JPH066369B2 - 合成樹脂製シ−ルシ−ト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は，合成樹脂製容器の開口部に，この開口部を密
閉すべく接着される合成樹脂製シールシートに関するも
ので，さらに詳言すれば，合成樹脂製容器の開口部に加
熱シール接着手段により良好に接着することができる合
成樹脂製シールシートに関するものである。

〔従来の技術〕

合成樹脂製容器の開口部を密閉すべく，この開口部に接
着されるシールシートとしては，ガスバリヤー性の高い
アルミ箔と合成樹脂材料製のフィルムとを積層したアル
ミシートと，容器内に収納されている内容物を直接視覚
することができるように透明な合成樹脂材料だけで積層
成形された合成樹脂製シートとがある。

この２つのシールシートの内，合成樹脂製シートの容器
開口部への接着手段は，超音波接着と，加熱された加圧
治具を使用して行なう熱シール接着とがある。

超音波接着手段は，超音波による容器開口部とシートと
の接触部分における発熱を利用して接着を達成するもの
であるが，接着されたシートによる容器開口部の密閉が
確実なものであるようにするために，一般には容器開口
部のシートとの接触面部分に超音波接着用の専用のリブ
を，容器開口部を囲む形態で一体に附設しなければなら
ず，これがため容器の構造が複雑となる問題があった。

この超音波接着手段に対し，熱シール接着手段は，容器
開口部周辺に接着のための専用の構造物を附設しなけれ
ばならないと云う問題がなく，それだけ容器に対する構
造的な制約がなく，実施が極めて簡単であると云う利点
がある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら，従来の合成樹脂製シールシートは，耐熱
性が高くないので，高温に加熱された加圧治具によりシ
ートを容器開口部に押圧して加熱接着すると，この加熱
接着操作時にシート全体に作用する加圧治具からの熱に
よって，シート全体が変形してしまい，商品としての容
器の外観を大幅に劣化させることになっていた。

特に，この種の透明な合成樹脂製シールシートは，単に
容器を密閉するだけではなく，容器を密閉した状態で，
容器内に収納されている内容物を直接視覚として内容物
の認識ができるようにしたものであるので，接着された
合成樹脂製シールシートが商品としての容器の外観の重
要な一部を形成することになり，これがため，この合成
樹脂製シールシートの加熱による変形は，商品としての
容器の外観上，極めて重大な問題となっている。

本発明は，上記した従来例における問題点および不都合
を解消すべく創案されたもので，耐熱性に優れた合成樹
脂製シールシートの提供を目的としたものである。

〔問題点を解決するための手段〕

以下，本発明による合成樹脂製シールシートを，本発明
の実施例を示す図面を参照しながら説明する。

本発明による合成樹脂製シールシート１は，合成樹脂製
容器の開口部に，該開口部を密閉すべく加熱シール接着
される合成樹脂製シールシートであって，主体部分を構
成するポリオレフィン系樹脂によって成形された主体層
３の下面に接着層２を積層形成すると共に，前記主体層
３の上面にポリエチレンテレフタレート樹脂により成形
された接合層４を介して、ポリカーボネート樹脂により
成形された表面層５を積層した構造となっている。

主体層３は，シールシート１の主体となるべきもので，
シールシート１の引張り強さ，硬さおよび柔さ等の特性
を現出させて主体部分となっている。

接着層２は，シールシート１を合成樹脂容器の開口部に
直接加熱接着するためのもので，容器の成形用合成樹脂
材料に対応して，その成形材料が選択設定される。

接合層４は，主体層３と表面層５とを強固に接合するた
めの，耐溶剤性がないためにポリオレフィン系樹脂で成
形された主体層３への接着が困難であるポリカーボネー
ト樹脂製の表面層５を強固に主体層３に接合し，もって
シールシート１の積層構造を強固なものとしている。

表面層５は，耐熱性に優れたポリカーボネート樹脂によ
って成形されているので，加熱された加圧治具が直接接
触して加熱されても，全く変形を生じることがなく，加
熱前の平坦なシート形状を保持したままとなる。

なお，各層は透明に成形されている。

〔作用〕

本発明によるシールシート１は，上記の如き構成となっ
ているので，接着層２を容器の開口部上端面周面に当接
させた状態で所望温度に加熱された加圧治具により、シ
ールシート１を容器開口部上端面に押圧すると，この押
圧された加圧治具の熱によってシールシート１，すなわ
ち接着層２が加熱溶融され，この加熱溶融された接着層
２によってシールシート１は容器開口部に密に加熱シー
ル接着され，この開口部を密閉する。

この加圧治具の押付けによるシートシール１の容器開口
部へのシール接着の際に，加圧治具によって加熱される
のは接着層２だけではなく，加圧治具が直接接触する表
面層５と当然のこととして，主体層３も加熱されること
になる。

このように，加圧治具によるシート接着操作時におい
て，シールシート１の全体が加熱されるのであるが，最
も高温に加熱されるのは加圧治具が直接接触する表面層
５であることは云うまでもない。

表面層５は，加圧治具によって最も高温に加熱されるの
であるが，耐熱性に優れたポリカーボネート樹脂で成形
されているので，この加熱によって熱変形を生じること
が全くなく，よって加熱シール接着操作による不正な変
形は全く生じない。

