JP7564664B2 - フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法ならびに排気部品 - Google Patents
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Description
C:0.001~0.030%、
N:0.001~0.030%、
Si:2.00~4.00%、
Mn:0.01~2.00%、
P:0.010~0.050%、
S:0.0001~0.010%、
Cr:10.0~30.0%、
Nb:0.01~0.80%、
Ti:0~0.50%、
B:0~0.0009%、
Al:0~2.5%、
Cu:0~3.0%、
Mo:0~3.0%、
W:0~0.50%、
V:0~1.0%、
Sn:0~0.50%、
Ni:0~1.0%、
Mg:0~0.01%、
Sb:0~0.50%、
Zr:0~0.30%、
Ta:0~0.30%、
Hf:0~0.30%、
Co:0~0.30%、
Ca:0~0.01%、
REM:0~0.20%、
Ga:0~0.30%、
残部:Feおよび不純物であり、
金属組織において、
母相の平均結晶粒径が100~200μmであり、
第二相のうち、Nbを含む第二相をNb含有第二相とするとき、
抽出残渣分析で測定される前記Nb含有第二相の析出量が、質量%で、0.15%以下である、フェライト系ステンレス鋼板。
Ti:0.01~0.50%、
B:0.0001~0.0009%、
Al:0.01~2.5%、
Cu:0.01~3.0%、
Mo:0.01~3.0%、
W:0.01~0.50%、
V:0.05~1.0%、
Sn:0.003~0.50%、
Ni:0.05~1.0%、
Mg:0.0002~0.01%、
Sb:0.0001~0.50%、
Zr:0.001~0.30%、
Ta:0.001~0.30%、
Hf:0.001~0.30%、
Co:0.01~0.30%、
Ca:0.0002~0.01%、
REM:0.001~0.20%、および
Ga:0.0002~0.30%、
から選択される一種以上を含有する、上記(1)に記載のフェライト系ステンレス鋼板。
抽出残渣分析で測定されるNb含有第二相の析出量が、質量%で、0.20%以上であり、
前記Nb含有第二相の平均粒子径が、200nm以下であり、
第二相全体に対する、M6C型炭化物の割合が、質量%で、50%以上である、上記(1)または(2)に記載のフェライト系ステンレス鋼板。
(a)上記(1)または(2)に記載の化学組成を有する鋼を熱間圧延し、熱延板とする工程と、
(b)前記熱延板を、400~750℃の温度域で巻取る工程と、
(c)巻取られた前記熱延板を冷間圧延し、冷延板とする工程と、
(d)前記冷延板を1100~1200℃の温度域に加熱後、当該温度域で30秒以上3分以下の時間、滞留させる焼鈍処理を行う工程とを、有するフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、成形性と耐食性とを劣化させ、高温強度の低下をもたらす。このため、C含有量は、0.030%以下とする。C含有量は、0.009%以下とするのが好ましく、0.007%以下とするのがより好ましい。C含有量は、少なければ少ないほど好ましい。しかしながら、Cを過剰に低減させると、精錬コストの増加に繋がるため、C含有量は、0.001%以上とする。C含有量は、0.003%以上とするのが好ましい。
Nは、Cと同様、成形性と耐食性とを劣化させ、高温強度の低下をもたらす。このため、N含有量は、0.030%以下する。N含有量は、0.020%以下とするのが好ましく、0.015%以下とするのがより好ましい。N含有量は、少なければ少ないほど好ましい。しかしながら、Nを過剰に低減させると、精錬コストの増加に繋がるため、N含有量は、0.001%以上とする。N含有量は、0.003%以上とするのが好ましく、0.005%以上とするのがより好ましい。
Siは、脱酸剤としても有用な元素であるとともに、高温強度、耐酸化性および耐高温塩害性を改善する元素である。そして、高温強度、耐酸化性および耐高温塩害性は、Si含有量の増加とともに向上する。なお、高温強度の向上には、析出物の析出制御が重要であり、微細かつ多量に析出させることで、その効果を得られる。Siには時効熱処理中の析出物を微細に析出させる作用があり、その効果は、2.00%から安定して発現する。このため、Si含有量は、2.00%以上とする。
Mnは、脱酸剤として有用な元素であるとともに、中温域での高温強度の向上に寄与する。このため、Mn含有量は、0.01%以上とする。しかしながら、Mnを、2.00%超含有させると、高温でMn系酸化物が表層に形成し、スケール密着性の低下および異常酸化が生じやすくなる。特に、Mo、Wと複合添加した場合は、Mn含有量に応じて、異常酸化が生じやすくなる傾向にある。このため、Mn含有量は、2.00%以下とする。鋼板製造における酸洗性および常温延性を考慮すると、Mn含有量は、1.50%以下とするのが好ましく、1.00%以下とするのがより好ましい。
