JPH067803B2 - 椅 子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、横に伸びる軸のまわりにシート面が傾斜調整
可能であり、基本位置で予荷重を加えられている椅子に
関する。

（従来の技術） シート面が傾斜調整可能である椅子の場合、シート面の
傾斜が比較的わずかな圧力で、例えば体重の移動によっ
て調整可能であるのが好ましい。

けれども人が椅子に着席する場合、そのときシート面の
傾斜が変動されるのはきわめて望ましくない。これは、
シート面傾斜のこのような突然の変動は、丁度そのとき
着席する人が肝をつぶし、極度に緊張し、あるいは突然
の動作を行い、そのためこの人が椅子と共に転倒する可
能性があるからである。したがって、シート面傾斜をそ
の復帰力に逆って変動させるばねは、著しく強力に設計
し、それによって、誰でも椅子に着席する場合、シート
面傾斜がその最終傾きで変動されない必要がある。

（発明が解決しようとする課題） 既に椅子に座っている人がその体重移動によってその都
度加えることができるときのように、椅子に座る際にか
なり大きい力を加えるから、上記ばねは相当強力に設計
しなくてはならない。そのため一方では材料費を増加す
る欠陥を生じる。また上記の設計による椅子では、既に
座っている者が、シート面傾斜を所要のものに変動させ
るための操作はかなり難儀となるという別の欠陥を生じ
る。

そこで本発明の目的は、比較的低コストで製造可能であ
り、かつ快適な使用特性をもつような椅子を提供するこ
とである。

（課題を解決するための手段） 本発明の特徴は下記のとおりである。

調整レバー４２が基本位置にある場合、この調整レバー
４２はシート面、シート部分面または複数のシード部分
面の傾斜を拘束する。椅子のシート面またはシート部分
面の傾斜は、誰が椅子に座る場合でも変動しない。した
がっていつでもこの椅子を使用でき、その際使用者が不
安にさらされ、あるいはそれどころか驚かされることが
ない。なぜならば、シート面傾斜が突然変らないからで
ある。

また本発明は、別の長所がある。即ちシート（１８）の
その基本位置での拘束によって、一般にシート面または
シート部分表面をそれの基本位置へ復帰させようとする
ばねへ力を及ぼさない点である。

人が椅子へ座る場合、この者は移動可能な調整レバー４
２を別の位置へ移動させることができ、その位置ではシ
ート面またはシート部分面の移動を開放する。このとき
椅子の使用者は、自分の体重の移動によってそのシート
面傾斜あるいはシート部分面傾斜を変えることができ
る。

シート面をその基本位置の方向に向って予荷重を加える
予荷重ばね２８が、その椅子に座る人の体重しか補償す
る必要がないから、この予荷重ばねは、細い材料および
小さい寸法で比較的手軽に構成させることができる。し
たがって、本発明は、その椅子の経済的製造を可能にす
るという大きい長所をも備えている。

調整レバー４２が傾斜可能な揺動体２０に揺動可能に取
付けられておりかつこの調整レバーを固定する凹部４０
が設けられており、この凹部へ調整レバー４２が係合で
きるのである。したがって、シート面傾斜の特に簡単か
つ値ごろな拘束ができる。

本発明の別の構成によると、揺動可能な調整レバー４２
と協働することができる多数の固定する凹部４０を設け
る。凹部４０によって異なっている位置でシート面傾斜
またはシート部分面傾斜を拘束することができる。この
ようにして例えば、後部に向って揺動方向をもったシー
ト面を水平に設計することができる。同じ椅子の場合、
前部に向って傾斜するシート面またはシート部分面を拘
束することができる。

本発明の好ましい構成によると、椅子の架台１１で固定
される筒体２６でシート面傾斜に予荷重を加えるためば
ね２８が設けられている。このばねが垂直に設けられる
ので、このばねに対してシート支持体１６が傾斜変動す
る場合、このばねをその縦方向に圧縮する。

本発明の構成によると、ばね上でばね２８の上部を囲繞
して包むスカート３２を備えるカバー３０が設けられて
おり、このカバーがそれに逆って働くばねの復帰力を、
揺動自在に可動するシート支持体１６へ伝達する。した
がってシート支持体ヘのばね力を均一に伝達することが
できる。

揺動体２０は、槽形として構成することができ、この揺
動体がその底部において孔２１を持ち、この孔を介して
ばね２８が上部に向って突出する。この種の槽形の構造
は以下の長所をもつ。即ち値ごろの椅子を特に簡単に作
ることができるところにある。この槽形構造は、同時に
多くの機能を満すことができる。即ち揺動体２０は、椅
子のシート面またはシート部分面を支持し、この揺動体
の両側壁はひじかけを取付けるのに使用され、背もたれ
支持部１３に対し高く上げられるか或は背もたれとして
構成することができる。

シート面或はシート部分面への予荷重ばねの復帰力を十
分伝達するためばね２８のカバー３０において、大体に
おいて水平に伸びる湾曲片３が揺動体２０の両側壁と固
定結合されている。この湾曲片に対してカバー３０を押
圧する場合、ばね２８の復帰力は、シート面を支持する
揺動体へ直接伝達される。

