JPH067160A - 古細菌からの組換え熱安定性dnaポリメラーゼ - Google Patents

古細菌からの組換え熱安定性dnaポリメラーゼ

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JPH067160A
JPH067160A JP4355752A JP35575292A JPH067160A JP H067160 A JPH067160 A JP H067160A JP 4355752 A JP4355752 A JP 4355752A JP 35575292 A JP35575292 A JP 35575292A JP H067160 A JPH067160 A JP H067160A
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dna
polymerase
litoralis
dna polymerase
probe
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JP4355752A
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Donald G Comb
ドナルド・ジー・コーム
Francine Perler
フランシーン・パーラー
Rebecca Kucera
レベツカ・クセラ
William E Jack
ウイリアム・イー・ジヤツク
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
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    • C07K16/12Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from bacteria

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Abstract

(57)【要約】 【構成】古細菌からの組換えDNAポリメラーゼ類、並
びに、このようなポリメラーゼ類をコードする単離され
たDNAを提供する。単離されたDNAは、各々、T.
リトラリスDNAポリメラーゼをコードするDNAから
調製されるDNAもしくは抗体プローブ、及び、T.リ
トラリスDNAポリメラーゼの使用により取得する。 【効果】組換え古細菌熱安定性DNAポリメラーゼを産
生する方法、及び、このようなDNAポリメラーゼをコ
ードするDNA内に含まれるイントロンの同定、位置決
定、及び、除去による、このようなポリメラーゼ類の発
現の増幅化のための方法をも提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、古細菌からの組換えD
NAポリメラーゼ、T.リトラリスDNAポリメラーゼ
をコードするDNA配列から調製されるDNAプローブ
に対してハイブリッド形成する当該DNAポリメラーゼ
をコードする単離されたDNA、当該DNAの単離に利
用されるDNA及び抗体プローブに関し、同様に、当該
DNAを単離するための方法、及び、当該DNAポリメ
ラーゼの発現を増幅させる目的で、当該DNA内に含ま
れる介在ヌクレオチド配列を同定し、位置を決定し、か
つ、除去するための方法に関する。
【0002】関連特許出願に対する相互引用文献 本発明は、1991年4月17日に提出された米国特許
出願、整理番号No. :07/686,340の継続部分であり、こ
れは、1990年12月11日に提出された米国特許出
願、整理番号No. :07/626,057の継続部分であり、これ
は、1990年4月26日に提出された米国特許出願、
整理番号No. :07/513,994の継続部分である。
【0003】発明の背景 DNAポリメラーゼは、DNA修復及び複製に関連する
酵素類の一種である。大腸菌(E. coli )のような中温
性微生物からのDNAポリメラーゼ類の単離については
広範囲の研究が行われていきた。例えば、Bessman 、et
al.、J. Biol.Chem.(1957) 233:171−177 、及び、B
uttin and Kornberg J. Biol. Chem.(1966) 241:5419
−5427を参照せよ。
【0004】大腸菌から単離されたDNAポリメラーゼ
の例には、大腸菌のDNAポリメラーゼI、大腸菌のD
NAポリメラーゼIのクレノウ断片、及び、T4DNA
ポリメラーゼがある。これらの酵素は、例えば、ニック
トランスレーションによるDNAのラベル化、cDNA
クローニングにおける第2鎖cDNA合成、及び、DN
Aの配列決定を含む、組換えDNA技術における多様な
用途を有する。Maniatis、et al.、 Molecular Clonin
g: A Laboratory Manual (1982)を参照せよ。
【0005】最近、米国特許番号4,683,195 、 4,683,2
02、及び、4,800,159 が、核酸配列を増幅、検出、及び
/又は、クローニングするための方法における上記酵素
の用途を開示した。この方法は、共通して、ポリメラー
ゼ連鎖反応(PCR)として引用されており、存在する
核酸配列の増幅に対する、ポリメラーゼ類、プライマー
類、及び、ヌクレオチド三リン酸類の用途を含む。
【0006】先に論議した幾つかのDNAポリメラーゼ
類は、合成がある一つの塩基対形成選択段階のみの結果
である場合よりも、かなり高い忠実性をDNA複製に付
与するプルーフリーディング機能を提供する、3′−
5′エキソヌクレアーゼ活性を所有する。Burtlag 、D.
and Kornberg 、A.、J. Biol. Chem.、(1972) 247:2
41 −248 。3′−5′プルーフリーディングエキソヌ
クレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ類は、非プ
ルーフリーディングエキソヌクレアーゼ所有ポリメラー
ゼと比較する場合、実質的に、より低い塩基取り込み過
誤率を有する。Chang 、L.M.S.、J. Biol. Chem.、(19
77)252: 1873 −1880。
【0007】セルムス・アクアティクス(Thermus aqua
ticus )のような好熱性生物からのDNAポリメラーゼ
類の同定及び精製についても研究が行われてきた。Chie
n 、A.、et al. J. Bacteriol.、(1976) 127: 1550−
1557、は、T.アクアティクス(T. aquaticus)YT1
株からの80℃の至適温度を有するDNAポリメラーゼ
の同定及び精製を開示している。このChien 、et al.、
の精製法は4段階の過程を必要とする。これらの段階
は、未精製抽出物の調製、DEAE−セファデックスク
ロマトグラフィー、フォスフォセルロースクロマトグラ
フィー、及び、DNAセルロース上でのクロマトグラフ
ィー、を含む。Kaledin 、et al.、Biokhymiyay (198
0) 45: 644−651 、も又、T.アクアティクスYT1
株の細胞類からのDNAポリメラーゼの同定及び精製を
開示している。このKaledin 、et al.の精製法は6段階
の過程を必要とする。これらの段階は、未精製抽出物の
単離、硫酸アンモニウム沈殿、DEAE−セルロースク
ロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト上での分画
化、DEAE−セルロース上での分画化、及び、1本鎖
のDNA−セルロース上でのクロマトグラフィーを含
む。
【0008】米国特許番号4,889,818 は、T.アクアテ
ィクスからの精製した熱安定性DNAポリメラーゼ、つ
まり、1本鎖DNA−セルロース上でのクロマトグラフ
ィーの代わりにフォスフォセルロースクロマトグラフィ
ーを代用することを付け加えた、Kaledin の方法に実質
的に等しい方法により調製される、約86,000から90,000
ダルトンの分子量を有するTaqポリメラーゼを開示し
ている。更に、欧州特許出願0258017 は、先に論議した
PCR法における用途に好ましい酵素としてのTaqポ
リメラーゼを開示している。
【0009】研究により、Taqポリメラーゼが5′−
3′ポリメラーゼ依存的エキソヌクレアーゼ機能を有す
るにもかかわらず、このTaqDNAポリメラーゼは
3′−5′プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ機
能を所有しないことが示されている。Lawyer、F.C.、et
al. J. Biol. Chem. 、(1989) 264: II、 p. 6427−
6437。Bernard 、A.、et al. Cell (1989) 59: 219。
その結果、TaqDNAポリメラーゼは塩基取り込み過
誤を生じさせる傾向にあり、特定の応用法におけるその
用途を望ましくないものにしている。例えば、遺伝子の
任意の1コピーがランダムな誤った取り込みのために過
誤を含むことができるため、増幅された遺伝子をクロー
ン化する試みは未解決である。複製周期のどこで過誤が
生じるかによって(例えば、初期複製周期において)、
増幅される完全なDNAは、誤って取り込んだ塩基を含
み、従って、突然変異した遺伝子産物を生じる。更に、
研究により、TaqDNAポリメラーゼは、100℃に
おいては、数種の突然変異体ほどの熱安定性を有さない
ことが示された。
【0010】従って、比較用のもしくは改善された熱安
定性、及び/又は、3′から5′へのエキソヌクレアー
ゼプルーフリーディング活性を有する他のDNAポリメ
ラーゼ類が、科学団体にとって望まれるところのもので
ある。このような酵素の一つである(以下により詳細に
記載してある)、セルモコッカス・リトラリス(Thermo
coccus litoralis)、つまり、海底熱火道付近で100
℃に近い温度で増殖する古細菌からのDNAポリメラー
ゼを大腸菌内にクローン化した。しかしながら、この遺
伝子からのこの組換え酵素蛋白質の大量産生は2つのイ
ントロンの存在により複雑化されており、その一つは、
遺伝子工学技術により除去する必要があり、更に、もう
一方のものは、大腸菌内からスプライスされてくるエン
ドヌクレアーゼをコードする。
【0011】先に記載したDNAポリメラーゼ法を改善
するような、3′から5′方向へのプルーフリーディン
グ活性、及び/又は、比較用のもしくは改善された熱安
定性を有する古細菌からの、他の高度に熱安定性なDN
Aポリメラーゼ類を取得及び産生することが希望され
る。
【0012】発明の要約 本発明に従って、古細菌からのDNAポリメラーゼをコ
ードするDNAを同定、単離、及び、クローニングする
ための方法及び産物が提供される。本発明は、又、古細
菌からの組換えDNAポリメラーゼ類、並びに、当該ポ
リメラーゼ類をコードするDNA内に存在する介在ヌク
レオチド配列類もしくはイントロン類を同定、位置決
定、及び、除去することによる、当該組換えDNAポリ
メラーゼ類の発現を改善するための方法に関する。
【0013】より具体的には、本発明に従って、古細菌
からのDNAポリメラーゼ類をコードするDNAは、D
NA及びアミノ酸レベルの両方において、実質的な同一
性を有することが発見された。又、このような酵素類を
コードする古細菌からのDNAは、やはりDNAレベル
における実質的な相同性を共有する1つもしくは複数の
介在ヌクレオチド類もしくはイントロン類を有するよう
に思われることが発見された。
【0014】従って、本発明に従い、セルモカッカス・
リトラリスのような古細菌からの1種類のDNAポリメ
ラーゼをコードするDNA配列からDNAプローブ類を
作製することができ、かつ、これを使用して、ピロコッ
カス(Pyrococcus)のような他の古細菌からのDNAポ
リメラーゼ類をコードするDNAを同定及び単離するこ
とができる。同様に、T.リトラリスDNAポリメラー
ゼと交差反応する抗体プローブ類を使用してもやはり、
このような他のポリメラーゼ類を発現するコーディング
配列をコードするDNAを同定することができる。
【0015】一度、標的DNAポリメラーゼをコードす
るDNAが単離したら、それを使用して、標的DNAポ
リメラーゼの商業的な量を産生する目的で発現ベクター
類を作製することができる。これに関して、本発明は更
に、このDNAポリメラーゼをコードするDNA配列中
に存在する任意の介在ヌクレオチド配列類もしくはイン
トロン類を、同定、位置決定、及び、除去することによ
る、標的DNAポリメラーゼの発現レベルを増加させる
方法をも提供する。以下に記載するように、大腸菌内に
おいては特定のイントロン類はスプライシングされて
(切り出されて)くるものの、組換えDNAポリメラー
ゼの発現を、大腸菌内における発現の以前のこのような
介在ヌクレオチド配列の除去により増幅させることがで
きる。
【0016】発明の詳細な説明 本発明のある好ましい実施態様に従って、古細菌から組
換えDNAポリメラーゼを産生する方法が提供される。
好ましい方法は、1)標的固体菌からゲノムライブラリ
ーを形成する、2)適切な宿主細胞を形質転換もしくは
トランスフェクションさせる、3)i)形質転換もしく
はトランスフェクトさせた宿主細胞からのDNAを、
T.リトラリスからのDNAポリメラーゼをコードする
DNAに対してハイブリッド形成するDNAプローブと
反応させるか、あるいは、ii)形質転換もしくはトラ
ンスフェクトさせた宿主細胞からの抽出物を、T.リト
ラリスDNAポリメラーゼと交差反応する抗体プローブ
と反応させるか、のいずれか、4)DNAプローブに対
してハイブリッド形成するか、あるいは、T.リトラリ
ス特異的抗体と交差反応するかのいずれかである、段階
3の形質転換もしくはトランスフェクトさせた細胞を、
熱安定性DNAポリメラーゼ活性についてアッセイする
ことを含む。
【0017】前述の方法は、古細菌からの組換えDNA
ポリメラーゼ類の産生、並びに、当該ポリメラーゼ類を
コードするDNAの単離を考慮にいれている。
【0018】他の好ましい実施態様に従い、古細菌から
の組換えDNAポリメラーゼ類の発現を増幅させるため
の方法が提供される。先に記載したように、古細菌から
のDNAポリメラーゼをコードするDNAは、標的組換
えDNAポリメラーゼの発現を複雑にすることができる
1つもしくは複数のイントロンを所有することができ
る。発現系の作製以前のこれらのイントロン類の位置決
定及び除去により、イントロンがその宿主細胞内で標準
的にスプライシングされてくる場合でさえも、標的DN
Aポリメラーゼの発現を増幅させることが発見された。
以下により詳しく論議しているように、イントロンは、
数々の方法において同定及び除去することができる。特
に、T.リトラリスのイントロンは、ピロコッカスのよ
うな他の属の古細菌と、DNAレベルにおいて実質的な
相同性を共有することも発見した。この事実の見識によ
り、以下により詳しく記載されている方法によるイント
ロンの同定、位置決定、及び、除去が容易になるはずで
ある。
【0019】本発明の実際の特定の実施態様の実施に当
たり、i)T.リトラリスDNAポリメラーゼをコード
するDNAに対してハイブリッド形成するDNAプロー
ブ、あるいは、ii)T.リトラリスDNAポリメラー
ゼと交差反応する抗体、のいずれかを利用することが好
ましい。DNAプローブを、T.リトラリスDNAポリ
メラゼーをコードするDNA配列に基づいて作製するこ
とが好ましく(Fig.6を参照せよ)、一方、抗体プロー
ブは、精製したT.リトラリス酵素そのもの自体から作
成することが好ましい。本発明の方法に従い、当然のこ
とながら、他の源の古細菌からのDNAポリメラーゼも
しくはそのDNAを基にしてプローブ類を作製すること
ができる。しかしながら、このようなプローブ類を作製
するのに用いる好ましいDNAポリメラーゼ及びDNA
は、T.リトラリスからのものである。
【0020】天然のT.リトラリスDNAポリメラーゼの産生 T.リトラリスDNAポリメラーゼは、T.リトラリス
株NS−Cから取得可能である(DSM No. 5473、こ
の試料は、アメリカン タイプ カルチャーコレクショ
ンに、ATCC受託番号No. 55233 として、1991年9月
17日に寄託してもある)。T.リトラリスは、198
5年、イタリア、ナポリ付近の海底熱火道から単離され
た。この生物、T.リトラリスは、極度に好熱性である
イオウ代謝性の古細菌であり、55℃と98℃との間に
増殖範囲を有する。Neuner、etal.、Arch. Microbiol.
(1990)。
【0021】天然の蛋白質を回収するために、T.リト
ラリスを、Belkin、et al.、Arch Microbiol. (1985)
142: 181−186 、により記載されている技術のような任
意の適切な技術にを用いて増殖させることができ、その
開示は、引用文献として本明細所内に取り込んである。
簡潔には、10mg/ml のイオウ及び0.01Mのシステ
インを含む先に記載した培地中で、15ml中のねじ蓋式
の試験管内で、95℃で2日間、細胞を増殖させる。よ
り大量の細胞が必要な場合には、1リットルのねじ蓋式
容器を用い、かつ、滅菌後に、新しく作成した10mlの
培養物で接種し、更に、90−95℃で、2日間増殖さ
せる。
【0022】細胞増殖後、以下に示すような多段階法を
使用して、酵素の単離及び精製のための、ある好ましい
方法を行う:最初に、細胞を、もし凍結しているのであ
れば解凍させて、バッファーA(10mMのKPO4 バッ
ファー、PH7.4;1.0mMのEDTA、1.0mMの
β−メルカプトエタノール)のような適切なバッファー
中に懸濁し、超音波処理し、更に、遠心する。その後、
この上清を、アフィゲル ブルー カラム(バイオラド
社)のような、核酸に結合する蛋白質類について高い親
和性を有するカラムを通過させる。カラムの数倍の容積
の約7.0のpHの低塩バッファーでカラムを洗浄する
ことにより、T.リトラリスの上清溶液中に存在する核
酸、及び、カラムを通過する多くの蛋白質を除去する。
洗浄後、バッファーA中に含まれる0.1から2.0M
のNaClのような直線濃度勾配で酵素を溶出する。ピ
ークのDNAポリメラーゼ活性を透析し、更に、フォス
フォセルロースカラムに供する。カラムを洗浄し、更
に、バッファーA中に含まれる0.1から1.0MのN
aClのような直線濃度勾配液で酵素を溶出する。DN
Aポリメラーゼ活性を含む分画を一まとめにし、バッフ
ァーAに対して透析し、更に、高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)のモノ−Qカラム(陰イオン交換体)
に供する。酵素を再び、バッファーA中に含まれる0.
05から1.0MのNaClのような直線濃度勾配液で
溶出する。熱安定性ポリメラーゼ活性を有する分画を一
まとめにし、透析し、更に、HPLC モノ−Sカラム
(陽イオン交換体)に供する。酵素を再び、バッファー
A中に含まれる0.05から1.0MのNaClのよう
な直線濃度勾配液で溶出する。この段階においては、酵
素は約50%の純度である。この酵素を、50mMのNa
Clを補足したバッファーAに対して繰り返し透析する
ことによる混入低分子量蛋白質の沈殿化により更に精製
することができる。T.リトラリスから取得することが
できるDNAポリメラーゼの見かけの分子量は、97,
400ダルトンの分子量が割り当てられているフォスフ
ォリラーゼBのような既知の分子量の蛋白質標準物類と
比較した場合、約90,000から95,000ダルト
ンの間である。しかしながら、極端な好熱性生物からの
蛋白質として、T.リトラリスDNAポリメラーゼは、
完全な変性の不首尾もしくは他の固有な性質のため常態
でない比較分子量に電気泳動されることがあることを念
頭に置くべきである。本発明の熱安定性酵素の正確な分
子量は、T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子のコ
ーディング配列から決定することができる。溶出産物の
分子量は、例えば、蛋白質分子量マーカー類を使用する
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)によるような任意の技術により決定することが
できる。
【0023】ポリメラーゼ活性を、DNAアーゼ処理し
た、もしくは、活性化したDNA内へ、放射能でラベル
したデオキシヌクレオチド類の取り込みにより測定する
ことが好ましく、その後、連続的に、DNA基質から取
り込まれなかったデオキシヌクレオチド類を分離する
と、ポリメラーゼ活性は、そのDNAを含む酸可溶性分
画における放射能の量に比例する。Lehman、I.R.、et a
l.、J. Biol. Chem.(1958) 233: 163 、この開示は、
本明細書内に、引用文献として取り込んである。
【0024】100℃における本発明のDNAポリメラ
ーゼの半減期は約60分である。このDNAポリメラー
ゼの熱安定性もしくは半減期は、ある1種類の放射能ラ
ベルしたデオキシヌクレオチドを除く全てのアッセイ成
分(バッファー、MgCl2、デオキシヌクレオチド
類、及び、活性化したDNA)の存在下において、興味
の対照である温度において酵素を予めインキュベートす
ることにより決定する。4−180分の範囲に渡る予め
決定した時間間隔において、小分画を除去し、先に記載
した方法を用いてポリメラーゼ活性についてアッセイす
る。
【0025】そのDNAポリメラーゼの100℃におけ
る半減期は又、共通には、TritonX−100(ローム&
ハース社)としてしられている非イオン性洗剤オクトオ
キシノール、もしくは、蛋白質のウシ血清アルブミン
(BSA)のような安定化剤類の存在下において測定す
ることもできる。非イオン性洗剤ポリオキシエチル化し
た(Tween 20)ソルビタンモノラウリン酸(Tween 2
0、ICI アメリカズ社)、及び、エトキシル化した
アルキルフェノール(ノニル)(イコノール NP−4
0、BASF ワイアンドット社)を使用することもで
きる。安定化剤を使用して、反応混合物に対して添加す
る少量の酵素を、試験管の側面への吸着、あるいは、そ
の酵素活性を低減させるある種の方法における構造的立
体配座の変化から回避させる。安定化剤TritonX−10
0もしくはBSAの存在下における、T.リトラリスか
ら取得可能なDNAポリメラーゼの100℃における半
減期は、約95分である。
【0026】組換えT.リトラリスDNAポリメラーゼの調製 T.リトラリスDNAポリメラーゼを又、この酵素をコ
ードする遺伝子をT.リトラリスのゲノムDNAからク
ローン化した時の組換えDNA技術により産生させるこ
ともできる。T.リトラリスDNAポリメラーゼについ
ての完全なコーディング配列を、約14kbのBamHI 制限
断片上のバクテリオファージNEB#619から誘導す
ることができる。このファージは、1990年4月24
日にアメリカン タイプ カルチャー コレクション
(ATCC)に寄託し、受託番号ATCC40795を
有する。
【0027】T.リトラリスDNAポリメラーゼの組換
え型の産生は、以下に示す段階を含む:ポリメラーゼの
活性型をコードするDNAを、天然型で、あるいは、他
の配列との融合物としてのいずれかにおいて単離する
が、後者の場合、他の配列は天然型のポリメラーゼから
開裂により除去されてよいし、あるいは、そうでなくと
もよく、かつ、ポリメラーゼ活性に影響を与えてもよ
く、あるいは、与えなくてもよい。次に、この遺伝子
を、原核生物もしくは真核生物宿主/ベクター系のいず
れかにおいて、発現のための適切な調節配列類に遺伝子
操作により結合させることができる。このベクターは、
適切な宿主内における形質転換及び保持に必要な全ての
機能をコードすることが好ましく、かつ、T.リトラリ
スポリメラーゼ発現についての選択的なマーカー類及び
/又は調節配列類をコードすることができる。活性な組
換え熱安定性ポリメラーゼを、連続的にもしくは発現の
誘導後のいずれかに、形質転換させた宿主生物類により
産生させることができる。活性な熱安定性ポリメラーゼ
を、宿主細胞内から、あるいは、その蛋白質が細胞膜を
通して分泌される場合には培養培地から、のいずれかで
回収することができる。
【0028】先の段階の各々を数々の方法において実行
することができる一方、T.リトラリスDNAポリメラ
ーゼをコードするDNAのクローニングについては、大
腸菌内のそれ自身の調節配列からのポリメラーゼの発現
の結果、ポリメラーゼ遺伝子の不安定性、ポリメラーゼ
遺伝子の高頻度の突然変異、遅い細胞増殖、及び、幾分
かの度合いの細胞死亡率を生じる。
【0029】理論には縛られたくないものの、この不安
定性は、少なくとも、Fig.6のヌクレオチド1776か
ら3389までのものからT.リトラリスDNAポリメ
ラーゼ遺伝子を切り離す1614bpのイントロン、及
び、ヌクレオチド3534から4703までのものから
T.リトラリスDNAポリメラーゼを切り離す第2の1
170bpのイントロンのためであると考えられている。
以下に論議するように、介在配列がやはり他の古細菌か
らのDNAポリメラーゼをコードするDNA中に存在す
ると考えられている。数々の古細菌からのイントロン類
もやはり、T.リトラリスDNAポリメラーゼをコード
するDNA中に存在するイントロン類に対する実質的な
相同性を共有するものと考えられており、これにより、
本発明のある側面に従い、それらの同定、位置決定、及
び、除去が容易になる。
【0030】イントロンは、遺伝子のコーディング領域
を分断する介在性DNAの広がりである(蛋白質のコー
ディング領域はエキソンと呼ばれている)。イントロン
は、ナンセンス配列を含むことができるか、あるいは、
蛋白質をコードすることができる。機能を有する蛋白質
を作成する目的で、このイントロンは、成熟したmRN
Aの蛋白質への翻訳以前に、前−mRNAの外へスプラ
イスされる必要がある。イントロンは、本来は、真核生
物内に同定されたが、最近、特定の原核生物内において
記載されている(例えば、Krainer and Maniatis(Tran
scription andSplicing(1988) B.D. Hames and D.M.
