JPH0670809B2 - 環流式紙幣入出金装置における紙幣堆積ステージの制御方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、入金した紙幣を出金紙幣として使用すること
ができる還流式紙幣入出金装置における金庫内の紙幣堆
積ステージの操作方法に関する。

〔従来の技術〕

銀行や証券会社等の金融機関において、資金使用効率の
向上をはかるために入金紙幣を出金紙幣として装置内で
直ちに利用することができるようにした還流式紙幣入出
金装置がある。

この還流式紙幣入出金装置においては顧客が入金した紙
幣を自動的に支払に使用されるが、このために入金紙幣
の金庫の堆積状態が出金時に特に重要な要素となる。

従来の出金コントロールを以下に説明する。

まず、出金準備動作として各ゲートを出金モードにセッ
ト、メインモータをON、入出金金庫内紙幣堆積ステージ
をホームポジシヨンにセツトして出金準備を行なう。

次に、入出金金庫中の紙幣ステージを紙幣放出口方向へ
時間監視を損ないながら移動させ、紙幣出金可能位置で
停止させることによつて出金紙幣を入出金金庫から走行
路へ放出させている。この紙幣出金可能位置は上面セン
サであるマイクロスイツチセンサに堆積ステージ上の紙
幣が当接することによつて検出している。

上記の様にして出金取引を続けると、入出金金庫内の紙
幣が減少するので上面センサがOFFを検知するようにな
る。

この状態になると再び紙幣堆積ステージを上面センサON
の検知位置まで移動させて出金可能としている。そこで
指定枚数の出金が終ると紙幣堆積ステージを紙幣出金で
きない所まで規定量下降させる。

そして、ターンアラウンド機能によつて連続して入金取
引が続いて行なわれるが、四つ折れや八つ折れ等の折れ
紙幣が紙幣堆積ステージ上に堆積された場合、紙幣間に
隙間ができたり紙幣堆積状態が傾斜したりして堆積状態
が非常に悪くなり、紙幣堆積ステージの上昇移動によつ
て上面センサに当接しても堆積間隙によつて接触力を吸
収して上面センサをONにすることができず、紙幣堆積ス
テージの移動タイムアウトとなつてしまうことがある。

このようなときには、規定量だけ紙幣堆積ステージを下
降させ、次に再び紙幣堆積ステージを上昇させて正面セ
ンサONの検知位置まで移動させる。このリトライ動作を
例えば３回行ないこの間に上面センサONになることを監
視し、このリトライ動作後も上面センサONを検知できな
い場合はエラーとしている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、金庫内の紙幣堆積ステージ上の紙幣が多量に折
れて堆積状態が非常に悪い場合、リトライ動作を実行し
ても上面センサがONにならずエラー表示をしてしまい、
金庫内の紙幣堆積ステージ上に出金可能な紙幣量が実際
にはあるにもかかわらず出金できないという問題があ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、金庫内に設けられた紙幣堆積ステージを上
昇，下降させるパルスモータを備え、入金時の紙幣を上
記紙幣堆積ステージ上に堆積させて金庫内に収納し、出
金時に上記パルスモータの回転により上記紙幣堆積ステ
ージを上昇させ、上記紙幣堆積ステージ上の紙幣が出金
可能位置まで上昇したことを上記金庫の上方に設けられ
た上面センサにより検知する還流式紙幣入出金装置にお
ける紙幣堆積ステージの制御方法において、出金時に上
記パルスモータの回転により上記紙幣堆積ステージを上
昇させても、上記上面センサが上記紙幣を検知しない場
合、上記パルスモータを逆回転させて一旦紙幣堆積ステ
ージを下降させた後、紙幣堆積ステージが上昇するよう
に上記パルスモータを回転させるリトライ動作を行い、
このリトライ動作を一定回数繰り返しても上記上面セン
サが紙幣を検知しない場合、上記パルスモータの回転速
度を下げて上記紙幣堆積ステージを再び上昇させること
を特徴とする。

