JPH0662251U - 捩り振動低減装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 所望の摩擦減衰力を長期間変化なく得られる
ようにする。 【構成】 ハブ１とドライブプレート２，３とを複数の
圧縮ばね６によって回動方向で弾性的に連結する。遊動
子７の楔状突起７ａを複数の圧縮ばね６間に介装し、複
数の圧縮ばね６を直列に作用させる。一方のドライブプ
レート２と遊動子７の間に摩擦材８を介装する。他方の
ドライブプレート３の内側に、軸方向変位を許容し回動
変位を規制した状態でリテーナプレート１１を取り付け
る。リテーナプレート１１とドライブプレート３の間
に、摩擦材８に摩擦荷重を付与する皿ばね１３を介装す
る。リテーナプレート１１とドライブプレート３が一体
的に回動することから皿ばね１３は摩耗せず、経時使用
によって摩擦材８が摩耗しても、皿ばね１３は摩擦材８
にほぼ一定の摩擦荷重を付与する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車の手動変速機のクラッチやトルクコンバータのロックアップ クラッチ等に用いられる捩り振動低減装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種の捩り振動低減装置として、従来、図５，図６に示すようなものが案出 されている。

【０００３】 この捩り振動低減装置は、ハブ１の軸方向両側に一対のドライブプレート２， ３が相対回動可能に組み付けられ、ハブ１の外縁部に円周方向に沿って略コ字状 に形成されたばね支持枠４と、このばね支持枠４に対応して両ドライブプレート ２，３に形成された長孔状のばね受容部５とに複数の圧縮ばね６，６が介装され ており、この複数の圧縮ばね６，６によってハブ１と両ドライブプレート２，３ とが回動方向で弾性的に連結されている。そして、ハブ１のばね支持枠４外周側 には環状の遊動子７が相対回動可能に嵌合されていて、この遊動子７に突設され た楔状突起７ａを複数の圧縮ばね６，６間に介装させることにより、複数の圧縮 ばね６，６を円周方向に直列に作用させるようになっている。また、遊動子７の 環状部７ｂの側面には所定摩擦係数の摩擦材８が接着されており、ハブ１とドラ イブプレート２，３の相対回動時にこの摩擦材８がドライブプレート２の内側面 と摺接し、その際に生じる摩擦力を振動に対する減衰力とするようになってる。

【０００４】 この捩り振動低減装置はこのような構成であるため、ハブ１とドライブプレー ト２，３を動力伝達系に結合すると、圧縮ばね６，６による吸振作用と摩擦材８ による減衰作用とによって動力伝達系の捩り振動を低減する。尚、遊動子７とド ライブプレート２，３の相対回動量（回動角度）はハブ１とドライブプレート２ ，３の相対回動量のばね数分の一である（圧縮ばね６，６単体の圧縮変位量と等 しい。）ため、遊動子７とドライブプレート２の間に摩擦材８を介装したこの捩 り振動低減装置の場合、経時使用に伴う摩擦材８自体の摩耗は摩擦材８をハブ１ とドライブプレート２，３の間に直接介装した場合に比較して小さくなる。

【０００５】 尚、この類似技術は、例えば、実開昭６１−１１２１２１号公報等に示されて いる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来の捩り振動低減装置の場合、経時使用に伴う摩擦材８の摩耗 は少なくなるもののこの摩耗を完全に無くすことはできないため、経時使用によ って摩擦材８の摩耗が進行すると、それに伴って摩擦荷重が低下し、所望の摩擦 減衰力が得られなくなるという不具合がある。

