JP7057728B2 - 電気泳動方法、電気泳動システム、及び電気泳動用の収容容器 - Google Patents

電気泳動方法、電気泳動システム、及び電気泳動用の収容容器 Download PDF

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Description

本発明は、電気泳動方法、電気泳動システム、及び電気泳動用の収容容器に関する。
従来の電気泳動方法として、対象物を含む試料を支持体の内部で移動させることで、他の物質と対象物とを分離するものが知られている。このような電気泳動方法として、例えば、特許文献1には、矩形状の支持体の一方の端部側に試料を配置し、電圧を印加することによって、対象物を支持体内で移動させるものが記載されている。これにより、支持体内における対象物と不純物などの他の物質との間の移動速度の差によって、対象物と他の物質とを分離している。
特開2003-114216号公報
上述のように従来の電気泳動方法は、対象物を他の物質から分離することができる。しかしながら、分離した対象物を濃縮する場合は、電気泳動とは別の工程として、対象物の濃縮を行う必要があった。従って、電気泳動を実行することで、他の物質からの対象物の分離に加えて、対象物の濃縮も行うことが求められていた。
そこで、本発明は、他の物質からの対象物の分離に加えて、対象物の濃縮も行うことができる、電気泳動方法、電気泳動システム、及び電気泳動用の収容容器を提供することを目的とする。
本発明に係る電気泳動方法は、対象物を含む試料を支持体の内部で移動させることで、他の物質と対象物とを分離する電気泳動方法であって、第1の方向における一方側の第1の端部及び他方側の第2の端部を有し、第1の端部と第2の端部との間に試料の流路を形成する支持体を準備する支持体準備工程と、支持体に対して試料を配置する試料配置工程と、電圧を印加して流路内に電位差を形成することで、対象物を流路内において第1の方向の第2の端部側へ移動させる電圧印加工程と、を備え、支持体は、第1の端部と第2の端部との間に、対象物を濃縮するための濃縮部を有し、第1の方向における所定の位置にて、第1の方向と直交する平面で流路を切断したときの切断面の面積を流路断面積とした場合、濃縮部での流路断面積は、当該濃縮部よりも第1の端部側の第1の領域における流路断面積に比して小さく、濃縮部よりも第2の端部側の第2の領域の流路断面積は、濃縮部の流路断面積に比して大きい。
本発明に係る電気泳動方法において、支持体は、第1の端部と第2の端部との間に、対象物を濃縮するための濃縮部を有している。濃縮部での流路断面積は、当該濃縮部よりも第1の端部側の第1の領域における流路断面積に比して小さい。対象物は、電極印加工程において流路内を移動することで、第1の領域にて他の物質と分離された後、濃縮部を通過する。このとき、対象物は、小さい流路断面積を有する濃縮部を通過することで、第1の方向と直交する方向へ濃縮される。また、濃縮部よりも第2の端部側の第2の領域の流路断面積は、濃縮部の流路断面積に比して大きい。流路断面積が大きくなる箇所では、流路の電圧が低下するため、対象物の移動速度が低下する。従って、対象物は、濃縮部を通過した後、濃縮部と第2の領域との境界部分付近において移動速度が低下する。これにより、対象物は、濃縮部を通過した後、第1の方向へ濃縮される。以上により、電気泳動方法は、他の物質からの対象物の分離に加えて、対象物の濃縮も行うことができる。
本発明に係る電気泳動システムは、対象物を含む試料を支持体の内部で移動させることで、他の物質と対象物とを分離する電気泳動システムであって、第1の方向における一方側の第1の端部及び他方側の第2の端部を有し、第1の端部と第2の端部との間に試料の流路を形成する支持体と、電圧を印加して流路内に電位差を形成することで、第1の端部側に配置された試料の対象物を流路内において、第1の方向の第2の端部側へ移動させる電圧印加部と、を備え、支持体は、第1の端部と第2の端部との間に、対象物を濃縮するための濃縮部を有し、第1の方向における所定の位置にて、第1の方向と直交する平面で流路を切断したときの切断面の面積を流路断面積とした場合、濃縮部での流路断面積は、当該濃縮部よりも第1の端部側の第1の領域における流路断面積に比して小さく、濃縮部よりも第2の端部側の第2の領域の流路断面積は、濃縮部の流路断面積に比して大きい。
本発明に係る電気泳動システムによれば、上述の電気泳動方法と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
