JP3384318B2 - 酸化物分散低熱膨張合金 - Google Patents
酸化物分散低熱膨張合金Info
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Description
性、冷間加工性等を有する低熱膨張合金に関する。
するものが非常に小さい線膨張係数を有することはイン
バ−効果として広く知られている。その代表的なものと
して、Fe-36% Ni、Fe-42% Ni等のFe-Ni合金が挙げら
れる。これらはその低い熱膨張係数を活かして、温度変
化による伸縮が問題となる部位、例えば液体窒素温度(-
196℃)に冷却される液化天然ガスの貯槽やその周辺機器
に使用され始めようとしている。しかし、これら低熱膨
張合金は熱間での加工性が非常に悪く、熱間圧延の圧延
トップ、テイルの端面や表面に割れまたは疵を生じ、著
しく歩留まりが低下する。この原因は、鋳造時の結晶粒
界に不純物元素のP、S、O等が偏析し、粒界に燐化物、
硫化物、酸化物等が生成されるためであるといわれてい
る。
S、O、C、N、Mn、Al、量をそれぞれ制限し、さらに、
C、Nが過剰に含まれる場合にはTiを添加することにより
熱間加工性を改善する合金が提案されている(特公昭55
-42141号公報)。また、PとSの合計を0.020%以下に低減
するとともにTi、Nb、V、Al、Ta、Zr、La、CeおよびYの
いずれか1種を0.005%〜0.10%含有させるとともにCaお
よびMgのいずれか少なくとも1種を0.002〜0.03%含有さ
せることにより熱間加工性を改善しうる合金が提案され
ている(特公昭57-15656号公報)。また、P+3・Sを0.009
wt%以下にし、かつO(酸素)を0.0030%以下、清浄度を0.0
5%以下とすることにより、高温脆化を防止する合金の提
案もある(特公昭57-35260号公報)。しかしながら、不
純物元素P、S、O等の制限のみでは、後記する理由によ
り熱間加工性を問題ないレベルまで向上させることは不
可能である。また、Ti、Ca等の添加は窒化物や硫化物を
生成し、不純物の悪影響は軽減されるものの、これら窒
化物、硫化物により延性および靭性とくに-196℃での衝
撃値が劣化する。
0.001〜0.03%含ませることにより、粒界への不純物元素
の偏析を抑制し熱間加工性が改善する合金が提案された
(特公昭64-8696号公報)。しかし、Bの添加はBNを析出
し、このBNおよび固溶Bによりマトリックスを硬化さ
せ、冷間加工時に疵等を発生させる。
性、冷間加工性、延性および靭性とくに-196℃での衝撃
性質の全てにおいて優れた性能を備える低熱膨張合金は
知られていない。
加工性、冷間加工性、延性および靭性とくに-196℃での
衝撃特性に優れる低熱膨張合金を提供することにある。
で粒界破壊させた上記低熱膨張合金の粒界破面に対して
オージェ電子分光法等を適用して不純物元素の粒界偏析
についての解析を行った。その結果、熱間加工性の劣化
の原因は不純物元素S、P、Oが凝固時に粒界に偏析し粒
界の固着力を低下させ、かつこのとき生成する硫化物、
燐化物、酸化物等低融点の化合物が粒界破壊を促進する
ことを確認した。しかし、S、P、Oを現在の製鋼技術を
駆使して可能な限り低減しても熱間加工性の劣化は防止
できないことも同時に確認することができた。これは、
熱間加工前の加熱による結晶粒の粗大化により、粒界の
割れ感受性が一層高くなるためである。たとえS、P、O
を極限まで低減しても零にすることはできないので、割
れ感受性が高まった粒界にこれらの不純物がわずかでも
偏析すると熱間加工時等に粒界割れが発生する。
よりも結晶粒微細化作用を有するinsol.Al、CaおよびMg
の熱間加工性等に及ぼす影響について調査した。その結
果、insol.Al単独、またはこれら3種の元素のうち2種
を一定の狭い範囲に制御して含ませると結晶粒径が微細
になり、熱間加工性、冷間加工性、延性および靭性とく
