JPH0669893B2 - 磁性酸化鉄顔料及びその製造方法 - Google Patents

磁性酸化鉄顔料及びその製造方法

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JPH0669893B2 JP62227577A JP22757787A JPH0669893B2 JP H0669893 B2 JPH0669893 B2 JP H0669893B2 JP 62227577 A JP62227577 A JP 62227577A JP 22757787 A JP22757787 A JP 22757787A JP H0669893 B2 JPH0669893 B2 JP H0669893B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はコバルト化合物の単分子被覆で被覆した磁性酸
化鉄顔料及びそれらの酸化鉄顔料の製造方法に関する。
発明の背景 γ−Fe2O3磁性顔料は約31kA/mに至るまでの保磁力値(c
oercivity value)を有するのに対して、フエライト磁
性顔料は約35kA/mに至るまでの保磁力値を有している。
さらに高い保磁力場強度を有する磁性顔料が、一層高い
記憶密度を得るために、オーデイオ、ビデオ及びデータ
記憶装置における磁気信号記録に対しての使用を増大し
つつある。磁性酸化鉄の保磁力場強度を増大させるため
の種々の方法が知られている。
ドイツ特許第2,903,593号によれば、比較的高い保磁力
を有する顔料は、コバルトでドープしたα−FeOOH前駆
体化合物から得ることができる。約620Oeの保磁力場強
度は1%のコバルトと20%のFeO含量において達成する
ことができる。これらの顔料の欠点は、その低い印刷減
衰(printing attenuation)、不十分な磁気的安定性及
び保磁力の高い温度依存度にある。
高い保磁力場強度を得るための別の方法はドイツ特許第
2,235,383号に記載されているが、この方法において
は、コバルトフエライトの層を強アルカリ性媒体中で磁
性酸化鉄のコア上にエピタクシー的に結晶化させてい
る。これらの顔料は印刷減衰及び磁気的安定性について
コバルトドープした顔料よりもすぐれた値を有している
が、それらの制御パネル配電、保持力の温度依存性、交
差電磁界安定性及びテープにおける長期の消去可能率の
点で完全に満足できるものではない。
改良した静磁気的性質を有する磁性酸化鉄顔料の製造方
法はドイツ特許第2,036,612号、同2,243,231号、同2,41
0,517号及び同2,289,344号中に記載されている。これら
の全方法において、コバルト化合物、一般には水酸化コ
バルトを酸化鉄コアの表面上に沈殿させている。その後
に適当な手段によってコバルトが表面の近くでコア材料
の区域中に拡散できるようにする。
静磁気的性質を向上させるためめに酸化鉄顔料のコア上
に複数の層としてコバルト化合物と鉄(II)化合物を別
々に沈殿させる方法は、ドイツ特許第2,520,210号及び
3,344,299号中に記載されている。
これらの方法の使用によって顔料の一部の性質は向上さ
せることができるけれども、得られる顔料のすべてが比
較的高い交差電磁界不安定性と高い保持力の温度依存性
という欠点を有している。比較的低い保磁力の温度依存
性を有する酸化鉄磁性顔料は、ドイツ特許第2,650,890
号及び2,639,250号中に記載されているが、これらの特
許中に記載の顔料は、ビデオ又はオーデイオテープの製
造に適するために十分な保持力を有していない[動作点
(opereting point)II]。
それ故、オーデイオ及びビデオテープの製造のために十
分な高い保磁力並びに交差電磁界安定性及び温度変化に
ほとんど依存しない保磁力を伴なう良好な静磁気的性質
及び印刷減衰に対する満足できる値を有する磁性酸化鉄