本発明に係る電気泳動用の収容容器は、対象物を含む試料を支持体の内部で移動させることで、他の物質と対象物とを分離する電気泳動方法にて、支持体を収容する電気泳動用の収容容器であって、支持体の内部において第1の方向に延びる試料の流路の流路断面積を規定する規定面を有し、流路断面積は、第1の方向における所定の位置にて、第1の方向と直交する平面で流路を切断したときの切断面の面積であり、規定面は、第1の方向に沿って延びており、第1の方向における一方側の第1の端部及び他方側の第2の端部を有し、第1の端部と第2の端部との間に、対象物を濃縮するための濃縮部を形成する濃縮部形成部を有し、濃縮部形成部によって規定される流路断面積は、当該濃縮部形成部よりも第1の端部側の第1の部分によって規定される流路断面積に比して小さく、濃縮部形成部よりも第2の端部側の第2の部分によって規定される流路断面積は、濃縮部形成部によって規定される流路断面積に比して大きい。
本発明に係る電気泳動用の収容容器は、規定面の濃縮部形成、第1の部分、及び第2の部分によって、上述の電気泳動方法及び電気泳動システムにおける支持体の濃縮部、第1の領域、及び第2の領域を形成することができる。従って、本発明に係る電気泳動用の収容容器に収容された支持体を用いることで、上述の電気泳動方法及び電気泳動システムと同趣旨の作用・効果を得ることができる。
本発明に係る電気泳動方法、及び電気泳動システムにおいて、濃縮部は、絶縁体で流路断面積を規定することで構成されてよい。また、本発明に係る電気泳動用の収容容器において、濃縮部形成部は、絶縁体によって構成されてよい。この場合、絶縁体は、濃縮部において流路以外に電気が漏れることを防止した状態で、流路断面積を所望の大きさに規定することができる。
本発明に係る電気泳動方法、及び電気泳動システムにおいて、流路は、濃縮部と第2の領域との境界部分において、第1の方向と交差する方向へ向かって広がってよい。また、本発明に係る電気泳動用の収容容器において、規定面は、濃縮部形成部と第2の部分との境界部分において、第1の方向と交差する方向へ向かって広がってよい。この場合、濃縮部と第2の領域との境界部分付近では、流路断面積を広くすることができるため、流路の電圧を低下させることができる。従って、対象物は、濃縮部を通過した後、濃縮部と第2の領域との境界部分付近において移動速度が低下する。これにより、対象物は、濃縮部を通過した後、第1の方向へ濃縮される。
本発明に係る電気泳動方法、及び電気泳動システムにおいて、第1の領域の流路断面積は、第1の端部側から濃縮部に近づくに従って小さくなってよい。また、本発明に係る電気泳動用の収容容器において、第1の部分によって規定される流路断面積は、第1の端部側から濃縮部形成部に近づくに従って狭くなってよい。この場合、第1の領域における流路の電圧は、濃縮部に近付くに従って、徐々に高くなってゆく。従って、対象物の移動速度が徐々に速くなるため、対象物の分離の分解能が向上する。
本発明に係る電気泳動方法では、試料配置工程において、試料は、第1の方向と直交する第2の方向において、中央位置から遠ざかるに従って、第2の端部側に延びる試料配置部に配置されてよい。本発明に係る電気泳動システムでは、支持体は、試料を配置する試料配置部を有し、試料配置部は、第1の方向と直交する第2の方向において、中央位置から遠ざかるに従って、第2の端部側に延びてよい。例えば、濃縮部が中央位置に形成されている場合、試料配置部のうちの中央位置付近に配置される試料から濃縮部までの距離と、中央位置から遠い位置に配置される試料から濃縮部までの距離との間の差を小さくすることができる。これにより、試料配置部内の対象物が濃縮部へ到達するタイミングの均一化を図ることができる。
本発明によれば、他の物質からの対象物の分離に加えて、対象物の濃縮も行うことができる。
図1は、本実施形態に係る電気泳動システムを示す平面図である。 図2は、本実施形態に係る電気泳動方法の手順を示す工程図である。 図3は、濃縮部付近での対象物のバンドの様子を示す模式図である。 図4(a)は図1に示すIVa-IVa線に沿った断面図であり、図4(b)は図1に示すIVb-IVbに沿った断面図である。 図5は、変形例に係る収容容器を示す平面図である。 図6は、変形例に係る収容容器を示す平面図である。 図7は、変形例に係る収容容器を示す平面図である。 図8は、変形例に係る収容容器を示す平面図である。 図9は、変形例に係る収容容器を示す平面図である。 図10は、変形例に係る収容容器を示す平面図である。 図11は、変形例に係る収容容器を示す平面図である。 図12は、変形例に係る電気泳動法を説明するための図である。 図13は、変形例に係る電気泳動法を説明するための図である。 図14は、変形例に係る電気泳動法を説明するための図である。 図15は、変形例に係る電気泳動法を説明するための図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る電気泳動システム1を示す平面図である。本実施形態に係る電気泳動システム1は、試料20中に含まれる対象物21を他の物質と分離し、分離された対象物21を濃縮できるシステムである。図1に示すように、電気泳動システム1は、収容容器2と、電気泳動槽3と、電極(電圧印加部)6,7と、支持体10と、を備える。
