JPH0679112U - インダクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 純鉄系圧粉磁性材からなるコアと巻線間の電
気絶縁を高める。 【構成】 壺形コア１と平板コア２とを接合面以外の面
をエポキシ系絶縁塗料の粉体塗装、吹付塗装等で被覆す
る。壺形コア１に筒形巻線１０を収納して内底に固着
し、外部接続端子１１を壺形コア１の導出溝５に配置し
てから平板コア２を壺形コア１に接合する。巻枠を用い
た巻線の場合よりインダクタを小型化できる。能率よく
組立てできる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、筒形巻線を収納した壺形コアと平板コアから構成された、特に壺形 コアと平板コアの表面に電気絶縁塗膜を施した電気回路の電磁雑音防止用インダ クタ及び平滑用チョークコイル用インダクタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

電気回路の電磁雑音防止用の従来のインダクタは、フェライト材又は圧粉材か らなる壺形コアと平板コアを使用して、両端に鍔を設けた筒形巻線用巻枠に巻線 を施した筒形巻線を壺形コアに収納したものである。又、壺形コアの両側端に構 成した一対の導出溝に絶縁性接着剤、絶縁材等により該壺形コアと絶縁させて固 着した接続端子に筒形巻線の電線の端部を接続した後、平板コアを壺形コアの開 口面に接合した構成であった。鍔のある筒形巻線用巻枠並びに接着剤による接続 端子の壺形コアへの接着は、インダクタの外形寸法を大きくし、かつ接着等、製 造コストを引き上げる要因になっていた。又、筒形巻線用巻枠も高価なものであ った。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

壺形コアの材質がフェライト材の場合とセンダスト系圧粉材の場合は、材質の 固有電気抵抗が比較的高い（例えば１０⁸Ω・ｃｍ）ので、巻線用巻枠を用いた巻 線に替えて自己融着性電線を筒形に巻き回した筒形巻線を壺形コアに直に収納す ることが可能である。しかし、壺形コアが純鉄系圧粉材の場合、材質の固有電気 抵抗が小さい（例えば１０⁶Ω・ｃｍ以下）ために電気的絶縁が充分とれず、自己 融着電線を筒形に巻き回した筒形巻線に替えることができなかった。 本考案の目的は、純鉄系圧粉磁性材からなり、接合のための表面の一部を除き 電気絶縁塗膜を施した壺形コアと平板コアに筒形巻線を組み込んだインダクタを 提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、純鉄系圧粉磁性材からなる壺形コアと平板コアの接合面の部分を除 いて、内外全面を電気絶縁塗膜で覆い、該壺形コアに筒形巻線を該壺形コアの円 環凹部に収納して、該平板コアを該壺形コアに接合した構成にしてなることを特 徴とするインダクタである。

【０００５】

【作用】

壺形コア及び平板コアの電気絶縁塗膜は、壺形コアの円環凹部に直に収納した 筒形巻線を壺形コア及び平板コアから電気絶縁するので、巻線枠が小型化できる ので、インダクタの外径を小型化でき、並びに接続端子の構成も簡略化できる。

【０００６】

【実施例】

図１は、本考案に係わるインダクタの実施例の縦断正面図である。壺形コア１ は筒形巻線１０を収納し、平板コア２と共に接合される。図２は、本考案に係わ る壺形コア及び平板コアの外観斜視図である。壺形コア１は外形直方体で、その 矩形主面に中芯３と円環凹部４と短辺両側面から円環凹部４に達する一対の導出 溝５を設けたものである。壺形コア１の接合面は、中芯３の円形状端面と接合面 ８１からなり、該接合面だけを除外し内外全面にエポキシ系の絶縁塗料による粉 体塗装、あるいは吹付塗装、及びエポキシ樹脂による封止成形等により電気絶縁 塗膜６を形成してある。 平板コア２は、図２に下方からの外観を示すように、壺形コア１の矩形主面に 対応する矩形板である。平板コア２の一方の面、即ち底面の壺形コア１との接合 面である中央円部７及び長辺縁接合面８の二箇所を除いて、平板コアの全面に壺 形コア１の場合と同様にして、電気絶縁塗膜９を形成してある。中央円部７は中 芯３の端面に対応し、長辺縁接合面８は壺形コア１の側壁の接合面に対応し接合 される。 壺形コア１、平板コア２の材質は、高い飽和磁束密度をもつ純鉄系圧粉磁性材 であり、主に１００ＫＨｚ以下の電気回路の電流の電磁雑音防止に適する。 図２に示した壺形コア１の円環凹部４に筒形巻線１０を、図１に示すように、 中芯３と同心状に収納して円環凹部４の内底に固着する。導出溝５に短冊形状の 接続端子１１を外側から中途まで差し入れて、導出溝５の内底に固着してから巻 線１０の端部を接続端子１１に導接する。接続端子１１は、導出溝５内の電気絶 縁塗膜６により、壺形コア１から電気的に隔離される。又、導出溝５に対応する 平板コア２の底面の電気絶縁塗膜９により平板コア２から電気的に隔離されるの で、接続端子１１を容易に導出溝５に配置できる。筒形巻線１０と接続端子１１ を配置した壺形コア１の矩形状接合面に、平板コア２の一方の面、即ち底面を接 合してインダクタの組立が終了する。壺形コア１と平板コア２の接合面は、接合 面に接着剤を塗布して行うことに限る必要はなく、筒形巻線１０の上部に接着剤 を盛り付けて壺形コア１を接合する作業と同時に、平板コア２を固着してもよく 、接着剤の過多によるはみ出しを心配せずに、迅速に行うことができる。

【０００７】

【考案の効果】

本考案によれば、純鉄系圧粉磁性材製の壺形コア、平板コアの接合面を除いて 内外全面を電気絶縁塗膜で被覆する構成であるから、コアとの電気絶縁を考慮し ないで筒形巻線を容易に収納し、又接続端子も容易に組立配置でき、インダクタ の組立て作業の能率が向上する効果がある。筒形巻線は、鍔のある巻枠を用いた 巻線よりも小型であるから、インダクタを小型化できる効果がある。更に、イン ダクタを樹脂モールドにより外装した場合、コアの発銹を抑制して信頼性を向上 する効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すインダクタの縦断正面
図。

【図２】図１におけるインダクタを構成する壺形コアと
平板コアの外観斜視図。

【符号の説明】

１ 壺形コア ２ 平板コア ３ 中芯 ４ 円環凹部 ５ 導出溝 ６，９ 電気絶縁塗膜 ７ 中央円部 ８ 長辺縁接合面 ８１ 接合面 １０ 筒形巻線 １１ 接続端子

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 壺形コアに筒形巻線を収納し、平板コア
   を該壺形コアに接合して閉磁路を構成したインダクタに
   おいて、該壺形コアの材質は純鉄系圧粉磁性材からな
   り、該壺形コアと該平板コアの接合面を除いて該壺形コ
   ア及び平板コアの全面を電気絶縁塗膜で覆い、該壺形コ
   アに筒形巻線を収納し該平板コアを接合したことを特徴
   とするインダクタ。