〔作用〕

このようにした本発明によれば、出金時に紙幣堆積ステ
ージ上昇のリトライ動作を一定回数繰り返しても上面セ
ンサが紙幣を検知しない場合、パルスモータの回転速度
を下げて紙幣堆積ステージを再び上昇させると、このと
きパルスモータのトルクが大きくなるので、紙幣堆積ス
テージを上昇させる力もパルスモータが通常に回転した
ときの力より大きくなり、そのため、紙幣堆積ステージ
上の紙幣の堆積状態が悪い場合でも上面センサが紙幣を
検知する出金可能位置まで紙幣堆積ステージ上の紙幣を
確実に上昇させることが可能となって、紙幣が紙幣堆積
ステージ上に十分あるにも拘わらず出金できなくなると
いう事態を防止することができる。

〔実施例〕

以下に本発明の一実施例を図面に従つて説明する。

本発明の還流式紙幣入出金装置を第１図の全体構成図に
よつて説明する。

１は顧客が紙幣を投入あるいは受取るための紙幣投入受
取口、２はこの紙幣投入受取口１より一括投入された入
金紙幣分離給送部、2aはこの入金紙幣分離給送部２の一
構成要素である入金紙幣吸引ドラム、３は入金された紙
幣の真疑判定、損券判定および入出金紙幣の金種判定を
行なう紙幣鑑別部、４は入金紙幣の真券および出金紙幣
を一時的に一括集積する一括集積部、５は入金紙幣の疑
券を一時的に一括集積する疑券一括集積部、６は万円券
を収納する万券金庫、6aはこの万券金庫６に収納された
紙幣を１枚ずつ分離給送する万券紙幣吸引ドラム、７は
千円券を収納する千券金庫、7aはこの千券金庫７に収納
された紙幣を１枚ずつ分離給送する千券紙幣吸引ドラ
ム、８は損券または五千円券と判定された非還流入金紙
幣を収納する一括金庫、９は出金時の金種判定や２枚検
知等で不良と判定された紙幣を収納するリジエクト金庫
である。

10は１枚分離された紙幣が高速走行する紙幣高速走行
路、11は一括集積された紙幣を給送する紙幣低速走行路
である。

12は上記紙幣鑑別部３で千円真券と判定した紙幣を千券
金庫へ入れるとゲートのトリガセンサ、13は紙幣鑑別部
３で万円真券と判定した紙幣を万券金庫へ入れるゲート
のトリガセンサ、14は高速走行路を千券金庫への収納方
向へ切替えるゲート、15は高速走行路を万券金庫への収
納方向へ切替えるゲートである。

16は金庫に収納された紙幣、17はこの紙幣16を水平に堆
積するアツプダウン可能な紙幣堆積ステージである。

第２図および第３図は金庫内の紙幣堆積ステージのアツ
プダウンの機構と上面検知の機構を示すもので第２図は
正面図、第３図は側面図であり、図において、18はステ
ージアツプダウン用のパルスモータ、19はこのパルスモ
ータ18に固定されたドライブギヤ、20はこのドライブギ
ヤ19に噛合つて連動してモータ軸を中心として図示しな
いスプリングによつて矢印方向に偏倚させられてセット
されたアイドルギヤ,21はこのアイドルキヤ20と噛合う
ドリブンギヤ、22はこのドリブンギヤ21と直結したシン
クロベルトプーリ、23a,23bはシンクロベルト、24はプ
ーリシヤフト、25はシンクロベルトプーリ、26a,26bは
このシンクロベルト23a,23bと上記紙幣堆積ステージ17
とを固定する固定ブラケツト,27は紙幣堆積ステージ17
の上昇により紙幣が上面位置に達するともち上げられる
レバー,28はこのレバー27によって押圧される上面セン
サである。

