JPH0678763A - α−hANPを認識するモノクロ−ナル抗体を産生するハイブリド−マ - Google Patents

α−hANPを認識するモノクロ−ナル抗体を産生するハイブリド−マ

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JPH0678763A
JPH0678763A JP5106135A JP10613593A JPH0678763A JP H0678763 A JPH0678763 A JP H0678763A JP 5106135 A JP5106135 A JP 5106135A JP 10613593 A JP10613593 A JP 10613593A JP H0678763 A JPH0678763 A JP H0678763A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ミエロ−マ細胞と抗α−hANP抗体産生細胞
を融合させてハイブリド−マを作製し、このハイブリド
−マからα−hANPのリング構造のN端側の約半分を
認識するモノクロ−ナル抗体を産生するハイブリド−マ
を選択することにより、所望のモノクロ−ナル抗体を産
生するハイブリド−マを得た。 【効果】このハイブリド−マが産生するモノクロ−ナル
抗体を用いたα−hANPの免疫学的測定試薬を用いれ
ば、α−hANPを抽出することなく直接検体中のα−
hANPを測定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はα−ヒト心房性ナトリウ
ム利尿ポリペプチド(α−hANP)のリング構造のN
端側の約半分を認識するモノクロ−ナル抗体を産生する
ハイブリド−マに関し、さらに詳しくは、α−hANP
[7-16]断片に含まれ、かつ、Met[12]を含む部分を認
識するモノクロ−ナル抗体を産生するハイブリド−マに
関する。
【0002】
【従来の技術】心房性ナトリウム利尿ポリペプチド(at
rial natriuretic polypeptide、ANP)は、心房筋細胞
により産生され顆粒中に含まれる、強い利尿作用および
ナトリウム排泄作用を有するポリペプチドである。この
ようなポリペプチドはヒトのみならずラットにおいても
見出されており、それぞれhANP、rANPと呼ばれ
る。hANPおよびrANPはさらにα、β、γの3つ
のタイプに分類される。α−hANPは28アミノ酸残
基からなり、N端から7番目のCys[7]と23番目の
Cys[23]がジスルフィド結合しており、その間の配列
がリング状構造をなしている (Biochem. Biophys. Res.
Commun. (以下 BBRC と略記する) 118、 131-139、 198
4)。α−rANPは、α−hANPではN端から12番
目の残基がMetであるのに対し、α−rANPではI
leである点でのみ異なっている (BBRC 117、 839-865、
1983)。β−hANPは、α−hANPの逆平行二量体
である (特開昭60-184098)。γ−hANPは126アミ
ノ酸残基からなり、そのC端の99〜126アミノ酸が
α−hANPに相当する。
【0003】ANPの測定法としては既に抗血清を用い
たラジオイムノアッセイが確立されている (Science 22
8、 323-325、 1985; Nature 314、 264-266、 1985; BBRC
124、815-821、 1984; BBRC 124、 663-668、 1984; BBRC 1
25、 315-323、 1984)。このうち、抗血清CR−3はAN
PのC末端断片[17-28]を認識することが知られてい
る。
【0004】また、α−hANPを認識するモノクロ−
ナル抗体としては11A−A11が知られている。該抗
体はラットのANPの一種であるアトリオペプチンIIを
抗原として得られたもので、そのエピト−プはジスルフ
ィド結合を含むCys[7]−Ser[25]の間に存在し、
即ちANPのリング構造の一部であろうと考えられてい
る。但し、該抗体の親和性はMet[12、ヒト]とIle
[12、ラット]間で差がなく、rANPとhANPを認識
する (Life Science, Vol. 38, 1991-1997, 1986)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のANPのイムノ
アッセイにおいては、試料からANPを抽出する必要が
あり、抽出の必要がない高感度のアッセイを可能にする
親和性の高いモノクロ−ナル抗体が待望されていた。A
NPを認識するモノクロ−ナル抗体としては上記の11
A−A11が得られていたが、該抗体はhANPのみな
らずrANPも認識してしまう。また、上記の様にAN
P抗血清CR−3はANPのC末端側を認識するので、
ANPのN端側断片を特異的に認識する抗体が得られれ
ば、そのような2種の抗体によるサンドイッチイムノア
ッセイが可能になる。従って、hANPのN端側断片を
特異的に認識する親和性の高いモノクロ−ナル抗体が待
望されていた。
【0006】hANPの免疫学的測定法としては、従
来、ラジオアイソト−プを利用するラジオ・イムノアッ
セイ(以下RIAと略記する)と酵素を利用するエンザ
イム・イムノアッセイ(EIA)とが知られているが、
RIAの場合には施設・設備の問題からなるべくその利
