JPH0663607A - Ｆｅ−Ｎｉ系合金板の製造方法 - Google Patents
Ｆｅ−Ｎｉ系合金板の製造方法Info
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- JPH0663607A JPH0663607A JP23516492A JP23516492A JPH0663607A JP H0663607 A JPH0663607 A JP H0663607A JP 23516492 A JP23516492 A JP 23516492A JP 23516492 A JP23516492 A JP 23516492A JP H0663607 A JPH0663607 A JP H0663607A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 Fe−Ni系合金塊やスラブ等の熱間圧延時の加
熱による内部酸化層の成長を抑制することにより、手入
れ工程の省略と手入歩留りの向上した電子・電磁用Fe−
Ni系合金を製造する。 【構成】 Fe−Ni系合金塊やスラブ等の熱間圧延用素材
の表面に、Ｃ≦0.２％，Si≦1.０％，Mn≦2.５％，Cr≦
1.０％，Al≦0.１％，Ｐ≦0.１％，Ｓ≦0.０５％の鋼を
0.５〜１０mm厚さに被覆し、1000〜1350℃に加熱して分
塊圧延＋熱間圧延又は熱間圧延する。
熱による内部酸化層の成長を抑制することにより、手入
れ工程の省略と手入歩留りの向上した電子・電磁用Fe−
Ni系合金を製造する。 【構成】 Fe−Ni系合金塊やスラブ等の熱間圧延用素材
の表面に、Ｃ≦0.２％，Si≦1.０％，Mn≦2.５％，Cr≦
1.０％，Al≦0.１％，Ｐ≦0.１％，Ｓ≦0.０５％の鋼を
0.５〜１０mm厚さに被覆し、1000〜1350℃に加熱して分
塊圧延＋熱間圧延又は熱間圧延する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明はFe−Ni系合金板の製造
方法に係り、Fe−Ni系の合金塊の分塊圧延、あるいはス
ラブの熱間圧延時の加熱による内部酸化層の成長を抑制
し、手入れ工程を省略し、手入れ歩留りを向上し得るFe
−Ni系合金板の製造方法を提供しようとするものであ
る。
方法に係り、Fe−Ni系の合金塊の分塊圧延、あるいはス
ラブの熱間圧延時の加熱による内部酸化層の成長を抑制
し、手入れ工程を省略し、手入れ歩留りを向上し得るFe
−Ni系合金板の製造方法を提供しようとするものであ
る。
【０００２】
【従来の技術】Fe−（２８％〜８２％）Ni合金、Fe−
（３％〜２０％）Co−（２５％〜３５％）Ni合金はシャ
ドウマスク用材料、ＩＣリードフレーム用材料、あるい
は磁性材料として用いられている。このようなFe−Ni系
合金板を製造する方法としては、連続鋳造または造塊法
による合金塊に分塊圧延、熱間圧延および冷間圧延等の
加工を施して薄板とし、その薄板をスリット加工するこ
とが通常行なわれている。
（３％〜２０％）Co−（２５％〜３５％）Ni合金はシャ
ドウマスク用材料、ＩＣリードフレーム用材料、あるい
は磁性材料として用いられている。このようなFe−Ni系
合金板を製造する方法としては、連続鋳造または造塊法
による合金塊に分塊圧延、熱間圧延および冷間圧延等の
加工を施して薄板とし、その薄板をスリット加工するこ
とが通常行なわれている。
【０００３】しかし、これらのFe−Ni系合金の合金塊分
塊圧延、あるいはスラブの熱間圧延時の高温加熱をする
際に表面スケールの下部における合金内に内部酸化層が
形成され、このような内部酸化層は、分塊圧延あるいは
熱間圧延後も材料の表層近傍に残留するため、上記した
製品における所要特性確保のためには、この内部酸化層
を、完全に除去する必要がある。このため分塊圧延後、
あるいは熱間圧延後に疵取り手入れを十分に行なう必要
があるが強度の高いこの種合金の疵取りには多大な工程
を要し、更には製品歩留の著しい低下を招いていた。
塊圧延、あるいはスラブの熱間圧延時の高温加熱をする
際に表面スケールの下部における合金内に内部酸化層が
形成され、このような内部酸化層は、分塊圧延あるいは
熱間圧延後も材料の表層近傍に残留するため、上記した
製品における所要特性確保のためには、この内部酸化層
