JPH0665738A - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

成膜装置および成膜方法

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JPH0665738A
JPH0665738A JP22595192A JP22595192A JPH0665738A JP H0665738 A JPH0665738 A JP H0665738A JP 22595192 A JP22595192 A JP 22595192A JP 22595192 A JP22595192 A JP 22595192A JP H0665738 A JPH0665738 A JP H0665738A
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Nobuyuki Miyagawa
展幸 宮川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体材料からのPVD法による成膜と、気体
もしくは液体材料からのCVD法による成膜を連続して
行え、異種材料の混合膜の形成に対し十分な適性があ
り、構成が複雑化せずに済ませられる成膜装置を提供す
る。 【構成】 この発明の成膜装置は、マグネット4とマイ
クロ波導入口6,15を有しプラズマ生起用第1ガスを
導入できるプラズマ室5と、第2ガスを導入できる反応
室2とが設けられていて、両室の間にバイアス電圧を印
加できるターゲットTが配置されており、前記プラズマ
室のプラズマが反応室に導入される構成になっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、各種機能膜を形成す
ることのできる製膜装置および製膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属板や金属膜の上に絶縁膜を形成する
方法は、半導体素子製造や表面改質などにおいて従来よ
りなされており、その際、異種材料の接合面に於ける密
着性が常に問題となる。基板(被処理物)の表面をプラ
ズマ等により生成したイオンに曝すことにより、膜形成
面のクリーニングや活性を図るというイオンボンバード
等は一般的に行われているが、この他に各種工夫がなさ
れており、金属表面を酸化や窒化し堆積する絶縁膜に近
い組成の中間層を設ける方法や、同様の中間層を別の製
膜工程で設け多層膜とする方法などが採られてきた。一
例として、特開平1−298153号公報に記載の発明
では、スパッタ装置とECRCVD装置とを同一チャン
バー内に仕切板を隔てて配置し、異種の膜を連続製膜す
るようにしている。
【0003】また、異種材料の混合膜では、超伝導膜に
見られる混合材料で作製したターゲットを用いたスパッ
タ法、反応性ガスをイオン化して蒸着物質と反応させる
ようにする反応性イオンプレーティング法、イオンビー
ムと蒸着を併用し製膜するようにするイオンビームアシ
スト蒸着法などがあり、一例として、特開昭61−73
881号公報に記載の発明では、スパッタ中に化学蒸着
原料ガスを導入しスパッタリングとCVDと同時に行う
ようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の密着性改善方法では、別途の装置・工程を必要とす
る場合、コストが嵩み、特に付加価値の低い表面改質な
どではコストの嵩む影響は大である。また、中間層形成
による密着性改善法は、プラズマや熱処理だけの表面処
理では、改質層の組成や層厚みの制御が難しく、別途中
間層となる薄膜を形成すると、装置が新たに必要なだけ
でなく、下地金属と中間層、中間層と上層たる絶縁層の
両方の密着力管理が必要となるという問題がある。
【0005】一方、異種材料の混合膜では、1種類の製
膜方法だけによる連続製膜は1つの装置で材料の交換を
回転式にセットしておくことでなされている例が、スパ
ッタ法や真空蒸着法などである。しかし、製膜方法が1
種類なので有用性は高くない。固体材料からのPVD法
による製膜と、気体もしくは液体材料からのCVD法に
よる製膜を連続して行うには、装置を2種類準備する必
要があったり、1種類の装置であっても製膜のための容
量の大きい電源を2種類準備する必要がある。前記特開
平1−298153号公報では、各製膜プロセス間のイ
ンターバルを極力短くすることを提案しているが、スパ
ッタ装置とCVD装置を並列に配置しただけで、装置・
製造の面での有用性が顕著なわけではない。
【0006】また、異種材料の混合膜を形成する上記方
法の場合、材料の組成、状態に選択性があり、異種材料
の組み合わせによっては膜形成が出来なかったり、ま
た、可能であっても、組成比が膜厚方向に変化していく
傾斜機能膜のような場合には制御が困難であったりす
る。前記特開昭61−73881号公報では、スパッタ
装置を主とした装置内にCVDガスを導入して同時に製
膜できるようにしているが、スパッタとCVDの2種の
工法の独立制御が困難であり、適正な混合膜の形成は困
難である。
【0007】この発明は、上記事情に鑑み、固体材料か
らのPVD法による製膜と、気体もしくは液体材料から
のCVD法による製膜を連続して行え、異種材料の混合
膜の形成に対し十分な適性があり、構成が複雑化せずに
済ませられる製膜装置を提供するとともに、この製膜装
置を有効に活かせる製膜方法を提供することを課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明にかかる製膜装置は、マグネットとマイク