Pは、製鋼精錬時に主として原料から混入してくる不純物であり、含有量が高くなると、靭性および溶接性が低下する。特に、Pを0.050%超含有させると、鋼板が著しく硬質化する他、耐食性、靭性および酸洗性が劣化する。このため、P含有量は、0.050%以下とする。P含有量は、0.040%以下とする。P含有量は、少なければ少ないほど好ましいが、P含有量を0.010%未満にすると、P含有量を低下させた原料を使用しなければならず、コストアップが生じる。このため、P含有量は、0.010%以上とする。P含有量は、0.020%以上とするのがより好ましい。
Sは、Tiおよび/またはCと結合して加工性を向上させる効果を有する。この効果は、0.0001%から発現するため、S含有量は、0.0001%以上とする。しかしながら、Sは、耐食性および耐酸化性を劣化させる。また、Sを過剰に含有させることで、Tiおよび/またはCと結合して、固溶Ti量を低減させるとともに析出物を粗大にする。この結果、高温強度が低下する。このため、S含有量は、0.010%以下とする。さらに、精錬コストおよび高温酸化特性を考慮すると、S含有量は、0.0010~0.009%とするのが好ましい。
Crは、耐酸化性および耐食性確保のために必要な元素である。また、高温強度の向上に有効である。このため、Cr含有量は、10.0%以上とする。しかしながら、Cr含有量が、30.0%を超えると加工性の低下および靭性の劣化をもたらす。このため、Cr含有量は、30.0%以下とする。Cr含有量は、18.0%以下とするのが好ましい。製造性およびスケール剥離性を考慮すると、Cr含有量は、13.0~18.0%とするのが好ましい。
Nbは、固溶強化および微細析出物の析出強化による高温強度向上に有効な元素である。また、CおよびNを炭窒化物として固定し、製品板の耐食性を向上させ、r値に影響する再結晶集合組織を発達させる効果を有する。このため、Nb含有量は、0.01%以上とする。Nb含有量は、0.30%以上とするのが好ましい。しかしながら、Nbを、0.80%超含有させると、鋼板が著しく硬質化する他、製造性も劣化する。そのため、Nb含有量は、0.80%以下とする。なお、原料コストおよび靭性を考慮すると、Nb含有量は、0.60%以下とするのが好ましく、0.50%以下とするのがより好ましい。
Tiは、C、N、Sといった元素と結合して耐食性、耐粒界腐食性、常温延性および深絞り性を向上させる元素である。また、Nb、Moと複合添加する際に、Tiを添加することにより、冷延焼鈍時のNb、Moの固溶量増加、高温強度の向上をもたらし、熱疲労特性を向上させる。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Tiを、0.50%超含有させると、固溶Ti量が増加して常温延性が低下する。加えて、粗大なTi系析出物を形成し、穴拡げ加工時の割れの起点となり、プレス加工性が劣化する。また、耐酸化性も劣化する。そのため、Ti含有量は、0.50%以下とする。なお、その他、表面疵の発生および靭性を考慮すると、Ti含有量は、0.25%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ti含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。Ti含有量は、0.05%以上とするのがより好ましい。
Bは、製品のプレス加工時の二次加工性、高温強度、および熱疲労特性を向上させる効果を有する。また、Bは、Laves相などを微細析出させ、これらの析出物による強化の長期安定性を発現させ、強度低下の抑制と熱疲労寿命とを向上させる。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Bを過剰に含有させると、鋼板の硬質化をもたらし、粒界腐食性と耐酸化性とが劣化する。また、溶接割れが生じる。そのため、B含有量は、0.0009%以下とする。耐食性および製造コストを考慮すると、B含有量は、0.0005%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、B含有量は、0.0001%以上とするのが好ましい。