Glover 、eds. IRL Press、Oxford andWashington 、D.
C. pp.131 −206 )を参照せよ)。イントロンを有する
遺伝子がmRNAに転写される場合、そのイントロンが
自己スプライシングを行い、成熟したmRNAを形成す
るか、あるいは、前−mRNAからそのイントロンを除
去するのには細胞因子が必要であることができる。同著
者。細菌のイントロンは、しばしば、スプライシングに
遺伝子特異的な補助因子を必要とする。例えば、あるバ
シルスのイントロンは、大腸菌内ではスプライシングさ
れることができない。(同著者)。
【0031】しかしながら、T.リトラリスDNAポリ
メラーゼをコードする遺伝子内に含まれる介在DNA配
列が転写されかつ翻訳され、更に、そこから産生される
ペプチドはmRNAレベルではなく蛋白質レベルでスプ
ライシングされることを示唆するある種の証拠が存在す
る。従って、スプライシングが行われる場所如何によら
ず、大腸菌内におけるT.リトラリスDNAポリメラー
ゼの発現の目的では、大腸菌系内におけるポリメラーゼ
の発現に先立ち、介在配列を削除することが好ましい。
当然のことながら、例えば、あるサーモコッカス系のよ
うな、イントロンをスプライシングするための適切な因
子を所有する系内においてT.リトラリスDNAポリメ
ラーゼを含む組換えベクターを発現させることができ
る。
【0032】又、T.リトラリスの熱安定性ポリメラー
ゼ発現が、クローニング及び発現の最中に、大腸菌内で
強固に調節されることも好ましい。本発明を実施するの
に有用なベクター類は、以下に示す調節要所の幾つかも
しくは全てを提供することにより、様々な度合いに調節
されたT.リトラリスポリメラーゼ発現を提供するはず
である:(1)ポリメラーゼの出発点に直接近接してい
るか、あるいは、融合蛋白質類としてのいずれかの、プ
ロモーター類もしくは転写開始部位、(2)遺伝子発現
のスイッチを入れたり切ったりするのに使用することが
できるオペレーター類、(3)翻訳の改善のためのリボ
ゾーム結合部位、及び、(4)安定性の改善のための転
写もしくは翻訳停止部位。T.リトラリスポリメラーゼ
のクローニング及び発現に使用される適切なベクターに
は、例えば、ファージ及びプラスミド類がある。ファー
ジの例には、λgtll(プロメガ社)、λ Dash (ストラ
ッタジーン社)、λ ZapII(ストラッタジーン社)があ
る。プラスミド類の例には、pBR322、pBluescript (ス
トラッタジーン社)、pSP73 (プロメガ社)、pGW7(A
TCC No. 40166 )、pET3A (Rosenberg 、et al. G
ene 、(1987) 56:125−135 )、及び、pETllC(Metho
ds in Enzymology (1990) 185: 60−89)がある。
【0033】形質転換及び感染 形質転換、ファージの感染、及び、細胞培養について
は、標準的な観察記録が存在する。Maniatis、et al.、
Molecular Cloning: A Laboratory Manual(1982)。プ
ラスミドの形質転換について使用することができる多数
の大腸菌株には、JM101 (ATCC No. 31343 )、 X
L1(ストラッタジーン社)、 RRI(ATCC No. 3134
3 )、及び、BL21(DE3 ) plysS(Methods in Enzymol
ogy (1990)、上述)がある。この株の中でラムダーフ
ァージについて使用することができるのは、大腸菌株XL
1 、ER1578、及び、ER1458(Raleigh 、et al.、N.A. R
esearch (1988) 16: 1563 −1575)であり、更に、Y1
089 を、ラムダーgtllの溶原性について使用することが
できる。Y1089 において一時的な溶原物質を調製する場
合(Arasu 、et al.、Experimental Parasitology (19
87) 64: 281−289 )、1種類の大量のファージによ
り、もしくは、溶菌性宿主と共に培養することのいずれ
かにより、培養物をラムダーgtllの組換えファージで感
染させる。この感染したY1089 細胞は、誘導物IPTG
の存在下において、37℃で増殖させるのが好ましく、
その結果、溶菌欠損性の宿主/ファージ系内に、組換え
蛋白質を作製する。
【0034】ゲノムDNA発現ライブラリーの作製及び
熱安定性ポリメラーゼのスクリーニング 特別な遺伝子のスクリーニングの最も一般的な方法は、
(1)他の生物からの相同性を有する遺伝子に対してハ
イブリッド形成させることによるもの、(2)宿主の欠
損の相補性による活性の選択、(3)特異的抗体類との
反応性、あるいは、(4)酵素活性についてのスクリー
ニング、である。T.リトラリスについては抗体の検出
が好ましく、それは、その方法は本来、完全に活性な酵
素ではなく酵素の一部分の発現のみを必要とするためで
ある。大腸菌内でのT.リトラリスポリメラーゼ遺伝子
の不安定性が、他の方法による成功することをより困難
なものにしてしまっている。
【0035】T.リトラリスのDNAを、ランダムな断
片としてか、あるいは、制限酵素断片としてのいずれか
で、ゲノムライブラリーを作製するのに用いることがで
きる。後者の方法が好ましい。Eco RI部分を、T.リト
ラリスのゲノムDNAから、Maniatis et al. 、Molecu
lar Cloning: A Laboratory Manual(1982)に記載して
あるような標準的なDNA制限技術、この開示は本明細
書内に引用文献として取り込んである、を使用して調製
することが好ましい。BamHI 、NruI、及び、Xbalのよう
な他の制限酵素を使用することもできる。
【0036】複数の方法を、抗体を使用してプラスミド
類及びファージの両方をスクリーニングするのに利用す
ることができるものの(Young and Davis 、PNAS、(19
83)80: 1194 −1198)、本発明に従い、ファージ系が
より良く作用する傾向にあり、かつ、そのため、最初の
ライブラリに好ましいということを発見した。T.リト
ラリスの調節領域が大腸菌内において機能しているかど
うかが不確実であるため、ラムダーgtll及びラムダーZa
pII cのような全ての必要な発現調節領域を供給するフ
ァージベクターが好ましい。T.リトラリスDNAの、
ラムダーgtllのEco RI部以内へのクローニングにより、
T.リトラリスポリメラーゼを、ベーター−ガラクトシ
ダーゼとの融合蛋白質として、あるいは、それ自身の内
因性プロモーター類から、のいずれかで、発現させるこ
とができる。
【0037】一度形成すれば、この発現ライブラリー
を、マウスの坑−T.リトラリスDNAポリメラーゼ抗
体で、Young and Davis 、PNAS(1983)、により記載さ
れているもののような、標準的な抗体/プラーク法を使
用してスクリーニングする。
【0038】発現ライブラリーをスクリーニングするた
めに使用される、マウスの坑−T.リトラリスDNAポ
リメラーゼ抗体は、Harlow and Cane 、Antibodies: A
Laboratory Manual (1988) CSH Press、において記載
されている技術、この開示は引用文献として本明細書内
に取り込んである、のような、標準的な技術を使用して
調製することができる。大半の血清が大腸菌の蛋白質と
反応するため、発現ライブラリーをスクリーニングする
場合、T.リトラリスポリメラーゼ抗血清を標準的な方
法により大腸菌の蛋白質に対して予め吸着させて、バッ
クグラウンドの反応性を低減させることが好ましい。坑
−T.リトラリスポリメラーゼ抗体と反応するファージ
を選択し、プラーク精製する。Young and Davis 、PNAS
(1983)、上述。
【0039】その後、一部分もしくは完全な遺伝子をコ
ードする、T.リトラリスDNAポリメラーゼDNA
を、例えば、pBR322、 pBluescript、 M13、もしくは、
pUC19においてサブクローン化することができる。希望
であらば、このDNA配列を、例えば、サンジャーのジ
デオキシ鎖−末端配列決定法(Sanger、F.、Nicklen 、
S. & Coulson、A.R. PNAS (1977) 74: 5463 −5467)
により決定することができる。
【0040】T.リトラリスDNAポリメラーゼをコー
ドするDNAの同定及びT.リトラリスDNAポリメラ
ーゼの発現 T.リトラリスDNAポリメラーゼをコードするDNA
配列が取得されたことを決定するためには数々の方法が
存在する。これらは、例えば、天然の蛋白質に対して組
換えDNAにより産生された蛋白質の実際もしくは演繹
したアミノ−末端配列を比較すること、あるいは、その
組換えDNAが、天然のT.リトラリスDNAポリメラ
ーゼに特異的な抗体に結合する蛋白質を産生しているか
どうかを決定することを含む。更に、Wang、et al.、FA
SEB Journal (1989) 3: 20、は、DNAポリメラーゼ
配列の特定の領域が、多くの種間において高度に保存さ
れていることを示唆している。結果としては、クローン
化した遺伝子産物の予想されるアミノ酸配列を、ヒトの
DNAポリメラーゼ及び大腸菌ファージT4DNAポリ
メラーゼのような既知のDNAポリメラーゼのアミノ酸
配列と比較することによって、散在するこれらの相同性
配列を同定すれば、この組換えDNAが実際にDNAポ
リメラーゼをコードしていることの強い証拠が得られ
る。一度同定しさえすれば、T.リトラリスDNAポリ
メラーゼをコードするDNA配列を、例えば、pET3A 、
pBluescript 、あるいは、pUC19 のような大腸菌に由来
するプラスミド、pUB110、pTP5、及び、pC194 のような
バシルス・スブチリス(Bacillussubtilis )に由来す
るプラスミド類、pSH19 、及び、pSH15 のようなイース
ツに由来するプラスミド類、ラムダーファージのような
バクテリオファージ、アグロバクテリウム・ツメファキ
エンス(Agrobacterium tumefaciens )のような細菌、
レトロウイルスのような動物性ウイルス類、及び、バク
ロバイラスのような昆虫ウイルス類、のような適切な発
現ベクター内へクローン化することができる。
【0041】先に記載したように、本発明に従い、T.
リトラリスDNAポリメラーゼをコードするDNAは、
以下に示す2つのイントロンを含むことが発見された:
i)Fig.6において、ヌクレオチド1776から338
9へ広がる、1614bpのイントロンもしくは介在配
列、及び、ii)Fig.6において、ヌクレオチド353
4から4703に広がる、1170bpのもの。この11
70bpのイントロンはエンドヌクレアーゼをコードし
ており、かつ、大腸菌内で自己スプライシングすること
が発見されている。大腸菌のような宿主細胞内における
過剰発現に先立ち、1614及び1170bpのイント
ロンの両方をコードするDNA配列を除去することが好
ましい。たとえ、この1170bpのイントロンが大腸
菌内でスプライシングされるとしても、このイントロン
を含まない発現ベクターは、結果として、希望するポリ
メラーゼの産生を増大することが発見されている。
【0042】一般的に、一度イントロンを同定し、更
に、ヌクレオチド配列における位置決定を行ったら、D
NA配列を除去するため、つまり、イントロンをインビ
トロにおいてスプライシングさせるために使用すること
ができる、当業者にしられている数々の方法が存在す
る。ある方法は、スプライシングの接合点もしくは除去
されるべき領域付近に存在するコーディング領域におけ
る非反復の制限酵素部位を同定することを必要とする。
二重らせんオリゴマーを合成して、2つの制限断片の間
の間隙を橋渡しさせる。アミノ末端制限断片、橋渡しし
ているオリゴ及びカルボキシ末端制限断片からなる三点
結合連鎖反応により、イントロンを除去した完全な遺伝
子が生産される。
【0043】他の方法は先に記載した方法の改良法であ
る。過半数のイントロンを、イントロン内に含まれる非
反復部位と共に、コーディング配列の境界に近くで制限
酵素で切断することにより除去する。過半数のイントロ
ンが除去された直線のプラスミドを互いに結合させる。
1本鎖のファージを、pBluescript ベクターの組換え体
から、f1ヘルパーファージIRI との重感染により作製す
る。希望する最終配列を有する1本鎖のオリゴマーを合
成し、更に、部分的にイントロンを除去したファージD
NAに対してアニールする。残りのイントロンをこのよ
うにループ状にして追い出す。大腸菌株CJ236内で
もともとのファージを産生させることにより、突然変異
誘発のKunkel法、Methods in Enzymology 154:367 (19
87)を使用して、完全にイントロンが除去された作製物
類を選択することができる。
【0044】イントロンを除去するのに用いることがで
きる更に他の方法は、DNA増幅を使用する。例えば、
Maniatis、et al.、Molecular Cloning:A Lboratory Ma
nual、(1989) Vol. 2 、2nd edition 、この開示は引
用文献として本明細所内に取り込んである、を参照せ
よ。簡潔に言うと、プライマーを作製して、遺伝子のア
ミノ及びカルボキシル半部分を増幅させ、その後、つな
ぎ合わせる。
【0045】先に論議した方法を使用してイントロンを
インビトロにおいて除去する場合、天然のスプライス結
合点は未知であってよい。従って、当業者は、活性酵素
の産生を結果として生じる数々の人工的スプライス結合
点が存在し得ることが予測できる。
【0046】一度イントロンを除去すれば、T.リトラ
リスの過剰発現を、例えば、T.リトラリスDNAポリ
メラーゼをその内因性調節成分類から分離し、更にその
後、T7発現ベクターのような非常に強固に調節される
プロモーターに対してこのポリメラーゼ遺伝子を遺伝子
操作を利用してつなぎ合わせることにより実行すること
ができる。本明細書内に引用文献として取り込んであ
る、Rosenberg 、et al.、Gene(1987) 56:125 −135
、を参照せよ。強力なプロモーターの挿入は、T.リ
トラリスDNAポリメラーゼ遺伝子の両端付近の都合の
良い制限標的、及び、プロモーター付近のベクターにお
ける和合性の制限標的を同定するか、あるいは、部位特
異的突然変異誘発(Kunkel(1984)、上述)を使用して
制限標的を作製し、更に、強力なプロモーターの転写及
び翻訳調節下におけるもののような向きで、ベクター内
にこのT.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子を転移
させることにより行うことができる。
【0047】T.リトラリスDNAポリメラーゼをやは
り、T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子の上流に
位置する強力な結合部位を利用することにより過剰発現
させて、その遺伝子の発現を増大させることもできる。
本明細書中に引用文献として取り込んである、Shine an
d Dalgarno、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1974) 71:
1342 −1346を参照せよ。
【0048】この組換えベクターを、形質転換及びファ
ージ感染のための標準的な技術を使用して、適切な宿主
内へ導入する。例えば、Cohen 、S.N.、PNAS(1972) 6
9: 2110 、この開示は引用文献として取り込んである、
により記載されているように、塩化カルシウム法が大腸
菌のために使用されている。バシルスの形質転換は、Ch
ang 、S.、et al.、Molecular and General Gnetics
(1979) 168: 111 、この開示は引用文献として取り込
んである、に従って行う。イーストの形質転換は、Pare
nt、et al.、 Yeast(1985) 1: 83−138 、この開示は
引用文献として取り込んである、に従って行う。特定の
植物性細胞類は、Shaw、C.H.、et al 、Gene(1983) 2
3: 315、この開示は引用文献として取り込んである、に
記載されている方法に従って、アグロバクテリウム・ツ
メファキエンス(Agrobacterium tumefaciens )で形質
転換させることができる。動物性細胞類の形質転換は、
例えば、Virology(1973) 52: 456、この開示は引用文
献として取り込んである、に記載されている方法に従っ
て行う。昆虫細胞類の形質転換は、例えば、Biotechnol
ogy (1988) 6: 47、この開示は本明細書中に引用文献
として取り込んである、において記載されている方法に
従って行う。
【0049】形質転換体を、使用する宿主細胞によっ
て、このような細胞に適する標準的な技術を使用して培
養する。例えば、大腸菌の培養については、細胞を、LB
培地(Maniatis、 上述)中で、30℃から42℃で、中
間log もしくは定常相にまで増殖させる。
【0050】このT.リトラリスDNAポリメラーゼ
を、形質転換した細胞類の培養物から、例えば、培養し
た細胞類もしくは培養溶液からのいずれかからの抽出に
より単離及び精製することができる。
【0051】T.リトラリスDNAポリメラーゼを培養
した細胞から抽出する場合、この細胞を、培養後、例え
ば遠心のような当業者に知られている方法により回収す
る。その後、回収した細胞を適切なバッファー溶液に懸
濁し、超音波処理、リゾチーム、及び/又は、凍結融解
により破壊する。T.リトラリスDNAポリメラーゼを
含む未精製抽出物は、遠心、及び/又は、濾過により取
得する。
【0052】T.リトラリスDNAポリメラーゼが培養
溶液中に、つまり、単独であるいはマルトース結合性蛋
白質のような分泌性蛋白質との融合蛋白質として分泌さ
れる場合には、上清を当業者に知られている方法により
細胞から分離する。
【0053】培養上清もしくは細胞抽出物中に含まれる
T.リトラリスDNAポリメラーゼの分離及び精製は、
先に記載した方法、あるいは、既知の分離及び精製法の
適切な組み合わせにより行うことができる。これらの方
法には、例えば、塩析法及び溶媒沈殿法のような溶解度
を利用する方法、透析法、限界濾過法、ゲル濾過法、及
び、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法のよう
な分子量の違いを利用する方法、イオン交換カラムクロ
マトグラフィーのような電子荷電における違いを利用す
る方法、親和性クロマトグラフィーのような特異的親和
性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーの
ような疎水度における違いを利用する方法、及び、等電
点電気泳動法のような等電点における違いを利用する方
法がある。
【0054】この組換え酵素の単離及び精製に好ましい
ある方法は、域下に示すような多段階過程を使用して行
う。
【0055】最初に、細胞を、凍結してあれば解凍し
て、バッファーA(100mMのNaCl、25mMのトリ
ス pH7.5、0.1mMのEDTA、10%のグリセ
ロール、0.05%のTritonX−100)のような適切
なバッファー中に懸濁させ、溶菌及び遠心する。清澄化
した未精製抽出物を、その後約30分間、75℃に加熱
する。変成した蛋白質類を遠心により除去する。この上
清を、その後、アフィゲル ブルー カラム(バイオラ
ド社)のような、核酸に結合する蛋白質類について高い
親和性を有するカラムを通す。上清溶液中に存在する核
酸及び多くの蛋白質類がカラムを通過し、そのため、こ
れらを、pHが約7.0である低塩バッファーをカラム
容積の数倍容量を用いてカラムを洗浄することにより除
去する。洗浄後、0.1M から1.5M のNaClバッ
ファーAのような直線濃度勾配液で酵素を溶出する。活
性分画を一まとめにし、透析し、更に、フォスフォセル
ロースカラムに供する。このカラムを洗浄し、DNAポ
リメラーゼ活性を、バッファーB(100M のNaC
l、15mMのKPO4 、0.1mMのEDTA、10%の
グリセロール、0.05%のTritonX−100、pH
6.8)中に含まれる0.1から1.0M のNaClの
直線濃度勾配液で溶出する。複数の分画を回収し、更
に、各分画にBSAを添加する。DNAポリメラーゼ活
性を有する分画を一まとめにする。取得されるT.リト
ラリスDNAポリメラーゼを、先に論議した標準的な産
物精製技術を使用して更に精製することができる。
【0056】T.リトラリスDNAポリメラーゼの安定化及び用途 長期保存のために、本発明の熱安定性酵素を以下に示す
バッファー中で保存する:−20℃における、0.05
M のNaCl、0.01M のKPO4 (pH7.4)、
0.1mMのEDTA、及び、50%のグリセロール。
【0057】本発明のT.リトラリスDNAポリメラー
ゼを、このような酵素が必要であるかあるいは希望され
るような任意の目的に使用することができる。例えば、
cDNAのクローニングにおける第2鎖のcDNA合成
を含む組換えDNA技術、及び、DNA配列決定であ
る。Maniatis、et al.、上述。
【0058】本発明のT.リトラリスDNAポリメラー
ゼを化学的もしくは遺伝子的に修飾して3′−5′エキ
ソヌクレアーゼ機能を不活性化させることができ、か
つ、例えば、DNA配列決定のように、そのような、修
飾した酵素が希望される任意の目的に使用することがで
きる。
【0059】例えば、遺伝子的に修飾したT.リトラリ
スDNAポリメラーゼを、T.リトラリスDNAポリメ
ラーゼ遺伝子をランダムに突然変異誘発させ、その後、
ポリメラーゼ活性を消失せずにエキソヌクレアーゼ活性
を消失したこれらの突然変異体をスクリーニングするこ
とにより単離することができる。それに代わる方法とし
ては、遺伝子的に修飾したT.リトラリスDNAポリメ
ラーゼを、Kunkel、T.A.、 PNAS (1985) 82: 488−49
2 、この開示は本明細書中に引用文献として取り込んで
ある、において記載されている部位特異的突然変異誘発
を使用することにより単離することが好ましい。
【0060】更に、本発明のT.リトラリスDNAポリ
メラーゼを、やはり、例えば、米国特許番号4,683,195
、 4,683,202、及び、4,800,159 において開示されて
いる方法により、DNAを増幅させるのに使用すること
もできる。
【0061】ゲノムDNAライブラリーの作製及びT.
リトラリス以外の古細菌からの熱安定性ポリメラーゼの
スクリーニング 本発明に従い、T.リトラリスのDNAポリメラーゼ遺
伝子から調製したDNAプローブ、及び/又は、マウス
の坑−T.リトラリス坑血清との交差反応性を利用す
る、標的古細菌ゲノムDNAライブラリーのクロスハイ
ブリッド形成は、メサノコッカス(Methanococcus )、
メサノバクテル(Methanobacter )、メサノミクロビウ
ム(Methanomicrobium)、ハロバクテル(Halobacte
r)、セルモプラズマ(Thermoplasma)、セルモコッカ
ス(Thermococcus)、ピロコッカス(Pyrococcus)、及
び、その類のものの(例えば、Woese 、C.、Mrobiologi
cal Reviews 、pp. 221 −270 、June 1987 、この開示
は本明細書中に引用文献として取り込んである、を参照
せよ)ような他の古細菌からのDNAポリメラーゼ遺伝
子の同定及び単離を考慮に入れている。
【0062】一般的に、他の古細菌からのDNAは、先
に記載した方法を使用して単離することができる。T.