（作用） 調整レバー４２が基本位置にある場合、すなわち調整レ
バーが係止部３６の第１位置に形成してある凹部４０に
係合しているときは、これによって揺動体２０の揺動が
拘束されており、結局シート面の傾斜の変動を拘束して
いる。このため、使用者が体重を移動してもシート面の
傾斜が突然大きく変動しない。この時ばね体２８は、カ
バー３０および湾曲片３を介して揺動体２０を上方に押
圧しているが、全荷重を支えるものではないので、大き
な力を要求されない。

次に使用者が調整レバー４２を操作して係止部３６の第
２位置に係合させてから、体重を後方に移動させると、
揺動体２０は軸２２を中心にして時計方向に揺動し、係
止部３６の第２位置で停止する。これに対応して後部が
この揺動体２０に支持してあるシート部支持体１６が軸
１４を中心にして揺動する。この時のシート部支持体１
６の支点の位置が揺動体のそれよりも架台１１から遠い
位置にあるため、シート支持体１６の支点の揺動角は揺
動体２０のそれよりも小さくなっている。ばね体２８は
揺動体２０の傾斜量に対応した大きさの荷重を負担する
だけで、使用者の全体重を負担する必要がない。

本発明の特徴は、下記の実施例の説明および添付図面に
よってから明らかになる。

（実施例） 第１図は、椅子の脚１０に取りつけられている回転椅子
を示す。この脚１０から前方に向って傾斜した２つのブ
ラケット１２が突出し、それらのブラケットにより軸１
４のまわりにシート支持体１６が支持されている。シー
ト支持体１６の上面には、シート（パッド）１８を取付
けてある。湾曲された揺動体２０は、軸２２のまわりに
回転自在に支持されている。第１図示のように、揺動体
２０は、その右側の部分で上部に向って立ち上ってい
る。揺動体２０のこの立ち上った部分で、ひじ支えと背
もたれが取付けられる。

シート支持体１６の後方部分は、支持片２４で移動可能
に揺動体２０で支持される。揺動体２０が軸２２の周り
に揺動される場合、シート支持体１６も傾斜する。

揺動体２０の軸２２は、シート支持体１６の軸１４より
もいす脚１０にかなり接近している。従って揺動体２０
が揺動する場合、揺動体２０は、シート支持体１６より
も大きい角度だけ揺動する。

いす脚１０上に架台１１となる円筒状の筒体２６が取付
けられており、この筒体内にコイルばね２８を設けてい
る。このばね２８上にカバー３０を設けてあり、このカ
バーは、下部に向って突出し、全周を囲繞しかつばねを
包んでいるスカート３２を形成している。このスカート
は筒体２６の上方部分に嵌っている。

さらに第１図で明らかなように、揺動体２０はその下方
側で孔２１を開け、この孔を介して筒体２６及びばね２
８が突出するので、ばね２８は、湾曲片３に対してカバ
ー３０を押し付ける。

なお、第１図で明らかなように、筒体２６の上方外側に
突起３６が固定され、その突起が多数の係止凹部４０を
もっている。上方の係止凹部で揺動可能な調整レバー４
２が係止される。

第１，２図において、調整レバー４２は、ピン４３のま
わりに揺動可能に支持され、このピンが揺動体２０の底
側で固定されている。

第２図では、調整レバー４２は、実線によって時計方向
に揺働される最終位置が示され、この位置（第１位置）
では、この調整レバーが凹部４０へ係止し、それによっ
て揺動体２０が突起３６に拘束され、従っていす脚１０
に対して拘束される。調整レバー４２がこの第１位置に
ある場合、シート支持体１６の位置は変化しない。従っ
て、椅子へ着席しても、予荷重或いは復帰ばね２８へは
力を及ぼさない。

このことは、ばね２８がシート支持体１６を上方に押圧
するだけでよいので、ばねの寸法を小く設けることがで
きるので、ばねのコストを低く抑えることができる。

調整レバー４２は、係止位置から第２図に鎖線によって
示される解放位置へ揺動される。調整レバー４２が解放
されている位置（第２の位置）において、椅子へ座ると
き、シート支持体１６は、支持片２４を介して揺動体２
０を、また湾曲片３は、カバー３０を、従ってばね２８
を押圧する。

第２図に示すように、調整レバー４２は、湾曲棒材から
なり、この部材が椅子の下で横方向から椅子の左側（図
下側）にまで伸び、端部に握り部４４を取付けてある。
このようにして、この椅子へ座る人は誰でもこの調整レ
バーを容易に操作できる。