Alは、脱酸効果を有する。また、耐酸化性を向上させる効果を有する。また、固溶強化元素として高温強度を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Alを過剰に含有させると、鋼板が硬質化して、均一伸びを著しく低下させる他、靭性が著しく低下する。そのため、Al含有量は、2.5%以下とする。さらに、表面疵の発生、溶接性、および製造性を考慮すると、Al含有量は、2.2%以下とするのが好ましく、0.5%以下とするのがより好ましい。一方、上記効果を得るためには、Al含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Cuは、耐食性を向上させる効果を有する。また、ε-Cuの析出による析出強化によって高温強度を向上させる効果も有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cuを過剰に含有させると、熱間加工性が低下する。そのため、Cu含有量は、3.0%以下とする。また、熱疲労特性、製造性および溶接性を考慮すると、Cu含有量は、1.6%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Cu含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Moは、高温における固溶強化に有効な元素であるとともに、耐食性および耐高温塩害性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Moを、3.0%を超えて含有させると、常温延性および耐酸化性が著しく劣化する。このため、Mo含有量は、3.0%以下とする。熱疲労特性および製造性を考慮すると、Mo含有量は、0.9%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Mo含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Wも、Mo同様、高温における固溶強化として有効な元素であるとともに、Laves相(Fe2W)を生成して析出強化の作用をもたらす。特に、NbおよびMoと複合添加した場合、Fe2(Nb,Mo,W)のLaves相が析出するが、Wを含有させることで、Laves相の粗大化が抑制されて析出強化能が向上する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Wを0.50%超含有させると、製造コストが増加するとともに、常温延性が低下する。このため、W含有量は、0.50%以下とする。さらに、製造性、低温靭性および耐酸化性を考慮すると、W含有量は、0.40%以下とするのが好ましく、0.20%以下とするのがより好ましい。一方、上記効果を得るためには、W含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Vは、耐食性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有するのがよい。しかしながら、Vを1.0%超含有させると、析出物が粗大化して高温強度が低下する他、耐酸化性が劣化する。そのため、V含有量は、1.0%以下とする。なお、製造コストおよび製造性を考慮すると、V含有量は、0.5%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、V含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。V含有量は、0.08%以上とするのがより好ましい。
Snは、耐食性および耐酸化性を向上させる効果を有する。また、中温域の高温強度を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Snを、0.50%超含有させると、製造性および靭性が著しく低下する。このため、Sn含有量は、0.50%以下とする。一方、上記効果を得るためには、Sn含有量は、0.003%以上とするのが好ましい。耐酸化性を考慮すると、Sn含有量は、0.10%以上とするのがより好ましい。
Niは、耐酸性、靭性、および高温強度を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Niを、1.0%超含有させると、製造コストが増加する。このため、Ni含有量は、1.0%以下とする。Ni含有量は、0.5%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ni含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。Ni含有量は、0.08%以上とするのがより好ましい。
Mgは、脱酸効果を有する元素である。また、スラブの組織を微細化させ、成形性を向上させる効果を有する。そして、Mg酸化物は、Ti(C,N)およびNb(C,N)等の炭窒化物の析出サイトになり、これらを微細分散析出させる効果を有する。この結果、靭性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mgを過剰に含有させると、溶接性、耐食性および表面品質の劣化につながる。そのため、Mg含有量は、0.01%以下とする。Mg含有量は、0.001%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Mg含有量は、0.0002%以上とするのが好ましい。その他、精錬コストを考慮すると、Mg含有量は、0.0003%以上とするのがより好ましい。
