JPH0673785A - 鉄骨鉄筋コンクリート柱、及びこの柱と鉄骨梁の構築工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】鉄骨鉄筋コンクリート柱の鉄筋柱の配筋が自由
であり、その内部へのコンクリートの充填が確実であ
る。 【構成】鉄骨鉄筋コンクリート柱のコンクリートに接合
鋼管を設け、この接合鋼管の側面に鉄骨梁と接続する鉄
骨ブラケットを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築物などに用いられ
る鉄骨鉄筋コンクリート柱、及びこの柱と鉄骨梁の構築
工法に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物などの建設の際に、鉄骨鉄筋コン
クリート柱と鉄骨梁が接合された混合構造が用いられる
ことがある。この理由として、この鉄骨鉄筋コンクリー
ト柱は、コンクリート柱の中に鉄筋と靭性に富む柱鉄骨
とを有するため、コンクリート柱や鉄筋コンクリート柱
より耐震性に富むという長所があることによる。また鉄
骨梁は、鉄筋コンクリート梁より軽量でありかつ鉄筋の
配筋が不要であるため、ロングスパンの架構が可能であ
るとともに、その施工性が良好であるという長所がある
からである。

【０００３】図６（ａ）は、従来の鉄骨鉄筋コンクリー
ト柱と鉄骨梁の接合部を縦方向に断面して示す側面図、
図６（ｂ）は、図６（ａ）のＡ−Ａ断面図、図７は、図
６（ａ）の、一部を示すＤ−Ｄ断面図である。図６に示
すようにこの鉄骨鉄筋コンクリート柱３０は、その横断
面が十字形であり、その端部にフランジ３１ａを有する
十字鉄骨３１と、この十字鉄骨３１に沿って延びる４本
の主鉄筋３２と、この４本の主鉄筋３２に亘って巻回さ
れた帯鉄筋３３とを有している。また図７に示すように
鉄骨梁３５は、Ｈ型鋼がそのフランジ３８を水平にして
配置され、Ｈ型鋼と平行に延びる梁鉄筋３９の、鉄骨鉄
筋コンクリート柱３０の近傍の部分にはあばら鉄筋３６
が巻回されている。このあばら鉄筋３６は、鉄骨鉄筋コ
ンクリート柱３０と鉄骨梁３５の間での力のやりとりが
円滑になるように、鉄骨梁３５の、鉄骨鉄筋コンクリー
ト柱３０の近傍の部分を鉄骨鉄筋コンクリート部材とす
るために巻回されたものであり、鉄骨梁３５の両端近傍
以外ではＨ型鋼がむき出しのままである。鉄骨鉄筋コン
クリート柱３２と鉄骨梁３５の接合部には、この接合部
周辺の局部変形を防止するため、２枚のスチフナ３４
が、Ｈ型鋼のフランジ３８の端面に十字鉄骨３１のフラ
ンジ３１ａを介して固定されるとともに十字鉄骨３１の
側面にも固定されている。このスチフナ３４にはその中
央部に孔３４ａが設けられている。鉄骨鉄筋コンクリー
ト柱３０と、この鉄骨鉄筋コンクリート柱３０の近傍の
あばら鉄筋３６が巻回された梁鉄筋３９の部分は、型枠
３７によりその外周が覆われている。

【０００４】この状態で図示しない鉄骨鉄筋コンクリー
ト柱３０の頂部からコンクリート（図示せず）が型枠３
７の内部に打設される。この打設されたコンクリート
は、スチフナ３４と型枠３７の隙間およびスチフナ３４
の孔３４ａなどを通って鉄骨鉄筋コンクリート柱３０及
びこの鉄骨鉄筋コンクリート柱３０の近傍の、梁鉄筋３
９の回りにあばら鉄筋３６が巻回された鉄骨梁３５の部
分を充填する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術では、
鉄骨鉄筋コンクリート柱３０と鉄骨梁３５の接合部にお
いて、鉄骨梁３５のＨ型鋼が障害となり、鉄骨鉄筋コン
クリート柱３０の主鉄筋３２の配筋を自由に行うことが
できないという問題がある。また接合部にはその局部変
形を防止するスチフナ３４が設けられているため、この
スチフナ３４がコンクリートの流れを妨げ、鉄骨鉄筋コ
ンクリート柱３０の内部にコンクリートを打設して十分
に充填することが困難であるという問題もある。さら
に、鉄骨鉄筋コンクリート柱３０の近傍の鉄骨梁３５の
部分に、梁鉄筋３９を通しあばら鉄筋３６を巻回しなけ
ればならないなど工数が掛かるため、コストが嵩むとい
う問題もある。