収容容器2は、支持体10を収容する容器である。収容容器2は、互いに対向する側壁部16A,16Bを備える。側壁部16A,16Bは、互いに離間した状態で平行をなすように対向している。側壁部16A,16Bに挟まれる内部空間は、支持体10を収容するための空間として用いられる。なお、当該内部空間の一端側(図1における紙面裏側)は底壁部によって封止されており、他端側(図1における紙面表側)は開口している。側壁部16A,16B及び底壁部の材質として、プラスチック、ガラスなどを採用してよい。その他、当該材質としてシリコンゴムなどの柔らかい材質を採用してもよい。この場合、収容容器2を変形させることが可能となり、支持体10を取出す際の衝撃を減少させることが可能となる。
なお、以降の説明においては、必要に応じて「X軸方向」及び「Y軸方向」を用いて説明を行う場合がある。X軸方向は、側壁部16A,16Bが対向する方向であり、側壁部16A側を「負側」とし、側壁部16B側を「正側」とする。X軸方向は、請求項における「第2の方向」に該当する。Y軸方向は、側壁部16A,16Bが延びる方向であり、側壁部16A,16Bの一端側を「負側」とし、側壁部16A,16Bの他端側を「正側」とする。Y軸方向は、請求項における「第1の方向」に該当する。なお、X軸方向及びY軸方向はいずれも水平方向である。
収容容器2は、側壁部16Aの内面16aに設けられた絶縁体スペーサ(絶縁体)12Aと、側壁部16Bの内面16aに設けられた絶縁体スペーサ(絶縁体)12Bと、を更に備える。なお、絶縁体スペーサ12A,12Bの詳細な形状は、支持体10の説明と共に後述する。絶縁体スペーサ12A,12Bの材質は、絶縁体、又は絶縁体に準じる低電気伝導度の物質であれば特に限定されない。例えば、材質の例として、プラスチック、ポリスチレン、シリコンゴム、天然ゴムなどが挙げられるが、粘土のように形状可塑性のある物質でもよい。なお、絶縁体スペーサ12A,12Bは、側壁部16A,16Bとは別部材として構成されているが、側壁部16A,16Bと一体化していてもよい。
電気泳動槽3は、支持体10に電圧を印加するための泳動バッファ5を収容する槽である。電気泳動槽3は、泳動バッファ5中に収容容器2に収容された状態の支持体10を浸す。泳動バッファ5の溶液として、TBEバッファ、TAEバッファなどを採用してよい。
電極6,7は、泳動バッファ5を介して支持体10に電圧を印加する部材である。電極6は、電気泳動槽3内において、収容容器2よりもY軸方向の負側に配置される。電極7は、電気泳動槽3内において、収容容器2よりもY軸方向の正側に配置される。電極6が陰極であり、電極7が陽極である。電極6,7は、一定の電圧を印加してよいが、印加する電圧は一定でなくともよい。
支持体10は、Y軸方向の負側の端部(第1の端部)10a及び正側の端部(第2の端部)10bを有し、端部10aと端部10bとの間に試料20の流路15を形成する。支持体10は、端部10a側に試料20を配置するための試料配置部11を有する。試料配置部11は、試料20を内部に収容する溝部によって構成される。試料配置部11は、端部10aからY軸方向の正側へ僅かに離間した位置にて、端部10aに沿ってX軸方向に延びるように形成される。ただし、試料配置部11の構成は図1に示すものに限定されず、各種構成を採用してよい(具体的な変形例については後述)。
支持体10は、流路15内を移動する物質に対し、特性に応じて移動速度に差を設ける部材である。支持体10は、試料20に含まれる物質を分子量に応じた移動速度で移動させる。あるいは、支持体10は、試料20に含まれる物質を構造に応じた移動速度で移動させることができる。更に、支持体10は、試料20に含まれる物質を修飾状態(例えば、メチル化、金ナノ粒子修飾など)、または帯電状態(対象物が持つ電荷の正負及び大きさ)に応じた移動速度で移動させる。これにより、支持体10は、特性が異なる物質を、互いに分離することができる。例えば、図1において仮想線で示すように、特性が互いに異なる物質21Aと物質21Bとは、支持体10内で移動速度に差ができるため、支持体10内で互いに分離される。
電極6,7が支持体10に電圧を印加することで、端部10aと端部10bとは、互いに異なる電位となる。すなわち、支持体10内に電位差が形成される。試料20内の対象物21は負に帯電しており、電極7が陽極である。従って、端部10a側に配置された試料20内の対象物21は、流路15内において、端部10a側から端部10b側へ移動する。すなわち、対象物21は、Y軸方向における負側から正側へ向かって移動する。これにより、対象物21は、特性に応じた移動速度で流路15内を移動するため、異なる移動速度で移動する他の物質から分離される。なお、Y軸方向のうち、負側、すなわち端部10a側は流路15における上流側に該当し、正側、すなわち端部10b側は流路15における下流側に該当する。
