JPH0660886B2 - 電気泳動用媒体膜 - Google Patents

電気泳動用媒体膜

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JPH0660886B2
JPH0660886B2 JP62043702A JP4370287A JPH0660886B2 JP H0660886 B2 JPH0660886 B2 JP H0660886B2 JP 62043702 A JP62043702 A JP 62043702A JP 4370287 A JP4370287 A JP 4370287A JP H0660886 B2 JPH0660886 B2 JP H0660886B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は核酸(DNA, RNA)塩基配列決定のために用いられ
るポリアクリルアミド系水性ゲルからなる電気泳動用ゲ
ル媒体に関するものであり,さらに詳しくは,核酸塩基
フラグメントの低分子量部分から高分子量部分まで広い
分子量範囲にわたって良好な分離性能を有するように予
め定められ制御されたゲル媒体の膜厚勾配(膜厚グラジ
エント)を有する電気泳動用媒体膜に関するものであ
る。
[従来の技術] 化学分解法,ジデオキシ法等による核酸(DNA, RNA)の塩
基配列決定法においてはポリアクリルアミド系水性ゲル
電気泳動用媒体膜(以下,ポリアクリルアミドゲル膜又
は,単に,ゲル膜ということがある)を用いたスラブ電
気泳動が必須の操作になっている。近年では電気泳動分
析が頻繁に利用されるようになっている。そしてジデオ
キシ法の発達により,核酸フラグメントの高分子量部分
まで精度よく分離できるポリアクリルアミドゲル膜の要
請が高まってきた。
一方,核酸の塩基配列決定のために,核酸塩基フラグメ
ントをその分子量の違いにより電気泳動分離する場合,
通常の厚さ一定のポリアクリルアミドゲル膜では,分離
したフラグメントのバンドの間隔が低分子量部分では広
く,高分子量部分では狭くなる。このため核酸フラグメ
ントの高分子量部分の分離が悪くなる。そこで低分子量
部分から高分子量部分まで広い分子量範囲にわたって均
等に良好な分離性能を得るために,電気泳動方向にポリ
アクリルアミド濃度,緩衝液濃度に勾配をもたせたポリ
アクリルアミドゲル膜(グラジエントゲル膜)が使用さ
れている。例えば特開昭60−235819(EP 0 159 694A)に
はポリアクリルアミド濃度(ゲル濃度又は孔径サイズ)勾
配を有するポリアクリルアミドゲル電気泳動用媒体膜
を,アクリルアミドと架橋剤を含む水溶液の薄層を支持
体の表面で電子ビーム等の電離放射線を用いて架橋重合
させて製造する方法及び装置が記載されている。この方
法に用いられる装置及び濃度勾配をゲル膜中に発現させ
るための電子ビーム等のコントロール法はきわめて複雑
である。一般にグラジエントゲル膜は製造するのに手数
がかかり,濃度勾配の再現性が悪く,製造に失敗するこ
とが多く,均一なグラジエントを有する多数のゲル膜を
製造し難いという欠点があった。さらに,ポリアクリル
アミドゲル濃度の違いによって膨潤率が異なるので,分
離した核酸フラグメント像を有する電気泳動実施後のゲ
ル膜を支持体から剥離する操作時にゲル膜が変形しやす
いという欠点もあった。
一方,通常ゲル膜を作製する場合,2枚の平面ガラスの
間にゲル膜を形成するため,望みの漸次的変化の勾配を
もたせることが難しかったので,膜厚勾配ゲル膜は従来
使用されていなかった。
[発明の目的] 本発明の目的は核酸(DNA, RNA)の塩基配列決定のために
用いられるポリアクリルアミド径水性ゲル電気泳動用媒
体(以下,ゲル媒体ということがある)において,核酸
フラグメントの低分子量部分から高分子量部分までほぼ
同等な良好な高分離性能を持つように厚さグラジエント
を有するゲル媒体膜を提供することである。
本発明の他の目的は濃度グラジエントゲル膜に比べて膨
潤による変形の少ない厚さグラジエントを有するゲル媒
体膜を提供することである。
[発明の構成] 本発明は,アクリルアミド系化合物と架橋剤が水の存在
下に架橋重合してなるポリアクリルアミド系水性ゲル及