用を避ける傾向にあり、利用場所を問わない高感度のE
IAの開発がむしろ望まれている。EIAにおける酵素
標識法としてはその架橋剤としてグルタルアルデヒドを
利用する方法が従来一般的であったが、最近では重合の
問題や収率の低さなどの点で問題があり、あまり用いら
れなくなった。グルタルアルデヒドに替わる架橋剤とし
て、最近、N,N’-O-フエニレンジマレイミド、N−
(4−カルボキシシクロヘキシルメチル)マレイミドの
N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどが知られて
いる[J. Immunoassay, 209〜327(198
3)]が、hANPに応用した報告は無く、未だに、高
感度のhANPの免疫学的測定法が開発されたとは言え
ない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはhANPの
N端側断片を特異的に認識する親和性の高いモノクロ−
ナル抗体を創製すべく鋭意研究を行なった結果、α−h
ANPのリング構造のN端側断片を認識するモノクロ−
ナル抗体を産生するハイブリド−マを得て、そのモノク
ロ−ナル抗体を利用するα−hANPの高感度測定法を
完成するに至った。
【0008】(1) モノクロ−ナル抗体産生ハイブリド
−マの調製 α−hANPは28アミノ酸残基からなるポリペプチド
であり、比較的低分子であるため抗体の産生を誘起する
能力(免疫原性)が低い。そのため、抗原として用いる
ためには牛血清アルブミン、牛チログロブリンなどと結
合させる。得られた複合体は、フロイントの完全アジュ
バント等の適当なアジュバントに乳濁し、マウスの免疫
に用いる。
【0009】免疫は、上記乳濁液を数週間おきにマウス
の腹腔、皮下または静脈に数回繰り返し接種することに
より行なう。最終免疫後3日ないし5日後に脾臓を取り
出し、抗体産生細胞として使用する。この時同時に抗体
産生細胞と融合させてハイブリドーマを得るための親細
胞として、ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシル
トランスフエラーゼ欠損(HGPRT-)あるいはチミ
ジンキナーゼ欠損(TK-)の様な適切なマーカーを持
つミエローマ細胞株を用意し、これと抗体産生細胞とを
融合させてハイブリドーマを作製する。
【0010】ハイブリドーマ作製における培地として、
イーグルMEM、ダルベツコ変法培地、RPMI−16
40などの通常良く使用されているものに、適宜約15
%の牛胎児血清(FCS、fetal calf serum)を加えて用
いる。
【0011】まず、親細胞であるミエローマと脾細胞を
約1:6.5の割合で用意する。融合剤としてはよく用
いられているポリエチレングリコール(PEG)の50
%を用いるのが融合率が高いとされている。融合株はH
AT選択法により選択する。生じるハイブリドーマのス
クリーニングは培養上清を用い、膜螢光抗体法、ELI
SA法(Enzyme Linked Immunosorbent Assay)、免疫
組織染色法など既知の方法により行ない、目的の免疫グ
ロブリンを分泌しているハイブリドーマのクローンを選
択する。ハイブリドーマの単一性を吟味するため、96
穴のマイクロウエルにフイーダーレイヤー(feeder lay
er)として正常な脾細胞をおよそ106cell/well 蒔い
た上にハイブリドーマを1穴に1個より多くならないよ
うに蒔き、生育してくるクローンについて再びスクリー
ニングを行なう。このサブクローニングを繰り返すこと
により、単一性のハイブリドーマを得る。
【0012】(2) モノクロ−ナル抗体の産生 次に、本発明のモノクローナル抗体を製造するために、
上記で得られたハイブリドーマを培養容器中(in vitr
o)または動物体内(in vivo)で培養する。invitro 系
で培養する場合、培地は先に述べた通常培地に FCS を
添加したものでよく、この培地で3から5日培養の後、
培養上清からモノクロ−ナル抗体を得る。in vivo 系の
培養では、ハイブリドーマを哺乳動物の腹腔に接種し、
7ないし14日後に腹水を採取し、これよりモノクロ−
ナル抗体を得る。in vivo 系での培養の場合、in vitro
系での培養に比べて遥かに大量の抗体を効率的に取得し
うるので好ましい。
【0013】こうして得られた培養上清または腹水から
のモノクロ−ナル抗体の精製は、硫安分画、DEAEセ
フアロースカラム等の既知の方法を適宜組み合わせて、
例えば後記実施例に記載したようにして行なうことが出
来る。
【0014】本発明で得られたモノクロ−ナル抗体KY
−ANP−Iは、後記参考例に示される通り、α−hA
NPを特異的に認識し、rANPに対しては殆ど親和性
を示さない。そのエピト−プはα−hANPのリング構
造のN末端側半分、詳細にはCys[7]からGly[16]
に含まれる部分を認識しているものと推定され、またr
ANPとは反応しないことから、Met[12]を含む部分
であると考えられる。該エピト−プはα−hANPのみ
ならずβ−hANP、γ−hANPにも共通の部分であ
り、該抗体はβ−hANP、γ−hANPに対しても反
応性を有する。
【0015】また、本抗体はα−hANPに対して高い
親和性(Ka=4.5×109 M-1)を示した。図1に示
すα−hANPの標準曲線から、90%および50%阻
害濃度(IC90、IC50)はそれぞれ10pg/チュ−