顔料を見出すという問題がなお存在している。
発明の簡単な説明 今回驚くべきことに、先ず、コアとして用いる磁性酸化
鉄顔料をマグネタイト又はFeOx[ここでxは1.33〜1.5
である]の組成を有する不定比(bert holloid)酸化鉄
の層で被覆し、次いでこのマグネタイトの層に対してコ
バルト化合物を付与することによって製造した、コバル
ト化合物の単分子被覆によって被覆された磁性酸化鉄顔
料によって、これらの必要条件が満されることが見出さ
れた。
詳細な説明 これらの磁性酸化鉄顔料が本発明の主題である。これら
は、76〜298Kの温度範囲内において温度による保磁力の
変化が0.13kA/mK未満であることを特徴とする、コバル
ト化合物の単分子被覆を有する磁性酸化鉄顔料である。
コバルト含量は、生成物の粉砕度に依存して、2〜4%
であることが好ましい。
さらに本発明は、本発明による磁性酸化鉄顔料の製造方
法に関する。この方法は先ず組成FeOx[ここでxは1.33
〜1.5である]を有する磁性酸化鉄のコアを、Fe3O4又は
組成FeOx(1.33<x<1.5)を有する不定比化合物によ
って被覆し、この予備被覆したコアを次いでプロセスの
第二の段階でコバルト化合物によって被覆することを特
徴とする。
コアとして使用する磁性酸化鉄はγ−Fe2O3顔料、Fe3O4
顔料及び組成FeOx(1.33<x<1.5)を有する不定比化
合物であることができる。これらの酸化鉄はP,Zn,B,Si,
Sn,Ge,Al,Mn,Cr及びNiから成るグループからの一つ以上
の付随する元素を含有していてもよい。
本発明によれば、0〜67%のFe(III)含量を有する鉄
(II、III)塩を用いて予備被覆を生ぜしめる。鉄(I
I、III)は、鉄(II)及び鉄(III))塩の混合物を意
味する。この予備被覆はアルカリ性媒体中で行なうこと
がもつとも好ましい。
被覆は種々の方法によって行なうことができる:コアと
して使用する酸化鉄を水中に分散させ且つ鉄塩又はその
溶液及びアルカリの溶液を加える。アルカリの溶液は酸
化鉄の分散前又は分散の後及び鉄塩溶液の添加前又は添
加後に加えることができる。
予備被覆は、酸化条件下に、もつとも好ましくは酸化剤
として空気を使用して行なうことが好ましい。66〜100
%のFe(II)イオンを、この酸化方法によって又は他の
酸化剤の添加によって、酸化する。予備被覆の付与の間
に、溶液中にもはやFe(II)が存在しなくなるまで酸化
を続けることが好ましい。懸濁液の酸化は20℃から沸点
までの温度で行なうことができる。
鉄化合物の付与後に、顔料分散物へのコバルト塩の添加
によって、コバルト化合物の付与を行なう。コバルト化
合物の付与は、酸化又は不活性条件下に行なうことがで
きる。
使用するコバルト化合物は、Co(II)塩、特にCoSO4・7
H2Oとすることができる。付与する化合物が、コアとし
て使用する材料に基づいて、0.5〜10%のコバルト含量
を有している場合に、特に満足できる結果が得られる。
コバルト化合物の付与もまたアルカリ性媒体中で行なう
ことが好ましい。鉄被覆の付与及びコバルト化合物の付
与の両方に対してOH濃度は0.1〜10モル/、好ましく
は0.3〜5モル/とする。
懸濁液中のコア材料の固形分は30〜200g/、好ましく
は50〜150g/である。付与する酸化鉄の量はコア材料
の2〜25%である。
顔料懸濁液を過、洗浄及び乾燥によって仕上げる。
本発明を以下において実施例に従って説明するが、これ
らの実施例は本発明を制限するものとみなすべきではな
い。
テープ中の本発明による磁性酸化鉄顔料の性質を決定す
るために、約200gの磁性酸化鉄を、磁性顔料の容積によ
る割合が約45%となるように、ポリウレタンに基づくラ
ツカー中に導入する。分散物をボールミル中で3時間磨
砕したのち、塗布機を用いてポリエステルのシートに薄
層として塗布し、80kA/mの均一な磁場中で配向させ且つ
