JPH0681605B2 - 椅 子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、着座者の後傾に応じて背凭れ板が傾動する椅
子に関する。

〔従来の技術〕

従来の背凭れ板が前後に傾動する椅子は、背凭れ板を上
端に連結した背凭れ杆を座部下面に枢着するとともに、
着座者の後傾を弾支すべく背凭れ板が常に前方へ傾動す
る方向へ背凭れ杆をコイルばねにて弾性付勢し、着座者
に応じてそのばねの強さを調節するものであるが、着座
者の体重差が大きな場合には、背凭れ板の傾動角度が大
きく異なるため、その都度ばねの強さを調節する必要が
あり、不特定多数の人が利用する場合には問題があっ
た。また、背凭れ杆又は座部の内部に背凭れ板を弾支す
る弾性体を埋設した椅子では、工場出荷時にスタンダー
ド仕様に調節してあり、着座者が外部から調節すること
は不可能で、やはり前述の問題を有するものであった。
そのため、着座者の体重に応じて背凭れ板の後傾に対す
る抵抗力が変化する椅子、即ち体重の重い着座者に対し
ては後傾に対する抵抗力が大きく、また体重の軽い着座
者に対しては小さくなるような椅子の出現が望まれてい
た。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところ
は、着座者の体重に応じて背凭れ板の後傾に対する抵抗
力が自動的に変化して、常に安定に着座することができ
る椅子を提供する点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、前述の課題解決の為に、脚台に取付け、座板
を上設する水平部と該水平部の後端に連続して上方へ延
びた立起部を有するフレームと、前記水平部の前端部に
前端部を枢支し、上面に座板を取付ける傾動部材と、前
記傾動部材の後端部に枢支するとともに、前記フレーム
の立起部と略平行に上方へ配した連結部材と、前記連結
部材の上端部と前記フレームの立起部上端部を互いに前
後位置に離間した状態で枢支してなる背凭れ板と、前記
背凭れ板の前方適所又は前記連結部材の中間部と前記フ
レームの立起部下部間に介装してなる引張りコイルばね
とよりなる椅子を構成した。

〔作用〕

以上の如き内容からなる本発明の椅子は、背凭れ板に後
方への応力が加わった場合、引張りコイルばねの弾性力
に抗して該背凭れ板は前記フレームの立起部上端部の枢
支点を軸として後方へ傾動し、それに応じて該背凭れ板
の前方に枢支した連結部材が引き上げられ、そして該連
結部材に後端部を枢支した傾動部材が、フレームの水平
部前端部への枢支点を軸として後部が上方へ持ち上がる
ものであり、それ故、着座して座板即ち傾動部材に重量
がかかった場合には、その重量の大小に応じて前記背凭
れ板の後傾に対する抵抗力が変化するのである。

尚、前記背凭れ板の前方適所又は前記連結部材の中間部
と前記フレームの立起部下部間に介装してなる引張りコ
イルばねによって、背凭れ板の後傾に対する抵抗力が増
すとともに、該背凭れ板に加わった外力がなくなると速
やかに定位置に復元するのである。

〔実施例〕

次に添付図面に示した実施例に基づき更に本発明の詳細
を説明する。

第１図は本発明の椅子の代表的実施例を示し、図中１は
フレーム、２は傾動部材、３は連結部材、４は背凭れ板
をそれぞれ示している。

フレーム１は、通常の脚台５に回動可能又は回動不能に
取付けるもので、水平部６と該水平部６の後端に連続し
て上方へ延びた立起部７を有し、全体として側面視略Ｌ
字形に形成している。

傾動部材２は、前記フレーム１の水平部６前端部の上面
に突設した支持片８に、水平に配した固定支軸９にて前
端部を枢支するとともに、その上面には座板10を取付け
て、前記水平部６と略平行に配している。

また、連結部材３は、前記立起部７と略平行に配し、そ
の下端部を前記傾動部材２の後端部に水平な遊動支軸11
にて枢支している。尚、該連結部材３は、引張り力に対
して十分な強度を有する杆体、板状体及びピアノ線等の
線材を用いることが可能である。

そして、背凭れ板４は、下端部又は背面に固定した取付
部12を水平な固定支軸13にて枢支するとともに、前記連
結部材３の上端部に該固定支軸13より前方位置に所定間
隔を隔てて水平な遊動支軸14にて枢支している。

