JPH0661408U - 軟質材料用切削工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、例えば発泡スチロール等の軟質材
料を穴明け加工する切削工具の改良に関する。 【構成】 工具軸Ｐ―Ｐ軸方向に平行な平行外周面Ｓ
と、この平行外周面Ｓの先端から内側に向けて彎曲する
外周アール部Ｒと、この外周アール部Ｒの内側に連なる
中央平坦部Ｈを設け、前記平行外周面Ｓに螺旋状の外周
刃２を設ける一方、前記外周アール部Ｒに中央平坦部Ｈ
と外周刃２を螺旋状に結ぶ螺旋刃３を設ける。そしてこ
の螺旋刃３のラジアル面ｏ―Ｘに対するすくい角γを６
０度以上、切削面Ｑ―Ｑに対する逃げ角を０度とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば発泡スチロール等の軟質材料を加工する切削工具の改良に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、例えばプレス型等の金型を製造する際、消失性の発泡ブロックを用いて 鋳造するフルモールド法のような鋳造法が知られている。 すなわち、この方法は発泡ブロックを切削して金型と同形の消失模型を製作し 、この消失模型の周囲をレジンサンド等の砂で固めた後、模型部に金属溶湯を注 湯して模型を消失させ模型と同形の金型を鋳造するというものである。 そこで、このような発泡ブロックを加工するための切削加工として、例えば実 開昭５９―１８７４２１号のように外周に設けたねじれ溝の回転方向側に鬼目状 の切刃を等ピッチ間隔に形成したような工具が知られている。 又、本出願人もかかる発泡ブロック等の切削工具として、実願昭０４―０７３ ９８６号のような工具を開示している。そしてこの工具は工具本体の外周面に設 けた外周刃のねじれ角と、軸直交断面に対するすくい角と、切削仕上面に対する 逃げ角の組合せを適切にし、切削仕上面の平滑化と切屑のスライス化を図って鋳 造品質の向上、環境衛生等の向上を図ったものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上述のような切削工具の場合は、工具を回転させながら例えば 工具軸と直交方向に送りながら加工する際は効果があっても、窓抜き加工とか通 し加工のように工具軸方向に送りながら加工する場合には適用出来なかった。 又、従来一般の切削工具を用いてこのような加工を行おうとすると、例えばド リル等を用いて加工すれば刃部の回転によって切粉を外部に排出することは出来 るが、ワークが軟らかいためにワークの一部を刃部の間に溝に喰い込ませた状態 になり、工具を引き抜く際に一緒にワークを持ち上げたり、ワークの一部を噛み 取ったりするような不具合があった。 又、リーマ等を用いた場合には、粉状となった切粉が刃先に融着し、構成刃先 に似た状態となってオーバーカットしてしまうという問題もあった。 更に粉状となった切粉が空間に飛散して環境を悪化させるという問題もあった 。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

かかる課題を解決するため、本考案は軟質材料を加工する切削工具において、 軸方向に平行な平行外周面と、この平行外周面の先端から内側に向けて彎曲する 外周アール部と、この外周アール部の内側に連なる中央平坦部を設け、前記平行 外周面に螺旋状の外周刃を設ける一方、前記外周アール部に中央平坦部と外周刃 を螺旋状に結ぶ螺旋刃を設け、この螺旋刃のラジアル面に対するすくい角を６０ 度以上、切削面に対する逃げ角を０度とした。

【０００５】

【作用】

外周アール部に螺旋刃を設け、この螺旋刃のラジアル面に対するすくい角を６ ０度以上とすることで、穴明け加工の際切屑を引き剥がそうとする力が小さくな り、切屑をスライス状にカット出来る。 従って窓抜き加工、通し加工の際も作業空間に粉状の切屑が飛散することなく 、環境衛生を悪化させない。 この際、切削面に対する逃げ角を０度にすれば工具の製造が極めて容易となり 、又、発泡スチロール等の軟質材料の切削には、逃げ角を０度にしてもワークを 外周アール部の形状になじませるような状態で切削することが出来る。

【０００６】

【実施例】

本考案の軟質材料用切削工具の実施例について添付した図面に基づき説明する 。 図１は本切削工具の先端部の側面図、図２は工具先端部の正面図、図３は螺旋 刃の形状を示す断面図であり、（イ）はＡ―Ａ線断面図、（ロ）はＢ―Ｐ線断面 図、（ハ）はＣ―Ｐ線断面図、（ニ）はＤ―Ｐ線断面図である。

【０００７】 本考案の切削工具は、例えば発泡スチロール製の消失模型を製作するような際 の工具として、特に軟質材料の穴明け加工に適した工具として図１に示すように 構成されている。

【０００８】 すなわち、工具本体１は、工具軸Ｐ―Ｐに平行な平行外周面Ｓと、この平行外 周面Ｓの先端から内側に向けて彎曲する外周アール部Ｒと、この外周アール部Ｒ の内側に連なる正面視円形の中央平坦部Ｈを備え、外周アール部Ｒは曲率中心ｏ を中心として工具半径より小さい曲率半径ｒで彎曲している。

