JPH0678573B2 - 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0678573B2
JPH0678573B2 JP1249069A JP24906989A JPH0678573B2 JP H0678573 B2 JPH0678573 B2 JP H0678573B2 JP 1249069 A JP1249069 A JP 1249069A JP 24906989 A JP24906989 A JP 24906989A JP H0678573 B2 JPH0678573 B2 JP H0678573B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法に関
し、とくにスラブ加熱処理に工夫を加えることにより、
熱間粗圧延工程において厚み方向にわたる結晶組織を制
御し、もって磁気特性の有利な改善を図ったものであ
る。
(従来の技術) 方向性けい素鋼板は、周知のように変圧器その他の電気
機器の鉄心材料として使用され、ゴス粒と呼ばれる板面
に{110}面、圧延方向に〈001〉軸が揃った2次再結晶
粒によって構成されている。このような結晶方位の2次
再結晶粒を発達させるためにはインヒビターとよばれる
微細なMnS,MnSe,AlN等の析出物を鋼中に分散させ、高温
仕上げ焼鈍中にゴス方位以外の結晶粒の成長を効果的に
抑制することが必要である。そのためのインヒビター分
散形態のコントロールは、熱間圧延に先立つスラブ加熱
中にこれら析出物を一旦固溶させ、この後適当な冷却パ
ターンの熱間圧延を施すことにより行われる。
ここで、熱間圧延の役割はスラブ鋳造組織を再結晶によ
り、微細化し2次再結晶に最適な集合組織を得ることを
目的としている。従来の技術はインヒビター固溶あるい
は組織微細化を個々に達成しようとするもので、それに
関する技術はこれまでに多数提案されている。
例えば、インヒビター固溶に関しては、特開昭63−1091
1号公報にて開示されているように、スラブ表面温度が1
420〜1495℃の温度域に5〜60分保持するに際し、1320
℃以上において、1420〜1495℃の温度に達するまで8℃
/分以上の昇温速度で昇温することにより、表面欠陥が
少なく特性が良好な一方向性けい素鋼板が得られるとし
ている。この方法により確かにインヒビターの完全固溶
が達成でき、原理的にはスラブ表面粒の粗大化も抑制さ
れ表面性状も改善できるが、しかしスラブのような重量
物に対して均一にこのような条件を達成することは実際
には困難であり、特にスラブ全長にわたって結晶粒粗大
化を完全に抑制することは不可能で、組織の均一性を保
証するためには熱間圧延時に何らかの結晶粒微細化処置
を加えることが必要である。
一方、組織微細化に関しては、例えば特開昭54−120214
号公報で開示された1190〜960℃での再結晶高圧下圧延
による方法、特開昭55−119126号公報で開示された1230
〜960℃で、γ相を3%以上含んだ状態での30%以上の
高圧下圧延による方法、特開昭57−11614号公報で開示
された粗圧延開始温度を1250℃以下にする方法、特開昭
59−93828号公報で開示された1050〜1200℃で歪速度15s
-1以下、圧下率を15%/パス以上とする方法などが既に
知られている。これらはいずれも1200℃付近の温度域
で、高圧下圧延を行って、組織微細化をはかるという点
で共通している。すなわち、これらはいずれも「鉄と
鋼」67(1981)S 1200に発表されている再結晶限界に
関する知見あるいはそれと同一の技術思想に基づいてい
る。第1図はこの知見を示すものである。この図の示す
ところは高温での圧延は再結晶には全く寄与せず、低温
での再結晶域での大きな歪付加のみが再結晶に寄与する
という点である。すなわち高温加熱したスラブでも再結
晶による組織微細化を狙うためには1250℃以下に冷却
後、圧延することが必須であることを示している。これ
らの技術ではいずれの場合も加熱に関しては、1250℃以
上としており上限は特に規定していない。長時間炉内に
保持することにより、インヒビターを固溶して、スラブ
粒成長はある程度容認し、熱間圧延により粒微細化する
という点で共通している。
しかしこれらの技術の実際を考えた場合、インヒビター