ロ波導入口を有しプラズマ生起用第1ガスを導入できる
プラズマ室と、第2ガスを導入できる反応室とが設けら
れていて、両室の間にバイアス電圧を印加できるターゲ
ットが配置されており、前記プラズマ室のプラズマが反
応室に導入される構成となっている。
【0009】そして、この製膜装置の有効利用が図れ
る、この発明の製膜方法は、請求項1記載の製膜装置に
おいて、プラズマ室で第1ガスのプラズマを形成し、反
応室に置いた被処理物に対し、バイアス電圧をかけたタ
ーゲットでスパッタリングを行い、続いて第2ガスを反
応室に供給することにより、第1,2ガスの反応を伴う
化学蒸着を前記スパッタリングに連続して行うようにす
るか、あるいは、請求項1記載の製膜装置において、プ
ラズマ室で第1ガスのプラズマを形成し、バイアス電圧
をかけたターゲットで行うスパッタリングと、第2ガス
を反応室に供給することにより行う第1,2ガスの反応
を伴う化学蒸着とを同時に行い、異種材料の混合層を被
処理物に形成する期間を設けるようにしている。なお、
プラズマ室で第1ガスのプラズマを形成した後、反応室
に置いた被処理物をクリーニングしてから製膜を開始す
ることが好ましい。
【0010】後者の方法における異種材料の混合層を被
処理物に形成する期間は、スパリタリングと化学蒸着の
間の他、スパッタリングの途中や化学蒸着の途中に設け
たりしてもよい。勿論、異種材料の混合層を被処理物に
形成する期間だけがあって、膜全体が混合層からなるよ
うであってもよい。この発明の製膜装置は、上記二つの
方法以外の使い方をしてもよいことは言うまでもない。
【0011】以下、この発明を具体的に説明する。図1
は、この発明にかかる製膜装置の構成例をあらわす。図
1の製膜装置は、基板(被処理物)1を配置する反応室
2とプラズマを生起させるプラズマ室5を備え、両室
2,5の間にバイアス電圧を印加できるターゲットTを
有するカソード10が設けられている。基板1を据え置
く反応室2にはプラズマ室5で生起したプラズマが導入
される。
【0012】プラズマ室5の周りにはマグネットコイル
4が設けられ、また、マイクロ波導波管15がマイクロ
波導入用である石英ガラス6を介して接続されていて、
マイクロ波導入口よりマイクロ波がプラズマ室5に導入
でき、さらに、第1ガス導入用の配管7が接続されてい
て、配管7からプラズマ生起用第1ガスがプラズマ室5
に導入できるようになっている。
【0013】反応室2には第2ガス導入用の配管13,
14が接続されていて、配管13,14から膜材料用の
第2ガスが反応室2に導入できるようになっている。ま
た、反応室2には、シャッター16が基板1の前面に立
ちはだかるように設けられているとともに排気口3が設
けられている。ターゲットTには、直流電源11でバイ
アス電圧(普通は負のバイアス電圧)が印加できるよう
になっており、また、基板1には高周波電源8でマッチ
ングボックス9を介して高周波電圧の出力が印加できる
ようになっている。
【0014】図1の装置で製膜する場合、以下のように
する。マグネットコイル4による磁界と石英ガラス6を
通して入るマイクロ波により、配管7から流入する第1
ガスのプラズマをプラズマ室5に形成し、反応室2に置
いた基板1に高周波電源8の出力を印加し基板1をクリ
ーニングした後、直流電源11でターゲットTにバイア
ス電圧を印加し、シャッター12を開いて、スパッタリ
ングを行う。その後、続いて第2ガスを配管13,14
から反応室2に少量ずつ供給し始めるとともに、供給量
の増加と反比例するようにターゲットTの印加電圧を下
げ、スパッタ速度を徐々に落とし、所定時間後シャッタ
ー12を閉じてスパッタリングを停止する。この間、ス
パッタリングと化学蒸着が同時に行われ、混合比が徐々
に変化している混合層が形成される。
【0015】これ以降は、化学蒸着だけで所定厚み分の
膜形成を行えば、製膜は完了する。この発明による製膜
は、具体的には、照明器具の反射板(特に、高反射率で
使用環境上、耐候性や耐熱性を必要とする反射板)に適
用することが出来る。これに関して、以下に詳しく説明
する。高反射率を有する照明器具用の反射板の製造方法
として、高純度アルミニウム板を電解研磨、アルマイト
処理したものや、アルミニウム、銀等の膜を蒸着法によ
り製膜し、保護層として透明膜をコーティングしたもの
などが挙げられ、例えば、特開平3−171503号公
報記載の発明は、金属基材上にイオンプレーティング法
により、中間層を設けた保護層の製膜方法である。
【0016】一方、照明器具の軽量化、低コスト化、形
状の多様化が求められ、金属基材の代わりに樹脂を用い
た基材を使用することが求められつつある。その中で、
高反射率で屋外の使用に耐える反射鏡として、樹脂基材
の上に下地層を形成したあと金属膜を蒸着し、透明膜を
トップコートした構造が考え出されており、スプレー等
湿式により保護層を形成する工程が実施されている。ま
た、保護層の形成方法として乾式方法もいくつか考えら
れており、一例として、特開平3−245102号公報
記載の発明では、透明樹脂膜を蒸着またはプラズマ重合
により製膜している。
【0017】ただ、反射板として、金属基材に代えて樹
脂基材を用いる場合、基材の耐熱性の問題があり、コー
ティング時の昇温による応力発生を防ぐ必要もある。そ
こで、湿式によるコーティングがなされているが、湿式
スプレーによるトップコートの被覆方法は、ピンホール
発生による反射膜の腐食や塗布剤の透過率が悪いために
