JPH066512U - 建物の気密・断熱構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 少なくとも板状部材２と、この板状部材２に
取付けられた断熱材３，５とからなる複数の断熱パネル
１を備え、前記断熱材３，５が、屋内側で柱１０，１
１、梁１３などの建物の構造部材間に位置するように、
断熱パネル１の板状部材２を、構造部材の屋外側に固定
してある建物の気密・断熱化を図った建物の気密・断熱
構造において、断熱材３，５の少なくとも１つの側面
と、構造部材とで空隙２１を形成するように、断熱材
３，５の少なくとも１つの側面が切り落としてあり、断
熱材３，５の側面と、溝造部材とで形成される空隙２１
に、気密性・弾性部材を介装する。 【効果】 断熱材と、柱、梁などの建物の構造部材との
間に空隙が形成されているため建物の気密性・断熱性を
高く維持できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の技術分野】

本考案は、木造軸組工法の断熱壁のパネル化工法を図る断熱パネルを有してな る建物の気密・断熱構造に関し、詳しくは、柱、梁などの建物の構造部材の曲が り、痩せなどがあったとしても、気密性・断熱性を劣化することがない建物の気 密・断熱構造に関する。

【０００２】

【考案の技術的背景】

戸建住宅等では、近年、屋内の気密性・断熱性を高めるため、発泡ポリスチレ ンなどの断熱材を外壁等に使用することが多くなっている。このような断熱材を 有する外壁を敷設するに際しては、筋かいなどの構造部材に代えて水平力を受け る合板と、この合板の内側に取付けられた断熱材とからなる断熱パネルを用いる 木造軸組工法の断熱壁のパネル化工法を採用することがある。これにより、筋か いなどの構造部材の敷設を省くことができ、工期の短縮を図れると共に、また、 断熱パネルの一貫生産によりコスト低減を図れるといった利点がある。

【０００３】 このような工法では、断熱パネルの合板は、柱、梁などの構造部材にダイレク トに釘により取り付けてある。そのため、柱、梁などの構造部材は、経時的に劣 化し、曲がること、痩せること、縮むことなどの変形が生じ、断熱材と構造部材 との間に隙間が生じることがある。また、この断熱材を構造部材に密着して取付 けることが困難であり、断熱材と構造部材との間に隙間が生じてしまうことがあ る。このような結果、建物の気密性・断熱性が劣化することがあり、建物の気密 性・断熱性を高く維持しようとする近年の建物の思想に反することになっている 。

【０００４】

【考案の目的】

本考案は、このような事情に鑑みてなされたものであって、柱、梁などの構造 部材が、曲がること、痩せること、縮むことなどの変形が生じたとしても、建物 の気密性・断熱性を劣化することがない建物の気密・断熱構造を提供することに ある。

【０００５】

【考案の概要】

この目的を達成するため、本考案に係る建物の気密・断熱構造は、 少なくとも板状部材と、この板状部材に取付けられた断熱材とからなる複数の 断熱パネルを備え、前記断熱材が、屋内側で柱、梁などの建物の構造部材間に位 置するように、前記断熱パネルの板状部材を、前記構造部材の屋外側に固定して ある建物の気密・断熱化を図った建物の気密・断熱構造において、前記断熱材の 少なくとも１つの側面と、前記構造部材とで空隙を形成するように、前記断熱材 の少なくとも１つの側面が切り落としてあり、前記断熱材の側面と、前記構造部 材とで形成される前記空隙に、気密性・弾性部材が介装してあることを特徴とし ている。

【０００６】 このように構成した本考案によれば、断熱材の側面を切り落とすことにより、 断熱材と、柱、梁などの建物の構造部材との間に空隙が形成されてなり、この空 隙に気密性・弾性部材が介装してある。そのため、たとえ、柱、梁などの構造部 材が、曲がること、痩せること、縮むことなどの変形が生じ、断熱材と構造部材 との間に隙間が生じたとしても、気密性・弾性部材がその弾力性・復元性により この隙間を埋めるため、建物の気密性・断熱性が劣化することがなく、建物の気 密性・断熱性を高く維持しようとする近年の建物の思想を充分に満足し得るもの となる。また、このように気密性・弾性部材を介装してあるため、断熱パネルを ラフに取付けたとしても、気密性・断熱性を維持することができる。

【０００７】

【考案の具体的説明】

以下、本考案の一実施例を図面を参照しつつ説明する。 図１は、本考案の一実施例に係る建物の気密・断熱構造を適用した戸建住宅の 斜視図である。図２は、本考案の一実施例に係る気密・断熱構造を適用した外壁 の断面図である。図３は、本考案の図２の拡大断面図である。図４は、本考案の 一実施例に用いる断熱パネルの断面図である。

