JPH0717680B2 - ヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼa▲下2▼に対するモノクロ−ナル抗体、その製造法、該モノクロ−ナル抗体産生ハイブリド−マおよび該モノクロ−ナル抗体を用いたヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼa▲下2▼の測定方法 - Google Patents

ヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼa▲下2▼に対するモノクロ−ナル抗体、その製造法、該モノクロ−ナル抗体産生ハイブリド−マおよび該モノクロ−ナル抗体を用いたヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼa▲下2▼の測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、抗ヒト膵ホスホリパーゼA2モノクローナル抗
体、その製造方法、該モノクローナル抗体を産生するハ
イブリドーマおよび該モノクローナル抗体を利用したヒ
ト膵ホスホリパーゼA2の測定方法に関する。
従来の技術 ホスホリパーゼA2(以下PLA2と略記)はジアシルグリセ
ロホスホリピドの2位のエステル結合を加水分解する酵
素である。PLA2には大きく分けて細胞内あるいは膜結合
型PLA2と膵臓から分泌される消化酵素としてのPLA2とが
あるとされている。このうち消化酵素としての膵PLA2
膵線房細胞でプロホスホリパーゼA2として産生され膵管
中に分泌され、十二指腸内で主としてトリプシンにより
アミノ酸7つのペプチド鎖がアミノ末端より除かれて活
性型のPLA2となる。現在までに、ヒト膵PLA2の、膵臓お
よび膵液からの精製が報告されている(Magee,W.L.らBi
ochem.J.,83:17−25,1962、Grataroli,RらBiohiimie,6
3:677−684,1981、Nishijima,JらJ.Biochem.,94:137−1
47,1983など)。
急性膵炎の患者においては、この膵PLA2の血清中濃度が
上昇するとされている。従って、膵PLA2を測定すること
は、急性膵炎を含む急性腹症の診断に役立つと考えられ
る。
従来、血清中の膵PLA2は酵素化学的に測定されてきた。
しかし、血清中の膵PLA2の酵素活性は低く、その測定の
ためには長時間にわたる煩雑な操作を要し、急性腹症の
診断のために臨床応用することは不可能であった。
また、膵PLA2と免疫学的測定法としては、Nishijimaら
のラジオイムノアッセイ法(J.Biochem.,94:137−147,1
983)とEskolaらのフルオロイムノアッセイ法(Clin.Ch
em.,29:1777,1983)の報告がある。いずれも、急性膵炎
患者における血清中膵PLA2の測定値は、正常人に比べて
高値を示し、免疫学的測定法が急性膵炎を含む急性腹症
の診断に利用され得ることを示している。
発明が解決しようとする問題点 上記の様に、ヒト膵PLA2は免疫学的に測定されうるよう
になりつつあるが、上記の報告で使用されている抗体
は、いずれもポリクローナル抗体(ウサギ抗血清)であ
り、診断薬として用いるには、特異性、均一性、安定し
た供給などの点から、モノクローナル抗体の方が望まし
い。また、親和性の高いモノクローナル抗体を得ること
ができれば、それを用いて、ヒト膵PLA2のより迅速な測
定方法を開発することが可能になる。
問題点を解決するための手段 本発明は、ヒト膵PLA2に特異的でかつ親和性の高いモノ
クローナル抗体を得、もって急性膵炎などの診断に有効
に用いることができる測定方法を提供する。