リトラリスと同様、一度単離したこの古細菌のDNA
も、ランダムな断片としてか、あるいは、制限酵素断片
としてのいずれかで、ゲノムライブラリーを作製するの
に使用することができる。後者の方法が好ましい。この
方法は、一般的に、多様な制限酵素類で標的ゲノムDN
Aを切断し、かつ、例えば、T.リトラリスDNAプロ
ーブを用いて、そのように形成される断片を探索するこ
とを含む。その後、ライブラリーを、単一のハイブリッ
ド形成を産生し、かつ、標的のDNAポリメラーゼの分
子量を少なくともコードするのに充分な、約4Kbもし
くはそれを上回る大きさである、1種類もしくは複数の
酵素から形成する。
【0063】複数の方法を、抗体類もしくはDNAプロ
ーブ類を使用するプラスミド類及びファージの両方をス
クリーニングするのに使用することができるものの(Yo
ungand Davis 、PNAS(1983) 80: 1194 −1198; Mania
tis et al. 、上述)、本発明に従い、ファージ系が良
く作用する傾向にあり、かつ、そのため、最初のライブ
ラリーに好ましいことを発見した。
【0064】コロニーもしくはプラークハイブリッド形
成法(Maniatis、et al.、上述)を使用して、あるい
は、抗体プラークDNA法を使用して、ゲノムライブラ
リーをスクリーニングすることができる。コロニーもし
くはプラークハイブリッド形成法においては、DNAプ
ローブを、例えば、T.リトラリスのような関連する生
物からのポリメラーゼ遺伝子をラベル化することにより
形成することができる。このゲノムライブラリーを、以
下に記載されているような各場合において実験的に決定
することができる希望する緊縮度による条件化におい
て、ラベル化されたプローブとハイブリッド形成させ
る。
【0065】具体的には、各古細菌は、標的DNAの検
出度を最大限にする目的で、それ特有の一連のハイブリ
ッド形成条件を必要とするものの、数々の基本的方法に
従うことができる。至適ハイブリッド形成条件及びプロ
ーブは、例えば、多様な温度において試験的なサザンブ
ロッティングを行うことにより、各標的古細菌について
決定することができる。ハイブリッド形成は、典型的に
は、4×SET 、0.1M のリン酸ナトリウム、pH7.
0、0.1%のNaピロリン酸、0.1%のSDS、1
×デンハルズ溶液(Maniatis、上述)中で行う。プロー
ブの選択も、T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子
のサイズ及び領域に関連して変えることができる(Fig.
6)。至適プローブは、大きいもしくは小さいDNA断
片、あるいは、オリゴマー類さえ用いて、先に記載した
ように、試験的なサザンブロッティングを行うことによ
り、標的古細菌について決定することができる。例え
ば、T.リトラリスの介在配列の一つの中に完全に含ま
れるプローブを選択して、標的古細菌のDNAポリメラ
ーゼ遺伝子内における介在配列をスクリーニングするこ
とができるか、そうでなければ、このようなプローブ
は、成熟したポリメラーゼコーディング領域に限定され
ることがある。
【0066】一般的には、このDNAプローブは、Fig.
6の完全な配列であるか、あるいは、その一部分であ
る。このDNAプローブは、少なくとも20ヌクレオチ
ド分の長さであるべきであり、少なくとも約50ヌクレ
オチド分の長さであることが好ましく、少なくとも約1
50ヌクレオチド分の長さであることが最も好ましい。
使用することができる3種類のこのようなDNAプロー
ブは、1.3kb断片(Fig.6のヌクレオチド1から12
74)、1.6kb断片(Fig.6のヌクレオチド1269
から2856)、及び、1.9kb断片(Fig.6のヌクレ
オチド2851から4771)である。
【0067】T.リトラリス同様、標的古細菌のDNA
ポリメラーゼをコードするDNAを、やはり、抗体/プ
ラーク法を使用して取得することもできる。抗体/プラ
ーク法を使用してゲノム発現ライブラリーをスクリーニ
ングする場合、この標的古細菌の調節領域が果たして大
腸菌内で機能するかどうかが未確定であるため、λgtll
及びλZapII のような、全ての必要な発現調節領域を供
給するファージベクター類が抗体スクリーニングには好
ましい。古細菌DNAをλgtllのEcoR I部位のような適
切な部位内へクローン化することにより、λgtll及びλ
ZapII 内におけるベーター−ガラクトシダーゼとの融合
蛋白質として、あるいは、それ自身の内因性プロモータ
ーからのいずれかで、古細菌のDNAポリメラーゼを発
現させることができる。
【0068】一度形成すれば、標的古細菌からの坑−古
細菌DNAポリメラーゼ抗血清で、あるいは、密接に関
連している生物のDNAポリメラーゼに対する抗体によ
り(つまり、T.リトラリス、他の極度な好熱性生物)
Young and David 、PNAS(1983)、上述、により記載さ
れているもののような標準的な抗体/プラーク法を使用
してこの発現ライブラリーをスクリーニングすることが
できる。
【0069】いずれかの方法を使用して、一部分のもし
くは完全な遺伝子をコードする古細菌DNAポリメラー
ゼのDNAを一度同定すれば、その後、例えば、pBR32
2、pBluescript 、 M13、もしくは、pUC19 内でサブク
ローン化することができる。希望であれば、例えば、サ
ンジャーのジデオキシ鎖末端決定法(Sange 、F.、Nick
len 、S. & Coulson、A.R. PNAS (1977)74: 5463−54
67)により決定することができる。
【0070】DNAポリメラーゼをコードするDNAの同定 一度ゲノムDNA発現ライブラリーを作製し、かつ、古
細菌のDNAをコードする標的DNAをDNAプローブ
もしくは抗体交差反応性の使用によりT.リトラリスか
ら同定すれば、T.リトラリスについてのDNAポリメ
ラーゼ配列が、T.リトラリスについて先に記載したよ
うに取得されたことを確証することができる。結果とし
て生じるクローンを、サンジャーのジデオキシ配列決定
法のような標準的な方法により配列決定することができ
る。
【0071】介在配列の同定、位置決定及び除去、及
び、DNAポリメラーゼの過剰発現 本発明の他の側面に従い、他の古細菌からのDNAポリ
メラーゼをコードするDNAもやはり、1つもしくは複
数の介在ヌクレオチド配列もしくはイントロンを含むこ
とを発見した。更に、そのようなイントロンは、T.リ
トラリス中に発見されたイントロンと、実質的な相同性
を共有するばかでなく、それらは同一の位置に存在する
ことを発見した。より具体的には、本発明に従って、イ
ントロンは、T.リトラリス及びピロコッカス(Pyroco
ccus)種の両方のDNAポリメラーゼの遺伝子中におけ
るPol α保存領域モチーフ内に同定されている。理論に
縛られたくはないのであるが、他の古細菌もやはり、そ
れらのDNAポリメラーゼについて、コーディング領域
内に1つもしくは複数の介在配列を所有すると考えられ
ている。これらのイントロンを、2つの方法において同
定することができる。そのイントロンが、T.リトラリ
ス及び/又はピロコッカス sp.のDNAポリメラー
ゼ遺伝子内に位置するイントロンに関連する場合には、
T.リトラリスもしくはピロコッカス sp.のDNA
ポリメラーゼ遺伝子のイントロン配列に由来するDNA
プローブに対する低緊縮度ハイブリッド形成によりそれ
らを同定することができる。2番目には、先に記載した
ように、一度、古細菌のDNAポリメラーゼ遺伝子を同
定及び単離してあれば、そのDNAポリメラーゼ遺伝子
をDNAレベルで配列決定することができ、更に、その
配列を、(1)非類似性断片を同定するために、他のD
NAポリメラーゼと、あるいは、(2)1つもしくは複
数の領域I−VIが存在していないことを探索するため
に、保存されているモチーフと、比較し、次には、存在
していない領域における分断位置の同定を行う。
【0072】一度同定すれば、例えば、先に記載した技
術、及び、T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子内
における2つのイントロンを除去するための実施例にお
ける技術により、そのイントロンをインビトロにおいて
除去することができる。
【0073】以下に示す実施例は、現在実行することが
好ましいという理由のため、本発明の実施態様を説明す
るために与える。この実施例は説明的なものであり、か
つ、本発明は、添付した特許請求の範囲に示すものを除
き、制限として考慮されるべきものではないことを理解
していただきたい。
【0074】実施例1セルモコッカス・リトラリスからの熱安定性DNAポリ
メラーゼの精製 T.リトラリス株NS−C(DMS No. 5473)を、1
00リットルの発酵機内において、10g/lの基本的な
イオウを含む、Belkin、et al.、上述、により記載され
ている培地中で、約80℃の最高耐久可能温度で2日間
増殖した。この細胞を室温に冷却し、デカンテーション
することにより未使用のイオウから分離し、更に、遠心
により回収し、更に、−70℃に保存した。細胞の回収
率は、リットル当たり0.8gであった。
【0075】先に記載したように取得した細胞の183
g を、0.1M のNaClを含む550mlのバッファー
A(10mMのKPO4 バッファー、pH7.4;1.0
mMのEDTA、1.0mMのベーター−メルカプトエタノ
ール)中に懸濁し、更に、4℃において5分間超音波処
理した。この溶菌液を、4℃において30分間、15,
000g で遠心した。この上清溶液を、470mlのアフ
ィゲル ブルー カラム(バイオラド社)を通した。そ
の後、カラムを、0.1M のNaClを含む1000ml
のバッファーAで洗浄した。このカラムを、バッファー
A中に含まれる0.1から2.0M のNaClの200
0mlの直線濃度勾配液で溶出した。DNAポリメラーゼ
は、約1.3MのNaClにおいて単一のピークとして溶
出され、カラムに供した活性の80%を示した。DNA
ポリメラーゼのピーク活性を、4リットルのバッファー
Aに対して透析し、その後、0.1M のNaClを含む
バッファーAで平衡化した80mlのフォスフォセルロー
スに供した。このカラムを0.1M のNaClを含むバ
ッファーAで洗浄し、バッファーA中の0.1から1.
0M のNaClの1000mlの直線濃度勾配で溶出し
た。活性は、0.6MのNaClにおける単一のピーク
として溶出され、カラムに供した活性の74%を示し
た。一まとめにした活性(150ml)を、900mlのバ
ッファーAに対して透析し、更に、42mlのDNA−セ
ルロースカラムに供した。このカラムを、0.1M のN
aClを含むバッファーAの84mlで洗浄し、酵素活性
は、0.1から1.0M のNaClのバッファーAの直
線濃度勾配液で溶出した。DNAポリメラーゼ活性は、
0.3M のNaClにおける単一のピークとして溶出さ
れ、カラムに供した活性の80%を示した。この活性を
一まとめにした(93ml)。一まとめにした分画を、
0.05M のNaClを含む2リットルのバッファーA
に対して透析し、その後、1.0mlのHPLC モノ−
Qカラム(ファルマシア社)に供した。DNAポリメラ
ーゼ活性は、バッファーA中の0.05M から1.0M
のNaClの100mlの直線濃度勾配液で溶出した。D
NAポリメラーゼ活性は、0.1M のNaClにおける
単一のピークとして溶出され、カラムに供した活性の1
6%を示した。一まとめにした分画(3.0ml)を、バ
ッファーAで6mlに希釈し、更に、1.0mlのHPLC
モノ−Sカラム(ファルマシア社)に供し、0.05
から1.0M のNaClのバッファーAでの100mlの
直線濃度勾配液で溶出した。活性は、0.19M のNa
Clにおける単一のピークとして溶出され、カラムに供
した活性の75%を示した。
【0076】SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(SDS−PAGE)及び、その後の、クーマシーブル
ー(Neuhoff 、et al.、Eectrophoresis(1988) 9: 25
5 −262 )より、より感度の高いコロイド染色(ISS
プロブルー)を使用する蛋白質の染色により、DNA
ポリメラーゼ調製物が約50%の純度であることを決定
し:それによると、2本の主要なバンドが存在し、その
一つは90,000から95,000ダルトンであり、
二重線が、18,000ダルトンに存在した。Fig.1
A。非常に小さいバンドが、約80,000から85,
000ダルトンに明白に見られた。このレベルでの精製
において、ポリメラーゼは、ポリメラーゼ蛋白質のmg当
たり、30,000単位と50,000単位のポリメラ
ーゼ活性の間の特異的活性を有した。別に行ったSDS
‐ポリアクリルアミドゲルにおいて、精製したT.リト
ラリスポリメラーゼを含むゲルラインを18本の薄片に
切り出すことにより、90,000から95,000ダ
ルトンにおける染色したバンドの同定の検証が得られ
た。カラムにのせた蛋白質を、0.1%のSDS及び1
00μg/mlのBSAを含むバッファー中でそのゲル薄片
を擂り潰すことにより、ゲルから溶出させた。この溶出
した蛋白質を、グアニジンHClに対して露出させるこ
とにより変成させ、その後、Hager and Burgess 、Anal
ytical Biochemistry (1980) 109:76 −86により記載
されているように、変成剤の希釈により復元させた。ポ
リメラーゼ活性は、放射能でラベルした32P−dCTP
の、酸可溶性DNA内への取り込みにより測定し(先に
記載したように)、更に、エキソヌクレアーゼ活性につ
いてアッセイした(実施例5において記載するように、
3H−ラベルしたDNAの、酸可溶性型への放出により
測定される)。Fig.1Bにおいて示すように、90,0
00から95,000ダルトンのバンドのみが、有意な
ポリメラーゼ活性もしくはエキソヌクレアーゼ活性のい
ずれかを示した。
【0077】このDNAポリメラーゼ調製物を、0.0
5M のNaClを含むバッファーAに対して透析した。
SDS−PAGEにより決定したように、18,000
ダルトンの蛋白質の大部分が溶液外に沈殿化した。T.
リトラリスDNAポリメラーゼの回収率は、定量的蛋白
質分析により0.5mgであると決定され、かつ、これ
は、出発未精製抽出物中に存在する総活性の6.5%を
示した。
【0078】精製したT.リトラリスポリメラーゼを電
気泳動し、更に、クーマシーブルー、もしくは、蛋白質
を検出するための予め記載してあるコロイド染色(IS
Sプロブルー)のいずれかで染色した。一つの濃く染色
される蛋白質バンドが、約90,000から95,00
0ダルトンに見られ;以下に示すマーカー蛋白質の移動
に対する同一ゲル上での比較により、この分子量決定を
行った:ミオシン、200,000ダルトン;フォスフ
ォリラーゼB、97,400ダルトン;BSA、68,
000ダルトン;オバルブミン、43,000ダルト
ン;カルボニックアンヒドラーゼ、29,000ダルト
ン;b−ラクトグロブリン、18,400ダルトン;リ
ゾチーム、14,300ダルトン。
【0079】実施例2T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子のクローニン
A.マウスの坑−T.リトラリスDNAポリメラーゼ抗
血清の産生マウスの免疫化 0.4mgのポリメラーゼ蛋白質を含む3mlの溶液(実施
例1の方法により取得された)を、4℃において約0.
3mlに濃縮し、更に、2匹のマウスを接種するのに使用
した。精製したT.リトラリスポリメラーゼ調製物は、
クーマシーブルーで染色したSDS−PAGE上におい
て、約85−95、75−85、及び、10−25kDal
の二重線の4本のバンドからなっていた。実施例1にお
いて示したように、T.リトラリスポリメラーゼは、約
90−95kDalである。両方のT.リトラリスポリメラ
ーゼ坑血清は、この免疫原中に存在する4種類全ての蛋
白質を認識する。
【0080】免疫化のスケジュールは以下に記載すると
うりであった:マウス1をフロインドの完全補助剤(F
CA)内に含まれる、先のように調製した、20μg の
T.リトラリスポリメラーゼで、腹腔内(IP)で免疫
化した。7日後、両方のマウスを、FCA内に含まれる
50μg のT.リトラリスポリメラーゼでIP(腹腔内
注射)により免疫化した。27日後、両方のマウスを、
フロインドの不完全補助剤内に含まれる30μg のT.
リトラリスポリメラーゼで(マウス1)、50μg の
T.リトラリスポリメラーゼで(マウス2)、IPによ
り免疫化した。マウス1は2週間後に脱血し、マウス2
は20日後に脱血した。血清は、標準的な方法により血
液から調製した(Harlow and Lane 、Antibodies: A La
boratory Manual 、1988)。
【0081】坑−T.リトラリスポリメラーゼ坑血清
を、1%のBSA、0.1%のNaアジド、0.1%の
PMSFを含むTBSTT(20mMのトリス、pH7.
5、150mMのNaCl、0.2%のTween20、
及び、0.05%のTriton−X100)内で希釈
した。
【0082】大腸菌溶菌液に対する坑−T.リトラリス
ポリメラーゼ抗血清の前吸着 大半の血清が大腸菌の蛋白質と反応するため、以下に示
す方法を使用して、T.リトラリスポリメラーゼの抗血
清を大腸菌蛋白質に対して前吸着させて、ライブラリー
類もしくは組換え抗体類をスクリーニングする場合のバ
ックグラウンドの反応性を低減した。大腸菌の細胞ペー
ストを解凍し、超音波処理により溶菌化させ、可溶性蛋
白質を、製造元により記載されているとうりに、アフィ
ゲル10(バイオラド社)に結合させた。4mlの大腸菌
樹脂をTBS(洗剤を含まないTBSTT)で2回洗浄
した。0.35mlの血清を、TBSTT、1%のBS
A、0.1%のNaアジド中で約1から5倍に希釈し、
更に、樹脂と、4℃で一晩混合させた。この樹脂を遠心
によりペレット状にし、更に、洗浄した。回収された前
吸着血清は1から17倍希釈物であり、使用するまで−
20℃で凍結して保存した。
【0083】スクリーニングのためには、前吸着させた
血清を、先のように、1:200の最終濃度に希釈し
た。
【0084】B.T.リトラリスポリメラーゼ遺伝子に
ついてのプローブの同定ラムダーgtll発現ライブラリー
の作製 T.リトラリスポリメラーゼ遺伝子のためのプローブ
は、ラムダーgtll発現ライブラリーの免疫学的なスクリ
ーニングに従って取得した。
【0085】T.リトラリスDNAを、以下に示すよう
に部分的に消化した:4μg のT.リトラリスDNA
を、Eco RIバッファー(Eco RIバッファー=50mMのN
aCl、100mMのトリス、pH7.5、20mMのMg
Cl2 、10mMのBME)を用いる40μl の反応液中
で、5単位のEco RIで、37℃において消化した。3μ
l の100mMEDTAを、30、45、及び、60分
に、15μl の試料に対して添加した。2μg のT.リ
トラリスDNAを、Eco RIバッファーを用いる20μl
の反応液中で、20単位のEco RIを用いて、37℃で9
0分間消化し、2μl の100mMEDTAの添加により
反応を停止した。0.2μg の各消化物をアガロースゲ
ル上で電気泳動して消化の度合いを記録した。約3μg
のT.リトラリスDNAのEco RI部分消化物(60分消
化物からの14μl 、及び、90分消化物からの19μ
l )を一まとめにして、「Eco RIプール」を形成し、6
5℃で15分間加熱した。
【0086】0.5μl のEco RIプールを、標準的な連
結バッファー(連結バッファー=66mMのトリス、PH
7.5、1mMのATP、1mMのスペルミジン、10mMの
MgCl2 、15mMのDTT、及び、2mg/ml のゼラチ
ン)及び0.5μl のT4DNAリガーゼ(ニューイン
グランド バイオラボ社、No. 202 )を用いる5μl の
反応液中においてEco RIで切断し、細菌のアルカリフォ
スファーターゼで処理した0.28g のラムダーgtllの
DNAに連結させた。この連結反応は、16℃で一晩行
った。4μl のこの連結反応物は、製造元の解説書に従
い、ギガパック ゴールド(ストラッタジーン社)を使
用して封入した。室温における2時間のインキュベーシ
ョンの後、封入したファアージを3滴のクロロフォルム
を追加した500μl のSM(SM=100mMのNaC
l、8mMのMgSO4、50mMのトリス、pH7.5、
0.01%のゼラチン)中で希釈した。封入したEco RI
ライブラリーを試料V6−1と呼び、これは、1.1×
105 の特有なファージからなるものであった。大腸菌
株ER1578をファージ感染のために使用した。
【0087】ラムダーgtll発現ライブラリーの免疫学的
なスクリーニング 最初のファージライブラリーは、先に産生された抗血清
の1:200の希釈物を用いてスクリーニングした(Yo
ung 、R.A. and R.W. Davis 、Science 、(1983) 22
2: 778 −782 )。坑−T.リトラリスDNAポリメラ
ーゼ抗血清と反応する36種類のファージ(V10−2
2からV10−55)を封入し、更に、16種類のファ
ージを精製した。
【0088】この16種類の抗体陽性なファージを使用
して、大腸菌K−12株Y1089を溶原菌化させた。
溶原菌を熱安定性のDNAポリメラーゼ活性についてス
クリーニングしたが、活性は検出されなかった。
【0089】これらの16種類の溶原菌からのウエスタ
ンブロット(Towbin、et al.、PNAS、(1979) 76:4350
−4354)を、坑−T.リトラリスポリメラーゼ抗血清で
試験してみた。T.リトラリスポリメラーゼ抗血清と反
応するこれらの溶原菌からの全ての蛋白質は、T.リト
ラリスポリメラーゼより小さく、かつ、やはりベーター
−ガラクトシダーゼより小さく、いずれもベーター−ガ
ラクトシダーゼとの融合蛋白質ではないことが示され
た。
【0090】16種類の抗体陽性ファージのうちの8種
類のものを使用して、全坑血清からエピトープ特異的抗
体を親和性を利用して精製した(Beall and Mitchell、
J. Immunological Methods、(1986) 86: 217−223
)。
【0091】親和性を利用して精製した8種類の抗体陽
性ファージを使用して、精製したT.リトラリスポリメ
ラーゼとT.リトラリスの未精製溶菌液の両方のウエス
タンブロットを試験してみた。NEB618プラークか
ら精製した抗体が、精製したT.リトラリスポリメラー
ゼ及びT.リトラリスの未精製溶菌液と特異的に反応し
た。これは、ファージNEB618が、T.リトラリス
ポリメラーゼの約38kDa のアミノ末端をコードしてい
ることの強い証拠であった。
【0092】ファージNEB618の性質決定及びEco
RI挿入断片のサブクローニング ウエスタンブロット分析は、ファージNEB618が、
T.リトラリスポリメラーゼ抗血清に結合する約15−
40kDa のサイズの範囲にわたる数種のペプチドを合成
することを示した。ファージNEB618からのDNA
を、標準的な方法により液体培養物から精製した(Mani
atis、et al.、上述)。NEB618DNAのEco RIで
の消化により、1.3及び1.7kbの断片が生じた。N
EB618DNAのEco RI消化物を、Eco RIで切断した
pBluescript のDNAに連結させた。20μl のpBlues
criptSK +を、40μl のEco RIバッファー中で、40
単位のEco RIを用いて、37℃で3時間、その後、65
℃で15分間消化した。10μg のNEB618DNA
を、40μl のEco RIバッファー中で、40単位のEco
RIを用いて、37℃で75分間、その後、65℃で15
分間消化した。EcoRIで切断した1.75μg のNEB
618DNAを、10μl の連結バッファー中で、1μ
l のT4DNAリガーゼ(ニューイングランド バイオ
ラボズ社、No. 202 )を用いて、Eco RIで切断した20
ngのpBluescriptSK +に連結させた。この連結反応を、
16℃において一晩行った。JM101 CaCl感応細胞
(Maniatis、et al.上述)を5μl の結合連鎖反応混合
物で形質転換させた。調査した24種類の組み換え体の
うち、一つを除く全てのものが1.7kbの断片を含んで
おり;クローンV27−5.4が1.3kbのT.リト
ラリスのDNA断片を含んでいた。
【0093】T.リトラリスポリメラーゼのマウス抗血
清からの抗体を、先に記載したように、V27−5.4
(1.3kbのEco RI断片をコードする)及びV27−
5.7(pBluescript 中において1.7kbのEco RI断片
をコードする)からの溶菌液について親和性を利用して
精製し、更に、精製したあるいは未精製のT.リトラリ
スポリメラーゼのいずれかを含むウエスタンブロット細
片と反応させた。V27−5.4の溶菌液について選択
した抗体は、未精製及び精製した調製物の両方における
T.リトラリスポリメラーゼと反応した。更に、天然の
T.リトラリスポリメラーゼのN−末端蛋白質配列から
の最初の3つのアミノ酸(メチオニン−イソロイシン−
ロイシン)は、V27−5.4クローンにおける、予想
される読み取り枠(ORF)におけるものと同様であ
る。
【0094】これらの結果から、V27−5.4は、
T.リトラリスポリメラーゼのアミノ末端をコードする
ことが結論付けられた。
【0095】V27−5.4の1.3kbのEco RI断片
は、Fig.6のヌクレオチド1から1274を含む。挿入
DNAは、完全なT.リトラリスポリメラーゼではない
が、このクローンにより合成される最も大きいペプチド
をコードするほど充分大きいものであった。
【0096】C.T.リトラリスの2番目のライブラリ
ーの作製及びスクリーニング 先に記載した抗体スクリーニングにより、T.リトラリ
スポリメラーゼのアミノ末端半部分をコードしているD
NA断片を同定した。全体の遺伝子をコードするほど充
分長い断片を発見する目的で、T.リトラリスDNAの
制限消化を、クローンV27−5.4内に含まれるポリ
メラーゼ遺伝子のアミノ末端半部分を用いて探索した。
制限消化は、別々の試験管内で、39μl の制限酵素バ
ッファー(REB、制限酵素バッファー=50mMのNa
Cl、10mMのトリス、PH7.5、20mMのMgCl
2、10mMのBME)中に含まれる1.2μgのT.リ
トラリスDNAを含むマスター混合物を使用して、その
試験管に以下に記載する1.5−200Uの酵素を添加
して行った:1.5U AvrII 、9U EaeI、10U
NheI、20U NotI、9U SpeI、20U XhoI、30
U XbaI、20USacI、10U BamHI 、20U Cla
I、20U HindIII 、20U PstI、12U NaeI、
10U ScaI、12U XmnI、20U EcoRV 、20U
Sal 、20U EcoRI 、200U EagI、20U Dr
aI、5U HapI、8U NruI、4USnaBI 、8U Stu
I、10U BclI、8U BglII 、10U RsaI、10
U HaeIII、8U AluI、4U HincII、10U PvuI
I 、6U SspI。
【0097】1μl の10mg/ml BSAをHincII消化物
に添加した。バッファー中に0mMのNaClが存在する
ことを除いては先のとうりにBalI消化物を調製した。5
0℃においてインキュベートしたBclIを除いては、全て
の消化物を37℃で一晩インキュベートした。消化物を
アガロースゲル上で電気泳動し、更に、NCに転移させ
た(Southern、J. Mol. Biol. (1975) 98: 503−517
)。このフィルターを放射能ラベルしたV27−5.
