JP2663777B2 - メッキ性に優れたFe−Ni合金およびその製造法 - Google Patents
メッキ性に優れたFe−Ni合金およびその製造法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メッキ性に優れたFe−
Ni系合金、特にAgメッキを施して用いられるリードフレ
ーム用素材に適しており、又ハンダ性にも優れ、かつ、
製造時の歩留りも改善した前記合金およびその製造方法
に係るものである。
Ni系合金、特にAgメッキを施して用いられるリードフレ
ーム用素材に適しており、又ハンダ性にも優れ、かつ、
製造時の歩留りも改善した前記合金およびその製造方法
に係るものである。
【0002】
【従来の技術】ICリードフレーム用素材としては、半
導体素子、ガラスおよびセラミックス等との熱膨張係数
の整合性からNiを42%程度含み残部が鉄よりなる、4
2合金で代表されるようなFe−Ni系合金が広く使用され
ている。また近年では、高強度化を意図したFe−28%
Ni−16.5%CoやFe−29%Ni−6%Coといった合金も
使用され始めている。更にこのようなFe−Ni系合金から
ICリードフレーム素材を製造する方法としては、連続
鋳造または造塊法による合金塊に分塊圧延、熱間圧延お
よび冷間圧延等の加工を施して薄板とし、その薄板をス
リッタ加工することが通常行われている。
導体素子、ガラスおよびセラミックス等との熱膨張係数
の整合性からNiを42%程度含み残部が鉄よりなる、4
2合金で代表されるようなFe−Ni系合金が広く使用され
ている。また近年では、高強度化を意図したFe−28%
Ni−16.5%CoやFe−29%Ni−6%Coといった合金も
使用され始めている。更にこのようなFe−Ni系合金から
ICリードフレーム素材を製造する方法としては、連続
鋳造または造塊法による合金塊に分塊圧延、熱間圧延お
よび冷間圧延等の加工を施して薄板とし、その薄板をス
リッタ加工することが通常行われている。
【0003】また、このようにして製造された素材をリ
ードフレームに加工するには、打抜きまたはフォトエッ
チングにより、リードフレーム形状に加工した後、その
表面にAgメッキが施され、以降Siチップのダイボンディ
ング、ワイヤーボンディング、パッケージング、脚部の
スズメッキが施されることが通常行われている。さら
に、リードフレームが基板に着装される時にはハンダ付
けが施される。この際、ICリードフレームに使用され
るFe−Ni系合金には、メッキ性、特にAgメッキ性、ハン
ダ性に優れていることが強く要望される。
ードフレームに加工するには、打抜きまたはフォトエッ
チングにより、リードフレーム形状に加工した後、その
表面にAgメッキが施され、以降Siチップのダイボンディ
ング、ワイヤーボンディング、パッケージング、脚部の
スズメッキが施されることが通常行われている。さら
に、リードフレームが基板に着装される時にはハンダ付
けが施される。この際、ICリードフレームに使用され
るFe−Ni系合金には、メッキ性、特にAgメッキ性、ハン
ダ性に優れていることが強く要望される。
【0004】しかしながら、この合金はAgメッキとの密
着性が悪く、例えばICの組立工程におけるリードフレ
ームへのワイヤーボンディング時の加熱により、Agメッ
キ層に“フクレ”が生じたりメッキ層が剥離する等の問
題が起こる。従って、従来はAgメッキの前処理に、Niま
たはCuのストライクメッキ(短時間高電流密度メッキ)
を素材表面に施すことが通常行われている。
着性が悪く、例えばICの組立工程におけるリードフレ
ームへのワイヤーボンディング時の加熱により、Agメッ
キ層に“フクレ”が生じたりメッキ層が剥離する等の問
題が起こる。従って、従来はAgメッキの前処理に、Niま
たはCuのストライクメッキ(短時間高電流密度メッキ)
を素材表面に施すことが通常行われている。
【0005】また、ハンダ性は、その前工程に施される
スズメッキにおいて、“ウイスカー”とよばれる針状の
微細結晶が異常に成長しやすく、このウイスカーのため
に劣化し、たとえばスズメッキされたリードフレームと
ハンダとの濡れ時間が長くなり、結果的にハンダの濡れ
面積が所要の性能を満たさなくなるといった問題が起こ
る。
スズメッキにおいて、“ウイスカー”とよばれる針状の
微細結晶が異常に成長しやすく、このウイスカーのため
に劣化し、たとえばスズメッキされたリードフレームと
ハンダとの濡れ時間が長くなり、結果的にハンダの濡れ
面積が所要の性能を満たさなくなるといった問題が起こ
る。
【0006】上記の問題に対して、Agメッキ性を改善す
べく、AlとCaを複合微量添加し、非金属介在物を大幅に
低減させ、かつ、それらを合金中に微細に分散させて表
面疵発生を防止し、メッキ性を向上させたものが特開昭
62−207845号公報で発表されている。また、特
開平3−166340号公報ではCo0.5 〜22%、Ni2
2〜32.5%を含有するFe−Ni系において、メッキ性、
ハンダ性をMn、Si量の低減で達成しようとしている。
べく、AlとCaを複合微量添加し、非金属介在物を大幅に
低減させ、かつ、それらを合金中に微細に分散させて表
面疵発生を防止し、メッキ性を向上させたものが特開昭
62−207845号公報で発表されている。また、特
開平3−166340号公報ではCo0.5 〜22%、Ni2
2〜32.5%を含有するFe−Ni系において、メッキ性、
ハンダ性をMn、Si量の低減で達成しようとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記した特開昭62−
207845の開示技術においては、Niのストライクメ
ッキなしで3μm 厚のAgメッキを施した場合のメッキの
密着性の向上を達成している。しかしながら、最近の低
コスト化の要望からAgメッキの厚さも、上記よりさらに
薄メッキ化の傾向もあり、このような薄メッキ化にとも
なうAgメッキ性を確保する技術は未だ知られていない。
207845の開示技術においては、Niのストライクメ
ッキなしで3μm 厚のAgメッキを施した場合のメッキの
密着性の向上を達成している。しかしながら、最近の低
コスト化の要望からAgメッキの厚さも、上記よりさらに
薄メッキ化の傾向もあり、このような薄メッキ化にとも
なうAgメッキ性を確保する技術は未だ知られていない。
【0008】さらには、前記技術で特徴とするAl、Caの
複合添加によれば、リードフレーム用素材の製造工程の
中で施される熱処理により不均一な酸化膜が形成され、
この酸化膜の存在によりその後で施されるスズメッキに
おいてウイスカーが多発し、ハンダ性の著しい劣化を招
いていたのである。また、このようなAl、Caの複合添加
によると熱間加工性が劣化し製造工程の中で、合金塊を
分塊圧延してスラブとする際の疵発生が著しく、製造時
の歩留りが低いという欠点を有していた。
複合添加によれば、リードフレーム用素材の製造工程の
中で施される熱処理により不均一な酸化膜が形成され、
この酸化膜の存在によりその後で施されるスズメッキに
おいてウイスカーが多発し、ハンダ性の著しい劣化を招
いていたのである。また、このようなAl、Caの複合添加
によると熱間加工性が劣化し製造工程の中で、合金塊を
分塊圧延してスラブとする際の疵発生が著しく、製造時
の歩留りが低いという欠点を有していた。
【0009】また、特開平3−166340の開示技術
では、Agメッキにおいては、厚さ3μm のAgメッキの場
合のメッキ密着性の向上を達成しているが、最近の低コ
スト化の所望からの薄メッキ化(3μm 未満の厚さのAg
メッキ)の傾向もあり、このような薄メッキ化にともな
うAgメッキ性の向上は達成されていない。さらには、こ
の技術でみられるハンダ性向上も、ハンダの耐候性の面
のみであり、ハンダのぬれ性までは改善されていない。
また、この技術では、製造工程の中で合金塊を分塊圧延
してスラブとする際の疵発生が著しく、製造時の歩留り
が低いという欠点を有していた。
では、Agメッキにおいては、厚さ3μm のAgメッキの場
合のメッキ密着性の向上を達成しているが、最近の低コ
スト化の所望からの薄メッキ化(3μm 未満の厚さのAg
メッキ)の傾向もあり、このような薄メッキ化にともな
うAgメッキ性の向上は達成されていない。さらには、こ
の技術でみられるハンダ性向上も、ハンダの耐候性の面
のみであり、ハンダのぬれ性までは改善されていない。
また、この技術では、製造工程の中で合金塊を分塊圧延
してスラブとする際の疵発生が著しく、製造時の歩留り
が低いという欠点を有していた。
【0010】以上のように従来技術のみではより薄メッ
キを指向した場合のAgメッキ性と、ハンダ性を両立さ
せ、かつ、製造時の歩留りも向上させる技術は、未だ見
出されておらず、従ってこれらの特性をともに満足する
ような材料が切望されていた。
キを指向した場合のAgメッキ性と、ハンダ性を両立さ
せ、かつ、製造時の歩留りも向上させる技術は、未だ見
出されておらず、従ってこれらの特性をともに満足する
ような材料が切望されていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
従来の問題点に鑑み、リードフレーム用Fe−Ni系合金に
おいてAgメッキ性、ハンダ性に優れ、かつ製造時の歩留
りも向上させるべく研究を重ね、その結果、Agメッキ性
の向上(Agメッキ密着性向上)には、(1) H、S、P、
O、Al量の低減、(2) Siの最適添加およびSiの分布の適
正化、が有効である。
従来の問題点に鑑み、リードフレーム用Fe−Ni系合金に
おいてAgメッキ性、ハンダ性に優れ、かつ製造時の歩留
りも向上させるべく研究を重ね、その結果、Agメッキ性
の向上(Agメッキ密着性向上)には、(1) H、S、P、
O、Al量の低減、(2) Siの最適添加およびSiの分布の適
正化、が有効である。
【0012】又、ハンダ性の向上(スズメッキ時のウイ
スカー発生抑制)のためには、(1) H、S、O量の低
減、(2) Siの適量添加およびSiの分布の適正化、(3) 合
金の熱間加工性の向上を極力図り、分塊圧延時の微細な
内部ワレを抑制し、リード端面でのマイクロボイトの形
成を防止するためには、C、N、S、O、P量の総量規
定およびMg、Caの微量添加、が有効である。
スカー発生抑制)のためには、(1) H、S、O量の低
減、(2) Siの適量添加およびSiの分布の適正化、(3) 合
金の熱間加工性の向上を極力図り、分塊圧延時の微細な
内部ワレを抑制し、リード端面でのマイクロボイトの形
成を防止するためには、C、N、S、O、P量の総量規
定およびMg、Caの微量添加、が有効である。
【0013】更に、分塊圧延時の表面疵発生を少なくさ
せ(製造時の歩留りを向上させる)、かつ、所要のAgメ
ッキ性、ハンダ性を確保するためには、(1) C、N、
S、O、P量の低減、(2) Mg、Caの微量添加、がそれぞ
れ有効であることを見出した。また、Siの分布の適正化
のための手段としては、分塊圧延での加熱条件(温度、
時間)、加工条件(断面減少率、ヒート回数)の適正化
が有効であることを見出し、本発明完成に至ったもので
あって、以下の如くである。
せ(製造時の歩留りを向上させる)、かつ、所要のAgメ
ッキ性、ハンダ性を確保するためには、(1) C、N、
S、O、P量の低減、(2) Mg、Caの微量添加、がそれぞ
れ有効であることを見出した。また、Siの分布の適正化
のための手段としては、分塊圧延での加熱条件(温度、
時間)、加工条件(断面減少率、ヒート回数)の適正化
が有効であることを見出し、本発明完成に至ったもので
あって、以下の如くである。
【0014】 (1) Ni:38〜52wt%、 C:0.0050 wt%以下、 Al: 0.010wt%以下、 N:0.0020wt %以下、 S:0.0020 wt%以下、 O:0.0040 wt%以下、 H: 1ppm 以下、 P:0.0040 wt%以下、 Si: 0.01 〜0.10wt%、 Ca: 0.0002 〜0.0020wt%、 Mg: 0.0003〜0.0020wt%、 [Ca]+[Mg]/2 : 0.0005 〜0.0025wt% を含有し、かつ [C]/10+[N]/10+[S] +[O]/5 +[P]/2 : 0.0045wt%、 ([Ca]+[Mg]/2)/([S] +[O]/5 )≧1 の関係を満たし、残部は実質的に不可避不純物およびFe
の成分組成からなり、しかもその合金鋼帯のエッチング
直前またはプレス打抜き直前での合金板表面におけるSi
の成分偏析率、すなわち、 〔|偏析域の成分濃度−平均成分濃度|/平均成分濃度〕×100……(I)式 が10%以下であることを特徴とするメッキ性に優れた
