JPH0670411U - ワイヤハーネスの挿通作業用包装材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワイヤハーネスの挿通作業用包装材におい
て、脱落や位置ずれを有効に防止し、防塵性も向上させ
る。 【構成】 包装材６Ａのワイヤハーネス接触面に、弾力
性を有する発泡シート６ｂを設ける。また、包装材６Ａ
の少なくともワイヤハーネスの側部側に、包装材６Ａの
対向面を剥離可能に貼り合わせて閉鎖する粘着剤６ｃを
設けて、包装材６Ａでワイヤハーネス１の各電線３ａ〜
３ｃ及びコネクタ２ａ〜２ｃ等を包み込み、発泡シート
６ｂを各電線３ａ〜３ｃ及びコネクタ２ａ〜２ｃに接触
させ、粘着剤６ｃにより、包装材６Ａの少なくとも側部
側とを貼り合わせて閉鎖する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ワイヤハーネスの挿通作業用包装材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、例えは自動車のエンジンルーム内とエンジンルーム外の機器等を接続す るために、ワイヤハーネスを車体に穿設した配線挿通穴等の狭隘な箇所に挿通さ せる作業が必要なことがある。 上記ワイヤハーネスは、コネクタ等の端末に取り付けた複数本の電線を集束し てなるものであり、各電線の集束が崩れると挿通作業が困難となる。

【０００３】 そこで、各電線をテープ巻きやバンド締めして集束が崩れないようにしている が、挿通部を貫通させた後、各電線を分離させるような場合には、テープやバン ドを取り外すという煩わしい作業が必要になる。また、コネクタ等は集束できな いので、これらの挿通作業が困難である。

【０００４】 このため、四角形状の布製カバー(包装材)で各電線及びコネクタ等を包み込み 、該カバーのワイヤハーネス側部側に設けた雌雄一対のマジックテープ(登録商 標)でカバーを筒状に係止して、カバーとともに各電線及びコネクタ等を挿通部 に通すようにしたものを、本出願人は先に提供している。(特公昭５８−１４１ ２８号公報参照)

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記カバーは、筒状に係止するだけであるから、輸送途中でワ イヤハーネスから脱落したり、位置ずれが生じたりするおそれがある。 また、カバーの両端部や先端部が開放されているため、塵埃がカバー内に侵入 する恐れもある。

【０００６】 本考案は上記問題を解消するためになされたもので、脱落や位置ずれを有効に 防止できる包装材を提供することを目的としている。 さらに、本考案は、防塵性にも優れたワイヤハーネスの挿通作業用包装材を提 供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、コネクタ等を端末に取り付けた複数本の 電線を集束してなるワイヤハーネスを包み込んで包装し、該ワイヤハーネスを狭 隘な配線挿通部に挿通させる作業をするための包装材として、ワイヤハーネス接 触面に弾力性を有する発泡部を備えてシートより形成していることを特徴とする ワイヤハーネスの挿通作業用包装材を提供するものである。

【０００８】 上記シートの側部側に粘着剤を塗布して、対向面を剥離可能に貼り合わせてワ イヤハーネスを保持するようにしている。 さらに、上記シートのワイヤハーネスのコネクタ接続側先端となる端面に粘着 剤を塗布して、ワイヤハーネスを包み込んだ状態でコネクタ接続側先端を剥離可 能に閉鎖できるようにして、先端より塵埃が侵入するのを抑止あるいは防止して いる。

【０００９】 具体的には、上記包装材のシートは、例えば、樹脂製フィルムの一面に発泡シ ートを積層して構成している。 また、シートに塗布する粘着剤は、ワイヤハーネス接触面の全面に塗布しても よいが、長方形の４角外周縁に沿って塗布することが好ましい。

【００１０】

【作用】

上記包装材によりワイヤハーネスの各電線およびコネクタ等を包み込むと、発 泡部が各電線およびコネクタ等に接触する。その後、粘着剤により、包装材の少 なくとも側部側、さらに、好ましくは、先端側を貼り合わせて閉鎖する。