100℃で硬化させる。テープを試験に適する断片に切断
したのちに、以下のパラメータを測定する: Ic 398kA/mで測定した保磁力 Br/Bs 残留磁気/飽和磁気 OR テープの方向に対して横方向の残留磁 気/ テープの方向に縦方向の残留磁気 SFD 制御パネル配電 Kd/dB 印刷減衰 交差電磁界安定性は、針の縦軸の平均配向に対して磁場
のベクトルが垂直である200kA/mの磁場中で60℃におい
て72時間貯蔵したテープのIc値の低下を測定するこ
とによって決定する。記載の顔料を用いて、向上した記
録特性、比較的高いコピー減衰及び向上した消去比の長
期値を有するテープを与えることができる。
長期消去比の測定はビクター社(JVC)が公開している
明細書に基づいて行なう(点7−7):録音参照電流の
レベルよりも+10dB高いレベルを有する1−kHz信号をV
HSカセットのオーデイオトラツク上に録音する。
40Hzのフイルターバンド幅を有する選択的レベルメータ
ーを用いて a) 録音の直後及び b) 20℃で100時間の貯蔵後 に消去比を測定する。
下表中に示す量はすべて、他のことわりがない限りは、
重量による百分率である。
実施例1 1500kgのバイフエロツクス AC5111M(バイエルAGの市
販製品)の9m3の水性懸濁液を20m3の撹拌容器中に入れ
る。この磁性顔料は33.8kA/mの保磁力、重量で24.2%の
FeO含量及び約8:1の長さ:幅比を有している。この懸濁
液に対して撹拌と共に1222kgの18.7%FeSO4溶液を加え
る。次いで窒素気流下に1346の50%NaOHを用いて沈殿
を行ない且つ懸濁液を80℃に加熱する。次いで7.5m3/hr
の速度で3時間空気を吹込む。1353m3の水中の200kgのC
oSO4・7H2Oの溶液を送入したのち、空気の導入をさらに
2時間続ける。生成物を過によって処理し、洗浄した
のち乾燥する。
比較実施例1 1648kgのバイフエロツクス AC5111M(バイエルAGの市
販製品)の10m3の水性懸濁液を20m3の撹拌容器中に導入
する。磁性顔料は実施例1のものと同一であって、33.8
kA/mの保持力、重量で24.2%のFeO含量及び8:1の長さ:
幅比を有している。1269kgの21.2%FeSO4溶液及び1318m
3の水中の235.9kgのCoSO4・7H2Oの溶液を撹拌と共に懸
濁液に加える。次いで窒素の気流下の1584の50%NaOH
の添加によって沈殿を行ない且つ懸濁液を80℃に加熱す
る。この懸濁液中に7.5m3/hで3時間空気を吹込んだの
ち、懸濁液を過、洗浄及び乾燥によって仕上げる。
磁性酸化鉄顔料の磁性データを第1表中に示す。
Br/Bs、OR、制御パネル配電、印刷減衰、消去比及び交
差電磁界安定性に対して実施例1において得た結果は比
較例の値よりも明らかにすぐれており、一方、保持力は
ほとんど同一である。
第1図はテープについて測定した温度による保持力の変
動を示す。
実施例1及び比較例1のコバルト被覆磁性顔料のHCl腐
食方法 研究すべき20gの顔料を500mlのH2O中に分散させる。
懸濁液を反応器に移して撹拌しながら40℃に加熱する。
300mlのHCl(HCl濃度=1モル/;溶液の温度40℃)
をt=0において加える。
2,5,10,20,40及び80分に70mlの懸濁液を取出し過す
る。液中のコバルトと鉄の濃度を分析的に測定する。
コバルト分布の計算 Co/Fe比(計算については第2表参照)を、下記のよう
にして計算する腐食による除去の程度に対してプロツト
する: 0.8の溶液と約95%の(Fe3O4+CoFe2O4)を含有する2
0gの顔料を用いて下記の結果を得る: ここで [Co]=コバルト濃度(モル/) [Fe]=鉄濃度(モル/) 分子量(FeO4/3)=Fe3O4の、Feに基づく、分子量。Co
の原子量は近似としてFeの原子量と等しいものとする。