ブ、100pg/チュ−ブであった。
【0016】本発明のモノクロ−ナル抗体KY−ANP
−Iを産生するハイブリド−マKY−ANP−Iは19
87年8月20日から英国 Porton Down, Salisbury. S
P4 OJG. の PHLS Centre for Applied Microbiology &
Research、European Collection of Animal Cell Cultu
res (ECACC) に受託番号87082001としてブタペ
スト条約に基づき寄託されている。
【0017】(3) 抗体と担体との結合 抗体を固定化する固相としては、通常の免疫測定法に使
用される市販の抗原抗体反応用担体、例えば、ガラスま
たは合成樹脂製の粒状物(ビ−ズ)あるいは球状物(ボ
−ル)、チュ−ブ、プレ−トなどを用いることができ
る。これらの担体に、α−hANPのN端側またはC端
側を認識する抗体を吸着せしめる。吸着は通常リン酸バ
ッファ−中、pH 6〜10、好ましくは中性付近で室温
下に一夜放置することにより行なう。抗体を吸着した担
体は、アジ化ナトリウムなどの殺菌剤の存在下、冷所に
保存する。
【0018】モノクロ−ナル抗体およびポリクロ−ナル
抗体について、同様の処理で担体に結合せしめることが
できる。
【0019】(4) ウサギ抗α−hANP[17-28]血清 カルボジイミド法により調製したα−hANP[17-28]
−ウシ・チログロブリン複合体をウサギに投与して数回
免疫し、最終免疫から10〜14日後に採血してウサギ
抗α-hANP[17-28]血清を調製する。
【0020】(5) 酵素標識抗体の調製ウサギ IgG、 F(ab’)2 および Fab’ 上記で調製した抗血清を硫酸ナトリウムで分画し、次い
で、DEAE−セルロ−スのカラムを通すことにより I
gG を調製する。得られた IgG をペプシンで消化して F
(ab’)2断片とし、更にこれを2−メルカプトエチルア
ミンで還元すれば、目的の抗α−hANP[17-28]Fab’
が得られる。IgGからFab’の調製については、ジャ−ナ
ル・オブ・イムノアッセイ[J.Immunoassay]、、2
09〜327 (1983)に詳細な説明があり、本発
明においても、同様の手法を利用することができる。
【0021】抗体の酵素標識 抗体の標識酵素としては、アルカリ性ホスファタ−ゼ、
β−D−ガラクトシダ−ゼ、ペルオキシダ−ゼ、グルコ
−スオキシダ−ゼなどが利用可能であるが、本発明にお
いては、特に西洋わさびペルオキシダ−ゼが好ましく用
いられる。また、架橋剤としては、N,N’−o−フェ
ニレンジマレイミド、4−(N−マレイミドメチル)シ
クロヘキサン酸・N−スクシンイミドエステル、6−マ
レイミドヘキサン酸・N−スクシンイミドエステル、3
−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸・N−スクシン
イミドエステル、4,4’−ジチオジピリジン、その他
公知の架橋剤が利用可能である。これらの架橋剤と酵素
および抗体との反応は、それぞれの架橋剤の性質に応じ
て、既知の方法に従って行なえばよい。また、抗体とし
ては、場合によっては、そのフラグメント、例えば Fa
b’、Fab、F(ab’)2を用いる。本発明においては、架橋
剤として4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン
酸・N−スクシンイミドエステルまたは6−マレイミド
ヘキサン酸・N−スクシンイミドエステルを用いるのが
好ましい。また、ポリクロ−ナル、モノクロ−ナル抗体
にかかわらず同様の処理により酵素標識体を得ることが
できる。従って、上記2架橋剤を用いて得られる酵素標
識抗体は、一般式(I);
【0022】
【化1】
【0023】[但し、式中Aはα-hANPのN端側ま
たはC端側を認識する抗体またはそのフラグメントを、
Bは標識酵素を、Rは4−メチレンシクロヘキシルまた
はペンタメチレンをそれぞれ表わす。]で表わすことが
できる。
【0024】このようにして得られる酵素標識抗体は、
好ましくは、アフィニティ・クロマトグラフィ−により
精製すれば、更に感度の高い免疫測定系が可能となる。
精製した酵素標識抗体は、安定剤としてチメロサ−ルま
たはグリセリンを加えて、あるいは凍結乾燥して冷暗所
に保存する。
【0025】上記で調整された免疫学的測定試薬を用い
てα−hANPを測定する際の抗体の組合わせとして
は、α−hANPのN端側を認識する抗体を固定化した
場合にはC端側を認識する抗体を酵素標識抗体とし、C
端側を認識する抗体を固定化した場合にはN端側を認識
する抗体を酵素標識抗体とすればよい。一般には、固定
化には比較的大量の抗体が必要であるため安定的に大量
の抗体が得られるモノクロ−ナル抗体(例えば、本発明
のNK−ANP−I)が固定化に適しているが、抗血清
から得られるポリクロ−ナル抗体も不都合なく使用でき
る。酵素標識する抗体は、モノクロ−ナル抗体、ポリク
ロ−ナル抗体のいずれでもよく、固定化した抗体が認識
するのとは異なる部位を認識するものであればよい。例
えば、固定化抗体として本発明のKY−ANP−Iを用
いた場合には酵素標識抗体として上述の抗血清CR−3
や実施例中の抗血清F36が適用でき、またこの逆の組
合わせでもよい。当然、α−hANPのC端側を認識す
るモノクロ−ナル抗体やN端側を認識する抗血清も本発