【００１１】 上記包装材の発泡部は弾力性を有しているので、コネクタ等のエッジに引っ掛 かり、包装材がワイヤハーネスから脱落したり、位置ずれが生じたりする恐れが なくなり、確実にワイヤハーネスを保持する。 また、包装材の少なくとも側部側を粘着剤で閉鎖するため、貼り合わせるたけ で、簡単に閉鎖できると共に、側部側より塵埃が侵入するのを防止出来る。 さらに、ワイヤハーネスのコネクタ接続側の先端も粘着剤で閉鎖すると、挿入 側の先端側からの塵埃の侵入も確実に防止出来る。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案を図示の実施例により詳細に説明する。 本考案の包装材により包み込んで狭隘部を通すワイヤハーネス１は、図５に示 すように、コネクタ２ａ〜２ｃを端末に取付けた多数本の電線３ａ〜３ｃにテー プ４ａ〜４ｃを巻き付けて３組に束ねている。

【００１３】 上記ワイヤハーネス１の各電線３ａ〜３ｃ及びコネクタ２ａ〜２ｃを包み込む ための包装材６Ａは、図３に示すように、長方形状に形成されている。 該包装材６Ａは、図４に詳細に示すように、可撓性を有する薄い合成樹脂シー ト、布等のようなフィルム６ａの片面(ワイヤハーネス接触面)全体に、弾力性を 有する発泡部６ｂ−１を有する発泡シート６ｂを貼り付けて積層している。

【００１４】 該発泡シート６ｂは、例えば２枚のビニールシートの間に球状空気室を縦横に 形成したもの、あるいは、スポンジ状の多孔性のものであり、上記ワイヤハーネ ス１の各電線３ａ〜３ｃ及びコネクタ２ａ〜２ｃの外周面に発泡部６ｂ−１を弾 力接触させるものであれば良い。 また、各電線３ａ〜３ｃとコネクタ２ａ〜２ｃとの間には段差があるので、発 泡シート６ｂはコネクタ２ａ〜２ｃのエッジに食い込んで引っ掛かるようになる 。

【００１５】 図３に示したように、上記包装材６Ａの発泡シート６ｂの表面には、ワイヤハ ーネスの両側部側周辺部ｂ,ｃに粘着剤６ｃが塗布されている。該粘着剤６ｃは 、粘着剤６ｃどうしが接触したときに粘着力で貼り合わされると共に、強く引っ 張ると剥離可能なタイプのものである。 なお、上記包装材６Ａのフィルム６ａ、発泡シート６ｂ及び粘着剤６ｃは、理 解を容易にするために各図において厚めに図示しているが、実際には、全厚みｔ は０.３〜５.０mm程度のものである。

【００１６】 上記構成としていることにより、ワイヤハーネス１の各電線３ａ〜３ｃ及びコ ネクタ２ａ〜２ｃを集束させた状態で、図３に二点鎖線で示すように、包装材６ Ａの発泡シート６ｂの表面に置いた後、包装材６ａを幅方向の中間部で二つ折り して、図１および図２のように各電線３ａ〜３ｃ及びコネクタ２ａ〜２ｃを包み 込む。

【００１７】 その後、二つ折りした包装材６Ａの対向面を指等で押圧すると、周辺部ｂ,ｃ の粘着剤６ｃどうしが接触して、ワイヤハーネス側部側とが貼り合わされて閉鎖 される。

【００１８】 上記包装材６Ａは、発泡シート６ｂの発泡部６ｂ−１がコネクタ２ａ〜２ｃの エッジに引っ掛かるので、包装材６Ａの内部で移動しにくくなる。よって、挿通 途中でワイヤハーネス１から包装材６Ａが脱落したり、包装材６Ａの内部で電線 に位置ずれが生じたりするおそれがなくなる。 さらに、包装材６Ａの側部側が粘着剤６ｃで完全に閉鎖されるから、塵埃が包 装材６Ａ内に侵入するおそれが少なくなる。