に-196℃での衝撃性質が明瞭に向上する効果を認めるこ
とができた。
囲のinsol.Al、またはinsol.Al、CaおよびMgの2種以上
をある範囲内に含む合金中に生成する高融点の酸化物に
限られる。Al、CaおよびMgの2種以上を含んでも合金中
の含有率が式の範囲内に入らない場合、これらの元素
を含まない複合酸化物の場合およびSi、Mn等の低融点の
粗大酸化物が多量に含まれる場合には、細粒化組織は得
られない。かえって、それらの複合酸化物や粗大酸化物
のために冷間加工性、延性および靭性は劣化する。
物を生成するinsol.Alの範囲、およびinsol.Al、Ca、Mg
の範囲を詳細に調査し、現場での大型精錬設備での試作
を経て完成されたもので、その要旨は下記の低熱膨張合
金にある。
下、Si:0.2%以下、Mn:0.1〜0.6%、insol.Al:0.0002
〜0.003%、sol.Al:0.003%以下、O(酸素):0.001〜0.00
8%およびCo:0〜10%を含み、不可避的不純物のうちP、S
およびNをそれぞれP:0.01%以下、S:0.005%以下および
N:0.006%以下とし、残部が実質的にFeである合金。
下、Si:0.2%以下、Mn:0.1〜0.6%、O:0.001〜0.008
%、sol.Al:0.003%以下、Co:0〜10%を含み、かつ下記
の式を満たすようにinsol.Al、CaおよびMgの2種以上
を含み、不可避的不純物元素のうちP、S、Nが、それぞ
れP:0.01%以下、S:0.005%以下、N:0.006%以下であり
残部が実質的にFeであることを特徴とする低熱膨張合
金。
含む(1)または(2)の合金。
(1)または(2)の合金。
酸化物を清浄度で0.005〜0.10%以下含む(1)または
(2)の合金。
終の熱間加工後の合金、熱処理(焼鈍)後の合金、その
後冷間加工を施した合金、および冷間加工後焼鈍した合
金を対象とする。これに対して、上記(4)または
(5)の合金は最終加工後の合金、その後熱処理(焼
鈍)を施した合金および冷間加工後焼鈍した合金を対象
とする。
物のうちP、SおよびNは上記の範囲内に含まれ、そのほ
かに不可避的不純物を含んで残りがFeであることをい
う。
行う。本発明のように、OおよびAlを一定量含みS:0.005
%以下およびMn:0.1〜0.6%とした場合、MnS等の硫化物
は、光学顕微鏡の視野内で、その形態および色彩からAl
酸化物等と明瞭に識別される。したがって、硫化物を避
けてJIS G 0555に準拠して酸化物についてのみ清浄度を
測定することが容易にできる。平均結晶粒径は、JIS G
0551に準拠して測定する。
した理由について説明する。以後の説明において、合金
元素の「%」は「重量%」を表示する。
線膨張係数を得るためには、30〜45%を含有する必要が
あり、30%未満でも45%を超えても十分低い線膨張係数を
得ることはできない。望ましい下限は32%であり、さら
に望ましい下限は34%である。また、望ましい上限は43%
である。
素である。しかし、過剰に含むと、延性および靱性をと
もに低下させるため0.03%以下とする。さらに望ましい
上限は0.02%である。
有率0.2%を超えて高濃度で含まれるほど多量に添加する
と、融点の低いSi系の粗大な酸化物を生成し、熱間加工
性の劣化を招く。また、Mn等と複合酸化物を生成し、冷
間加工性の劣化を招くので、Si含有率は0.2%を上限とす
る。望ましい上限は0.15%であり、さらに望ましくは0.1
%である。下限は特に設ける必要はないが、極度に低く
すると精錬コストの著しい上昇を招くので、0.01%以上
とすることが望ましい。
し、Mn含有率が0.6%を超えるほど多量に添加すると、Si
と同様、低融点の粗大酸化物を生成し、熱間加工性、靱
性および延性を劣化させる。また、このとき生成する硫
化物は耐食性を劣化させる。このため、Mnは0.1〜0.6%
とする。さらに望ましい範囲は0.12〜0.55%であり、よ