び変性剤として少なくとも1個のカルバモイル基を含む
化合物を含む電気泳動用ゲル媒体からなる層を平面状支
持体と平面状カバーシートとの間に設けてなる電気泳動
用媒体膜において,前記ゲル媒体層が予め定められた電
気泳動方向に沿う漸次的な厚さの変化を有する電気泳動
用媒体膜である。
[発明の構成の詳細な説明] ゲル媒体に用いることができるアクリルアミド系化合物
(単量体)の例としては,アクリルアミド,N-メチルアク
リルアミド,N,N-ジメチルアクリルアミド,N-(ヒドロ
キシメチル)アクリルアミド,ジアセトンアクリルアミ
ド等のアクリルアミドホモログがある。これらの化合物
は単独で,または2種以上を組合せて用いることができ
る。これらの化合物のうちではアクリルアミドが好まし
く,またアクリルアミドと他のアクリルアミド系化合物
の1種以上との併用も好ましい。
架橋剤としては「Electrophoresis」2(4),213−219(198
1),同誌2(4),220−228(1981)等に記載の二官能性架橋剤
化合物,特開昭61−2058等に記載の三官能性以上の架橋
剤化合物を用いることができる。二官能性架橋剤の具体
例として,N,N′−メチレンビスアクリルアミド(BI
S);N,N′−プロピレンビスアクリルアミド(PBA);
ジアクリルアミドジメチルエーテル(DAE);1,2-ジア
クリルアミドエチレングリコール(DEG);エチレンウ
レアビスアクリルアミド(EUB);エチレンジアクリレ
ート(EDA);N,N′−ジアリルタルタルジアミド(DA
TD);N,N′-ビスアクリリルシスタミン(BAC)があ
る。三官能性架橋剤の具体例として,1,3,5-トリアクリ
ロイルヘキサヒドロ-s- トリアジン(TAHT);トリア
リルシアヌレート(TAC);トリアリルイソシアヌレー
ト(TAIC)等がある。これらの架橋剤のうちではBI
SとTAHTが好ましい。架橋剤は2種以上を組合わせ
て用いることもできる。
架橋剤の量は,単量体と架橋剤の合計重量に対して約1
w%から約30w%,好ましくは約2w%から約10w%の
範囲で用いられる。
ゲル媒体にはアガロースを添加することができる。アガ
ロースとしては,特開昭55−5730,特開昭55−110946,
特表昭57−502098,特開昭59−126236等に記載の低電気
浸透性アガロース,中電気浸透性アガロース,高電気浸
透性アガロースのいずれも用いることができる。アガロ
ースの添加量は単量体と架橋剤を含む水性ゲルの容積に
対して約0.2w/v%から約2.0w/v%,好ましくは約0.3w/v
%から約1.2w/v%の範囲である。
ゲル媒体には水溶性ポリマーを添加することができる。
水溶性ポリマーとしては,特開昭59−126236,特開昭60
−60548等に記載の分子量約1万から約100万の範囲の付
加重合型または縮重合型の水溶性の非イオン性ポリマ
ー,特開昭61−18852等に記載のビニルスルホニル基等含
有の架橋性アクリルアミド系コポリマー,特願昭61−21
4878(特開昭63−70156)に記載の水溶性セルロース誘導
体を用いることができる。付加重合型の水溶性の非イオ
ン性ポリマーの例としてポリアクリルアミド,ポリビニ
ルアルコール,ポリビニルピロリドンがある。縮重合型
の水溶性の非イオン性ポリマーの例としてポリエチレン
グリコール,ポリプロピレングリコール,ポリ−N-ビニ
ルピロリドンがある。架橋性アクリルアミド系コポリマ
ーの例として,N-[[3-(ビニルスルホニル)プロパンアミ
ド]メチル]アクリルアミド−アクリルアミドコポリマ
ー;N-[[3-(2-クロロエチルスルホニル)プロパンアミ
ド]メチル]アクリルアミド−アクリルアミド− N-(1,1-
ジメチル-3-オキソブチル)アクリルアミドコポリマーが
ある。水溶性セルロース誘導体の例としてメチルセルロ
ース,エチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロー
ス,ヒドロキシピロピルメチルセルロース,ヒドロキシ
ブチルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル
がある。これらの水溶性ポリマーのうちではポリアクリ