を完全固溶させるためにスラブを高温加熱するとホット
ストリップミル上に、冷却装置が必要であり、また低温
熱延のためにミルパワーが余計に必要となるなど、省エ
ネルギー、高生産性を目的とする、ホットストリップミ
ルの思想と相反する。また低温圧延の効果に関しても必
ずしも明確ではなかった。
つまり、これらの方法を実工程に適用するにはその効果
が小さいわりには余りにも多くの問題を残していたので
ある。
(発明が解決しようとする課題) この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、ホッ
トストリップミルの量産性というメリットを最大限に生
かし、かつインヒビター完全固溶に有利な高温加熱を適
用した条件下でも、完全に微細均一な組織を確実に得
て、線状細粒のない均一で優れた磁気特性を有する方向
性電磁鋼板の有利な組造方法を提案することを目的とす
る。
(課題を解決するための手段) すなわちこの発明は、含けい素鋼スラブを、加熱したの
ち、熱間圧延、ついで1回または中間焼鈍を挟む2回の
冷間圧延を施し、その後脱炭・一次再結晶焼鈍および最
終仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる方向性けい素鋼
板の製造方法において、 熱間圧延に先立つスラブ加熱を誘導加熱で行うものと
し、スラブ平均温度が1380〜1470℃の範囲において、下
記の関係式を満足する条件下に加熱することにより、表
層から1/10厚み位置の温度を中心部および最表層の温度
よりも15〜50℃高くして、引き続く熱間粗圧延工程で結
晶組織を厚み方向に制御することからなる磁気特性の優
れた電磁鋼板の製造方法である。
ここでX:スラブ厚み(mm) ω:加熱炉周波数(Hz) T:スラブ平均温度(℃) Q:スラブ放熱量(kW) P:投入電力量(kW) 以下、この発明を具体的に説明する。
さて発明者らは、高温域での再結晶挙動について数多く
の実験と検討を行った結果、従来は歪回復域であるとし
て、全く研究の対象とされなかった高温域でも、歪量が
十分に大きければ再結晶が十分に進行することを新たに
見出した。
この点についてはこれまで全く報告はない。というのは
工業的には高温加熱が非常に難しかったこと、そして実
験室的に検討する場合でも、高温圧延で圧延を行うには
高温に加熱する必要があるが、スケール生成や実験炉の
補修などの問題があり、非常な困難を伴ったからであ
る。なお普通鋼については多数の実験報告があるが、12
00℃以上の高温域は動的復旧領域であり回復または動的
再結晶が主であるとされ、それ以上の検討は十分には行
われていなかった。とくに方向性けい素鋼板の場合、3w
t%(以下単に%で示す)程度のSiを含むのでほとんど
がα相であり、このα相は回復し易いとされているので
動的再結晶は起こらないであろうということで、全く興
味の対象とされていなかったのである。
しかしながら発明者らは、上記の通説に疑問をもち、超
高温加熱が可能なスケールの影響の少ない加熱炉を開発
し、種々の実験を行った末に上述したような現象を初め
て見出したのである。
以下、この発明を由来するに至った実験結果について説
明する。
C:0.04%、Si:3.36%、Mn:0.05%およびSe:0.022%%を
含み、残部は実質的にFeの組成になるけい素鋼スラブ
を、1350℃で30分間加熱し、所定の温度になったときに
種々の圧延温度及び圧下率で1パス圧延し、その後水冷
したのちの断面組織を観察して再結晶率を測定した。
かくして得られた調査結果を第2図に示す。
同図より明らかなように、従来の知見では全く再結晶し
ないとされていた高温域たとえば1350℃でも、30%以上
の圧下率があれば再結晶が進むことが判明した。
この現象は次のように理解される。まず圧延後の未再結
晶粒内には粗いネットワーク状の転位組織で成されるサ
ブグレインが形成されているのが観察された。したがっ
て、回復は圧延後のかなり速い時点で終了していると推
定される。しかも結晶粒間でこのネットワークの粗さす
なわち転位密度が異なる。そこでこの転位密度の差が再
結晶の駆動力となると考えられる。高温では粒界が熱活
性化されて移動可能となり、その移動した粒界がある程
度以上の曲率をもつとそれは再結晶核となり得る。上記