【０００６】本発明は、上記事情に鑑み、主鉄筋の配筋
を自由に行うことができ、かつ鉄骨鉄筋コンクリート柱
の内部へコンクリートを確実に充填することができ、し
かもその構築のコストを低減できる鉄骨鉄筋コンクリー
ト柱、及びこの柱と鉄骨梁の構築工法を提供することを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の鉄骨鉄筋コンクリート柱は、柱鉄骨と、該柱
鉄骨に沿って延びる複数の鉄筋と、柱鉄骨と複数の鉄筋
に互いに所定の間隔を隔てて環装された、鉄骨梁と接続
される鉄骨ブラケットを側面に有する複数の接合鋼管
と、該複数の接合鋼管の内部に充填された複数の接合鋼
管を柱鉄骨及び複数の鉄筋に固定するコンクリートとを
備えたことを特徴とするものである。

【０００８】また上記目的を達成するための本発明の鉄
骨鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁の構築工法は、柱鉄骨
と、該柱鉄骨に沿って延びる複数の鉄筋と、柱鉄骨と複
数の鉄筋に互いに所定の間隔を隔てて環装された、鉄骨
梁と接続される鉄骨ブラケットを側面に有する複数の接
合鋼管と、該複数の接合鋼管の内部に充填された複数の
接合鋼管を柱鉄骨及び複数の鉄筋に固定するコンクリー
トとを備えた複数の鉄骨鉄筋コンクリート柱を所定の間
隔に立設し、隣接して立設された該複数の鉄骨鉄筋コン
クリート柱の鉄骨ブラケットどうしを鉄骨梁で接続し、
上記コンクリートに連続するように、柱鉄骨及び複数の
鉄筋を覆うコンクリートを打設することを特徴とするも
のである。

【０００９】

【作用】本発明の鉄骨鉄筋コンクリート柱は、その接合
鋼管が、柱鉄骨と複数の鉄筋に環装されてコンクリート
により固定されたものであるため接合鋼管の内には鉄骨
梁はなく、したがってこの鉄骨鉄筋コンクリート柱の製
造に当たっては複数の鉄筋の配筋が自由である。しかも
接合部の局部変形を防止するスチフナが不要であるた
め、鉄骨鉄筋コンクリート柱の内部にコンクリートが確
実に充填される。

【００１０】また本発明の鉄骨鉄筋コンクリート柱と鉄
骨梁の構築工法は、鉄骨鉄筋コンクリート柱を立設して
接合鋼管の鉄骨ブラケットどうしを鉄骨梁により接続す
るものであるため、鉄骨鉄筋コンクリート柱の近傍の鉄
骨梁に、梁鉄筋を通しあばら鉄筋を巻回する必要がな
く、したがって従来の施工法と比べ工数を削減しコスト
を低減することができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
１は、本発明の一例の鉄骨鉄筋コンクリート柱に備えら
れた接合鋼管の斜視図である。この接合部は、上下方向
に延びる、横断面が十字型の柱鉄骨１と、この柱鉄骨１
に沿って延びる複数の主鉄筋２と、柱鉄骨１と主鉄筋２
に環装された接合鋼管４と、この接合鋼管４の側面に溶
接などにより固定された４本の鉄骨ブラケット３とを有
している。