Sbは、耐食性および高温強度を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Sbを、0.50%超含有させると、鋼板製造時のスラブ割れおよび延性低下が過度に生じる場合がある。そのため、Sb含有量は、0.50%以下とする。製造性を考慮すると、Sb含有量は、0.30%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Sb含有量は、0.0001%以上とするのが好ましく、0.0050%以上とするのが好ましい。その他、精錬コストを考慮すると、Sb含有量は、0.0100%以上とするのがより好ましい。
Zrは、TiおよびNb同様に炭窒化物形成元素であり、耐食性、深絞り性の向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Zrを、0.30%超含有させると、製造性が著しく劣化する。このため、Zr含有量は、0.30%以下とする。その他、コストおよび表面品質を考慮すると、0.20%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Zr含有量は、0.001%以上とするのが好ましい。Zr含有量は、0.10%以上とするのがより好ましい。
Hf:0~0.30%
TaおよびHfは、CおよびNと結合して靭性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、TaおよびHfを0.30%超含有させると、コスト増になる他、製造性が著しく劣化する。このため、Ta含有量は、0.30%以下とする。Ta含有量は、0.08%以下とするのが好ましい。同様に、Hf含有量も、0.30%以下とする。Hf含有量は、0.08%以下とするのが好ましい。
Coは、高温強度を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Coを0.30%超含有させると、靭性劣化につながる。そのため、Co含有量は、0.30%以下とする。その他、精錬コストや製造性を考慮すると、0.10%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Co含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Caは、脱硫効果を有する元素である。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Caを、0.01%超含有させると、粗大なCaSが生成し、靭性および耐食性を劣化させる。そのため、Ca含有量は、0.01%以下とする。製造性を考慮すると、Ca含有量は、0.0020%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ca含有量は、0.0002%以上とするのが好ましい。精錬コストを考慮すると、Ca含有量は、0.0003%以上とするのが好ましい。
REMは、種々の析出物を微細化させ、靭性および耐酸化性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、REMを0.20%超含有させると、鋳造性が著しく悪くなる他、延性が低下する。そのため、REM含有量は、0.20%以下とする。なお、製造性を考慮すると、REM含有量は、0.05%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、REM含有量は、0.001%以上とするのが好ましい。
Gaは、耐食性を向上させ、水素脆化を抑制する効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Gaを過剰に含有させると、製造コストが増加する。そのため、Ga含有量は、0.30%以下とする。さらに、製造性、コストの観点ならびに、延性および靭性の観点から0.002%以下が好ましい。一方、上記効果を得ること、および硫化物と水素化物との形成の観点から、Ga含有量は、0.0002%以上とするのが好ましい。
フェライト系ステンレス鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。なお、As、Pb等の一般的な有害な元素、上記不純物はできるだけ低減することが好ましい。
2-1.母相の平均結晶粒径
本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板では、フェライト相、すなわち母相の平均結晶粒径は、100~200μm以下とする。母相の平均結晶粒径が100μm未満であると、高温となる使用環境において、耐力が低下し、高温強度が低下する。このため、母相の平均結晶粒径は、100μm以上とする。母相の平均結晶粒径は、120μm以上とするのが好ましい。
