JPH0672287A - 車両用シートベルトリトラクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の急制動，急旋回時に、テンションリデ
ュース機構の作動をキャンセルし、乗員に拘束感を与え
て不安感の払拭を図る。 【構成】 テンションリデュース機構５のラチェットホ
イール７と係脱するパウル８の制御回路に、バックルス
イッチ１２と直列に接続されて、減速度センサ１７の感
知作動に伴ってオフ作動するリードスイッチ１６を設け
て、減速度発生時にテンションリデュース機構５の作動
をキャンセルするようにしてある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両用シートベルトリト
ラクタ、とりわけ、シートベルト着装時にシートベルト
の巻取り力を軽減して、乗員にシートベルトによる圧迫
感をなくすようにしたテンションリデュース機構を備え
た車両用シートベルトリトラクタに関する。

【０００２】

【従来の技術】テンションリデュース機構付きのシート
ベルトリトラクタとしては、例えば実開昭６２−１１５
２６２号公報，実開平２−２３２６０号公報，実開平２
−１１４５６８号公報等に示されているように各種のも
のが知られている。

【０００３】これらは何れも基本的には、スプールシャ
フトの端部に２つの渦巻きばねからなる巻取りスプリン
グと、これら渦巻きばねによるスプールシャフトへのシ
ートベルト巻取り方向の付勢力を制御するラチェットホ
イールとを装着し、シートベルト着装時にこれを検出す
るシートベルト着装検出スイッチの作動にもとづいて回
動されるパウルをラチェットホイールに係合させ、該ラ
チェットホイールのシートベルト巻取り方向の回転を停
止することにより、巻取りスプリングによるスプールシ
ャフトのシートベルト巻取り力を軽減するようにしたも
のである。

【０００４】これを図３により具体的に説明すると、１
はリトラクタフレーム３に軸支されてシートベルト２を
巻取り、巻戻しするスプールシャフトで、リトラクタフ
レーム３の一側には車両に減速度が発生した時や、シー
トベルト２が急激に引出された時にスプールシャフト１
のシートベルト引出し方向の回転を停止する公知の減速
度センサを有する緊急ロック機構４を備えている。

【０００５】５はリトラクタフレーム３の他側に配設し
たテンションリデュース機構で、スプールシャフト１の
端部に装着されて、該スプールシャフト１にシートベル
ト巻取り方向の回転力を付勢する２つの渦巻きばねから
なる巻取りスプリング、例えば小ばねのリデューススプ
リング６Ａと大ばねのノーマルスプリング６Ｂからなる
巻取りスプリング６と、該スプールシャフト１の端部に
装着されてリデューススプリング６Ａ，ノーマルスプリ
ング６Ｂのスプールシャフト１へのシートベルト巻取り
方向の回転付勢力を制御するラチェットホイール７と、
ラチェットホイール７と係脱し、シートベルト着装時に
ラチェットホイール７に係合してラチェットホイール７
のシートベルト巻取り方向の回転を停止するパウル８と
を備えている。

【０００６】パウル８は巻取りスプリング６，ラチェッ
トホイール７を収納するスプリングケース９に軸支さ
れ、かつ、下端部を該スプリングケース９に装着したソ
レノイド１０の作動軸１０ａ端に連結してある。

【０００７】作動軸１０ａにはパウル８をラチェットホ
イール７から離脱する方向に付勢するスプリング１１を
弾装してある。

【０００８】ソレノイド１０はシートベルト着装時にこ
れを検出するシートベルト着装検出スイッチ、例えばシ
ートベルト２のタング１３をバックル１４に差し込むと
オン作動するバックルスイッチ１２により作動され、作
動軸１０ａをスプリング１１のばね力に抗して牽引して
パウル８をラチェットホイール７に係合させる。

【０００９】このテンションリデュース機構５付きのシ
ートベルトリトラクタによれば、ベルト未装着時におけ
るシートベルト２の引出し、巻取り時にはノーマルスプ
リング６Ｂのばね力のみが働いて強い力が作用し、バッ
クル１４にタング１３を挿入し、バックルスイッチ１２
がオン作動すると、ソレノイド１０の励磁作動によりパ
ウル８をラチェットホイール７に係合させてラチェット
ホイール７のシートベルト引出し方向の回転は許容する
がシートベルト巻取り方向の回転は停止させ、シートベ
ルト２の引出しに際してはノーマルスプリング６Ｂのば
ね力を作用させるが、シートベルト２の巻取りにはノー
マルスプリング６Ｂのばね力を０とし、リデューススプ
リング６Ａの弱いばね力のみを作用させてシートベルト
２による圧迫感を軽減させるものである。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】シートベルト着装時に
は、テンションリデュース機構５の作動により巻取りス
プリング６のばね力が弱められていて、シートベルト２
にもたれかからないと、該シートベルト２による圧迫力
を受けないため、急制動時あるいは急旋回時でも乗員の
身体が動かない時は、シートベルト２の圧迫力による拘
束感が生じず不安となってしまう。