を、完全に除去する必要がある。このため分塊圧延後、
あるいは熱間圧延後に疵取り手入れを十分に行なう必要
があるが強度の高いこの種合金の疵取りには多大な工程
を要し、更には製品歩留の著しい低下を招いていた。
【０００４】なお、上記したような事情から前記したFe
−Ni合金あるいはFe−Ni−Co合金の鋳塊、スラブを熱間
圧延する場合には、優れた耐酸化性を有するCrを８％〜
２０％含有するFe合金を被圧延材の表面に溶射し被覆層
を形成することにより圧延材の表面酸化防止とともに材
料の内部酸化の発生を防止するという特公平１−４６２
０２の如き先行技術が提案されている。
−Ni合金あるいはFe−Ni−Co合金の鋳塊、スラブを熱間
圧延する場合には、優れた耐酸化性を有するCrを８％〜
２０％含有するFe合金を被圧延材の表面に溶射し被覆層
を形成することにより圧延材の表面酸化防止とともに材
料の内部酸化の発生を防止するという特公平１−４６２
０２の如き先行技術が提案されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来技術によ
るものは、Fe−Ni合金あるいはFe−Ni−Co合金の鋳塊ま
たはスラブを熱間圧延する場合、Crを８％〜２０％含有
するFe合金を表面に溶射して被覆層を形成し、熱間圧延
後に溶削手入れして酸化溶射被覆層を除去しているが、
この技術で特徴としているようなCr含有Fe合金を被圧延
材の表面に溶射して被覆する場合、Crが被圧延材表層に
拡散し、更には熱間圧延前の加熱によりCrの被圧延材内
部への拡散が進行することを考慮すべきである。圧延後
の疵取りを目的とした溶削手入れはCrを含有する場合に
困難を伴うことがよく知られており、それが不十分な場
合、合金表層のCr濃度は高くなり、その結果においては
Crが材料表面に残留し、素材の製造工程中に施される熱
処理時に強固で不均一な酸化膜が形成されＩＣリードフ
レーム用材料においてはメッキ性が劣化すること、一
方、シャドウマスク用インバー合金においても、前記し
た強固で不均一な酸化膜の存在により、黒化処理時の黒
化膜の形成が不均一になり、十分な黒色度を有する黒化
膜が得られない危険性がある。
るものは、Fe−Ni合金あるいはFe−Ni−Co合金の鋳塊ま
たはスラブを熱間圧延する場合、Crを８％〜２０％含有
するFe合金を表面に溶射して被覆層を形成し、熱間圧延
後に溶削手入れして酸化溶射被覆層を除去しているが、
この技術で特徴としているようなCr含有Fe合金を被圧延
材の表面に溶射して被覆する場合、Crが被圧延材表層に
拡散し、更には熱間圧延前の加熱によりCrの被圧延材内
部への拡散が進行することを考慮すべきである。圧延後
の疵取りを目的とした溶削手入れはCrを含有する場合に
困難を伴うことがよく知られており、それが不十分な場
合、合金表層のCr濃度は高くなり、その結果においては
Crが材料表面に残留し、素材の製造工程中に施される熱
処理時に強固で不均一な酸化膜が形成されＩＣリードフ
レーム用材料においてはメッキ性が劣化すること、一
方、シャドウマスク用インバー合金においても、前記し
た強固で不均一な酸化膜の存在により、黒化処理時の黒
化膜の形成が不均一になり、十分な黒色度を有する黒化
膜が得られない危険性がある。
【０００６】更にFe−Ni系パーマロイにおいても、表層
でCr濃度が高くなると所要の磁気特性が得られない可能
性が高い。
でCr濃度が高くなると所要の磁気特性が得られない可能
性が高い。
【０００７】前記したようなことから従来のFe−Ni系合
金においては、上記した製品の所要の性能を確保しつ
つ、製造時の歩留りを向上させ、かつ疵取り工程の省略
を可能とするような製造方法が強く望まれているが、か
かる合金板の製造方法は、未だ得られるに到っていな
い。
金においては、上記した製品の所要の性能を確保しつ
つ、製造時の歩留りを向上させ、かつ疵取り工程の省略
を可能とするような製造方法が強く望まれているが、か
かる合金板の製造方法は、未だ得られるに到っていな
い。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
従来技術における課題を解決することについて検討を重
ね、Fe−（２８％〜８２％）Ni合金、Fe−（３％〜２０
％）Co−（２５％〜３５％）Ni合金の合金塊、スラブの