反射率の低下があり、さらに環境汚染が生産現場で問題
となる。
【0018】また、一般的な物理蒸着法では、付きまわ
りが悪いためコーティングにむらができたり、トップコ
ート膜のピンホール発生による反射膜の腐食、反射率劣
化の問題や各層間の密着性の問題がある。また、樹脂基
材の耐熱性の問題より製膜中の基材温度上昇による製膜
条件の制約等の問題があり、期待される膜質が得られな
い。また、重合法による透明樹脂膜では、耐磨耗性など
の機械的強度だか得られず、屈折率などの光学特性の制
御も困難である。
【0019】上記問題を解決するためには、図3にみる
ように、高分子基材(樹脂基材)31の上にPVD法
(真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング)
により光輝性金属膜32を形成し、その後、耐熱性・耐
食性のよい透明保護膜33を所定周波数のマイクロ波と
所定強度の磁界により高密度で生起されたプラズマを用
いて気相中より化学的蒸着で形成すれば、適切な照明器
具用の反射板30が出来るのである。ただ、この2段階
の製膜法の場合、既に先に述べたような問題があるた
め、この発明の製膜装置や方法を適用することが望まし
いのである。
【0020】つまり、図1の製膜装置を用い、マイクロ
波と所定強度の磁界により高密度で生起されたプラズマ
を形成し、反応室に置いた高分子基材31の表面を必要
に応じてクリーニングした後、バイアス電圧をかけたタ
ーゲットでスパッタリングを行い光輝性金属膜32を形
成し、続いて第2ガスを反応室に供給することにより、
第1,2ガスの反応を伴う化学蒸着を前記スパッタリン
グに連続して行い、透明保護膜33を形成して、反射板
30を得るのである。図1の製膜装置を用いて反射板を
得る場合、基材が金属基材であったり、金属基材表面に
樹脂層を設けた積層物であってもよい。
【0021】得られる反射板40の具体的層構成として
は、図4にみるように、基材41の上に(光輝性)金属
膜42、透明保護膜43を積層した形態か、図5にみる
ように、金属基材(アルミニウムやステンレス等)41
aの上に樹脂層41bを設けた基材41の上に金属膜4
2、透明保護膜43を積層した形態が挙げられる。基材
に使われる樹脂としては、ポリフェニレンスルファイド
(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエ
ーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEE
K)等が挙げられる。普通、樹脂を金型成形し基材を作
るが、成形だけで鏡面が得られない場合、表面の凹凸を
なくすコーティング層を形成してもよい。基材の上に形
成する光輝性金属膜としては、反射率向上の点からは銀
やアルミニウムなどが適当であり、透明保護膜として
は、SiOx ,SiNx ,SiCx やAl2 3 、Ti
x ,MgFx などでもよく、また、それらの多層膜で
あってもよい。勿論、樹脂や光輝性金属膜、透明保護膜
は、上記例示のものに限らない。
【0022】
【作用】この発明の場合、プラズマ室と反応室の間にス
パッタリング用のターゲットを配置しておき、マイクロ
波と磁界により生起させる制御容易な一つのプラズマを
利用しスパッタリングと化学蒸着が随時に切替え又は同
時に実施できるため、固体材料からのPVD法による製
膜と、気体もしくは液体材料からのCVD法による製膜
を連続して行ったり、異種材料の混合膜の形成を適時に
行える。この時、被処理物はずっと同じ反応室に据え置
かれたままであるため、無駄に時間が空くことなく被処
理物の表面は活性な状態であり、迅速に緻密な膜が形成
できる。
【0023】そして、スパッタリングと化学蒸着はプラ
ズマを併用していても第1,2ガスの導入を個別に行っ
ており、スパッタリングと化学蒸着の同時実施の場合に
も、それぞれを独立して制御することが容易であり、異
種材料の混合膜を形成する場合であって材料混合比が徐
々に変化する(傾斜機能膜の)時にも、適正な混合膜が
形成できるため、混合膜形成に対し十分な適性がある。
【0024】それに、この発明の場合、プラズマ室と反
応室の間にスパッタリング用のターゲットを配置し、同
じ一つのプラズマ室に生起させる一つプラズマを使う構
成をとるため、装置構成が複雑化してしまうこともな
い。
【0025】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。この発
明は、下記の実施例に限らない。 −実施例1− 図1に示す製膜装置を用い、下記のようにして、基板1
の表面に対する製膜を行った。
【0026】基板1を反応室2にセットし、排気口3よ
り真空排気し室内を10-6Torrにする。一方、プラズマ
室5内にマグネットコイル4により磁界を形成するとと
もに2.45GHzのマイクロ波を石英ガラス6を通して
入れ、配管7からArガスを供給すると、Arのプラズ
マがプラズマ室5内に形成される。そして、先ず、反応
室2に置いた基板1に高周波電源8にり基板1にバイア
スを印加し基板1をクリーニングする。次に、直流電源
11で銀製ターゲットTに−500Vのバイアス電圧を
印加し、シャッター12を開いて、Arイオンにより銀
のスパッタリングを行い、基板1の表面に厚み0.1μ
mの銀膜(図2の下地層18)を形成する。
【0027】続いて、配管13よりSiH4 を配管14
よりO2 をそれぞれ反応室2に少量ずつ供給し始めると
ともに、供給量の増加と反比例するようにターゲットT