4のDNAで探索し、更に、ハイブリッド形成をオート
ラジオグラフィーにより検出した。BamHI (約14k
b)、EcoRI (約1.3kb)、HindIII (約2.4、
5.4kb)、XbaI(約8kb)、ClaI(約4.4、5.5
kb)、BalI(約8.5kb)、HincII(約2.1、約2.
4kb)、NurI(約5.5kb)、BglII (約2.9kb)、
HaeIII(約1.3、約1.4kb)、及び、多数の小さい
バンドを生じるRsaIを除く大半の消化物においては、V
27−5.4のDNAは、20kbより大きい断片に対し
てハイブリッド形成した。
【0098】完全なポリメラーゼ遺伝子を充分コードで
きるほど大きい単一の断片を産生し、天然の蛋白質のサ
イズに基づき、2.4−3kbであると推定される消化物
はBamHI 、XbalI 、及び、NruIであった。
【0099】BamHI ライブラリー ラムダーDashIIを使用してBamHI のゲノムライブラリー
を作製した。ラムダーDashIIは、10−20kbのBamHI
DNA断片をクローン化するのに使用することができる
BamHI 置換ベクターである。先に記載したように、BamH
I で消化した25−75ナノグラムのT.リトラリスゲ
ノムDNAを、BamHI で消化し、ウシの腸のフォスファ
ターゼで処理した0.5μg のラムダーDashIIのDNA
に対して、0.5μl のT4DNAリガーゼ(ニューイ
ングランド バイオラボズ社、No. 202 )を含む標準的
な連結バッファー中で結合させた。3μl の連結反応物
を先に記載したように封入した(ギガパック プラス、
ストラッタジーン社)。ラムダーDashIIライブラリーか
らの8,000プラークのプラークリフトをラベル化し
たゲルで探索し、クローンV27−5.4から1.3kb
の Eco RI 断片を精製した(Manitais、et al.、上
述)。2.5%のファージは、1.3kbのEco RIのDN
A断片に対してハイブリッド形成し、そのうちの2つを
プラーク精製した(クローン ラムダーNEB619及
びラムダーV56−9)。両方のファージとも、1.3
kbの Eco RI 断片に対してハイブリッド形成する12−
15kbのBamHI 断片を含み、かつ、約8kbのXbaI及び約
5.5kbのNruI断片を含んでいた。このBamHI 挿入断片
をpBR322内にサブクローン化した。この断片を含むコロ
ニー類は増殖が非常に悪く、かつ、先に記載したポリメ
ラーゼアッセイに基づくと、検出可能レベルの熱安定性
DNAポリメラーゼを産生していなかった。
【0100】XbaIライブラリー XbaIで消化したT.リトラリスのDNAを、pUC19 のXb
aI部位にクローン化した。コロニーリフトを放射能ラベ
ルしたV27−5.4のDNAで探索した。陽性のクロ
ーンは検出されなかった。
【0101】ラムダーNEB619内のBamHI 挿入断片
からのXbaI断片(先のBamHI ライブラリー)を、pUC 1
9のXbaI部位内へサブクローン化した。BamHI で消化し
た約0.3μg のNEB619のDNAを、20μlの
標準連結バッファー内において2μl のT4DNAリガ
ーゼ(ニューイングランド バイオラボズ社 No.202)
を使用してBamHI で消化した0.1μg のpUC 19DN
Aに結合した。この連結物を16℃で一晩インキュベー
トした。CaCl2 感応細胞であるJM101及びXL
−1細胞を5μl の連結物混合物で形質転換させ、更
に、37℃で一晩インキュベートした(Maniatis、et a
l.、上述)。コロニーリフトを、V27−5.4のDN
Aからの、精製して放射能ラベルした1.3kbのEcoRI
断片で探索した。陽性物は検出されなかった。感応細胞
RRIを、10μl の結合連鎖反応混合物で形質転換さ
せ、更に、30℃で一晩インキュベートした。微小コロ
ニーを選び、ミニプラスミドの調製物を分析した(沸騰
法、Maniatis、et al.、上述)。これらのクローンの大
部分は約8kbのXbaI断片を含んでいた。この後述の実験
の原理は、BamHI クローンの増殖が乏しいため、やはり
ゆっくりと増殖するXbaIコロニからT.リトラリスポリ
メラーゼ遺伝子を含むプラスミドを単離する機会が増大
するということである。叉、より低温度のインキュベー
ションの結果、細胞当たりのpUC19 プラスミドのコピー
がより少なくなる。これらの結果により、T.リトラリ
スポリメラーゼ遺伝子は大腸菌にとって有毒であること
の証拠が得られた。先に記載されたポリメラーゼ活性ア
ッセイを用いては、これらのクローン中には、熱安定性
ポリメラーゼ活性は検出されなかった。制限分析によ
り、XbaIクローンは、完全なポリメラーゼ遺伝子を含む
はずであることが示された。Fig.2を参照せよ。
【0102】NruIライブラリー NruIで切断した約0.3μg のNEB619のDNA
(先のBamHIライブラリー)を、XbaIcライブラリ
ーについて記載したのとまさに同じように、HincIIで切
断した0.1μg のpUC19 のDNAに連結した。再び、
細胞を37℃でインキュベートした場合、ハイブリッド
形成によっては陽性物は発見されなかったが、形質転換
体を30℃でインキュベートした場合には多くのコロニ
ーが観察された。これらの微小コロニーの大多数は、約
5.5kbのNruI挿入断片を含んでいた。先に記載したポ
リメラーゼ活性アッセイを使用しては、これらのコロニ
ー中には、熱安定性ポリメラーゼ活性は検出されなかっ
た。これらのコロニーの分析により、T.リトラリスポ
リメラーゼの転写の方向が、pUC19 内のLacZと同じであ
る場合には、そのコロニーは37℃においては増殖せ
ず、かつ、極度に不安定であることが決定された。
【0103】しかしながら、クローンNru21 のように、
T.リトラリスポリメラーゼの転写の方向がpUC19 内の
LacZの反対であるコロニーは、より安定である。このこ
とは、T.リトラリスポリメラーゼの転写は大腸菌にと
って有害であることを示しており、更に、完全な遺伝子
をクローン化することがなぜそんなに困難であるのかを
説明することができる。制限地図分析は、NruIクローン
は完全なポリメラーゼ遺伝子を含むはずであることを示
していた。Fig.2を参照せよ。
【0104】ポリメラーゼの直接クローニングに関する結論 T.リトラリスは約90−95kDalであり、完全な遺伝
子をコードするには約2.4−3.0kbのDNAを必要
とする。T.リトラリスポリメラーゼ遺伝子のアミノ末
端をコードし、先に論議したBamHI 、XbaI、及び、NruI
クローン内に発見される1.3kbのEcoRI 断片の制限地
図分析により、3種類全てのクローンは完全なポリメラ
ーゼ遺伝子を含むことが示される。これら全てのより大
きいクローンは大腸菌内では不安定であった。従って、
そのポリメラーゼのクローン化について、以下に示すそ
の代わりの方法を試した。
【0105】D.T.リトラリスポリメラーゼ遺伝子の
もう一つの半部分のクローニング T.リトラリスの完全なポリメラーゼ遺伝子を大腸菌内
でクローン化する場合、それ自身の内因性調節下にある
にもかかわらず、遺伝子内の突然変異が生じると考えら
れている。不活性な突然変異体を選択することを回避す
るため、各々を引き離すとそれぞれ不活性であり、従っ
て、互いに対照しては選択されない2つもしくはそれを
上回る数のT.リトラリスゲノムからそのポリメラーゼ
遺伝子をクローン化した。そのT.リトラリスゲノムの
制限地図分析を利用して、どの制限酵素がT.リトラリ
スポリメラーゼ遺伝子のもう一つの半部分をクローニン
グするのに適切である断片を産生するかを決定した。先
のデーターは、T.リトラリスポリメラーゼの発現は大
腸菌にとって有毒であることを示しはするものの、コー
ディング領域内もしくはその外側のDNA配列それ自身
も、やはり同性を有する可能性がある。従って、完全な
遺伝子をコードすることができる最低のサイズの断片
を、最高の選択物として決定した。制限分析により、恐
らくポリペラーゼ遺伝子を全て満たすことができるアミ
ノ末端の1.3kbのEcoRI 断片(Fig.2を参照せよ)の
3′端に近接する約1.6kbのEcoRI 断片が存在するこ
とが示された。
【0106】T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子
のもう一つの半部分についてのハイブリッド形成プロー
先のクローンのいずれも熱安定性ポリメラーゼ活性を発
現しなかったため、それらが、コーディング配列内に蓄
積した突然変異を有している可能性があり、そのため、
その遺伝子のもう一つの半部分の適切な源にはなりえな
い。従って、ゲノムから下流の断片をクローン化する目
的で、ハイブリッド形成プローブが必要であった。クロ
ーンNru21 (このNru21 クローンは、そのポリメラーゼ
遺伝子の出発点から約300bp上流で開始する約5.5
kbの挿入断片を含む)からの約3.2kbのNdeI/ClaI 断
片をpSP73 内(プロメガ社)へサブクローン化してクロ
ーンNCllを作成した。CaCl2 感応性RRI細胞
を、先に示すように、連結反応混合物で形質転換させ
た。形質転換体のミニプラスミド調製物をNdeI及びClaI
での消化により分析し、T.リトラリスの3.2kbのNd
eI/ClaI 断片を含むクローンNCllを同定した。この
クローンは大腸菌内で安定であった。このNCll挿入
断片の配列決定を行った(Sanger、et al.、PNAS、(19
77) 74: 5463−5467)。ClaI端は、V27−5.4の
配列(T.リトラリスポリメラーゼのアミノ端をコード
する1.3kbのEcoRI 断片)と同一であった。この1.
3kbのEcoRI 結合点及びそれより先の配列を1.3kbの
EcoRI 断片の配列に由来するプライマーを使用して決定
した。NdeI端は、ベクター内に含まれるプライマーから
配列決定した。
【0107】EcoRI ゲノムライブラリーのスクリーニン
10μg のNCllを、100μl のEcoRI バッファー
内において30UのEcoRI で、37℃で2時間消化し
た。約1.6kbのEcoRI 断片を、電気泳動後、DE−8
1ペーパー(ホワットマン社)上で精製した。約1.6
kbのEcoRI 断片を放射能ラベルし、当初のEcoRI ラムダ
ーgtllライブラリーを探索するのに用いた。感染及びプ
ラークリフトは、先のように行った。3つの陽性物を同
定し、更に、プラーク精製した。全てのものは、約1.
6kbのEcoRI 断片を含んでいたが、幾つかのものは、他
の挿入断片をも含んでいた。
【0108】EcoRI ライブラリーも、ラムダーZapII 中
に作製した。2μg のT.リトラリスDNAを、20U
のEcoRI で、20μl のEcoRI バッファー中において3
7℃で5時間消化し、その後、65℃で15分間熱処理
した。約15ナノグラムのT.リトラリスDNA/EcoR
I を、EcoRI で切断してフォスファターゼ処理した0.
5μg のラムダーZapII DNA(ストラッタジーン)に
対して、0.5μl のT4 DNAリガーゼ(ニューイ
ングランド バイオラボズ社、No. 202 )を用いて5μ
l の結合連鎖反応バッファー中で16℃で一晩連結させ
た。4μl の連結させたDNAを封入した(ギガパック
ゴールド、ストラッタジーン社)。感染及びプラーク
リフトは先のように行った。約1,500のファージ
を、放射能ラベルした約1.6kbのEcoRI 断片で先のよ
うに探索した。5つのハイブリド形成陽性プラークを選
択し、更に、3つのプラークを精製した。2つのファー
ジ(NEB620及びV109−2)を、製造元の説明
書(ストラッタジーン社)に従うインビボでの切除によ
り、pBluescript 組換え体として(V117−1及び1
17−2)生かしておいた。両者とも約1.6kbのEcoR
I 断片及び異なる第2断片を含んでいた。5′端を配列
決定したところ、NCllから決定された配列(ClaI/N
deI 断片)に一致した。Fig.2を参照せよ。このEcoRI
断片は、Wang、et al.、上述、により記載されているよ
うな、T4のDNAポリメラーゼ類の相同性群の3/6
を含む。1.6kbのEcoRI 断片は、Fig.6のヌクレオチ
ド1269から2856を含む。
【0109】1.6kbのEcoRI 及びClaI/NdeI 断片の配
列は、1.9kbのEcoRI 断片はポリメラーゼ遺伝子を完
全に含むのに必要であることができることを示した。N
EB620について先に記載したように、ラベル化した
プローブを用いて、1.9kbのEcoRI 断片を含むラムダ
ーZapII ファージ、V110−1からV110−7を同
定した。2つのファージ(V110−2及びV110−
4)は、製造元(ストラッタジーン)の説明書に従うイ
ンビボでの切除により、pBluescript 組換え体として
(V153−2及び153−4)生かしておいた。両者
とも約1.9kbのEcoRI 断片及び異なる第2断片を含ん
でいた。この1.9kbのEcoRI 断片は、NCll中の重
複領域との配列相同性を有した。この1.9kbのEcoRI
断片は、Fig.6のヌクレオチド2851から4771を
含む。
【0110】T.リトラリスの完全なポリメラーゼ遺伝
子を、不安定でありかつ活性酵素が検出されなかったBa
mHI 、XbaI、及び、NruI断片としてクローン化した。こ
の遺伝子を、やはり、4つの断片内(1.3kbのEcoRI
断片、約1.6kbのEcoRI 断片、約1.9kbのEcoRI 断
片、及び、停止コドンを含むEcoRI/BamHI 断片)にクロ
ーン化した。1.3kbのEcoRI 断片は、安定にポリメラ
ーゼのアミノ末端蛋白質を発現する。
【0111】実施例3活性なT.リトラリスDNAポリメラーゼのクローニン
バクテリオファージNEB619( ATCC619)の、14
kbのBamHI 制限断片上に見いだされるT.リトラリスポ
リメラーゼ遺伝子を、Sanger、et al.、PNAS(1977) 7
4: 5463 −5467、の方法を使用して配列決定した。1.
3kbのEcoRI 断片の5′端から始めて5837bpの連続
的なDNA配列(SEQ ID NO:1 )を決定した(位置NT
1)。Fig.6を参照せよ。
【0112】このDNA配列の分析から、ポリメラーゼ
遺伝子は1.3kbのEcoRI 断片内のNT291において
開始することが決定された。NT5397に始まる翻訳
停止部位も探索した。T.リトラリスポリメラーゼのみ
せかけの分子量は約90−95kDalであったため、この
遺伝子が〜2900bpであるはずであることが予想され
た。その代わり、1702のアミノ酸(aa)もしくは
〜185kDalのコーディング容量を有する5106bpの
読み取り枠(ORF)を同定した。
【0113】他のDNAポリメラーゼとの配列相同性に
より(この例はFig.7に示した)、T.リトラリスのポ
リメラーゼ遺伝子は、DNAポリメラーゼの共通相同領
域III内のイントロンもしくは介在配列(本明細書中
においては、以後「IVSI」とする)により中断され
ていることが発見された。(Wang、T.、et al.、FASEB
Journal (1989) 3:14 −21、この開示は、本明細書中
において、引用文献として取り込んである)。共通DN
Aポリメラーゼ相同領域IIIの保存されているアミノ
酸をFig.7において示している。このFig.において、保
存されているアミノ酸に下線を施してある。Fig.7にお
いて見られるように、T.リトラリスの相同性群III
(SEQ ID NO:2 )の左側は、NT1737において始ま
り、かつ、その共通配列に対する相同性は、Asn 及びSe
r 残基以降消失する。T.リトラリスの相同群III
(SEQ ID NO:3)の右側を、NT3384、Asn 及びSe
r 残基において選択することができる。この2つのT.