【００１９】 図６、図７および図８は、上記粘着剤６ｃの塗布要領の変形例であり、該包装 材６Ｂは、図８(Ａ)に示すように、発泡シート６ｂの表面の先端部と両側部の三 周辺部ａ〜cに粘着剤６cを塗布している。 よって、上記包装材６Ｂで閉鎖した時に、コネクタ接続側の先端も図６および 図７に示すように閉鎖されて塵埃が侵入するのを抑止あるいは防止できる。

【００２０】 図８(Ｂ)も、上記粘着剤６ｃの塗布要領の変形例であり、包装材６Ｃは発泡シ ート６ｂの四辺ａ〜ｄに粘着剤６ｃを塗布している。該包装材６Ｃでは、包装材 ６Ｂの後端部側も粘着剤６ｃで完全に閉鎖されるから、塵埃の包装材６Ｃ内への 侵入がより確実に防止できる。

【００２１】 図８(Ｃ)も上記粘着剤６ｃの塗布要領の変形例であり、該包装材６Ｄは、発泡 シート６ｂの表面の全面に粘着剤６ｃを塗布している。該包装材６Ｄでは、粘着 剤６ｃを周辺部ａ〜ｄにのみ塗布する手間が不要になる。

【００２２】 上記実施例及び変形例では、包装材６Ａ〜６Ｄを二つ折りする構成であったが 、図９、図１０(Ａ)及び図１１に示す包装材６Ｅのように、発泡シート６ｂの表 面のワイヤハーネス先端部側と一側部側との二周辺部ａ,ｂに粘着剤６ｃを塗布 すると共に、フィルム６ａの裏面の他側部側の一周辺部ｃにも粘着剤６ｃを塗布 する。

【００２３】 上記構成であれば、ワイヤハーネス１の各電線３ａ〜３ｃ及びコネクタ２ａ〜 ２ｃを集束させた状態で、図３に二点鎖線で示したと同様に、包装材６Ｅの発泡 シート６ｂの表面に置いた後、包装材６Ｅを幅方向に巻いて、図９のように各電 線３ａ〜３ｃ及びコネクタ２ａ〜２ｃを包み込む。

【００２４】 その後、フィルム６ａの周辺部ｃの粘着剤６ｃの上に発泡シート６ｂの周辺部 ｂの粘着剤６ｃを重ね合わせて、外側から指等で押圧すると、周辺部ｂ,ｃの粘 着剤６ｃどうしが接触して、ワイヤハーネス側部側(図１０(Ａ)参照)が貼り合わ されて閉鎖される。また、ワイヤハーネス先端部側の包装材６Ｅの対向面を指等 で押圧すると、周辺部ａどうしが接触して、ワイヤハーネス先端部側(図１０(Ｂ )参照)が貼り合わされて閉鎖される。

【００２５】 上記包装材６Ｅでは、上述した包装材６Ａ〜６Ｄの効果の他に、包装材６Ｅが 丸められるから、グロメット穴等への挿通作業がより容易に行えるようになる。

【００２６】 図１１(Ｂ)は、上記粘着剤６ｃの塗布要領の変形例であり、該包装材６Ｆは、 発泡シート６ｂの表面のワイヤハーネス先端部側と一側部側と後端部側との三周 辺部ａ,ｂ,ｄに粘着剤６ｃを塗布している。該包装材６Ｆでは、包装材６Ｆの後 端部側も粘着剤６ｃで完全に閉鎖されるから、塵埃の包装材６Ｆ内への侵入がよ り確実に防止できる。

【００２７】 図１１(Ｃ)も上記粘着剤６ｃの塗布要領の変形例であり、該包装材６Ｇは、発 泡シート６ｂの表面の全面に粘着剤６ｃを塗布している。該包装材６Ｇでは、粘 着剤６ｃを周辺部ａ,ｂ,ｄにのみ塗布する手間が不要になる。