り一層望ましくは0.1〜0.5%である。
低減する努力が継続してなされてきた。しかしながら、
Oは、Alと結合してAl系酸化物を生成し、オーステナイ
ト結晶粒の微細化を通じて熱間加工性の改善に寄与す
る。そのためには0.001%以上の含有率が必要である。し
かし、あまり高濃度に含む場合には複合酸化物やSi、Mn
等微細化に効果のない酸化物を生成し、かえって熱間加
工性および冷間加工性を劣化させる。また、酸化物の体
積率が増大すると、延性および-196℃での衝撃値を低下
させる。このため、Oは0.008%以下とする。さらに望ま
しい上限は0.006%である。
Alの合計、すなわちsol.Alは、熱間加工中または熱間加
工後冷却中にAlNとして分散し、分散硬化を招き、熱間
加工性を著しく劣化させ、靱性および延性を低下させ
る。そのため、0.003%以下とする。下限はとくに限定し
ないが、脱酸を十分行うために、sol.Alを0.0005%以上
含むことが望ましい。
スであるオ−ステナイト相を安定させる主要元素であ
り、Niと同様に線膨張係数を低下させる効果をもつ。そ
のため、10%以下の範囲で含有してもよい。しかし、10%
を超えると延性および-196℃での衝撃値の低下を招くと
ともに合金コストの大幅な上昇を招く。望ましい上限は
8%であり、さらに望ましい上限は5%である。
加される。O(酸素)と結合して酸化物insol.Alを生成し
て、結晶粒を微細化するとともに熱間加工時の結晶粒の
粗大化を抑制し、熱間加工性を改善する。insol.Alとは
酸化物を形成するAlの含有率を意味し、Alの態別分析に
おいて酸に溶解しないAlとして求められる値である。こ
の酸化物の効果を発現させるために必要なinsol.Alは、
0.0002%以上であり、さらに望ましくは0.0005%以上であ
る。しかし、insol.Alが0.003%を超えるとAl酸
化物が粗大化し効果が薄れるとともに、Al酸化物の体積
率が増大し、-196℃での靱性の低下を招くので上限は0.
003%とする。さらに望ましくは0.002%以下とする。
含むアルミ酸化物のみでも十分な細粒化効果を発揮する
が、つぎに説明するように、insol.Al、CaおよびMgのう
ちの2種以上を下記の範囲に含む場合も安定して細粒化
効果を得ることができる。
かつ式を満たす範囲(0.0002 ≦insol.Al+Ca+2・Mg ≦
0.006・・・・) Alは強力な脱酸元素であり、脱酸剤として添加される。
AlはO(酸素)と結合して酸化物を生成し、結晶粒を微細
化するとともに熱間加工時の結晶粒の粗大化を抑制し、
熱間加工性を改善する効果を有する。ここに、insol.Al
とは、酸化物として合金中に存在するAlの含有率をさ
す。すなわち、全Alから固溶Alと窒化物としてのAlの合
計を差し引いたAl含有率をさす。
であり、合金中ではほとんど全てが酸化物として存在す
る。これら酸化物は結晶粒を微細化し、熱間加工性、冷
間加工性の改善に寄与する。これら元素の効果を総合し
て判断する指標として、「insol.Al+Ca+2・Mg」を採用す
る。くり返しになるが、各元素記号はその元素の重量%
を表示する。したがって、この指標の値は重量%である
が、「重量%」は省略する。今後、この指標を“細粒化
指標”と呼ぶ。細粒化効果は、上記の元素のうちMgが最
も大きく、極微量の含有率で熱間加工性を改善する。し
たがって、上記の細粒化指標において、他の元素に比較
して2倍の重みづけがなされている。
間加工性、冷間加工性、延性および靭性を全て備えるた
めには、細粒化指標を0.0002以上とする。さらに望まし
くは0.0005以上とする。一方、細粒化指標が0.006を超
えると、酸化物が粗大化するとともに酸化物の清浄度
(体積率)が増大し、細粒化効果が低下し、延性および
-196℃での衝撃性質の低下を招くので、上限は0.006と
する。
記の範囲に限定しなければならない。
製品の溶接時の高温割れ感受性の低減のためには 0.01%