【００１２】この状態でこの鉄骨鉄筋コンクリート柱の
複数の主鉄筋２に亘って水平方向に複数の帯鉄筋６（図
３参照）が巻回されるが、鉄骨ブラケット３は接合鋼管
４の側面に固定されており接合鋼管４の内部に鉄骨ブラ
ケット３はなく、したがって接合鋼管４の内部の複数の
主鉄筋２の配筋が自由であり、しかも帯鉄筋６の巻回が
容易に行えることになる。この帯鉄筋６の巻回の後、接
合鋼管４の内部にコンクリート７（図３参照）が打設さ
れて鉄骨鉄筋コンクリート柱が完成する。

【００１３】図２（ａ）は、本発明の一例の鉄骨鉄筋コ
ンクリート柱に備えられた接合鋼管を水平方向に断面し
て一部を示す断面図、図２（ｂ）は、図２（ａ）のＢ部
分の拡大図である。この接合鋼管４は、その内部にコン
クリート７（図３参照）が打設されて柱鉄骨１および複
数の主鉄筋２に固定されるまでの間仮止めされる。この
仮止めのため、接合鋼管４の内壁に孔を有する仮止部材
４ａと、この仮止部材４ａに対向する柱鉄骨１のフラン
ジ１ａに孔を有する仮止部材１ｂとが設けられ、これら
仮止部材４ａ，１ｂの孔にボルト５が挿入され締められ
て接合鋼管４と柱鉄骨１とが仮止めされる。

【００１４】図３は、本発明の一例の鉄骨鉄筋コンクリ
ート柱の縦方向に断面して示す側面図、図４は、図３の
Ｃ−Ｃ断面図である。この鉄骨鉄筋コンクリート柱は、
図３における上下方向に延びる柱鉄骨１および複数の主
鉄筋２と、この柱鉄骨１および複数の主鉄筋２に環装さ
れ、図３における水平方向に延びる鉄骨ブラケット３を
側面に有する３つの接合鋼管４と、これら接合鋼管４の
内部の複数の主鉄筋２に亘って巻回された帯鉄筋６と、
接合鋼管４を柱鉄骨１および複数の主鉄筋２に固定する
コンクリート７とを備えている。

【００１５】この接合鋼管４は、その側面に鉄骨梁８と
接続される鉄骨ブラケット３を備えたため、接合鋼管４
の内部には鉄骨ブラケット３がなく、したがってこの鉄
骨鉄筋コンクリート柱の製造にあたっては複数の主鉄筋
２の配筋が自由であるとともに帯鉄筋６の巻回も容易で
ある。また接合鋼管４は、その内部にはスチフナがない
ため、接合鋼管４の内部にコンクリート７を確実に充填
することができる。尚、図４に示す鉄骨鉄筋コンクリー
ト柱は一般には工場で製造される。

【００１６】図５は、本発明の一例の鉄骨鉄筋コンクリ
ート柱と鉄骨梁が構築された様子を示す側面図である。
前述した構造の鉄骨鉄筋コンクリート柱が施工現場に運
搬されて基礎上に立設され、その鉄骨ブラケット３どう
しが添接板９を介して鉄骨梁８により接続される。

【００１７】その後、複数の主鉄筋２の、接合鋼管４が
固定されていない部分に帯鉄筋６を巻回し、この巻回し
た帯鉄筋６の外周を覆うように型枠（図示せず）を設置
し、この型枠の内部に、柱鉄骨１および複数の主鉄筋２
を覆うコンクリート７を、接合鋼管４の内部のコンクリ
ート７と連続するように打設する。尚、鉄骨ブラケット
３どうしを鉄骨梁８により接合する前に、帯鉄筋６を巻
回してコンクリート７を打設するまでの工程を行っても
よい。