のバイアス電圧を下げ、スパッタ速度を徐々に落とし、
所定時間後シャッター12を閉じて銀のスパッタリング
を停止する。この間、銀スパッタリングとSiO2 の化
学蒸着が同時に行われ、銀とSiO2 の混合比が徐々に
変化している混合膜(図2の中間層19)が形成され
る。
【0028】これ以降は、化学蒸着だけで所定厚み分の
SiO2 膜(図2の表層20)の形成を行えば、製膜は
完了である。図2にみるように、基板1の上には銀膜
(図2の下地層18)と、これを保護するSiO2
(図2の表層20)の間に、それらの混合比率が徐々に
変化してゆく混合膜(図2の中間層19)が適正な形で
形成されており、密着力が十分な製膜が実現できるので
ある。
【0029】−実施例2− 図1に示す製膜装置を用い、下記のようにして、照明器
具における反射板の基材1の表面に対する製膜を行っ
た。樹脂製の基材1を、図6にみるように、ポリフェニ
レンスルファイドを金型55で成形することで得た。
【0030】基材1を反応室2にセットし、排気口3よ
り真空排気し室内を10-5Torr以下にする。一方、プラ
ズマ室5内にマグネットコイル4により所定の磁界を形
成するとともに2.45GHzのマイクロ波を石英ガラス
(窓ガラス)6を通して入れ、配管7からArガスを真
空度が1×10-4Torrに維持されるようにして供給する
と、Arのプラズマがプラズマ室5内に形成される。な
お、この時、プラズマ室の所定の磁界分布は、マイクロ
波が入射する石英ガラス6近傍を875ガウスとし、基
材セット方向への発散磁場を形成させる。基材1表面は
Arイオンでクリーニングされるとともに活性化され
る。
【0031】次に、直流電源11で銀製ターゲットTに
−500Vのバイアス電圧を印加し、上記プラズマで銀
ターゲットをスパッタリングする。約1分のセルフスパ
ッタを行った後、シャッター12を開いて、Arイオン
により銀のスパッタリングを行い、基材1の表面に厚み
0.1μmの光輝性金属膜である銀膜を形成する。続い
て、配管7よりN2 ガスを導入し、プラズマ室5にN2
プラズマを生起させる。基材1の表面をクリーニングし
た後、配管13よりSiH4 ガスを基材1近傍に導入す
る。N2 プラズマでSiH4 が分解し、透明保護膜であ
るSiNXが銀膜の上に形成され、反射板が得られる。
【0032】−参考例1− 実施例2で用いたと同じ基材に対し、下記のように、2
つの装置で製膜を行い、反射板を得た。基材104を真
空チャンバ107にセットし、チャンバ内を10-5Torr
以下となるように真空排気する。続いて、チャンバ7内
にArガスを導入し2×10-4Torrに維持するようにす
る。高周波電源108の高周波電力をマッチングボック
ス106を介して真空チャンバ107のアンテナ109
に導入し、Arプラズマを生起させる。基材104の表
面をイオン化させたArに3分程度さらすことによりク
リーニングすると共に、表面を活性な状態にする。続い
て、蒸発源110に入れられた銀を電子銃111により
加熱蒸発させ、基材1の表面に厚み0.1μmの光輝性
金属膜である銀膜を形成した。
【0033】次に、CVDチャンバ112に基材104
をセットし、チャンバ内を10-5Torr以下となるように
排気口120より真空排気する。続いて、配管113よ
りO 2 ガスを導入し、2.45GHzのマイクロ波118
を窓ガラス119を介して導入するとともに所定強度の
磁界分布となるように、マグネットコイル114に通電
する。酸素プラズマにより1分間のクリーニングを行っ
た後、配管115より有機シリコン系の原料を気化させ
たガスを基材104近傍に供給し、酸素プラズマと反応
させることにより、基材104の上に緻密な透明保護膜
であるSiO2膜を堆積させる。製膜条件によっては、
高周波電源117の高周波電圧をマッチングボックス1
16を介して基材104に印加するようにしてもよい。
【0034】透明保護膜の厚みは特定の厚みに限定され
ないが、保護膜の性能としては、0.5〜2.0μmが
適当である。
【0035】
【発明の効果】この発明では、1台の装置で、スパッタ
リングと化学蒸着が随時に切替え又は同時に実施して、
固体材料からのPVD法による製膜と、気体もしくは液
体材料からのCVD法による製膜を連続して行ったり、
異種材料の混合膜の形成を適時に行える上、その時、被
処理物をずっと同じ反応室に据え置いたままでよいた
め、無駄に時間が空くことなく被処理物の表面が活性な
状態にあり、迅速に緻密な膜が形成でき、さらに、混合
膜や傾斜機能膜を適正な状態で制御性よく形成できるた
め、混合膜形成に対し十分な適性があり、さらに、装置
構成が複雑化してしまうこともないため、非常に有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の製膜装置の構成例をあらわす説明図
である。
【図2】この発明の製膜装置を用いて形成した膜を有す
る基板の断面図である。。
【図3】照明器具用の反射板の構成例をあらわす断面図
である。
【図4】照明器具用の反射板の層構成例をあらわす断面
図である。
【図5】照明器具用の反射板の他の層構成例をあらわす
断面図である。
【図6】実施例で使う反射板用の基材を成形する時の様
子を示す断面図である。
【図7】参考例で使うPVD製膜装置をあらわす説明図
である。
【図8】参考例で使う化学蒸着式製膜装置をあらわす説
明図である。
【符号の説明】
1 基板(基材) 2 反応室 4 マグネットコイル(マグネット) 5 プラズマ室 T ターゲット