明に適用できる。
【0026】
【実施例】ハイブリド−マの調製 合成α−hANP(1.5mg)と牛チログロブリン
(5.4mg)を2mlの蒸留水に溶解する。この溶液
に、蒸留水1mlに溶解した1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミド30mgを室温
で10分かけて滴下し、室温で24時間撹拌する。この
溶液を、蒸留水3Lに対して6回、3日間透析する。こ
の透析物を5つに分注して−20℃で保存した(BBRC
124, 815-821, 1984 参照)。
【0027】上記の分注保存した溶液(300μgのα
−hANPを含む)に蒸留水を加え1.2mlとし、こ
れを1.2mlのフロイントの完全アジュバントに懸濁
した。そのうち約2mlを10匹のBALB/c雌マウ
スの腹腔および皮下に注射し(1匹当り200μl)、
さらに3週間後に同じ方法で追加免疫した。追加免疫の
5週間後、血液中の抗体を測定し、最も強く抗体反応を
示した2匹のマウスの尾静脈に50μgのα−hANP
を含む上記溶液をさらに追加免疫した。その4日後、2
匹のマウスから細胞融合のために脾臓細胞を採集した。
【0028】採集した脾臓細胞(1.3×108個)とミ
エロ−マ細胞X63-Ag8.653(2×107個)をダルベッコ
培地中(DMEM)で混合し、1500rpm、4℃で5
分間遠沈した。得られたペレットを37℃に加温し解し
た後、50%PEG4000(PEG1g/DMEM1
ml)1mlを37℃で1分間かけて滴下した。37℃
で2分間放置した後、37℃のDMEM10mlを5分
かけて加え希釈し、4℃で15%FCS添加DMEMで
遠心洗浄する。
【0029】得られた細胞は96穴プレ−トに蒔き、H
AT培地中で2週間、さらにHT培地中で1週間培養し
た。全768ウエル中約30%(212/768)でハ
イブリド−マが増殖し、そのうち4%(8/212)が
抗α−hANP抗体を産生していた。
【0030】最も高い抗体価を示したウエルの細胞は限
界希釈法によりクロ−ン化した。即ち、フィ−ダ−細胞
としてBALB/cマウス胸腺細胞を106個/ウエ
ル、ハイブリド−マを1個/ウエルとなるようにウエル
に加え培養し、この操作を2回行なった。
【0031】このクロ−ニングによって、最も安定に大
量の抗体を産生するクロ−ンを選択し、KY−ANP−
Iと命名した。
【0032】上記の、免疫マウスの抗血清およびハイブ
リド−マ培養上清中の抗体価は下記の様にして測定し
た。
【0033】免疫マウスの抗血清またはハイブリド−マ
の培養上清をサンプルとし、該サンプル希釈液100μ
l、アッセイバッファ−(RIAバッファ−)300μ
l、125I-α−hANP(10000cpm)100μ
lの混合液を4℃で24時間反応させる。これをデキス
トラン−コ−テッド−チャ−コ−ル1mlと混合し4℃
で5分間反応させる。その後、4℃で30分間3000
rpmにて遠心し、その上清の放射活性をγ−カウンタ
−で測定することにより、サンプル希釈液中の抗体価を
求めた。
【0034】上記125I-α−hANPはクロラミンT法
によって調製した。即ち、α−hANP(1μg)とNa
125I(1mCi)を混合し、10μlのクロラミンT
(5.25mg/ml)を加え、10秒後に20μlの
ピロ亜硫酸ナトリム(4.5mg/ml)を加える。さ
らに、2%ゼラチン1mlを加え、Sep−Pak C
18(Waters社製)で精製する。
【0035】モノクロ−ナル抗体の調製 BALB/cマウスを、0.5mlのプリスタンを腹腔
に2回1〜2週間間隔で投与することにより前処理し
た。そのマウスの腹腔に、200μlのDMEMに懸濁
した5×106個のハイブリド−マKY−ANP−Iを
注射した。得られた腹水をプロテインA−セファロ−ス
CL−4Bカラムで精製し、モノクロ−ナル抗体KY−
ANP−Iを得た。
【0036】KY−ANP−Iの諸性状 本モノクロ−ナル抗体のアイソタイプの決定はオクタロ
ニ−法に従って行ない、IgG1サブクラスに属するも
のと決定された。親和性は、ラジオバインディングアッ
セイによりスキャッチャ−ドプロットを作成することに
より求め、その結果Ka=4.5×109M-1であった。
【0037】エピト−プは、種々のANP関連ペプチド
に対する交差反応性をRIAで調べることにより決定し
た。その結果を図1に示す。α−ANP[17-28]とα−
ANP[1-6]には殆ど反応しないことからエピト−プは
α−ANP[7-16]に含まれると推定される。さらに、α
−hANP[8-22]、α−rANPとも反応しないことか
ら、エピト−プはリング構造を成していることが必要
で、かつ、Metを含んでいるものと推定される。即
ち、本発明のモノクロ−ナル抗体が認識するエピト−プ
は、α−hANPのリング構造のN端側の約半分である
と結論された。
【0038】また、上記抗体価測定法に従いKY−AN
P−Iとβ−hANPおよびγ−hANPとの反応性を
調べた結果、KY−ANP−Iはα−hANPのみなら
ずγ−hANPも認識し、さらに、β−hANPも交差
反応性80%で反応した。
【0039】抗α−hANP[17-28]ウシ・チログロブ
リン血清の作製 α−hANP[17-28]を公知のカルボジイミド法(BBRC
117, 695, 1984)により、ウシ・チログロブリンと結合
させる。α−hANP[17-28] 3.1mgを含む水溶液0.