リトラリスポリメラーゼのアミノ酸配列を、Fig.7にお
けるようにAsan及びSer 残基が重複するように配置する
場合、このDNAポリメラーゼ相同領域IIIに対して
非常に良く調和する位置が存在することが明白であっ
た。
【0114】従って、相同性のデーターを使用して、あ
る介在配列がT.リトラリスのDNA内に存在してお
り、そのDNAポリメラーゼの相同領域IIIの左半分
と右半分とを分割していることが予想された。
【0115】ある好ましい実施態様においては、介在配
列を、介在配列のスプライス結合点付近に存在するコー
ディング領域内における非反復の制限酵素部位を同定す
ることにより削除した。合成の二重オリゴヌクレオチド
を合成し、この2つの制限断片の間の間隙を橋渡しする
のに用いた。カルボキシ端制限断片の複数部分の結合連
鎖反応、橋渡ししたオリゴヌクレオチド、アミノ端制限
断片、及び、発現ベクターの結果、介在配列を除去した
完全なポリメラーゼ遺伝子を含む発現ベクターを形成し
た。
【0116】具体的には、介在配列を除去したT.リト
ラリスDNAポリメラーゼ遺伝子を含む、本発明の発現
ベクターを作製すのに用いるDNA断片もしくは配列
は、以下に示すようなものである: 1.ポリメラーゼのコーディング領域の開始コドンがNd
eI部位内に含まれるように、プラスミドV27−5.4
(実施例2、パートB)内におけるオリゴヌクレオチド
特異的突然変異誘発(Kunkel、et al.、Methods in Enz
ymology (1987) 154: 367: 382)により、NdeIを作成
した。
【0117】 本来の配列(ヌクレオチド288−293)・・・TTT ATG・・・ 新しい配列 ...CAT ATG・・・ ClaI部位(約528塩基対)に対して新しく作成したNd
eI部位からの配列を、発現ベクターの作製に用いた。
【0118】2.NCll(実施例2、パートD)のCl
aI及びPvuI部位の間の約899bp配列。
【0119】3.Fig.12に示しているように、介在配
列を橋渡しして他の断片に由来するPvuIとBsu36I部位と
を結合させる、合成二重らせん。
【0120】Fig.12においては、最初のラインは、ス
プライス結合物の5′端における本来の配列を示し(ヌ
クレオチド1721−1784、SEQ ID NO:1 )、2番
目の列は、スプライス結合物の3′端の本来の配列を示
し(ヌクレオチド3375−3415、SEQ ID NO:1
)、かつ、3番目の列は、合成二重らせんオリゴヌク
レオチドの配列を示している。
【0121】4.バクテリオファージNEB619(実
施例2、パートC)に由来する、約2500塩基対の、
Bsu36IからBamHI までの断片。
【0122】5.pETllc(Studier 、Methods in Enzym
onogy 、(1990) 185:66 −89)に由来する、ベクター
の支柱をなす約6200塩基対のBamHI からNdeIcまで
の断片であり、以下の項目を含む: a)遺伝子10の蛋白質についてのT7phi 10のプロ
モーター及びリボソーム結合部位 b)アンピシリン耐性遺伝子 c)lacIq 遺伝子 d)プラスミドの複製起点 e)4回繰り返しているリボソーム転写ターミネーター
(rrnb)、Simons、et al. Gnen (1987) 53:85−
96。
【0123】先のDNA断片、1−5を、T4のDNA
リガーゼを使用する適切な条件下で、順々に結合した。
正しい構造を制限分析により同定し、pPR969と命名し
た。Fig.8を参照せよ。pPR969を使用して、大腸菌株R
RIを形質転換させ、NEB687と表示される株を作
製した。NEB687の試料は、1990年12月7日
に、アメリカン タイプ カルチャー コレクションに
寄託し、受託番号ATCC No. 68487 となっている。
【0124】他の好ましい実施態様においては、介在配
列を除去したT.リトラリスのポリメラーゼ遺伝子を、
T7のポリメラーゼ発現ベクターpETllc(Studier 、
(1990)、上述)の誘導体内へクローン化した。この組
換えプラスミド174−lBlを使用して大腸菌株BL
21(DE3)pLysSを形質転換し、株175−l
Blを作成し、NEB671と命名した。Fig.5及び1
0を参照せよ。
【0125】NEB671の試料を、1990年10月
17日に、アメリカン タイプ カルチャー コレクシ
ョンに寄託し、受託番号ATCC No. 68447 となって
いる。
【0126】そのポリメラーゼの予想された分子量と、
観察された分子量との間の比較により、たとえIVSI
が除去されているにせよ、ある矛盾が示された。領域I
IIにおいてIVSlを除去した後のポリメラーゼの予
想される分子量は132Kbであるのに対し、天然の(実
施例1を参照せよ)もしくは組換え(実施例4を参照せ
よ)ポリメラーゼのいずれのものの観察された分子量は
約95kDである。この分子量の矛盾は、相同領域I内の
イントロン(本明細書中、以後「IVS2」とする)に
起因するものである。この知見は以下に示す観察結果に
基づいている:相同領域IIIとIとの距離は、数々の
pol アルファー類においては15−135アミノ酸へと
変化する(Wang、(1989)、上述)。T.リトラリスに
おいては、407のアミノ酸もしくは〜44−kDが存在
して、これらの領域を分断している。T.リトラリスD
NAポリメラーゼは、何の類似性も存在しない、保存さ
れている相同領域IとIIIとの間の360アミノ酸を
除いては、ヒトのpol アルファーに非常に類似してい
る。結局、共通領域Iは観察されていない。
【0127】更に、SDS−PAGEにより決定したと
ころ、約42−47kDの熱安定性エンドヌクレアーゼ
も、やはり本発明のT.リトラリスDNAポリメラーゼ
クローンにより産生されている(実施例10を参照せ
よ)。このエンドヌクレアーゼを、標準的なイオン交換
クロマトグラフィーにより均一物に精製し、更に、アミ
ノ末端の配列決定を行った。このエンドヌクレアーゼの
最初の30のアミノ酸は、ポリメラーゼクローン(SEQ
ID NO:1 )のヌクレオチド3534で始まってコードさ
れているアミノ酸に関連している。これは、他の既知の
ポリメラーゼとの相同性を持たないポリメラーゼの一部
分に関連している。このエンドヌクレアーゼは、坑−T
・リトラリスDNAポリメラーゼ抗血清と反応しない。
このエンドヌクレアーゼがポリメラーゼの外へスプライ
スされてくる正確な機構は未知であるにもかかわらず、
それは大腸菌及びT.リトラリスの両方において自発的
に生じる。
【0128】実施例4組換えT.リトラリスDNAポリメラーゼの精製 大腸菌NEB671(ATCC No. 68447)を、100
リットルの発酵器内で、10g/リットルのトリプトン、
5g/リットルのイースト抽出物、5g/リットルのNaC
l、及び、100mg/ リットルのアンピリシンを含む培
地中で、35℃において増殖させ、更に、中間対数増殖
期において0.3mMのIPTGで誘導し、更に叉4時間
インキュベートした。この細胞を遠心により収集し、−
70℃に保存した。
【0129】580グラムの細胞を解凍し、バッファー
A(100mMのNaCl、pH7.0の25mMのKPO
4 、0.1mMのEDTA、0.05%のTriton X−10
0、及び、10%のグリセロール)中に懸濁して、総容
量を2400mlとした。この細胞を、ゴーリンのホモジ
ナイザーを通すことにより溶菌化させた。この未精製抽
出物を遠心により清澄化させた。清澄化させた未精製抽
出物の容量を、さきのバッファーで2200mlに合わ
せ、更に、75℃で30分間加熱した。粒状物質を遠心
により除去し、残存している上清は、約3120mgの可
溶性蛋白質を含んでいた。
【0130】この上清を、フォスフォセルロースカラム
(5×11cm;216mlの支持体容量)に接続してある
DEAE−セファロースカラム(5×13cm; 255ml
の支持体容量)に供した。大量の酵素を含むDEAE−
セファロースの通り抜け分画は直ちにフォスフォセルロ
ースカラムへ移っていった。両方のカラムを、300ml
のバッファーAで洗浄し、2本のカラムの接続をはず
し、更に、フォフォセルロースカラム上の蛋白質を、バ
ッファーA中に形成されている0.1M から1MのNa
Clの2リットルの直線濃度勾配液で溶出した。
【0131】このカラム分画をDNAポリメラーゼ活性
についてアッセイした。簡潔に述べると、1−4μl の
分画を、30μM の各dNTP、及び、 3H−ラベルし
たTTP、0.2mg/ml の活性化したウシ胸腺DNA、
及び、100μg/mlのアセチル化したBSA(アセチル
化されていないBSAが好ましいことが知られている
が)を含む、50μl の1× T.リトラリスDNAポ
リメラーゼバッファー(10mMのKCl、20mMのトリ
ス−HCl(24℃においてpH8.8)、10mMの
(NH4 2 SO4 、2mMのMgSO4、及び、0.1
%のTritonX −100)内で75℃で5−10分間イン
キュベートした。この混合物をホワットマンの3mmフィ
ルターに供し、更に、そのフィルターを、10%のTC
Aでの3回の洗浄、次には、冷却したイソプロパノール
での2回の洗浄に供した。フィルターの乾燥後、DNA
内への3H−TTPの取り込みを表す結合した放射活性
を測定した。活性分画を一まとめにし、更に、dNTP
レベルを200μM の各dNTPに引き上げたことを除
く先のアッセイ条件を使用して、各プールにおける酵素
活性レベルを評定した。これらの条件下では、1単位の
酵素活性を、75℃30分において、酸不溶性物質内へ
10nモルのdNTPを取り込む酵素の量として定義し
た。
【0132】66mgの蛋白質を含む、300ml容量から
なる活性分画を、バッファーB(400mMのNaCl、
pH7.0での10mMのKPO4 、0.1mMのEDT
A、0.05%のTriton X−100、及び、10%のグ
リセロール)で平衡化したヒドロキシアパタイトカラム
(2.5×5cm; 25mlの支持体容量)へ供した。この
蛋白質を、バッファーB中に形成される10mMから50
0mMのKPO4 の250mlの直線濃度勾配液で溶出し
た。27mg蛋白質を含む59mlからなる活性分画を一ま
とめにし、バッファーC(200mMのNaCl、pH
7.5での10mMのトリス−HCl、0.1mMのEDT
A、0.05%のTriton X−100、及び、10%のグ
リセロール)に対して透析した。
【0133】その透析物をヘパリン−セファロースカラ
ム(1.4×4cm; 6mlの支持体容量)に供し、20ml
のバッファーCで洗浄した。バッファーC中に形成され
る200mMから700mMのNaClの100mlの直線濃
度勾配液をそのカラムに供した。16mg蛋白質を含に4
0mlからなる活性分画を一まとめにし、バッファーCに
対して透析した。
【0134】この透析物をアフィゲル ブルークロマト
グラフィーカラム(1.4×4cm;6mlの支持体容量)
に供し、20mlのバッファーCで洗浄し、更に、蛋白質
を、バッファーC中に形成される0.2M から2M のN
aClの95mlの直線濃度勾配液で溶出した。11mgの
蛋白質を含む、30ml容量からなる活性分画を、200
mMのKCl、10mMのトリス−HCl(pH7.4)、
1mMのDTT、0.1mMのEDTA、0.1%のTriton
X−100、100μg/mlのBSA、及び、50%のグ
リセロールを含む保存バッファーに対して透析した。
【0135】先に取得されたT.リトラリスDNAポリ
メラーゼは、20,000−40,000単位/mgの特
異活性を有した。
【0136】組換えT.リトラリスポリメラーゼの性質決定 組換え及び天然のT.リトラリスポリメラーゼは、5−
10%のSDS−PAGEの密度勾配ゲルにおいて電気
泳動する場合、同一のみかけ上の分子量を有した。組換
えT.リトラリスポリメラーゼは、天然のT.リトラリ
スポリメラーゼと同様の3′→5′エキソヌクレアーゼ
活性を有しており、これは、dNTPによる阻害につい
ても感受性を示す。
【0137】実施例5セルモコッカス・リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子
の過剰発現 例えば、実施例3において取得されたV174−lBl
のような、IVS1を削除してあるT.リトラリスDN
Aポリメラーゼ遺伝子を、数々の方法、もしくはそれを
組み合わせたものに使用して、クローン化したT.リト
ラリスDNAポリメラーゼの最高の発現を得ることがで
きる。
【0138】このようなある方法は、T.リトラリスD
NAポリメラーゼ遺伝子をその内因性調節要素から分離
し、その後、そのポリメラーゼ遺伝子を、T7発原ベク
ター(Rosenberg 、et al.、Gene(1987) 56:125 −13
5 )のような非常に協力に調節されているプロモーター
に遺伝子操作を利用して結合させることを含む。強力な
プロモーターの挿入は、T.リトラリスのDNAポリメ
ラーゼ遺伝子の両端付近の都合の良い制限標的、及び、
プロモーター付近のベクター上の適合性制限標的を同定
すること、あるいは、部位特異的突然変異誘発(Kunke
l、(1984)、上述)を用いる制限標的の作製、及び、
強力なプロモーターの転写及び翻訳調節下におけるもと
同一の方向で、ベクター内にT.リトラリスDNAポリ
メラーゼ遺伝子を転移することにより行うことができ
る。
【0139】T.リトラリスDNAポリメラーゼは、
T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子の上流に位置
する強力なリボソーム結合部位を利用することにより過
剰発現させてその遺伝子の発現を増大させることができ
る。Shine and Dalgarno、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
(1974) 71: 1342 −1346、これは、本明細書中に引用
文献として取り込んである、を参照せよ。
【0140】T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子
の発現を増大させるための他の方法は、部位特異的突然
変異誘発もしくは再合成によりその遺伝子のDNA配列
を変化させて、大腸菌よりもより効果的に利用される開
始コドンを含むようにすることを含む。
【0141】結局、T.リトラリスDNAポリメラーゼ
は、イースト及びバキュロバイラスのような真核生物系
においてより安定であることができる。
【0142】T.リトラリスDNAポリメラーゼは、
T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子を所有するク
ローンから、適切な抗生物質を含む栄養分に富む培地中
における発酵器内での増殖により産生することができ
る。その後、細胞を遠心により収集し、更に、超音波処
理により破壊してT.リトラリスのポリメラーゼ活性を
含む未精製の細胞抽出物を産生する。
【0143】T.リトラリスDNAポリメラーゼ活性を
含むこの未精製抽出物を、実施例1に記載されている方
法により、あるいは、親和性−クロマトグラフィーもし
くはイオン交換クロマトグラフィーのような標準的な産
物精製技術により精製する。
【0144】実施例6T.リトラリスDNAポリメラーゼの3′から5′への
エキソヌクレアーゼ変異体の産生 asp141及びglu143についてのコドンをアラニンについて
のコドンに変えるための部位特異的突然変異誘発を使用
して、3′から5′方向へのエキソヌクレアーゼ活性を
持たないT.リトラリスDNAポリメラーゼを作製し
た。部位特異的突然変異誘発を使用して、phi29 (Cell
(1989) 59: 219−228 )のDNAポリメラーゼI(Sc
ience (1988) 240: 199 −201 )、及び、T7のDN
Aポリメラーゼ類(米国特許番号No. 4,942,130 )を含
む、エキソヌクレアーゼ活性を低減することが報告され
ているDNAポリメラーゼの変異体を作製した。
【0145】本発明のポリメラーゼの部位特異的突然変
異誘発は、Kunkel、T.A.、PNAS(1985) 82: 488−492
(この開示は、本明細書中において引用文献として取り
込んである)、により記載されている技術の改良法を使
用して行った。V27−5.4プラスミド(実施例2の
パートBを参照せよ)を、部位特異的突然変異体を作製
するのに用いた。V27−5.4は、pBluescript SK+
中に存在する1.3kbのEcoRI 断片をコードする。デオ
キシチミジンの代わりにデオキシウラシルを取り込み、
V27−5.4プラスミドを含む株である大腸菌株CJ
236(Kunkel、et al.、Methods in Enzymology (19
87) 154:367−382 )を、f1のヘルパーファージIR
1(Virology、(1982) 122:222−226 )で重感染させ
て、このプラスミドの1本らせん版を産生した。
【0146】簡潔に述べると、部位特異的突然変異体
は、以下に示す方法を利用して作製した。最初に、35
塩基分の長さである突然変異体オリゴヌクレオチドプラ
イマーを標準的な方法を使用して合成した。このオリゴ
ヌクレオチドを一本鎖の鋳型に対してハイブリッド形成
させた。ハイブリッド形成後、このオリゴヌクレオチド
をT4DNAポリメラーゼを使用して伸張した。結果と
して得られる2重らせんのDNAを、T4DNAリガー
ゼでの処理により、閉じた環状のdsDNAに変換し
た。以下に示すような、変化させられた塩基と重複する
PvuI部位の作製により、突然変異後にこの探索対象物を
含むプラスミドを同定した。このようなプラスミドの一
つを同定し、pAJG2 と命名した。
【0147】 アミノ酸残基についての、本来の及び改変した配列は141、142、及び、 143である: ・・asp ile glu 本来のもの: ・・GAT ATT GAA ・・ala ile ala 改変したもの: ..GCG ATC GCA 改変についてのスクリーニングに使用される、新しく作
製されたPvuI部位に下線を施した。中間のコドンを変化
させているが、その新しいコドンによりコードされるア
ミノ酸は、以前のものと同一であることに注目せよ。
【0148】V174−lBl(実施例3を参照せよ)
からの約120bpのClaIからNcoIまでの断片を相関する
断片で置き換え、pAJG2 から先の置換体を生じ、pCAS4
を産生した(Fig.9を参照せよ)。従って、4つの塩基
対、つまり、先に記載したものがV174−IB1とは
異なっている。
【0149】大腸菌BL21(DE3)plysS (Method
s in Enzymology (1990) 185:60−89)をpCAS4 で形
質転換させて株NEB681を作製した。突然変異体
T.リトラリスポリメラーゼの発現は、IPTGの添加
により誘導した。
【0150】NEB681の試料は、1990年11月
8日にアメリカン タイプ カルチャー コレクション
に寄託し、ATCC No. 68473 となっている。
【0151】天然のT.リトラリスDNAポリメラーゼ
及び大腸菌NEB681から単離したエキソヌクレアー
ゼマイナス変異体中における比較エキソヌクレアーゼ活
性を、一様に[ 3H]ラベルした大腸菌DNA基質を使
用して決定した。野生型のT.リトラリスDNAポリメ
ラーゼは、ニューイングランド バイオラボズ社により
現在市販されている高度に精製したロットからのもので
ある。エキソヌクレアーゼマイナス変異体を、DEAE
セファロース及びフォスフォセルロースカラムを通して
部分的に精製して、エキソヌクレアーゼアッセイを妨害
する混入物類を除去した。表示されているポリメラーゼ
の単位数を、T.リトラリスDNAポリメラーゼバッフ
ァー[20mMのトリス−HCl(25℃においてpH
8.8)、10mMのKCl、10mMの(NH4 2 SO
4 、5mMのMgSO4 、0.1%のTriton X−10
0]、0.1mg/ml のウシ血清アルブミン、及び、3μ
g/mlのDNA基質(特異活性200,000cmp/μg)
を含む0.1mlの反応物に添加し、更に、この反応物に
無機油を重層して反応物の蒸発を防いだ。同一の反応物
は、更に20μMのdNTPを含み、それについては、
以前に、野生型の酵素のエキソヌクレアーゼ活性を阻害
することを示してある。完全な反応混合物を70℃で6
0分間インキュベートし、次に、その0.08mlを除去
し、0.02mlの0.5mg/mlの超音波処理したニ
シンの精子DNA(完全なDNAの沈殿を補助するた
め)、及び、0.2mlの10%トリクロロ酢酸と4℃下
で混合した。混合後、この反応物を、氷上で5分間イン
キュベートし、更にその後、DNAを、エッペンドルフ
社の遠心機内で、4℃において5分間ペレット化させ
た。0.25mlの上清を、シンチレーション溶液と混合
し計数した。バックグラウンド値を補正した試料計数の
結果をFig.11に示した。
【0152】Fig.11においてFig.示されるように、エ
キソヌクレアーゼマイナス変異体は、天然のポリメラー
ゼが明らかにエキソヌクレアーゼ活性を示す条件下にお
いて、dNTPが存在していても、存在していなくて
も、実質的にエキソヌクレアーゼ活性を有さなかった。
内輪には、バックグラウンド値を2倍以上越える活性レ
ベルが検出されたものと見積り、これにより、エキソヌ
クレアーゼ活性は、この変異体においては少なくとも6
0倍低減したことを示す。
【0153】実施例7T.リトラリスDNAポリメラーゼの半減期の決定 実施例1において先に記載したように調製したT.リト
ラリスDNAポリメラーゼの熱安定性もしくは半減期
を、以下に示す方法により決定した。精製したT.リト
ラリスDNAポリメラーゼ(25単位)を、以下に示す
バッファー中で100℃において予めインキュベートし
た:70mMのトリス−HCl(25℃においてpH8.
8)、17mMの硫酸アンモニウム、7mMのMgCl2
10mMのベーター−メルカプトエタノール、200μM
の各デオキシヌクレオチド、及び、200μg/mlのDN
アーゼ処理したDNA。当初の試料を時間ゼロに採取
し、5%の酵素混合物に等価な小分注を、10、20、
40、60、90、120、150、及び、180分に
除去した。ポリメラーゼ活性を、以前に記載したよう
に、DNA内へのデオキシヌクレオチドの取り込みを決
定することにより測定した。
【0154】ニューイングランド バイオラボズ社から
取得したTaqのDNAポリメラーゼの試料を先のアッ
セイに供した。当初の試料を時間ゼロに採取し、5%の
酵素混合物に等価な小分注を、4、7、及び、10分に
除去した。Fig.3に示されるように、100℃における
T.リトラリスDNAポリメラーゼの半減期は60分で
あり、一方、100℃におけるTaqのポリメラーゼの
半減期は4.5分であった。
【0155】Fig.3Aに示されるように、安定剤が存在
しない状態における100℃でのT.リトラリスDNA
ポリメラーゼの半減期は60分であるのに対し、安定剤
であるTriton X−100(0.15%)、あるいは、B
SA(100μg/ml)の存在下における半減期は95分
であった。これは、安定剤の存在下あるいは非存在下に
おいて4.5分である、100℃でのTaqのDNAポ
リメラーゼの半減期に対してはっきりとした対照を見せ
た。
【0156】実施例4において先に記載したように精製
した組換えT.リトラリスDNAポリメラーゼの熱安定
性もしくは半減期は、約90℃を越える温度において、
2相性の加熱不活性化曲線を有することを発見した。こ
れらの2つの相を、約5分及び7時間の半減期により性
質決定した(Fig.3B)。極端な温度におけるより一貫
性のある動態を提供するために、追加的な精製段階を使
用して、このポリメラーゼのより熱感受性な要素を除去
することができる。
【0157】具体的には、実施例4の最終酵素調製物を
100℃で15分間加熱し、その後、氷上で30分間冷
却した。沈殿した蛋白質を、12,000×g におけ
る、4℃での10分間の遠心により除去した。初期のポ
リメラーゼ活性の約20%がこの過程で消失した。残存
しているDNAポリメラーは1相性の加熱不安定化曲線
を示し、95℃における半減期は約7時間であった。結
果として生じたポリメラーゼも叉、天然の酵素、及び、
実施例4にしたがって調製した組換え酵素に類似する、
75℃における動力学的性質を示した。
【0158】実施例83′−5′プルーフリーディング活性の決定 1.デオキシヌクレオチド類の非存在もしくは存在に対
するT.リトラリスDNAポリメラーゼの反応 ポリメラーゼ類に関連するエキソヌクレアーゼ活性のレ
ベルにより、デオキシヌクレオチド類に対して非常に異
なる反応が示される。非プルーフリーディング5′−
3′エキソヌクレアーゼは、デオキシヌクレオチド類の
存在に付随して生じる重合化により10倍もしくはそれ
を越える程度刺激化される一方で、プルーフリーディン
グ3′−5′エキソヌクレアーゼは、付随して起こる重
合化により完全に阻害される。Lehman、I.R.、ARB (19
67) 36: 645。
【0159】T.リトラリスDNAポリメラーゼ、ある
いは、性質が良く分析されているエキソヌクレアーゼ機
能を有するポリメラーゼ類(T4のポリメラーゼ、クレ
ノウ断片)を、重合化バッファー(70mMのトリス(2
4℃でpH8.8)、2mMのMgCl2、0.1%のTr
iton、及び、100μg/mlのウシ血清アルブミン)中に
おいて、1μg の3H−チミジン−ラベルした2重らせ
んのDNA(105 CMP /μg )を加えてインキュベ
ートした。70℃(好熱性ポリメラーゼ)もしくは37
℃(中温性ポリメラーゼ)のいずれかにおける、3時間
(実験1)もしくは4時間(実験2)のインキュベーシ
ョン期間後、エキソヌクレアーゼの加水分解した塩基
を、酸可溶性の放射能ラベルした塩基の測定により定量
化した。
【0160】表1に示すように、5′−3′エキソヌク
レアーゼ活性を有するTaqDNAポリメラーゼは、デ
オキシヌクレオチド類が30μM で存在する場合に、エ
キソヌクレアーゼ活性の刺激化を示す。しかしながら、
T4ポリメラーゼ、大腸菌ポリメラーゼIのクレノウ断
片、もしくは、T.リトラリスDNAポリメラーゼのよ
うな、3′−5′プルーフリーディングエキソヌクレア
ーゼ活性を有するポリメラーゼは、デオキシヌクレオチ
ド類の存在に対して、逆のある阻害的反応を示した。
【0161】
【表1】 T.リトラリスDNAポリメラーゼと、大腸菌のDNA
ポリメラーゼの性質が良く分析されているクレノウ断片
との、デオキシヌクレオチド類の存在もしくは非存在に
対する反応の類似性をFig.4に示す。各ポリメラーゼの
20単位を、先に記載した350μg の重合化バッファ
ー中で、9μg の3H−チミジン−ラベルした2重らせ
んのDNA(105 CMP/ μg )と共に、30μM の
デオキシヌクレオチドの存在下もしくは非存在下におい
てインキュベートした。各時点で、50μl を除去し、
更に、酸可溶性の放射能ラベルした塩基を測定した。Fi
g.4が示すように、3′−5′プルーフリーディングエ
キソヌクレアーゼ活性を含む、T.リトラリスDNAポ
リメラーゼと性質が良く分析されている大腸菌のDNA
ポリメラーゼのクレノウ断片との動態は非常に類似して
いる。
【0162】2.デオキシヌクレオチドの増加濃度に対
するT.リトラリスDNAポリメラーゼの反応 ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性は、重合化中に
存在するデオキシヌクレオチド類のレベルにより、それ
らのレベルが重合化に影響を与えるのと同じくらいの影
響を受ける。デオキシヌクレオチドレベルを酵素のKm
(ミカエリス係数)まで引き上げると、重合の速度が上
昇する。重合化の速度に対して感受性を示すポリメラー
ゼ類のエキソヌクレアーゼ機能については、エキソヌク
レアーゼ活性における変化が、デキシヌクレオチド濃度
の増大に対応する。重合化速度の増大は、プルーフリー
ディング3′−5′エキソヌクレアーゼ活性を劇的に減
少させ、重合化に依存する5′−3′エキソヌクレアー
ゼ活性の増大を伴う。
【0163】デオキシヌクレオチド濃度を10μM から
100μM まで増大させて、T.リトラリスDNAポリ
メラーゼのエキソヌクレアーゼ機能を、他のポリメラー
ゼ類の良く性質が分析されているエキソヌクレアーゼ機
能のものと比較した。エキソヌクレアーゼ活性を、30
分のインキュベーション期間を使用して(1)に記載し
たように測定した。表2に要約してあるように、T.リ
トラリスDNAポリメラーゼは、3′−5′プルーフリ
ーディングエキソヌクレアーゼ(大腸菌のDNAポリメ
ラーゼIのクレノウ断片)を所有することが知られてい
るポリメラーゼに類似して、デオキシヌクレオチドのレ
ベルの増加に対して反応した。この反応は、このプルー
フリーディング機能を所有しないことが知られているポ
リメラーゼ、つまり、TaqのDNAポリメラーゼのも
のと正反対であった。このポリメラーゼは、デオキシヌ
クレオチドのレベルの増大に反応し、その5′−3′エ
キソヌクレアーゼ活性に起因するエキソヌクレアーゼ機
能の増大を伴っていた。
【0164】
【表2】 3.平衡化させたデオキシュクレオチド状態から非平衡
化状態への変化に対するT.リトラリスDNAポリメラ
ーゼの反応 重合化は、DNA合成中に存在する等価レベルの4種類
全てのデオキシヌクレーチド類に依存する。デオキシヌ
クレオチドレベルが等価でない場合には、ポリメラーゼ
は重合化速度を減少し、更に、恐らく誤った塩基を挿入
するものと思われる。このような条件は、5′−3′エ
キソヌクレアーゼ活性を減少させる一方で、プルーフリ
ーディング3′−5′エキソヌクレアーゼ活性をかなり
増加させる。Lehman、I.R.、ARB (1967) 36: 645。
【0165】T.リトラリスDNAポリメラーゼを、平
衡化させたデオキシヌクレオチドレベル(30μM )、
と、dCTPが他の3種類のデオキシヌクレオチドのレベル
の1/10もしくは1/100であるという性質であ
る、2種類の非平衡化のレベルの両方を使用してインキ
ュベートした。その後、T.リトラリスDNAポリメラ
ーゼの反応を、3′−5′もしくは5′−3′エキソヌ
クレアーゼ機能のいずれかを所有する3種類のポリメラ
ーゼのものと比較した。全てのアッセイは、以下に明細
を記録するdCTP濃度を除外しては、(1)において記載
されているように行った。以下に示す表3に示すよう
に、T.リトラリスDNAポリメラーゼは、プルーフリ
ーディング3′−5′エキソヌクレアーゼを含むポリメ
ラーゼについて予想される動態を伴い、つまり、デオキ
シヌクレオチドプール中の非平衡は、T4DNAポリメ
ラーゼもしくは大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ
断片のものと類似する様式でエキソヌクレアーゼ活性を
増大させた。この反応とは対照的に、重合化が阻害され
る地点に非平衡を上昇させるまで、TaqDNAポリメ
ラーゼのエキソヌクレアーゼは影響を受けなかった。
【0166】
【表3】 4.エキソヌクレアーゼ活性の方向性 プルーフリーディングエキソヌクレアーゼは、DNAに
ついて3′−5′の方向性を有するが、一方で、DNA
ポリメラーゼ類に関連する非プルーフリーディングエキ
ソヌクレアーゼは5′−3′の方向性を有する。T.リ
トラリスDNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性
の方向を認識するために、アデノウイルスの5′を遮断
したDNAを利用した。このDNAの5′端は蛋白質に
よって遮断されているため、方向性が5′−3′である
酵素活性は、この2重らせんDNAを消化することがで
きないが、しかしながら、エキソヌクレアーゼIIIも
しくはプルーフリーディングエキソヌクレアーゼ含有性
ポリメラーゼのような、3′−5′である酵素活性はア
デノウイルスDNAを消化することができる。
【0167】25単位のエキソヌクレアーゼIII、あ
るいは、T.リトラリスDNAポリメラーゼ、T4のD
NAポリメラーゼ(良く性質分析されている3′−5′
エキソヌクレアーゼ活性を所有する)、もしくは、Ta
qのDNAポリメラーゼ(そのような活性を所有しな
い)のいずれかの20単位を、5μg のアデノウイルス
のDNAと最高30分までの期間、37℃(T4ポリメ
ラーゼ及びエキソヌクレアーゼIII)もしくは70℃
(Taqポリメラーゼ、及び、T.リトラリスポリメラ
ーゼ)のいずれかで、70mMのトリス−HCl、25℃
においてpH8.8、2mMのMgCl2 、及び、100
μg/mlのBSAの存在下においてインキュベートした。
各インキュベーション時間の最後に、アデノウイルスD
NAのフェノール抽出により酵素活性を停止させ、次
に、HpaI消化を37℃で1時間、20mMのトリス、25
℃でpH7.9、10mMの酢酸マグネシウム、50mMの
酢酸カリウム、及び、1mMのDTT内において行った。
このDNA断片をアガロースゲル電気泳動に供し、結果
として得られる、経時的分解及び引き続き生じる2重ら
せんDNA断片の消失の様式を査定した。
【0168】エキソヌクレアーゼIII、T.リトラリ
スDNAポリメラーゼ、及び、T4DNAポリメラーゼ
の3′−5′エキソヌクレアーゼ活性が、アデノウイル
スDNAの遮断してある5′端に由来する2重らせんD
NA断片の消失の原因となっており、その3′端が反応
の的となり易いことを示している。それと対照的に、
5′−3′重合化依存的エキソヌクレアーゼ活性を有す
るTaqDNAポリメラーゼはDNA断片の消失を示さ
なかった。
【0169】実施例9PCR法におけるT.リトラリスDNAポリメラーゼの
反応効率 T.リトラリスDNAポリメラーゼがポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)を行う能力をも調査した。実施例4にお
いて記載したバッファーを含む100μl 容量中におい
て、4355bp及び2895bpの2つの断片を生じるCl
aI消化により切断されたM13mp18のDNAの変化
量を、任意の非特異的吸着効果を低減させるための担体
DNAとして存在する200ngのウシの胸腺DNAと共
にインキュベートした。正方向及び逆方向のプライマー
が、1μM で存在した(正方向のプライマー=5′d
(CCAGCAAGGCCGATAGTTTGAGT
T)3′であり、かつ、逆方向のプライマー=5′d
(CGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGA
C)3′である)。これらのプライマーは、M13mp
18の総DNAの14%を表す配列で、先に記載した4
355bpの断片上の1kbのDNA配列の両端を挟み込
む。更に、200μM の各dNTP、100μg/mlのB
SA、10%のDMSO、及び、2.5単位のT.アク
アティクスDNAポリメラーゼ(T. aquaticus)(0.