以下とする。望ましくは、0.008%以下である。下限は特
に設けないが、極度に低減するとコストの上昇を招くの
で、0.0005%以上とするのが望ましい。さらに望ましく
は0.0008%以上とする。
接時の高温割れ感受性、さらに多層溶接時の再熱割れ感
受性を極めて上昇させるので、0.005%以下とする必要が
ある。さらに0.004%以下とすることが望ましい。下限は
特に設けないが、極度に低減するとコストの上昇を招く
ので、0.0002%以上とすることが望ましい。さらに望ま
しくは0.0005%以上とする。
間加工時に固溶Alと結合して窒化物を生成し、マトリッ
クスを硬化させ、熱間加工性、冷間加工性、靱性および
延性を低下させる。そのため、上限は0.006%とする。ま
た、極度に低減することは精錬−鋳造コストの増大を招
くので、下限は特に設けないが、0.0005%以上とするこ
とが望ましい。
れ、適切な溶製および鋳造を行う限り、本発明の目標と
する熱間加工性、冷間加工性、延性および-196℃での衝
撃性質を確保することは出来る。しかし、溶製時に溶湯
を十分攪拌しない場合、Si等の酸化物の浮上が十分行わ
れずSi等の酸化物が多量に含まれるので、冷間加工性や
-196℃での衝撃値が低下する。O(酸素)、insol.Al、Si
およびMnが上記の本発明の定義範囲内にある場合、酸化
物の清浄度が0.1%を超えると延性および靭性が低下する
ので0.1%以下とする。さらに望ましくは0.08%以下とす
る。一方、酸化物の清浄度が0.005%未満のときオーステ
ナイト結晶粒は十分微細化されず、熱間加工性は良好と
いえるレベルまで向上しないので0.005%以上とする。さ
らに望ましくは0.008%以上とする。
は、加熱時の熱サイクルにより結晶粒が粗大化し割れが
生じることがある。また、製品の結晶粒が粗大であれば
冷間での成形加工により割れが発生しやすくなる。この
ような問題を防止するためには、製品の状態で平均結晶
粒径が100μm以下であれば、上記のO(酸素)やinsol.Al
の作用により熱間加工のために加熱をしても結晶粒の粗
大化は顕著に生じず、割れは発生しなくなる。また、冷
間加工性、さらには延性および靭性も、平均結晶粒径10
0μm以下において大きく向上する。
は、本発明として定義した発明の範囲内のO(酸素)およ
びinsol.Al含有率であれば、最終熱間加工の加熱温度を
1300℃以下、当該加熱の在炉時間を合金の最大肉厚部分
の肉厚で10mmあたり2h以下、当該熱間加工仕上げ温度を
1050℃以下とし、加工度を3〜35程度とし、焼鈍温度を7
00〜1050℃、当該焼鈍在炉時間を0.5〜9h程度とするこ
とにより実現することができる。ここに、加工度は、最
終加工の(加高前肉厚)/(仕上げ肉厚)によって定義
される。また、冷間加工後の焼鈍処理も上記の最終熱間
加工後の焼鈍条件と同様とすることにより、結晶粒径10
0μm以下とすることができる。平均結晶粒は100μm以下
であれば微細なほど好ましく、下限は特に定めないが、
本発明を完成させるにあたり得られた最小値は35〜40μ
m程度であった。
の発明(1)についての試験について説明する。
150〜1250℃に加熱して熱間にて100mm厚さ、200mm幅、3
00mm長さに鍛造した。
鍛造後、最終熱間加工に際して、合金を900〜1250℃の
各温度に加熱し、仕上げ温度900℃にて9.5mm厚さ、300m
m幅、2000mm長さに熱間圧延を行った。加工度は約10.5
(100/9.5)である。
終熱間圧延時に圧延トップ、テイル端部や表面にキズや
割れが出ない場合を合格、それ以外を不合格とした。そ
の後、上記の鋼板に対して850℃×0.5hの条件にて焼鈍
を施した後、酸洗を行った。酸洗後、鋼板を9.5mm厚
さ、300mm幅、500mm長さに切断し、そのうちの1枚か
ら、引張試験片(JIS Z2201 5号試験片)およびシャルピ
−衝撃試験片(JIS Z2202 4号試験片幅5mmサフ゛サイス゛)を採