5mlにウシ・チログロブリン19mgを含む水溶液0.7ml
を加え、これに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド塩酸塩40mgを含む水溶液1
mlを加えて、氷冷下で2時間撹拌する。この反応液を蒸
留水2Lに対して4℃で3回透析したのち、凍結乾燥し
て複合体21mgを得る。ウシ・チログロブリンに対する
α−hANP[17-28]の結合モル比は、アミノ酸分析法
により求めた結果、30であった。
【0040】免疫ならびに採血 上記α−hANP[17-28]−ウシ・チログロブリン複合
体0.25mgを生理食塩水0.25mlに溶かし、これを等
量のフロインド(Freund)完全アジュバンドに懸濁して
家兎の背部20ケ所以上に皮下注射する。これを3週間
毎に6回繰り返し、最終投与後10日目に頚動脈から全
採血して抗血清F36を得る。
【0041】ウサギ IgG の調製 抗α-hANP 血清(F36)1mlに 硫酸ナトリウム 0.18
gを撹拌下にゆっくり加え、添加物が完全に溶解してか
ら、22〜25℃で撹拌を続ける。次いで混合物を温度
22〜25℃、回転数 10,000 rpmの条件で10分間遠
心分離し、沈澱物を1mlのリン酸ナトリウム・バッファ
−(pH 6.3; 17.5 mmol/L)に溶かし、同じバッファ−
中で透析する。上澄液を、予め同じバッファ−(pH 6.
3; 17.5 mmol/L)で平衡化した DEAE セルロ−ス・カ
ラムに通す。上澄液中の10mgの蛋白を通過せしめるに
要する DEAE セルロ−スの湿潤容量は1mlである。IgG
の収量は、280nmでの吸光度から、280nmでの吸光
度を 1.5 g-1L,cm-1とし、IgGの分子量を 150,000 と
して計算し、7mgであった(ジャ−ナル・オブ・イムノ
アッセイ[J.Immunoassay]、、209〜327(1
983)参照)。
【0042】F(ab’)2 の調製 ウサギ IgG 10mgを酢酸ナトリウム・バッファ−(pH
4.5, O.1 mol/L)1mlに対して5℃で透析する。透析
した IgG 溶液に、0.05 ml(容量1/20)の塩化ナト
リウム水溶液(2 mol/L)を加える。この溶液に、
ブタ胃粘膜由来のペプシン(0.2 mg/10 mg IgG)を加
え、溶解する。混合物を37℃で15〜24時間反応さ
せる。次いで、水酸化ナトリウム水溶液(1 mol/L)で
pH8に調整し、セファデックスG−150のカラム(1.
0〜1.5 mlに対して 1.5 x 45 cm, 2.0〜2.5 mlに対して
2.0 x 45 cm)にかけ、ホウ酸ナトリウム・バッファ−
(pH8.0、 0.1 mol/L)で溶出する。F(ab’)2の収量
は、280nmでの吸光度から、2 80nmでの吸光度を
1.48 g-1 L,cm-1、F(ab’)2 の分子量を 92,000 とし
て計 算し、6mgであった(ジャ−ナル・オブ・イムノ
アッセイ[J.Immunoassay]、 、209〜327(1
983)参照)。
【0043】Fab’ の調製 F(ab’)2 3mgをリン酸ナトリウム・バッファ−(pH 6.
0, 0.1 mol/L)0.45ml に溶解する。これに用時調製し
た 5 mmol/LのEDTAを含む2−メルカプトエチルア
ミン/リン酸ナトリウム・バッファ−溶液(pH 6.0, 0.
1 mol/L)を加え、37℃で 1.5 時間反応させる。次
いで、反応混合物をセファデックスG− 25のカラム
(1 x 30 cm)にかけ、リン酸ナトリウム・バッファ−
(pH 6.0, 0.1 mol/L; 5 mmol/LのEDTA含有)で
溶出する。Fab’の収量は、280nm での吸光度から、
280nmでの吸光度を 1.48 g-1.Lcm-1、F(ab’)2
分子量を 46,000 として計算し、2.5mgであった(ジ
ャ−ナル・オブ・イムノアッセイ [J.Immunoassay]、
、209〜327(1983)参照)。
【0044】抗α-hANP [17-28] Fab’-ペルオキシダ−
ゼ標識体の調製 西洋わさび・ペルオキシダ−ゼ2mg (50 nmol)をリン酸
ナトリウム・バッファ−(pH 7.0、 0.1 mol/L)0.3 ml
に溶かし、これに6−マレイミドヘキサン酸・N-スクシ
ンイミドエステル 0.65 mg(2100 nmol)およびN,N−ジ
メチルホルムアミド 0.03 mlからなる溶液を加え、30
℃でかきまぜながら 0.5〜1 時間反応させる。次いで、
反応混合物を遠心分離にかけ、過剰の試薬を沈殿物とし
て除去し、上清液をセファデックスG−25のカラム
(1.0 x 45 cm)に通して、リン酸ナトリウム・バッフ
ァ−(pH 6.0、 0.1 mol/L)で、流速 30〜40 ml/h、各
フラクションの容量を 0.5〜1.0 mlとして溶出する。底
部にファインメッシュフィルタ−を有するセファデック
スG-50(fine, Pharmacia)のカラム(1.0 × 6.4 c
m, 5 ml)を上記バッファ−で平衡させ、試験管中で1
00gで2分間遠心する。そのカラムに上記反応物
(0.5ml)を付し、同様に遠心する。得られたフ ラク
ションをマイクロコンセントレイタ−(CENTRICON-30、
Amicon Corp)中で 、4℃、2000gで遠心すること
により濃縮する。
【0045】このようにして調製したマレイミド・ペル
オキシダ−ゼ結合物 1.8 mg (45 nmol)をリン酸ナトリ
ウム・バッファ−(pH 6.0、 0.1 mol/L)に溶かし、こ
れに、Fab’約 2.0 mg (43 nmol) を 5 mmol/LのED
TAを含有するリン酸ナトリウム・バッファ−(pH 6.
