JPH0665661A - ガス放出量の少い超高真空用チタン合金 - Google Patents

ガス放出量の少い超高真空用チタン合金

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JPH0665661A
JPH0665661A JP22415492A JP22415492A JPH0665661A JP H0665661 A JPH0665661 A JP H0665661A JP 22415492 A JP22415492 A JP 22415492A JP 22415492 A JP22415492 A JP 22415492A JP H0665661 A JPH0665661 A JP H0665661A
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徹 簑手
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千秋 大内
Megumi Nakanose
恩 中之瀬
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Abstract

(57)【要約】 【構成】Pd,Pt,Rh,Ru,Re及びOsから選
択される少なくとも1種の白金系金属を0.02〜1.
0重量%、Co,Fe,Cr,Ni,Mn及びCuから
選択される少なくとも1種の遷移金属を0.1〜3.0
重量%、La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,
Dy,Ho,Er及びYから選択される少なくとも1種
を0.02〜0.50重量%の範囲で含有し、不純物元
素としてのC,N及びOを夫々C:0.05重量%以
下、N:0.05重量%以下、O:0.08重量%以下
に規定し、残部Ti及び不可避的不純物よりなる超高真
空用チタン合金。 【効果】比較的単純な真空排気系で10-11 torrの
極高真空を得ることが可能であり、かつ軽量な超真空容
器を得ることができるガス放出量の少い超高真空用チタ
ン合金が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極めて優れたガス放出
特性を有する超高真空用容器材として最適なチタン合金
に関する。
【0002】
【従来技術】超高真空ないし極高真空を得るためのチャ
ンバーの材料としては、従来、特開平1−316439
及び特開平3−31451に開示されているように鋼中
の不純物を極度に低減させた超清浄鋼が用いられたり、
加藤らの報告(真空vol.34 1(1991)p.
56)に示されるようにガス放出量を抑えるために内面
に特殊な表面処理を施したステンレス鋼などが用いられ
ている。
【0003】しかし、このようなステンレス鋼を用いた
場合であっても、ターボポンプのみでは10-11 tor
r以上の極高真空を得ることは難しく、チタンサブリメ
ーションポンプやクライオポンプなどを用いる必要があ
る。さらに、ステンレス鋼を用いたチャンバーは重量が
大きくなる欠点を有している。
【0004】一方、軽量な超高真空用材料として、アル
ミニウム合金が用いられることもあるが、この場合には
ガス放出量が多く10-11 torr以上の極高真空を得
るのは極めて困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、従来のステ
ンレス鋼を超高真空用のチャンバ材として用いた場合、
ステンレス鋼からガスが放出されるため、10-11 to
rr以上の極高真空を得るためにはチャンバ内面を電解
研磨したり、鋼中の不純物を極度に低減させた超清浄鋼
が必要となる。さらに、上述したように、このような材
料を用いてもイオンポンプやチタンサブリメーションポ
ンプ、クライオポンプ等の複雑な真空排気系が必要とな
る。
【0006】また、近年、宇宙空間で極高真空の実験を
行うことが考えられており、このような場合、チャンバ
材料の重量が問題となる。軽量なチャンバ材料として、
アルミ合金が用いられることもあるが、アルミ合金はガ
ス放出量が多く10-11 torr以上の極高真空を得る
ことは容易ではない。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、イオンポンプやチタンサブリメーション
ポンプ、クライオポンプなどの複雑な真空排気装置を用
いずターボポンプのみの比較的単純な真空排気系で10
-11 torrの極高真空を得ることが可能であり、かつ
軽量なチャンバを得ることができるガス放出量の少い超
高真空用チタン合金を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、Pd,Pt,
Rh,Ru,Re及びOsからなる群から選択される少
なくとも1種の白金系金属を0.02〜1.0重量%、
Co,Fe,Cr,Ni,Mn及びCuからなる群から
選択される少なくとも1種の遷移金属を0.1〜3.0
重量%、La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,
Dy,Ho,Erの希土類元素及びYからなる群から選
択される少なくとも1種を0.02〜0.50重量%の
範囲で含有し、不純物元素としてのC,N及びOを夫々
C:0.05重量%以下、N:0.05重量%以下、
O:0.08重量%以下に規定し、残部Ti及び不可避
的不純物よりなるガス放出特性の優れた超高真空用チタ
ン合金を提供する。また、上記合金にさらにAlを0.
