経て合流させたライナ６とを、
前記エンドレスベルト４の一部と段ロールの間に押圧
し、挟持搬送する事によって片面段ボールシート７を製
造するベルト加圧型シングルフェーサにおいて、更に、
芯紙５とライナ６及びエンドレスベルト４を介し下流側
段ロールに対して押圧力が調整できるよう構成した１個
ないし複数個の加圧ロール８を設置した点に特徴があ
る。

【００１５】上段ロール１、下段ロール２の挟持回転に
よって段繰りした芯紙５の山形段頂部へ糊９を転移供給
させる糊付ロール１０部等の構成，機能は、前記「従来
の技術」の項に於いて説明したものと同様である。さ
て、図１に示したものは、エンドレスベルト４を捲回走
行させるロール３ａ〜３ｃ中１組３ａを加圧ロール８と
して流用し、該ロールの両軸端部をフレーム１１より突
設させたピン１２を介して揺動する左右一対の揺動アー
ム１３，１３へ軸支させ、該揺動アーム１３，１３の揺
動端部をシリンダ１４のヘッド部へ連結させたもので、
該シリンダ１４の後端はフレーム１１に対して可動的に
軸着させてある。

【００１６】一方、ロール３ｂの両軸端は、後端をフレ
ーム１１へ軸着したシリンダ１５へ軸支させ、又、ロー
ル３ｃの両軸端は、後端を同フレーム１１へ固着したシ
リンダ１６へ軸支させている。上記構成のもとシリンダ
１４へ付加する圧力の調整によって、エンドレスベルト
４を介し片面段ボールシート７｛芯紙５，ライナ６｝へ
の直接的な加圧力を調整する事ができる。又、従来型と
同様、シリンダ１６の伸縮作動（シリンダ圧の増減）に
よってベルト張力による押圧力が調整でき、かつ、シリ
ンダ１５の伸縮位置変更により段ロール１に対するエン
ドレスベルト４の捲回角度θが調整できるようになって
いる。図１において、芯紙，ライナを貼合するのに必要
となる加圧力Ｐ＝Ｐ_S ＋Ｐ_B （θ：エンドレスベルトの
捲回角度、Ｐ_S ：シリンダによる加圧力、Ｐ_B ：ベルト
による加圧力）となる。

【００１７】次の図２に例示したものは、ベルト加圧型
シングルフェーサに於いて、エンドレスベルト４を捲回
走行させるロール３を流用せず、専用の加圧ロール８を
具備させたもので、前記例と同様加圧ロール８の両軸端
を揺動アーム１３，１３にて軸支させ、シリンダ１４へ
付加する圧力の調整によってエンドレスベルト４を介し
片面段ボールシート７への直接的な加圧力を調整する事
ができるようになっている。次に図３に例示したもの
は、図２の例に於いて説明した加圧ロール８、２組を独
立的に設備させたもので、前記例と同様に機能すると共
に、加圧ロール８、１個当りの加圧力を分散し低く設定
させる事ができ、より振動，騒音を減少させられる特徴
がある。なお、加圧ロール８の移動手段等については、
例示したシリンダ１４〜１６以外に、モータほか種々の
方法があり、又、段ロール１，２に対するエンドレスベ
ルト４及び加圧ロール８の配置場所等も種々のレイアウ
トが考えられる。

【００１８】

【発明の効果】本発明による片面段ボール製造機は、芯
紙を波形状に段繰りする上，下段ロールの下流側に隣接
してエンドレスのベルトを具え、段繰りされた芯紙と、
別経路を経て合流させたライナとを、前記エンドレスベ
ルトと段ロールの間で挟持し、回転搬送することによっ
て、芯紙段頂部の糊を介して貼合すると共に、前記芯
紙，ライナ及びエンドレスベルトを介し下流側段ロール
に対して押圧力の調整を可能にした少なくとも１個の加
圧ロールを設けたことにより、次の効果を有する。 （１）エンドレスベルトの加圧に加え、押圧力調整可能
に構成したロールを介して前記エンドレスベルトを段ロ
ール側へ押し付けるようにしたことにより、芯紙とライ
ナを貼合する為に必要な加圧力を、ベルト張力による加
圧力とロールによる加圧力に分割することが出来る。 （２）上記（１）項に関連して、使用するベルト強度に
対応して、ベルト強度が低い場合はベルト張力を低く
し、ロール加圧力を高くすれば良く、又ベルト強度が高
い場合はベルト張力を高くし、ロール加圧力を低くすれ
ば良く、ベルトによる加圧力とロールによる加圧力の比
を自由に選択できる。 （３）上記（１），（２）項により、エンドレスベルト
の張力を弱めることにより、エンドレスベルトの寿命が
長くなり、経済的（ランニングコストの低減）になる。
或いはベルト強度を低くできる事によって、ロールや張
力調整装置等を含め、製造原価が低減できる。 （４）シート仕様（紙厚，紙質）及び製造速度に対応し
て、広い範囲で、しかも最も適当とする加圧力が設定で
き、段ボールの品質，生産性の向上を図る事ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の全体構成図である。

【図２】本発明の他の実施例における要部構成図であ
る。

【図３】本発明の他の実施例における要部構成図であ
る。

【図４】従来のベルト加圧型片面段ボール製造機の全体
構成図である。

【図５】従来の他のベルト加圧型片面段ボール製造機の
全体構成図である。

【図６】従来のロール加圧型片面段ボール製造機の全体
構成図である。

【図７】上下の段ロールの正面図である。

【図８】図６のＲ部の詳細図である。

【符号の説明】

１ 上段ロール ２ 下段ロール ４ エンドレスベルト ５ 芯紙 ６ ライナ ７ 片面段ボールシート ８ 加圧ロール

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 芯紙を波形状に段繰りする上，下段ロー
   ルの下流側に隣接してエンドレスのベルトを設けた片面
   段ボール製造機において、段繰りされた芯紙と、別経路
   を経て合流させたライナとを、前記エンドレスベルトと
   段ロールの間で挟持し回転搬送することによって、芯紙
   段頂部の糊を介して貼合すると共に、前記芯紙，ライナ
   及びエンドレスベルトを介し下流側段ロールに対して押
   圧力の調整を可能にした少なくとも１個の加圧ロールを
   設けたことを特徴とする片面段ボール製造機。