したような現象により、従来は動的再結晶を起こすほど
歪は残留しないとされた高温域でも実際は再結晶が可能
であることが確認された。ただしこの再再結晶挙動は上
述したように末再結晶域の転位密度が低いため、その成
長の駆動力は非常に小さい。しかし粒界の易動度が非常
に大きいとき、すなわち温度が高いとき(1280℃以上)
にはある程度の時間はかかるものの十分再結晶可能とな
るのである。
この現象は従来のよく知られている静的再結晶とは子が
かなり異なる。
ここまで述べた点は、3%Si鋼で1300℃以上の温度域圧
延の場合、すなわちα相単相の状態での再結晶機構であ
り、今回はじめて明らかになった点である。これに対し
て、3%けい素鋼で従来知られていた、前掲第1図に示
したような再結晶限界線を与えるのは硬質のγ相が析出
しその近傍のみで再結晶が促進される場合である。つま
り従来は圧延実験でデータを出してはいるが、その圧延
前の熱処理方法が省略され過ぎていたため、この発明の
基礎となった実験結果とは異なった結果が得られたもの
と考えられる。すなわち従来は、高温で溶体化処理した
サンプルを室温まで一度冷却してから再加熱して所定の
圧延温度として圧延に供していたのである。この場合、
組織中には必ずγ相が一部生成するが、かかるγ相はα
粒の粒界付近に優先的に生成し、そこでは再結晶が容易
に進行する。しかしこの場合でも、元の粒径がスラブ鋳
造粒のように粗大な場合には再結晶は完了し難く、旧粒
中心部にはどうしても未再結晶部が残り易い。またγ相
分率とその分散は温度のみならず、C,Si量や歪量そして
冷却速度(保持時間)にも大きく依存する。したがって
僅かの処理条件の違いでも、その効果は大きく変化する
ものと考えられる。これが従来、低温熱延による粒微細
化効果が安定して得られかった大きな理由であると推定
される。また、一方で、C量を増すこと(粗大カーバイ
トの増加)により、後工程で集積度の高い圧延集合組織
が得られにくくなるという欠点もある。
ところが今回、発明者らが見出した高温でのα単相域に
おける再結晶挙動は、従来の低温でのγ相存在下におけ
る再結晶と異なり、γ相を再結晶核生成サイトとせず、
単に粒界が核生成サイトとなり、また再結晶粒径も比較
的大きくなりやすいので、未再結晶部が残存しにくく、
均一な再結晶粒組織が得やすい。そしてこの時点で未再
結晶粒がなければ、線状細粒は出現しない。
また第2図には、圧延前の初期粒径の影響も同時に示さ
れていて、従来までの再結晶挙動に関する知見に見られ
るように、初期粒径が大であるほど、再結晶しづらくな
るが、圧延温度を高くすれば、十分に再結晶可能となる
ことも判った。
次に発明者らは、連鋳スラブのような、厚み方向に組織
が不均一な場合の粒成長挙動について調査した。
その結果、粒成長率(成長後の粒径/元の粒径)は温度
が高くなるに従って大きくなるが、柱状晶(スラブ表層
部)と等軸晶(スラブ中心部)とでは、その温度依存性
が大きく異なることの知見を得た。すなわち柱状晶の粒
成長は、加熱温度の上昇に伴ってゆるやかに進行する
が、等軸晶の場合は成分に依存したある特定の温度まで
は粒成長は抑制され、その温度を超えると急激に成長率
が増加し、柱状晶部より粗大になる場合もあることを見
出した。したがって、スラブを通常の方法でインヒビタ
ー固溶温度域に加熱した場合、つまり厚み方向に均一に
加熱しようとしても、表層と中心部の粒径差を一定にす
ることは、非常に困難である。したがって、粗圧延終了
まで圧延する条件が一定であっても、このように初期条
件が変わっている場合が多いため、厚み方向すべてにわ
たって均一な組織を得ることは難しい。また圧延時には
厚み方向での熱履歴も変化するので、つまり表層の方が
冷却速度が速いのでスラブ温度が厚み方向で均一な場合
さらに、均一な組織を得ることは難しいということが結
論できる。
以上に述べた高温再結晶挙動、スラブ加熱時の粒成長挙
動および圧延時の厚み方向での温度履歴に関する知見か
ら明らかなように、厚み方向に均一な組織を得るにはス
ラブ加熱時における厚み方向の温度分布が極めて重要で
ある。
この発明は、上記の点に関して研究を重ねた結果、開発
されたものである。
つまりこの発明は、含けい素鋼スラブを熱間圧延前に加
熱する際に、厚み方向にわざと温度分布を有するように
加熱してスラブ粒成長を厚み方向で制御すれば、熱延時