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 成膜装置および成膜方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、各種機能膜を形成す
ことのできる成膜装置および成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属板や金属膜の上に絶縁膜を形成する
方法は、半導体素子製造や表面改質などにおいて従来よ
りなされており、その際、異種材料の接合面に於ける密
着性が常に問題となる。基板(被処理物)の表面をプラ
ズマ等により生成したイオンに曝すことにより、膜形成
面のクリーニングや活性を図るというイオンボンバード
等は一般的に行われているが、この他に各種工夫がなさ
れており、金属表面を酸化や窒化し堆積する絶縁膜に近
い組成の中間層を設ける方法や、同様の中間層を成膜
程で設け多層膜とする方法などが採られてきた。一例と
して、特開平1−298153号公報に記載の発明で
は、スパッタ装置とECRCVD装置とを同一チャンバ
ー内に仕切板を隔てて配置し、異種の膜を連続成膜する
ようにしている。
【0003】また、異種材料の混合膜では、超伝導膜に
見られる混合材料で作製したターゲットを用いたスパッ
タ法、反応性ガスをイオン化して蒸着物質と反応させる
ようにする反応性イオンプレーティング法、イオンビー
ムと蒸着を併用し成膜するようにするイオンビームアシ
スト蒸着法などがあり、一例として、特開昭61−73
881号公報に記載の発明では、スパッタ中に化学蒸着
原料ガスを導入しスパッタリングとCVDと同時に行う
ようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の密着性改善方法では、別途の装置・工程を必要とす
る場合、コストが嵩み、特に付加価値の低い表面改質な
どではコストの嵩む影響は大である。また、中間層形成
による密着性改善法は、プラズマや熱処理だけの表面処
理では、改質層の組成や層厚みの制御が難しく、別途中
間層となる薄膜を形成すると、装置が新たに必要なだけ
でなく、下地金属と中間層、中間層と上層たる絶縁層の
両方の密着力管理が必要となるという問題がある。
【0005】一方、異種材料の混合膜では、1種類の
方法だけによる連続成膜は1つの装置で材料の交換を
回転式にセットしておくことでなされている例が、スパ
ッタ法や真空蒸着法などである。しかし、成膜方法が1
種類なので有用性は高くない。固体材料からのPVD法
による成膜と、気体もしくは液体材料からのCVD法に
よる成膜を連続して行うには、装置を2種類準備する必
要があったり、1種類の装置であっても成膜のための容
量の大きい電源を2種類準備する必要がある。前記特開
平1−298153号公報では、各成膜プロセス間のイ
ンターバルを極力短くすることを提案しているが、スパ
ッタ装置とCVD装置を並列に配置しただけで、装置・
製造の面での有用性が顕著なわけではない。
【0006】また、異種材料の混合膜を形成する上記方
法の場合、材料の組成、状態に選択性があり、異種材料
の組み合わせによっては膜形成が出来なかったり、ま
た、可能であっても、組成比が膜厚方向に変化していく
傾斜機能膜のような場合には制御が困難であったりす
る。前記特開昭61−73881号公報では、スパッタ
装置を主とした装置内にCVDガスを導入して同時に
できるようにしているが、スパッタとCVDの2種の
工法の独立制御が困難であり、適正な混合膜の形成は困
難である。
【0007】この発明は、上記事情に鑑み、固体材料か
らのPVD法による成膜と、気体もしくは液体材料から
のCVD法による成膜を連続して行え、異種材料の混合
膜の形成に対し十分な適性があり、構成が複雑化せずに
済ませられる成膜装置を提供するとともに、この成膜
置を有効に活かせる成膜方法を提供することを課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明にかかる成膜装置は、マグネットとマイク
ロ波導入口を有しプラズマ生起用第1ガスを導入できる
プラズマ室と、第2ガスを導入できる反応室とが設けら
れていて、両室の間にバイアス電圧を印加できるターゲ
ットが配置されており、前記プラズマ室のプラズマが反
応室に導入される構成となっている。
【0009】そして、この成膜装置の有効利用が図れ
る、この発明の成膜方法は、請求項1記載の成膜装置に
おいて、プラズマ室で第1ガスのプラズマを形成し、反
応室に置いた被処理物に対し、バイアス電圧をかけたタ
ーゲットでスパッタリングを行い、続いて第2ガスを反
応室に供給することにより、第1,2ガスの反応を伴う
化学蒸着を前記スパッタリングに連続して行うようにす
るか、あるいは、請求項1記載の成膜装置において、プ
ラズマ室で第1ガスのプラズマを形成し、バイアス電圧
をかけたターゲットで行うスパッタリングと、第2ガス
を反応室に供給することにより行う第1,2ガスの反応
を伴う化学蒸着とを同時に行い、異種材料の混合層を被
処理物に形成する期間を設けるようにしている。なお、
プラズマ室で第1ガスのプラズマを形成した後、反応室
に置いた被処理物をクリーニングしてから成膜を開始す
ることが好ましい。
【0010】後者の方法における異種材料の混合層を被
処理物に形成する期間は、スパリタリングと化学蒸着の
間の他、スパッタリングの途中や化学蒸着の途中に設け
たりしてもよい。勿論、異種材料の混合層を被処理物に
形成する期間だけがあって、膜全体が混合層からなるよ