【０００８】 先ず、本実施例に用いる断熱パネル１について説明する。 図１，２，４に示すように、断熱パネル１は、柱間での構造部材をなす板状部 材２と、この板状部材２の内側の中央部に取付けられた間柱４と、板状部材２の 内側で間柱４の両側に取付けられた内側断熱材５とからなっている。また所望に 応じ、板状部材２の外側に外側断熱材３を取り付けてもよい。内側断熱材５の側 面の内の少なくとも一つは、その角が切り落とされており、柱、梁などの構造部 材に取り付けられると、断熱材側面と、構造部材との間に略楔状の空隙２１を形 成する。そして、この空隙２１には、気密性・弾性部材２０が介装されている。

【０００９】 板状部材２は、後述するように、柱（通柱１０、管柱１１）間での水平力を受 ける構造部材としての働きをする。これにより、筋かいなどを不要にすることが できる。この板状部材２は、例えば、合板である。

【００１０】 内側断熱材５は、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタンなどの合成発泡樹脂の 断熱材であり、その発泡倍率は、任意であるが、例えば、２０〜６０倍である。 但し、グラスウールなどの繊維系の断熱材であってもよい。この内側断熱材５は 、接着剤により板状部材２の屋内側に取付けてある。

【００１１】 間柱４は、垂直力を受ける構造部材としての働きをするものである。この間柱 ４は、釘などにより板状部材３の屋内側に予め固定してある。 外側断熱材３は、上記内側断熱材５と同じ材質から構成してある。このように 、板状部材２の両側に断熱材３，５が設けてあるため、高温多湿の室内側の湿気 が板状部材２まで至ったとしても、この板状部材２は外側断熱材３により冷却さ れておらず室内と略同等の温度になっているため、この湿気が板状部材２に触れ て結露することがなく、板状部材２の腐蝕を有効に防止できる。

【００１２】 このように構成してある断熱パネル１は、図１，２に示すように敷設する。す なわち、図１に示すように、基礎８の上に土台９が設けてあり、この土台９の上 に、通し柱１０、管柱１１が設けてある。これらの柱１０，１１に、胴差１２、 桁１３が掛け渡してある。断熱パネル１の間柱４を、土台９、胴差１２、桁１３ の間に嵌め込むと共に、断熱パネル１の板状部材２の周端部を、これら土台９、 柱１０，１１、胴差１２、桁１３に釘２１（図３参照）などにより固定する。こ れにより、断熱パネル１の敷設が完了する。さらに、図２に示すように、断熱パ ネル１の板状部材２の端部の外側、および外側断熱材３の外側に、縦胴縁１４を 設け、これの外側に外装材１５を敷設する。一方、柱１０，１１および間柱４の 内側には、気密防湿シート１６および内装材１７を敷設する。

【００１３】 さて、本実施例で用いる断熱パネル１は、図４に示すように、内側断熱材５の 側面の少なくとも一つ、好適には四周の全側面が、その角が斜めになるように切 り落とされている。この断熱パネル１が、柱１０，１１、胴差１２、桁１３など の建物の構造部材に取り付けられると、その取付箇所で、内側断熱材５と構造部 材との間に、屋内側に広く開いている断面略楔状の空隙２１を形成し、そしてこ の空隙２１には、気密性・弾性部材２０が介装されている（図２、３参照）。こ の気密性・弾性部材２１は、内側断熱材の少なくとも一つの側面、好適には、内 側断熱材５の四方全周に介装してある。気密性・弾性部材２１は、後述するよう に、構造部材が変形した場合にも建物内の気密性・断熱性を維持する働きをする 。なお、図２，３には、柱１１に断熱パネル１を取り付ける例しか示していない が、胴差１２、桁１３などについても同様にして取付けられる。

【００１４】 この気密性・弾性部材２０を介装させる態様としては、不定形（流動性）の シーリング材を空隙２１に充填し、このシーリング材を硬化して、気密性・弾性 部材２０を形成する態様、予め、断面略楔状のゴム状弾性体を成形しておき、 これを空隙２１に嵌合せしめ、気密性・弾性部材２０とする態様などがある。こ れらに限定されないのは勿論である。

【００１５】 この気密性・弾性部材２０は、弾力性のあるものが好ましく、弾力性のあるパ ッキング、ガスケット、その他シーリング材があげられる。 パッキング、ガスケットは弾力性があれば特に限定されるものではないが、シ ーリンク材は、弾力性の他に間柱に対しても接着性を有するものが更に好ましい 。

【００１６】 弾力性、接着性のあるシーリング材としては、一般的に建築物の目地止め等に 用いられているシーリング材の他、シーリングテープがあげられる。 シーリング材としては、特に限定はされないが、ウレタン系、シリコン系、変 性シリコン系、ポリサルファイド系のものが例示できる。またシーリングテープ としては、特に限定はされないが、独立気泡よりなる軟質塩化ビニル発泡体を基 材とし、片面に粘着材と剥離紙がついた「バンシール」（鐘淵化学工業株式会社 製）があげられる。