5%のNP40及び0.05%のTween20の存在
下もしくは非存在下)、あるいは、T.リトラリスDN
Aポリメラーゼ(0,10%のTriton X‐100の存在
下もしくは非存在下)が存在した。最初の周期は、95
℃で5分、50℃で5分(そのポリメラーゼ及びBSA
が添加される間)、及び、70℃で5分からなってい
た。引き続き起こる各PCR周期の区分を以下に示す:
93℃で1分、50℃で1分、及び、70℃で5分。
0、13、23、及び、40周期後、100μl 容量の
内のTween20μl の量を除去し、1kbのDNA配
列の増幅化を定量化するために臭化エチジウムが存在す
るアガロースゲル電気泳動に供した。
【0170】28ng及び2.8ng で存在するこの標的D
NA配列を用いる当初の実験により、ポリメラーゼ連鎖
反応を触媒化するT.リトラリスDNAポリメラーゼの
能力が立証され、産生率は、T.アクアティクスDNA
ポリメラーゼに見られるものと比較できる量もしくは多
くて2倍程度であった。
【0171】しかしながら、ポリメラーゼ機能の差異が
最も顕著であったのは、標的DNA配列のより低いレベ
ル、2.8フェムトグラムにおいてであった。各周期中
のDNA伸長において、最高のポリメラーゼ安定性及び
/叉は効率を必要とするこれらの条件下において、T.
リトラリスDNAポリメラーゼは、23周期以内では、
T.アクアティクスDNAポリメラーゼと比較して4倍
を越える大きさの量の増幅化されたDNAを産生した。
【0172】より少ない周期で非常に少量のDNAを増
幅する能力は、PCRの多くの応用法にとって重要であ
り、それは、増幅化のためにかなりの回数の周期を利用
することは、そのPCR過程中の希望しない人工産物の
作製に関係してくるためである。
【0173】実施例10イントロンをコードする組換えT.リトラリスエンドヌ
クレアーゼの精製 実施例9において記載されているように増殖する大腸菌
NEB671(ATCC No. 68447 )を解凍し(70
グラム)、ml当たり200μg のリゾチームを含むバッ
ファーA中に、最終容量が300mlになるように懸濁し
た。この混合物を37℃で2分間、その後、75℃で3
0分間インキュベートした。加熱した混合物を、20,
000×gで30分間遠心し、熱安定性エンドヌクレア
ーゼの更に進んだ精製のためにその上清を回収した。大
腸菌に由来する全てのヌクレアーゼは熱処理により不活
性化されたため、この段階における調製物をイントロン
をコードするエンドヌクレアーゼの性質分析に使用する
ことができた。この75℃の上清溶液中にも存在する組
換えT.リトラリスDNAポリメラーゼからこの酵素を
分離するために、この溶液をDEAE−セファロースカ
ラム(5cm×5cm、100mlの支持体容量)を通し、更
に、200mlのバッファーAで洗浄した。主に全てのD
NAポリメラーゼ活性はカラムを通過する一方、エンド
ヌクレアーゼ活性は吸着する。このエンドヌクレアーゼ
活性を、バッファーA中に形成される0.1M から0.
8M のNaClの1リットルの直線濃度勾配液で溶出
し、それを、10mMのKCl、20mMのトリス−HCl
(24℃でpH8.8)、10mMの(NH4 4
4 、10mMのMgSO4、0.1%のTriton X−10
0、及び、1μg のpBR322を0.05mlの反応混合物当
たり含むバッファー内でアッセイした。この反応混合物
を75℃でインキュベートし、DNA開裂の範囲をアガ
ロースゲル電気泳動により決定した。低い温度において
は、殆どもしくは全くエンドヌクレアーゼ活性が検出さ
れなかった。ピークを示す活性を含む試験管を一まとめ
にして、バッファーAに対して一晩透析し、その後、フ
ォスフォセルロースカラム(2.5cm×6.5cm、32
mlの支持体容量)に供し、バッファーAで洗浄し、更
に、エンドヌクレアーゼ活性を、バッファーA中に形成
した0.1Mから1.5M のNaClの1リットルの直
線濃度勾配液で溶出した。酵素は約0.8M のNaCl
で溶出された。活性分画を一まとめにし、バッファーA
に対して一晩透析し、HPLCモノ−Sカラム(ファル
マシア社)を通し、更に、0.05M から1.0M のN
aClの直線濃度勾配液で溶出した。活性は単一のピー
クとして溶出され、かつ、SDS−PAGEによると均
一であり:つまり、単一の42−47kdのバンドがクマ
シーブルー染色により検出され、更に、このバンドをゲ
ルから溶出させ、変成させた時点で、それはゲル上で検
出されるエンドヌクレアーゼ活性のみを含んでいた。
【0174】この酵素は、多様なDNA上の好ましい切
断部位を有する。大過剰で、更に、火道ポリメラーゼバ
ッファー(ニューイングランド バイオラボズ社、ビバ
リー、マサチューセッツ州)中で使用する場合、この酵
素は、ラムダーDNA上に複数の切断部位を、更に、pB
R322上に3ケ所の切断部位を有する。pBR322上の2つの
急速部位の配列を決定した: 位置164の切断部位を含む領域: 5′ TTGGTTATGCCGGTAC TGCCGGCCTCTT 3′ 3′ AACCAATACGGC CATGACGGCCGGAGAA 5′ 位置2411の切断部位を含む領域: 5′ TTGAGTGAGCTGATAC CGCTCGCCGCAG 3′ 3′ AACTCACTCGAC TATGGCGAGCGGCGTC 5′ IVS2をpBR969から削除する場合、結果として生じる
プラスミド、pAKK4 (実施例11)は、エキソン接続点
において非常に感受性の高い高速反応部位を含む: IVS2接続点における切断部位を含む領域: 5′ GGTTCTTTATGCGGAC*AC/TGACGGCTTTATG 3′ 3′ CCAAGAAATACGCC/TG*TGACTGCCGAAATAC 5′ 星印(*)は、左側のエキソンと右側のエキソンとの間
の領域を示し、それらは、IVS2の削除により互いに
結合されている。
【0175】I−Tli Iのホーミング部位における
開裂は、50℃における、50mMのTRIS(pH7.
9)、10mMのMgCl2 、100mMのNaCl、及
び、1mMのDTTの反応条件を使用すると、「星印」の
部位におけるものより100倍もより速く起こる。これ
らの条件下では、この酵素は大腸菌のDNAを6−10
倍切断する。「星印」の開裂は、NH4 (10mM)、高
めの温度(70−80℃)、及び、高めのpH98.8
−10)により促進される。
【0176】従って、T.リトラリスからのエンドヌク
レアーゼは、切断部位における4種類の塩基の3′伸長
がたびたび存在しかつ認識配列における同義性が存在す
ることがあるとして報告さている、イントロンをコード
する他のエンソヌクレアーゼ類に類似している。
【0177】イントロンの突然変異遺伝子内のこの切断
部位は、イントロンをコードするエンドヌクレアーゼの
ホーミング部位として引用される。この分野において
は、イントロンをコードしているエンソヌクレアーゼ
は、そのイントロンを持たない遺伝子内の切断部位を認
識し、かつ、このエンドヌクレアーゼによるそのDNA
の切断は、ホーミング部位におけるイントロンの挿入を
結果として生じると考えられている。
【0178】本発明の熱安定性エンドヌクレアーゼは、
このような活性が希望される遺伝子操作技術に使用する
ことができる。
【0179】実施例11IVS2を削除したT.リトラリスDNAポリメラーゼ
発現ベクターの作製 他のアルファークラスのDNAポリメラーゼ類、及び、
1170bpの介在配列中のエンドヌクレアーゼと比較し
てT.リトラリス遺伝子のアミノ酸配列を演繹して分析
したところ、このイントロンはアルファーポリメラーゼ
の領域Iを妨害することが示唆された。このエンドヌク
レアーゼの前にある最初の3つのアミノ酸(Tyr Ala As
p )が、aa1472におけるThrに結合している場
合には、良好な共通配列Iが確立される(下線を施した
残基は相同性を示す): 領域I:TYR GLY ASP THR ASP S
ER 左側の接合配列:TYR ALA ASP SER V
AL SER 右側の接合配列:VAL HIS ASN THR
SP GLY 火道ポリメラーゼの領域I:TYR ALA ASP
THR ASP GLY この作製物を利用するために、以下に示すように、Ly
s 1076及びVal 1077のコドン用法を変化
させることによりScaI部位をPCRプライマー内に作成
した: アミノ酸: PHE LYS VAL LEU
TYR ALA ASP 当初の配列: TTT AAG GTT CTT 変化させた配列:TTT AA GT CTT ScaI部位: A GTA CT 発現プラスミドpAKK4 を、以下に示す成分に由来する3
方向連結法において作成した: 1) pPR969の約7959bpの断片を、HindIII 及びEc
oRI での開裂により誘導化した。9μのpPR969DNA
を、40単位のHindIII エンドヌクレアーゼ及び40単
位のEcoRI エンドヌクレアーゼを含む総量0.1mlの1
×NEバッファー2を用いて37℃で1時間インキュベ
ートした。開裂産物を、0.7%のGTG等級のアガロ
ースゲル(FMC)上で、トリス−ホウ酸−EDTAバ
ッファーを流して分離した。約8kbp の適切なバンド
を、製造元の推薦する操作条件を利用して、エルトラッ
プ溶出装置(シュレイカー アンド シューレ社)を使
用しての電気溶出により単離した。溶出の後に、分画を
エタノール沈殿により濃縮し、更に、アガロースゲル電
気泳動における既知の重量標準物との比較により、回収
率を定量化した。
【0180】2) ScaI及びEcoRI 末端を有する約63
8bpの断片をPCR産物から誘導化した。この反応混合
物は、1×NEB火道ポリメラーゼバッファー、0.1
mg/ml のウシ血清アルブミン、0.2mMのdNTP(各
ヌクレオチドが等モルである)、0.9μg/mlのpV1
74.1B1プラスミドDNA鋳型、及び、0.01A
260 U/mlのプライマー72−150(5′ATAAA
GTACTTTAAAGCCGAACTTTTCCTC
TA3′)、及び、プライマー「JACK」(5′CG
GCGCATATGATACTGGACACTGATT
AC3′)を含んでいた。0.1mlの反応混合物を各々
5本の試験管内に配し、更に、その試料をパーキン−エ
ルマー社のサーモサイキュラー(熱循環機)内で、3−
5分間、95℃に加熱した。1Uの火道DNAポリメラ
ーゼを各試験管に添加して、94℃−0.5分、50℃
−0.5分、及び、72℃−2分からなる15周期を熱
循環機内で行った。試料を一まとめにし、フェノール抽
出し、更に、エタノール沈殿させた。試料を、50μl
のトリス−EDTAバッファー中に懸濁させ、更に、4
0μ lのdH2O、10μl の10×NEバッファー
3、60単位のScaIエンドヌクレアーゼ、及び、60単
位のEcoRI エンドヌクレアーゼと混合した。37℃で
1.75時間インキュベートした後、この反応産物を
1.5%のアガロースゲル上で分離し、更に、約638
bpの断片を電気溶出し、以下に示すように定量化した。
【0181】3) HindIII 及びScaI末端を有する約3
58bpの断片をPCR産物から誘導化した。この反応混
合物は、1×NEB火道ポリメラーゼバッファー、0.
1mg/ml のウシ血清アルブミン、0.2mMのdNTP
(各ヌクレオチドが等モルである)、0.9μg/mlのp
V174.1B1プラスミドのDNA鋳型、及び、0.
02 A260 U/mlのプライマー698(5′GAGA
CTCGCGGAGAAACTTGGACT3′)、及
び、プライマー73−143(5′TACAGTACT
TTATGCGGACACTGACGGCTTTTAT
GCCAC3′)を含んでいた。0.1mlの反応混合物
を5本の試験管の各々の中に配し、更に、この試料をパ
ーキン−エルマー社のサーモサイキュラー内で3−5分
間、95℃に加熱した。1UのベントDNAポリメラー
ゼを各反応試験管に添加し、94℃−0.5分、50℃
−0.5分、及び、72℃−1分からなる20周期を、
熱循環機上で行った。この試料を一まとめにし、フェノ
ール抽出し、更に、エタノール沈殿させた。この試料を
50μl のトリス−EDTAバッファー中に再懸濁し、
更に、HindIII 及びScaIインドヌクレアーゼで開裂し
た。この反応産物を1.5%のアガロースゲル上で分離
し、更に、358bpの断片を電気溶出し、以下に示すよ
うに定量化した。
【0182】この結合連鎖反応物は、約1μg/mlの、先
に記載したpPR969断片、0.8μl/mlの、先に示した6
38bpの断片、0.4μl/mlの、先に示した358bpの
断片、1×NEB結合連鎖反応バッファー、及び、10
0、000単位/ml のT4DNAリガーゼを含んでい
た。結合連鎖反応は、16℃で5時間行った。先に示し
たように、正しく作成された組み換え体をScaI消化パタ
ーンにより同定し、更に、BL21(DE3)plys
S内に形質転換させて誘導可能な活性をスクリーニング
した。このような2種類の単離物であるpAKK4及び
pAKK15を、この次の研究に使用した。これら2種
類の単離物は、それらを独立した単離物から単離したに
もかかわらず、同一であるように思われる。
【0183】新しい作製物であるpAKK4からの発現は、
1170bpのイントロンからのエンドヌクレアーゼの発
現を伴わないpPR969に比べて、3−10倍多いT.リト
ラリスDNAポリメラーゼを産生するように思われる。
【0184】T.リトラリスポリメラーゼのエキソヌク
レアーゼ欠損変異体の産生のための発現ベクターは、pA
KK15からの1417bpのClaI−SphI断片を、元来のエ
キソヌクレアーゼ欠損T.リトラリスDNAポリメラー
ゼ作製物であるpCBA1 からの疑似的な1417bp断片で
置換することにより作製した。このような組み換え体の
一つをpAKM8 と命名し、更に性質を分析した。
【0185】実施例12ピロコッカス・スピーシス(Pyrococcus species)から
の熱安定性DNAポリメラーゼの精製 ピロコッカス sp.(Pyrococcus sp )株のGB−D
(ATCC No. 55239 )を、8本の1リットル用ビン
中で、10g/l の必須イオウを含む、Belkin、et al.、
上述、に記載されている培地中で、94℃において2日
間増殖させた。この細胞を室温に冷却し、デカンテーシ
ョンにより未使用のイオウから分離し、遠心により回収
し、更に、−70℃に保存した。細胞の回収率は、リッ
トル当たり1.4g であった。
【0186】先に記載したように取得された11.5g
の細胞を、0.1M のNaClを含む28mlのバッファ
ーA(10mMのKPO4 バッファー、PH7.4;0.
1mMのEDTA、1.0mMのベーター−メルカプトエタ
ノール)中に懸濁した。この溶菌液を、4℃において1
5,000g で30分間遠心した。上清溶液を、18ml
のアフィゲル ブルーカラム(バイオラド社)に通し
た。その後、このカラムを、0.1M のNaClを含む
50mlのバッファーAで洗浄した。このカラムを、バッ
ファーAに含まれる0.1から2.0M のNaClの3
00mlの直線濃度勾配液で溶出した。DNAポリメラー
ゼは約1.3M のNaClにおける単一のピークとして
溶出され、これは、カラムに供した活性の90%を示し
た。DNAポリメラーゼのピークの活性(25ml)を1
00mMのNaClを含む1リットルのバッファーAに対
して透析し、その後、100mMのNaClを含むバッフ
ァーAで平衡化した15mlのフォスフォセルロースカラ
ムに供した。このカラムを100mMのNaClを含む5
0mlのバッファーAで洗浄し、更に、酵素活性を、バッ
ファーAに含まれる0.1から1.0M のNaClの2
00mlの直線濃度勾配液で溶出した。活性は0.6M の
NaClにおける単一のピークとして溶出され、カラム
に供した活性の70%を示した。一まとめにした活性
(42ml)を500mlのバッファーAに対して透析し、
更に、25mlのDEAEカラムに供した。このカラム
を、0.1M のNaClを含む50mlのバッファーAで
洗浄し、酵素活性の3分の2がカラムを通過した。活性
分画を一まとめにし(30ml)、更に、1.0mlのHP
LCモノ−S カラム(ファルマシア社)に供し、0.
05から1.0M のNaClがバッファーA中に含まれ
る100mlの直線濃度勾配液で溶出した。活性は、0.
22M における単一のピークとして溶出され、カラムに
供した活性の80%を示した。
【0187】精製したピロコッカス sp.ポリメラー
ゼをSDS 10−20%ポリアクリルアミドゲル内で
電気泳動し、更に、蛋白質を検出するために以前に記載
したクマーシーブルーあるいはコロイド染色(ISSプ
ロブルー)のいずれかで染色した。微かに染色された蛋
白質のバンドが、約92,000から97,000ダル
トンにおいて観察され;この分子量を、以下に示すマー
カー蛋白質類(ベセスダ リザーチ ラボラトリーズ
社)の移動に対する同一ゲル上での比較により取得され
た:ミオシン、200,000ダルトン;フォスフォリ
ラーゼB、97,400ダルトン;BSA、68,00
0ダルトン;オバルブミン、43,000ダルトン;カ
ルボニックアンヒドラーゼ、29,000ダルトン;b
−ラクトグロブリン、18,400ダルトン;リゾチー
ム、14,300ダルトン。
【0188】実施例13ピロコッカス sp.DNAポリメラーゼ遺伝子のクロ
ーニング T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子から調製され
た放射性プローブを使用するピロコッカスゲノムDNA
ライブラリーのクロスハイブリッド形成は、ピロコッカ
スDNAポリメラーゼをコードするDNAの同定及び単
離を考慮してのことである。これは、以下に示すように
実行した。
【0189】ピロコッカスゲノムライブラリーの調製に
おいてどの制限酵素が最も有用であるかを決定する目的
で、ピロコッカス sp.DNAを、EcoRI 、BamHI 、
及び、HindIII で完全に切断した。このDNAを、アガ
ロースゲル電気泳動(Fig.13A)、及び、以下に示す
用に調製したDNAプローブを使用するサザンハイブリ
ッド形成(Fig.13B)に供した。市販のランダムプラ
イミングキット(ニューイングランド バイオラボズ
社)内における鋳型として、T.リトラリスDNAポリ
メラーゼ遺伝子(bp 1−1274、バクテリオファー
ジNEB#618から取得することができる、ATCC
No. 40794 )の最初のEcoRI 断片の1μg を含む反応
混合物を、37℃で1時間インキュベートして、高い特
異的活性のDNAプローブを作製した。このプローブ
を、中程度の緊縮条件下において先に調製したピロコッ
カス sp.のDNAに対してハイブリッド形成させた
(ハイブリッド形成:50℃で一晩、4×SET、0.