うであってもよい。この発明の成膜装置は、上記二つの
方法以外の使い方をしてもよいことは言うまでもない。
【0011】以下、この発明を具体的に説明する。図1
は、この発明にかかる成膜装置の構成例をあらわす。図
1の成膜装置は、基板(被処理物)1を配置する反応室
2とプラズマを生起させるプラズマ室5を備え、両室
2,5の間にバイアス電圧を印加できるターゲットTを
有するカソード10が設けられている。基板1を据え置
く反応室2にはプラズマ室5で生起したプラズマが導入
される。
【0012】プラズマ室5の周りにはマグネットコイル
が設けられ、また、マイクロ波導波管15がマイクロ波
導入用である石英ガラス6を介して接続されていて、マ
イクロ波導入口よりマイクロ波がプラズマ室5に導入で
き、さらに、第1ガス導入用の配管7が接続されてい
て、配管7からプラズマ生起用第1ガスがプラズマ室5
に導入できるようになっている。
【0013】反応室には第2ガス導入用の配管13,1
4が接続されていて、配管13,14から膜材料用の第
2ガスが反応室2に導入できるようになっている。ま
た、反応室2には、シャッター16が基板1の前面に立
ちはだかるように設けられているとともに排気口3が設
けられている。ターゲットTには、直流電源11でバイ
アス電圧(普通は負のバイアス電圧)が印加できるよう
になっており、また、基板1には高周波電源8でマッチ
ングボックス9を介して高周波電圧の出力が印加できる
ようになっている。
【0014】図1の装置で成膜する場合、以下のように
する。マグネットコイル4による磁界と石英ガラス6を
通して入るマイクロ波により、配管7から流入する第1
ガスのプラズマをプラズマ室5に形成し、反応室2に置
いた基板1に高周波電源8の出力を印加し基板1をクリ
ーニングした後、直流電源11でターゲットTにバイア
ス電圧を印加し、シャッター12を開いて、スパッタリ
ングを行う。その後、続いて第2ガスを配管13,14
から反応室2に少量ずつ供給し始めるとともに、供給量
の増加と反比例するようにターゲットTの印加電圧を下
げ、スパッタ速度を徐々に落とし、所定時間後シャッタ
ー12を閉じてスパッタリングを停止する。この間、ス
パッタリングと化学蒸着が同時に行われ、混合比が徐々
に変化している混合層が形成される。
【0015】これ以降は、化学蒸着だけで所定厚みの分
の膜形成を行えば、成膜は完了する。この発明による
は、具体的には、照明器具の反射板(特に、高反射率
で使用環境上、耐候性や耐熱性を必要とする反射板)に
適用すことが出来る。これに関して、以下に詳しく説明
する。高反射率を有する照明器具用の反射板の製造方法
として、高純度アルミニウム板を電解研磨、アルマイト
処理したものや、アルミニウム、銀等の膜を蒸着法によ
成膜し、保護層として透明膜をコーティングしたもの
などが挙げられ、例えば、特開平3−171503号公
報記載の発明は、金属基材上にイオンプレーティング法
により、中間層を設けた保護層の成膜方法である。
【0016】一方、照明器具の軽量化、低コスト化、形
状の多様化が求められ、金属基材の代わりに樹脂を用い
た基材を使用することが求められつつある。その中で、
高反射率で屋外の使用に耐える反射鏡として、樹脂基材
の上に下地層を形成したあと金属膜を蒸着し、透明膜を
トップコートした構造が考え出されており、スプレー等
湿式により保護層を形成する工程が実施されている。ま
た、保護層の形成方法として乾式方法もいくつか考えら
れており、一例として、特開平3−245102号公報
記載の発明では、透明樹脂膜を蒸着またはプラズマ重合
により成膜している。
【0017】ただ、反射板として、金属基材に代えて樹
脂基材を用いる場合、基材の耐熱性の問題があり、コー
ティング時の昇温による応力発生を防ぐ必要もある。そ
こで、湿式によるコーティングがなされているが、湿式
スプレーによるトップコートの被覆方法は、ピンホール
発生による反射膜の腐食や塗布剤の透過率が悪いために
反射率の低下があり、さらに環境汚染が生産現場で問題
となる。
【0018】また、一般的な物理蒸着法では、付きまわ
りが悪いためコーティングにむらができたり、トップコ
ート膜のピンホール発生による反射膜の腐食、反射率劣
化の問題や各層間の密着性の問題がある。また、樹脂基
材の耐熱性の問題より成膜中の基材温度上昇による成膜
条件の制約等の問題があり、期待される膜質が得られな
い。また、重合法による透明樹脂膜では、耐磨耗性など
の機械的強度得られず、屈折率などの光学特性の制御
も困難である。
【0019】上記問題を解決するためには、図3にみる
ように、高分子基材(樹脂基材)31の上にPVD法
(真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング)
により光輝性金属膜32を形成し、その後、耐熱性・耐
食性のよい透明保護膜33を所定周波数のマイクロ波と
所定強度の磁界により高密度で生起されたプラズマを用
いて気相中より化学的蒸着で形成すれば、適切な照明器
具用の反射板30が出来るのである。ただ、この2段階
成膜法の場合、既に先に述べたような問題があるた
め、この発明の成膜装置や方法を適用することが望まし
いのである。
【0020】つまり、図1の成膜装置を用い、マイクロ
波と所定強度の磁界にり高密度で生起されたプラズマを
形成し、反応室に置いた高分子基材31の表面を必要に
応じてクリーニングした後、バイアス電圧をかけたター
ゲットでスパッタリングを行い光輝性金属膜32を形成
し、続いて第2ガスを反応室に供給することにより、第