本発明者らは、上記の状況を鑑み、鋭意研究を進め、ヒ
ト膵PLA2に特異的でかつ親和性の高いモノクローナル抗
体を得た。
すなわち、本発明の抗ヒト膵PLA2モノクローナル抗体
は、ヒト膵PLA2で免疫したマウスリンパ球とミエローマ
細胞との融合によって得たハイブリドーマが産生したも
のであることを特徴とする。
本発明のモノクローナル抗体を得るために、まず、免疫
原としてヒト膵PLA2を精製することが必要である。ヒト
膵PLA2の精製は上記の通りいくつかの報告があり、該方
法によって精製することができる。
得られた精製ヒト膵PLA2を免疫原として、実験動物例え
ばマウスを免疫する。免疫方法は定法に従えばよく、例
えば生理食塩水に溶かした抗体をフロイントの完全アジ
ュバンドと混合し、乳濁液としたものを投与する。
このようにして免疫された動物からBリンパ球を得、こ
れを永久骨髄腫細胞系と融合させる。この融合はKhl
erおよびMilsteinの公知方法(Nature256,495−497,197
5)に準じて行なえばよい。これによって得られたハイ
ブリドーマの中から抗ヒト膵PLA2抗体を産生しているも
のを選択する。
この選択は、培養上清中の抗ヒト膵PLA2抗体の有無を適
当な方法、例えば酵素免疫測定方法(ELISA法)やラジ
オイムノアッセイで調べて行なう。上清中に抗ヒト膵PL
A2抗体活性が確認されたウエルのハイブリドーマを培地
10ml程度まで増殖させてから凍結保存する。その際採取
した培養上清を用いて各ハイブリドーマの産生する抗体
の性質を調べ、目的にあった性質の抗体を産生するハイ
ブリドーマを選び出す。選び出されたハイブリドーマを
常法、例えば限界希釈法でモノクローン化し、細胞株を
確立する。確立されたハイブリドーマ細胞株を、免疫に
使用した動物の腹腔内に移植し、抗体濃度の高い腹水を
得ることができるし、培地に培養しその培養液から該抗
体を得ることもできる。
このようにして得られた抗体は、必要に応じて精製して
使用することができる。例えば、硫安分画、イオン交換
クロマトグラフィー、プロテインAカラム等の常法を用
いることによって精製することができる。
本発明においては、以上のようにして、抗ヒト膵PLA2
体産生マウスハイブリドーマ細胞株1008−1及び1085−
2とそれぞれの産生するモノクローナル抗体1008−1及
び1085−2を得た。
得られたハイブリドーマ細胞株は、1987年4月8日か
ら、英国PHLS CAMR,Porton Down,Salisbury,SP4 OJG.の
European Collection of Animal Cell Cultures(ECAC
C)に下記の受託番号の下に、ブタペスト条約に基づい
て寄託されている。
1008−1:87040803 1085−2:87040802 モノクローナル抗体1008−1及び1085−2は以下のよう
な性質を有している。
(1) イムノグロブリンクラス、サブクラスは、いず
れもIgG1でL鎖はκ型である。
(2) 結合定数は、1008−1は4×1011M-1、1085−
2は1×1012M-1であり、いずれも非常に親和性が高い
抗体である。
(3) いずれもブタ膵PLA2及びインドコブラ蛇毒(Na
ja naja venom)のPLA2と全く交叉せず、ヒト膵PLA2
特異的な抗体である。
このように、本発明のモノクローナル抗体は、ヒト膵PL
A2に特異的でかつ親和性が非常に高く、ヒト膵PLA2の免
疫学的測定法に用いる抗体として非常に優れた性質を有
するものである。
また、腹水1008−1A及び1085−2Aを用いたヒト膵PLA2
ラジオイムノアツセイによつて、ヒト血清中のPLA2濃度
を測定したところ、1008−1Aのアツセイでは健常人が2.