には前述したとおり、発明者らが発見した再結晶挙動に
従うので、圧延中のスラブ冷却の厚み方向分布を考慮す
ると、粗圧延終了時には板厚方向に均一な完全再結晶組
織を有するシートバーが得られ、ひいては後続の通常の
工程を経て得られる製品に、線状微細のない良好な特性
を付与しようとするものである。
ここに上記の要件を満足するスラブ加熱時の厚み方向温
度制御は、従来から行なわれている連続プッシャー型ガ
スス加熱炉では困難で、誘導加熱方式による急速加熱方
式ではじめて可能になったものである。つまり、ガス加
熱炉による通常のスラブ加熱では、第3図(a)に示す
ような温度分布しか得られないので、最表層で温度が高
くなりすぎて柱状晶が表層から伸び、表層が均一に高温
の場合より、かえって粗大化しやすくなるのである。
この発明における好適な温度分布は、第3図(b)に示
したような温度分布で、そのためには、厚み方向に加熱
温度を制御できる誘導加熱方式の利用が不可欠である。
しかも熱拡散による表面と中心部の温度差の減少を抑御
するめたには短時間加熱が一層効果的である。
以下、この発明の構成をより具体的に説明する。
この発明では、まず後述する成分組成から成るけい素鋼
スラブを、誘導加熱炉に装入して加熱する。このときイ
ンヒビターの固溶温度はその種類や量によって幾分異な
るけれども、1380℃以上であれば全てのインヒビターに
ついてほぼ完全に固溶させることができるので、少なく
とも1380℃の温度で加熱するものとした。一方、加熱温
度が高くなりすぎると成分系によってはスラブがかなり
溶解し出すので上限を1470℃に定めた。
ただしここで重要なのは、スラブ加熱時に厚み方向に温
度分布を与え、とくに柱状晶が発達し易い表層から1/10
層の温度を高くすることと、厚み中心での等軸晶の異常
粒成長での粒成長を抑制することである。
この点についての実験結果を第4図および第5図に示
す。
第4図によると、圧延中に最表層と中心部の温度差は縮
まるが、その縮まり方は、初期温度差によって決まるこ
とが判る。
第5図によれば、初期の平均粒径の差は、表面層と中心
部の温度差に依存するが、粗圧延を施すことにより、粗
圧延終了時の粒径がほぼ等しくなる場合がある。なお第
5図における平均粒径は、再結晶粒径と未再結晶粒径の
存在比より算出したものである。平均粒径でみると、初
期粒径と再結晶粒径の関係が逆転して、かえって厚み方
向の粒径が均一になる場合があるということである。
さらに詳細な検討の結果、この例で示すような厚み方向
の粒径の均一化が実現されるのは、スラブ組織における
柱状晶の占有率にもよるが中心部よりも1/10層の温度が
高いことが必要であることが判明した。
ここに表層から1/10厚み位置の温度をとくに問題とした
のは、この位置が表層部の代表位置としてとくに好適だ
からである。つまり最表層、1/10厚み層および中心部の
3点の温度が決まれば、厚み方向の温度分布はほぼ一義
的に定まるからである。
そして厚み方向における粒径の均一化のためには、表層
から1/10層と中心部との温度差は、15〜50℃とすること
が肝要である。というのは均一な組織というためには、
各位置の平均粒径の差が20%以内に収まること必要であ
るが、第6図に示すとおり、1/10厚み位置と中心部とで
圧延後の平均結晶粒径の差を20%以内とするためには、
両者の加熱温度差を15〜50℃とすることが必要だからで
ある。
そこで次に、表層から1/10層と中心部および最表層との
温度差が上記の範囲を満足するような加熱方法を見出す
べく、スラブ厚みをはじめとして、スラブの厚み方向の
温度分布に影響を与えるような種々の要因、すなわち加
熱炉周波数、スラブ平均温度、スラブ放熱量および投入
電力量などを種々に変化させて数多くの実験を行い、こ
れらの影響について調査検討したところ、所期した目的
を達成できる条件として、次の回帰式を得た。
すなわちスラブ平均温度が1380〜1470℃の範囲におい
て、次式 ここでX:スラブ厚み(mm) ω:加熱炉周波数(Hz) T:スラブ平均温度(℃) Q:スラブ放熱量(kW) P:投入電力量(kW) の関係を満足する条件下で加熱を行えば、表層から1/10
層と中心部および最表層との温度差を所望の15〜50℃の
範囲に収めることができたのである。
ここに は誘導加熱における表皮効果(表層部への電力集中)を
