JPH0681298A

JPH0681298A - ビニル壁紙裏打ち用難燃紙

Info

Publication number: JPH0681298A
Application number: JP23072392A
Authority: JP
Inventors: Mina Yoshida; 美奈吉田; Isao Morikawa; 勲森川; Yoshiaki Kabayama; 佳明椛山
Original assignee: New Oji Paper Co Ltd
Current assignee: New Oji Paper Co Ltd
Priority date: 1992-08-31
Filing date: 1992-08-31
Publication date: 1994-03-22

Abstract

(57)【要約】【目的】塩化ビニルペーストの加工適性に優れたビニル
壁紙裏打ち用難燃紙を提供する。この裏打ち用難燃紙に
塩化ビニルペーストを塗布して加熱発泡させる際に、塩
化ビニルの発泡性が良好で、ふくれも発生しない、【構成】無機物粉体として水酸化アルミニウムを含有す
る原紙に、水酸化アルミニウムと接着剤とからなる表面
塗布剤を塗布してビニル壁紙裏打ち用難燃紙とする。こ
の表面塗布剤中の水酸化アルミニウムと接着剤との割合
を絶乾重量当たりで３０：７０〜５５：４５の範囲とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はビニル壁紙裏打ち用に用
いられる難燃紙に関し、特に塩化ビニルペースト加工性
に優れたビニル壁紙裏打ち用難燃紙に関する。

【０００２】

【従来の技術】難燃紙は各種壁紙の基紙として広く用い
られており、ビニル壁紙裏打ち紙としても多用されてい
る。難燃紙としては、紙に難燃性物質を塗布あるいは含
浸させたもの、あるいはセルロースパルプに難燃性の有
機物質や無機物質を湿式で抄紙して含有させたものが知
られている。またアスベスト、水酸化アルミニウムなど
の無機物質をパルプと混抄した無機質紙も知られてい
る。

【０００３】一般にこのような壁紙裏打ち紙の表面には
塩化ビニルペーストを塗工し、印刷後発泡・エンボス工
程を経てビニル壁紙を製造する。この時、裏打ち紙の塩
化ビニルペースト加工性が悪いと塩化ビニル塗工面のふ
くれ、パンクなどのトラブルを発生する。

【０００４】塩化ビニルペースト加工性を改善したビニ
ル壁紙裏打ち用難燃紙としては、基紙の片面もしくは両
面に無機顔料及びバインダーを主成分とする塗布層を設
けたもの（特開平１−１９２９００号公報）、平均粒子
径０．５〜１．０μｍの水酸化アルミニウム含有率が８
〜３０重量％であって、紙匹を厚さ方向に２分割した場
合の一方の面の填料含有率が１５重量％以上であるもの
（特開平１−２６６２９８号公報）、吸油量が４５％以
上である填料が紙中に２．０％以上配合されているもの
（特開平２−２２１４９６号公報）などが知られてい
る。しかしながら、これら従来の裏打ち用難燃紙はいず
れも難燃剤を含浸させたものであり、無機質紙について
は開示されていない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、無機
物粉体として水酸化アルミニウムを含有する無機質紙で
あって、特に塩化ビニルペースト加工性に優れたビニル
壁紙裏打ち用難燃紙を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、無機物粉体と
して水酸化アルミニウムを含有する原紙に、水酸化アル
ミニウムと接着剤とからなる表面塗布剤を塗布してなる
ビニル壁紙裏打ち用難燃紙であって、前記表面塗布剤中
の水酸化アルミニウムと接着剤との割合が絶乾重量当た
りで３０：７０〜５５：４５の範囲にあることを特徴と
するビニル壁紙裏打ち用難燃紙である。

【０００７】本発明における原紙を製造するためのパル
プ原料としては、針葉樹晒クラフトパルプ（ＮＢＫ
Ｐ）、広葉樹晒クラフトパルプ（ＬＢＫＰ）、針葉樹晒
サルファイトパルプ（ＮＢＳＰ）、広葉樹晒サルファイ
トパルプ（ＬＢＳＰ）、サーモメカニカルパルプ（ＴＭ
Ｐ）、その他の木材パルプなどが使用でき、これら１種
または２種以上のパルプを適宜選択混合して用いても良
い。また、合成繊維または無機繊維の１種または２種以
上をパルプ中に配合することにより寸法安定性向上を図
っても良い。