ここで、本実施形態に係る電気泳動システム1を用いて取得する対象物21として、「DNAオリガミ」と称されるDNA構造体が挙げられる。「DNAオリガミ」とは、生体物質であるDNAに熱処理を行うことで作製されたDNAの構造体である。このようなDNA構造体は、DNAの配列プログラムを予め組んでおくことで、所望の形状に折り畳まれたものである。DNA構造体を作製した場合、過剰分のステープルDNAや、目的構造以外のDNAの構造体(凝集体等)などの不純物が混ざっている。対象物21のDNA構造体は、特定の構造を有しているため、不純物に含まれる短鎖DNAなどとは、支持体10内で異なる移動速度を示す。従って、本実施形態に係る電気泳動システム1は、対象物21となるDNA構造体及び不純物が混合された試料20の中から、DNA構造体を不純物から分離し、分離したDNA構造体を濃縮することができる。なお、対象物21として、上述のDNAオリガミのような構造体ではなく、直鎖状や環状のDNAが採用されてもよい。
支持体10としてアガロースゲルが用いられる。用いられるアガロースの純度、ゲル強度、融点、ゲル化温度は、対象物21の分離範囲などから目的に応じて適宜選択される。また、支持体10は、TBEバッファ、TAEバッファを含んでよい。TBEバッファはイオン強度及び緩衝能が高いことから、1kb以下のDNA断片の分離及び長時間の泳動に適している。一方、TAEバッファはイオン強度及び緩衝能が低いことから、10kb以上のDNA断片の分離及び短時間の泳動に適している。また、支持体10のゲル及びバッファ中には、2価の陽イオンであるマグネシウムイオン化合物(塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム等)のような添加物が含まれてよい。これらの添加物が支持体10に含まれることで、対象物21がDNA構造体である場合に、当該DNA構造体の構造を安定に保つことができる。
支持体10に用いられるゲルは、いわゆる「分離ゲル」と称されるゲルである。すなわち、支持体10に用いられるゲルは、「濃縮ゲル」と称されるゲルとは区別される。「分離ゲル」とは、対象物の分離において用いられるものである。「濃縮ゲル」とは、対象部の濃縮において用いられるものである。特に、アクリルアミドゲルにおいては、「分離ゲル」と「濃縮ゲル」は、泳動バッファとのpH差とゲル濃度で区別され、pHおよびゲル濃度の低いものが「濃縮ゲル」、pHおよびゲル濃度の高いものが「分離ゲル」である。
次に、支持体10の形状について詳細に説明する。支持体10は、流路15の流路断面積が端部10aから端部10bへ至るまでの間に変化するような形状を有している。本実施形態では、支持体10のX軸方向に対向する端部10c,10dが、Y軸方向に真っすぐ延びるような形状ではなく、Y軸方向における特定の位置で曲がった形状を有している。支持体10は、厚み方向(X軸方向及びY軸方向に直交する方向)一定な寸法を有している。なお、流路断面積とは、Y軸方向と直交するような平面で支持体10を切断したときの切断面の面積に該当する。一例として、図4には、流路15の流路断面が示されている。図4(a)に示す流路断面は、X軸方向の寸法がL1であり、厚さ方向の寸法がHである。従って、当該流路断面の流路断面積は「L1×H」で示される。図4(b)に示す濃縮部14での流路断面は、X軸方向の寸法がL2であり、厚さ方向の寸法がHである。従って、当該流路断面の流路断面積は「L2×H」で示される。
支持体10の端部10c,10dの形状は、収容容器2に対応した形状となる。上述のように、側壁部16Aの内面16aには、絶縁体スペーサ12Aが設けられ、側壁部16Bの内面16aには、絶縁体スペーサ12Bが設けられる。絶縁体スペーサ12Aと絶縁体スペーサ12Bとは、収容容器2のX軸方向における中央位置に設定される中心軸線CLを基準として線対称な構造を有している。絶縁体スペーサ12A,12Bは、Y軸方向において端部10a,10bから離間する位置に配置された、直角三角形状の部材である。絶縁体スペーサ12A,12Bは、側壁部16A,16Bの内面16a,16aに対して傾斜する傾斜面12a,12aと、内面16a,16aに対して垂直をなす垂直面12b,12bと、を有する。
傾斜面12a,12aは、内面16a,16aからY軸方向の正側へ向かうに従って中心軸線CLへ近づくように直線状に傾斜している。傾斜面12a,12aのY軸方向の負側の端部は、端部10aからY軸方向の正側へ離間した位置にて、内面16a,16aと接触している。絶縁体スペーサ12A,12Bは、傾斜面12a,12aのY軸方向の正側の端部であって、中心軸線CLに最も近づく部分に頂部12c,12cを有する。頂部12c,12cは、中心軸線CLを挟んで互いに離間した位置に配置される。すなわち、絶縁体スペーサ12Aと絶縁体スペーサ12Bとの間には、隙間が形成される。垂直面12b,12bは、内面16a,16aから頂部12c,12cへ向かって真っすぐに延びている。垂直面12b,12bは、端部10bからY軸方向の負側へ離間した位置に配置される。