【００１１】そこで、本発明はシートベルト着装時にテ
ンションリデュース機構が作動しても、急制動，急旋回
時等に車両に減速度が発生した時には、このテンション
リデュース機構の作動をキャンセルして、シートベルト
の巻取り力を強めて乗員に拘束感を与え、不安感を払拭
し得る車両用シートベルトを提供するものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】シートベルトを巻取り、
巻戻しするスプールシャフトの端部に装着されて、スプ
ールシャフトにシートベルト巻取り方向の回転力を付勢
する２つの渦巻きばねからなる巻取りスプリングと、ス
プールシャフトに装着されて２つの渦巻きばねのスプー
ルシャフトへの付勢力を制御するラチェットホイール
と、シートベルト着装時にこれを検出するシートベルト
着装検出スイッチの作動にもとづいて回動されてラチェ
ットホイールに係合し、該ラチェットホイールのシート
ベルト巻取り方向の回転を停止するパウルとを有し、シ
ートベルト着装時にこのラチェットホイールが回転停止
することにより、巻取りスプリングによるスプールシャ
フトのシートベルト巻取り力を軽減するテンションリデ
ュース機構を備えた車両用シートベルトリトラクタにお
いて、前記テンションリデュース機構のパウルを作動す
る制御回路に、シートベルト着装検出スイッチと直列に
接続され、車両の減速度を感知して作動して、パウルを
係合解除作動させる減速度感知スイッチを設けてある。

【００１３】

【作用】シートベルトの着装によりテンションリデュー
ス機構が作動している状態で、車両の急制動，急旋回等
により車両に減速度が発生すると、減速度感知スイッチ
がこれを感知してパウルの制御回路を速やかに開成す
る。

【００１４】これにより、パウルがラチェットホイール
から離脱してテンションリデュース機構の作動がキャン
セルされ、シートベルト巻取り力が強められてシートベ
ルトによる乗員の圧迫力を強め、乗員に拘束感を与える
ことができる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面と共に前記従
来の構成と同一部分に同一符号を付して詳述する。

【００１６】図１において、１はリトラクタフレーム３
に軸支されてシートベルト２を巻取り，巻戻しするスプ
ールシャフトで、リトラクタフレーム３の一側には公知
の減速度センサを有する緊急ロック機構４を備えている
点、およびリトラクタフレーム３の他側には、スプール
シャフト１の端部に装着されてスプールシャフト１にシ
ートベルト巻取り方向の回転力を付勢する小ばねのリデ
ューススプリング６Ａ（渦巻きばね）と大ばねのノーマ
ルスプリング６Ｂ（渦巻きばね）とからなる巻取りスプ
リング６と、スプールシャフト１の端部に装着されてリ
デューススプリング６Ａ，ノーマルスプリング６Ｂのス
プールシャフト１への付勢力を制御するラチェットホイ
ール７と、シートベルト着装時にシートベルト着装検出
スイッチとしてのバックルスイッチ１２のオン作動によ
りソレノイド１０を介して回動されてラチェットホイー
ル７に係合し、該ラチェットホイール７のシートベルト
巻取り方向の回転を停止するパウル８とを有するテンシ
ョンリデュース機構５を備えている点、等の基本的構造
は前記従来と同様である（図３参照）。

【００１７】ここで、前記テンションリデュース機構５
のパウル８の制御回路には、バックルスイッチ１２と直
列に接続され、車両の減速度を感知してオフ作動して該
制御回路を開成する減速度感知スイッチ１５を設けてあ
る。

【００１８】この減速度感知スイッチ１５として、例え
ば図２に示すように緊急ロック機構４の減速度センサ１
７の減速度感知作動に伴ってオフ作動するリードスイッ
チ１６を用いることができる。

【００１９】減速度センサ１７はケーシング１８内に収
容した揺動子１９が減速度発生により揺動すると、ロッ
クパウル２０を跳ね上げて緊急ロック機構４を直ちにロ
ック作動させる公知のもので、このロックパウル２０の
後端部にマグネット２１を装着して、該マグネット２１
に近接してリードスイッチ１６を配設し、通常状態では
マグネット２１によりリードスイッチ１６をオン作動さ
せ、減速度発生時にはロックパウル２０の跳ね上げ作動
によってマグネット２１がリードスイッチ１６から離間
することにより該リードスイッチ１６がオフ作動するよ
うになっている。

