JPH0675743B2 - ロストワツクス鋳型製造用原型鋳型 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ロストワックス鋳造法におけるロストワック
ス鋳型製造用原型鋳型に関する。

〔従来の技術〕

従来のロストワックス鋳造法において、金属溶湯を注入
するための鋳型（ロストワックス鋳型）の製造用原型鋳
型は、次のようにして製造されていた。金型内にろうを
充填（ろう射出成形）し、この金型内からろう型を取り
出すことにより、原型鋳型を得ていた。

この原型鋳型に製品ワックス横型を装着して、ろう型を
組立て、このろう型にコーティング、サンディング、脱
炉焼成をほどこして、ロストワックス鋳型を得ていた。

係るロストワックス鋳造法において、ロストワックス鋳
型の湯道系となる部分を中空でかつ吊り下げ治具を有す
る鋼製中空棒にワックスをコーティングしたものに置き
換える従来例が存在する。この従来例によれば、ワック
スの節約と脱ワックス孔のないワックス模型と、道具の
製作工数を大幅に低減せしめるとともに、鋼製中空棒は
脱ワックス工程において回収することによって再使用す
ることができるとしている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、上記従来例においては、加熱して中空棒外側に
形成された鋳型シェルを中空棒から抜き取るとき、ワッ
クスを膨張により鋳型シェル（ロストワックス鋳型を形
成するもの）に割れが生じる恐れがある。

また、ロストワックス鋳型の湯道系の占有断面積が湯口
部より大きい場合には、中空棒が脱ワックス時（脱ろう
時）に鋳型シェルから抜けてくれない。そのため、係る
場合にはワックスの節約、ロストワックス鋳型の製作工
数の低減を図ることができなかった。

一般にロストワックス鋳造法では、金属溶湯量の節約を
図るため、中心材の占有体積を小さくすることが必要
で、そのために、ロストワックス鋳型の湯口部を湯道系
より小さくすることが必要であると言われている。

上記問題点を解説するために本発明の目的は、脱ワック
ス時のロストワックス鋳型シェルの割れを防止でき、か
つ湯口部より湯道系の占有断面積が大きいロストワック
ス鋳型が製造可能なロストワックス鋳型製造溶原型鋳型
を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上型と下型とによって構成されるロストワック
ス鋳型製造用原型鋳型において、前記上型はロストワッ
クス鋳型の湯口部を構成する中空の湯口構成部と前記ロ
ストワックス鋳型の湯道部を構成する中空の横湯道構成
部とを有し、前記下型は前記ロストワックス鋳型の湯道
部を構成する中空の横湯道構成部と該横湯道構成部に連
なる複数の中空の縦湯道構成部とを備え、前記上型及び
下型は各々前記横湯道構成部の開口端面に遮蔽板が設け
られ互いに該遮蔽板によって水平分割されてなり、前記
上型及び下型は金属又は樹脂で構成され、且つ小孔が複
数設けられ、前記横湯道構成部の占有断面積が前記湯口
構成部の占有断面積より大きいことを特徴とするロスト
ワックス鋳型製造用原型鋳型である。

〔作用〕

上記本発明の構成によれば、湯口部より広い占有断面積
を有する湯道部において、ロストワックス鋳型製造用原
型鋳型が分割形成されている。したがって、上記本発明
を用いれば、分割された個個の原型鋳型ごと、すなわち
上型及び下型それぞれにワックスがけ、鋳型材のコーテ
ィングをほどこし、上型及び下型をそれぞれ引き抜くこ
とによって、分割されたロストワックス鋳型を製造でき
る。さらにこれらを接着することによって湯口部より広
い占有断面積を有する湯道系を有するロストワックス鋳
型を、ワックスの節約および作業工程の迅速簡易化を図
りつつ製造することができる。

また、上記本発明の構成によれば、上型及び下型の外周
には複数の小孔が設けられているために、脱ワックスの
際のワックスの膨張分が吸収され、鋳型シェルの割れを
防ぐことができる。

〔実施例〕

次に本発明に係るロストワックス鋳型製造用原型鋳型の
実施例について、添付図面に基づき詳説する。第１図は
本発明に係る原型鋳型が湯道部において分割された状態
を示す構成図である。そのうち第１図（Ａ）は、湯口部
を有する原型鋳型（以下「上型」と称する）を示し、
（Ｂ）図は湯道部を有する鋳型（以下「下型」と称す
る）を示す。

第１図において、下型２は、ロストワックス鋳型の湯道
に対応する部分が中空の横湯道構成部12と、この横湯道
構成部12に複数個連通する二つの中空の縦湯道構成部11
からなっている。また、上型１はロストワックス鋳型の
湯口に対応する中空の湯口構成部５と、この湯口構成部
５に連なり且つ前記下型の横湯道構成部12と同径の中空
の横湯道構成部12とからなる。ここで、横湯道構成部12
は、湯口構成部５より広いものとなっている。このよう
に湯口構成部５が湯道構成部より狭くなっているのは、
ロストワックス鋳造法において、金属溶湯の節約を図る
ためである。