上述のような絶縁体スペーサ12A,12Bが設けられることにより、支持体10は、端部10aと端部10bとの間に、対象物21を濃縮するための濃縮部14を有する。濃縮部14は、絶縁体スペーサ12A,12Bで流路断面積を規定することで構成される。濃縮部14は、当該濃縮部14において対象物21を濃縮し、かつ、濃縮部14付近において対象物21の濃縮を誘発する部分である。濃縮部14は、Y軸方向において部分的に流路断面が小さくなる領域のうち、最も流路断面が小さくなる領域である。本実施形態では、流路15は、頂部12c,12cの位置にて最も流路幅(X軸方向の大きさ)が小さくなるため、最も流路断面積が小さくなる。従って、濃縮部14は、絶縁体スペーサ12A,12Bの頂部12c,12c間に挟まれる部分に形成される。なお、濃縮部14の流路断面積の大きさは特に限定されないが、端部10a,10bの流路断面積の60%以下の範囲に設定されてよい。
支持体10の流路15のうち、Y軸方向において濃縮部14よりも負側、すなわち端部10a側の領域を領域(第1の領域)E1とする。支持体10の流路15のうち、Y軸方向において濃縮部14よりも正側、すなわち端部10b側の領域を領域(第2の領域)E2とする。濃縮部14の流路幅は、領域E1のいずれの位置における流路幅よりも小さい。従って、濃縮部14での流路断面積は、領域E1における流路断面積に比して小さい。領域E2の流路幅は、いずれの位置においても濃縮部14の流路幅より大きい。従って、領域E2の流路断面積は、濃縮部14の流路断面積に比して大きい。
領域E1は、端部10aと絶縁体スペーサ12A,12Bの傾斜面12a,12aとの間に形成される。領域E1の流路幅は、端部10aと絶縁体スペーサ12A,12Bとの間においては、側壁部16A,16Bの内面16a,16a間のX軸方向の離間距離となる。従って、領域E1の流路断面積は、端部10aと絶縁体スペーサ12A,12Bとの間において、Y軸方向に沿って一定となる。なお、試料配置部11は、領域E1のうち、流路断面積が一定となる部分に形成される。領域E1の流路幅は、絶縁体スペーサ12A,12Bの傾斜面12a,12aに対応する位置では、当該傾斜面12a,12a間のX軸方向の離間距離となる。従って、領域E1の流路断面積は、傾斜面12a,12aに対応する位置では、当該傾斜面12a,12aに沿って端部10a側から濃縮部14に近づくに従って小さくなる。
領域E2は、絶縁体スペーサ12A,12Bの垂直面12b,12bと端部10bとの間に形成される。垂直面12b,12bは、頂部12c,12cからX軸方向に真っすぐに広がっている。これにより、流路15は、濃縮部14と領域E2との境界部分LPにおいて、X軸方向へ向かって真っすぐに広がる。従って、領域E2の流路幅、すなわち流路断面積は、濃縮部14との境界部分LPにおいて急激に拡大する。領域E2の流路幅は、側壁部16A,16Bの内面16a,16a間のX軸方向の離間距離となる。従って、領域E2の流路断面積は、Y軸方向に沿って一定となる。
収容容器2は、支持体10が上述のような形状となるように、流路15の流路断面積を規定する規定面25A,25Bを有する。規定面25A,25Bは、絶縁体スペーサ12A,12Bの傾斜面12a,12a及び垂直面12b,12bと、側壁部16A,16Bの内面16a,16aのうち絶縁体スペーサ12A,12Bが設けられていない部分と、によって構成される。規定面25A,25Bは、Y軸方向における負側の端部(第1の端部)25a,25a及び正側の端部(第2の端部)25b,25bを有する。
規定面25A,25Bは、端部25a,25aと端部25b,25bとの間に、上述の濃縮部14を形成する頂部(濃縮部形成部)12c,12cを有する。また、規定面25A,25Bは、頂部12c,12cよりもY軸方向の負側、すなわち端部25a,25a側に、領域E1の流路断面積を規定する内面(第1の部分)16a,16aと、傾斜面(第1の部分)12a,12aと、を有する。頂部12c,12cによって規定される流路断面積は、内面16a,16a及び傾斜面12a,12aによって規定される領域E1の流路断面積に比して小さい。規定面25A,25Bは、頂部12c,12cよりもY軸方向の正側、すなわち端部25b,25b側に、領域E2の流路断面を規定する内面(第2の部分)16a,16aを有する。内面16a,16aによって規定される領域E2の流路断面積は、頂部12c,12cによって規定される流路断面積に比して大きい。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る電気泳動方法について説明する。図2は、本実施形態に係る電気泳動方法の手順を示す工程図である。なお、ここでは、電気泳動方法の一例として、DNAオリガミとして用いられるDNA構造体を得る際の手順について説明する。ただし、電気泳動方法は、以下の手順に限定されるものではない。