しかして、前記背凭れ板４は後方へ押された場合には、
該背凭れ板４は前記固定支軸13を中心としてその上部が
後傾し、それに伴って前記連結部材３が引き上げられ、
そして該連結部材３の下端部に後端部を枢支した前記傾
動部材２が、前記フレーム１の水平部６前段部の固定支
軸９を中心として後部が持ち上がる。そして、前記座板
10に着座すると、前記傾動部材２の後部が下方に押圧さ
れ、前記連結部材３を介して前記背凭れ板４が前傾する
方向に応力が作用し、体重が重いほどその前傾力は増
す。こうして、着座者の体重のうち座板10にかかる重量
による前記背凭れ板４の前傾と、着座者の上半身の後傾
する後方への応力による前記背凭れ板４の後傾とが釣り
合って安定する。即ち、着座者の体重の重軽に応じて背
凭れ板４の後傾に対する抵抗力が増減し、全ての着座者
にとって最適な着座状態を実現できる。

尚、着座した瞬間に座板10の後部が不意に沈まないよう
に前記フレーム１の水平部６と前記傾動部材２の間にス
トッパー15を設けることも勿論可能である。

次に、更に具体的に本発明の実施例を述べる。第２図及
び第３図に示した椅子は、本発明の主要な機構をユニッ
ト化したもので、この機構ユニット16を脚台５の上端に
連結した取付体17の両側に固定し、その上部に座板10の
両側を取付けたものである。ここで、前記フレーム１
は、断面略コ字形のビーム状杆体を後部で折曲した構造
を有し、水平部６となした前端部の両立壁上縁を内方か
ら上方へ段折延長して支持片8,8を形成し、前記固定支
軸９を水平に装着する孔をそれぞれに形成し、更に立起
部７となした上端部の両立壁にも前記固定支軸13を水平
に装着する孔をそれぞれに形成している。更に、水平部
６の後部の立壁上縁を内方に折曲してストッパー15を形
成している。

また、傾動部材２は、断面略コ字形のビーム状杆体の立
壁を下方に向け、前端部立壁を下方に延長して前記支持
片8,8と外方から重畳する連結片18,18を形成し、該連結
片18と後端部の両立壁の対向位置にもそれぞれ固定支軸
９及び遊動支軸11を水平に挿通する孔を形成し、また上
面の適所には前記座板10をビス止めするビス孔を形成
し、更に後端部上面の中央部を切欠して前記連結部材３
の遊動部19を形成している。

また、連結部材３は、断面略コ字形のビーム状杆体から
なり、上下端部の両立壁にそれぞれ遊動支軸11および14
を挿通し得る孔を形成したものである。

そして、前記背凭れ板４の両側には、前後に間隔隔てて
固定支軸13および遊動支軸14を挿通し得る孔を形成した
連結部20と該背凭れ板４にビス止めして取付ける装着部
21を有する取付部12を固定しているが、該取付部12を背
凭れ板４と予め一体となして形成すること可能である。

更に、第３図に示す如く、フレーム１の立起部７下端部
に係止部22を溶着又は該フレーム１を切起して設け、引
張りコイルばね23の一端を該係止部22に係止するととも
に、他端を前記取付部12と連結部材３を枢支した遊動支
軸14に係止して、前記背凭れ板４を前記固定支軸13を中
心として前傾する方向に弾性付勢し、該背凭れ板４の後
傾に対する抵抗力を調節し、且つ後傾した場合に速やか
に復元するようになしている。また、該引張りコイルば
ね23を装着することにより、背凭れ板４に不意に凭れか
かった場合の該背凭れ板４の極端な後傾を防止する作用
をするものであ。

また、第４図に示したものは、フレーム１の立起部７を
筒状に形成し、その内部に前記連結部材３及び引張りコ
イルばね23を収容し、外観性の向上を図ったもので、そ
して該コイルばね23の一端は前記同様に立起部７下端部
の係止部22に係止するとともに、他端は前記連結部材３
の中間部に係止した構造のものである。また、前記実施
例の如く支持片８及び連結片18は設けずにフレーム１の
水平部６と傾動部材２のそれぞれの立壁に直接前記固定
支軸９を貫通させている。従って、全体として機構ユニ
ット16がコンパクトに収まり外観性も優れている。

また、第５図に示したものは、前記機構ユニット16の横
幅を大きくして椅子の中央部に一つだけ設けるタイプの
もので、基本的には前記のものと同様であるが、水平部
６を上方開放した箱形となし、傾動部材２をその内部に
収容するとともに、該傾動部材２の両側に座板10の取付
板24を水平部６から突出させて固定し、該取付板24を前
記ストッパー15の作用をもさせたものである。

そして、第６図に示したものは、前記連結部材３として
線材を用いたもので、その線材は一端をフレーム１の水
平部６前端部の固定支軸９に連結し、他端を背凭れ板４
に設けた遊動支軸14に対応する部位に連結し、前記同様
にコイルばね23にて弾性付勢したものである。