以下、フェライト系ステンレス鋼板において、第二相のうち、Nbを含む第二相をNb含有第二相として説明し、本発明に係る鋼板では、時効熱処理前のNb含有第二相の析出量を要件として規定する。この理由は、高温で使用される前においては極力、Nb含有第二相の析出を抑え、高温で使用される段階において、Nb含有第二相を効果的に析出させることが有効だからである。これにより、使用環境における耐力の低下を抑制し、高温強度の劣化を抑制できる。
高温強度の劣化を抑制するために、Nb含有第二相は、使用環境において、粒内に一定量、微細に析出し、かつ粗大に成長しにくいことが望ましい。このため、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板では、高温での使用環境を想定し、時効熱処理を行った場合の金属組織、具体的には、Nb含有第二相について規定する。
本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板は、高温での使用環境を想定し、750℃で、100時間時効熱処理を行った場合に、抽出残渣分析で測定されるNb含有第二相の析出量が、質量%で、0.20%以上とするのが好ましい。
上述したように、時効熱処理後において、高温強度の劣化を抑制するため、粒内に微細なNb含有第二相が、一定量以上析出しているのが望ましい。このため、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板において、750℃で、100時間時効熱処理を行った場合に、Nb含有第二相の平均粒子径は、200nm以下とするのが好ましい。
第二相については、Nbを含む含まないに拘わらず、粗大に成長しにくい結晶構造を有することが望ましい。そこで、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板は、第二相全体に対し、成長しにくいM6C型炭化物の割合を以下の範囲とするのが好ましい。
本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板は、自動車および自動二輪車の排気部品に用いるのが好適である。排気部品としては、例えば、エキゾーストマニホールド、触媒コンバーターケース、EGRクーラーケース、排熱回収機、センターパイプ、マフラー、ターボチャージャー部品が挙げられる。加えて、排気管の断熱に関わる部品に用いてもよい。
本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板の製造方法について説明する。本発明の鋼板の製造方法は、例えば、製鋼-熱間圧延-焼鈍-酸洗-冷間圧延-焼鈍・酸洗の各工程よりなる。
上述した化学組成を有する鋼を、転炉溶製し続いて2次精錬を行う方法が好適である。溶製した溶鋼は、公知の鋳造方法(連続鋳造)に従ってスラブとする。
スラブは、例えば、1100~1300℃の範囲で加熱し、連続圧延で熱間圧延され、熱延板となる。熱間圧延は、複数スタンドから成る熱間圧延機で行われ、得られた熱延板は、巻取られ、熱延コイルとなる。巻取り温度については、熱延板靭性の観点から、400~750℃の温度で巻取る。巻取り温度が400℃未満であると、急冷を行うために製造コストが増大する。このため、巻取り温度は400℃以上とする。一方、巻取り温度が750℃を超えると、靭性を劣化させる析出物が顕著に多くなり熱延板の靭性が低下し、製造性が低下する。このため、巻取り温度は750℃以下とする。なお、熱間圧延巻取り後、必要に応じて、焼鈍を行う。その後、酸洗を行う。
続いて、上記熱延板を最終板厚になるまで、冷間圧延し、冷延板とする。冷間圧延の際の圧下率は、特に限定しない。適宜、板厚に応じて、圧化率を調整すればよい。冷間圧延においては、タンデム式圧延機またはゼンジミア式圧延機のいずれを用いてもよい。
続いて、得られた冷延板を焼鈍する。冷延板を焼鈍する際には、1100~1200℃の温度域に加熱後、当該温度域で30秒以上3分以下の時間、滞留させ、冷却する。冷却の際には、1100~600℃の温度域における冷却速度を5~20℃/秒に制御する。
得られた鋼板について、母相の平均結晶粒径を測定した。具体的には、鋼板のL断面において1/4t部を、光学顕微鏡を用いて観察した。この際の観察倍率は、50倍とし、5視野、観察を行った。観察結果に基づき、各結晶粒の結晶粒径を測定し、その平均値を平均結晶粒径とした。なお、平均結晶粒径の測定については、JIS G 0551:2013に準拠し、結晶粒径の算出においては、小数点以下を四捨五入した。
得られた鋼板について、Nb含有第二相の析出量を算出した。同様に、750℃で100時間、時効熱処理を行った後、抽出残渣分析により、Nb含有第二相の析出量を算出した。なお、各Nb含有第二相の析出量は、以下の手順で測定した。