まず、図1に示すような支持体10を準備する支持体準備工程S10が実行される。ここでは、収容容器2にアガロースゲル(アガロース含有率;1%、TBEバッファの濃度:0.5x、添加物:MgCl、11mM)を入れて固化させる。これにより、収容容器2内に支持体10を形成する。このとき、絶縁体スペーサ12A,12Bとしてシリコンゴムスペーサを用いる。そして、電気泳動槽3に収容容器2ごと支持体10を入れる。また、電気泳動槽3に泳動バッファ5(TBEバッファの濃度:0.5x、添加物:MgCl、11mM)を注ぐ。
次に、支持体10の端部10a側に試料20を配置する試料配置工程S11が実行される。ここでは、試料20として、対象物21であるDNA構造体を含むような、未精製溶液が用いられる。試料20は、支持体10の試料配置部11に配置される。
次に、電極6,7により電圧を印加して端部10aと端部10bとを互いに異なる電位とすることで、対象物21を流路15内において端部10a側から端部10b側へ移動させる電圧印加工程S12が実行される。ここでは、50Vの電圧で1時間の電気泳動を行う。
ここで、図3を参照して、対象物21の分離及び濃縮の原理について説明する。図3は、濃縮部14付近での対象物21のバンドの様子を示す模式図である。まず、流路15の単位長さあたりの印加電圧と流路断面積との関係について説明する。一様な導体の電気抵抗R、電気抵抗率ρ、長さL、断面積Aとすると、以下のような式(1)の関係が成り立つ。

R=ρL/A … (1)
オームの法則より、導体にかかる電圧Vは、電気抵抗R、電流Iとすると、以下のような式(2)で示される。式(1)及び式(2)より、単位長さあたりの電圧V/Lと断面積Aとの間には、式(3)のような関係が成り立つ。

V=IR … (2)
V/L=Iρ/A … (3)
ここで、電気抵抗率ρは物質によって決まるため流路15内では一定である。また、キルホッフの第一法則より、流路15の流路断面に流れるIは、どの断面においても一定である。従って、流路15にかかる単位長さの電圧V/Lは、流路断面積Aに反比例する。
図3に示すように、濃縮部14よりも上流側の領域E1は、傾斜面12a,12aに沿って、徐々に流路断面積が小さくなってゆく。流路15にかかる単位長さの電圧V/Lは、流路断面積Aに反比例するため、流路15内の電圧は、濃縮部14に近付くに従って、徐々に高くなってゆく。従って、対象物21の移動速度は、濃縮部14に近付くに従って、徐々に速くなる。そのため、対象物21から不純物が分離され易くなり、濃縮部14では高い分解能で対象物21を分離することができる。このとき、図3(a)に示すように、対象物21のバンドは、濃縮部14から離れた位置よりも、濃縮部14に近い位置にてY軸方向に延びるような形状となる。また、対象物21のバンドは、流路断面積が狭くなってゆくことに伴ってX軸方向の寸法が小さくなるように変形する。従って、対象物21に対してX軸方向への濃縮効果が作用する。
電圧は濃縮部14で最も高くなるが、領域E2のうち当該濃縮部14と隣接する部分では、急激に流路断面積が拡大されるため、電圧も急激に低くなる。従って、対象物21の移動速度は、濃縮部14を通過した後、直ちに急激に低下する。従って、図3(b)に示すように、対象物21のバンドは、濃縮部14に対して下流側に隣接する位置にて、Y軸方向に急激に縮む。これにより、対象物21に対してY軸方向への濃縮効果が作用する。
なお、所定時間の電気泳動を行った後、電気泳動槽3から支持体10を取り出し、染色溶液(SYBR(R) GreenI Nucleic Acid Gel Stain)に浸して、30分間の振とう染色を行う。そして、染色した支持体10をトランスイルミネータで観察し、抽出対象となる対象物21のバンドの位置を確認する。このとき、対象物21のバンドが、濃縮部14に対して下流側に隣接する位置(最も濃縮効果・分離効果が高い位置)に配置されていたら、次の対象物抽出工程S13が実行される。対象物21のバンドが当該位置に達していない場合は、再び電気泳動が繰り返される。
上述のように、対象物21のバンドが所望の位置に配置されていたら、支持体10から対象物21を抽出する対象物抽出工程S13が実行される。ここでは、対象物21のバンドのみをカッターを用いて切り出す。次に、抽出器(ゲル抽出スピンカラム)を用いて、切り出した切断片から対象物21を抽出する。以上により、図2に示す工程が終了する。
次に、本実施形態に係る電気泳動方法、電気泳動システム1、及び電気泳動用の収容容器2の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る電気泳動方法は、対象物21を含む試料20を支持体10の内部で移動させることで、他の物質と対象物21とを分離する電気泳動方法であって、Y軸方向における負側の端部10a及び正側の端部10bを有し、端部10aと端部10bとの間に試料20の流路15を形成する支持体10を準備する支持体準備工程S10と、支持体10の端部10a側に試料20を配置する試料配置工程S11と、電圧を印加して端部10aと端部10bとを互いに異なる電位とすることで、対象物21を流路15内においてY軸方向の正側(端部10b側)移動させる電圧印加工程S12と、を備え、支持体10は、端部10aと端部10bとの間に、対象物21を濃縮するための濃縮部14を有し、濃縮部14での流路断面積は、当該濃縮部14よりも端部10a側の領域E1における流路断面積に比して小さく、濃縮部14よりも端部10b側の領域E2の流路断面積は、濃縮部14の流路断面積に比して大きい。