Fe−Ni系合金。
の成分組成からなり、しかもその合金鋼帯のエッチング
直前またはプレス打抜き直前での合金板表面におけるSi
の成分偏析率、すなわち、 〔|偏析域の成分濃度−平均成分濃度|/平均成分濃度〕×100……(I)式 が10%以下であることを特徴とするメッキ性に優れた
Fe−Ni系合金。
【0015】 (2) Ni:27〜30wt%、 C:0.0050wt%以下、 Co:5〜18%、 Al: 0.010wt%以下、 N:0.0020wt%以下、 S:0.0020 wt%以下、 O:0.0040wt %以下、 H:1ppm 以下、 P:0.0040 wt%以下、 Si: 0.01 〜0.10 wt %、 Ca: 0.0002〜0.0020wt%、 Mg: 0.00003〜0.0020wt%、 [Ca]+[Mg]/2 : 0.0005 〜0.0025wt% を含有し、かつ [C]/10+[N]/10+[S] +[O]/5 +[P]/2 : 0.0045wt%、 ([Ca]+[Mg]/2)/([S] +[O]/5 )≧1 の関係を満たし、残部は実質的に不可避不純物およびFe
の成分組成からなり、しかもその合金鋼帯のエッチング
直前またはプレス打抜き直前での合金板表面におけるSi
の成分偏析率、すなわち、 〔|偏析域の成分濃度−平均成分濃度|/平均成分濃度〕×100……(I)式 が10%以下であることを特徴とするメッキ性に優れた
Fe−Ni系合金。
の成分組成からなり、しかもその合金鋼帯のエッチング
直前またはプレス打抜き直前での合金板表面におけるSi
の成分偏析率、すなわち、 〔|偏析域の成分濃度−平均成分濃度|/平均成分濃度〕×100……(I)式 が10%以下であることを特徴とするメッキ性に優れた
Fe−Ni系合金。
【0016】(3) 請求項1に記載の成分組成を有する合
金を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造
塊法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、
分塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1
回または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場
合は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延
−歪取り焼鈍の工程でエッチング直前またはプレス打抜
き前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱炉
における加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm以下、
加熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度に達
してからの保持時間t(hr) を加熱温度T(℃)に応じ
て、 7.71-5.33 ×10-3T ≦log t ≦8.00-5.33 ×10-3T ……
(II) 式 とし、分塊圧延での断面減少率を35%以上となし、分
塊圧延後徐冷することにより前記したエッチングが直前
またはプレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析
率(前記(I)式)を10%以下とすることを特徴とす
るメッキ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。
金を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造
塊法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、
分塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1
回または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場
合は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延
−歪取り焼鈍の工程でエッチング直前またはプレス打抜
き前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱炉
における加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm以下、
加熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度に達
してからの保持時間t(hr) を加熱温度T(℃)に応じ
て、 7.71-5.33 ×10-3T ≦log t ≦8.00-5.33 ×10-3T ……
(II) 式 とし、分塊圧延での断面減少率を35%以上となし、分
塊圧延後徐冷することにより前記したエッチングが直前
またはプレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析
率(前記(I)式)を10%以下とすることを特徴とす
るメッキ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。
【0017】(4) 請求項1に記載の成分組成を有する合
金を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造
塊法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、
分塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1
回または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場
合は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延
−歪取り焼鈍の工程でのエッチング直前またはプレス打
抜き前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱
炉における加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm 以
下、加熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度
に達してからの保持時間t(hr) を加熱温度T(℃)に
応じて、 7.40-5.33 ×10-3T ≦log t ≦7.71-5.33 ×10-3T ……
(III)式 とし、1次分塊圧延を断面積減少率20〜70%で行
い、次いで前記加熱雰囲気にて加熱温度1150〜13
00℃で前記(III) 式の関係の範囲内で加熱し、その後
2次分塊圧延を断面積減少率20〜70%とし、分塊圧
延後徐冷することにより前記したエッチング直前または
プレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析率( 前
記(I)式)を10%以下とすることを特徴とするメッ
キ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。
金を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造
塊法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、
分塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1
回または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場
合は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延
−歪取り焼鈍の工程でのエッチング直前またはプレス打
抜き前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱
炉における加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm 以
下、加熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度
に達してからの保持時間t(hr) を加熱温度T(℃)に
応じて、 7.40-5.33 ×10-3T ≦log t ≦7.71-5.33 ×10-3T ……
(III)式 とし、1次分塊圧延を断面積減少率20〜70%で行
い、次いで前記加熱雰囲気にて加熱温度1150〜13
00℃で前記(III) 式の関係の範囲内で加熱し、その後
2次分塊圧延を断面積減少率20〜70%とし、分塊圧
延後徐冷することにより前記したエッチング直前または
プレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析率( 前
記(I)式)を10%以下とすることを特徴とするメッ
キ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。
【0018】(5) 請求項2に記載の成分組成を有する合
金を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造
塊法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、
分塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1
回または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場
合は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延
−歪取り焼鈍の工程でエッチング直前またはプレス打抜
き前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱炉
における加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm以下、
加熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度に達
してからの保持時間t(hr)を加熱温度T(℃)に応じ
て、 7.71-5.33 ×10-3T ≦log t ≦8.00-5.33 ×10-3T ……
(II) 式 とし、分塊圧延での断面減少率を35%以上となし、分
塊圧延後徐冷することにより前記したエッチングが直前
またはプレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析
率(前記(I)式)を10%以下とすることを特徴とす
るメッキ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。
金を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造
塊法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、
分塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1
回または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場
合は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延
−歪取り焼鈍の工程でエッチング直前またはプレス打抜
き前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱炉
における加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm以下、
加熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度に達
してからの保持時間t(hr)を加熱温度T(℃)に応じ
て、 7.71-5.33 ×10-3T ≦log t ≦8.00-5.33 ×10-3T ……
(II) 式 とし、分塊圧延での断面減少率を35%以上となし、分
塊圧延後徐冷することにより前記したエッチングが直前
またはプレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析
率(前記(I)式)を10%以下とすることを特徴とす
るメッキ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。
【0019】(6) 請求項2に記載の成分組成を有する合
金を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造
塊法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、
分塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1
回または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場
合は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延
−歪取り焼鈍の工程でエッチング直前またはプレス打抜
き前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱炉
における加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm以下、
加熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度に達
してからの保持時間t(hr)を加熱温度T(℃)に応じ
て、 7.40-0.33 ×10-3T ≦log t ≦7.71-5.33 ×10-3T ……
(III)式 とし、1次分塊圧延を断面積減少率20〜70%で行
い、次いで前記加熱雰囲気にて加熱温度1150〜13
00℃で前記(III) 式の関係の範囲内で加熱し、その後
2次分塊圧延を断面積減少率20〜70%とし、分塊圧
延後徐冷することにより前記したエッチング直前または
プレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析率( 前
記(I)式)を10%以下とすることを特徴とするメッ
キ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。
金を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造
塊法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、
分塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1
回または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場
合は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延
−歪取り焼鈍の工程でエッチング直前またはプレス打抜
き前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱炉
における加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm以下、
加熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度に達
してからの保持時間t(hr)を加熱温度T(℃)に応じ
て、 7.40-0.33 ×10-3T ≦log t ≦7.71-5.33 ×10-3T ……
(III)式 とし、1次分塊圧延を断面積減少率20〜70%で行
い、次いで前記加熱雰囲気にて加熱温度1150〜13
00℃で前記(III) 式の関係の範囲内で加熱し、その後
2次分塊圧延を断面積減少率20〜70%とし、分塊圧
延後徐冷することにより前記したエッチング直前または
プレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析率( 前
記(I)式)を10%以下とすることを特徴とするメッ
キ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。
【0020】
【作用】上記したような本発明について説明すると、ま
ず、本発明合金の化学成分の限定理由をwt%(以下単に
%という)によって述べると、以下の如くである。
ず、本発明合金の化学成分の限定理由をwt%(以下単に
%という)によって述べると、以下の如くである。
【0021】Niは、本合金の基本成分であり、Niが38
%未満、または、52%を超える場合には合金の熱膨張
係数が大きくなりすぎ、半導体素子、ガラスおよびセラ
ミックス等との整合性が保てなくなる。従って、Niの範
囲は38〜52%とした。
%未満、または、52%を超える場合には合金の熱膨張
係数が大きくなりすぎ、半導体素子、ガラスおよびセラ
ミックス等との整合性が保てなくなる。従って、Niの範
囲は38〜52%とした。
【0022】Coは、半導体素子、ガラスおよびセラミッ
クス等との整合性をより高める場合、必要に応じて添加
される元素である。Coが5%未満または18%超では、
この効果が得られないため、Coの範囲は5〜18%とし
た。なお、Coが5〜18%添加された場合、Niが27%
未満、または30%を超える時は熱膨張特性が逆に劣化
してしまう。従って、Coが5〜18%含有される時のNi
の範囲は、27〜30%とした。
クス等との整合性をより高める場合、必要に応じて添加
される元素である。Coが5%未満または18%超では、
この効果が得られないため、Coの範囲は5〜18%とし
た。なお、Coが5〜18%添加された場合、Niが27%
未満、または30%を超える時は熱膨張特性が逆に劣化
してしまう。従って、Coが5〜18%含有される時のNi
の範囲は、27〜30%とした。
【0023】Cは、含有量が多くなると、熱間加工性は
劣化し、分塊圧延時に表面疵発生が著しくなり、また後
述するN、S、O、Pとの相乗作用で分塊圧延時の合金
内部に微細なワレを発生させ、ハンダ性を劣化させる。
即ち、Cが0.0050%を超えると本発明で意図する熱
間加工性の向上が達成できないため、0.0050%を上
限とした。
劣化し、分塊圧延時に表面疵発生が著しくなり、また後
述するN、S、O、Pとの相乗作用で分塊圧延時の合金
内部に微細なワレを発生させ、ハンダ性を劣化させる。
即ち、Cが0.0050%を超えると本発明で意図する熱
間加工性の向上が達成できないため、0.0050%を上
限とした。
【0024】Nは、含有量が多くなると、粒界に窒化物
が析出し、熱間加工性が劣化して、分塊圧延時に表面疵
発生が著しくなり、また後述するC、S、O、Pとの相
乗作用で分塊圧延時の合金内部に微細なワレを発生さ
せ、ハンダ性を劣化させる。このNが0.0020%を超
えると本発明で意図する熱間加工性の向上が達成できな
いため、0.0020%を上限とした。
が析出し、熱間加工性が劣化して、分塊圧延時に表面疵
発生が著しくなり、また後述するC、S、O、Pとの相
乗作用で分塊圧延時の合金内部に微細なワレを発生さ
せ、ハンダ性を劣化させる。このNが0.0020%を超
えると本発明で意図する熱間加工性の向上が達成できな
いため、0.0020%を上限とした。
【0025】以下、本発明で意図する熱間加工性向上と
は、分塊圧延時の表面疵発生を少なくし、かつ合金内部
に微細なワレの発生を防止することと定義する。
は、分塊圧延時の表面疵発生を少なくし、かつ合金内部
に微細なワレの発生を防止することと定義する。
【0026】Sは、合金中のオーステナイト粒界に偏析
して粒界を脆化させ、熱間加工性を著しく劣化させる元
素である。また、S量が多いと合金中の介在物が多くな
り、Agメッキ性、ハンダ性が劣化する。本発明で意図す
る熱間加工性の向上のためのS量は後述のMg、Caの適正
添加のもとで、0.0020%以下である。また、上記Ag
メッキ性、ハンダ性向上のためのS量も0.0020%以
下である。なお、これらのメッキ性向上のためのより好
ましいS量は0.0010%以下である。
して粒界を脆化させ、熱間加工性を著しく劣化させる元
素である。また、S量が多いと合金中の介在物が多くな
り、Agメッキ性、ハンダ性が劣化する。本発明で意図す
る熱間加工性の向上のためのS量は後述のMg、Caの適正
添加のもとで、0.0020%以下である。また、上記Ag
メッキ性、ハンダ性向上のためのS量も0.0020%以
下である。なお、これらのメッキ性向上のためのより好
ましいS量は0.0010%以下である。
【0027】Oは、合金中のオーステナイト粒界に低融
点酸化物として析出し、熱間加工性を著しく劣化させる
元素である。また、このO量が多いと合金中の介在物が
多くなり、Agメッキ性、ハンダ性が劣化する。本発明で
意図する熱間加工性の向上のためのO量は、後述のMg、
Caの適正添加のもとで0.0040%以下である。また、
Agメッキ性、ハンダ性向上のためのO量としても、0.0
040%以下、より好ましくは0.0025%以下であ
る。
点酸化物として析出し、熱間加工性を著しく劣化させる
元素である。また、このO量が多いと合金中の介在物が
多くなり、Agメッキ性、ハンダ性が劣化する。本発明で
意図する熱間加工性の向上のためのO量は、後述のMg、
Caの適正添加のもとで0.0040%以下である。また、
Agメッキ性、ハンダ性向上のためのO量としても、0.0
040%以下、より好ましくは0.0025%以下であ
る。
【0028】Pは、合金中のオーステナイト粒界に偏析
して、粒界を脆化させ、熱間加工性を劣化させる元素で
ある。また、P量が多くなると、Pと表面偏析が合金鋼
帯の熱処理時に生じ、Agメッキ性が劣化する。本発明で
意図する熱間加工性の向上のためのP量は、0.0040
%以下である。また、Agメッキ性向上のためのP量も0.
0040%以下、より好ましくは0.0010%以下であ
る。
して、粒界を脆化させ、熱間加工性を劣化させる元素で
ある。また、P量が多くなると、Pと表面偏析が合金鋼
帯の熱処理時に生じ、Agメッキ性が劣化する。本発明で
意図する熱間加工性の向上のためのP量は、0.0040
%以下である。また、Agメッキ性向上のためのP量も0.
0040%以下、より好ましくは0.0010%以下であ
る。
【0029】Siは、本合金において、脱酸を目的とする
もので重要な合金元素の1つであるが、Agメッキ性、ハ
ンダ性の観点からは、その量および分布が制御されねば
ならない元素でもある。このSi量が、0.01%未満で
は、O量が本発明規定の0.0040%以下とならない。
一方、0.10%を超える場合、合金鋼帯の熱処理時に、
不均一な酸化膜が形成され、Agメッキ性、ハンダ性が劣
化するため、Siは0.01%を下限とし、0.10%を上限
と定めた。
もので重要な合金元素の1つであるが、Agメッキ性、ハ
ンダ性の観点からは、その量および分布が制御されねば
ならない元素でもある。このSi量が、0.01%未満で
は、O量が本発明規定の0.0040%以下とならない。
一方、0.10%を超える場合、合金鋼帯の熱処理時に、
不均一な酸化膜が形成され、Agメッキ性、ハンダ性が劣
化するため、Siは0.01%を下限とし、0.10%を上限
と定めた。
【0030】なお、Si量がこの範囲内の場合でも合金表
面でのSiの成分変動が大きいと局部的にAgメッキ性、ハ
ンダ性の劣化する領域が存在し、結果的にこれらのメッ
キ性に問題が生じるため、このような成分変動は制御さ
れねばならない。従って、本発明では上記Si量の規定に
加え、エッチング直前又はプレス打抜き直前での合金板
表面におけるSiの成分偏析率、即ち、 〔|偏析域の成分濃度−平均成分濃度|/平均成分濃
度〕×100 を10%以下とすることにより上記の成分変動によるAg
メッキ性、ハンダ性の局部的劣化を解決する。
面でのSiの成分変動が大きいと局部的にAgメッキ性、ハ
ンダ性の劣化する領域が存在し、結果的にこれらのメッ
キ性に問題が生じるため、このような成分変動は制御さ
れねばならない。従って、本発明では上記Si量の規定に
加え、エッチング直前又はプレス打抜き直前での合金板
表面におけるSiの成分偏析率、即ち、 〔|偏析域の成分濃度−平均成分濃度|/平均成分濃
度〕×100 を10%以下とすることにより上記の成分変動によるAg
メッキ性、ハンダ性の局部的劣化を解決する。
【0031】また、このSiの成分偏析率が10%以下で
あっても最小濃度部で0.01%未満となると、合金鋼帯
の熱処理時で形成される酸化膜の性状が不均一となり、
結果的にAgメッキ性に問題が生じ、一方最大濃度部で0.