0、 0.1 mol/L)0.2〜0.4 mlに溶かした溶液を加え、4
℃ で20時間または30℃で1時間反応させる。反応
混合物中のマレイミド−ペルオキシダ−ゼ結合物および
Fab’の最終濃度を 50〜100 μmol/Lとする。この反
応混合物をウルトロゲル・AcA 44 のカラム(1.5 x 45 c
m)に通し、リン酸ナト リウム・バッファ−(pH 6.5、
0.1 mol/L)で溶出する。流速は 0.3〜0.5 ml/minとし
各フラクション約 1.0 mlとする。こうして目的の抗α-
hANP [17-28] Fab’-ペルオキシダ−ゼ標識体約2.5mg
を得た(ジャ−ナル・オブ・イムノアッセ イ[J.Immun
oassay]、209〜327(1983)参照)。
【0046】hANP[17-28]-非特異ウサギIgG結合物 0.2mlのリン酸ナトリウム緩衝液(0.1mol/L、pH
7.0)にhANP[17-28](0.5mg)を溶解したものを、N,
N’-ジメチルホルムアミドに溶かした105mmol/Lの
6−マレイミドヘキサン酸・N−スクシンイミドエステ
ル(0.01ml)と30℃で30分間反応させる。反応物は
5mmol/LのEDTAを含む0.1mol/Lのリン酸ナトリウム
バッファ−(pH6.0)を用いてセファデックスG−10
のカラム(1.0 × 45 cm)によりゲル濾過する。hANP[1
7-28]に導入されたマレイミド基の平 均値は0.6/分子
であった。
【0047】0.1mol/Lリン酸ナトリウムバッファ−
(0.6ml、pH 7.5)に溶解した非特異ウサギIgG
(10mg)を、N,N’-ジメチルホルムアミドに溶かした
210mmol/Lの無水S−アセチルメルカプトスクシン
酸(0.03ml)と30℃で30分間反応させる。この反応
混合物に0.1mol/Lトリス塩酸バッファ−(0.1ml、
pH7.0)、0.1mol/LEDTA(0.02ml)および1m
ol/L塩酸ヒドロキシルアミン(0.1ml、pH 7.0)を加
え、30℃で5分間反応させる。反応物は5mmol/LのE
DTAを含む0.1mol/Lのリン酸ナトリウムバッファ−
(pH6.0)を用いてセファデックスG−25のカラム
(1.0 × 45 cm)によりゲル濾過する。非特異ウサ ギ
IgGに導入されたチオ−ル基の平均値は11/分子で
あった。
【0048】上記マレイミド−hANP[17-28]の一部(2.
0ml)を5mmol/LのEDTAを含む0.1mol/Lのリン酸ナ
トリウムバッファ−(pH6.0、0.25ml)中のメルカプト
スクシニル化された非特異ウサギIgG(2.4mg)と
30℃で30分間反応させた。0.01mlの0.1mol/L
N-エチルマレイミドを反応物に加え残存するマレイミ
ド基をブロックした。その混合物を0.1mol/Lのリン
酸ナトリウムバッファ−(pH7.0)を用いてセファデッ
クスG−25のカラム(1.0 × 45 cm)によりゲル濾過
した。非特異ウサギIgGに結合したhANP[17-28]分子
の平均数は、チオ −ル基の還元から計算して、8.7/
分子であった。
【0049】抗hANP[17-28]Fab’-西洋ワサビペルオキ
シダ−ゼ標識物の精製 hANP[17-28]-非特異ウサギIgG結合物(2mg)、牛チ
ログロブリン(10mg)、マウス血清タンパク(20m
g)をそれぞれ臭化シアン活性化セファロ−ス4B(1
g)に結合させた。1g/Lゼラチンと50mg/Lチメロ
サ−ルを含む0.8mlの0.1mol/Lリン酸ナトリウムバ
ッファ−(pH 6.5)中の抗hANP[17-28]Fab’-西洋ワサ
ビペルオキシダ−ゼ標識物(7.8mg)を、牛チログロ
ブリン−セファロ−ス4Bのカラム(0.55 × 4.0 cm)
とマウス血清タンパク−セファロ−ス4Bのカラム(0.