取し、それぞれ常温および-196℃にて試験を行い、鋼板
の性能を評価した。合否判定は引張試験による延性が20
%以上、また、シャルピ−衝撃値が100J/cm2をともに満
たすものを合格とした。さらに、金相試験片を採取し、
光学顕微鏡による検鏡で酸化物の清浄度の調査および平
均結晶粒径を測定した。酸化物の清浄度の調査はJIS G
0555に記載の「鋼の非金属介在物の顕微鏡観察試験方
法」に準拠し、観察視野数60、観察倍率400倍にて行っ
た。このとき、上記のとおり硫化物は避けて測定した。
その後、この鋼板を冷間にて2.0mmまで圧延し、冷間加
工性を評価した。合否判定は熱間圧延の際と同様に表面
にキズ等欠陥の生じない場合を合格、それ以外を不合格
とした。さらに、その後、鋼板を850℃×0.5hの条件に
て焼鈍を行った後、酸洗を行い、JIS Z2201に記載の5号
引張試験片を採取して引張試験を行うとともに、金相観
察を行い、結晶粒径および酸化物清浄度を測定した。さ
らに曲げ試験片(JIS Z 2204 3号)を採取し180゜曲げ試
験を行った。合否判定は曲げ部の浸透探傷試験を行い、
インディケーションの有無ににより行った。
2における酸化物の清浄度は最終熱間圧延焼鈍後と冷間
加工焼鈍後で相違するが、その相違は顕著ではなく両者
は近似しており測定誤差の範囲と考えることができる。
が0.0036%と多量に含まれているため、酸化物が粗大化
であり、結晶粒微細化の効果が十分得られず、最終熱間
圧延時に端部に割れが発生した。また、熱間圧延後は十
分な靭性、延性が得られていたが、粗大な酸化物のため
に、冷間圧延後、延性が不足したため曲げ加工により微
細な割れが発生した。同じく比較例であるNB2は、sol.A
lが0.0042%と過剰であるために、AlNが析出し、熱間加
工時に端部および表面に多数の割れが発生した。さら
に、AlN析出の影響で靱性および延性が劣化し、冷間加
工時にも端部に割れの発生が認められた。比較例のNB3
はNが0.008%と過剰であるために、NB2の場合と同様にAl
Nが析出し、熱間加工性、冷間加工性、靭性、延性およ
び曲げ性能が不良であった。また、比較例NB4はO(酸素)
が0.010%と過剰であるため、酸化物がSi、Mn等の複合酸
化物となり、微細化の効果が得られず、熱間加工時に多
数の端部割れが発生した。さらに、酸化物の清浄度が0.
115%と多量であったため、靱性が不良であった。また、
冷間加工時に表面キズが多数発生し、冷間加工性にも劣
っていた。さらに延性が劣化し曲げ試験により微細な割
れ発生した。比較例NB5はSiが本発明の定義範囲外であ
るため、酸化物がSi主体の低融点酸化物となり、微細化
の効果が得られず、満足な熱間加工性、冷間加工性が得
られなかった。さらに、酸化物の清浄度が増大し、低温
靱性、延性も不良であり、曲げ性能に劣っていた。ま
た、比較例NB6はinsol.Alおよびsol.Alがそれぞれ過剰
であったため、Al酸化物が粗大化するとともにAlNが析
出し、熱間鍛造時に多数の割れが発生し、熱間圧延でも
割れが進展し、その後の試験片加工等が不可能であっ
た。
加工性、冷間加工性および靭性を兼ね備え、本発明の定
義範囲内でのみ本発明の目標性能を達成できることが明
らかとなった。
金を150kg真空溶解し、鋼塊を1150〜1250℃熱間にて100
t×200w×300lmmに鍛造した。
ついての試験と同様の熱間圧延、焼鈍および酸洗を行
い、上記と同様の試験に供した。その後、上記と同様に
冷間圧延、焼鈍および酸洗し、同様の試験を行った。
る。
が0.0066であり、本発明の定義範囲の上限0.006を超え
るので、酸化物が粗大化し、熱間圧延後の結晶径が103
μmと粗大化した。このため、熱間圧延時に圧延トッ
プ、テイル端面に割れが発生した。
た。さらに曲げにより微細な割れが発生した。比較例MB
2も、同様に、細粒化指標が0.0065であり、0.006を超え
るために、熱間加工性、延性、靭性および曲げ性が不良