ルアミド,ポリエチレングリコール,N-[[3-(ビニルス
ルホニル)プロパンアミド]メチル]アクリルアミド−ア
クリルアミドコポリマーが好ましい。水溶性ポリマーの
添加量は,付加重合型または縮重合型の水溶性の非イオ
ン性ポリマーの場合,単量体と架橋剤の合計重量に対し
て約2w%から約100w%,好ましくは約5w%から約50w%
の範囲,架橋性アクリルアミド系コポリマーの場合,ア
クリルアミド系化合物の重量に対して約1w%から約50w
%,好ましくは約5w%から約40w%の範囲である。
ゲル媒体には核酸フラグメントの高分子量部分の泳動像
バンド幅の広がりと分離像の歪の発生防止の目的でグリ
セロールをゲル媒体の容積に対して約0.1w/v%〜約1.0w
/v%の範囲で添加することができる。また湿潤剤として
グリセロール,エチレングリコール等のポリオール化合
物をゲル媒体の容積に対して約1.w/v%〜約40w/v%の範
囲で添加することができる。
アガロース及び/又は水溶性ポリマー,あるいはグリセ
ロール,エチレングリコール等のポリオール化合物をゲ
ル媒体に添加する時期は通常単量体と架橋剤を水に溶解
する時からポリアクリルアミド系水性ゲルの形成時まで
の間が好ましい。
ゲル媒体にはノニオン性,アニオン性又は両性界面活性
剤を添加することができる。界面活性剤の例として, 等のノニオン性界面活性剤, 等のアニオン性界面活性剤, 等の両性界面活性剤がある。界面活性剤の添加量は,単
量体と架橋剤を含む水性ゲルの容積に対して,ノニオン
性又はカチオン性界面活性剤の場合,約 1×10-4から約
5×10-1w/v%,好ましくは約1×10-3から約 1×10-2w/
v%の範囲,アニオン性界面活性剤の場合,約 1×10-4
ら約 5×10-2w/v%,好ましくは約 1×10-3から約 5×1
0-2w/v%の範囲である。
変性剤としては少なくとも1個のカルバモイル基をもつ
化合物が用いられる。その具体例として尿素,ホルムア
ミド等がある。変性剤の添加量は単量体と架橋剤を含む
水性ゲルの容積に対して約40w/v%から約60w/v%の範囲
である。変性剤として尿素を用いる場合には,単量体と
架橋剤を含む水性ゲル1000mLに対し約6モル(約360g)か
ら飽和溶解量(約420g)まで,好ましくは約7モルから飽和
溶解量までの範囲で用いられる。変性剤は添加量が多い
ので,その添加時期は通常単量体と架橋剤を含む諸成分
を水に溶解する時が好ましい。
ゲル媒体には公知のpH緩衝剤を含有させて電気泳動実施
時のpH値を 8.0から9.0 の範囲に調節することができ
る。用いうるpH緩衝剤としては,日本化学会編「化学便
覧基礎編」(東京,丸善(株),1966年発行) 1312−1320
頁,R.M.C.Dawson et al編「Data for Biochem
ical Research」 第2版(Oxford at the Clarendon
Press,1969年発行)476−508頁,「Biochemistry」5, 46
7頁以降(1966年),「Analytical Biochemistry」104,300
−310頁(1980年)等に記載のpH緩衝剤系がある。pH緩衝
剤の具体例として,トリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
タン(Tris);N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン
(Bicine);N-2-ヒドロキシピペラジン-N′-2-ヒドロキシ
プロパン-3-スルホン酸Na塩又はK塩等;N-2-ヒドロキ
シエチルピペラジン-N′-3-スルホン酸Na塩又はK塩
等;N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3- アミノプ
ロパンスルホン酸Na塩又はK塩等;及びこれらのいずれか
と必要により組合せられる酸,アルカリ又は塩がある。
好ましいpH緩衝剤系の例として Tris−硼酸−EDTA・2Na
塩(pH8.2〜8.3用組成)がある。
ゲル媒体は予め定められた厚さの膜において実質的に無
色透明であることが泳動像の検出または読取りに一般的