第３図において、揺動体２０の前方部には相互に一直線
に整合される２つの孔５０がある。これらの孔は、軸２
２を取付けるのに使われ（第１図参照）、この軸が２つ
のブラケット５４によって支持され、それらのブラケッ
トがいす脚１０の筒体２６に固定結合されている。揺動
体２０の底に孔２１があり、この孔を介して筒体２６及
びこの筒体内にあるばね２８の部分が上部に向って伸び
ており、このことを十分理解させるために、第３図では
筒体２６、ばね２８及びカバー３０が示されていない。
孔２１の上に湾曲片３があり、この湾曲片は、揺動体２
０の両側壁で固定されている。調整レバー４２が解放さ
れた状態では、カバー３０は、反時計方向に軸２２のま
わりに揺動体２０を揺動させることによって、下部から
湾曲片３に対して押圧している。揺動体２０が反時計方
向に揺動される場合、この揺動体は、支持片２４を介し
てシート支持体１６を持上げるので、このシート支持体
は、同様に反時計方向に、しかも軸１４のまわりに揺動
される。

第４図において、前部に向ってかつ上部に向って傾斜し
て伸びるブラケット１２及びばね２８を収容する筒体２
６がいす脚１０に固定されている。カバー３０は、揺動
体２０の両側壁で固定されている湾曲片３に対して押圧
する。したがって揺動体は実線で示される位置へ押され
る。

調整レバー４２が揺動して解放される際に、使用者がそ
の体重を後方に向って移動すると、揺動体２０は、軸２
２のまわりで時計方向に、鎖線によって示される位置へ
移動される。その際、湾曲片３は、カバー３０を下部に
向って押圧し、それによてばね２８を圧縮する。

ばね２８のカバーの湾曲片３に対する揺動体２０の軸２
２の距離が比較的に短いから、このばねは、その縦方向
にだけ圧縮され、傾くことがない。丸い湾曲片３を使用
することによって、ばねの傾斜は、完全に防止される。

さらに第４図に示すように、揺動体２０は、その後方部
において上部に向って著しく立ち上っており、また背も
たれの支持体として構成することができる。

予荷重或いは復帰ばね２８は、椅子に座る人が体重移
動、例えば、椅子への傾き（シーソー状）により加える
力しか補償する必要がないから、極めて小さく設計され
るばねを使うことができる。したがって傾斜機構の全体
寸法を著しく縮小させる。

このシート支持体１６は、本発明の別の実施態様によれ
ば、シート揺動体２０で固定される湾曲片３で直接支持
することもできる。

この椅子の調整レバー４２を解放した状態で、体重を後
方に移動させると、カバー３０は揺動体２０の両側壁で
固定されている湾曲片３によって押圧され、シート支持
体１６とシート１８が鎖線で示すように下方に押されて
時計方向に傾斜し、これにしたがって湾曲片３は後方に
鎖線で示される位置へ押戻される。

（発明の効果） 本発明は、シート支持体を支えている揺動体が、傾斜角
が調整レバーによって調整され、ばねによって体重の移
動による傾斜の変化による荷重しか負担する必要がなく
なるため、ばねを小さく設計できるとともに、傾斜構造
の全体寸法を著しく縮小せしめ、椅子のコスト引下げに
寄与するとともに、調整レバーによって椅子の使用者が
調整レバーを容易に操作でき、常に座り心地を良くした
使用特性の高い椅子が得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、第２図のＩ−Ｉ線に沿う回転椅子の断面図、 第２図は、シート面を省略した第１図の椅子の平面図、 第３図は、一方の端でシート面を支持する揺動体の斜視
図、 第４図は、本発明による揺動機構の重要部分の概略図で
ある。 ３…湾曲片、１０…いす脚、 １１…架台、１３…背もたれ支持部、 １４…軸、１８…シート、 ２０…揺動体、２６…筒体、 ２８…ばね、３０…カバー、 ３２…スカート、３６…係止部、 ４０…凹部、４２…調整レバー。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シート（１８）の横方向に伸びる軸（１
   ４）のまわりに調整可能に取付けてあるシート支持体
   （１６）と、 上記シート支持体の軸（１４）よりもいす脚（１０）に
   近い位置にある軸（２２）を揺動中心とする槽形の揺動
   体（２０）と、 上記揺動体に上方へ予荷重を加えるばね（２８）と、 上記揺動体の一側端に、この端部を揺動中心ととして上
   記揺動体に取付けてある調整レバー（４２）と、 上記調整レバー（４２）を係止する係止部（３６）と、 上記いす脚（１０）上部に取付け、上記軸（２２）を支
   持している筒体（２６）と、 上記筒体内に収納してあるばね（２８）の押圧力を伝達
   するスカート（３２）を有するカバー（３０）と、 上記カバー（３０）の上方に位置し、揺動体（２０）の
   両側壁に水平に固定結合してあり、ばね（２８）の押圧
   力を受ける湾曲片（３）と を具備していることを特徴とする椅子。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項において、調整レバ
   ー（４２）は揺動体（２０）を拘束する第１位置と揺動
   体を解放する第２位置との間で揺動可能に取付けられて
   いることを特徴とする椅子。
3. 【請求項３】特許請求の範囲第１項または第２項におい
   て、椅子が回転椅子として構成されていることを特徴と
   する椅子。
4. 【請求項４】特許請求の範囲第１項において、揺動体
   （２０）が、背もたれ支持部（１３）と一体に形成して
   ある槽形として構成してあることを特徴とする椅子。