2〜1.5重量%の範囲で含有するガス放出特性の優れ
た超高真空用チタン合金を提供する。
【0009】さらにまた、チタン合金をベースとし、P
d,Pt,Rh,Ru,Re及びOsからなる群から選
択される少なくとも1種の白金系金属を0.02〜1.
0重量%、Co,Fe,Cr,Ni,Mn及びCuから
なる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を0.
1〜3.0重量%、La,Ce,Pr,Nd,Sm,G
d,Tb,Dy,Ho,Erの希土類元素及びYからな
る群から選択される少なくとも1種を0.02〜0.5
0重量%の範囲で含有し、不純物元素としてのC,N及
びOを夫々C:0.05重量%以下、N:0.05重量
%以下、O:0.08重量%以下に規定したガス放出特
性の優れた超高真空用チタン合金を提供する。
【0010】本願発明者らは、比較的軽量なチタン材を
前提として、超高真空中で、材料内部に固溶するガス成
分が真空側に拡散して表面から放出される現象を抑える
べく検討を加えた結果、C,N,Oを低減させたチタン
合金において、白金系金属であるPd,Pt,Ru,R
h,Os及びReのうちの一種以上と遷移金属であるC
o,Fe,Cr,Ni,Mn及びCuの一種以上および
希土類金属であるLa,Ce,Pr,Nd,Sm,G
d,Tb,Dy,Ho及びEr並びにYの一種以上を所
定量添加することによって、超高真空下でのこのような
ガス放出を低減することができることを見出した。ま
た、添加物系をこのような範囲にすることにより高加工
性が付与されることも見出した。さらに、このような合
金系にAlを所定量添加することによって上記特性を損
なわずに高強度化が図れることも併せて見出した。さら
にまた、チタン合金をベースとした場合にも、このよう
な添加物系を用いることにより、熱間加工性に悪影響を
与えないことも見出した。上記構成を有する本発明は、
本願発明者らのこのような知見に基づいて成されたもの
である。以下、この発明について詳細に説明する。先ず
添加元素の限定理由について述べる。 Pd,Pt,Ru,Rh,Re,Os;
【0011】これら白金系金属元素は、超高真空チャン
バ内部に残留する分子状の水素を、材料表面でトラップ
し原子状の水素に分離する触媒の働きをする極めて重要
な元素である。本機能が発揮されるためには、上記元素
の少なくとも1種を合計で0.02重量%以上添加する
ことが必要である。しかしながら、合計で1.0重量%
を越えて添加された場合には、加工性が著しく低下する
ため、真空容器への冷間成形が極めて困難になる。ま
た、チタン合金をベースにする場合には、これらの元素
が1.0重量%を越えて含有すると熱間で加工性が著し
く低下し、材料自体の加工が困難となる。従って上記元
素の少なくとも1種を0.02〜1.0重量%の範囲で
添加することが望ましい。 Co,Fe,Ni,Cr,Mn,Cu;
【0012】これら遷移金属元素は、上記白金系金属元
素によって表面に吸着した原子状の水素を固定する能力
の極めて高いTi2 Co,TiFe,Ti2 Ni,Ti
Cr2 ,TiMn,Ti2 Cu等の金属間化合物を生成
させるために必要である。このような金属間化合物を生
成させるためには上記の元素の少なくとも1種を合計で
0.1重量%以上添加することが必要である。しかしな
がら、3.0重量%を越えて過剰に添加した場合には生
成された金属間化合物によって材料の延性および加工性
が低下する。また、チタン合金をベースにする場合に
は、これらの元素が3.0重量%を越えて含有すると、
生成された金属間化合物によって熱間での加工性が低下
する。このため、これらの元素の少なくとも1種を0.
1〜3.0重量%の範囲で添加することが望ましい。 La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,H
o,ErおよびY;
【0013】これらの元素は、材料に固溶する酸素を内
部酸化により酸化物として固定することによって固体内
部から表面への固溶酸素の拡散を抑制する働きをする。
このような働きは、La,Ce,Pr,Nd,Sm,T
b,Dy,Ho,ErおよびYを単独で添加しても得ら
れるし、あるいは、ミッシュメタルのような形での複合
添加した場合においても変わらずに得られ、合計で0.