1M のリン酸ナトリウム、pH7、0.1%のピロリン
酸ナトリウム、0.1%のSDS、1×デンハーズ溶
液;洗浄条件:3×20−30分の洗浄、45℃、0.
1×SET、0.1M のリン酸ナトリウム(pH7)、
0.1%のピロリン酸ナトリウム、0.1%のSDS。
Maniatis、et al.、上述)。約5kbにおける単一の主要
なバンドがBamHI で切断したピロコッカスDNA中に検
出された。EcoRI 及びHindIII は、このプローブを使用
すると複数のバンドを生じ、これらの酵素はピロコッカ
スポリメラーゼ遺伝しないを切断することを示してい
る。
【0190】これらの結果に基づき、ファージベクター
λDASH(ストラッタジーン社)を使用してBamHI ゲ
ノムライブラリーを作製した。ピロコッカスDNAの部
分的及び完全なBamHI 消化物を調製した。部分的及び完
全にBamHI 消化したDNAの混合物を、λDASHのBa
mHI v部位内へ結合させた。この結合混合物を製造元の
説明書に従って、ギガパックゴールド(ストラッタジー
ン社)を用いて封入し、大腸菌ER1458上で平板培
養した。封入したファージライブラリーは、ml当たり1
×106 のファージを含んでいた。
【0191】T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子
(NEB#619から取得できる、ATCC No. 4079
5 )の3つの断片( bp 1−1274、1656−26
60、及び、3069−3737)の32P−ラベルした
DNAプローブを、市販のプライマーキット(ニューイ
ングランド バオラボズ社)を使用して調製した。Bent
on & Davis(Maniatis、et al.、上述)の方法に従い、
先に記載したハイブリッド形成条件を使用してピロコッ
カスのゲノムライブラリーをスクリーニングするのにこ
のブローブを使用した。このプラークの約1パーセント
は陽性であり、10個の陽性プラークを選択し、再感染
により精製し、更に、3回平板培養した(各単離物につ
いて、90−100%のプラークが陽性になるまで)。
大量のファージを各単離物から調製し、大腸菌を感染す
るのに用いた。具体的には、ファージのプレート溶菌液
(Maniatis et al. 、上述)を各単離物から調製し、大
腸菌細胞を感染するのに使用した。0.1mlの各プレー
ト溶菌液を0.2mlの細胞(OD600 =2)を含む大腸
菌と混合した。この細菌性細胞を溶菌直前に収集し、
0.05M のNaCl、0.01M のトリス(pH8.
0)、0.1mMのEDTA、0.1%の Triton X−1
00、及び、200μg/mlのリゾチーム(細胞の容量当
たり3倍の容量)中に懸濁し、更に、約1分間もしくは
細胞溶菌が起こるまで37℃に加熱した。この溶菌化し
た抽出物を直ちに75℃で30分間加熱し、遠心し、更
に、先に記載した方法に従い、その上清溶液を熱安定性
DNAポリメラーゼについてアッセイした。10種類の
単離物の内の3種類が有意なポリメラーゼ活性を示し、
最も高い活性を示したクローン(B9)を更に調査し
た。
【0192】ファージDNAをB9から単離し、挿入D
NAを制限酵素消化により調査した。SalIでの消化によ
り、2本のλDASHと15kbの挿入断片とを生じた。
BamHI での消化により、2本のλDASHと7、4.
8、及び、3kbの3つの挿入断片を生じた。これらの断
片の各々をアガロースゲル電気泳動により精製し、溶出
し、更に、pUC19のBamHI 部位に結合した。この結
合混合物を使用して大腸菌ER2207を形質転換させ
たが、この大腸菌は、プラスミドが挿入断片を含む場合
には白色のコロニーを生じ、かつ、標識としてのアガロ
ース培地(X−galとIPTG)上に挿入断片が存在
しなければ、青色のコロニーを生じる。7kbの断片では
白色の形質転換体は取得されなかった。4.8kbの断片
では3個の白色、及び、27個の青色形質転換体が取得
され、更に、3kbの断片では、20個の白色、及び、2
1個の青色形質転換体が取得された。3個の4.8kbの
白色コロニー形質転換体の全ては熱安定性DNAポリメ
ラーゼ活性を発現した。3kbの断片での形質転換体のい
ずれも、熱安定性ポリメラーゼ活性を発現しなかった。
4.8kbのピロコッカスDNA断片を保持するこの3つ
のクローンは、全て、熱安定性DNAポリメラーゼにつ
いて、ほぼ同じ特異活性を有し、一つのものを更に進ん
だ研究のために選択した(NEB#720)。NEB#
720と表示されるこのクローンを、1991年10月
1日に、アメリカン タイプ カルチャー コレクショ
ンに寄託し、受託番号ATCC No. 68723 となった。
ピロコッカス sp.DNAポリメラーゼ遺伝子を含
む、4.8kbのBamHI 断片の制限エンドヌクレアーゼ地
図をFig.14に示した。bp363におけるポリメラーゼ
遺伝子の出発点、及び、介在ヌクレオチド配列(bp18
39−3420)の一部分を含むピロコッカス sp.
DNAポリメラーゼ(NEB720)をコードする部分
的なDNAヌクレオチド配列をFig.18に示す。NEB
#720は細胞のグラム当たり1700単位のDNAポ
リメラーゼ活性を産生し、更に、これをこの酵素の大量
調製に使用した。
【0193】ピロコッカス sp.DNAポリメラーゼ
のクローンの一部分の配列を決定した(Fig.18、bp1
−3420)。ピロコッカス sp.DNAポリメラー
ゼの配列は、DNA及び蛋白質レベルの両方において、
T.リトラリスDNAポリメラーゼに非常に類似してい
る(類似性は、GCGベストフィットプログラムを使用
して算出した、Smith and Waterman、Advances in Apli
ed Mathmatics 、2:482 (1981))。総体的に、その遺
伝子は、成熟したDNAポリメラーゼのアミノ末端領域
(ピロコッカス sp.のDNAポリメラーゼにおける
bp363−1838)においては、69%の相同性で6
6%が相同であり、かつ、現在までに配列決定されてい
るIVS1の一部分(ピロコッカス sp.のDNAポ
リメラオゼにおけるbp1839−3420)において6
3%が相同である。上流領域(ピロコッカス sp.の
DNAポリメラーゼにおけるbp1−362、Fig.18、
及び、T.リトラリスDNAポリメラーゼにおけるbp1
−290、Fig.6)は、ベストフィットプログラムによ
ると何の類似性も示していない。
【0194】蛋白質レベルにおける類似性はより高めで
さえある。ピロコッカス sp.DNAポリメラーゼの
コーディング領域の1019個のアミノ酸においては、
この2種類のポリメラーゼは、83%の類似性及び68
%の相同性を有する(Fig.19)。成熟したポリメラー
ゼのアミノ末端及びIVS1へと分割した場合、ポリメ
ラーゼのコーディングエキソンは、介在配列よりもより
類似しており、成熟したポリメラーゼのアミノ末端(ピ
ロコッカス sp.DNAポリメラーゼにおけるaa
1−492)は89%類似しておりかつ78%相同であ
り、更に、IVS1(ピロコッカス sp.のDNAポ
リメラーゼにおけるaa 493−1019)は78%
類似しておりかつ60%相同である。
【0195】実施例14DNAレベルにおける古細菌DNAポリメラーゼの類似
T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子と、3種類の
他の好熱性古細菌及びTaqのDNAからのDNAポリ
メラーゼ遺伝子との間のクロスハイブリッド形成の度合
いを、サザンブロットハイブリッド形成(Maniatis、上
述)により調査した。T.リトラリス及びピロコッカス
sp.(株GB−D)、T.アクアチクス(T.aquati
cus )、及び、他の2種類のピロコッカス株、G−1−
J及びG−1−H、からの染色体DNAを、EcoRI もし
くはBAmHI のいずれかで開裂した。5μg の各DNA
を、20単位のEcoRI エンドヌクレアーゼもしくは20
単位のBamHI エンドヌクレアーゼを含む60μl の総容
量の1×NEバッファー(EcoRI エンドヌクレアーゼの
ためのEcoRI バッファー、及び、BamHI エンドヌクレア
ーゼのためのBamHI バッファー+1×BSA)を用いて
37℃で2時間インキュベートした。4重検証のため、
開裂したDNAの各試料の0.75μg を、トリス酢酸
EDTAバッファーで使用している1%のアガロース
(シーケム LE社)ゲル上にのせて電気栄動させた
(Maniatis、上述)。このゲルを、室温で20分間、臭
化エチジウム(1μg/ml)で染色し、更に、定規を横に
おいてゲルの写真を撮影した。
【0196】サザン(Maniatis、上述)により開発され
た方法を使用して、このDNAを、ゲルからニトロセル
ロース紙上に転移させた。ニトロセルロースフィルター
紙(0.45μm )をゲルのサイズに切り、37℃にお
いて200mlの6×SSC(0.9M のNaCl、0.
09M のクエン酸ナトリウム)中に1時間を越える期間
浸した。その間、ゲルを、200mlの0.25M 塩酸中
で室温において15分間インキュベートし、その後、蒸
留水ですすいだ。その後、ゲルを、200mlの0.5M
水酸化ナトリウム、1M の塩酸ナトリウム中で、室温で
30分間インキュベートし、その後、蒸留水ですすい
だ。その後、ゲルを、200mlの1M トリスHCl、p
H7.5、3M の塩化ナトリウム中で、室温で30分間
インキュベートした。ゲルからニトロセルロースへのD
NAの転移を、18×SSC(2.7M の塩化ナトリウ
ム、0.27M のクエン酸ナトリウム)、1M の酢酸ア
ンモニウム中で、4℃において行った。6時間後、ニト
ロセルロースを除去し、1×SSC(0.15M の塩化
ナトリウム及び0.015M クエン酸ナトリウム)中
で、30秒間洗浄した。ニトロセルロースフィルターを
空気乾燥させ、更に、その後、80℃で2時間より長い
時間をかけて引圧乾燥させ、その後、室温に保存した。
【0197】T.リトラリスDNAポリメラーゼDNA
のゲル精製した4種類の断片(5′ポリメラーゼコーデ
ィング領域を表すbp1−1274;3′ポリメラーゼコ
ーディング領域を表すbp4718−5437;IVS1
の一部分を表すbp2448−2882;及び、IVS2
の一部分を表すbp3666−4242、からの1.3kb
のzEcoRI断片、Fig.6及び15)を、ニューイングラン
ド バイオラボズ社のランダムプライマーキットを使用
して放射能ラベルした。各35,5μl の容量である先
の鋳型DNAの100ngを沸騰させた湯浴槽内で5分間
沸騰させ、その後、氷上で5分間冷却し、遠心で沈殿化
させた。鋳型DNAを、50μl の総容量中に含まれる
1×ラベル用バッファー(ランダムなヘキサヌクレオチ
ド類を含む)、1/10容量のdNTP混合物、25μ
Ciのα32P dCTP、及び、5単位のDNAポリメ
ラーゼI−クレノウ断片を用いて37℃で1時間インキ
ュベートした。この反応を0.018M のEDTAで停
止した。プローブは、製造元の推薦する溶出条件に従
い、エルチップ ミニカラム(シュレイカー アンドシ
ュール社)を用いて精製した。カウント総数を、全ての
精製プローブについて算出した。1.3kbのEcoRI 断片
プローブ(bp1−1274)は24×106cmp 、3′
ポリメラーゼプローブ(bp4718−5436)は22
×106 cmp、IVS1プローブは54×106 cmp 、
及び、IVS2プローブは47×106 cmp を産生し
た。
【0198】ハイブリッド形成は、以下に示すように実
行した(Maniatis、上述)。ニトロセルロースフィルタ
ーを、5mlのハイブリッド形成バッファー(0.75M
の塩化ナトリウム、0.15M のトリス、10mMのED
TA、0.1%のピロリン酸ナトリウム、0.1%のラ
ウリル硫酸ナトリウム、0.2%のウシ血清アルブミ
ン、0.2%のフィコール400、0.2%のPVP、
及び、100μg/mlの煮沸させたウシ胸腺DNA)中
で、50℃において30分間インキュベートした。その
後、各ニトロセルロースフィルターを、5mlのハイブリ
ッド形成バッファー(0.03%のウシ血清アルブミ
ン、0.03%のフィコール400、及び、0.03%
のPVPを除いては先のものと同様)を含む別々のバッ
グ内へ入れた。各区分を、22−25×106 cpm の変
成させたプローブと、50℃で一晩ハイブリッド形成さ
せた。
【0199】ニトロセルロースフィルターをそのバッグ
から除去し、更に、0.1×SETWash(15mMの
NaCl、3mMのトリス塩基、0.2mMのEDTA、
0.1%のSDS、0.1%のピロリン酸ナトリウム、
及び、0.1M のリン酸バッファー)を用いて、45℃
において3×30分インキュベートした。このフィルタ
ーを湿潤させたままに保ち、サランラップで包み、4時
間から3日の範囲の様々な時間X線フィルムに露出し
た。
【0200】結果をFig.16に示した。Fig.6におい
て、パートAからパートDは、4重検証したサザンブロ
ットのオートラジオグラフィーである。ライン1−5は
EcoRIで切断したDNA。ライン6−10はBamHI で切
断したDNA。ライン1及び6はピロコッカス sp.
のG−1−JのDNA;ライン2及び7はピロコッカス
sp.のG−1−HのDNA;ライン3及び8はT.リ
トラリスのDNA;ライン4及び9はピロコッカス s
p.のGB−DのDNA;ライン5及び10はT.リト
ラリスのDNA。ハイブリッド形成プローブは、以下に
示すとおりである:パートA、T.リトラリスDNAポ
リメラーゼ遺伝子の5′コーディング領域、bp1−12
74;パートB、T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺
伝子の3′コーディング領域、bp4718−5437;
パートC、部分的なIVS2のプローブ、bp3666−
4242;パートD、部分的なIVS2のプローブ、bp
2448−2882。パートCとパートDの上段及び下
段の写真は、各々、短時間及び長時間の露出の同一ブロ
ットである。
【0201】4つのブローブのいずれもTaqDNAに
対してはハイブリッド形成しなかった。両方のポリメラ
ーゼのコーディング領域のプローブとも、サーモコッカ
ス及びピロコッカスDNAの全てにおける特異的バンド
に対してハイブリッド形成したが、TaqDNAに対し
てはハイブリッド形成しなかった。両方のプローブを使
用して良好なシグナルが取得され、これは、T.リトラ
リスDNAポリメラーゼのコーディング領域のアミノ及
びカルボキシ末端の両方が強く保存されていることを示
している。T.リトラリス及びピロコッカス sp.の
GB−Dのアミノ末端領域は約69%相同であり(例え
ば、Fig.6及び18を参照せよ)、かつ、蛋白質レベル
において非常に類似している(Fig.19)。IVS1の
プローブは、T.リトラリス及びピロコッカス sp.
GB−DのDNAに対して強くハイブリッド形成し(1
582bp領域について約63%相同)、かつ、ピロコッ
カス sp.G−1−HのDNAに対しては弱くハイブ
リッド形成した。IVS2プローブは、T.リトラリス
DNAに対しては強力にハイブリッド形成し、かつ、ピ
ロコッカス sp.G−1−HのDNAに対しては弱く
ハイブリッド形成した。
【0202】実施例15抗体レベルにおける古細菌DNAポリメラーゼの類似性 T.リトラリス、及び、ピロコッカス株の1mlの培養物
からのペレットを、100μl の尿素溶菌バッファー
(4M の尿素、0.12M のトリス、4%のラウリル硫
酸ナトリウム、10%のβ−メルカプトエタノール、2
0%のグリセロール、及び、0.002%のブロモフェ
ノールブルー)中に再懸濁し、更に、3分間煮沸した。
煮沸した試料を25G5/8の注射針で剪断して試料の
粘性を低減させた。T.リトラリス、及び、ピロコッカ
ス株G−1−J及びG−1−Hの試料、及び、精製した
TaqDNAポリメラーゼ、大腸菌のDNAポリメラー
ゼ、及び、ピロコッカス sp.(GB−D)から精製
したDNAポリメラーゼの試料の2重検証としてのそれ
ぞれ10μl を10−20%のSDS−PAGEゲルに
のせ、蛋白質流出バッファー(0.1%のラウリル硫酸
ナトリウム、0.19M のグリシン、及び、0.025
M のトリス塩基)中で流出させた。ニトロセルロースフ
ィルター(45μm )を上流水中に5分間浸し、その
後、転移バッファー(0.15%のエタノールアミン、
20mMのグリシン、及び、20%のメタノール)中に3
0分間浸した。ゲル上の蛋白質を転移バッファー(Towb
in、et al.、PNAS(1979) 76: 4350 −4354)中で、ニ
トロセルロースフィルター上に電気溶出させた(30ボ
ルト、4℃で一晩)。
【0203】ニトロセルロースを除去し、ボールペンで
印を付け、TBSTT(20mMのトリス、150mMの塩
酸ナトリウム、0.2%のTween20、及び、0.