6±0.7ng/mlに対して急性膵炎患者が44.1±34.0ng/ml、
また1085−2Aのアツセイでは健常人が0.8±0.2ng/mlに
対して急性膵炎患者が23.8±14.7ng/mlといずれのモノ
クローナル抗体を用いたラジオイムノアッセイにおいて
も、急性膵炎患者血清が健常人血清に比べて明らかに高
い値を示した。
この結果は、本発明のモノクローナル抗体を用いたラジ
オイムノアッセイや酵素免疫測定法などの免疫測定法が
急性膵炎の診断に非常に有用であることを示している。
さらに、本発明のモノクローナル抗体のもつ非常に高い
親和性を利用することによって、さらに迅速簡便なヒト
膵PLA2の免疫学的測定法を開発し、急性膵炎の診断に役
立てることができる。
また、上記と同様の方法によって、本発明のハイブイド
ーマ1008−1および1085−2と同等の性質を有するハイ
ブリドーマおよびモノクローナル抗体を得ることは当業
者にとっては容易なことであり、同等の性質を有するハ
イブリドーマおよびモノクローナル抗体も本発明の範囲
内である。
実施例 実施例1 抗ヒト膵PLA2モノクローナル抗体産生ハイブ
リドーマの作成と抗体の産生 (1) 抗原の調製 抗原として用いたヒト膵PLA2はヒト膵液からNishijima
らの方法(J.Bichemisty 94,137−147,1983)に従って
精製した。
(2) 免疫 ヒト膵PLA2の生理食塩水溶液(PLA2濃度0.5mg/ml)とフ
ロイントの完全アジュバントを当量ずつ混合して乳濁液
とし、これをBALB/cマウス(雌、5週令)の背部皮下に
0.1mlずつ3週間隔で3回注射した。マウス1匹当りPLA
2の投与量は25μgである。さらに、3回目免疫の5週
間後にブースター免疫として、ヒト膵PLA250μgを溶解
した生理食塩水200μlを腹腔内に投与した。
(3) 細胞融合 ブースター免疫から4日後にマウスの膵臓を摘出し、そ
の細胞を0.17M塩化アンモニウム溶液中に氷冷下5分間
置いて赤血球を破壊した。残った細胞をRPMI1640培地に
懸濁して、細胞融合に用いる脾リンパ球とした。次に、
同じくRPMI1640培地に懸濁した8−アザグアニン耐性ミ
エローマ細胞(NS−1)7×107個と脾リンパ球1.4×10
8個を混合し、遠心(1,000rpm、10分)後上清を除去し
た。細胞沈澱物に、RPMI1640培地に溶かした50%ポリエ
チレングリコール(分子量4,000、メルク)0.8mlを1分
間かけてピペットの先で撹拌しながら加え、さらに1.5
分間撹拌した。その後2mlのRPMI1640を2分間かけて、
次に同じく2mlを1分間かけて撹拌しながら加えた。さ
らに、18mlをRPMI1640を緩やかに撹拌しながら徐々に滴
加した。遠心(1,000rpm、10分)後、上清を除去し、沈
殿した細胞をHAT培地(1×10-4Mヒポキサンチン、4×
10-7Mアミノプテリン、1.6×10-5Mチミジンを含む20%F
CS−RPMI1640培地)70mlに懸濁し、96ウエル細胞培養プ
レート(コースター社)7枚の各ウエルに0.1mlずつ分
注した。細胞培養プレートにはまえもって栄養細胞とし
てマウス脾臓細胞のHAT培地懸濁液を1×105個/0.1ml/
ウエルずつ入れておいた。以後2〜3日に一度ずつHAT
培地を半量ずつ新しいものと入れ変えた。約10日後には
ハイブリドーマの増殖が認められた。ハイブリドーマが
増殖してきたウエルは全部で508ウエル(75%)であっ
た。