【０００８】本発明における原紙に用いられる無機物粉
体である水酸化アルミニウムは、加熱により結晶水を放
出し、吸熱分解するため自己消火性がある。本発明で
は、水酸化アルミニウムとして単一粒子径のもの、また
は２種類以上の異なった粒子径のものを混合して用いる
ことができる。最適な水酸化アルミニウムの粒子径は、
単一粒子径の場合は０．６〜８．０μｍ、好ましくは
０．６〜１．０μｍである。一方、２種類以上の異なっ
た粒子径の水酸化アルミニウムを混合して用いる場合、
粒子径が小さいものは０．６〜８．０μｍ、好ましくは
０．６〜１．０μｍであり、粒子径が大きいものとして
は粒子径は１５〜２５μｍ、好ましくは１５〜１７μｍ
である。また、粒径分布に３つ以上の山を設ける目的で
粒子径の小さいものと大きいものを混合する場合、中間
の粒子径、例えば８〜１５μｍの水酸化アルミニウムを
併用しても良い。これらの粒子径の異なる水酸化アルミ
ニウムの混合割合は粒子径の小さいものと大きいものが
重量比で１：１〜１：５、好ましくは１：２〜１：４の
範囲である。原紙中の水酸化アルミニウムの含有率は６
０〜９０重量％、好ましくは７０〜９０重量％である。
９０重量％より多くすると、水酸化アルミニウム歩留の
低下や原紙の強度の低下が起こり好ましくない。また、
６０重量％より少ないと原紙の難燃性が劣るため好まし
くない。

【０００９】原紙を製造するに際しては、前記パルプと
水酸化アルミニウムとを混合し、歩留助剤やバインダー
を適宜選択し、通常の抄造方法によって抄紙する。歩留
助剤としては、例えばカチオン性高分子としては、カチ
オン化でんぷん、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリ
エチレンイミン、ポリアミドポリアミンエピクロルヒド
リン、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ポリビニ
ルアルコール、その他のカチオン性高分子などがあり、
特に限定されない。アニオン性高分子としては、ポリア
クリルアミド、ポリメタクリルアミド、酸化でんぷん、
その他のアニオン性高分子などがあり、どれを用いても
良い。上記の他にも、歩留向上の目的でベントナイトク
レー型のクレー等を併用することができる。また、原紙
強度を保つ目的でバインダー、例えば溶解性ビニロン繊
維、ラテックスエマルジョンなどを用いることができ
る。

【００１０】前記した原紙としての無機物粉体混抄紙
は、表面塗布剤を塗布する時に塗布剤が原紙の中に浸透
しないようにするため内添サイズ剤を添加して抄造され
る。表面塗布剤が原紙の中にしみ込むと、原紙の層間剥
離強度が上がり、壁紙に加工した後施工した場合に、再
剥離性が悪くなる。また、原紙表面に塗布剤がとどまら
ないため、原紙中に混抄された水酸化アルミニウムの脱
落を防止できず、塩化ビニルとの密着性も悪化し、また
表面塗布剤の消費量が増えてコスト高にもつながる。

【００１１】上記の理由から、本発明における原紙を製
造するに際しては、抄紙工程において１種類または２種
類以上の異なる種類のサイズ剤を選択して添加する。２
種類以上を組み合わせる場合には、添加直後、サイズ効
果がすぐ現われるサイズ剤と、時間を経てから効果を現
わすサイズ剤とを組み合わせるのが良い。これにより、
抄紙後、表面塗布剤をオンマシンで塗布する工程までに
サイズ効果が現われ、表面塗布剤の原紙への浸透を防止
することができる。また、経時と共に更にサイズ効果が
向上し、裏打ち紙に塩化ビニルを塗布して加工する際に
塩化ビニルペーストがしみ込むのを防ぐことができ、更
には壁紙施工の際に糊がしみ込むのを防ぐこともでき
る。内添サイズ剤としては、例えば時間を経た後効果を
現わすサイズ剤としてはアルキルケテンダイマー、サイ
ズ効果がすぐ現われるサイズ剤としてはスチレンアクリ
ル系、スチレンアミド系などのサイズ剤を適宜選択して
用いる。

【００１２】上記のようにして製造された原紙に、本発
明においては表面塗布剤を用いて表面塗布を行う。その
目的は、水酸化アルミニウムの紙匹からの脱落を防ぎ、
塩化ビニル加工をする際に塩化ビニルとの密着性を良く
するためである。本発明に用いる表面塗布剤は水酸化ア
ルミニウムと接着剤とからなる。接着剤としては例えば
ラテックスエマルジョン、ポリアクリルエマルジョン、
でんぷん、ポリビニルアルコール、スチレンアクリルエ
マルジョンなどがあり、適宜選択して使用する。また、
必要に応じて増粘剤を表面塗布剤に添加してもよい。

【００１３】表面塗布剤に用いる水酸化アルミニウムの
平均粒子径は０．６〜５．０μｍが望ましい。また、水
酸化アルミニウムと接着剤との割合は絶乾重量当たり３
０：７０〜５５：４５とする。接着剤が７０重量％より
多いと塩化ビニル加工時に塩化ビニルのふくれやパンク
などのトラブルを起こし、接着剤が４５重量％より少な
いと塩化ビニルペーストの発泡性に問題が出てくる。ま
た増粘剤を添加する場合の割合は、表面塗布剤の絶乾重
量当たり２〜２０重量％が適当である。