に好ましい。
ゲル媒体は,実質的に電気不伝導性で水不浸透性の平滑
な表面のシート状(フィルム状,又は平板状)支持体又
はカバーシートの上に予め定められた,制御された漸次
的な厚さの変化を有する層又は膜として設けられる。実
質的に電気不伝導性で水不浸透性の平滑な表面のシート
状支持体又はカバーシートとして公知のガラス板,有機
ポリマーシート等を用いることができる。有機ポリマー
シートの具体例としてポリエチレンテレフタレート,ビ
スフェノールAのポリカルボネート,ポリスチレン,セ
ルロースエステル(例,セルロースジアセテート,セルロ
ーストリアセテート,セルロースアセテートプロピオネ
ート等) 等のポリマーからなる厚さ約50μmから約2mm,
好ましくは約80μmから約500μmの範囲の透明な,す
なわち波長約200nmから約900nm の範囲内の少なくとも
一部の範囲の波長の電磁輻射線を透過させる平滑な表面
を有するシート状物又は平板状物がある。有機ポリマー
支持体又はカバーシートを用いる場合にはその表面を親
水化しゲル膜との接着を良好にするために,紫外線照
射,グロー放電処理,コロナ放電処理,火焔処理,電子
線照射,ケミカルエッチング,電解エッチング等の公知
の表面処理方法を適用することができる。有機ポリマー
支持体又はカバーシートの表面には必要に応じて特開昭
59−164950,特開昭59−212753,特開昭60−194349,特開
昭60−239658,特開昭60−244850,特開昭61−14557等に
記載の下塗層または接着層を設けてその上に設けられる
ゲル媒体層と支持体又はカバーシートとの接着を強固に
することができる。また,後述するように,予め定めら
れた漸次的な厚さ変化を有する平面状支持体又はカバー
シートを用いることもできる。
ゲル媒体は前述の諸成分とラジカル重合開始剤組成物を
含む水溶液(以下,ゲル形成液ということがある)を平
面状支持体又はカバーシートの上に層状又は膜状に流延
または塗布し,分子状酸素の不存在下で,必要により紫
外線又は可視光の照射及び/又は加熱して,単量体(ア
クリルアミド系化合物)と架橋剤とが架橋重合したポリ
アクリルアミド系水性ゲル媒体層又は膜として製造され
用いられる。
アクリルアミド系化合物(単量体)と架橋剤は,水溶液ま
たは水分酸液として水に溶解または分散させておき,水
中で両者を架橋重合させて,架橋重合した水性ゲル媒体
を形成させる。本明細書においては特にことわらないか
ぎり,(水に)溶解と(水に)分散の両者を含めて単に(水
に)溶解といい,水溶液と分散液の両者を含めて単に水
溶液という。溶媒または分散媒としては,水だけでな
く,所望により加えられる有機溶媒を含む水−有機溶媒
混合物をも包含する。
ラジカル重合開始剤組成物としては「Electrophoresis」
2(4),213−219(1981),同誌2(4),220−228(1981),特開昭
59−126236,青木,永井編「最新電気泳動法」(1973年発
行)等に記載の低温ラジカル重合開始剤組成物のうちか
ら適宜に選択して用いることができる。ラジカル重合開
始剤組成物の例として,β-(ジメチルアミノ)プロピオニ
トリル(DMDPN)−ペルオクソ二硫酸アンモニウム混合
物;N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン(TE
MED)−ペルオクソ二硫酸アンモニウム混合物;TE
MED−リボフラビン混合物;TEMED−リボフラビ
ン−過酸化水素混合物;リボフラビン−ペルオクソ二硫
酸アンモニウム混合物;リボフラビン−過酸化水素混合
物(リボフラビン等の光増感剤併用の場合には紫外線又
は可視光の照射を併用する)等がある。ラジカル重合剤
組成物の添加量は単量体と架橋剤の合計重量に対して約
0.3w%から約5.0w%,好ましくは約0.5w%から約3.0w%
の範囲である。
ゲル媒体はゲル濃度としてS.Hjerten:「Archives o
f Biochemistry and Biophysics」1,(Suppl.),147−1
51(1962) に記載の定義に従って表示して,単量体,架
橋剤および水からなるゲル媒体の容積に対して,単量体