であった。比較例MB3はO(酸素)が0.011%と過剰であるた
め、Si、Mn等の複合酸化物が生成し、Al、Ca等の酸化物
による微細化の効果が得られず、熱間加工時に多数の端
部割れが発生した。さらに、酸化物の清浄度が0.140%と
高いために、靱性が劣化した。加えて、冷間加工時に表
面疵が多数発生するとともに製品の曲げ試験において割
れが発生し、冷間加工性も劣る結果が得られた。比較例
MB4はNが0.009%と過剰であるために、熱間加工時にAlN
が析出し、熱間加工性が劣化し、さらに、そのAlNによ
りマトリックスが硬化したために、冷間圧延時に表面に多数の
疵が発生した。靱性、延性および曲げ加工性も不良であ
った。比較例MB5はSi、Mnが本発明の定義範囲外であっ
たため、Si、Mnを主成分とする低融点酸化物が生成し、
微細化の効果が得られず、満足な熱間加工性、冷間加工
性が得られなかった。さらに、酸化物の清浄度が増大
し、靱性も劣化した。比較例MB6については、細粒化指
標が0.0072と過剰でありかつ、sol.Alが0.0038%と本発
明の定義範囲外であるため、微細化の効果が得られず、
高密度のAlN析出のため、熱間鍛造時に多数の割れが発
生し、熱間圧延でその割れが進展し、熱間圧延を続ける
ことができなかった。
を使用したMA1からMA9は、熱間加工性、冷間加工性、延
性および靭性とくに-196℃での衝撃値の全てにおいて優
れていることが明らかとなった。
を大量に供給することができるようになり、とくにクリ
ーンエネルギーとして需要の増大が続く液化天然ガスの
輸送、貯蔵およびその周辺機器の新技術開発およびその
利用に貢献することが期待される。
Claims (5)
- 【請求項1】重量%で、Ni:30〜45%、C:0.03%以下、S
i:0.2%以下、Mn:0.1〜0.6%、insol.Al:0.0002〜0.00
3%、sol.Al:0.003%以下、O(酸素):0.001〜0.008%およ
びCo:0〜10%を含み、不可避的不純物のうちP、Sおよび
Nが、それぞれP:0.01%以下、S:0.005%以下およびN:0.
006%以下であり、残部が実質的にFeであることを特徴と
する低熱膨張合金。 - 【請求項2】重量%で、Ni:30〜45%、C:0.03%以下、S
i:0.2%以下、Mn:0.1〜0.6%、sol.Al:0.003%以下、O
(酸素):0.001〜0.008%およびCo:0〜10%を含み、かつ
下記の式を満たすようにinsol.Al、CaおよびMgの2種
以上を含み、不可避的不純物元素のうちP、SおよびN
が、それぞれP:0.01%以下、S:0.005%以下およびN:0.0
06%以下であり、残部が実質的にFeであることを特徴と
する低熱膨張合金。 0.0002≦insol.Al+Ca+2・Mg≦0.006・・・・ ここに、元素記号はその元素の重量%を表示する。 - 【請求項3】酸化物を清浄度で0.005〜0.10%以下含むこ
とを特徴とする請求項1または2の低熱膨張合金。 - 【請求項4】平均結晶粒径が100μm以下であることを特
徴とする請求項1または2の低熱膨張合金。 - 【請求項5】平均結晶粒径が100μm以下であり、酸化物
を清浄度で0.005〜0.10%以下含むことを特徴とする請求
項1または2の低熱膨張合金。
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---|---|---|---|
JP06628798A JP3384318B2 (ja) | 1998-03-17 | 1998-03-17 | 酸化物分散低熱膨張合金 |
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JPH11264055A JPH11264055A (ja) | 1999-09-28 |
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