【００１４】かくして得られる表面塗布剤を原紙に塗布
する際には、水を加えて固形分濃度５〜５０重量％の水
懸濁液として使用する。また、表面塗布剤の塗布量は、
原紙当たり２〜１０重量％（固形分として）とする。塗
布量が２重量％より少ないと塩化ビニル加工性の改善効
果が小さい。一方、表面塗布剤を１０重量％より多く塗
布することはコスト高を招き望ましくない。

【００１５】表面塗布剤を原紙表面に塗布する方法は、
均一に塗布できれば特に限定されないが、ゲートロール
コーター、サイズプレス等によるオンマシン塗布や、オ
フマシンコーター塗工などが適用できる。

【００１６】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるもの
ではない。尚、以下において％とあるのは重量％を示
す。

【００１７】実施例１〜３パイン及びスプルースを主原料としたＮＢＫＰを離解
後、常法により３００ｍｌまで叩解し、無機填料として
水酸化アルミニウムを添加した。水酸化アルミニウムの
粒径比率を１μｍ：１７μｍ＝２８：７２（重量比）と
し、原紙重量当たり７０％となるように添加した。ま
た、合成繊維としてポリエステル繊維（直径１．４ｄ×
繊維長５ｍｍ、ユニチカ社製）を全重量当たり２％添加
した。さらに、歩留助剤としてカチオン系（“エピノッ
クス”、ディック・ハーキュレス社製）を０．１％、ア
ニオン系（“パーコール１７３”、アライドコロイド社
製）を０．０１％、中性サイズ剤としてアルキルケテン
ダイマー（“ＡＫＤ”、荒川化学社製）を０．２５％添
加して紙料を調成した後、坪量１３５ｇ／ｍ²、密度
０．７ｇ／ｃｍ³のビニル壁紙裏打ち用原紙を実験室手
抄マシンで作成した。

【００１８】一方、粒径１μｍの水酸化アルミニウム
と、接着剤として塩化ビニルアクリルエマルジョン
（“ラックコート６０９５”、セイコー化成社製）とを
絶乾重量当りで水酸化アルミニウム：接着剤＝５０：５
０（実施例１）、４０：６０（実施例２）、３３：６７
（実施例３）の割合になるように混合し、さらに増粘剤
（“モディコールＶＤ−Ｓ”、サンノプコ社製）を表面
塗布剤の絶乾重量当り３．５％添加して、固形分濃度４
０％の３種類の表面塗布液を作成した。次いで、実験室
ゲートロールコーターによりこれら３種類の表面塗布液
をそれぞれ原紙の両面に塗布した。塗布量は片面３．６
重量％であった。

【００１９】かくして得られた裏打ち用難燃紙に塩化ビ
ニルペーストを１３０μｍの膜厚で塗布し、１６５℃に
おいて１分間及び２分間加熱するという条件で塩化ビニ
ルの発泡性とふくれ（半ゲル化状態における発泡のこと
で、無い方が良い。）の状態を調べ、発泡性の評価は
“良好”または“劣る”、ふくれの評価は“あり”また
は“なし”で示した。

【００２０】比較例１〜２表面塗布剤として水酸化アルミニウム：塩化ビニルアク
リルエマルジョン＝７２：２８（比較例１）、２５：７
５（比較例２）とした以外は、実施例１〜３と同様にし
て裏打ち用難燃紙を作成し、この難燃紙に塩化ビニル加
工を施して塩化ビニルの発泡性とふくれを評価した。

【００２１】実施例及び比較例での結果を表１に示す。

【００２２】

【００２３】表１から明らかなように、本発明の裏打ち
用難燃紙は、塩化ビニルの発泡性が良好であり、ふくれ
が無く、塩化ビニルの加工性に優れている（実施例１〜
３参照）。これに対して、水酸化アルミニウムの量を多
くして接着剤の量を少なくした表面塗布剤を用いると、
ふくれは発生しないが塩化ビニルの発泡性が劣り（比較
例１参照）、逆に、水酸化アルミニウムの量を少なくし
て接着剤の量を多くした表面塗布剤を用いると、塩化ビ
ニルの発泡性は良好であるがふくれが発生し（比較例２
参照）、共に塩化ビニルの加工適性に劣る。

【００２４】

【発明の効果】以上の説明からわかるように本発明によ
れば、水酸化アルミニウム混抄紙からなる原紙の表面
に、特定割合の水酸化アルミニウムと接着剤とからなる
表面塗布剤を塗布することによって、塩化ビニルペース
トの加工適性に優れたビニル壁紙裏打ち紙用難燃紙を提
供することができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｄ２１Ｈ 27/20 7199−3ＢＤ２１Ｈ 1/10 7199−3Ｂ 3/66

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】無機物粉体として水酸化アルミニウムを含
有する原紙に、水酸化アルミニウムと接着剤とからなる
表面塗布剤を塗布してなるビニル壁紙裏打ち用難燃紙で
あって、前記表面塗布剤中の水酸化アルミニウムと接着
剤との割合が絶乾重量当たりで３０：７０〜５５：４５
の範囲にあることを特徴とするビニル壁紙裏打ち用難燃
紙。