表面に、特定成分範囲の鋼を肉盛り溶接法または、鋼板
を組立てて箱を造る方法、または板を溶接する方法によ
り所定厚さ被覆することにより、分塊圧延、あるいは熱
間圧延時の加熱による内部酸化層の成長を抑制し、手入
れ工程の省略、手入れ歩留りの向上を可能とし、かつ最
終製品での性能、すなわち、ＩＣリードフレーム用合金
でのメッキ性、シャドウマスク用合金での黒化処理性、
パーマロイでの磁気特性をそれぞれ劣化させることなく
Fe−Ni系合金の製造方法を提供することに成功したもの
であって、以下の如くである。
従来技術における課題を解決することについて検討を重
ね、Fe−（２８％〜８２％）Ni合金、Fe−（３％〜２０
％）Co−（２５％〜３５％）Ni合金の合金塊、スラブの
表面に、特定成分範囲の鋼を肉盛り溶接法または、鋼板
を組立てて箱を造る方法、または板を溶接する方法によ
り所定厚さ被覆することにより、分塊圧延、あるいは熱
間圧延時の加熱による内部酸化層の成長を抑制し、手入
れ工程の省略、手入れ歩留りの向上を可能とし、かつ最
終製品での性能、すなわち、ＩＣリードフレーム用合金
でのメッキ性、シャドウマスク用合金での黒化処理性、
パーマロイでの磁気特性をそれぞれ劣化させることなく
Fe−Ni系合金の製造方法を提供することに成功したもの
であって、以下の如くである。
【０００９】(1) Fe−Ni系合金塊やスラブ等の熱間圧
延用素材の表面に、wt％で、Ｃ： 0.２％以下， S
i： 1.０％以下， Mn： 2.５％以下，Cr： 1.０
％以下， Al： 0.１％以下， Ｐ： 0.１％以
下，Ｓ： 0.０５％以下とした鋼を0.５〜１０mmの厚さ
に被覆し、1000〜1350℃に加熱して分塊圧延および熱間
圧延または熱間圧延することを特徴とするFe−Ni系合金
板の製造方法。
延用素材の表面に、wt％で、Ｃ： 0.２％以下， S
i： 1.０％以下， Mn： 2.５％以下，Cr： 1.０
％以下， Al： 0.１％以下， Ｐ： 0.１％以
下，Ｓ： 0.０５％以下とした鋼を0.５〜１０mmの厚さ
に被覆し、1000〜1350℃に加熱して分塊圧延および熱間
圧延または熱間圧延することを特徴とするFe−Ni系合金
板の製造方法。
【００１０】
【作用】先ず、本発明において対象とするFe−Ni系合金
は、Fe−（２８％〜８２％）Ni合金、Fe−（３％〜２０
％）Co−（２５％〜３５％）Ni合金であり、ＩＣリード
フレーム、高面質ＴＶ用シャドウマスク、軟磁性材料と
して用いられるものである。
は、Fe−（２８％〜８２％）Ni合金、Fe−（３％〜２０
％）Co−（２５％〜３５％）Ni合金であり、ＩＣリード
フレーム、高面質ＴＶ用シャドウマスク、軟磁性材料と
して用いられるものである。
【００１１】また、この発明におけるFe−Ni合金は、Co
を含まない合金系において前記のようにNiが２８〜８２
％であって、Niが２８％未満または８２％を超えた場合
は所要の低熱膨脹性や磁気特性が得られないがまた内部
酸化も起さない。
を含まない合金系において前記のようにNiが２８〜８２
％であって、Niが２８％未満または８２％を超えた場合
は所要の低熱膨脹性や磁気特性が得られないがまた内部
酸化も起さない。
【００１２】これに対し、Fe−Co−Ni合金系の場合は、
Coが３％未満または２０％超で、かつNiが２５％未満ま
たは３５％超えとなると所要の低熱膨脹特性が得られな
い。従ってCo量は３〜２０％、Ni量は２５〜３５％とそ
れぞれ定めたが、この範囲でFe−Ni合金と同様に内部酸
化が問題となる。
Coが３％未満または２０％超で、かつNiが２５％未満ま
たは３５％超えとなると所要の低熱膨脹特性が得られな
い。従ってCo量は３〜２０％、Ni量は２５〜３５％とそ
れぞれ定めたが、この範囲でFe−Ni合金と同様に内部酸
化が問題となる。
【００１３】上記した合金の表面を被覆する金属は、wt
％（以下単に％という）で、Ｃ：0.２％以下，Si：1.０
％以下，Mn：2.５％以下，Ｐ：0.１％以下，Ｓ：0.０５
％以下，Al：0.１％以下，Cr：1.０％以下を含有し、残
部がFeおよび不可避不純物からなる鋼とすることが必要
である。Ｃ，Ｓ，Mn，Ｐ，Ｓ，AlおよびCrが上記した特
定値を超えると、後述する分塊圧延または熱間圧延前の
加熱中にFe−Ni合金またはFe−Co−Ni合金中への前記し