10%を超えるような場合にはAgメッキ性、ハンダ性が
劣化するため、このようなことにならないように制御す
る。
あっても最小濃度部で0.01%未満となると、合金鋼帯
の熱処理時で形成される酸化膜の性状が不均一となり、
結果的にAgメッキ性に問題が生じ、一方最大濃度部で0.
10%を超えるような場合にはAgメッキ性、ハンダ性が
劣化するため、このようなことにならないように制御す
る。
【0032】Alは、量が多くなると、Alの強固な酸化膜
が合金鋼帯の熱処理時に生じ、特にAgメッキ性が劣化し
たり、Caとの共存のもとで低融点酸化物を合金中に形成
し、熱間加工性が劣化する。本発明で意図するAgメッキ
性向上および熱間加工性向上のためのAl量は、0.010
%以下、より好ましくは0.0050%以下である。
が合金鋼帯の熱処理時に生じ、特にAgメッキ性が劣化し
たり、Caとの共存のもとで低融点酸化物を合金中に形成
し、熱間加工性が劣化する。本発明で意図するAgメッキ
性向上および熱間加工性向上のためのAl量は、0.010
%以下、より好ましくは0.0050%以下である。
【0033】Hは、本合金のメッキ性に対しては、著し
く大きな影響を及ぼす元素である。すなわち、Hは本合
金中の溶製時では、不可避的に混入し、その量は従来1.
0ppm を超え、場合により4〜7ppm 程度も残存してい
た。このガスがIC製造過程のAgのスポットメッキ後の
ダイボンデイングの加熱時に放出され、メッキ層と下地
合金(リードフレーム材料)の界面に移動し、“フク
レ”と呼ばれるメッキ不良となってしまう。この現象は
Agのメッキ層の厚さが比較的厚い従来の3μm 程度の厚
さでは、メッキ層の強度の点から問題となっていなかっ
た。しかし、最近のAgの薄メッキ化の傾向より、2μm
より薄いメッキ厚も一般的となりつつあり、このような
薄いAgメッキ厚では、Agメッキ層の強度が、Hのガス圧
力よりも、小さくなってしまい、上記した“フクレ”の
問題が顕在化してきた。また、上記した従来レベルのH
を含有する合金にハンダ付けをする場合でも、ハンダの
ぬれ性が劣っているといった問題があった。このような
Hの極微量の存在によるメッキ性への悪影響は本合金で
は特に認められるものである。
く大きな影響を及ぼす元素である。すなわち、Hは本合
金中の溶製時では、不可避的に混入し、その量は従来1.
0ppm を超え、場合により4〜7ppm 程度も残存してい
た。このガスがIC製造過程のAgのスポットメッキ後の
ダイボンデイングの加熱時に放出され、メッキ層と下地
合金(リードフレーム材料)の界面に移動し、“フク
レ”と呼ばれるメッキ不良となってしまう。この現象は
Agのメッキ層の厚さが比較的厚い従来の3μm 程度の厚
さでは、メッキ層の強度の点から問題となっていなかっ
た。しかし、最近のAgの薄メッキ化の傾向より、2μm
より薄いメッキ厚も一般的となりつつあり、このような
薄いAgメッキ厚では、Agメッキ層の強度が、Hのガス圧
力よりも、小さくなってしまい、上記した“フクレ”の
問題が顕在化してきた。また、上記した従来レベルのH
を含有する合金にハンダ付けをする場合でも、ハンダの
ぬれ性が劣っているといった問題があった。このような
Hの極微量の存在によるメッキ性への悪影響は本合金で
は特に認められるものである。
【0034】上記したように、Hが1.0ppm を超える
と、本合金によって本発明で意図するメッキ性が得られ
なくなるため、1.0ppm を上限とした。なお、本発明で
規定するH量を得るには、溶製時の真空脱ガス方法の最
適化が必要である。すなわち、みかけの水素圧を低下さ
せるため、本発明で意図する合金では0.1torrと同じ
か、それ以下の圧力の高真空度を達成することや、底吹
き希釈Arガス量を増加させる等の方法が採られる。
と、本合金によって本発明で意図するメッキ性が得られ
なくなるため、1.0ppm を上限とした。なお、本発明で
規定するH量を得るには、溶製時の真空脱ガス方法の最
適化が必要である。すなわち、みかけの水素圧を低下さ
せるため、本発明で意図する合金では0.1torrと同じ
か、それ以下の圧力の高真空度を達成することや、底吹
き希釈Arガス量を増加させる等の方法が採られる。
【0035】本発明が意図するAgメッキ性、ハンダ性を
確保しつつ、しかも本合金の熱間加工性の向上を極力図
り、分塊圧延時の微細な内部割れを抑制し、又リード端
面でのマイクロボイドの形成を防止し、ハンダ性を向上
させるには、C、N、S、O、P量の総量規定およびM
g、Caの微量の複合添加が必要とされる。すなわち、C/1
0+N/10+S+O/5+P/2が0.0045%を超える場合、
N、S、O、Pによる粒界強度の低下、Cによる粒内強
化により、粒界脆化が著しくなり、分塊圧延時にオース
テナイト粒界の3重点といったところなどで、微細なワ
レが発生し、以降の熱間圧延の工程でも、未圧着のまま
合金内部にワレとして残り、ハンダ性を劣化させる。こ
のため C/10 + N/10 +S+O/5+P/2の上限は0.00
45%とした。
確保しつつ、しかも本合金の熱間加工性の向上を極力図
り、分塊圧延時の微細な内部割れを抑制し、又リード端
面でのマイクロボイドの形成を防止し、ハンダ性を向上
させるには、C、N、S、O、P量の総量規定およびM
g、Caの微量の複合添加が必要とされる。すなわち、C/1
0+N/10+S+O/5+P/2が0.0045%を超える場合、
N、S、O、Pによる粒界強度の低下、Cによる粒内強
化により、粒界脆化が著しくなり、分塊圧延時にオース
テナイト粒界の3重点といったところなどで、微細なワ
レが発生し、以降の熱間圧延の工程でも、未圧着のまま
合金内部にワレとして残り、ハンダ性を劣化させる。こ
のため C/10 + N/10 +S+O/5+P/2の上限は0.00
45%とした。
【0036】本発明で意図する熱間加工性向上のために
は、上記のようなC、N、S、O、Pの低減に加え、C
a、MgのS量、O量に応じた適量添加が必須である。す
なわち、Caは0.0002〜0.0020%、Mgは0.000
3〜0.0020%、かつ、Ca+ Mg/2 :0.0005〜0.
0025%かつ、S、O量に応じて、(Ca+Mg/2 )/
(S+O/5)≧1とする必要がある。
は、上記のようなC、N、S、O、Pの低減に加え、C
a、MgのS量、O量に応じた適量添加が必須である。す
なわち、Caは0.0002〜0.0020%、Mgは0.000
3〜0.0020%、かつ、Ca+ Mg/2 :0.0005〜0.