【００１８】この鉄骨ブラケット３どうしは、ボルトな
どで添接板９を介して鉄骨梁８により接合されるため、
この鉄骨梁８の、鉄骨鉄筋コンクリート柱の近傍の部分
にあばら鉄筋を巻回する必要がなく、従来の施工法（図
６参照）と比べ手間がかからず工期を短縮することがで
きる。ここに、図５に示す鉄骨鉄筋コンクリート柱の高
さよりも高層の建物を建設する際は、図５に示した鉄骨
鉄筋コンクリート柱の上端に新たな鉄骨鉄筋コンクリー
ト柱を載置し、本実施例に示した工程を繰り返すことと
なる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の鉄骨鉄筋
コンクリート柱は、柱鉄骨と複数の鉄筋に環装された複
数の接合鋼管の側面に鉄骨梁と接続される鉄骨ブラケッ
トを備えた構成であるため、接合鋼管の内部には鉄骨梁
がなく、これによりこの鉄骨鉄筋コンクリート柱の製造
にあたって複数の鉄筋の配筋が自由であり、また接合部
の局部変形を防止するスチフナが不要であるため鉄骨鉄
筋コンクリート柱に打設されるコンクリートの流れを妨
げるものがなく、鉄骨鉄筋コンクリート柱の内部にコン
クリートが確実に充填される。また、接合鋼管の内部の
コンクリートを遠心力形成により行うことにより高品
質、高強度のコンクリートを得ることもできる。

【００２０】また本発明の構築工法は、隣接して立設さ
れた鉄骨鉄筋コンクリート柱の鉄骨ブラケットどうしを
鉄骨梁により接続するものであるため、鉄骨鉄筋コンク
リート柱の近傍の鉄骨梁に、梁鉄筋を通しあばら鉄筋を
巻回する必要がないことから型枠も必要なく、したがっ
て工数が削減されコストが低減される。また接合鋼管の
内部は既にコンクリートが充填されているため、現場施
工では、接合鋼管の内部にコンクリートを打設する必要
がなく、この点からも工数を削減しコストを低減するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一例の鉄骨鉄筋コンクリート柱に備え
られた接合鋼管の斜視図である。

【図２】本発明の一例の鉄骨鉄筋コンクリート柱に備え
られた接合鋼管を水平方向に断面して一部を示す断面図
（ａ）、（ａ）のＢ部分の拡大図（ｂ）である。

【図３】本発明の一例の鉄骨鉄筋コンクリート柱の縦方
向に断面して示す側面図である。

【図４】図３のＣ−Ｃ断面図である。

【図５】本発明の一例の鉄骨鉄筋コンクリート柱と柱鉄
骨が構築された様子を示す側面図である。

【図６】従来の鉄骨鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁の接合
部を縦方向に断面して示す側面図（ａ）、（ａ）のＡ−
Ａ断面図（ｂ）である。

【図７】図６（ａ）の、一部を示すＤ−Ｄ断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 柱鉄骨 ２ 主鉄筋 ３ 鉄骨ブラケット ４ 接合鋼管 ６ 帯鉄筋 ７ コンクリート

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 柱鉄骨と、該柱鉄骨に沿って延びる複数
   の鉄筋と、前記柱鉄骨と前記複数の鉄筋に互いに所定の
   間隔を隔てて環装された、鉄骨梁と接続される鉄骨ブラ
   ケットを側面に有する複数の接合鋼管と、該複数の接合
   鋼管の内部に充填された該複数の接合鋼管を前記柱鉄骨
   及び前記複数の鉄筋に固定するコンクリートとを備えた
   ことを特徴とする鉄骨鉄筋コンクリート柱。
2. 【請求項２】 柱鉄骨と、該柱鉄骨に沿って延びる複数
   の鉄筋と、前記柱鉄骨と前記複数の鉄筋に互いに所定の
   間隔を隔てて環装された、鉄骨梁と接続される鉄骨ブラ
   ケットを側面に有する複数の接合鋼管と、該複数の接合
   鋼管の内部に充填された該複数の接合鋼管を前記柱鉄骨
   及び前記複数の鉄筋に固定するコンクリートとを備えた
   複数の鉄骨鉄筋コンクリート柱を所定の間隔に立設し、
   隣接して立設された該複数の鉄骨鉄筋コンクリート柱の
   前記鉄骨ブラケットどうしを鉄骨梁で接続し、前記コン
   クリートに連続するように、前記柱鉄骨及び前記複数の
   鉄筋を覆うコンクリートを打設することを特徴とする鉄
   骨鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁の構築工法。