1,2ガスの反応を伴う化学蒸着を前記スパッタリング
に連続して行い、透明保護膜33を形成して、反射板3
0を得るのである。図1の成膜装置を用いて反射板を得
る場合、基材が金属基材であったり、金属基材表面に樹
脂層を設けた積層物であってもよい。
【0021】得られる反射板40の具体的層構成として
は、図4にみるように、基材41の上に(光輝性)金属
膜42、透明保護膜43を積層した形態か、図5にみる
ように、金属基材(アルミニウムやステンレス等)41
aの上に樹脂層41bを設けた基材41の上に金属膜4
2、透明保護膜43を積層した形態が挙げられる。基材
に使われる樹脂としては、ポリフェニレンスルファイド
(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエ
ーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEE
K)等が挙げられる。普通、樹脂を金型成形し基材を作
るが、成形だけで鏡面が得られない場合、表面の凹凸を
なくすコーティング層を形成してもよい。基材の上に形
成する光輝性金属膜としては、反射率向上の点からは銀
やアルミニウムなどが適当であり、透明保護膜として
は、SiO,SiN,SiCやAl,Ti
,MgFなどでもよく、また、それらの多層膜で
あってもよい。勿論、樹脂や光輝性金属膜、透明保護膜
は、上記例示のものに限らない。
【0022】
【作用】この発明の場合、プラズマ室と反応室の間にス
パッタリング用のターゲットを配置しておき、マイクロ
波と磁界により生起させる制御容易な一つのプラズマを
利用しスパッタリングと化学蒸着が随時に切替え又は同
時に実施できるため、固体材料からのPVD法による
と、気体もしくは液体材料からのCVD法による成膜
を連続して行ったり、異種材料の混合膜の形成を適時に
行える。この時、被処理物はずっと同じ反応室に据え置
かれたままであるため、無駄に時間が空くことなく被処
理物の表面は活性な状態であり、迅速に緻密な膜が形成
できる。
【0023】そして、スパッタリングと化学蒸着はプラ
ズマを併用していても第1,2ガスの導入を個別に行っ
ており、スパッタリングと化学蒸着の同時実施の場合に
も、それぞれを独立して制御することが容易であり、異
種材料の混合膜を形成する場合であって材料混合比が徐
々に変化する(傾斜機能膜の)時にも、適正な混合膜が
形成できるため、混合膜形成に対し十分な適性がある。
【0024】それに、この発明の場合、プラズマ室と反
応室の間にスパッタリング用のターゲットを配置し、同
じ一つのプラズマ室に生起させる一つのプラズマを使う
構成をとるため、装置構成が複雑化してしまうこともな
い。
【0025】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。この発
明は、下記の実施例に限らない。 −実施例1− 図1に示す成膜装置を用い、下記のようにして、基板1
の表面に対する成膜を行った。
【0026】基板1を反応室2にセットし、排気口3よ
り真空排気し室内を10−6Torrにする。一方、プ
ラズマ室5内にマグネットコイル4により磁界を形成す
るとともに2.45GHzのマイクロ波を石英ガラス6
を通して入れ、配管7からArガスを供給すると、Ar
のプラズマがプラズマ室5内に形成される。そして、先
ず、反応室2に置いた基板1に高周波電8にり基板1に
バイアスを印加し基板1をクリーニングする。次に、直
流電源11で銀製ターゲットTに−500Vのバイアス
電圧を印加し、シャッター12を開いて、Arイオンに
より銀のスパッタリングを行い、基板1の表面に厚み
0.1μmの銀膜(図2の下地層18)を形成する。
【0027】続いて、配管13よりSiHを配管14
よりOをそれぞれ反応室2に少量ずつ供給し始めると
ともに、供給量の増加と反比例するようにターゲットT
のバイアス電圧を下げ、スパッタ速度を徐々に落とし、
所定時間後シャッター12を閉じて銀のスパッタリング
を停止する。この間、銀スパッタリングとSiOの化
学蒸着が同時に行われ、銀とSiOの混合比が徐々に
変化している混合膜(図2の中間層19)が形成され
る。
【0028】これ以降は、化学蒸着だけで所定厚み分の
SiO膜(図2の表層20)の形成を行えば、成膜
完了する。図2にみるように、基板1の上には銀膜(図
2の下地層18)と、これを保護するSiO膜(図2
の表層20)の間に、それらの混合比率が徐々に変化し
てゆく混合膜(図2の中間層19)が適正な形で形成さ
れており、密着力が十分な成膜が実現できるのである。
【0029】−実施例2− 図1に示す成膜装置を用い、下記のようにして、照明器
具における反射板の基材1の表面に対する成膜を行っ
た。樹脂製の基材1を、図6にみるように、ポリフェニ
レンスルファイドを金型55で整形することで得た。
【0030】基材1を反応室2にセットし、排気口3よ
り真空排気し室内を10−5Torr以下にする。一
方、プラズマ室5内にマグネットコイル4により所定の
磁界を形成するとともに2.45GHzのマイクロ波を
石英ガラス(窓ガラス)6を通して入れ、配管7からA
rガスを真空度が1×10−4Torrに維持されるよ
うにして供給すると、Arのプラズマがプラズマ室5内
に形成される。なお、この時、プラズマ室の所定の磁界
分布は、マイクロ波が入射する石英ガラス6近傍を87
5ガウスとし、基材セット方向への発散磁場を形成させ
る。基材1表面はArイオンでクリーニングされるとと
に活性化される。