示す尺度であり、この値が大きくなると、表皮効果が大
となって表層に電流が集中し、表層が加熱され易くな
り、一方この値が小さいと、表皮効果が小となって表層
から中心にかけて均一に電流が流れ、スラブは均一に加
熱されるようになる。
スラブ加熱時に上記の温度差をに与えておけば、その後
の粗圧延条件は特に変わるところはなく、ホットストリ
ップミルでの通常の圧延方法(省エネルギー、大量生産
の思想に基づいて)の下で行なえば、常に板厚方向に均
一な粒径分布をもつシートバーを得ることができる。
その後の熱間仕上げ圧延条件は通常と特に変わるところ
はない。仕上げ圧延前に均一な組織(未再結晶粒なし)
を得ていれば、仕上げ圧延前段において、(α+γ)2
相域での再結晶が起こり組織微細化は容易に達成でき
る。仕上げ圧延された熱延鋼帯は必要に応じて焼鈍後酸
洗され、1回又は中間焼鈍を挟む2回の冷延で0.115〜
0.50mm厚程度の最終板厚となる。
ついで常法に従い、脱炭・一次再結晶焼鈍を施したの
ち、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、二
次再結晶焼鈍ついで純化焼鈍からなる最終仕上げ焼鈍を
施して最終製品とする。
なおその後に、上塗り絶縁コーティングなどを施しても
よいのは言うまでもない。
(作 用) この発明の素材である含けい素鋼としては、従来公知の
成分組成のものいずれもが適合するが、代表組成を掲げ
ると次のとおりである。
C:0.01〜0.10% Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化のみな
らず、ゴス包囲の発達に有用な元素であり、少なくとも
0.01%以上の添加が好ましい。しかしながら0.10%を超
えて含有されるとかえってゴス方位に乱れが生じるので
上限は0.10%程度が好ましい。
Si:2.0〜4.5% Siは、鋼板の比抵抗を高め鉄損の低減に有効に寄与する
が、4.5%を上回ると冷延性が損なわれ、一方2.0%に満
たないと比抵抗が低下するだけでなく、2次再結晶・純
化のために行われる最終高温焼鈍中ににα−γ変態によ
って結晶方位のランダム化を生じ、十分な鉄損改善効果
が得られないので、Si量は2.0〜4.5%程度とするのが好
ましい。
Mn:0.02〜0.12% Mnは、熱間脆化を防止するため少なくとも0.02%程度を
必要とするが、あまりに多すぎると磁気特性を劣化させ
るので上限は0.12%程度に定めるのが好ましい。
インヒビターとしては、いわゆるMnS,MnSe系とAlN系と
がある。MnS,MnSe系の場合は、 Se,Sのうちから選ばれる少なくとも1種:0.005〜0.06% Se,Sはいずれも、方向性けい素鋼板の2次再結晶を制御
するインヒビターとして有力な元素である。抑制力確保
の観点からは、少なくとも0.005%程度を必要とする
が、0.06%を超えるとその効果が損なわれるので、その
下限、上限はそれぞれ0.01%,0.06%程度とするのが好
ましい。
AlN系の場合は、 Al:0.005〜0.10%,N:0.004〜0.015% AlおよびNの範囲についても、上述したMnS,MnSe系の場
合と同様な理由により、上記の範囲に定めた。ここに上
記したMnS,MnSe系およびAlN系はそれぞれ併用が可能で
ある。
インヒビター成分としては上記したS,Se,Alの他、Cu,S
n,Cr、Ge,Sb,Mo,Te,BiおよびPなども有利に適合するの
で、それぞれ少量併せて含有させることもできる。ここ
に上記成分の好適添加範囲はそれぞれ、Cu,Sn,Cr:0.01
〜0.15%、Ge,Sb,Mo,Te,Bi:0.005〜0.1%、P:0.01〜0.2
%であり、これらの各インヒビター成分についても、単
独使用および複合使用いずれもが可能である。
なおスラブは、連続鋳造されたものもしくはインゴット
より分塊されたものを対象とするが、連続鋳造された後
に、分塊再圧されたスラブも対象に含まれることはいう
までもない。
(実施例) C:0.040%、Si:3.30%、Mn:0.054%、Se:0.022%および
Sb:0.024%を含有し、残部は実質的にFeよりなる厚み:2
15mmの連鋳スラブを、連続式加熱炉にて予熱後、誘導加
熱方式の加熱炉に装入して表1に示す条件で加熱処理