02重量%以上添加した場合に有効に発揮される。しか
しながら、これらの1種または2種以上を合計で0.5
0重量%を越えて添加した場合には、析出した酸化物に
よって延性および加工性が著しく低下する。また、チタ
ン合金をベースにする場合には、これらの元素が0.5
0重量%を越えて含有すると、析出した酸化物によって
熱間での加工性が著しく低下する。このため、これらの
元素の少なくとも1種を0.02〜0.50重量%の範
囲で添加することが望ましい。 C;
【0014】Cは材料に固溶した場合、表面に拡散し残
留ガス中の酸素と結合してCOガスを生成するためでき
るだけ低減させる必要がある。しかしながら、0.05
重量%以下の含有量では、このような固体内部からの拡
散によるCOガス放出量は、対象とする10-11 〜10
-12 torrではほとんど影響しない。従ってCは0.
05重量%以下に規定する。 N;
【0015】Nも同様に材料中に固溶すると表面に拡散
してN2 ガスとなり放出される恐れがある。しかしなが
ら、本発明において対象とする10-11 〜10-12 to
rrのような真空度では、0.05重量%以下のNを含
有した場合では、N2 ガスによる著しい真空度の低下は
認められない。従ってNは0.05重量%以下とする。 O;
【0016】Oは、チタン合金の場合固溶度が高いた
め、真空中へのガス放出といった観点から最も管理が必
要な不純物である。材料中に固溶するOは、表面からO
2 などの形で放出され、真空度の低下を招く。このため
本発明では、上述のように、La,Ce,Pr,Nd,
Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,ErおよびYの1種又
は2種以上の添加によって酸素を固定するのであるが、
酸素が0.08重量%を越えて含有された場合は、上記
の元素による固定の効果が充分ではなく、ガス放出が著
しくなる。さらに、固定されたOは酸化物の形となっ
て、冷間成形性を著しく低下させる。また、チタン合金
をベースにする場合には、酸素が0.08重量%を越え
て含有されると、同様の理由で熱間加工性を著しく低下
させる。従って、Oは0.08重量%以下とする。 Al;
【0017】Alは、ガス放出特性、冷間成形性に著し
い変化を生じさせず、材料の強度を上昇させるために有
効である。特に0.2重量%以上添加した場合、この効
果は著しい。しかしながら、1.5重量%を越えて添加
すると冷間成形性が低下し、真空容器への冷間加工が難
しくなる。即ち、Alの添加は0.2〜1.5重量%が
望ましい。
【0018】なお、チタン合金をベースとする場合に
は、適用するチタン合金に特に制限はなく、α合金、α
+β合金、β合金のいずれをベースにしてもよい。いず
れの合金をベースにした場合でも、上記添加系を用いる
ことにより、熱間加工性を低下させずに優れたガス放出
特性を有するチタン合金が得られる。
【0019】
【作用】従来のようにステンレス鋼を超高真空容器とし
て用いた場合、真空容器内部に残留するガスは、ステン
レス鋼中に固溶していた酸素や、介在物とマトリックス
界面にトラップされた水素、表面変質層に残留する酸素
などと鋼中の炭素と結びついたCO,CO2 ガスなどよ
り構成されている。
【0020】これに対して本発明は、C,N,Oを低減
したチタン合金に所定量のPdなどの白金系金属、Co
などの遷移金属、Yやミッシュメタルなどの希土類金属
を添加したので、本発明のチタン合金を超真空容器とし
て用いた場合に、以下のメカニズムによって材料からの
ガス放出を抑制し、残留ガス固定を行うことができる。 (1)チタン合金中からの酸素の放出をYやミッシュメ
タルなどの希土類金属により酸化物の形で材料内部に固
定し、低減させる。 (2)チャンバ内の残留ガス大部分を占めるH2 ガス
を、Pdなどの白金系金属により、H原子として合金表
面に物理吸着させる。 (3)吸着されたH原子は、チタンとCoなどの遷移金
属よりなる水素トラップ能力の高い金属間化合物により
強く固定される。 また、本発明合金のガス放出特性を付与する各元素の添
加量の適正化を図ることにより、冷間成形性の高いチタ
ン合金を得ることが可能となる。
【0021】さらに、上記の2つの特長を有するチタン
合金に、所定量のAlを添加することにより、Alの固
溶強化によって加工性、ガス放出特性を損なうことなく
強度を上昇させることができる。さらにまた、チタン合
金をベースとした場合に、上記添加系を用いることによ
り、優れたガス放出特性を得ることができ、熱間加工性
の低下をもたらさない。
【0022】
【実施例】
(実施例1)
【0023】表1に示す組成の合金をアーク溶解炉によ
りボタンインゴットに溶製し、熱間圧延・熱処理を施し
た後に各種試験に供した。なお、表1中番号1〜9は本
発明の範囲内の実施例であり、番号10〜19はその範
囲から外れる比較例である。また、番号20は従来材で