0025%かつ、S、O量に応じて、(Ca+Mg/2 )/
(S+O/5)≧1とする必要がある。
【0037】図1に、Agメッキ性、ハンダ性、スラブ疵
取り量とCa、Mg量の関係を示すが、Caは0.0002%未
満、Mgは0.0003%未満では、本発明で意図する熱間
加工性向上が達成されずハンダ性の向上も得られず、一
方、いずれの成分でも0.0020%を超えると、合金鋼
帯の熱処理時で表面に強固な酸化膜が形成され、Agメッ
キ性、ハンダ性が損われる。
取り量とCa、Mg量の関係を示すが、Caは0.0002%未
満、Mgは0.0003%未満では、本発明で意図する熱間
加工性向上が達成されずハンダ性の向上も得られず、一
方、いずれの成分でも0.0020%を超えると、合金鋼
帯の熱処理時で表面に強固な酸化膜が形成され、Agメッ
キ性、ハンダ性が損われる。
【0038】本発明で意図する熱間加工性向上の効果は
Ca、Mgのいずれか一方の単独添加では十分に現われず、
両者とも本発明の規定の下限値以上の添加は必要であ
る。すなわち、Ca+ Mg/2 が0.0005%未満では、本
発明で目標とする熱間加工性向上およびハンダ性向上が
得られず、一方 Ca+ Mg/2 が0.0025%を超える
と、合金鋼帯の熱処理時で表面に強固な酸化膜が形成さ
れ、Agメッキ性、ハンダ性が損われる。これらより、Ca
+ Mg/2 は0.0005%〜0.0025%の範囲に定め
た。
Ca、Mgのいずれか一方の単独添加では十分に現われず、
両者とも本発明の規定の下限値以上の添加は必要であ
る。すなわち、Ca+ Mg/2 が0.0005%未満では、本
発明で目標とする熱間加工性向上およびハンダ性向上が
得られず、一方 Ca+ Mg/2 が0.0025%を超える
と、合金鋼帯の熱処理時で表面に強固な酸化膜が形成さ
れ、Agメッキ性、ハンダ性が損われる。これらより、Ca
+ Mg/2 は0.0005%〜0.0025%の範囲に定め
た。
【0039】上記のようなCa、Mg添加による熱間加工性
の向上は、凝固過程において、SやOが安定無害な析出
物として固定されるためと考えられる。なお、CaとMgと
では本合金の場合SやOの析出物を形成する温度域が異
なり、このことがCaとMgの複合添加がSやOを安定な析
出物としてより十分に固定できる理由であると推察され
る。
の向上は、凝固過程において、SやOが安定無害な析出
物として固定されるためと考えられる。なお、CaとMgと
では本合金の場合SやOの析出物を形成する温度域が異
なり、このことがCaとMgの複合添加がSやOを安定な析
出物としてより十分に固定できる理由であると推察され
る。
【0040】なお、CaとMgの総量の下限は、S量とO量
に応じて変えることができ、この規定を満たすことによ
り、Agメッキ性およびハンダ性を高いレベルとし、かつ
本発明で意図する熱間加工性をより高いレベルとするこ
とができる。すなわち、図2はAgメッキ性、ハンダ性、
スラブ疵取り量と〔Ca〕+〔Mg〕/2、〔S〕+〔O〕/5
の関係を示すが、( Ca + Mg/2 )/(S+O/5)が1
以上の場合、前記のCa、Mg量のそれぞれの規定を満たし
たときのみの場合に比べて、熱間加工性をより向上させ
ることができ、表面疵取り量を小さくすることができ
る。
に応じて変えることができ、この規定を満たすことによ
り、Agメッキ性およびハンダ性を高いレベルとし、かつ
本発明で意図する熱間加工性をより高いレベルとするこ
とができる。すなわち、図2はAgメッキ性、ハンダ性、
スラブ疵取り量と〔Ca〕+〔Mg〕/2、〔S〕+〔O〕/5
の関係を示すが、( Ca + Mg/2 )/(S+O/5)が1
以上の場合、前記のCa、Mg量のそれぞれの規定を満たし
たときのみの場合に比べて、熱間加工性をより向上させ
ることができ、表面疵取り量を小さくすることができ
る。
【0041】一方、( Ca + Mg/2 )/(S+O/5)
が1未満の場合は、Ca、Mg、S、O量がそれぞれ本発明
規定内の場合であっても、S、Oを完全に安定無害な析
出物として固定化できないため、基本的には、本発明で
意図する高い熱間加工性は有しているものの、( Ca +
Mg/2 )/(S+O/5)≧1 の場合のような飛躍的な
熱間加工性の向上は得られない。以上により本発明で意
図する熱間加工性をより向上させ、かつ、Agメッキ性と
ハンダ性を高いレベルにするための条件として( Ca +
Mg/2 )/(S+O/5)≧1 を定めた。
が1未満の場合は、Ca、Mg、S、O量がそれぞれ本発明
規定内の場合であっても、S、Oを完全に安定無害な析
出物として固定化できないため、基本的には、本発明で
意図する高い熱間加工性は有しているものの、( Ca +
Mg/2 )/(S+O/5)≧1 の場合のような飛躍的な
熱間加工性の向上は得られない。以上により本発明で意
図する熱間加工性をより向上させ、かつ、Agメッキ性と
ハンダ性を高いレベルにするための条件として( Ca +
Mg/2 )/(S+O/5)≧1 を定めた。
【0042】以上のような成分規定により、本発明で対
象とするFe−Ni系合金のAgメッキ性、ハンダ性を向上さ
せつつ、熱間加工性の向上を達成しうるが、以下に示す
ような、分塊圧延工程における加熱炉の雰囲気、加熱、
加工条件の適正化により、上記の特性について一層の向
上を達成し得る。
象とするFe−Ni系合金のAgメッキ性、ハンダ性を向上さ
せつつ、熱間加工性の向上を達成しうるが、以下に示す
ような、分塊圧延工程における加熱炉の雰囲気、加熱、
加工条件の適正化により、上記の特性について一層の向
上を達成し得る。
【0043】先ず、Siの成分偏析をより低減する方法の
1つとしては、分塊圧延における加熱温度、保持時間、
加工条件の適正化である。すなわち、造塊法による鋼塊
又は連続鋳造によるスラブを分塊圧延するに際して、加
熱と圧延を1回だけで行なう1ヒートの分塊の場合、図
3に示すように、 1150≦T(℃)≦1300・・・(V)式 log t≧7.71−5.33×10-3T・・・・(VI) 式 log t≦8.00−5.33×10-3T・・・・(VII)式 但し、これらの式において、tは保持時間(hr) であ
り、Tは加熱温度(℃)であり、以下これらを単にt、
Tという、のV〜VII 3式を満たした条件下で加熱し、
分塊圧延での加工を断面減少率35%以上で行ない、圧
延後徐冷することによりSiの成分偏析率を10%以下と
することができ、かつ分塊圧延により得られたスラブの
疵取り量を5mm以下とすることができる。
1つとしては、分塊圧延における加熱温度、保持時間、
加工条件の適正化である。すなわち、造塊法による鋼塊
又は連続鋳造によるスラブを分塊圧延するに際して、加
熱と圧延を1回だけで行なう1ヒートの分塊の場合、図
3に示すように、 1150≦T(℃)≦1300・・・(V)式 log t≧7.71−5.33×10-3T・・・・(VI) 式 log t≦8.00−5.33×10-3T・・・・(VII)式 但し、これらの式において、tは保持時間(hr) であ
り、Tは加熱温度(℃)であり、以下これらを単にt、
Tという、のV〜VII 3式を満たした条件下で加熱し、
分塊圧延での加工を断面減少率35%以上で行ない、圧
延後徐冷することによりSiの成分偏析率を10%以下と
することができ、かつ分塊圧延により得られたスラブの
疵取り量を5mm以下とすることができる。
【0044】なお、(V)式の下限未満または(VII)式
を満たさない場合は、最終板厚でのSiの偏析率が10%
超となり、不適である。また、(V)式の上限超、また
は(VII)式を満たさない場合は、分塊圧延後のスラブの
疵取り量(片面当り)が5mmを超え、熱間歩留りが悪
く、本発明の範囲外である。
を満たさない場合は、最終板厚でのSiの偏析率が10%
超となり、不適である。また、(V)式の上限超、また
は(VII)式を満たさない場合は、分塊圧延後のスラブの
疵取り量(片面当り)が5mmを超え、熱間歩留りが悪
く、本発明の範囲外である。
【0045】更に、前記鋼塊または連続鋳造スラブを分
塊圧延するに際して、加熱と圧延を2回で行なう2ヒー
トの分塊の場合、1ヒートに比べてよりSiのミクロ偏析
を低いレベルとすることができる。この場合、図4に示
すように、 1150≦T(℃)≦1300・・・(VIII) 式 log t≧7.40−5.33×10-3T・・・・(IX) 式 log t≦7.71−5.33×10-3T・・・・(X)式 のVIII〜X式を満たした条件で加熱し、1回目の分塊圧
延での加工を断面減少率20〜70%で行い、圧延後、
前記3式を満たす条件にて再加熱し、そののち2回目の
分塊圧延にて、断面減少率20〜70%範囲内にて加工
し、その加工後徐冷することによりSiの成分偏析率を1
0%以下とすることができ、且つ分塊圧延により得られ
たスラブの疵取り量を5mm以下とすることができる。
塊圧延するに際して、加熱と圧延を2回で行なう2ヒー
トの分塊の場合、1ヒートに比べてよりSiのミクロ偏析
を低いレベルとすることができる。この場合、図4に示
すように、 1150≦T(℃)≦1300・・・(VIII) 式 log t≧7.40−5.33×10-3T・・・・(IX) 式 log t≦7.71−5.33×10-3T・・・・(X)式 のVIII〜X式を満たした条件で加熱し、1回目の分塊圧
延での加工を断面減少率20〜70%で行い、圧延後、
前記3式を満たす条件にて再加熱し、そののち2回目の
分塊圧延にて、断面減少率20〜70%範囲内にて加工
し、その加工後徐冷することによりSiの成分偏析率を1
0%以下とすることができ、且つ分塊圧延により得られ
たスラブの疵取り量を5mm以下とすることができる。
【0046】なお、(VIII) 式の下限未満、または(I
X) 式を満たさない場合は、最終板厚でのSiの偏析率が
10%超となり不適である。また、(VIII) 式の上限超
または(X)式を満たさない場合は、分塊圧延後のスラ
ブの疵取り量(片面当り)が5mmを超え、熱間歩留りが
悪く、本発明の範囲外である。
X) 式を満たさない場合は、最終板厚でのSiの偏析率が
10%超となり不適である。また、(VIII) 式の上限超