(4) ハイブリドーマの選択 ハイブリドーマの増殖してきたウエルについて、培養上
清を用いて、抗ヒト膵PLA2抗体産生の有無をELISAで検
定した。96ウエル平底ELISAプレート(ヌンク社)の各
ウエルにヒト膵PLA2溶液(10ng/50μl0.05M炭酸水素ナ
トリウム緩衝液、pH8.5)を50μlずつ加え、4℃一晩
静置し、ヒト膵PLA2をプレートに固相化した。上清除去
後、0.2%ウシ血清アルブミンを含むPBSを100μlずつ
加え、室温で1時間静置した。各ウエルを洗浄液(0.1
%ツイーン80を含むPBS)で2回洗浄し、ハイブリドー
マの増殖してきたウエルの培養上清を約50μlずつ加え
て37℃で30分間静置した。次に、これらのウエルを2回
洗浄後、ビオチン化した抗マウスイムノグロブリン抗体
溶液(ベクタステインABCキット、フナコシ薬品株式会
社)を50μlずつ加えて室温で15分間静置し、次いで2
回洗浄後、アビジンとビオチン化した西洋ワサビペルオ
キシダーゼの複合体溶液(ベクタステインABSキット、
フナコシ薬品株式会社)を50μlずつ加えて室温で15分
間静置した。これらのウレウを5回洗浄後、基質溶液
(0.02%ABTSおよび0.03%過酸化水素水を溶解した0.05
Mクエン酸−リン酸緩衝液、pH5.3)を100μlずつ加え
て室温で20分間静置した。最後に2mMアジ化ナトリウム
水溶液を100μlずつ加えて撹拌し、プレートリーダー
(コロナ電気株式会社製MTP−22型)で415nmの吸光度を
測定した。
(5) ハイブリドーマの凍結保存 上記のELISAで抗ヒト膵PLA2抗体活性陽性と認められる
ウエルのハイブリドーマをHT培地(上記HAT培地からア
ミノプテリンを除いたもの)中で培地約10mlまで増殖さ
せ、凍結用培地(10%DMSOを含むウシ胎児血清)1mlに
懸濁して−80℃に凍結保存した。各培養上清は、産生抗
体の性質を調べるために採取保存した。合計85種類のハ
イブリドーマを凍結保存した。
(6) 培養上清の置換試験 上記のハイブリドーマ凍結保存時に採取した培養上清の
段階的希釈液100μlと125I標識ヒト膵PLA2(実施例5
(1)に記載)100μlおよび2%ウシガンマグロブリ
ンを含むアッセイ用緩衝液(実施例5(1)に記載)10
0μlを混合し、室温で一晩インキュベートした。次
に、27%ポリエチレングリコール6000水溶液250μlを
加えて直ちに撹拌し、遠心(3,000rpm、20分)後、上清
を吸引除去して沈殿の放射能を測定し、抗体に結合した
125I標識ヒト膵PLA2の割合を求めた。同時に、2%ウシ
ガンマグロブリンを含むアッセイ用緩衝液の代わりに、
ヒト膵PLA25ng/100μlおよび2%ウシガンマグロブリ
ンを含むアッセイ用緩衝液100μlを加えて同様の操作
を行ない、125I標識ヒト膵PLA2の放射能の沈殿からの減
少、すなわち添加したヒト膵PLA2によって125I、識ヒト
膵PLA2がどの程度抗体から置換されたかを調べた。この
置換の割合が大きな培養上清が親和性の高い抗体を含ん
でいるものとした。
(7) モノクローン化 上記の置換試験の結果、親和性の高い抗体を産生してい
ると考えられるハイブリドーマを凍結から起こし、限界
希釈法でクローニングした。96ウエル細胞培養プレート
にハイブリドーマを1個/200μl/ウエルの濃度で培養
し、ハイブリドーマが単一コロニーで増殖してきたウエ
ルの培養上清について上記ELISAを行ない、抗ヒト膵PLA
2抗体陽性のウエルのハイブリドーマを培養拡大した。