た元素の拡散による合金表層部の移動が著しくなり、熱
間圧延後における表面除去が不充分な場合に最終製品で
前記元素が表面近傍に合金化され、ＩＣリードフレーム
材料に求められるメッキ性やシャドウマスク用材料に求
められる黒化処理性、軟磁性材料に求められる磁気特性
などが劣化する。
％（以下単に％という）で、Ｃ：0.２％以下，Si：1.０
％以下，Mn：2.５％以下，Ｐ：0.１％以下，Ｓ：0.０５
％以下，Al：0.１％以下，Cr：1.０％以下を含有し、残
部がFeおよび不可避不純物からなる鋼とすることが必要
である。Ｃ，Ｓ，Mn，Ｐ，Ｓ，AlおよびCrが上記した特
定値を超えると、後述する分塊圧延または熱間圧延前の
加熱中にFe−Ni合金またはFe−Co−Ni合金中への前記し
た元素の拡散による合金表層部の移動が著しくなり、熱
間圧延後における表面除去が不充分な場合に最終製品で
前記元素が表面近傍に合金化され、ＩＣリードフレーム
材料に求められるメッキ性やシャドウマスク用材料に求
められる黒化処理性、軟磁性材料に求められる磁気特性
などが劣化する。
【００１４】特にCrは、上記した特性への悪影響の度合
いが大きいため、1.０％以下の範囲でもより低くするこ
とが好ましい。
いが大きいため、1.０％以下の範囲でもより低くするこ
とが好ましい。
【００１５】分塊圧延または熱間圧延時の加熱温度は10
00℃以上1350℃以下であることが必要である。すなわ
ち、加熱温度が1000℃未満では合金の変形抵抗が高く、
圧延荷重が高くなり、ミル負荷上問題がある。一方1350
℃超えでは合金の熱間加工性が著しく劣化するので不適
である。これらのことより、熱間圧延時の加熱温度は、
1000℃〜1350℃と定め、また加熱時間は１時間〜１０時
間である。
00℃以上1350℃以下であることが必要である。すなわ
ち、加熱温度が1000℃未満では合金の変形抵抗が高く、
圧延荷重が高くなり、ミル負荷上問題がある。一方1350
℃超えでは合金の熱間加工性が著しく劣化するので不適
である。これらのことより、熱間圧延時の加熱温度は、
1000℃〜1350℃と定め、また加熱時間は１時間〜１０時
間である。
【００１６】上記したような鋼を被覆することにより図
１に示すように合金内での内部酸化層の生成は防止さ
れ、斯かる被覆層の必要厚さは加熱温度、時間により変
化するが加熱炉を出た時点ではその被覆層の酸化が進行
しスケールとして除去できる程度か、それ以上の厚さで
あることが望ましく、少なくとも0.５mm以上の層厚が必
要である。
１に示すように合金内での内部酸化層の生成は防止さ
れ、斯かる被覆層の必要厚さは加熱温度、時間により変
化するが加熱炉を出た時点ではその被覆層の酸化が進行
しスケールとして除去できる程度か、それ以上の厚さで
あることが望ましく、少なくとも0.５mm以上の層厚が必
要である。
【００１７】即ち、前記したような被覆の厚さが0.５mm
未満では加熱中で被覆層がすべて酸化しスケールとな
り、内部酸化防止効果がない。また、被覆厚さが１０mm
超では十分な内部酸化防止効果は発揮されるが、熱間圧
延後の層厚が大きくなり、この部分のを除去するための
疵取り工程に多大な時間がかかり不適である。従って、
この被覆厚さは0.５〜１０mmと定めた。
未満では加熱中で被覆層がすべて酸化しスケールとな
り、内部酸化防止効果がない。また、被覆厚さが１０mm
超では十分な内部酸化防止効果は発揮されるが、熱間圧
延後の層厚が大きくなり、この部分のを除去するための
疵取り工程に多大な時間がかかり不適である。従って、
この被覆厚さは0.５〜１０mmと定めた。
【００１８】前記した被覆層の形成方法としては、合金
塊またはスラブの表面に肉盛り溶接にて行なう方法、ま
たは鋼板を合金表面に配置し、溶接組立てにより箱を形
成し、その内部を１０-1Torr以下の真空度に真空引きを
行う方法、合金表面に板を直接に溶接する方法などがあ
る。
塊またはスラブの表面に肉盛り溶接にて行なう方法、ま
たは鋼板を合金表面に配置し、溶接組立てにより箱を形
成し、その内部を１０-1Torr以下の真空度に真空引きを
行う方法、合金表面に板を直接に溶接する方法などがあ
る。
【００１９】前述したような被覆層は分塊圧延または熱
間圧延時の加熱炉からの抽出時でスケールとして完全に
除去されてもよいが、未酸化で合金表面に残存している