あるステンレス鋼である。
【0024】
【表1】 これらの供試材についてガス放出特性、及び機械的性質
を把握した。
【0025】ガス放出特性については、昇温脱離分析装
置(TDS)を用い、供試材を400℃で昇温加熱して
ベーキング処理とし、その後室温におけるガス放出率を
求めた。ガス放出率は四重極質量分析装置(QMS)の
測定強度にQMSの各気体毎の感度係数、各気体毎の排
気速度を乗じることによって求め、番号20の従来材と
の比の値とした。さらに一部の材料については、VAR
インゴットにより板材を試材し、小型真空容器を作成
し、ターボ分子ポンプ(180 l/s)によりテスト
を行った。
【0026】また、冷間成形性の指標として材料の限界
曲げ試験を行い、ベンドファクタ=曲げポンチの半径/
板厚で整理を行った。さらに、各材料の引張試験を行
い、引張強さの比較もあわせて行った。表2にそれらの
結果を示す。
【0027】
【表2】
【0028】表2から明らかなように、実施例である番
号1〜9の合金は、H2 ,CO+N2 ,CO2 いずれの
ガスも従来材であるステンレス鋼と比較して1/10以
下であり、特に質量数28のCO+N2 ガスは非常に少
ない特徴を示した。また、冷間成形性も極めて高く、板
厚と同等程度までの曲げ半径においても割れが生じなか
った。さらに、Alを添加した番号1,3,4,6,
8,9については、引張強さが45kgf/mm2 を越
える高い値を示した。一方、比較例である番号10〜1
9は、ガス放出特性または加工性が劣っていることが確
認された。
【0029】例えば、番号10は、白金系金属の量が本
発明の範囲よりも少ない例であるが、加工性は優れてい
るものの、ガス放出特性が優れているとはいい難い。一
方、番号11は、白金系金属を本発明の範囲よりも過剰
に添加した場合であるが、優れたガス放出特性を有する
ものの、ベントファクターが5.5と冷間加工性に乏し
いことが確認された。
【0030】番号12,13は、遷移金属の量が本発明
の範囲から外れる例である。遷移金属が本発明の範囲よ
り少ない番号13の場合には、ガス放出量がステンレス
鋼と比べて著しく少ないとはえない。一方、本発明の範
囲よりも過剰に添加した番号12の場合には、加工性が
低下した。
【0031】番号14,15は、希土類金属またはYの
量が本発明の範囲から外れる例である。希土類またはY
が本発明の範囲よりも少ない番号14では、酸素を含ん
だガス成分が多く放出され、ステンレス鋼とほぼ同等の
ガス放出特性しか得られなかった。一方、これらが本発
明の範囲よりも過剰に含まれた番号15では、生成され
た酸化物により加工性が低下した。さらに、ガス放出特
性も損なわれた。
【0032】番号16〜18は、C,N,Oが本発明の
範囲を越えて含有された場合である。いずれの場合も、
ガス放出特性が著しく低下し、ステンレス鋼並となって
しまうことが確認された。番号19は、Alが本クレー
ム範囲を越えて含有された場合である。ガス放出特性は
優れた結果を有するものの、冷間成形性に劣っていた。
【0033】実施例の番号1の材料を用いて超高真空容
器(φ200×300)を試作した結果、180 l/
sのターボポンプのみで6.8×10-11 torrの超
高真空を得ることができた。これは、同等のステンレス
製の超高真空容器の場合1.0×10-8torrと比べ
著しく到達真空度に差異があり、本発明材の優れたガス
放出特性を裏付けるものといえる。なお、この真空度の
実験はいずれも200℃×72時間ベーク後、室温にて
24時間冷却した後に行った。 (実施例2)
【0034】この実施例はチタン合金をベースとしたも
のである。一定のチタン合金をベースとした表3に示す
組成の合金をアーク溶解炉によりボタンインゴットに溶
製し、熱間圧延・熱処理を施した後に各種試験に供し
た。なお、表1中番号21〜25は本発明の範囲内の実
施例であり、番号26〜34はその範囲から外れる比較
例である。
【0035】
【表3】 これらの供試材についてガス放出特性、及び機械的性質
を把握した。
【0036】ガス放出特性については、実施例と同様の
値を用い、さらに一部の材料については、VARインゴ
ットにより板材を試材し、小型真空容器を作成し、ター
ボ分子ポンプ(800 l/s)によりテストを行なっ
た。また、熱間加工性の指標として、熱間圧延後の材料
の割れを把握し、熱間加工性の評価を行った。それらの
結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】表4から明らかなように、実施例である番
号21〜25の合金は、H2 ,CO+N2 ,CO2 いず
れのガスも従来材であるステンレス鋼と比較して1/1
0以下であり、特に質量数28のCO+N2 ガスは非常
に少ない特徴を示した。また、熱間加工性も良好であ
り、耳割れが生じた場合であっても1cmを越えなかっ