【００１７】 このように弾力性を持った気密性部材を介在させれば、間柱などが痩せた場合 であっても、弾力性によりこれらの痩せに追従することが可能である。 図３に拡大してよく示すように、このように構成した気密性・弾性部材２０を 、内側断熱材５と、柱１１との間の空隙２１に介装しているため、柱１１が、曲 がること、痩せること、縮むことなどの変形が生じ、または板状部材２が変形し 、その結果、板状部材２と柱１１との間に隙間が生じたり、あるいは柱１１と内 側断熱材との間に隙間が生じたとしても、気密性・弾性部材２０がその弾力性・ 復元性によりこの隙間を埋めるため、建物の気密性・断熱性が劣化することがな く、建物の気密性・断熱性を高く維持しようとする近年の建物の思想を充分に満 足し得るものとなる。また、このように気密性・弾性部材２０を介装してあるた め、断熱パネル１の板状部材２をラフに取付けたとしても、気密性・断熱性を維 持することができる。なお、特に図示しないが、柱以外の構造部材、たとえば土 台９、胴差１２、桁、梁などの構造部材と、内側断熱材５との間にも、このよう な気密性・弾性部材２０を介装することにより、気密性・断熱性を維持できるの は勿論である。

【００１８】 なお、本考案は、上述した実施例に限定されないのは勿論であり、種々変形可 能である。例えば、本考案に用いられる断熱パネル１は、図４に示すものに限定 されず、図５および６に示すように、内側断熱材５の側面の角を面取りするよう に切り落としてなり、板状部材２から延びた垂直面と、それに続く傾斜面とを有 するものであってもよい。また図８に示すように、間柱４以外にもう一つの間柱 ４ａが設けられたものでもよく、図９，１０に示すように、１／４間のものであ ったもよく、さらに、図１１〜１４に示すように、外側断熱材が設けてないもの であってもよい。

【００１９】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案では、断熱材の少なくとも１つの側面と、構造部材 とで空隙を形成するように、断熱材の少なくとも１つの側面が切り落としてあり 、断熱材の側面と、構造部材とで形成される空隙に、気密性・弾性部材が介装し てある。そのため、たとえ、柱、梁などの構造部材が、曲がること、痩せること 、縮むことなどの変形が生じ、断熱材と構造部材との間に隙間が生じたとしても 、気密性・弾性部材がその弾力性・復元性によりこの隙間を埋めるため、建物の 気密性・断熱性が劣化することがなく、建物の気密性・断熱性を高く維持しよう とする近年の建物の思想を充分に満足し得るものとなる。また、このように気密 性・弾性部材を介装してあるため、断熱パネルをラフに取付けたとしても、気密 性・断熱性を維持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る建物の気密・断熱構造
を適用した戸建住宅の斜視図である。

【図２】本考案の一実施例に係る気密・断熱構造を適用
した外壁の断面図である。

【図３】本考案の図２の部分拡大断面図である。

【図４】本考案の一実施例に用いる断熱パネルの斜視図
である。

【図５】本考案の他の実施例に用いる断熱パネルの斜視
図である。

【図６】図５に記載の断熱パネルを用いた場合の部分拡
大断面図である。

【図７】本考案の一実施例の用いる断熱パネルの断面図
である。

【図８】本考案の一実施例の用いる断熱パネルの第１変
形例の断面図である。

【図９】本考案の一実施例の用いる断熱パネルの第２変
形例の断面図である。

【図１０】本考案の一実施例の用いる断熱パネルの第３
変形例の断面図である。

【図１１】本考案の一実施例の用いる断熱パネルの第４
変形例の断面図である。

【図１２】本考案の一実施例の用いる断熱パネルの第５
変形例の断面図である。

【図１３】本考案の一実施例の用いる断熱パネルの第６
変形例の断面図である。

【図１４】本考案の一実施例の用いる断熱パネルの第７
変形例の断面図である。

【符号の説明】

１ 断熱パネル ２ 板状部材 ５ 内側断熱材（断熱材） １０ 通し柱（構造部材） １１ 管柱（構造部材） １２ 胴差（構造部材） １３ 桁（構造部材） ２０ 気密性・弾性部材 ２１ 空隙

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも板状部材と、この板状部材に
   取付けられた断熱材とからなる複数の断熱パネルを備
   え、 前記断熱材が、屋内側で柱、梁などの建物の構造部材間
   に位置するように、前記断熱パネルの板状部材を、前記
   構造部材の屋外側に固定してある建物の気密・断熱化を
   図った建物の気密・断熱構造において、 前記断熱材の少なくとも１つの側面と、前記構造部材と
   で空隙を形成するように、前記断熱材の少なくとも１つ
   の側面が切り落としてあり、 前記断熱材の側面と、前記構造部材とで形成される前記
   空隙に、気密性・弾性部材が介装してあることを特徴と
   する建物の気密・断熱構造。