場合は上記圧延後において軽度の手入れを行うだけで、
新たに被覆層を形成することなくそれ以降の熱間圧延ま
たは冷間圧延を引き続いて行なうことができるため、よ
り好ましい。この場合、分塊圧延後または熱間圧延後ま
たは冷間圧延後に脱スケールや疵取りを実施することは
合金表面の清浄性を向上する上でも望ましいことであ
る。
間圧延時の加熱炉からの抽出時でスケールとして完全に
除去されてもよいが、未酸化で合金表面に残存している
場合は上記圧延後において軽度の手入れを行うだけで、
新たに被覆層を形成することなくそれ以降の熱間圧延ま
たは冷間圧延を引き続いて行なうことができるため、よ
り好ましい。この場合、分塊圧延後または熱間圧延後ま
たは冷間圧延後に脱スケールや疵取りを実施することは
合金表面の清浄性を向上する上でも望ましいことであ
る。
【００２０】もちろん、本発明の方法によるものでは合
金板が最終板厚（製品板厚）となった段階で表面に被覆
されていた鋼は完全に除去されていることが必要であ
る。
金板が最終板厚（製品板厚）となった段階で表面に被覆
されていた鋼は完全に除去されていることが必要であ
る。
【００２１】上記したように本発明においてはその被覆
厚さを0.５〜１０mmの範囲内で適正な厚さとすることに
より、例えば合金塊に先ず被覆を行い、それ以降の分塊
圧延、熱間圧延まで合金内における内部酸化層の生成を
防止することができるので疵取り工程を挾まずに実施す
ることもでき、この場合には疵取り工程の省略が可能と
なる。
厚さを0.５〜１０mmの範囲内で適正な厚さとすることに
より、例えば合金塊に先ず被覆を行い、それ以降の分塊
圧延、熱間圧延まで合金内における内部酸化層の生成を
防止することができるので疵取り工程を挾まずに実施す
ることもでき、この場合には疵取り工程の省略が可能と
なる。
【００２２】
【実施例】本発明によるものの具体的な実施例について
比較例と対比しながら詳細を説明すると、先ず本発明者
等は次の表１に示す化学成分組成のシャドウマスク用イ
ンバー合金、ＩＣリードフレーム用Fe−Co−Ni合金およ
び軟磁性パーマロイを溶製し、合金塊を得た。
比較例と対比しながら詳細を説明すると、先ず本発明者
等は次の表１に示す化学成分組成のシャドウマスク用イ
ンバー合金、ＩＣリードフレーム用Fe−Co−Ni合金およ
び軟磁性パーマロイを溶製し、合金塊を得た。
【００２３】
【表１】
【００２４】前記したような合金塊は分塊圧延、熱間圧
延して熱延コイルを得る工程において次の表２に示す化
学成分の鋼を被覆材として用い、また次の表３，表４に
示す条件にて合金塊への被覆後、分塊圧延を行ない、得
られたスラブを疵取りして、歩留り（合金塊〜分塊手入
れ歩留り）を調べた。
延して熱延コイルを得る工程において次の表２に示す化
学成分の鋼を被覆材として用い、また次の表３，表４に
示す条件にて合金塊への被覆後、分塊圧延を行ない、得
られたスラブを疵取りして、歩留り（合金塊〜分塊手入
れ歩留り）を調べた。
【００２５】
【表２】
【００２６】
【表３】
【００２７】
【表４】
【００２８】上記以降は前記表３に示す条件によって前
記した被覆材を被覆し、熱間圧延を行い、得られた熱延
コイルを疵取りして歩留り（分塊〜熱間圧延手入れの歩
留り）を調べ、これらの歩留りを合計して合金塊から熱
間圧延までの歩留りとした。分塊圧延の加熱温度は1250
℃、圧延温度は 950〜1250℃、熱間圧延の加熱温度は11
00℃、圧延温度は 850〜1100℃である。
記した被覆材を被覆し、熱間圧延を行い、得られた熱延
コイルを疵取りして歩留り（分塊〜熱間圧延手入れの歩
留り）を調べ、これらの歩留りを合計して合金塊から熱
間圧延までの歩留りとした。分塊圧延の加熱温度は1250
℃、圧延温度は 950〜1250℃、熱間圧延の加熱温度は11
00℃、圧延温度は 850〜1100℃である。
【００２９】前記のようにして得られた冷延素材（サン
プル No.１〜 No.１４）を以降、冷間圧延−焼鈍−冷間
圧延−焼鈍−冷間圧延−歪取り焼鈍の工程により合金薄
板とした。なおサンプル No.４〜７金属塊の上下圧延面
に所定の板を１０-1torr以下の雰囲気下で溶接したもの
である。この場合合金板の端部は内部酸化されるが、製
品段階ではスリット加工等により除去される。