このようにして抗ヒト膵PLA2抗体産生ハイブリドーマ細
胞株1008−1と1085−2を確立した。
(8) 腹水抗体液の作製 確立したハイブリドーマをマウス腹腔内に移植し、抗体
濃度の高い腹水を作成した。マウス(BALB/c、雌、10日
前にプリスタンを0.5ml腹腔内投与)にRPMI1640に懸濁
したハイブリドーマ約1×107個を腹腔内に投与した。
1〜3週目に適宜腹水を採取し、細胞を遠心分離した
後、上清にアジ化ナトリウム0.1%を加えて、凍結保存
した。この方法でハイブリドーマ1008−1および1085−
2を産生するモノクローナル抗体を高濃度に含む腹水10
08−1Aおよび1085−2Aを得た。
(9) モノクローナル抗体の精製 アフィゲルプロテインA MAPS−IIキット(バイオラッ
ド社)を用いて、腹水1008−1Aおよび1085−2Aより抗体
を精製した。ゲル2mlを用いて、腹水それぞれ1mlをキッ
トの操作手順に従って精製したところ、1008−1Aから約
2mg、1085−2Aから約5mgの抗体を得ることができた。抗
体の純度の確認には、SDS−ポリアクリルアミド電気泳
動を用いた。精製した抗体画分を2−メルカプトエタノ
ールで還元した後、12.5%SDSゲルで泳動を行なった。
その結果、分子量約52,000前後にH鎖、約28,000前後に
L鎖の2つのバンドが認められた。
実施例2 モノクローナル抗体のクラス・サブクラスの
決定 ハイブリドーマが産生した免疫グロブリンのクラス・サ
ブクラスの決定は、マウスイムノグロブリン各クラス・
サブクラスに特異的なウサギ抗体およびペルオキシダー
ゼ標識したヤギ高ウサギ抗体(MonoAb−ID EIA Kit、Zy
med Lboratories)を用いて、上記のELISAに準じて行な
った。その結果、腹水1008−1A、1085−2Aとも、抗γ
抗体および抗κ抗体を用いたときに発色が認められた。
実施例3 モノクローナル抗体の親和性(結合定数)の
測定 実施例5(2)に準じてヒト膵PLA2の標準曲線作成の操
作を行ない、ヒト膵PLA2各濃度についてスカッチャード
法に基づいて縦軸に沈殿の放射能/上清の放射能、横軸
に抗体に結合した抗原の濃度をプロットし、得られた直
線の傾きから、抗体の結合定数を測定した。
実施例4 モノクローナル抗体の特異性 実施例5(2)のヒト膵PLA2のラジオイムノアッセイに
おける試料としてブタ膵PLA2(ベーリンガー・マンハイ
ム社製)およびインドコブラ蛇毒PLA2(シグマ社製)を
用いて125I標識ヒト膵PLA2の置換を調べた。その結果、
1008−1A、1085−2Aとも、上記の2種類のPLA2をヒト膵
PLA2での50%阻害量の1000倍加えても、125I標識ヒト膵
PLA2の置換は全く認められなかった。
実施例5 モノクローナル抗体を用いたラジオイムノア
ッセイ (1) 125I標識ヒト膵PLA2の作製 ヒト膵PLA2125Iによる標識を、HunterおよびGreenwoo
dの公知方法(Nature194,495−496 1962)に準じてクロ
ラミンT法によって行なった。
・試薬 ヒト膵PLA20.5mg/ml 0.5Mリン酸緩衝液pH7.5 ヨウ化ナトリウム(Na125I) 1mCi/10μl(Amersham
社製) クロラミンT 2mg/ml 0.5Mリン酸緩衝液pH7.5 ピロ亜硫酸ナトリウム 2.5mg/ml 0.1Mリン酸緩衝液、p
H7.4 ウシ血清アルブミン 10mg/ml 0.1Mリン酸緩衝液、pH7.