と架橋剤の合計量が約3w/v%から約30w/v%の範囲で用
いられる。
ゲル形成液を平面状支持体(又はカバーシート)の表面
上で架橋重合させる際には,ゲル形成液の流延塗布とそ
の後の架橋重合を窒素ガス雰囲気中等の分子状酸素の不
存在下で実施するか,あるいは流延塗布したゲル形成膜
の表面状に直ちにカバー用フィルム,シートまたは板等
の被覆材料で覆い架橋重合させることが好ましい。この
目的に使用される被覆材料としては前述の平面状支持体
と同様な素材からなるものを用いることができる。カバ
ー用フィルムが有機ポリマーフィルムである場合,その
厚さは約300μm以下であり,実用的な範囲としては約4
μmから約200μm,好ましくは約約4μmから約100μm
である。被覆材料がガラス板の場合,その厚さは支持体
として用いる平面状ガラス板と同様な厚さのものを用い
ることができる。
一般的にゲル媒体膜の厚さ勾配は,電気泳動実施後に核
酸の高分子フラグメント側に薄く,低分子フラグメント
側に厚くなるような勾配を設けるのが原則であるが,目
的により他の勾配配置を採用することができることはい
うまでもない。本発明のゲル媒体膜の特徴をなすゲル膜
の厚さ勾配(曲線又は直線)は,サンプル注入端部から
の距離に対して,直線,ゆるく折れた直線,指数関数,
対数関数,懸垂線,追跡線,放物線,双曲線,楕円,3
次曲線等の関数で表される漸次的変化の曲線の一部分,
その他の任意の漸次的変化の曲線又は曲線と直線の組合
せ等で表される勾配をもたせることができるが,電気泳
動方向に沿って距離とともに漸次的に単調に増加させ
る,途中から増加させる,あるいは一度減少させた後増
加させるように設けるのが好ましい。変化させる厚さの
範囲は約50μmから約5mm,好ましくは約80μmから約1
000μmの範囲である。なお,サンプル注入部分の形状
は,長方形状,正方形状,三角形状(シャークスティー
ス状),円形状等公知の形状から選択して設けることが
できる。
ゲル媒体に膜厚勾配を設ける方法としては,平面状支持
体に予め定められた,制御された漸次的な厚さ変化(層
厚勾配又は膜厚勾配)にほぼ相当する厚さ変化を有する
スペーサ板を固定し,スペーサ板にそってカバー用被覆
材料(シート状物)で覆ったモールド内部にゲル形成液を
流し込み架橋重合させる方法,予め定められた漸次的な
厚さ変化に相当する厚さ変化を有する平面状支持体(又
はカバーシート)の表面に一定厚さのスペーサー板を固
定し,スペーサ板にそってカバー用被覆材料(支持体)で
覆ったモールド内部にゲル形成液を流し込み架橋重合さ
せる方法,予め定められた漸次的な厚さ変化に相当する
厚さ変化を有する平面状支持体(又はカバーシート)の表
面にゲル形成液を流延し,窒素ガス雰囲気中等の分子状
酸素の不存在下で架橋重合させる方法,予め定められた
漸次的な厚さ変化に対応するように,単位時間当りの流
量を制御(ゲル膜厚さの薄い領域では流量を少く,厚さ
の厚い領域では流量を多くする)しながら,平面状支持
体(又はカバーシート)の表面にゲル形成液を流延塗布
し,窒素ガス雰囲気中等の分子状酸素の不存在下で架橋
重合させる方法等を適用することができる。予め定めら
れた漸次的厚さ変化を有する平面状支持体は,モールド
カスティング法,ケミカルエッチング法,切削法等の公
知の技術により調製されたものを用いることができる。
流量を制御しながら支持体(又はカバーシート)に流延
塗布する場合には,スペーサー板の厚さ変化は必ずしも
ゲル膜の予め定められた漸次的な厚さ変化に相当してい
なくともよい。また,ゲル媒体の膜厚勾配をゲル膜の幅
全体に設けずに,サンプルを電気泳動させるレーンの領
域より僅かに広い幅の領域にだけレーンの数に対応させ
て設け,残余の領域は実質的に厚さ一定にすることもで
きる。この態様は漸次的厚さ変化を有する平面状支持体
又はカバーシートを用いる態様において有利に実施でき
る。
本発明のゲル媒体膜は公知のポリアクリルアミド系水性
ゲル媒体膜と同様にして調製することができる。また,
本発明のゲル媒体膜は前述の諸文献や特許明細書等に記
載の公知の方法に従って,水平型および垂直型スラブ電
気泳動法等に用いることができる。