プル No.１〜 No.１４）を以降、冷間圧延−焼鈍−冷間
圧延−焼鈍−冷間圧延−歪取り焼鈍の工程により合金薄
板とした。なおサンプル No.４〜７金属塊の上下圧延面
に所定の板を１０-1torr以下の雰囲気下で溶接したもの
である。この場合合金板の端部は内部酸化されるが、製
品段階ではスリット加工等により除去される。
【００３０】合金Ａについては黒化処理を行ない、黒化
膜の色調を観察することにより黒化処理性を評価した。
また合金Ｂについては、得られた薄板を脱脂→酸洗の前
処理後、厚さ３μm のAgメッキを施した後、４５０℃×
５min 大気中で加熱し、メッキ層の変色の程度を調べる
ことにより行なった。さらに合金Ｃについては、得られ
た薄板サンプルより外径４５mm、内径３３mmのリング試
験片を採取し、Ｈ2 雰囲気中で1100℃×３時間焼鈍し、
焼鈍後の直流磁気特性を JISC2531 に基づき実施し、表
３に示した基準に基づき、磁気特性の良否を評価した。
膜の色調を観察することにより黒化処理性を評価した。
また合金Ｂについては、得られた薄板を脱脂→酸洗の前
処理後、厚さ３μm のAgメッキを施した後、４５０℃×
５min 大気中で加熱し、メッキ層の変色の程度を調べる
ことにより行なった。さらに合金Ｃについては、得られ
た薄板サンプルより外径４５mm、内径３３mmのリング試
験片を採取し、Ｈ2 雰囲気中で1100℃×３時間焼鈍し、
焼鈍後の直流磁気特性を JISC2531 に基づき実施し、表
３に示した基準に基づき、磁気特性の良否を評価した。
【００３１】以上のようにして行った製品特性の調査結
果は表３に併せて示したが、表３から明らかなように、
サンプル No.１〜７，９，１１，１２，１６，１９，２
０，２１の各材は本発明で特徴とする成分を有する材料
を用い、被覆材の鋼の成分、および被覆厚さ、分塊圧延
および熱間圧延の加熱温度および被覆方法は本発明規定
のものであり、何れのサンプルも所要の製品特性（シャ
ドウマスク用Fe−Ni合金では黒化処理性、ＩＣリードフ
レーム用Fe−Ni−Co合金ではAgメッキ性、軟磁性パーマ
ロイにおいては、磁気特性）を満足しており、かつ被覆
材なしの通常法により作製されたサンプル No.１５，１
８，２３に比べて合金塊〜熱間圧延の歩留りは高く、製
造性に優れていることが明かである。なお、No. ８は板
厚が下限以下であり歩留りが劣っており、No. １０は板
厚が上限以上であるが歩留りは１０mm (No. ７）と差は
なく、残留する軟鋼を除去するために余分な時間を必要
とした。
果は表３に併せて示したが、表３から明らかなように、
サンプル No.１〜７，９，１１，１２，１６，１９，２
０，２１の各材は本発明で特徴とする成分を有する材料
を用い、被覆材の鋼の成分、および被覆厚さ、分塊圧延
および熱間圧延の加熱温度および被覆方法は本発明規定
のものであり、何れのサンプルも所要の製品特性（シャ
ドウマスク用Fe−Ni合金では黒化処理性、ＩＣリードフ
レーム用Fe−Ni−Co合金ではAgメッキ性、軟磁性パーマ
ロイにおいては、磁気特性）を満足しており、かつ被覆
材なしの通常法により作製されたサンプル No.１５，１
８，２３に比べて合金塊〜熱間圧延の歩留りは高く、製
造性に優れていることが明かである。なお、No. ８は板
厚が下限以下であり歩留りが劣っており、No. １０は板
厚が上限以上であるが歩留りは１０mm (No. ７）と差は
なく、残留する軟鋼を除去するために余分な時間を必要
とした。
【００３２】なお上記した発明例では被覆材の被覆後に
おける加熱によってもFe−Ni系合金には内部酸化層は認
められず、被覆材による内部酸化防止効果が確認され
た。更にサンプル No.１〜４，１１，１２，１６，１９
〜２１は合金塊に0.５，１０mmの被覆材を被覆したもの
であり、分塊圧延後のスラブの疵取りはせずに以降の熱
間圧延を行なうことができた。このように、本発明範囲
内の被覆厚さの中でも合金塊に適正な厚さ被覆すること
により、スラブの疵取り工程を省略することができる。
おける加熱によってもFe−Ni系合金には内部酸化層は認
められず、被覆材による内部酸化防止効果が確認され
た。更にサンプル No.１〜４，１１，１２，１６，１９
〜２１は合金塊に0.５，１０mmの被覆材を被覆したもの
であり、分塊圧延後のスラブの疵取りはせずに以降の熱