または(X)式を満たさない場合は、分塊圧延後のスラ
ブの疵取り量(片面当り)が5mmを超え、熱間歩留りが
悪く、本発明の範囲外である。
【0047】加熱時の加熱炉の雰囲気中のH2S 濃度制御
により分塊圧延時の表面疵発生をより低レベルにするこ
とができる。すなわち、加熱雰囲気中のH2S が100pp
m を超える場合、Sによる粒界脆化が表面およびその近
傍でおこり、分塊圧延後に表面疵発生が多くなり、前記
の成分および加熱雰囲気以外の分塊条件を本発明規定内
とした場合でも、スラブの疵取り量(片面当り)が5mm
を超えるため、H2S の濃度の上限を100ppm とした。
により分塊圧延時の表面疵発生をより低レベルにするこ
とができる。すなわち、加熱雰囲気中のH2S が100pp
m を超える場合、Sによる粒界脆化が表面およびその近
傍でおこり、分塊圧延後に表面疵発生が多くなり、前記
の成分および加熱雰囲気以外の分塊条件を本発明規定内
とした場合でも、スラブの疵取り量(片面当り)が5mm
を超えるため、H2S の濃度の上限を100ppm とした。
【0048】更に、分塊圧延後の冷却を徐冷とすること
によりSiの成分偏析率をより低いレベルとすることがで
きる。即ち、Siの成分偏析を本発明で意図するレベルま
で低減する方法は、上記の方法に加え、インゴット製造
時の偏析防止、急冷凝固(薄鋳片に鋳造)、具体的に
は、鋳造時の電磁攪拌、一方向凝固、軽圧下鋳造、偏平
鋼塊の採用による凝固時間の短縮、または、条製造工程
中においては熱間加工、温間加工、冷間加工とそれぞれ
1種以上の加工と、熱処理の組み合わせにより達成でき
る。
によりSiの成分偏析率をより低いレベルとすることがで
きる。即ち、Siの成分偏析を本発明で意図するレベルま
で低減する方法は、上記の方法に加え、インゴット製造
時の偏析防止、急冷凝固(薄鋳片に鋳造)、具体的に
は、鋳造時の電磁攪拌、一方向凝固、軽圧下鋳造、偏平
鋼塊の採用による凝固時間の短縮、または、条製造工程
中においては熱間加工、温間加工、冷間加工とそれぞれ
1種以上の加工と、熱処理の組み合わせにより達成でき
る。
【0049】
【実施例】本発明によるものの具体的な実施例について
説明すると、以下の如くである。 (実施例1)Fe−Ni系合金を電気炉にて出鋼し、その後
に取鍋精錬を行なうことにより7トン鋼塊を得た。な
お、このものの出鋼後の取鍋精錬は、CaO :40%以下
のMgO-CaO 系耐火物よりなる取鍋を使用し、溶滓の成分
がwt%で、〔CaO 〕/〔SiO2〕:0.65〜0.8、Al
2O3 :3%以下、MgO :15%以下のCaO −SiO2−Al2O
3 系のものであり、これにより処理することで、次の表
1の化学成分のような合金を得た。
説明すると、以下の如くである。 (実施例1)Fe−Ni系合金を電気炉にて出鋼し、その後
に取鍋精錬を行なうことにより7トン鋼塊を得た。な
お、このものの出鋼後の取鍋精錬は、CaO :40%以下
のMgO-CaO 系耐火物よりなる取鍋を使用し、溶滓の成分
がwt%で、〔CaO 〕/〔SiO2〕:0.65〜0.8、Al
2O3 :3%以下、MgO :15%以下のCaO −SiO2−Al2O
3 系のものであり、これにより処理することで、次の表
1の化学成分のような合金を得た。
【0050】
【表1】
【0051】上記したように得られたNo. 1〜No. 19
およびNo. 21の鋼塊を手入れの後、1200℃で12
時間加熱し、1次分塊にて断面減少率60%で分塊圧延
を行ない、しかるのち1200℃で12時間加熱し、2
次分塊にて断面減少率45%で分塊圧延を行ない、徐冷
することによりスラブを得た。なお、合金No. 20は供
試材No. 1と同じ成分を有する7トン鋼塊を手入れ後、
1200℃にて15時間加熱し、断面減少率78%で分
塊圧延を行ない、徐冷することにより、スラブを準備し
た。加熱炉の雰囲気ガス中のH2S 濃度は55ppm であ
る。
およびNo. 21の鋼塊を手入れの後、1200℃で12
時間加熱し、1次分塊にて断面減少率60%で分塊圧延
を行ない、しかるのち1200℃で12時間加熱し、2
次分塊にて断面減少率45%で分塊圧延を行ない、徐冷
することによりスラブを得た。なお、合金No. 20は供
試材No. 1と同じ成分を有する7トン鋼塊を手入れ後、
1200℃にて15時間加熱し、断面減少率78%で分
塊圧延を行ない、徐冷することにより、スラブを準備し
た。加熱炉の雰囲気ガス中のH2S 濃度は55ppm であ
る。
【0052】これらのスラブを手入れし酸化防止剤を塗
布後、加熱温度1100℃で加熱してから熱間圧延を行
なった。なおこの際、1000℃以上での合計圧下率は
82%であり、850℃以上での合計圧下率は98%で
あって、熱間圧延された熱延コイルの巻取り温度は55
0〜750℃であった。スラブの表面疵発生は目視観察
およびカラーチェックにより調べた。表面疵取り量はス
ラブ表面を溶剤・グラインダーにより表面疵がなくなる
まで手入れして、その手入れ前後のスラブの幅厚さの変
化を測定することにより求めた。合金中の微細な内部割
れは、合金鋼帯のUST検査により調べた。
布後、加熱温度1100℃で加熱してから熱間圧延を行
なった。なおこの際、1000℃以上での合計圧下率は
82%であり、850℃以上での合計圧下率は98%で
あって、熱間圧延された熱延コイルの巻取り温度は55
0〜750℃であった。スラブの表面疵発生は目視観察
およびカラーチェックにより調べた。表面疵取り量はス
ラブ表面を溶剤・グラインダーにより表面疵がなくなる
まで手入れして、その手入れ前後のスラブの幅厚さの変
化を測定することにより求めた。合金中の微細な内部割
れは、合金鋼帯のUST検査により調べた。
【0053】上記のようにして得られた熱延コイルは脱
スケール後、冷延、焼鈍を繰返し、最終に調質圧延を施
し、所要の表面粗度を有する板厚0.15mmの合金板を夫
々得、そののちに歪取り焼鈍を行い、合金板を得た。然
してこれらの各合金板の板面におけるSiの偏析率はEP
MAによるマッピングアナライザー(面分析)により調
査した。
スケール後、冷延、焼鈍を繰返し、最終に調質圧延を施
し、所要の表面粗度を有する板厚0.15mmの合金板を夫
々得、そののちに歪取り焼鈍を行い、合金板を得た。然
してこれらの各合金板の板面におけるSiの偏析率はEP
MAによるマッピングアナライザー(面分析)により調
査した。
【0054】銀メッキ性は前記合金薄板を脱脂→酸洗の
前処理後、厚さ1μm のAgメッキを施した後、450℃
×5min 大気中で加熱し、メッキフクレの発生の有無を
50倍に拡大して調べることにより行った。
前処理後、厚さ1μm のAgメッキを施した後、450℃
×5min 大気中で加熱し、メッキフクレの発生の有無を
50倍に拡大して調べることにより行った。
【0055】ハンダ性は前記合金薄板上に1.5μm 厚さ
のスズメッキを施した素材を用い、メニスコグラフ法に
より、ハンダ組成Sn60%、Pb40%、ハンダ浴温度2
35±5℃、ハンダ浴浸漬深さ2mm、ハンダ浴浸漬時間
5秒の条件でハンダ浴中に浸漬し、評価は、ハンダ濡れ
時間t2 で行なった。また供試材を大気中100℃で加
熱して、ハンダ性の劣化の程度も調べた。これらの結果
は次の表2に示す如くである。
のスズメッキを施した素材を用い、メニスコグラフ法に
より、ハンダ組成Sn60%、Pb40%、ハンダ浴温度2
35±5℃、ハンダ浴浸漬深さ2mm、ハンダ浴浸漬時間
5秒の条件でハンダ浴中に浸漬し、評価は、ハンダ濡れ
時間t2 で行なった。また供試材を大気中100℃で加
熱して、ハンダ性の劣化の程度も調べた。これらの結果
は次の表2に示す如くである。
【0056】
【表2】
【0057】すなわち、供試材No. 1、2、3、4は
C、N、S、O、P、Si、Ca、Mg、[Ca] + [Mg]/2 、
[C]/10+[N]/10+[S] +[O]/5 +[P]/2 、([Ca]+[Mg]
/2)/([S] +[O]/5 )、Siの偏析率が本発明規定内で
あり、表面疵発生は少なく、Agメッキ性、ハンダ性も優
れレベルを示しており、本発明で意図する効果が発揮さ
れている。とくに、供試材No. 1、3、4はC、N、
S、O、Pがより好ましいレベルまで低減されたもので
あり、Agメッキ性、ハンダ性もより優れたレベルにあ
る。これに対して、供試材No. 5、6の各材はそれぞれ
C、Nが本発明規定量を超えるものであり、表面疵発生
が多い。
C、N、S、O、P、Si、Ca、Mg、[Ca] + [Mg]/2 、
[C]/10+[N]/10+[S] +[O]/5 +[P]/2 、([Ca]+[Mg]
/2)/([S] +[O]/5 )、Siの偏析率が本発明規定内で
あり、表面疵発生は少なく、Agメッキ性、ハンダ性も優
れレベルを示しており、本発明で意図する効果が発揮さ
れている。とくに、供試材No. 1、3、4はC、N、
S、O、Pがより好ましいレベルまで低減されたもので
あり、Agメッキ性、ハンダ性もより優れたレベルにあ
る。これに対して、供試材No. 5、6の各材はそれぞれ
C、Nが本発明規定量を超えるものであり、表面疵発生
が多い。
【0058】供試材No. 7、8、9の各材はそれぞれ、
S、O、Pが本発明規定量を超えるものであり、表面疵
発生は本発明例に比べて多く、Agメッキ性、ハンダ性の
1種以上が劣っている。とくにNo. 8の材料ではSiが本
発明の規定未満のものであり、Oが本発明規定を超えて
いる。このように脱酸剤としてのSiの適正添加が必要な
ことが理解される。
S、O、Pが本発明規定量を超えるものであり、表面疵
発生は本発明例に比べて多く、Agメッキ性、ハンダ性の
1種以上が劣っている。とくにNo. 8の材料ではSiが本
発明の規定未満のものであり、Oが本発明規定を超えて
いる。このように脱酸剤としてのSiの適正添加が必要な
ことが理解される。
【0059】供試材No. 10、20の各材は、それぞ
れ、Siの上限を超えるもの、Siの偏析率が本発明規定の
上限を超えるものであるが、とくにAgメッキ性、ハンダ
性は供試材No. 1、2、3、4に比べて劣っている。特
にNo.11材は特開昭62−207845の特徴とする