4 ヨウ化カリウム 100mg/ml蒸留水 ・アッセイ用緩衝液 0.2%ウシ血清アルブミン、5mMエチレンジアミン四酢
酸、0.01%アジ化ナトリウムおよび0.9%塩化ナトリウ
ムを含む0.01Mリン酸緩衝液、pH7.4 ・凍結乾燥用緩衝液 アッセイ用緩衝液の5倍濃度のもの ・方法 チューブに0.5Mリン酸緩衝液(pH7.5)25μl、ヒト膵P
LA210μl(5μg)およびNa125I5μl(500μCi)を
入れ、撹拌後クロラミンT5μl(10μg)を加えて45秒
間撹拌してからピロ亜硫酸ナトリウム25μl(62.5μ
g)を加えて撹拌した。さらに、ウシ血清アルブミン5
μl(50μg)とヨウ化カリウム5μl(500μg)を
加えて撹拌し、反応液をセファデックスG−25カラム
(直径1cm×長さ25cm)にかけて125I標識ヒト膵PLA2
125I-イオンとを分離した。125I標識ヒト膵PLA2の画分
を凍結乾燥用緩衝液で2.5μCi/2mlになるように希釈し
て、バイアル当り2mlずつ分注し、凍結乾燥して4℃で
保存した。使用時にはバイアル当り10mlの蒸留水に溶解
して使用した。
(2) ヒト膵PLA2のラジオイムノアッセイ ・試薬 腹水希釈液 1008−1A(アッセイ用緩衝液で36万倍希釈
したもの)または1085−2A(アッセイ用緩衝液で80万倍
希釈したもの) ヒト膵PLA2標準液アッセイ用緩衝液中にヒト膵PLA2を0.
1〜25ng/mlの範囲で2倍きざみの濃度で含むもの125 I標識ヒト膵PLA2 (1)に記載 アッセイ用緩衝液 (1)に記載 イムノビーズ ウサギ抗マウスイムノグロブリン(バイ
オラッド社製)アッセイ用緩衝液で1mg/mlに希釈して使
用 ・方法 チューブにヒト膵PLA2標準液または試料100μlをと
り、アッセイ用緩衝液200μl、125I標識ヒト膵PLA2100
μlおよび腹水希釈液(10081−Aまたは1085−2A)100
μlを加えて混和した後、室温で一晩インキュベートし
た。次いで、イムノビーズ100μlを加えて、室温で2
時間放置後、3,000rpmで10分間遠心した。上清を吸引除
去後、沈殿の放射能をガンマカウンター(アロカ、ARC
−600型)で測定した。ヒト膵PLA2標準液による標準曲
線から 試料中のヒト膵PLA2濃度を求めた。
・標準曲線 ラジオイムノアッセイの標準曲線を第1図に示す。感度
(90%阻害濃度)は1008−1Aが0.4ng/ml、1085−2Aが0.
3ng/mlであり、いずれも非常に高感度の標準曲線が得ら
れた。
・ヒト血清の測定 ラジオイムノアッセイで健常人、急性膵炎患者および膵
全摘者の血清をそのまままたはアッセイ用緩衝液で適宜
希釈して測定した。その結果を表1に示す。
1008−1Aを用いたラジオイムノアッセイおよび1085−2A
を用いたラジオイムノアッセイともに、急性膵炎患者血
清が健常人血清より明らかに高い値を示し、これら2種
類のモノクローナル抗体は、急性膵炎の診断に有用であ
ることが確認された。
また、膵全摘者血清では感度以下の低値を示したことか
らこれらのモノクローナル抗体はヒト膵PLA2に特異性の
高いものであることが示された。
参考例 ウサギ抗血清を用いたラジオイムノアッセイ 実施例5と同様にして、ウサギ抗血清を用いて標準曲線
を作成した。ただし、 ・腹水希釈液→抗血清希釈液:アッセイ用緩衝液で4万
倍希釈したもの ・ヒト膵PLA2標準液:アッセイ用緩衝液中にヒト膵PLA2
を0.39〜100ng/mlの範囲で2倍きざみの濃度で含む ・イムノビーズ:ヤギ抗ウサギイムノグロブリン(バイ
オラッド社製)アッセイ用緩衝液で1mg/mlに希釈して使
用 とした。
その結果を、第1図に示す。ウサギ抗血清による標準曲
線の90%阻害濃度は1.0ng/mlであり、1008−1A(0.4ng/
ml)、1085−2A(0.3ng/ml)のほうが、高感度である。
発明の効果 本発明の、抗ヒト膵PLA2モノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマは、完全にクローン化された細胞株であ
り、これらを培養することによって上記のモノクローナ
ル抗体を効率良く製造できる。また、そのようにして製
造されたモノクローナル抗体は、ラジオイムノアッセイ
等の免疫測定法に用いることによって、急性膵炎を含む
急性腹症の迅速な診断を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体
を用いたラジオイムノアッセイにおける膵ホスホリパー