間圧延を行なうことができた。このように、本発明範囲
内の被覆厚さの中でも合金塊に適正な厚さ被覆すること
により、スラブの疵取り工程を省略することができる。
【００３３】一方サンプル No.１３，１４，１７，２２
の各材は特公平１−４６２０２において特徴とする技術
により製造されたものであるが、これらの材料では被覆
材なしの通常材のサンプル No.１１，１５，１８，２２
の各材に比較して合金塊から熱間圧延の歩留りは高い
が、１４を除いて所要の製品特性（シャドウマスク用Fe
−Ni合金では黒化処理性、ＩＣリードフレーム用Fe−Ni
−Co合金ではAgメッキ性、軟磁性パーマロイにおいて
は、磁気特性）を満足せず、本発明例に比べて劣ってい
る。１４は特性を満足しているが、歩留りを落したもの
であり、溶削時間も長いものである。
の各材は特公平１−４６２０２において特徴とする技術
により製造されたものであるが、これらの材料では被覆
材なしの通常材のサンプル No.１１，１５，１８，２２
の各材に比較して合金塊から熱間圧延の歩留りは高い
が、１４を除いて所要の製品特性（シャドウマスク用Fe
−Ni合金では黒化処理性、ＩＣリードフレーム用Fe−Ni
−Co合金ではAgメッキ性、軟磁性パーマロイにおいて
は、磁気特性）を満足せず、本発明例に比べて劣ってい
る。１４は特性を満足しているが、歩留りを落したもの
であり、溶削時間も長いものである。
【００３４】上記したようなサンプル No.８、１０、１
３の材料を調査した結果、材料表層より中央にかけてCr
の濃化が認められ、このことから製品特性の劣化は被覆
層中のCrが合金内に拡散し、そのCrの存在がシャドウマ
スク用Fe−Ni合金の黒化処理性、ＩＣリードフレーム用
Fe−Ni−Co合金のAgメッキ性、軟磁性パーマロイの磁気
特性の劣化と強い相関を示すことが示された。
３の材料を調査した結果、材料表層より中央にかけてCr
の濃化が認められ、このことから製品特性の劣化は被覆
層中のCrが合金内に拡散し、そのCrの存在がシャドウマ
スク用Fe−Ni合金の黒化処理性、ＩＣリードフレーム用
Fe−Ni−Co合金のAgメッキ性、軟磁性パーマロイの磁気
特性の劣化と強い相関を示すことが示された。
【００３５】以上説明したように、本発明で特徴とする
成分を有する材料において、被覆材の鋼成分、および被
覆厚さ、被覆方法、分塊圧延および熱間圧延の加熱温度
を本発明で規定した条件とすることにより、分塊圧延お
よび熱間圧延時の加熱による内部酸化層の成長を抑制
し、手入れ工程の省略、手入れ歩留りを向上し得る電子
・電磁用Fe−Ni系合金を提供できることが明らかであ
る。
成分を有する材料において、被覆材の鋼成分、および被
覆厚さ、被覆方法、分塊圧延および熱間圧延の加熱温度
を本発明で規定した条件とすることにより、分塊圧延お
よび熱間圧延時の加熱による内部酸化層の成長を抑制
し、手入れ工程の省略、手入れ歩留りを向上し得る電子
・電磁用Fe−Ni系合金を提供できることが明らかであ
る。
【００３６】なお、本発明における合金塊は、ｃｃスラ
ブであってもよく、ｃｃスラブを手入れ後、本発明で特
徴とする方法、被覆材の鋼および被覆厚さとし、熱間圧
延での加熱温度を1000〜1350℃とすることにより、本発
明で特徴とする効果は十分に得られる。
ブであってもよく、ｃｃスラブを手入れ後、本発明で特
徴とする方法、被覆材の鋼および被覆厚さとし、熱間圧
延での加熱温度を1000〜1350℃とすることにより、本発
明で特徴とする効果は十分に得られる。
【００３７】
【発明の効果】以上説明したような本発明によるとき
は、Fe−Ni系合金塊の分塊圧延あるいはスラブの熱間圧
延時の加熱による内部酸化層の成長を的確に抑制し、手
入れ工程の省略を図ると共に手入歩留りの著しく向上し
た電子、電磁用Fe−Ni系合金の有利な製造方法を提供し
得るものであって、工業的にその効果の大きい発明であ
る。
は、Fe−Ni系合金塊の分塊圧延あるいはスラブの熱間圧
延時の加熱による内部酸化層の成長を的確に抑制し、手
入れ工程の省略を図ると共に手入歩留りの著しく向上し
た電子、電磁用Fe−Ni系合金の有利な製造方法を提供し
得るものであって、工業的にその効果の大きい発明であ
る。
【図１】Fe−Ni合金の高温加熱時における内部酸化層の
生成状況を示した描写したものであって、(a) は被覆な