本実施形態に係る電気泳動方法において、支持体10は、端部10aと端部10bとの間に、対象物21を濃縮するための濃縮部14を有している。濃縮部14での流路断面積は、当該濃縮部14よりも端部10a側の領域E1における流路断面積に比して小さい。対象物21は、電極印加工程S12において流路15内を移動することで、領域E1にて他の物質と分離された後、濃縮部14を通過する。このとき、対象物21は、小さい流路断面積を有する濃縮部14を通過することで、X軸方向へ濃縮される。また、濃縮部14よりも端部10b側の領域E2の流路断面積は、濃縮部14の流路断面積に比して大きい。流路断面積が大きくなる箇所では、流路15の電圧が低下するため、対象物21の移動速度が低下する。従って、対象物21は、濃縮部14を通過した後、濃縮部14と領域E2との境界部分LP付近において移動速度が低下する。これにより、対象物21は、濃縮部14を通過した後、Y軸方向へ濃縮される。以上により、本電気泳動方法は、他の物質からの対象物21の分離に加えて、対象物21の濃縮も行うことができる。
DNAオリガミを電気泳動法で分離することで、分子量以外の特性で分離可能となる。その際、本実施形態に係る電気泳動方法を利用することで、通常の電気泳動による分離よりも濃縮効果を発揮することができる。
本実施形態に係る電気泳動システム1は、対象物21を含む試料20を支持体10の内部で移動させることで、他の物質と対象物21とを分離する電気泳動システム1であって、Y軸方向における負側の端部10a及び正側の端部10bを有し、端部10aと端部10bとの間に試料20の流路15を形成する支持体10と、電圧を印加して端部10aと端部10bとを互いに異なる電位とすることで、端部10a側に配置された試料20の対象物21を流路15内において、端部10a側から端部10b側へ移動させる電極6,7と、を備え、支持体10は、端部10aと端部10bとの間に、対象物21を濃縮するための濃縮部14を有し、濃縮部14での流路断面積は、当該濃縮部14よりも端部10a側の領域E1における流路断面積に比して小さく、濃縮部14よりも端部10b側の領域E2の流路断面積は、濃縮部14の流路断面積に比して大きい。
本実施形態に係る電気泳動システム1によれば、上述の電気泳動方法と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
本実施形態に係る電気泳動用の収容容器2は、対象物21を含む試料20を支持体10の内部で移動させることで、他の物質と対象物21とを分離する電気泳動方法にて、支持体10を収容する電気泳動用の収容容器2であって、支持体10の内部においてY軸方向に延びる試料20の流路15の流路断面積を規定する規定面25A,25Bを有し、規定面25A,25Bは、Y軸方向に沿って延びており、Y軸方向における負側の端部25a,25a及び正側の端部25b,25bを有し、端部25a,25aと端部25b,25bとの間に、対象物21を濃縮するための濃縮部14を形成する頂部12c,12cを有し、頂部12c,12cによって規定される流路断面積は、当該頂部12c,12cよりも端部25a,25a側の内面16a,16a及び傾斜面12a,12aによって規定される流路断面積に比して小さく、頂部12c,12cよりも端部25b,25b側の垂直面12b,12b及び内面16a,16aによって規定される流路断面積は、頂部12c,12cによって規定される流路断面積に比して大きい。
本実施形態に係る電気泳動用の収容容器2は、規定面25A,25Bの頂部12c,12cと、端部25a,25a側の内面16a,16a及び傾斜面12a,12aと、端部25b,25b側の内面16a,16aと、によって、上述の電気泳動方法及び電気泳動システム1における支持体10の濃縮部14、領域E1、及び領域E2を形成することができる。従って、本実施形態に係る電気泳動用の収容容器2に収容された支持体10を用いることで、上述の電気泳動方法及び電気泳動システム1と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
本実施形態に係る電気泳動方法、及び電気泳動システム1において、濃縮部14は、絶縁体スペーサ12A,12Bで流路断面積を規定することで構成される。また、本実施形態に係る電気泳動用の収容容器2において、頂部12c,12cは、絶縁体スペーサ12A,12Bによって構成される。この場合、絶縁体スペーサ12A,12Bは、濃縮部14において流路15以外に電気が漏れることを防止した状態で、流路断面積を所望の大きさに規定することができる。