【0031】次に、直流電源11で銀製ターゲットTに
−500Vのバイアス電圧を印加し、上記プラズマで銀
ターゲットをスパッタリングする。約1分のセルフスパ
ッタを行った後、シャッター12を開いて、Arイオン
により銀のスパッタリングを行い、基材1の表面に厚み
0.1μmの光輝性金属膜である銀膜を形成する。続い
て、配管7よりNガスを導入し、プラズマ室5にN
プラズマを生起させる。基材1の表面をクリーニングし
た後、配管13よりSiHガスを基材1近傍に導入す
る。NプラズマでSiHが分解し、透明保護膜であ
るSiNが銀膜の上に形成され、反射板が得られる。
【0032】−参考例1− 実施例2で用いたと同じ基材に対し、下記のように、2
つの装置で成膜を行い、反射板を得た。基材104を真
空チャンバ107にセットし、チャンバ内を10−5
orr以下となるように真空排気する。続いて、チャン
バ内にArガスを導入し2×10−4Torrに維持す
るようにする。高周波電源108の高周波電力をマッチ
ングボックス106を介して真空チャンバ107のアン
テナ109に導入し、Arプラズマを生起させる。基材
104の表面をイオン化させたArに3分程度さらすこ
とによりクリーニングすると共に、表面を活性な状態に
する。続いて、蒸発源110に入れられた銀を電子銃1
11により加熱蒸発させ、基材1の表面に厚み0.1μ
mの光輝性金属膜である銀膜を形成した。
【0033】次に、CVDチャンバ112に基材104
をセットし、チャンバ内を10−5Torr以下となる
ように排気口120より真空廃気する。続いて、配管1
13よりOガスを導入し、2.45GHzのマイクロ
波118を窓ガラス119を介して導入するとともに所
定強度の磁界分布となるように、マグネットコイル11
4に通電する。酸素プラズマにより1分間のクリーニン
グを行った後、配管115より有機シリコン系の原料を
気化させたガスを基材104近傍に供給し、酸素プラズ
マと反応させることにより、基材104の上に緻密な透
明保護膜であるSiO膜を堆積させる。成膜条件によ
っては、高周波電源117の高周波電圧をマッチングボ
ックス116を介して基材104に印加するようにして
もよい。
【0034】透明保護膜の厚みは特定の厚みに限定され
ないが、保護膜の性能としては、0.5〜2.0μmが
適当である。
【0035】
【発明の効果】この発明では、1台の装置で、スパッタ
リングと化学蒸着が随時に切替え又は同時に実施して、
固体材料からのPVD法による成膜と、気体もしくは液
体材料からのCVD法による成膜を連続して行ったり、
異種材料の混合膜の形成を適時に行える上、その時、被
処理物をずっと同じ反応室に据え置いたままでよいた
め、無駄に時間が空くことなく被処理物の表面が活性な
状態にあり、迅速に緻密な膜が形成でき、さらに、混合
膜や傾斜機能膜を適正な状態で制御性よく形成できるた
め、混合膜形成に対し十分な適性があり、さらに、装置
構成が複雑化してしまうこともないため、非常に有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の成膜装置の構成例をあらわす説明図
である。
【図2】この発明の成膜装置を用いて形成した膜を有す
る基板の断面図である。
【図3】照明器具の反射板の構成例をあらわす断面図で
ある。
【図4】照明器具の反射板の層構成例あらわす断面図で
ある。
【図5】照明器具の反射板の他の層構成例あらわす断面
図である。
【図6】実施例で使う反射板用の基材を成形する時の様
子を示す断面図である。
【図7】参考例で使うPVD成膜装置をあらわす説明図
である。
【図8】参考例で使う化学蒸着式成膜装置をあらわす説
明図である。
【符号の説明】 1 基板(基材) 2 反応室 3 マグネットコイル(マグネット) 5 プラズマ室 T ターゲット

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネットとマイクロ波導入口を有しプ
    ラズマ生起用第1ガスを導入できるプラズマ室と、第2
    ガスを導入できる反応室とが設けられていて、両室の間
    にバイアス電圧を印加できるターゲットが配置されてお
    り、前記プラズマ室のプラズマが反応室に導入されるよ
    うになっている製膜装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製膜装置において、プラ
    ズマ室で第1ガスのプラズマを形成し、反応室に置いた
    被処理物に対し、バイアス電圧をかけたターゲットでス
    パッタリングを行い、続いて第2ガスを反応室に供給す
    ることにより、第1,2ガスの反応を伴う化学蒸着を前
    記スパッタリングに連続して行うようにする製膜方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の製膜装置において、プラ
    ズマ室で第1ガスのプラズマを形成し、バイアス電圧を
    かけたターゲットで行うスパッタリングと、第2ガスを
    反応室に供給することにより行う第1,2ガスの反応を
    伴う化学蒸着とを同時に行い、異種材料の混合層を被処
    理物に形成する期間を設けるようにする製膜方法。
  4. 【請求項4】 プラズマ室で第1ガスのプラズマを形成
    した後、被処理物をクリーニングしてから製膜を開始す
    る請求項2または3記載の製膜方法。
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