実施例1及び比較例1 表面を紫外線照射処理した厚さ180μm,サイズ20cm×40
cmの長方形の無色透明ポリエチレンテレフタレート(P
ET)シート(支持体)の長辺に沿った両縁辺部に第1〜
3図の電気泳動方向に沿う断面模式図に示す3種の漸次
的な厚さ変化を有する幅10mmのスペーサー板(本発明)及
び同じ幅で一定厚さ200μmのスペーサー板(比較例)を
それぞれ固定し,スペーサー板に沿って厚さ100μmの
PETシート(カバーシート)で覆い、さらにカバーシー
トの外側を20cm×40cmの長方形のアルミニウム板でスペ
ーサーの厚さ変化に応ずるように固定してポリアクリル
アミド水性ゲル電気泳動用媒体層調製用モールドを形成
した。
各モールドの中に第1表に記載の組成のアクリルアミド
ゲル形成用水溶液を流し込み,周囲温度25℃で各ゲル形
成液に 100W高圧水銀灯を10cmの距離から照射しつつ10
分静置し2枚のPETシートの間で架橋重合させて厚さ
グラジエントを有する本発明のポリアクリルアミド水性
ゲル電気泳動用媒体膜3種と厚さ一定の比較用ゲ
ル膜を形成した。
第1図の超偏平V次形断面,厚さ最大(泳動方向始端部
と終端部)300μm,最小(泳動方向中央部)150μm 第2図の超偏平楔形断面,厚さ最小(泳動方向始端部)1
50μmから直線状に増加して最大(泳動方向終端部)300
μm 第3図の超偏平楔形断面,厚さ最小(泳動方向始端部)1
50μmから指数関数状に増加して最大(泳動方向終端部)
300μm 一定の厚さ 200μm 得られた4種のゲル膜を用いてDNA塩基配列解析の実
験をM13−mp8DNAに対してジデオキシ法により調製
されたDNAフラグメントサンプルを用いて常法に従い
実施した。その結果,本発明の厚さグラジエントゲル膜
では読み取り可能な塩基フラグメントの範囲は次のとお
りであった。
ゲル膜60〜240番 ゲル膜60〜215番 ゲル60〜240番 かつ各レーンでの塩基フラグメントの泳動像の幅と間隔
は読み取れる範囲内で極端に狭まることはなかった。
それに対して従来技術である厚さ一定のゲル膜ではそ
の読み取り可能範囲は 60〜200番で,各レーンの塩基フ
ラグメントの泳動像の幅と間隔は低分子量部分から高分
子量部分に至るにつれて次第に狭まっていた。
この結果から本発明の厚さグラジエントを有するポリア
クリルアミド水性ゲル電気泳動用媒体膜は核酸塩基フラ
グメントの低分子量部分から高分子量部分まで広い分子
量範囲にわたってほぼ一様にレーンでの間隔が維持され
ていて良好な分離が得られ,かつ読み取り可能な塩基フ
ラグメントの数が多く,精度の高いDNA塩基配列解析
を行うことができることが明らかになった。
実施例2及び比較例2 表面を紫外線照射処理した厚さ180μm,サイズ20cm×40
cmの長方形の無色透明PETシート(支持体)の長辺に
沿った縁辺部に一定厚さ300μmで幅10mm×長さ40cmの
スペーサー板を接着固定した。この支持体の上に実施例
1の第1表に記載の組成のゲル形成液を,ゲル形成液膜
の厚さが 150μmから300μmになるような範囲で流量
を制御して支持体上のゲル形成液膜の厚さを変化させな
がら流延塗布し,各ゲル形成液膜に500Wキセノン放電
灯を照射しつつ窒素ガス雰囲気中で架橋重合させ,つい
でゲル膜の上に厚さ63μmでサイズ20cm×40cmの無色透
明PETシートをカバーシートとして密着積層して,第
1図ないし第3図に示したスペーサー板の断面の厚さ変
化にほぼ等しい厚さ変化(膜厚勾配)を有するポリアク
リルアミド水性ゲル膜3種(本発明のゲル膜)を調製し
た。
一方,ゲル形成液の流量を,ゲル形成液膜の厚さが 200
μmになるように一定にしたほかは上記と同様にして一
定の厚さ 200μmのゲル膜(比較例2)を調製した。
得られた4種のゲル膜を用いて実施例1と同様にしてD
NAフラグメントの泳動像の読み取り実験を実施したと
ころ,実施例1及び比較例1と同様の結果が得られた。
実施例3及び比較例3 表面を紫外線照射処理した厚さ180μm,サイズ20cm×40
cmの長方形の無色透明PETシート(支持体)の長辺に沿
った縁辺部に一定厚さ200μmで幅10mm×長さ40cmのス
ペーサー板を接着固定した。この支持体の上に実施例1