次に上記構成における動作を取引毎に順を追つて説明す
る。

出金取引を第５図の系統図によつて説明する。

パルスモータ18を時計方向に回転させることによりドラ
イブギヤ19、アイドルギヤ20を介してドリブンギヤ21が
回転し、シンクロベルト23a,23bを介して紙幣堆積ステ
ージ17が上昇し、紙幣吸引ドラム6aに最上部の紙幣が当
接することにより最上部の紙幣が分離給送され、紙幣高
速走行路10に搬送される。

紙幣高速走行路10に搬送された紙幣は紙幣鑑別部３に搬
送され、この紙幣鑑別部３により金種判定、２枚検知等
が鑑別される。不良を判定された紙幣はリジエクト金庫
９に収納される。良と判定された紙幣は真券一括集積部
４に集積され、さらに紙幣投入受取口１に搬送されて顧
客に放出される。

入金取引を第６図の系統図によつて説明する。

顧客により紙幣投入受取口１に一括投入された入金紙幣
は、入金紙幣分離給送部２により１枚ずつ分離給送され
て紙幣鑑別部３により真疑判定されて真券一括集積部４
および疑券一括集積部５に分別集積される。

疑券と判定された紙幣は疑券一括集積部５より紙幣低速
走行路11を通り、紙幣投入受取口１に搬送されて再度入
金紙幣分離給送部２に搬送して分離給送を行ない再度鑑
別して真券・疑券に分別集積する。

真券と判定された紙幣は真券一括集積部４より疑券一括
集積部５および紙幣低速走行路11を通り、紙幣投入受取
口１を経由して、入金紙幣分離給送部２により再度１枚
ずつ分離給送され、紙幣鑑別部３により損券判定、金種
判定されてトリガセンサ12,13をトリガとしてゲート14,
15を動作する否かにより万券金庫６、千券金庫７および
一括金庫８に分離収納される。

以上説明した作用において、顧客からの入金紙幣が支払
用紙幣として使用されるが、第４図に示す如く紙幣堆積
ステージ上に折畳まれたりしわになつたりして紙幣が堆
積している場合には、紙幣堆積ステージ17が上昇して上
端の紙幣が上面センサ28に当接しても堆積紙幣間に空間
があつて弾性があるためにONとならないことがある。こ
のような場合について以下に第７図のフローチヤートに
従つて説明する。

S₁ リトライカウンタをクリアにする。

S₂ パルスモータ18を紙幣堆積ステージ17上昇の方向に
ONさせる。

S₃ 上面センサ28に紙幣堆積ステージ17上の紙幣が当然
当接するに必要な時間をタイマにセツトする。

S₄ 紙幣堆積ステージ17が上昇して上面センサ28がONに
なつたか否かを判断し、ONの場合には上記出金処理を行
なう。

S₅ 上記タイマのセット時間内、上記上面センサ28ONの
監視を行なう。

S₆ 紙幣堆積ステージ17がタイマのセツト時間内に上昇
しきらない場合にはパルスモータ18を紙幣堆積ステージ
17下降の方向にONさせる。

S₇ 下降に当然必要な時間をタイマにセツトする。

S₈ 規定量紙幣堆積ステージ17が下降する時間を待つ。

S₉ 規定量紙幣堆積ステージ17が下降したらリトライカ
ウンタに＋１を行なう。

S₁₀ リトライを設定回数、本実施例では３回とし、そ
の３回のリトライ動作の内に上面センサ28をONにしたら
出金処理を行なう。

S₁₁ 設定回数のリトライ動作が終了したら再びリトラ
イカウンタをクリアにする。

S₁₂ パルスモータ18の回転速度を低速に切替え、紙幣
堆積ステージ17が上昇する方向にONさせる。この種のモ
ータにおいて、回転速度を低速に切替えると、トルクが
大きくなることが知られており、従って紙幣堆積ステー
ジ10は通常時より大きな力を受けて上昇する。