尚、第３図及び第４図に示した如くの機構ユニット16を
幾つかの規格で製造することにより、各種態様の椅子を
容易に組立てることが可能となる。即ち、第７図(a)に
示した如く脚台５をパイプで形成し、その脚台５の上部
両側に同一の機構ユニット16,16（簡略して示した）を
固定して構成したパイプ椅子、第７図(b)に示した如く
脚台５の支軸25に回転可能に取付体17を連結し、該取付
体17の両側に前記同様の機構ユニット16,16を固定して
構成した回転椅子、更に第７図(c)に示した如く第７図
(b)と同様の脚台５にに連結した取付体17の両側に機構
ユニット16,16を固定し、そのフレーム１の立起部７及
び連結部材３を両側から互いに接近するように折曲形成
し、中央部で背凭れ板４を連結するようになした回転椅
子等、容易に構成できる。ここで、第７図に示した状態
の半完成品に座板10及び背凭れ板４を取付けるには、例
えば第８図に示すように座板10の両側に下方開口した嵌
合溝26を形成し、また背凭れ板４の両側背面に後方開口
した嵌合溝27を形成すれば、それぞれ機構ユニット16の
傾動部材２の立起部７に嵌合し、更に、背凭れ板４の背
面に背カバー28をビス止め固定して容易に組立てができ
る。

〔発明の効果〕

以上にしてなる本発明の椅子によれば、脚台に取付け、
座板を上設する水平部と該水平部の後端に連続して上方
に延びた立起部を有するフレームと、前記水平部の前端
部に前端部を枢支し、上面に座板を取付ける傾動部材
と、前記傾動部材の後端部に枢支するとともに、前記フ
レームの立起部と略平行に上方へ配した連結部材と、前
記連結部材の上端部と前記フレームの立起部上端部を互
いに前後位置に離間した状態で枢支してなる背凭れ板
と、前記背凭れ板の前方適所又は前記連結部材の中間部
と前記フレームの立起部下部間に介装してなる引張りコ
イルばねとよりなるので、座板に着座した着座者の体重
の重軽に応じて、背凭れ板の後傾に対する抵抗力即ち前
傾する方向へ働く復元力が増減し、着座者の体重が大き
く異なっても常にバランスがとれて安定に着座でき、従
来のように体重の重い人が着座した場合のように背凭れ
板が不意に極度に後傾して不安定感を着座者に与えるこ
とはないばかりでなく、後にひっくり返ることもない。

また、引張りコイルばねにより、背凭れ板を前傾方向へ
弾性付勢することにより、着座してない状態で背凭れ板
に凭れかかった場合の不意の背凭れ板の後傾を防止でき
るとともに、体重によるバランスを微妙に補正し且つ調
整することが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の代表的実施例を示す簡略側面図、第２
図は更に具体化した本発明の椅子の要部の分解斜視図、
第３図は同じく組立てた状態の要部縦断側面図、第４図
は他の実施例を示す要部の縦断側面図、第５図は同じく
他の実施例を一部破断して示した要部の一部省略斜視
図、第６図は同じく他の実施例を示した簡略側面図、第
７図(a)(b)(c)は機構ユニットを用いて構成した各種椅
子の半完成品の簡略斜視図、第８図は第７図の状態のも
のに座板と背凭れ板を取付ける様子を示した省略斜視図
である。 1:フレーム、2:傾動部材、3:連結部材、4:背凭れ板、5:
脚台、6:水平部、7:立起部、8:支持片、9:固定支軸、1
0:座板、11:遊動支軸、12:取付部、13:固定支軸、14:遊
動支軸、15:ストッパー、16:機構ユニット、17:取付
体、18:連結片、19:遊動部、20:連結部、21:装着部、2
2:係止部、23:コイルばね、24:取付板、25:支軸、26:嵌
合溝、27:嵌合溝、28:背カバー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】脚台に取付け、座板を上設する水平部と該
   水平部の後端に連続して上方へ延びた立起部を有するフ
   レームと、 前記水平部の前端部に前端部を枢支し、上面に座板を取
   付ける傾動部材と、 前記傾動部材の後端部に枢支するとともに、前記フレー
   ムの立起部と略平行に上方へ配した連結部材と、 前記連結部材の上端部と前記フレームの立起部上端部を
   互いに前後位置に離間した状態で枢支してなる背凭れ板
   と、 前記背凭れ板の前方適所又は前記連結部材の中間部と前
   記フレームの立起部下部間に介装してなる引張りコイル
   ばねと、 よりなることを特徴とする椅子。