【００２０】以上の実施例構造によれば、シートベルト
２を着装してテンションリデュース機構５が作動してい
る状態、即ち、バックルスイッチ１２，リードスイッチ
１６のオン作動によりソレノイド１０が励磁され、パウ
ル８がスプリング１１のばね力に抗して牽引されてラチ
ェットホイール７と係合し、シートベルト２の巻取りに
はノーマルスプリング６Ｂのばね力を０とし、リデュー
ススプリング６Ａの弱いばね力のみを作用させている状
態で、車両が急制動又は急旋回して減速度が発生する
と、減速度センサ１７の作動によりリードスイッチ１６
がオフ作動して、パウル８の制御回路を開成する。

【００２１】これにより、ソレノイド１０が消磁されて
パウル８はスプリング１１のばね力によりラチェットホ
イール７と非係合方向に回動され、ラチェットホイール
７との係合を解除して、テンションリデュース機構５の
作動をキャンセルする。

【００２２】この結果、シートベルト２の巻取り力には
ノーマルスプリング６Ｂのばね力が加味されて該巻取り
力が強められて、シートベルト２により乗員の圧迫力を
強めて乗員に拘束感を与えることができる。

【００２３】車両の減速度が消滅すると、リードスイッ
チ１６がオン作動するから、ソレノイド１０が直ちに励
磁作動し、パウル８をスプリング１１のばね力に抗して
牽引して回動させ、該パウル８をラチェットホイール７
に係合させてラチェットホイール７のシートベルト巻取
り方向の回転を停止させ、再びテンションリデュース機
構５の作動状態に復帰させ、シートベルト２による乗員
の圧迫感を軽減させる。

【００２４】バックル１４とタング１３との係合を解除
してシートベルト２の着装を外せば、バックルスイッチ
１２がオフ作動してテンションリデュース機構５の作動
が解除される。

【００２５】なおテンションリデュース機構５としては
前記実施例のものに限定されるものでないことは勿論で
ある。

【００２６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、シートベ
ルトを着装してテンションリデュース機構が作動し、シ
ートベルトによる乗員の圧迫力を軽減している状態であ
っても、車両の急制動，急旋回等により車両に減速度が
発生すると、減速度感知スイッチの感知作動によりパウ
ルのラチェットホイールとの係合を解除させ、テンショ
ンリデュース機構の作動をキャンセルすることができる
から、シートベルトの巻取り力を強めて乗員に圧迫感を
付与することができる。

【００２７】従って、乗員はこの急制動，急旋回時等に
シートベルトによる拘束感が得られて、不安感を払拭す
ることができるという実用上多大な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す側面説明図。

【図２】減速度感知スイッチの一例を示す作動説明図。

【図３】従来のシートベルトリトラクタを示す分解斜視
図。

【符号の説明】

１…スプールシャフト ２…シートベルト ５…テンションリデュース機構 ６…巻取りスプリング ６Ａ…渦巻きばね ６Ｂ…渦巻きばね ７…ラチェットホイール ８…パウル １２…シートベルト着装検出スイッチ（バックルスイッ
チ） １５…減速度感知スイッチ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートベルトを巻取り，巻戻しするスプ
   ールシャフトの端部に装着されて、スプールシャフトに
   シートベルト巻取り方向の回転力を付勢する２つの渦巻
   きばねからなる巻取りスプリングと、スプールシャフト
   に装着されて２つの渦巻きばねのスプールシャフトへの
   付勢力を制御するラチェットホイールと、シートベルト
   着装時にこれを検出するシートベルト着装検出スイッチ
   の作動にもとづいて回動されてラチェットホイールに係
   合し、該ラチェットホイールのシートベルト巻取り方向
   の回転を停止するパウルとを有し、シートベルト着装時
   にこのラチェットホイールが回転停止することにより、
   巻取りスプリングによるスプールシャフトのシートベル
   ト巻取り力を軽減するテンションリデュース機構を備え
   た車両用シートベルトリトラクタにおいて、 前記テンションリデュース機構のパウルを作動する制御
   回路に、シートベルト着装検出スイッチと直列に接続さ
   れ、車両の減速度を感知して作動して、パウルを係合解
   除作動させる減速度感知スイッチを設けたことを特徴と
   する車両用シートベルトリトラクタ。