【０００９】 そして、平行外周面Ｓには螺旋状の外周刃２を設けるとともに、外周アール部 Ｒには図２に示すような螺旋刃３を設けて前記外周刃２に連ならせ、この螺旋刃 ３は中央平坦部Ｈの外縁まで延出させている。

【００１０】 そして、実施例では二条の螺旋刃３を設けて二本の外周刃２に連ならせている が、必ずしも二条に限られることなく一条でも二条以上でもよい。

【００１１】 ところで、螺旋刃３の形状は、図３に示すように、切刃の厚み角δを一定に保 持し、ラジアル面ｏ―Ｘに対するすくい角γを６０度以上の一定値にするととも に、切削面Ｑ―Ｑと切刃外面の接線のなす逃げ角を０度としている。 そして、実施例の場合、切刃の厚み角δを２０度とし、すくい角γを７０度と している。

【００１２】 そして、かかる切刃の形状は、螺旋刃３のすべての箇所に亘って維持しており 、前記のように平行外周面Ｓの外周刃２に連続させている。 又、切刃の内側には切屑排出用のチップポケット４を設けている。

【００１３】 外周刃２の形状は任意であり、不図示であるが例えば工具軸に対する切刃のね じれ角φを４０度以上とし、軸直交断面に対するすくい角γを４０度〜６０度の 範囲とし、切削仕上面に対する逃げ角を２０度以内とすることで、工具を横送り しながら加工する際にも、切屑をスライス状にして切削面を綺麗に仕上げること が出来る。

【００１４】 すなわち、強いねじれ角φによって、いわゆる引き切り作用が生じて切断面が 綺麗となり、すくい角γを大きくすることで切刃を寝かせた姿勢で切削するよう な状態を作り出し、むしれ作用を抑制する。

【００１５】 尚、逃げ角は２０度以内の小さな角度で設定することが望ましいが、螺旋刃３ に合せて逃げ角をとらなくても発泡スチロール等の軟質素材に対しては十分適用 出来る。 そして、切刃のすくい面の内側にはチップポケットを形成して切屑排出を円滑 ならしめる。

【００１６】 以上のような構成による本案の切削工具によって発泡スチロール等の軟質材料 に穴明け加工する際、工具本体１を回転させながら工具軸方向に沿って送ると、 切削面に圧接する外周アール部Ｒの螺旋刃３にワーク面がなじむような状態とな って穴明け加工が行われる。 つまり、螺旋刃３に特に逃げ角を設けていないが、ワーク面は弾力性があるた め容易になじみ、又、切削抵抗も極めて小さいため特に問題は生じない。

【００１７】 又この際、螺旋刃３のラジアル面ｏ―Ｘに対するすくい角γを６０度以上とし ているためむしれ形とならず、切屑をスライス状に出来る。 つまり、窓抜き加工、通し加工等が綺麗に仕上り、切粉が飛散して環境を悪化 させるような不具合がない。

【００１８】 又螺旋刃３の形成は、切刃にすくい角と逃げ角を形成しようとすると、切刃の 内側と外側を砥石等によって研削し所定の角度を与えなければならないものであ るが、逃げ角を０度とすることで工具製作の加工が極めて容易となる。

【００１９】 尚、本案の切削工具は実施例で示した発泡スチロール等の軟質材料用のみなら ず例えば他の樹脂材料、木材等にも適用出来ることはいうまでもない。

【００２０】

【考案の効果】

以上のように、本考案の軟質材料用切削工具は、螺旋刃の逃げ角を０度とした ので、工具製作が極めて容易となり、又、すくい角を６０度以上のように大きく したので発泡ブロック等の窓抜き加工とか通し加工のような加工において、切削 面を綺麗にし、且つ切屑をスライス状に出来る。 このため、切屑が周辺に飛散して環境を悪化させることもなく、又、加工精度 も向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本切削工具の先端部の側面図

【図２】工具先端部の正面図

【図３】螺旋刃の形状を示す断面図であり、（イ）はＡ
―Ａ線断面図、（ロ）はＢ―Ｐ線断面図、（ハ）はＣ―
Ｐ線断面図、（ニ）はＤ―Ｐ線断面図

【符号の説明】

１ 工具本体 ２ 外周刃 ３ 螺旋刃 Ｓ 平行外周面 Ｒ 外周アール部 Ｈ 中央平坦部 γ すくい角 Ｑ―Ｑ 切削面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軟質材料を加工する切削工具において、
   この工具は軸方向に平行な平行外周面と、この平行外周
   面の先端から内側に向けて彎曲する外周アール部と、こ
   の外周アール部の内側に連なる中央平坦部を備え、前記
   平行外周面に螺旋状の外周刃を設ける一方、前記外周ア
   ール部に中央平坦部と外周刃を螺旋状に結ぶ螺旋刃を設
   け、この螺旋刃のラジアル面に対するすくい角を６０度
   以上、切削面に対する逃げ角を０度としたことを特徴と
   する軟質材料用切削工具。