成分であるが、熱間加工性は著しく悪く、表面疵発生が
極めて多く、表面疵取り量も多く、製造性に問題を有し
ていることがわかる。また、厚さ1μm のAgメッキ性、
ハンダ性は本発明例(No.1、2、3、4材)よりやや
劣っている。
れ、Siの上限を超えるもの、Siの偏析率が本発明規定の
上限を超えるものであるが、とくにAgメッキ性、ハンダ
性は供試材No. 1、2、3、4に比べて劣っている。特
にNo.11材は特開昭62−207845の特徴とする
成分であるが、熱間加工性は著しく悪く、表面疵発生が
極めて多く、表面疵取り量も多く、製造性に問題を有し
ていることがわかる。また、厚さ1μm のAgメッキ性、
ハンダ性は本発明例(No.1、2、3、4材)よりやや
劣っている。
【0060】供試材No. 12、14、16の各材は、そ
れぞれCa、Mg、 Ca+ Mg/2 が本発明規定の上限を超え
るものであり、Agメッキ性、ハンダ性は本発明例に比べ
て劣っている。
れぞれCa、Mg、 Ca+ Mg/2 が本発明規定の上限を超え
るものであり、Agメッキ性、ハンダ性は本発明例に比べ
て劣っている。
【0061】また、供試材No. 13、15、17の各材
はそれぞれ、Ca、Mg、〔Ca〕+〔Mg〕/2が本発明規定の
下限未満のものであり、微細な内部ワレ発生がややみら
れハンダ性は本発明例(No. 1、2、3、4材)より劣
り、表面疵発生は多く、表面疵取り量も多い。
はそれぞれ、Ca、Mg、〔Ca〕+〔Mg〕/2が本発明規定の
下限未満のものであり、微細な内部ワレ発生がややみら
れハンダ性は本発明例(No. 1、2、3、4材)より劣
り、表面疵発生は多く、表面疵取り量も多い。
【0062】更に、供試材No. 18は、[C]/10+[N]/10
+[S] +[O]/5 +[P]/2 が本発明規定を超える場合であ
り、この場合、微細な内部ワレ発生がみられ、ハンダ性
に特に著しい劣化がみられ、表面疵発生もNo. 1、2、
3、4の材料に比べて多くなっている。
+[S] +[O]/5 +[P]/2 が本発明規定を超える場合であ
り、この場合、微細な内部ワレ発生がみられ、ハンダ性
に特に著しい劣化がみられ、表面疵発生もNo. 1、2、
3、4の材料に比べて多くなっている。
【0063】供試材No. 19は([Ca]+[Mg]/2)/
([S] +[O]/5 )が本発明規定外のものであるが、表面
疵取り量は供試材No. 1、2、3、4の材料に比べて多
くなっている。供試材No. 21は、Hが本発明規定外の
ものであり、Agメッキ性、ハンダ性に劣化がみられる。
とくに、ハンダ性は、スズメッキ時のウイスカーが発生
する場合、劣化がみられ、これらの間に良い相関がみら
れている。
([S] +[O]/5 )が本発明規定外のものであるが、表面
疵取り量は供試材No. 1、2、3、4の材料に比べて多
くなっている。供試材No. 21は、Hが本発明規定外の
ものであり、Agメッキ性、ハンダ性に劣化がみられる。
とくに、ハンダ性は、スズメッキ時のウイスカーが発生
する場合、劣化がみられ、これらの間に良い相関がみら
れている。
【0064】以上のように、リードフレーム用Fe−Ni系
合金においても、本発明で規定される成分およびSiの偏
析率の制御のもとではじめて、本発明で意図する効果が
得られることがわかる。とくに、本発明で特徴とする合
金は、たとえば、Siの偏析率を低減する手法として、分
塊圧延以外の方法を用いた際でも、本質的に熱間加工性
は高い合金であるため、条製造工程中の歩留りは高いと
いう利点も有している。たとえば、本合金の溶鋼を急冷
凝固して、薄鋳片を作製する場合でも、表面疵の発生を
極めて少なく歩留りは高い。
合金においても、本発明で規定される成分およびSiの偏
析率の制御のもとではじめて、本発明で意図する効果が
得られることがわかる。とくに、本発明で特徴とする合
金は、たとえば、Siの偏析率を低減する手法として、分
塊圧延以外の方法を用いた際でも、本質的に熱間加工性
は高い合金であるため、条製造工程中の歩留りは高いと
いう利点も有している。たとえば、本合金の溶鋼を急冷
凝固して、薄鋳片を作製する場合でも、表面疵の発生を
極めて少なく歩留りは高い。
【0065】(実施例2)前記した実施例1における供
試材No. 1およびNo. 3と同じ成分を有する鋼塊を手に
入れ後、次の表3に示すような分塊圧延条件にて、分塊
圧延後、徐冷することにより、スラブを得た。以降は、
実施例1と同様の製造条件にて、板厚0.15mmの合金板
を得た。
試材No. 1およびNo. 3と同じ成分を有する鋼塊を手に
入れ後、次の表3に示すような分塊圧延条件にて、分塊
圧延後、徐冷することにより、スラブを得た。以降は、
実施例1と同様の製造条件にて、板厚0.15mmの合金板
を得た。
【0066】
【表3】
【0067】Siの偏析率、表面疵発生、表面疵取り量、
ハンダ性、銀メッキ性、微細な内部割れ発生は実施例1
と同様な手法により調べた。結果は次の表4の如くであ
る。
ハンダ性、銀メッキ性、微細な内部割れ発生は実施例1
と同様な手法により調べた。結果は次の表4の如くであ
る。
【0068】
【表4】
【0069】すなわち、供試材No. 22、23、27、
28の各材は、加熱炉雰囲気におけるH2S 濃度、分塊圧
延の加熱温度、加熱時間、加工度が本発明規定内となっ
ており、表面疵発生は少なく、Agメッキ性、ハンダ性は
優れたレベルにある。
28の各材は、加熱炉雰囲気におけるH2S 濃度、分塊圧
延の加熱温度、加熱時間、加工度が本発明規定内となっ
ており、表面疵発生は少なく、Agメッキ性、ハンダ性は
優れたレベルにある。
【0070】これに対して供試材No. 24、25、2
9、30、34、35の各材はそれぞれ、1ヒート分塊
での加工度が本発明規定の下限を下まわるもの、1ヒー
ト分塊での加熱時間が(III)式の下限未満のもの、2ヒ
ート分塊での1ヒート目の加熱時間が(IV) 式の下限未
満のもの、2ヒート分塊での2ヒート目の加工度が本発
明規定の下限を下まわるもの、2ヒート分塊で1ヒート
目、2ヒート目の加熱温度が本発明規定の下限未満のも
の、2ヒート分塊での1ヒート目の加工度が本発明規定
の下限を下まわるものであるが、いずれもSiの偏析率
は、10%を超えており、Agメッキ性、ハンダ性に問題
がある。
9、30、34、35の各材はそれぞれ、1ヒート分塊
での加工度が本発明規定の下限を下まわるもの、1ヒー
ト分塊での加熱時間が(III)式の下限未満のもの、2ヒ
ート分塊での1ヒート目の加熱時間が(IV) 式の下限未
満のもの、2ヒート分塊での2ヒート目の加工度が本発
明規定の下限を下まわるもの、2ヒート分塊で1ヒート
目、2ヒート目の加熱温度が本発明規定の下限未満のも
の、2ヒート分塊での1ヒート目の加工度が本発明規定
の下限を下まわるものであるが、いずれもSiの偏析率
は、10%を超えており、Agメッキ性、ハンダ性に問題
がある。
【0071】一方、供試材No. 26、31、33の各材
はそれぞれ、1ヒート分塊での加熱時間が(III)式の上
限を超えるもの、2ヒート分塊での2ヒート目の加熱時
間が(IV) 式の上限を超えるもの、1ヒート分塊での加
熱温度が本発明規定の上限を超えるものであり、いずれ
も表面疵発生は本発明例(供試材No. 22、23、2
7、28)に比べて多く、表面疵取り量も多い。供試材
No. 32は加熱炉中のH2S 濃度が本発明規定を超えるも
のであり、分塊での加熱・加工条件は本発明規定内にあ
るが、表面疵発生は極めて多い。
はそれぞれ、1ヒート分塊での加熱時間が(III)式の上
限を超えるもの、2ヒート分塊での2ヒート目の加熱時
間が(IV) 式の上限を超えるもの、1ヒート分塊での加
熱温度が本発明規定の上限を超えるものであり、いずれ
も表面疵発生は本発明例(供試材No. 22、23、2
7、28)に比べて多く、表面疵取り量も多い。供試材
No. 32は加熱炉中のH2S 濃度が本発明規定を超えるも
のであり、分塊での加熱・加工条件は本発明規定内にあ
るが、表面疵発生は極めて多い。
【0072】以上より、化学成分を本発明規定内とした
場合でも、分塊圧延での条件も本発明規定内とすること
が必要であることが理解される。
場合でも、分塊圧延での条件も本発明規定内とすること
が必要であることが理解される。
【0073】
【発明の効果】以上説明したような、本発明によれば、
ICリードフレームでのAgメッキ性を従来より向上さ
せ、かつハンダ性も優れ、さらには、製造時の歩留りも
向上させる合金およびその好ましい製造方法を提供する
ことができるものであり、その工業的価値の極めて大き
い発明である。
ICリードフレームでのAgメッキ性を従来より向上さ
せ、かつハンダ性も優れ、さらには、製造時の歩留りも
向上させる合金およびその好ましい製造方法を提供する
ことができるものであり、その工業的価値の極めて大き
い発明である。
【図1】Agメッキ性、ハンダ性、スラブ疵取り量とCa、
Mg量の関係を示した図表である。
Mg量の関係を示した図表である。
【図2】Agメッキ性、ハンダ性、スラブ疵取り量[Ca]+
1/2[Mg] 、[S] +1/5[O]の関係を示した図表である。
1/2[Mg] 、[S] +1/5[O]の関係を示した図表である。
【図3】分塊圧延での断面減少率≧35%の場合におい
て、最終板厚でのSiの偏析率、スラブ疵取り量と加熱温
度、加熱時間の関係を要約して示した図表である。
て、最終板厚でのSiの偏析率、スラブ疵取り量と加熱温
度、加熱時間の関係を要約して示した図表である。
【図4】1次分塊、2次分塊での断面減少率が20〜7
0%の場合において、最終板厚でのSiの偏析率、スラブ
疵取り量と加熱温度、加熱保持時間の関係を要約して示
した図表である。
0%の場合において、最終板厚でのSiの偏析率、スラブ
疵取り量と加熱温度、加熱保持時間の関係を要約して示