た。一方、比較例である番号26〜34は、ガス放出特
性または熱間加工性が劣っていることが確認された。例
えば、番号26は、白金系金属の量が本発明の範囲より
も少ない例であるが、加工性は優れているものの、ガス
放出特性が優れているとはいい難い。
【0039】同様に、番号29,31は、夫々遷移金
属、希土類金属またはYの量が本発明の範囲よりも少な
い例である。いずれも実施例に比較してガス放出特性が
劣っていた。
【0040】一方、番号27,28,30は、夫々、白
金系金属、遷移金属、及び希土類金属またはYが本発明
の範囲を越える場合である。いずれも優れたガス放出特
性を有するものの、耳割れが大きく熱間加工が困難であ
った。
【0041】番号32〜34は、C,N,Oが本発明の
範囲を越えて含有された場合である。いずれの場合も、
ガス放出特性が著しく低下し、ステンレス鋼並となって
しまうことが確認された。
【0042】
【発明の効果】この発明によれば、複雑な真空排気装置
を用いずターボポンプのみの比較的単純な真空排気系で
10-11 torrの極高真空を得ることが可能であり、
かつ軽量な超真空容器を得ることができるガス放出量の
少い超高真空用チタン合金が提供される。本発明のチタ
ン合金を超真空容器に用いることによって、従来のステ
ンレス鋼製容器と比較して、高い到達真空度を比較的容
易に得ることができる。また、この発明の合金は加工性
に優れており、比較的容易に超真空容器に加工すること
ができる。さらに、チタン合金をベ−スとした場合に、
本発明の合金元素添加系を用いることにより、熱間加工
性の低下をもたらさない。
フロントページの続き (72)発明者 大内 千秋 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中之瀬 恩 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 石本 誠二 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pd,Pt,Rh,Ru,Re及びOs
    からなる群から選択される少なくとも1種の白金系金属
    を0.02〜1.0重量%、 Co,Fe,Cr,Ni,Mn及びCuからなる群から
    選択される少なくとも1種の遷移金属を0.1〜3.0
    重量%、 La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,H
    o,Erの希土類元素及びYからなる群から選択される
    少なくとも1種を0.02〜0.50重量%の範囲で含
    有し、 不純物元素としてのC,N及びOを夫々C:0.05重
    量%以下、N:0.05重量%以下、O:0.08重量
    %以下に規定し、 残部Ti及び不可避的不純物よりなるガス放出特性の優
    れた超高真空用チタン合金。
  2. 【請求項2】 Pd,Pt,Rh,Ru,Re及びOs
    からなる群から選択される少なくとも1種の白金系金属
    を0.02〜1.0重量%、 Co,Fe,Cr,Ni,Mn及びCuからなる群から
    選択される少なくとも1種の遷移金属を0.1〜3.0
    重量%、 La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,H
    o,Erの希土類元素及びYからなる群から選択される
    少なくとも1種を0.02〜0.50重量%、 Alを0.2〜1.5重量%の範囲で含有し、 不純物元素としてのC,N及びOを夫々C:0.05重
    量%以下、N:0.05重量%以下、O:0.08重量
    %以下に規定し、 残部Ti及び不可避的不純物よりなるガス放出特性の優
    れた超高真空用チタン合金。
  3. 【請求項3】 チタン合金をベースとし、 Pd,Pt,Rh,Ru,Re及びOsからなる群から
    選択される少なくとも1種の白金系金属を0.02〜
    1.0重量%、 Co,Fe,Cr,Ni,Mn及びCuからなる群から
    選択される少なくとも1種の遷移金属を0.1〜3.0
    重量%、 La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,H
    o,Erの希土類元素及びYからなる群から選択される
    少なくとも1種を0.02〜0.50重量%の範囲で含
    有し、 不純物元素としてのC,N及びOを夫々C:0.05重
    量%以下、N:0.05重量%以下、O:0.08重量
    %以下に規定したガス放出特性の優れた超高真空用チタ
    ン合金。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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