55 × 4.0 cm)に、1g/Lゼラチンと0.1mol/L塩化
ナトリウムを含む10mmol/Lリン酸ナトリウムバッフ
ァ−(pH 7.5)を用いて、流速0.5ml/hで通し、次い
で、hANP[17-28]-非特異ウサギIgG−セファロ−ス4
Bのカラム(0.35 × 2.0 cm)から3.2mmol/L塩酸
(pH 2.5)で溶出し精製した。0.35mgの精製標識物
を含む溶出液(1ml)は直ちに0.1mlの1mol/Lリン
酸ナトリウムバッファ−(pH 7.0)と0.01mlの10
0g/Lゼラチンに混合した。標識物の量はペルオキシダ
−ゼ活性から計算し、約0.35mgであった。
【0050】モノクロ−ナル抗-α-hANP-被覆ポリスチ
レンボ−ルの調製 ポリスチレンボ−ル(直径 3.2 mm、プリシジョン・プ
ラスチック・ボ−ル・カンパニ− (Precision Plastic
Ball Co.)(米国シカゴ)社製) 50個を 0.1Mリン酸ナ
トリウム・バッファ− (pH7.0) 1mlに入れ、これに1
00 γ/ml量のモノクロ−ナル抗-α-hANP-IgG1 (KY-AN
P-I) を加え、室温で一夜放置する。このポリスチレン
ボ−ルをリン酸ナトリウム・バッファ− (pH7.0)で洗浄
し、0.1%量のアジ化ナトリウムを加え、冷蔵庫中で保存
する。
【0051】血漿の採取 一夜絶食した健常男子被験者(26−32才)の肘前静
脈より、午前9時仰臥位にて採血する。また、同一被験
者にフロセミド(furosemide)40mgを静注投与して、
1時間歩行した後に同様に採血する。血液は冷却したプ
ラスチック注射筒で採取し、アプロチニンおよびEDT
Aを入れ、予め冷却した使い捨てシリコン被覆ガラスチ
ュ−ブに移し、遠心(500 x g)して血漿を分離する。
アプロチニンおよびEDTAの最終濃度は、それぞれ
1,000 カリクレイン不活性化単位(KIU)/mlおよび1m
g/mlである。
【0052】サンドイッチ法によるα-hANP の酵素免疫
測定法 モノクロ−ナル抗α-hANP IgG1 (KY-ANP-I) 被覆ポリス
チレンボ−ル1個をα-hANP標準溶液または血漿(総容
量 0.15 ml)に加え、4℃で24時間静置する。α-hAN
P標準溶液は10mMリン酸ナトリウム・バッファ−(pH
7.0; l mg/mlゼラチン、0.3M塩化ナトリウム、0.2mMシ
スチン、1 mMEDTA、1 mg/mlナトリウムアジド、お
よび 1,000 KIU/mlアプロチニンを含む)で最終容量が
0.15 mlとなるように希釈する。また、血漿 (50μl)
は 0.1 mlの10mMリン酸ナトリウム・バッファ−(pH
7.0; l mg/mlゼラチン、0.4M塩化ナトリウム、0.3mMシ
スチン、1.5 mMEDTA、1.5 mg/mlナトリウムアジ
ド、および 1,000 KIU/mlアプロチニンを含む)と混合
する。
【0053】反応混合物から溶液部分を除き、ポリスチ
レンボ−ルは2mlの10mMリン酸ナトリウム・バッファ
−(pH 7.0; 0.1M塩化ナトリウム含有)で2回洗浄
後、アフィニテイクロマトグラフィ−により精製したウ
サギ抗α-hANP[17−28] Fab’-ペルオキシダ−ゼ結合物
50ngと10mMリン酸ナトリウム・バッファ−(pH 8.
0; l mg/mlゼラチン、0.2mMシスチンおよび 1 mMEDT
Aを含む)0.15 mlとを混合し、4℃で24時間静置す
る。溶液部分を除去し、ポリスチレンボ−ルを上記 同
様2回洗浄した後、別の試験管に移す。結合しているペ
ルオキシダ−ゼの活性は、3−(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオン酸を基質として、30℃で60分間静置
後、その螢光強度を測定した。螢光強度は200ng/ml
キニ−ネ/50mM硫酸を基準として測定する。
【0054】特異性 この方法によるEIAにおいては、α-hANP の標準希釈
曲線は、α-hANP[4-28]、 α-hANP[5-28]および α-hANP
[7-28]の曲線と一致するので、N末端側の構造変化は影
響のないことが分かる。逆に、C末端側アミノ酸を欠如
せしめると、反応性が著しく減少する。しかし、末端の
フラグメントα-hANP[17-28]およびα-hANP[1-6]とは反
応しない。β-hANP およびα-rANP との交差反応は分子
基準で、それぞれ 4.7%および 0.01%であった。これら
の結果は、使用した抗体の特異性と一致する。ポリスチ
レン・ボ−ルに固定化したマウス・モノクロ−ナル IgG
1は、α-hANPの環状構造のN末端側の半分に特異性を示
し、ペルオキシダ−ゼに結合したウサギ Fab’は、α-h
ANP[17-28]に特異性を示す。
【0055】血漿の影響 血漿およびα-hANPの非存在下に測定した結合ペルオキ
シダ−ゼ活性(非特異的結合)は、1 pmolのモノクロ
−ナル抗-α-hANP IgG1(KY-ANP-I) と前処理した血漿の
存在下で測定したペルオキシダ−ゼ活性と一致する。4.