した図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/08 C22C 38/08 C22F 1/10 C22F 1/10 Z H01L 23/48 H01L 23/48 V (72)発明者 大北 智良 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 沖本 伸一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−197646(JP,A) 特開 平3−197641(JP,A) 特開 平4−191316(JP,A)
Claims (6)
- 【請求項1】 Ni: 38〜52wt%、 C: 0.0050wt%以下、 Al: 0.010wt%以下、 N:0.0020wt%以下、 S: 0.0020wt%以下、 O: 0.0040wt%以下、 H:1ppm 以下、 P: 0.0040wt%以下、 Si: 0.01 〜0.10wt%、 Ca: 0.0002〜0.0020wt%、 Mg: 0.0003〜0.0020wt%、 [Ca]+[Mg]/2 : 0.0005 〜0.0025wt% を含有し、かつ [C]/10+[N]/10+[S] +[O]/5 +[P]/2 : 0.0045wt%、 ([Ca] +[Mg]/2) /([S] +[O]/5 )≧1 の関係を満たし、残部は実質的に不可避不純物およびFe
の成分組成からなり、しかもその合金鋼帯のエッチング
直前またはプレス打抜き直前での合金板表面におけるSi
の成分偏析率、すなわち、 〔|偏析域の成分濃度−平均成分濃度|/平均成分濃度〕×100……(I)式 が10%以下であることを特徴とするメッキ性に優れた
Fe−Ni系合金。 - 【請求項2】 Ni: 27〜30wt%、 C:0.0050wt%以下、 Co:5〜18%、 Al: 0.010 wt%以下、 N:0.0020wt%以下、 S:0.0020 wt%以下、 O:0.0040wt%以下、 H:1ppm 以下、 P:0.0040 wt%以下、 Si: 0.01〜0.10 wt %、 Ca:0.0002〜0.0020wt%、 Mg: 0.0003〜0.0020wt%、 [Ca]+[Mg]/2 : 0.0005 〜0.0025wt% を含有し、かつ [C]/10+[N]/10+[S] +[O]/5 +[P]/2 : 0.0045wt%、 ([Ca]+[Mg]/2)/([S] +[O]/5 )≧1 の関係を満たし、残部は実質的に不可避不純物およびFe
の成分組成からなり、しかもその合金鋼帯のエッチング
直前またはプレス打抜き直前での合金板表面におけるSi
の成分偏析率、すなわち、 〔|偏析域の成分濃度−平均成分濃度|/平均成分濃度〕×100……(I)式 が10%以下であることを特徴とするメッキ性に優れた
Fe−Ni系合金。 - 【請求項3】 請求項1に記載の成分組成を有する合金
を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造塊
法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、分
塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1回
または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場合
は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延−
歪取り焼鈍の工程でエッチング直前またはプレス打抜き
前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱炉に
おける加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm 以下、加
熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度に達し
てからの保持時間t(hr) を加熱温度T(℃)に応じ
て、 7.71-5.33 ×10-3T ≦log t ≦8.00-5.33 ×10-3T ……(II) 式 とし、分塊圧延での断面減少率を35%以上となし、分
塊圧延後徐冷することにより前記したエッチングが直前
またはプレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析
率(前記(I)式)を10%以下とすることを特徴とす
るメッキ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。 - 【請求項4】 請求項1に記載の成分組成を有する合金
を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造塊
法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、分
塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1回
または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場合
は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延−
歪取り焼鈍の工程でエッチング直前またはプレス打抜き
前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱炉に
おける加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm 以下、加
熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度に達し
てからの保持時間t(hr) を加熱温度T(℃)に応じ
て、 7.40-5.33 ×10-3T ≦log t ≦7.71-5.33 ×10-3T ……(III)式 とし、1次分塊圧延を断面積減少率20〜70%で行
い、次いで前記加熱雰囲気にて加熱温度1150〜13
00℃で前記(III) 式の関係の範囲内で加熱し、その後
2次分塊圧延を断面積減少率20〜70%とし、分塊圧
延後徐冷することにより前記したエッチング直前または
プレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析率( 前
記(I)式)を10%以下とすることを特徴とするメッ
キ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。 - 【請求項5】 請求項2に記載と成分組成を有する合金
を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造塊
法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、分
塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1回
または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場合
は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延−
歪取り焼鈍の工程でエッチング直前またはプレス打抜き
前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱炉に
おける加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm 以下、加
熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度に達し
てからの保持時間t(hr)を加熱温度T(℃)に応じて、 7.71-5.33 ×10-3T ≦log t ≦8.00-5.33 ×10-3T ……(II) 式 とし、分塊圧延での断面減少率を35%以上となし、分
塊圧延後徐冷することにより前記したエッチングが直前
またはプレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析
率(前記(I)式)を10%以下とすることを特徴とす
るメッキ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。 - 【請求項6】 請求項2に記載の成分組成を有する合金
を造塊法または連続鋳造法により製造するに際して造塊
法による鋼塊または連続鋳造法によるスラブを以降、分
塊圧延−疵取り−熱間圧延−脱スケール・疵取り−1回
または2回以上の冷間圧延(2回以上の冷間圧延の場合
は中間に再結晶焼鈍を行う)−再結晶焼鈍−調質圧延−
歪取り焼鈍の工程でエッチング直前またはプレス打抜き
前の合金薄板を得るに当り、分塊圧延工程での加熱炉に
おける加熱雰囲気中のH2S の濃度を100ppm 以下、加
熱温度を1150〜1300℃とし、該加熱温度に達し
てからの保持時間t(hr)を加熱温度T(℃)に応じて、 7.40-5.33 ×10-3T ≦log t ≦7.71-5.33 ×10-3T ……(III)式 とし、1次分塊圧延を断面積減少率20〜70%で行
い、次いで前記加熱雰囲気にて加熱温度1150〜13
00℃で前記(III) 式の関係の範囲内で加熱し、その後
2次分塊圧延を断面積減少率20〜70%とし、分塊圧
延後徐冷することにより前記したエッチング直前または
プレス打抜き前の合金薄板表面でのSiの成分偏析率( 前
記(I)式)を10%以下とすることを特徴とするメッ
キ性に優れたFe−Ni系合金の製造法。
Applications Claiming Priority (2)
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JP3-350717 | 1991-12-12 | ||
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1991
- 1991-12-27 JP JP35816291A patent/JP2663777B2/ja not_active Expired - Fee Related
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