750℃で100時間、時効熱処理を行った後の鋼板について、Nb含有第二相の平均粒子径を測定した。具体的には、両面ジェット電解研磨法にて、鋼板の1/4tを観察できるような観察用サンプルを作製した。続いて得られたサンプルを、透過型電子顕微鏡を用いて第二相の析出物を観察した。この際の観察倍率は、Nb含有第二相をほぼ均一に観察することができる5万倍とし、10視野を観察した。
製造性については、熱延板の靭性で評価した。熱延板の靭性が低い場合は、例えば、製造時に割れ等が生じ、製造性が低下するからである。巻取後、冷却された熱延板について、シャルピー試験を行い、靭性を評価した。試験片は、熱延板のC方向シャルピー衝撃試験片(Vノッチ)を作製し、試験を行った。試験片は、サブサイズとし、3回の試験の平均衝撃値が10J/cm2超であったときは、表中で○と記載した。一方、3回の試験の平均衝撃値が10J/cm2以下であった場合は、表中で×と記載した。
得られた鋼板から、圧延方向が引張方向となるように高温引張試験片を採取し、750℃で高温引張試験を実施し、0.2%耐力を測定した。なお、高温引張試験は、JIS G 0567:2012に準拠して行い、測定値については、数点以下を四捨五入して算出した。
また、得られた鋼板の肌荒れの発生の有無を確認するため、鋼板からφ80mmの円筒しぼり試験片を作製し、常温における円筒しぼり試験を行った。試験条件はパンチ径40mmでrp4mm、ダイ径42mmでrp4mm、クッション圧10kN、成形速度20mm/min、潤滑はジョンソンワックス♯122とした。試験後のカップ角部を観察することで、肌荒れ発生の有無を目視にて確認し、肌荒れが発生していない場合、表中で〇と記載し、肌荒れが発生した場合を×と記載した。以下、結果を纏めて表3および4に示す。
Claims (4)
- 化学組成が、質量%で、
C:0.001~0.030%、
N:0.001~0.030%、
Si:2.00~4.00%、
Mn:0.01~2.00%、
P:0.010~0.050%、
S:0.0001~0.010%、
Cr:10.0~30.0%、
Nb:0.01~0.80%、
Ti:0~0.50%、
B:0~0.0009%、
Al:0~2.5%、
Cu:0~3.0%、
Mo:0~3.0%、
W:0~0.50%、
V:0~1.0%、
Sn:0~0.50%、
Ni:0~1.0%、
Mg:0~0.01%、
Sb:0~0.50%、
Zr:0~0.30%、
Ta:0~0.30%、
Hf:0~0.30%、
Co:0~0.30%、
Ca:0~0.01%、
REM:0~0.20%、
Ga:0~0.30%、
残部:Feおよび不純物であり、
金属組織において、
母相の平均結晶粒径が100~200μmであり、
第二相のうち、Nbを含む第二相をNb含有第二相とするとき、
抽出残渣分析で測定される前記Nb含有第二相の析出量が、質量%で、0.15%以下であり、
750℃で、100時間時効熱処理を行った場合に、
抽出残渣分析で測定されるNb含有第二相の析出量が、質量%で、0.20%以上であり、
前記Nb含有第二相の平均粒子径が、200nm以下であり、
第二相全体に対する、M6C型炭化物の割合が、質量%で、50%以上である、フェライト系ステンレス鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Ti:0.01~0.50%、
B:0.0001~0.0009%、
Al:0.01~2.5%、
Cu:0.01~3.0%、
Mo:0.01~3.0%、
W:0.01~0.50%、
V:0.05~1.0%、
Sn:0.003~0.50%、
Ni:0.05~1.0%、
Mg:0.0002~0.01%、
Sb:0.0001~0.50%、
Zr:0.001~0.30%、
Ta:0.001~0.30%、
Hf:0.001~0.30%、
Co:0.01~0.30%、
Ca:0.0002~0.01%、
REM:0.001~0.20%、および
Ga:0.0002~0.30%、
から選択される一種以上を含有する、請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼板。 - 請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法であって、
(a)請求項1または2に記載の化学組成を有する鋼を熱間圧延し、熱延板とする工程と、
(b)前記熱延板を、400~750℃の温度域で巻取る工程と、
(c)巻取られた前記熱延板を冷間圧延し、冷延板とする工程と、
(d)前記冷延板を1100~1200℃の温度域に加熱後、当該温度域で30秒以上3分以下の時間、滞留させる焼鈍処理を行う工程とを、有するフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 - 請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼板を用いた排気部品。
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