S₁₃ 上面センサ28に紙幣堆積ステージ17上の紙幣が当
然接するに必要な時間をタイマにセツトする。この時間
は上記S₃の時間より長いことになる。

S₁₄ 紙幣堆積ステージ17が上昇して上面センサ28がON
になつたか否かを判断し、ONの場合には出金処理を行な
う。

S₁₅ 上記タイマのセット時間内、上記上面センサ28の
監視を行なう。

S₁₆ 紙幣堆積ステージ17がタイマのセット時間内に上
昇しきらない場合にはパルスモータ18を紙幣堆積ステー
ジ17下降の方向にONさせる。

S₁₇ 下降に当然必要な時間をタイマにセツトする。

S₁₈ 規定量紙幣堆積ステージ17が下降する時間を待
つ。S₁₉ 規定量紙幣堆積ステージ17が下降したらリト
ライカウンタに＋１を行なう。

S₂₀ リトライを設定回数、本実施例では３回とし、そ
の３回のリトライ動作の内に上面センサ28をONにしたら
出金処理を行なう。

S₂₁ リトライを設定回数行なつた場合には異常と判断
して異常処理を行なう。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明は、出金時にパルスモータの
回転により金庫内の紙幣堆積ステージを上昇させても、
上面センサが紙幣を検知しない場合、上記パルスモータ
を逆回転させて一旦紙幣堆積ステージを下降させた後、
紙幣堆積ステージが上昇するように上記パルスモータを
回転させるリトライ動作を行い、このリトライ動作を一
定回数繰り返しても上記上面センサが紙幣を検知しない
場合、上記パルスモータの回転速度を下げて上記紙幣堆
積ステージを再び上昇させるようにしているため、パル
スモータのトルクが大きくなり、そのため紙幣堆積ステ
ージを上昇させる力もパルスモータが通常に回転したと
きの力より大きくなるので、紙幣堆積ステージ上の紙幣
の堆積状態が悪い場合でも上面センサが紙幣を検知する
出金可能位置まで紙幣堆積ステージ上の紙幣を確実に上
昇させることが可能となって、紙幣が紙幣堆積ステージ
上に十分あるにも拘わらず出金できなくなるという事態
を防止できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の還流式紙幣入出金装置の１実施例を示
す構成図、第２図は紙幣堆積ステージの正面図、第３図
は紙幣堆積ステージの側面図、第４図は紙幣堆積ステー
ジ上の紙幣の状態を示す正面図、第５図は出金取引の系
統図、第６図は入金取引の系統図、第７図はリトライ動
作のフローチヤートである。 １……紙幣投入受取口、２……入金紙幣分離給送部、３
……紙幣鑑別部、４……真券一括集積部、５……疑券一
括集積部、６……万券金庫、７……千券金庫、８……一
括金庫、９……リジエクト金庫、17……紙幣堆積ステー
ジ、18……パルスモータ、28……上面センサ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】金庫内に設けられた紙幣堆積ステージを上
   昇，下降させるパルスモータを備え、入金時の紙幣を上
   記紙幣堆積ステージ上に堆積させて金庫内に収納し、出
   金時に上記パルスモータの回転により上記紙幣堆積ステ
   ージを上昇させ、上記紙幣堆積ステージ上の紙幣が出金
   可能位置まで上昇したことを上記金庫の上方に設けられ
   た上面センサにより検知する還流式紙幣入出金装置にお
   ける紙幣堆積ステージの制御方法において、 出金時に上記パルスモータの回転により上記紙幣堆積ス
   テージを上昇させても、上記上面センサが上記紙幣を検
   知しない場合、上記パルスモータを逆回転させて一旦紙
   幣堆積ステージを下降させた後、紙幣堆積ステージが上
   昇するように上記パルスモータを回転させるリトライ動
   作を行い、このリトライ動作を一定回数繰り返しても上
   記上面センサが紙幣を検知しない場合、上記パルスモー
   タの回転速度を下げて上記紙幣堆積ステージを再び上昇
   させることを特徴とする還流式紙幣入出金装置における
   紙幣堆積ステージの制御方法。