し、装入後30分で第7図中にA〜Dで示すような厚み方
向温度分布をもつように制御し、直ちに粗圧延に供し
た。粗圧延終了後は30mm厚のシートバーとし、以後は仕
上タンデムミルで2.0mm厚の熱延鋼板とした。この熱圧
鋼板を焼鈍酸洗後、一次冷延し、中間焼鈍後、2次冷延
を施して0.23mm厚の製品厚に仕上げた。その後、脱炭焼
鈍を施したのち、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
してから、2次再結晶および鈍化を目的とする最終仕上
げ焼鈍を経て、最終製品とした。
かくして得られた製品の磁気特性および線状細粒の有無
について調べた結果を表1に示す。
同表より明らかなように、この発明に従い得られた製品
は、良好な電磁特性を示している。
(実施例) 表2に示す種々の組成になる厚み:215mmのスラブを、連
続式加熱炉にて予熱後、誘導加熱方式の加熱炉に装入
し、表3の条件A,Bで加熱処理したのち、直ちに粗圧延
に供した。粗圧延終了後は35mm厚のシートバーとし、以
後は仕上げタンデムミルで2.4mm厚の熱延鋼板とした。
この熱延鋼板を酸洗後、1次冷延で0.85mm厚とし、950
℃,2分間の中間焼鈍後、2次冷延を施して0.30mm厚の製
品厚に仕上げた。その後、湿水素中で820℃,3分間の脱
炭焼鈍を施したのち、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を
塗布してから、乾水素中で1180℃,7時間の最終仕上げ焼
鈍を経て、最終製品とした。
かくして得られた製品の磁気特性および線状細粒の有無
について調べた結果を表4に示す。
(発明の効果) かくしてこの発明によれば、高温スラブ加熱条件下で
も、厚み方向にわたり微細均一な組織とすることがで
き、ひいては均一で優れた磁気特性の方向性けい素鋼板
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、(α+γ)2相域での再結晶率に及ぼす圧下
率と圧延温度との関係を示したグラフ、 第2図は、α単相域での再結晶率に及びす圧下率と圧延
温度との関係を初期粒径の影響のをパラメータとして示
したグラフ、 第3図は、スラブ加熱時の板厚方向温度分布図、 第4図は、熱間圧延時における表層1/10層および中心部
の温度変化を示したグラフ、 第5図は、粗圧延前後における表層1/10層および中心部
の結晶粒径変化を示したグラフ、 第6図は、表層1/10層および中心部の温度差と、両位置
での平均結晶粒径比との関係を示したグラフ、 第7図は、この発明と従来法でのスラブ加熱時の板厚方
向温度分布の比較図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小原 隆史 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭59−43819(JP,A) 特開 昭62−10214(JP,A) 特開 昭62−103322(JP,A) 特開 昭63−109115(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含けい素鋼スラブを、加熱したのち、熱間
    圧延、ついで1回または中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延
    を施し、その後脱炭・一次再結晶焼鈍および最終仕上げ
    焼鈍を施す一連の工程からなる方向性けい素鋼板の製造
    方法において、 熱間圧延に先立つスラブ加熱を誘導加熱で行うものと
    し、スラブ平均温度が1380〜1470℃の範囲において、下
    記の関係式を満足する条件下に加熱することにより、表
    層から1/10厚み位置の温度を中心部および最表層の温度
    よりも15〜50℃高くして、引き続く熱間粗圧延工程で結
    晶組織を厚み方向に制御することを特徴とする磁気特性
    の優れた電磁鋼板の製造方法。 記 ここでX:スラブ厚み(mm) ω:加熱炉周波数(Hz) T:スラブ平均温度(℃) Q:スラブ放熱量(kW) P:投入電力量(kW)
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