除去率(%)=325([Co]+[Fe]) 第2図のグラフ中における値は、本発明による磁性酸化
鉄顔料がコバルトの単分子被覆を有していることを証明
している。第2図において、Co/Feモル比を縦軸に取
り、除去率(%)を上方の横軸に、除去した層の厚さ
(μm)を下方の横軸に取っている。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1のテープについて測定した保持力の温
度依存性を示すグラフである。 第2図はCo/Fe比と除去率の間の関係を第一の目盛りで
且つCo/Fe比と除去層の厚さの関係を第二の目盛りで示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヘンドリク・カトライン ドイツ連邦共和国デー4053ユツヘン‐アル デンホーフエン・ギユルテルベーク 4 (56)参考文献 特開 昭51−23697(JP,A) 特開 昭59−152226(JP,A)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】76K乃至298Kの温度範囲内における保磁力
    の温度依存性が0.13kA/mK未満であり且つ0.9g/cm3に圧
    縮した粉末に対する保磁力が50〜51kA/mであることを特
    徴とするコバルト化合物の単分子被覆を有する磁性酸化
    鉄顔料。
  2. 【請求項2】i) FeOx[ここで、xは1.33〜1.5の数
    である]から成る酸化鉄コア、 ii) Fe3O4又は不定比化合物から成るコア上の予備被
    覆、及び iii) 該予備被覆上のコバルト化合物の被覆 から成ることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    コバルト化合物の単分子被覆を有する磁性酸化鉄顔料。
  3. 【請求項3】組成FeOx[ここで、xは1.33〜1.5の数で
    ある]を有する磁性酸化鉄コア材料に対してFe3O4又は
    不定比化合物の予備被覆を付与し、次いで予備被覆をコ
    バルト化合物によって被覆することを特徴とする、76K
    乃至298Kの温度範囲内における保磁力の温度依存性が0.
    13kA/mK未満であり且つ0.9g/cm3に圧縮した粉末に対す
    る保磁力が50〜51kA/mであるコバルト化合物の単分子被
    覆を有する磁性酸化鉄顔料の製造方法。
  4. 【請求項4】予備被覆を0〜67%のFe(III)含量を有
    する鉄(II、III)塩として付与する特許請求の範囲第
    3項記載の方法。
  5. 【請求項5】予備被覆を酸化条件下にコアに対して付与
    する特許請求の範囲第3項記載の方法。
  6. 【請求項6】酸化条件を生じる酸化剤が空気である特許
    請求の範囲第5項記載の方法。
  7. 【請求項7】予備被覆をアルカリ性媒体中でコアに対し
    て付与する特許請求の範囲第3項記載の方法。
  8. 【請求項8】予備被覆を、アルカリ性媒体中にもはやFe
    (II)成分が認められなくなるまで保たれている酸化条
    件下に、コアに対して付与する特許請求の範囲第7項記
    載の方法。
  9. 【請求項9】コバルト化合物がCo(II)塩である特許請
    求の範囲第3項記載の方法。
  10. 【請求項10】コバルト化合物がCoSO4・7H2Oである特
    許請求の範囲第9項記載の方法。
  11. 【請求項11】予備被覆をコア材料に基づいて0.5〜10
    重量%の量のコバルトで被覆されるように行なう特許請
    求の範囲第3項記載の方法。
  12. 【請求項12】コバルト被覆をアルカリ性媒体中で予備
    被覆に付与する特許請求の範囲第3項記載の方法。
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