【０００７】 そこで本考案は、ドライブプレートに摺接する摩擦材に常時安定した摩擦荷重 を付与できるようにして所望の摩擦減衰力を長期間変化なく得ることのできる捩 り振動低減装置を提供しようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述した課題を解決するための手段として、円周方向に略沿うばね支 持枠が外縁部に形成されたハブと、前記ばね支持枠に対応するばね受容部を有し 前記ハブの軸方向両側に配置された一対のドライブプレートと、前記ばね支持枠 とばね受容部とにまたがって収容されてハブとドライブプレートを回動方向で弾 性的に連結する複数の圧縮ばねと、この複数の圧縮ばね間に介装されて複数の圧 縮ばねを直列に作用させる遊動子と、前記ドライブプレートと遊動子の側面間に 介装されてハブとドライブプレートの相対回動時に摩擦減衰力を発生する摩擦材 とを備えた捩り振動低減装置において、前記ドライブプレートの内側に、軸方向 変位を許容し回動変位を規制した状態でリテーナプレートを取り付け、このリテ ーナプレートとドライブプレートの間に、前記摩擦材に摩擦荷重を付与する弾性 部材を介装するようにした。

【０００９】

【作用】

摩擦材は弾性部材によって摩擦荷重を付与され、遊動子とドライブプレートの 間で摩擦減衰力を発生する。弾性部材はドライブプレートとこれと一体に回転す るリテーナプレートとの間に介装されているため、経時使用によって弾性部材が 摩耗して付与する摩擦荷重が変化することはない。このため、経時使用によって 摩擦材が摩耗した場合には、弾性部材がその摩耗分だけリテーナプレートを軸方 向に変位させて摩擦材にほぼ変わりのない摩擦荷重を付与する。

【００１０】

【実施例】

次に、本考案の一実施例を図１〜図３に基づいて説明する。尚、図４，図５に 示した従来のものと同一部分には同一符号を用いるものとする。

【００１１】 この実施例の捩り振動低減装置は、トルクコンバータのロックアップクラッチ に用いられるもので、ハブ１の内周側が動力伝達系の出力側の部材であるタービ ンハブ（図示せず。）にスプライン嵌合され、一対のドライブプレート２，３が 入力側の部材であるロックアップピストン９に結合されている。

【００１２】 ハブ１は板材によって略円盤状に形成されており、その外縁部には略扇状のア ーム１ａが周方向に等間隔をおいて複数個突設され、隣接するアーム１ａ，１ａ と両アーム１ａ，１ａ間に位置される周面部とによって円周方向に沿う略コ字状 のばね支持枠４が形成されている。

【００１３】 一方、ドライブプレート２，３はハブ１よりも一回り大きい略円盤状に形成さ れていて、両プレート２，３の外周縁部が前記ロックアップピストン９にリベッ ト１０によって一体に結合されている。このドライブプレート２，３はハブ１の 軸方向両側に配置され、ハブ１に対して相対回動可能に組み付けられている。そ して、各ドライブプレート２，３には、ハブ１のばね支持枠４と同一長さの長孔 状のばね受容部５が円周方向に沿って複数形成されており、ハブ１のばね支持枠 ４とこのばね受容部５とにはこれらにまたがって入れ子型の圧縮ばね６が複数個 （この実施例では２個）直列に収容されている。ハブ１とドライブプレート２， ３はこの複数の圧縮ばね６，６によって回動方向で弾性的に連結されている。ま た、両ドライブプレート２，３間には、環状部７ｂとこの環状部７ｂから径方向 内方に向かって延出する複数の楔状突起７ａとから成る遊動子７が介装されてお り、この遊動子７の環状部７ｂが前記アーム１ａの外周側に相対回動可能に嵌合 されると共に、各楔状突起７ａが複数の圧縮ばね６，６間に介装され、ハブ１と ドライブプレート２，３が相対回動すると、複数の圧縮ばね６，６がこの遊動子 ７を通して直列に作用するようになっている。さらに、環状部７ｂの一方の側面 には所定摩擦係数の摩擦材８が接着され、この摩擦材８の側面が一方のドライブ プレート２の内側面に摺接するようになっている。