それゆえ，本発明によるシールシート１は，その外観を
熱変形させることなく，良好な外観を保ったままで容器
の開口部に加熱シール接着されることになる。

所で，加熱された加圧治具の直接接触する表面層５が最
も高温に加熱されることは言うまでもないが，この表面
層５よりも低い温度ではあるが，主体層３も加熱される
ことになるので，この加熱によって主体層３には変形し
ようとする力が生じることになる。

それゆえ，熱変形を全く生じない表面層５の剛性が充分
でないと，この主体層３に生じた熱変形力によって表面
層５も不正変形すると云う不都合が生じるので，表面層
５は，この主体層３に生じた熱変形力を押え込んでしま
うことのできる程度の剛性を持つことが要求され，熱変
形に対する骨材としての機能が求められる。

この熱変形に対する骨材としての機能を発揮することが
できるように，この表面層５の層厚は比較的大きな値に
設定されるのが望ましい。

〔実施例〕

第１図に示した本発明によるシールシート１の積層構造
は，本発明の最も基本的な構成を示すもので，この第１
図図示実施例の場合，接着層２は，シールシート１の接
着される容器がポリエチレン樹脂製である場合には，エ
チレンビニールアセテート樹脂剤または酢ビ系ホットメ
ルト剤により成形され，容器がAS樹脂製である場合に
は，ラッカーコートにより成形されるのが良く，その層
厚は25μ程度である。

主体層３は，ポリエチレン樹脂によって成形されてお
り，その層厚は30〜50μである。

接合層４は，ポリエチレンテレフタレート樹脂によって
成形されており，その層厚は９〜20μである。

そして，表面層５は，ポリカーボネート樹脂によって成
形されていて，その層厚は50〜150μで，主体層３の層
厚よりもやや大きい値に設定されている。

本発明によるシールシート１の各層の厚さの実用に適し
た値は，ほぼ上記した値となっているが，シールシート
１の全体的な硬さを調節したい場合には，各層の層厚，
特に主体層３と表面層５の層厚を変更することによって
達成する。

ただし，この層厚の変更設定に際して，表面層５の層厚
は主体層３の層厚よりも大きいと云う関係は保持しなけ
ればならない。

また，主体層３は，ポリエチレン樹脂の他に，ポリオレ
フィン系樹脂である延伸ポリプロピレン樹脂とか，ポリ
プロピレン樹脂等を使用することができる。

第２図は，本発明によるシールシート１の好適な使用例
を示すもので，合成樹脂製チューブ容器９の口筒部10の
上端面に，本発明によるシールシート１を一定形状に裁
断して成形された密閉シート６を加熱シール接着したも
のを示している。

この第２図において，密閉シート６は，口筒部10の平面
形状外殻線よりもわずかに大きい寸法で円形に成形され
たシート本体７と，このシート本体７の適当な周端箇所
から外方に延出して一体成形された摘み片８とから構成
されている。

この密閉シート６は，そのシート本体７を口筒部10の上
端面全域を覆う形態で口筒部10上端面上に位置され，こ
の状態のまま所望温度に加熱された加圧治具によってそ
の上面全域を短時間の間押圧され，この加圧治具の加熱
と加圧とによってシート本体７の口筒部10の上端面全域
への密な接着が達成される。

口筒部10を密閉シールすべく加熱シール接着された密閉
シート６は，その全体が透明であるので，使用者は，こ
の密閉シート６を剥がすことなく，密閉シート６を通し
てチューブ容器９内の内容物を直接観察でき，これによ
って自分が求めている商品か否かを確認することができ
る。

また，密閉シート６の有無，もしくは密閉シート６の口
筒部10に対する接着状態から，商品としてのチューブ容
器９の不正開放を明確にかつ簡単に判断することができ
るので，チューブ容器９のバージン性を高めかつ確保す
ることができる。

チューブ容器９の開放使用に際しては，摘み片８を指先
で摘んで，強く上方に引き上げることによって，容易に
密閉シート６をチューブ容器９から剥離することがで
き，これによってチューブ容器９の開放を達成すること
ができる。

なお，上記した説明においては，本発明によるシールシ
ート１の容器への接着を加熱シール接着手段を利用した
場合だけを説明したが，本発明によるシールシート１を
超音波接着手段を利用して容器に接着しても良いことは
云うまでもない。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかな如く，本発明によるシールシー
トは，容器への接着のために加熱されても熱変形するこ
とが全くないので，容器に接着された後における外観が
良く，また比較的剛性があるので接着後における剥がし
安定性が良く，さらに安定したシール強度を得ることが
できると共に耐内容物性にも優れている等多くの優れた
効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は，本発明による合成樹脂製シールシートの基本
的な積層構造を示す拡大断面図である。 第２図は，本発明による合成樹脂製シールシートをチュ
ーブ容器の密閉シートとして使用した場合の要部斜視図
である。 符号の説明 １；シールシート，２；接着層，３；主体層，４；接合
層，５；表面層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】合成樹脂製容器の開口部に，該開口部を密
   閉すべく加熱シール溶着される合成樹脂製シールシート
   であって，主体部分を構成するポリオレフィン系樹脂に
   よって成形された主体層(3)の下面に接着層(2)を積層す
   ると共に，前記主体層(3)の上面にポリエチレンテレフ
   タレート樹脂により成形された接合層(4)を介してポリ
   カーボネート樹脂により成形された表面層(5)を積層し
   て構成された合成樹脂製シールシート。