ゼA2の標準曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/577 B 9015−2J //(C12P 21/08 C12R 1:91) (54)【発明の名称】 ヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼA▲下2▼に対するモノクロ−ナル抗体、その製造法、該モノクロ− ナル抗体産生ハイブリド−マおよび該モノクロ−ナル抗体を用いたヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼA ▲下2▼の測定方法

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブタ膵ホスホリパーゼA2およびインドコブ
    ラ蛇毒ホスホリパーゼA2と反応しないヒト膵ホスホリパ
    ーゼA2に対するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】サブクラスがIgG1である特許請求の範囲第
    1項に記載のモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】L鎖がκ型である特許請求の範囲第1項に
    記載のモノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】ハイブリドーマ1008−1によって産生され
    るモノクローナル抗体1008−1またはハイブリドーマ10
    85−2によって産生されるモノクローナル抗体1085−2
    である特許請求の範囲第1項に記載のモノクローナル抗
    体。
  5. 【請求項5】抗ヒト膵ホスホリパーゼA2抗体を産生する
    Bリンパ球と骨髄腫細胞を融合させて得られ、ブタ膵ホ
    スホリパーゼA2およびインドコブラ蛇毒ホスホリパーゼ
    A2と反応しない抗ヒト膵ホスホリパーゼA2モノクローナ
    ル抗体を産生するハイブリドーマを培養し、培養物中に
    該モノクローナル抗体を得ることを特徴とする該モノク
    ローナル抗体の製造方法。
  6. 【請求項6】該モノクローナル抗体のサブクラスがIgG1
    である特許請求の範囲第5項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】該モノクローナル抗体のL鎖がκ型である
    特許請求の範囲第5項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】該ハイブリドーマがハイブリドーマ1008−
    1またはハイブリドーマ1085−2である特許請求の範囲
    第5項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】ブタ膵ホスホリパーゼA2およびインドコブ
    ラ蛇毒ホスホリパーゼA2と反応しない抗ヒト膵ホスホリ
    パーゼA2モノクローナル抗体を使用することを特徴とす
    るヒト膵ホスホリパーゼA2の免疫測定方法。
  10. 【請求項10】該モノクローナル抗体のサブクラスがIg
    G1である特許請求の範囲第9項に記載の測定方法。
  11. 【請求項11】該モノクローナル抗体のL鎖がκ型であ
    る特許請求の範囲第9項に記載の測定方法。
  12. 【請求項12】該モノクローナル抗体がハイブリドーマ
    1008−1によって産生されるモノクローナル抗体1008−
    1またはハイブリドーマ1085−2によって産生されるモ
    ノクローナル抗体1085−2であることを特徴とする特許
    請求の範囲第9項に記載の測定方法。
  13. 【請求項13】ラジオイムノアッセイであることを特徴
    とする特許請求の範囲第9項に記載の測定方法。
JP62093586A 1987-04-15 1987-04-15 ヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼa▲下2▼に対するモノクロ−ナル抗体、その製造法、該モノクロ−ナル抗体産生ハイブリド−マおよび該モノクロ−ナル抗体を用いたヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼa▲下2▼の測定方法 Expired - Lifetime JPH0717680B2 (ja)

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