【００１４】 また、他方のドライブプレート３の内側には、環状のリテーナプレート１１が 軸方向変位を許容し回動変位を規制した状態で取り付けられている。具体的には 、ドライブプレート３に係止孔１２が穿設されていて、リテーナプレート１１の 側方に突設された爪１１ａがこの係止孔１２に軸方向変位可能に嵌入されている 。そして、このリテーナプレート１１と他方のドライブプレート３の間には弾性 部材としての皿ばね１３が介装されており、この皿ばね１３がリテーナプレート １１を通して遊動子７を一方のドライブプレート２方向に付勢し、摩擦材８に所 定の摩擦荷重を付与するようになっている。尚、図中１４は、ハブ１とドライブ プレート３の内周縁部間に介装されて、ハブ１とドライブプレート２，３の軸方 向のがたつきを抑える弾性リングである。

【００１５】 この捩り振動低減装置は以上のような構成であるため、動力伝達系の捩り振動 は圧縮ばね６による吸振作用と摩擦材８による減衰作用とによって低減する。

【００１６】 ここで、摩擦減衰力を発生する摩擦材８は皿ばね１３によって摩擦荷重を付与 されるのであるが、皿ばね１３は、爪１１ａと係止孔１２の係合によって常時一 体回動するリテーナプレート１１と他方のドライブプレート３との間に介装され ているため、経時使用によっても皿ばね１３自体は摩耗しない。このため、皿ば ね１３の初期荷重は常時一定に維持され、皿ばね１３は摩擦材８に対して常にほ ぼ変わらぬ摩擦荷重を付与する。したがって、経時使用によって摩擦材８が摩耗 しても、皿ばね１３がその摩耗分リテーナプレート１１を軸方向に変位させて摩 擦材８に対してほぼ一定の摩擦荷重を付与するため、この装置を採用した場合に は、所望の摩擦減衰力を長期間変化なく得ることができる。

【００１７】 尚、この考案の実施例はここで述べたものに限るものでなく、例えば、リテー ナプレート１１とドライブプレート３の間に介装される弾性部材として皿ばね１ ３に代えてウェーブワッシャ等を採用するようにしても良い。

【００１８】

【考案の効果】

以上のように本考案は、ドライブプレートの内側に、軸方向変位を許容し回動 変位を規制した状態でリテーナプレートを取り付け、このリテーナプレートとド ライブプレートの間に弾性部材を介装するようにしたため、ドライブプレートと リテーナプレートが相対回動しないことから経時使用によっも弾性部材には摩耗 が生じす、摩擦材が摩耗してもこの弾性部材がほぼ変わらぬ安定した摩擦荷重を 摩擦材に付与し続けるようになる。このため、本考案を採用した場合には、所望 の摩擦減衰力を長期間変化なく得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す図２のＡ−Ａ線に沿う
断面図。

【図２】同実施例を示す一部を破断した正面図。

【図３】同実施例を示す部品の正面図。

【図４】従来の技術を示す一部を破断した正面図。

【図５】図４のＢ−Ｂ線に沿う断面図。

【符号の説明】

１…ハブ、 ２，３…ドライブプレート、 ４…ばね支持枠、 ５…ばね受容部、 ６…圧縮ばね、 ７…遊動子、 ８…摩擦材、 １１…リテーナプレート、 １３…皿ばね（弾性部材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円周方向に略沿うばね支持枠が外縁部に
   形成されたハブと、前記ばね支持枠に対応するばね受容
   部を有し前記ハブの軸方向両側に配置された一対のドラ
   イブプレートと、前記ばね支持枠とばね受容部とにまた
   がって収容されてハブとドライブプレートを回動方向で
   弾性的に連結する複数の圧縮ばねと、この複数の圧縮ば
   ね間に介装されて複数の圧縮ばねを直列に作用させる遊
   動子と、前記ドライブプレートと遊動子の側面間に介装
   されてハブとドライブプレートの相対回動時に摩擦減衰
   力を発生する摩擦材とを備えた捩り振動低減装置におい
   て、前記ドライブプレートの内側に、軸方向変位を許容
   し回動変位を規制した状態でリテーナプレートを取り付
   け、このリテーナプレートとドライブプレートの間に、
   前記摩擦材に摩擦荷重を付与する弾性部材を介装したこ
   とを特徴とする捩り振動低減装置。