3〜332 pg/mlのANPを含有する血漿に加えたα-hANP
(10〜200 pg/ml)の回収率は81〜94%である。血
漿の希釈曲線はチュ−ブ当りの血漿量が1〜50μlの
範囲にある限り、血漿の非存在下で得たα-hANPの標準
曲線と平行関係にある。従って、使用した血漿量が50
μl 以下の場合には血漿による障害は殆ど認めない。そ
の結果を図2に示す。
【0056】EIAの感度 α-hANPの測定限界は30 fg(10 amol)/チュ−ブであ
る。血漿50μlを用いたときの血漿α-hANPの感度は
0.6 pg/ml(0.2 fmol/ml)である。EIAにおける
この感度は、既存のRIAに比較して、1桁ないし2桁
高い値を示す。
【0057】EIAの再現性 本発明品の再現性は、血漿中のα−hANPが5〜15
8 pg/mlの範囲内で5種類の異なったレベルで求めた。
実験内および実験間での再現性は、それぞれ変動係数
3.2〜9.4%(n=20)および5.4〜12.0%で
あった。
【0058】定常状態および循環血液量減少状態でのE
IAによる健常人での血漿α-hANPレベルおよびそのR
IAによる場合との比較 健常人における定常状態α-hANPレベルはEIAでは2
4.5±5.9pg/mlであった。フロセミド(furosemid
e)(40mg)を静注し、1時間歩行後の循環血液量減
少状態での血漿α-hANPレベルは15.3±3.7 pg/ml
に低下した。RIAによって同時に測定した血漿α-hAN
Pレベルは、それぞれ28.2±5.7 pg/mlおよび18.
3±3.2 pg/mlであった。EIA (y)とRIA (x)に
より測定したα-hANPレベル間には、次のような相関関
係にある。
【0059】y = 0.78x + 1.3、 r = 0.92、n = 24
【0060】上記のデ−タから明らかなように、本発明
方法におけるEIAは非常に感度が高く、循環血液量減
少状態においても抽出操作なしに、血漿α-hANP濃度を
測定することができる。
【0061】心疾患患者の血漿中α−hANP値 本発明α−hANP測定試薬により測定した心疾患患者
の血漿中α−hANP値は、下記表1のとおりであっ
た。
【0062】
【表1】
【0063】EIA一段階法での適用 本発明におけるEIAは一段階法でも適用可能である。
図3は一段階EIAによるα−hANPの標準曲線と血
漿の希釈曲線を示す。なお、この試験は、hANP、酵
素標識抗体および抗体被覆ポリスチレンボ−ルを同時に
混合し、4℃で24時間反応せしめた。ペルオキシダ−
ゼ(POD)活性の測定は30℃で30分行なった。他
の条件は二段階法と全く同様である。
【0064】
【発明の効果】従来のRIAによるα−hANPの測定
においては、検体中からα−hANPを抽出する必要が
あったが、本発明のモノクロ−ナル抗体を用いたα−h
ANPの免疫学的測定試薬を用いれば、α−hANPを
抽出することなく直接検体中のα−hANPを測定でき
る。またこの測定には、固相化抗体とα−hANPを反
応させた後に標識抗体を加えて反応させる二段階法はも
ちろんのこと、固相化抗体にα−hANPと標識抗体を
同時に加えて反応させる一段階法も適用することがで
き、簡便な測定が可能である。このα−hANPの測定
法の確立により、心疾患、腎疾患、高血圧症(本態性、
二次性)、浮腫性疾患(肝硬変、ネフロ−ゼ、突発性浮
腫等)、脱水症等体液バランスの異常を伴う疾患の診断
および治療経過の簡便かつ正確な観察が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】α−hANP、α−rANP、およびα−hA
NP断片と本発明のモノクロ−ナル抗体との交差反応性
を示す。
【図2】EIAによるα−hANPの標準曲線(○)と
血漿の希釈曲線(●、▲、■)を示す。
【図3】一段階EIAによるα−hANPの標準曲線
(○)と血漿の希釈曲線(●、▲、■)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12N 15/06 G01N 33/53 D 8310−2J (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 井上 健 兵庫県神戸市西区伊川谷町有瀬131−2− 907

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ミエロ−マ細胞と抗α−ヒト心房性ナトリ
    ウム利尿ポリペプチド抗体産生細胞を融合させてハイブ
    リド−マを作製し、該ハイブリド−マからα−ヒト心房
    性ナトリウム利尿ポリペプチドのリング構造のN端側の
    約半分を認識するモノクロ−ナル抗体を産生するハイブ
    リド−マを選択することにより得られることを特徴とす
    る、該モノクロ−ナル抗体を産生するハイブリド−マ。
  2. 【請求項2】該モノクロ−ナル抗体が、α−ヒト心房性
    ナトリウム利尿ポリペプチド[7-16]断片に含まれ、か
    つ、Met[12]を含む部分を認識することを特徴とする
    請求項1に記載のハイブリド−マ。
  3. 【請求項3】該ミエロ−マ細胞が、ヒポキサンチン−グ
    アニン−ホスホリボシルトランスフェラ−ゼ欠損または
    チミジンキナ−ゼ欠損を持つものであることを特徴とす
    る請求項1に記載のハイブリド−マ。
  4. 【請求項4】該抗体産生細胞が、ヒト心房性ナトリウム
    利尿ポリペプチドで免疫されたマウスの脾臓由来である
    ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリド−マ。
  5. 【請求項5】ハイブリド−マKY−ANP−I(ECA
    CC87082001)である請求項1に記載のハイブ
    リド−マ。
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