しの場合、(b) は本発明の実施例における表２中の材料
Ｄによる被覆材を用いた場合である。なおこれら(a)
(b) のものの加熱温度は共に1200℃である。
生成状況を示した描写したものであって、(a) は被覆な
しの場合、(b) は本発明の実施例における表２中の材料
Ｄによる被覆材を用いた場合である。なおこれら(a)
(b) のものの加熱温度は共に1200℃である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 拝司 裕久 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 柏崎 吉弥 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 樺沢 真事 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内
Claims (1)
- 【請求項１】 Fe−Ni系合金塊やスラブ等の熱間圧延用
素材の表面に、wt％で、 Ｃ： 0.２％以下， Si： 1.０％以下， Mn：
2.５％以下， Cr： 1.０％以下， Al： 0.１％以下， Ｐ：
0.１％以下， Ｓ： 0.０５％以下 とした鋼を0.５〜１０mmの厚さに被覆し、1000〜1350℃
に加熱して分塊圧延および熱間圧延または熱間圧延する
ことを特徴とするFe−Ni系合金板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23516492A JPH0663607A (ja) | 1992-08-12 | 1992-08-12 | Ｆｅ−Ｎｉ系合金板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23516492A JPH0663607A (ja) | 1992-08-12 | 1992-08-12 | Ｆｅ−Ｎｉ系合金板の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0663607A true JPH0663607A (ja) | 1994-03-08 |
Family
ID=16982009
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP23516492A Pending JPH0663607A (ja) | 1992-08-12 | 1992-08-12 | Ｆｅ−Ｎｉ系合金板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0663607A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000129399A (ja) * | 1998-10-22 | 2000-05-09 | Nisshin Steel Co Ltd | シャドウマスク用Ｆｅ−Ｎｉ合金及びその製造方法 |
| JP2015167966A (ja) * | 2014-03-06 | 2015-09-28 | 株式会社神戸製鋼所 | Ｓｉ添加冷延鋼板の製造方法 |
| CN112496037A (zh) * | 2020-11-16 | 2021-03-16 | 太原钢铁(集团)有限公司 | 一种镍基合金板材轧制方法 |
-
1992
- 1992-08-12 JP JP23516492A patent/JPH0663607A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000129399A (ja) * | 1998-10-22 | 2000-05-09 | Nisshin Steel Co Ltd | シャドウマスク用Ｆｅ−Ｎｉ合金及びその製造方法 |
| JP2015167966A (ja) * | 2014-03-06 | 2015-09-28 | 株式会社神戸製鋼所 | Ｓｉ添加冷延鋼板の製造方法 |
| CN112496037A (zh) * | 2020-11-16 | 2021-03-16 | 太原钢铁(集团)有限公司 | 一种镍基合金板材轧制方法 |
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