上型１及び下型２の各横湯道構成部12は、その開口端面
に遮蔽板８が設けられ、該遮蔽板８によって互いに水平
に分割された構造となっている。遮蔽板８と縦湯道構成
部11を形成する外壁とは、フランジ部14を形成してい
る。このフランジ部14により鋳型シェルおよびワックス
が原型鋳型内に侵入するのを防いでいると同時に、該フ
ランジ部で形成される平滑な平面を有する鋳型シェル部
で上型１と下型２が接着されることになる。

これら上型１及び下型２は金属または樹脂によって構成
されている。また、これら上型１及び下型２の外周壁に
は、所定間隔で多数の小孔が設けられている。

上型１及び下型２とも固定ナットで支持された吊り具９
が設けられている。

次に上記本実施例に係る原型鋳型を用いてロストワック
ス鋳型を製造する場合について説明する。

各上型１及び下型２の表面にワックス層３を形成する。
下型２ではさらに製品ワックス模型４を所定の位置に接
着する。上型１においては横湯道構成部12の開口面すな
わち上型見切面６の開放部分に遮蔽板８を接着させて固
定する。下型２においては、横湯道構成部12の開口面す
なわち下型見切面７の開放部分に遮蔽板８を固定する。
さらに、固定ナット10により吊り具９をそれぞれの上型
１及び下型２に取り付けて鋳型シェル13の原材料である
鋳型材のコーティングを実施する。

コーティング作業終了後、形成された鋳型シェル13の一
部を破壊して遮蔽板８を撤去する。鋳型シェル13の破壊
はフランジ部14において行ない、さらに遮蔽板８と鋳型
外壁との接合をワックス接着でおこなえば、遮蔽板８を
容易に撤去することができる。次に脱ワックス工程へ上
型１および下型２をもってくる。このようなワックス層
３、製品ワックス模型４および鋳型シェル13が形成され
た上型１及び下型２を加熱すると、ワックス層３及び製
品ワックス模型４が溶解し、同時にその溶解にともない
上型１及び下型２の原型鋳型を引き抜くことができる。
この際、溶解ワックスは上型１および下型２の外周面に
設けられた小孔から上型１及び下型２の中空内に入って
くるため、溶解ワックスの膨張により鋳型シェル13の破
壊が防止される。

ワックス層３内部に埋設されている上型１及び下型２
は、このように各々の見切面6,7方向に容易に離脱で
き、かつ各見切部に設けられた遮蔽板８によって平滑な
見切面6,7を得ることができる。

次に焼成前に鋳型シェル13の各見切面6,7同士が接着さ
れて、湯口部より広い占有断面積を有する湯道を有し、
かつ鋳型シェルの割れのない一体のロストワックス鋳型
を形成することができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明にかかるロストワックス鋳型
製造用原型鋳型によれば、湯口部より広い占有断面積の
湯道部を有するロストワックス鋳型を、ワックスの節
約、脱ワックス孔のないワックス模型の実現、迅速かつ
簡易なロストワックス鋳型の製造を図りつつ形成するこ
とができる。

また、脱ワックス時のワックスの膨張分を吸収できるた
めに、割れの恐れのないロストワックス鋳型を形成する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係るロストワックス鋳型製造用原型
鋳型の断面構成図であり、（Ａ）は上型、（Ｂ）は下型
を示す。 １……上型（金属又は樹脂物）、２……下型（金属又は
樹脂物）、３……ワックス層、４……製品ワックス模
型、５……湯口構成部、６……上型身切面、７……下型
身切面、８……遮蔽板、９……吊り具、10……固定ナッ
ト、11……縦湯道構成部、12……横湯道構成部、13……
鋳型シェル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上型と下型とによって構成されるロストワ
   ックス鋳型製造用原型鋳型において、 前記上型はロストワックス鋳型の湯口部を構成する中空
   の湯口構成部と前記ロストワックス鋳型の湯道部を構成
   する中空の横湯道構成部とを有し、 前記下型は前記ロストワックス鋳型の湯道部を構成する
   中空の横湯道構成部と該横湯道構成部に連なる複数の中
   空の縦湯道構成部とを備え、 前記上型及び下型は各々前記横湯道構成部の開口端面に
   遮蔽板が設けられ互いに該遮蔽板によって水平分割され
   てなり、 前記上型及び下型は金属又は樹脂で構成され、且つ小孔
   が複数設けられ、 前記横湯道構成部の占有断面積が前記湯口構成部の占有
   断面積より大きいことを特徴とするロストワックス鋳型
   製造用原型鋳型。