の第1表に記載の組成のゲル形成液を,ゲル形成液膜の
厚さが約100μmから約280μmになるような範囲で流量
を制御して支持体上のゲル形成液膜の厚さを変化させな
がら流延塗布し,各ゲル形成液膜に500Wキセノン放電灯
を照射しつつ窒素ガス雰囲気中で架橋重合させた。つい
でゲル膜の上に厚さ63μm,サイズ20cm×40cmの長方形
の無色透明PETシートをカバーシートとして密着積層し
て,第4図に示した断面模式図の厚さ変化(膜厚勾配)を
有するポリアクリルアミド水性ゲル膜(本発明のゲル膜)
を調製した。
一方,ゲル形成液の流量を,ゲル形成液膜の厚さが200
μmになるように一定にしたほかは上記と同様にして一
定の厚さ200μmのゲル膜(比較例)を調製した。
得られた2種のゲル膜を用いて実施例1と同様にして D
NAフラグメントの泳動像の読み取り実験を実施したとこ
ろ,本発明のゲル膜では読み取り可能な塩基フラグメン
トの範囲は 60番から280番で,かつ各レーンでの塩基フ
ラグメントの泳動像の間隔は読み取れる範囲内で極端に
狭まることはなかった。それに対して従来技術である厚
さ一定のゲル膜(比較例)ではその読み取り可能な塩基フ
ラグメントの範囲は60番から200番で,かつ各レーンで
の塩基フラグメントの泳動像の間隔は,低分子量部分か
ら高分子量部分に至るにつれて次第に狭まっていた。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図は実施例1の本発明の厚さグラジエント
を有するゲル膜1〜3を形成するために用いたスペーサ
ー板の電気泳動方向に沿う漸次的な厚さ変化(膜厚勾配)
を示す断面模式図である。 第4図は実施例3の本発明の厚さグラジエントを有する
ゲル膜の電気泳動方向に沿う漸次的な厚さ変化(膜厚勾
配)を示す断面模式図である。 第1図:超偏平V字形断面,厚さ最大(泳動方向始端部と
終端部)300μm,最小(泳動方向中央部)150μm,長さ40c
mのスペーサー板(ゲル膜の調製用) 第2図:超偏平楔形断面,厚さ最小(泳動方向始端部)150
μmから直線状に増加して最大(泳動方向終端部)300μ
m,長さ40cmのスペーサー板(ゲル膜調製用) 第3図:超偏平楔形断面,厚さ最小(泳動方向始端部)150
μmから指数関数状に増加して最大(泳動方向終端部)30
0μm,長さ40cmのスペーサー板(ゲル膜調製用) 第4図:超偏平懸垂線に双曲線(漸近線に近づく領域)
を接続した線状の断面を有するゲル膜;厚さ最大(泳動
方向と始端部終端部)約280μm,最小(泳動方向始端部か
ら約18cmの中央部近傍)100μm,長さ40cm

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリルアミド系化合物と架橋剤が水の存
    在下に架橋重合してなるポリアクリルアミド系水性ゲル
    及び変性剤として少なくとも1個のカルバモイル基を含
    む化合物を含む電気泳動用ゲル媒体からなる層を平面状
    支持体と平面状カバーシートとの間に設けてなる電気泳
    動用媒体膜において, 前記ゲル媒体層が予め定められた電気泳動方向に沿う漸
    次的な厚さの変化を有することを特徴とする電気泳動用
    媒体膜。
  2. 【請求項2】前記支持体と前記カバーシートがいずれも
    有機ポリマーからなるシート状物である特許請求の範囲
    第1項に記載の電気泳動用媒体膜。
  3. 【請求項3】前記支持体と前記カバーシートがいずれも
    ポリエチレンテレフタレートからなるシート状物である
    特許請求の範囲第2項に記載の電気泳動用媒体膜。
  4. 【請求項4】前記少なくとも1個のカルバモイル基を含
    む化合物が尿素である特許請求の範囲第1項に記載の電
    気泳動用媒体膜。
  5. 【請求項5】前記ゲル媒体にさらにアガロースが含まれ
    る特許請求の範囲第1項に記載の電気泳動用媒体膜。
  6. 【請求項6】前記ゲル媒体にさらに水溶性ポリマーが含
    まれる特許請求の範囲第1項に記載の電気泳動用媒体
    膜。
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