05%のTritonX−100)中で5分間洗浄し
た。このフィルターをTBSTT+3%の脱脂粉乳(カ
ーネーション社)中で30分間遮断し、3×3分間TB
STT内で洗浄した。坑−T.リトラリスDNAポリメ
ラーゼ抗血清を部分的に精製した天然のDNAポリメラ
ーゼ調製物に対して作成した。T.リトラリスDNAポ
リメラーゼ特異血清を、精製した天然酵素のウエスタン
ブロット切片上における親和性を利用する精製法により
調製した(Beall et al.、J. Immunological Methods 8
6:217 −233 (1983))。親和性を利用して精製した坑
−T.リトラリスDNAポリメラーゼマウス抗体(V7
6−2+3)及び、モノクローナルな坑−Taqポリメ
ラーゼ抗体(TBSTT中において1:100に希釈し
たもの)を、各ニトロセルロースフィルターに対して別
々に、室温において5時間添加した。このフィルターを
TBSTTで3×3分洗浄し、その後、アルカリフォス
ファターゼ(プロメガ社)と複合化させた坑−マウス2
次抗体の1:7500希釈物と、TBSTT中で、室温
において1時間反応させた。このニトロセルロースフィ
ルターを、製造元(プロメガ社)による指示どうりに、
NBT/BCIPで展開した。Taqモノクローナルを
使用した結果をFig.17に示した。Fig.17は、親和性
を利用して精製した坑−T.リトラリスDNAポリメラ
ーゼ抗体(パートA)、及び、坑−TaqDNAポリメ
ラーゼモノクローナル抗体(パートB)と反応させた、
T.リトラリス(V)、ピロコッカス sp.G−1−
J(J)、及び、ピロコッカス sp.G−1−H
(H)からの未精製溶菌液類、あるいは、ピロコッカス
sp.GB−D(DV)、T.アクアティクス
(T)、もしくは、大腸菌(E)からの精製したポリメ
ラーゼ類のウエスタンブロットである。矢印は、T.リ
トラリス及びピロコッカス sp.DNAポリメラーゼ
蛋白質の位置を示す。パートBにおける反応性はバック
グラウンド蛋白質に対するものであり、パートAにおい
て見られるように、DNAポリメラーゼに対するもので
はない。
【0204】TaqDNAポリメラーゼに対して特異的
なモノクローナル抗体は、テストしたピロコッカス及び
セルモコッカス株からの蛋白質とは交差反応しない。
【0205】しかしながら、T.リトラリス及び3種類
のピロコッカス株からの、90−95,000ダルトン
のDNAポリメラーゼ蛋白質は、親和性を利用して精製
した坑−T.リトラリスDNAポリメラーゼ抗体と反応
した。これは、T.リトラリス及びピロコッカス s
p.GB−DのDNAポリメラーゼの間の高度な類似性
及び相同性の両方を考えれば、驚くべきことではない
(Fig.19)。
【0206】Fig.19は、組換えT.リトラリスの演繹
したアミノ酸配列の一部分と、組換えピロコッカス s
p.DNAポリメラーゼの部分的配列の比較である。ピ
ロコッカスDNAポリメラーゼの演繹したアミノ酸を上
の列に記載し、組換えT.リトラリスDNAポリメラー
ゼの演繹したアミノ酸配列を下の列に記載してある。総
同性を垂直な実線により示し、類似性を1つもしくは2
つの点で示し、非保存的置換はこの2つの配列間を空白
にして示してある。
【0207】実施例16 標的古細菌から組換え熱安定性DNAポリメラーゼを取
得する目的で、標的DNAポリメラーゼ遺伝子をクロー
ニングするための様々な基本的方法を行うことができ
る。初めには、本発明の実施例15において記載されて
いるように、坑−TaqDNAポリメラーゼもしくは坑
−T.リトラリスDNAポリメラーゼ血清を使用する、
精製したポリメラーゼ(未精製のポリメラーゼ溶菌液も
感度が低減するが使用することができる)のウエスタン
ブロット分析により、新しいポリメラーゼがPOL αもし
くはPol I 類の一員であるかどうかを免疫学的に決定す
る一ことを試みる(Fig.17)。新しいポリメラーゼが
坑−Taqポリメラーゼモノクローナルと反応する場合
には、T.リトラリスDNAポリメラーゼから作製され
た試薬を使用しては、恐らく簡単にはそれをクローン化
することはできない。新しいポリメラーゼが坑−T.リ
トラリス血清と交差反応する場合には、以下に示す方法
でそれをクローン化することができるはずである。新し
いポリメラーゼがいずれの血清とも反応しない場合に
は、この実験は結論を得ることができないものと考え
て、次の段階であるDNAクロスハイブリッド形成へ進
むべきである。
【0208】至適プローブとDNAとのハイブリッド形
成条件を、各新しい生物について実験的に決定する必要
がある。同時に、T.リトラリスプローブに対してハイ
ブリッド形成しかつ新しいポリメラーゼを充分コードす
るほど長い断片を産生する酵素を発見する目的で、新し
い生物からの様々な制限消化をテストする。
【0209】プローブ選択は、T.リトラリスDNAポ
リメラーゼ遺伝子のサイズ及び領域に関連して変化する
ことがある。至適プローブを、大きめもしくは小さめの
DNA断片、あるいは、オリゴマーさえ用いる、以下に
記載するような試験的なサザンブロットを行うことによ
り決定することができる。IVS配列内に含まれるもの
に完全に由来するプローブを選択して、新しい古細菌D
NAポリメラーゼ遺伝子内のIVSの存在を探索するこ
とができるか、あるいは、プローブは成熟したポリメラ
ーゼコーディング領域に限定されている可能性がある。
プローブとして完全なT.リトラリスDNAポリメラー
ゼ遺伝子を使用することには数々の長所及び短所があ
る。主要な短所は、プローブが大きければ大きいほど、
非常に低い緊縮度において見せ掛けのハイブリッド形成
を産生しやすくなることである。より大きいプローブを
使用することの利点には、(1)それらが、ポリメラー
ゼのある小さな部分において、T.リトラリスDNAポ
リメラーゼ遺伝子から主に分岐してきた他のポリメラー
ゼに対してクロスハイブリッド形成をよりしやすいこ
と、及び、(2)プローブがT.リトラリスDNAポリ
メラーゼ遺伝子のアミノ及びカルボキシ末端にまたがる
ため、それらは、新しいポリメラーゼ遺伝子内に存在す
る内側の制限部位を検出しやすいことである。プローブ
選択の最初の段階においては、様々な制限酵素を使用し
て、新しい古細菌からのDNAを開裂し、T.リトラリ
スDNAポリメラーゼプローブに対してハイブリッド形
成しかつ新しいポリメラーゼを充分コードするほど長
い、好ましくは一つもしくはせいぜい2つのバンドを産
生する、一つもしくは複数の酵素を発見することが重要
である。新しいポリメラーゼに必要な最小のコーディン
グ配列を、ウエスタンブロットにより(希望であれば、
IVSについての因子を仮定して)、あるいは、最初の
近似として4KBを上回るものを推測することにより決定
される新しいポリメラーゼのサイズから概算することが
できる。最大断片サイズは、希望するベクターのクロー
ニング能により限定される。
【0210】至適ハイブリッド形成条件は、様々な洗浄
温度において試験的なサザンブロットを行うことにより
実験的に決定する。ハイブリッド形成は、50℃におい
て、4×SET、0.1M のリン酸ナトリウム、pH
7、0.1%のピロリン酸ナトリウム、0.1%のSD
S、1×デンハート溶液中で行うが、任意の低緊縮性ハ
イブリッド形成条件も適当である(Maniatis)。洗浄条
件は、37−55℃まで変化し、3×30分、0.1×
SET洗浄液(15mMのNaCl、3mMのトリス塩基、
0.2mMのEDTA、0.1%のSDS、0.1%のピ
ロリン酸ナトリウム、及び、0.1mMのリン酸バッファ
ー)を用いるが、任意の低緊縮性洗浄条件を使用するこ
ともできる。本実験パートの要点は、プローブをハイブ
リッド形成させ、更に、サザンブロットを低緊縮度で洗
浄して、非特異的クロスハイブリッド形成を含むことさ
えあるクロスハイブリッド形成のある程度のレベルを保
証することである。次には、洗浄の緊縮度を上昇させる
が、それは例えば、洗浄温度を3−5℃増大させ、その
後、オートグラフィー上のシグナルの減少により決定さ
れるハイブリッド形成したプローブの消失を記録する。
最初には、低緊縮度においてプローブに対してハイブリ
ッド形成している多数のバンドを観察することが期待さ
れる。洗浄の緊縮度を増大させるにつれて、弱くハイブ
リッド形成している配列が解離し、オートラジオグラフ
から消失する。洗浄の緊縮度を増大させるにつれて、一
本もしくは数本のみのバンドが依然としてプローブに対
してハイブリッド形成するところで条件が確立する。こ
れらがこれからの実験において使用すべき条件である。
緊縮度がこの点を越える時点で全てのハイブリッドシグ
ナルが消失する。目的は、全てのハイブリッド形成シグ
ナルが消失鶴以前に、消化物当たり一本もしくは数本の
バンドが依然としてハイブリッド形成する最も緊縮度の
高い条件を決定することである。
【0211】巨大なT.リトラリスDNAポリメラーゼ
遺伝子断片を用いる最初のプローブ選択が、どのような
ハイブリッド条件を用いても鮮明なパターンを生じない
場合には、プローブサイズとハイブリッド形成条件の良
好な協力関係が得られるまで小さめのプローブをテスト
することができる。それに代わる方法として、本発明の
実施例14は、T.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝
子(アミノ末端、IVS1、IVS2、及び、カルボキ
シ末端、Fig.15及び16)の様々な領域に広がる多数
の断片を、別々ではあるが、同時に並行してテストする
サザンブロットに使用することができることを示してい
る。
【0212】至適制限消化物でライブラリーを作製し、
更に、至適化させたプローブとハイブリッド形成させ
る。並行して行われる方法は、発現ベクター内へクロー
ン化させ、更に、坑−T.リトラリス抗血清で直接スク
リーニングすることである。いずれかのプライマー法
が、活性もしくは不活性産物を産生することができる。
活性ポリメラーゼが検出されない場合には、挿入断片の
サイズ及び坑−T.リトラリス血清に対する反応性につ
いてそのクローンをチェックする。坑−T.リトラリス
血清に対する反応性が何ら存在しない場合には、ポリメ
ラーゼは、大腸菌内におけるそれ自身の調節配列からは
発現されないことがあってよく、かつ、プラスミド挿入
断片の配列を決定して、大腸菌のプロモーター及び恐ら
くは翻訳シグナルに対して新しいポリメラーゼを遺伝子
操作を利用して結合する必要がある。
【0213】本発明において我々は、T.リトラリス及
びピロコッカス sp.DNAポリメラーゼ遺伝子の両
方におけるPol α保存領域モチーフ内のイントロンも
しくは介在配列を同定した。そのため、我々は、他の古
細菌DNAポリメラーゼ遺伝子が保存されているモチー
フ内においてもイントロンを有することができると予測
している。新しいポリメラーゼクローンが不活性である
場合、介在配列の存在についてチェックするべきであ
る。これらのイントロンは2つの方法において同定する
ことができる。これらのイントロンがT.リトラリス及
びピロコッカスsp.のDNAポリメラーゼ遺伝子内に
発見されるイントロンに関連している場合には、これら
を、T.リトラリス及びピロコッカス sp.のDNA
ポリメラーゼ遺伝子のイントロン配列に由来するDNA
プローブに対する、低緊縮度のハイブリッド形成により
同定することができる。IVSが発見される場合、この
クローンの配列を決定してIVSの除去のための対策を
開発する。クローンが不活性であり、かつ、クロスハイ
ブリッド形成するIVSが発見されない場合には、プラ
スミドの配列を決定して新しいIVSを探し出す。古細
菌DNAポリメラーゼ遺伝子の配列をDNAレベルにお
いて決定し、更に、その配列を、(1)他のDNAポリ
メラーゼと比較して非類似区分を同定し、(2)保存さ
れているモチーフと比較して領域I−VIのうちの存在
していないものを突き止め、次に、存在していない領域
における分断点を同定する。一度同定しさえすれば、イ
ントロンを、当業者にしられている任意の多数の技術に
より、インビトロにおいて除去することができ、これら
の方法の内の幾つかは、T.リトラリスDNAポリメラ
ーゼ遺伝子からのIVS1及びIVS2の除去に関する
本方法内に記載されている。
【0214】最初のライブラリースクリーニングが、活
性な熱安定性DNAポリメラーゼを合成するクローンを
産生しないが、(1)DNAレベルにおけるクロスハイ
ブリッド形成、(2)抗体レベルにおける交差反応性、
及び、(3)DNA配列もしくは演繹したアミノ酸配列
レベルにおける他のDNAポリメラーゼとの類似性、に
より決定される部分的な遺伝子クローンを結果として生
じる場合、より多い量のゲノムサザンブロットを最初の
クローンで探索して、次のライブラリーを作製するため
に選択するべき制限酵素を同定する。第2ライブラリー
は、完全なポリメラーゼ遺伝子をより含んでいそうなよ
り大きい断片を含むべきである。このライブラリーを、
抗体、あるいは、好ましくは、最初の新しいポリメラー
ゼからクローン化した配列のいずれかを使用してスクリ
ーニングする。結果として陽性になるものを熱安定性D
NAポリメラーゼ活性についてチェックする。この第2
回目において活性な熱安定性DNAポリメラーゼが検出
されない場合には、介在配列をクロスハイブリッド形成
及びDNA配列決定によりスクリーニングすることがで
きる。DNA配列決定によっても、ポリメラーゼの読み
取り枠内において、全ての保存されたポリメラーゼモチ
ーフ及び停止コドンの存在を立証することにより、果た
してそのクローン化した遺伝子が完成されたものである
か否かが示される。最終的に活性な熱安定性DNAポリ
メラーゼをクローニングする前には、数回のスクリーニ
ング及び再スクリーニングが必要である。
【0215】先のスクリーニング及び再スクリーニング
法は、遺伝子内に存在する毒性要素のために、新しい熱
安定性ポリメラーゼ遺伝子をクローニングするのに充分
なものでないことがあってよい。この場合には、DNA
もしくは蛋白質レベルにおける交差反応性がクローニン
グの卓越した方法であり、それは、一部分のみの不活性
産物を最初にクローニングすることができ、その後に完
全な遺伝子をクローニングすることができるためであ
る。先に概要を記載した手法を使用しては、完全な遺伝
子を取得することが簡単でない場合には、クローン化さ
せる場合に非常に有毒であるIVS2のような介在配列
の存在を探索するべきである。これは、ポリメラーゼク
ローン内の欠損及び配列転位の探索、あるいは、既知の
有毒なT.リトラリス配列の探索のいずれかにより行わ
れる。2重検証でのサザンブロットをポリメラーゼのコ
ーディング領域及びIVS配列で探索して、ポリメラー
ゼのコーディング領域に近位する有毒なIVSの位置を
決定する。配列転位もしくは有毒なIVSを発見した場
合、適切な対策は、最初に遺伝子操作を利用してポリメ
ラーゼのアミノ末端を本出願において記載されているよ
うな強力に調節されている発原型に対して結合させるこ
とである。一度成功すれば、ポリメラーゼ遺伝子の残り
の部分をクローン化し、更に、アミノ末端に接続して、
T.リトラリスIVS2配列のような有毒な要素の発現
を低減させることができる。これに代わる方法として、
ポリメラーゼ遺伝子のクロスハイブリッド形成させたサ
ブフラグメントを単離し、ハイブリッド形成もしくはD
NA配列決定によりIVSについてチェックすることが
できる。IVSは、当業者にしられている方法により、
これらの領域からインビトロにおいて除去することがで
きる。その後、有毒な要素を既に除去してあるサブフラ
グメントの結合により、完全なポリメラーゼ遺伝子を作
製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fig.1Aは、実施例1のSDS−ポリアクリル
アミドゲルの電気泳動の写真である。
【図2】Fig.1Bは、Fig.1Aにおけるゲルのライン2
から溶出された蛋白質のポリメラーゼ活性及びエキソヌ
クレアーゼ活性を示すグラフである。
【図3】Fig.2は、バクテリオファージNEB619の
BamHI 断片内に完全に含まれるT.リトラリスDNAポ
リメラーゼをコードする遺伝子を含むXba 断片の制限部
位地図である。
【図4】Fig.3A及びFig.3Bは、それぞれ、天然及び
組換えT.リトラリスDNAの半減期を示すグラフであ
る。
【図5】Fig.3A及びFig.3Bは、それぞれ、天然及び
組換えT.リトラリスDNAの半減期を示すグラフであ
る。
【図6】Fig.4は、T.リトラリスDNAポリメラーゼ
及びクレノウ断片の、デオキシヌクレオチドの存在もし
くは不在に対する反応を示すグラフである。
【図7】Fig.5は、天然のDNA(NEB619のBamH
I 断片)及び大腸菌NEB671とNEB687におけ
るT.リトラリスDNAポリメラーゼ遺伝子の体制を示
す制限部位地図である。
【図8】Fig.6は、1.3kb、1.6kb、及び、1.9
kbのEcoRI 断片、及び、EcoRI/BamHI 断片の一部を含
む、バクテリオファージNEB619の14kbのBamHI
制限断片の部分的なヌクレオチド配列である。
【図9】Fig.6は、1.3kb、1.6kb、及び、1.9
kbのEcoRI 断片、及び、EcoRI/BamHI 断片の一部を含
む、バクテリオファージNEB619の14kbのBamHI
制限断片の部分的なヌクレオチド配列である。
【図10】Fig.6は、1.3kb、1.6kb、及び、1.
9kbのEcoRI 断片、及び、EcoRI/BamHI 断片の一部を含
む、バクテリオファージNEB619の14kbのBamHI
制限断片の部分的なヌクレオチド配列である。
【図11】Fig.6は、1.3kb、1.6kb、及び、1.
9kbのEcoRI 断片、及び、EcoRI/BamHI 断片の一部を含
む、バクテリオファージNEB619の14kbのBamHI
制限断片の部分的なヌクレオチド配列である。
【図12】Fig.6は、1.3kb、1.6kb、及び、1.
9kbのEcoRI 断片、及び、EcoRI/BamHI 断片の一部を含
む、バクテリオファージNEB619の14kbのBamHI
制限断片の部分的なヌクレオチド配列である。
【図13】Fig.7は、DNAポリメラーゼの共通相同領
域IIIにおけるアミノ酸とT.リトラリスの相同群I
IIのアミノ酸との比較である。
【図14】ベクターpPR969の説明図である。
【図15】ベクターpCAS4の説明図である。
【図16】ベクターV174−1B1 の説明図である。
【図17】Fig.11は、検出可能な3′から5′方向へ
のエキソヌクレアーゼ活性をもたない、実施例6におい
て作製したT.リトラリスDNAポリメラーゼ変異体を
説明するグラフである。
【図18】Fig.12は、実施例IIIにおいて使用され
るプライマーのヌクレオチド配列である。
【図19】Fig.13Aは、EcoRI (ライン3)、 BamHI
(ライン4)、 HindIII(ライン5)で切断したピロコ
ッカス sp.DNAの、臭化エチジウムで染色したア
ガロースゲルの電気泳動の写真である。ライン1は、マ
ーカーとしての、HindIIIで切断したλDNAであり、
ライン2は、マーカーとしてのpBI322である。Fig.13
Bは、Fig.13Aにおける同一ゲルの、サザンハイブリ
ッド形成のオートラジオグラフィーの電気泳動の写真で
ある。32P−DNAプローブは、T.リトラリスDNA
ポリメラーゼのアミノ末端部分をコードする、1.3kb
のEcoRI 断片から調製した。BamHI で切断したピロコッ
カス sp.DNAがそのプローブで約4−5kbの単一
なバンドを生じることに注目せよ。HindIII で切断した
λDNAの23kbのバンドがフィルム上に示されるとい
う事実は、そのバンド中に存在する大量のDNAに対す
る非特異的なハイブリッド形成のためである。プラスミ
ドpBR322が照らしだされているという事実は、プローブ
内の相同な配列のためである。
【図20】Fig.14は、大腸菌2270(NEB#72
0)のpUC19 プラスミド内のピロコッカス sp.DN
Aポリメラーゼを含む遺伝子を含む、4.8kbのBamHI
断片の制限部位地図である。
【図21】Fig.15は、他の標的古細菌についてのDN
Aの類似性を分析するために使用したプローブを説明し
ている。
【図22】Fig.16は、T.リトラリス及びピロコッカ
ス sp.のDNAに対してプローブがハイブリッド形
成するが、T.アクアティクスのDNAに対してはハイ
ブリッド形成しないことを説明する、実施例14におい
て記載した4重検証のサザンブロットのオートラジオグ
ラフィーの電気泳動の写真である。
【図23】Fig.16は、T.リトラリス及びピロコッカ
ス sp.のDNAに対してプローブがハイブリッド形
成するが、T.アクアティクスのDNAに対してはハイ
ブリッド形成しないことを説明する、実施例14におい
て記載した4重検証のサザンブロットのオートラジオグ
ラフィーの電気泳動の写真である。
【図24】Fig.17は、親和性を利用して精製した坑−
火道DNAポリメラーゼ抗体(パートA)、もしくは、
坑−TaqDNAポリメラーゼ抗体(パートB)と反応
させた、T.リトラリス(V)、ピロコッカス sp.
G−I−J(J)、ピロコッカス sp.G−I−H
(H)からの未精製溶菌液、あるいは、ピロコッカスs
p.GB−D(DV)、T.アクアティクス(T)、も
しくは、大腸菌(E)からの精製したポリメラーゼのウ
エスタンブロットの電気泳動の写真である。矢印は、
T.リトラリス及びピロコッカス sp.のDNAポリ
メラーゼ蛋白質の位置を示す。パートBにおける反応性
はバックグラウンドの蛋白質に対するものであり、パー
トAにおいて示されるようなDNAポリメラーゼに対す
るものではない。
【図25】Fig.18は、ピロコッカス sp.DNAポ
リメラーゼをコードする遺伝子の部分的なDNAヌクレ
オチド配列である。
【図26】Fig.18は、ピロコッカス sp.DNAポ
リメラーゼをコードする遺伝子の部分的なDNAヌクレ
オチド配列である。
【図27】Fig.19は、T.リトラリスDNAポリメラ
ーゼに対するピロコッカス sp.のDNAポリメラー
ゼの演繹したアミノ酸配列の比較である。
【図28】Fig.19は、T.リトラリスDNAポリメラ
ーゼに対するピロコッカス sp.のDNAポリメラー
ゼの演繹したアミノ酸配列の比較である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 15/54 C12R 1:01) (72)発明者 フランシーン・パーラー アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 02146、ブルツクリン、フラー・ストリー ト・74・エイ (72)発明者 レベツカ・クセラ アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 01915、ビバリー、ネプチユーン・ストリ ート・29 (72)発明者 ウイリアム・イー・ジヤツク アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 01984、ウエーナム、メイフラワー・ドラ イブ・31

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fig.6のヌクレオチド配列もしくはその
    一部分、Fig.6のヌクレオチド1から1274まで、Fi
    g.6のヌクレオチド1269から2856まで、及び、
    Fig.6のヌクレオチド2851から4771までからな
    る群から選択されるヌクレオチド配列に対してハイブリ
    ッド形成するDNA配列によりコードされている、古細
    菌からの組換え熱安定性DNAポリメラーゼ。
  2. 【請求項2】 Fig.6のヌクレオチド配列の一部分が少
    なくとも約20ヌクレオチド分の長さである、請求項1
    の組換え熱安定性ポリメラーゼ。
  3. 【請求項3】 Fig.6のヌクレオチド配列の部分が少な
    くとも約50ヌクレオチド分の長さである、請求項1の
    組換え熱安定性ポリメラーゼ。
  4. 【請求項4】 Fig.6のヌクレオチド配列の部分が少な
    くとも約150ヌクレオチド分の長さである、請求項1
    の組換え熱安定性ポリメラーゼ。
  5. 【請求項5】 T.リトラリス(T. litoralis)のDN
    Aポリメラーゼに対する抗原特異性を有する抗体プロー
    ブに対してハイブリッド形成する、古細菌からの組換え
    熱安定性DNAポリメラーゼ。
  6. 【請求項6】 実施例1の組換え熱安定性DNAポリメ
    ラーゼをコードする、単離されたDNA。
  7. 【請求項7】 請求項6の単離されたDNAを含むクロ
    ーニングベクター。
  8. 【請求項8】 請求項7のベクターにより形質転換させ
    られた宿主細胞。
  9. 【請求項9】 古細菌からの組換え熱安定性DNAポリ
    メラーゼを産生させるための方法であって、そのDNA
    ポリメラーゼの発現に適する条件下において、請求項7
    のベクターで形質転換させた宿主細胞を培養することを
    含む、上記方法。
  10. 【請求項10】 請求項1の古細菌熱安定性DNAポリ
    メラーゼをコードするDNA配列に対してハイブリッド
    形成するDNAプローブであって、このDNAプローブ
    が、Fig.6のヌクレオチド配列もしくはその一部分、Fi
    g.6のヌクレオチド1から1274まで、Fig.6のヌク
    レオチド1269から2856まで、及び、Fig.6のヌ
    クレオチド2851から4771までからなる群から選
    択される、上記DNAプローブ。
  11. 【請求項11】 請求項10のDNAプローブであっ
    て、Fig.6のヌクレオチド配列の一部分が少なくとも約
    20ヌクレオチド分の長さである、上記DNAプロー
    ブ。
  12. 【請求項12】 請求項10のDNAプローブであっ
    て、Fig.6のヌクレオチド配列の一部分が少なくとも約
    50ヌクレオチド分の長さである、上記DNAプロー
    ブ。
  13. 【請求項13】 請求項10のDNAプローブであっ
    て、Fig.6のヌクレオチド配列の一部分が少なくとも約
    150ヌクレオチド分の長さである、上記DNAプロー
    ブ。
  14. 【請求項14】 以下の段階: (a)古細菌からゲノムライブラリーを形成すること; (b)適切な宿主細胞を、段階(a)からのライブラリ
    ーで形質転換もしくはトランスフェクトさせること; (c)形質転換もしくはトランスフェクトさせた宿主細
    胞からのDNAを、Fig.6のヌクレオチド配列もしくは
    その一部分、Fig.6のヌクレオチド1から1274ま
    で、Fig.6のヌクレオチド1269から2856まで、
    及び、Fig.6のヌクレオチド2851から4771まで
    からなる群から選択されるDNAプローブと接触させる
    こと; (d)そのDNAプローブに対してハイブリッド形成す
    る、段階(c)の形質転換もしくはトランスフェクトさ
    せた細胞を、DNAポリメラーゼ活性についてアッセイ
    すること;及び、 (e)熱安定性DNAポリメラーゼをコードするDNA
    断片を単離すること、を含む、古細菌からの熱安定性D
    NAポリメラーゼをコードするDNAを単離するための
    方法。
  15. 【請求項15】 以下の段階: (a)古細菌からゲノムライブラリーを形成すること; (b)適切な宿主細胞を、段階(a)からのライブラリ
    ーで形質転換もしくはトランスフェクトさせること; (c)形質転換もしくはトランスフェクトさせた宿主細
    胞からの抽出物を、T.リトラリスDNAポリメラーゼ
    についての特異的親和性を有する抗体プローブと接触さ
    せること; (d)その抗体プローブに交差反応する、段階(c)の
    形質転換もしくはトランスフェクトさせた細胞を、DN
    Aポリメラーゼ活性についてアッセイすること;及び、 (e)熱安定性DNAポリメラーゼをコードするDNA
    断片を単離すること、を含む、古細菌からの熱安定性D
    NAポリメラーゼをコードするDNAを単離するための
    方法。
  16. 【請求項16】 以下の段階: (a)請求項14もしくは15の単離されたDNA中の
    任意の介在ヌクレオチド配列を同定しかつ位置を決定す
    ること;及び、 (b)この単離されたDNAから介在ヌクレオチド配列
    を除去すること、を含む、古細菌からの熱安定性DNA
    ポリメラーゼの発現を増加させる方法。
  17. 【請求項17】 古細菌がT.リトラリスを含む、請求
    項16の方法。
  18. 【請求項18】 介在ヌクレオチド配列が、IVS1、
    IVS2、もしくは、IVS1とIVS2の群から選択
    される、請求項17の方法。
  19. 【請求項19】 T.リトラリスDNAポリメラーゼを
    コードするDNA配列からのイントロンをコードするD
    NAプローブを用いて、介在ヌクレオチド配列の同定及
    び位置を決定する、請求項16の方法。
  20. 【請求項20】 DNAプローブが、ヌクレオチド17
    76から3389までもしくはその一部分を含むFig.6
    の1614bpのヌクレオチド配列、及び、ヌクレオチ
    ド3544から4703もしくはその一部分を含むFig.
    6の1170bpのヌクレオチド配列からなる群より選
    択される、請求項19の方法。
  21. 【請求項21】 位置164及び2411において二重
    らせんのデオキシヌクレオチド酸pBR 322を切断す
    る、T.リトラリスから取得することができる熱安定性
    エンドヌクレアーゼ。
  22. 【請求項22】 約33,000−37,000の分子
    量を有する、請求項21のエンドヌクレアーゼ。
JP4355752A 1991-12-18 1992-12-18 古細菌からの組換え熱安定性dnaポリメラーゼ Pending JPH067160A (ja)

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