【００２８】 なお、図１３に示すように、上記包装材６Ｆを製造する際、発泡シート６ｂの 一側部に、周辺部ａ,ｂ,ｄの分だけ小さくした発泡シート６ｄを一体成形して、 両発泡シート６ｂ,６ｄの表面の全面に粘着剤６ｃを塗布した後、発泡シート６ ｄを発泡シート６ｂの表面に重ね合わせるように二つ折りすると、発泡シート６ ｄと発泡シート６ｂの粘着剤６ｃどうしが接触して貼り合わされ、発泡シート６ ｂの三周辺部ａ,ｂ,ｄに粘着剤６ｃが塗布されたのと同じ構造になる。これによ り、粘着剤６ｃを周辺部ａ,ｂ,ｄにのみ塗布する手間が不要になる。上記塗布方 法は、図１１(Ａ)の包装材６Ｅに応用できる。

【００２９】 尚、包装材６Ａ〜６Ｇはいずれもフイルム上に発泡シートを積層した構成とし ているが、ワイヤハーネス接触面側に発泡部を備え、他面側は平滑面であって、 かつ、可撓性を有する一枚のシートより形成しても良いことは言うまでもない。

【００３０】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案のワイヤハーネスの挿通作業用包装材 は、包装材の発泡部が弾力性を有しているので、電線等を包み込んだときにコネ クタ等のエッジに引っ掛かるから、包装材がワイヤハーネスから脱落したり、位 置ずれしたりするおそれがなくなる。また、包装材の少なくとも先端部側と側部 側とが粘着剤で完全に閉鎖されるので、塵埃が包装材内に侵入するおそれもなく なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１実施例の包装材の斜視図である。

【図２】 図１の断面図である。

【図３】 第１実施例の包装材の展開時の斜視図であ
る。

【図４】 図３のIV−IV線断面図である。

【図５】 ワイヤハーネスの平面図である。

【図６】 第１変形例の包装材の斜視図である。

【図７】 図６のVII−VII線断面図である。

【図８】 (Ａ)は第１変形例の包装材の展開時の斜視
図、(Ｂ)は第２変形例の包装材の展開時の斜視図、
(Ｃ）は第３変形例の包装材の展開時の斜視図である。

【図９】 第２実施例の包装材の斜視図である。

【図１０】 (Ａ)は図９のX−X線断面図、(Ｂ)はＥ−Ｅ
線断面図である。

【図１１】 (Ａ)は第２実施例の包装材の展開時の斜視
図、(Ｂ)は第１変形例の包装材の展開時の斜視図、(Ｃ)
は第２変形例の包装材の展開時の斜視図である。

【図１２】 図１１(Ａ)のXII−XII線断面図である。

【図１３】 包装材の製造要領の斜視図である。

【符号の説明】

１ ワイヤハーネス ２ａ〜２ｃ コネクタ ３ａ〜３ｃ 電線 ６Ａ〜６Ｆ 包装材 ６ａ フィルム ６ｂ 発泡シート ６ｂ−１ 発泡部 ６ｃ 粘着剤

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 コネクタ等を端末に取り付けた複数本の
   電線を集束してなるワイヤハーネスを包み込んで包装
   し、該ワイヤハーネスを狭隘な配線挿通部に挿通させる
   作業をするための包装材であって、 上記包装材を、ワイヤハーネス接触面に弾力性を有する
   発泡部を備えたシートより形成していることを特徴とす
   るワイヤハーネスの挿通作業用包装材。
2. 【請求項２】 上記シートの側部側に粘着剤を塗布し
   て、対向面を剥離可能に貼り合わせてワイヤハーネスを
   保持する請求項１記載の包装材。
3. 【請求項３】 上記シートのワイヤハーネスのコネクタ
   接続側先端となる端面に粘着剤を塗布して、ワイヤハー
   ネスを包み込んだ状態でコネクタ接続側先端を剥離可能
   に閉鎖できるようにしている前記請求項のいずれか１項
   に記載の包装材。