本実施形態に係る電気泳動方法、及び電気泳動システム1において、流路15は、濃縮部14と領域E2との境界部分LPにおいて、X軸方向へ向かって広がっている。また、本実施形態に係る電気泳動用の収容容器2において、規定面25A,25Bは、頂部12c,12cと内面16a,16aとの境界部分LPを構成する垂直面12b,12bにおいて、X軸方向へ向かって広がっている。この場合、濃縮部14と領域E2との境界部分LP付近では、流路断面積が急激に広くなるため、流路15の電圧が急激に低下する。従って、対象物21は、濃縮部14を通過した後、濃縮部14と領域E2との境界部分LP付近において移動速度が急激に低下する。これにより、対象物21は、濃縮部14を通過した後、Y軸方向へ良好に濃縮される。
本実施形態に係る電気泳動方法、及び電気泳動システム1において、領域E2の流路断面積は、端部10a側から濃縮部14に近づくに従って小さくなる。また、本実施形態に係る電気泳動用の収容容器2において、端部25a,25a側の内面16a,16a及び傾斜面12a,12aによって規定される流路断面積は、端部25a,25a側から頂部12c,12cに近づくに従って狭くなる。この場合、領域E1における流路15の電圧は、濃縮部14に近付くに従って、徐々に高くなってゆく。従って、対象物21の移動速度が徐々に速くなるため、対象物21の分離の分解能が向上する。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では対象物21として、DNAが採用されたが、RNAなどの核酸又はタンパク質、核酸とタンパク質の混合物、核酸及び金属ナノ粒子の複合体、などが採用されてもよい。このような対象物21は、支持体10の分子ふるい効果によって、分子量、構造、修飾状態、及び帯電状態などに依存した移動速度を示すことで、不純物と分離される。
支持体10のゲルはアガロースゲルに限らず、例えばポリアクリルアミドゲルでもよい。なお、支持体10としてポリアクリルアミドゲルを用いる場合、支持体10は、対象物21が水平方向に移動するような平板型の配置ではなく、対象物が上下方向に移動するような縦型の配置とされてもよい。その他、支持体10のゲルとして、デンプンなどのゲルが用いられてもよい。また、支持体10としてゾルが採用されてよい。その他の支持体10として、セルロース膜、露紙などのゲル以外の物質が採用されてよい。また、細胞塊をゼリー状の支持体10で泳動させてもよい。
例えば、絶縁体スペーサの形状、すなわち支持体10の形状は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。例えば、図5及び図6に示すような変形例を採用してもよい。
図5(a)に示す収容容器30の絶縁体スペーサ32A,32Bは、濃縮部14から端部10bへ向かうに従って、徐々に流路断面積を大きくする。また、絶縁体スペーサ32A,32Bは、Y軸方向の全域に延びている。絶縁体スペーサ32A,32Bは、端部10aの位置からY軸方向の正側へ向かうに従って中央側へ傾斜する傾斜面32a,32aと、端部10bの位置からY軸方向の負側へ向かうに従って中央側へ傾斜する傾斜面32b、32bと、を備える。
図5(b)に示す収容容器40の絶縁体スペーサ42,43は、非対称となっている。傾斜面42a,42bを有する絶縁体スペーサ42Aは、図5(a)の絶縁体スペーサ32Aと同趣旨の構成を有している。絶縁体スペーサ43は、絶縁体スペーサ42よりも中央位置へ延びるような傾斜面43a,43bを有している。
図5(c)に示す収容容器60の絶縁体スペーサ62A,62Bは、図5(a)の絶縁体スペーサ32A,32Bのうち、傾斜面32a,32aを垂直面62a,62aに変更したような形状を有している。絶縁体スペーサ62A,62Bは、傾斜面32b,32bと同趣旨の傾斜面62b,62bを有している。
図6(a)に示す収容容器70の絶縁体スペーサ72A,72Bは、濃縮部14がY軸方向に広がるように流路断面積を規定する。絶縁体スペーサ72A,72Bは、端部10a側の垂直面72a,72aと、端部10b側の垂直面72b,72bと、Y軸方向に真っ直ぐに延びて平行をなす平面72c,72cと、を備える。この場合、垂直面72a,72aより端部10a側が濃縮部14の上流側の領域E1となり、垂直面72b,72bより端部10b側が濃縮部14の下流側の領域E2となる。濃縮部14がY軸方向に広い範囲で形成されているため、広い範囲で対象物21の移動速度を速くすることができる。
図6(b)に示す収容容器80の絶縁体スペーサ82A,82Bは、図6(a)に示す絶縁体スペーサ72A,72Bの平面72c,72cを傾斜面82c,82cとした構成を有している。絶縁体スペーサ82A,82Bは、垂直面72a,72a,72b,72bと同趣旨の垂直面82a,82a,82b,82bを有する。
図6(c)に示す収容容器90の絶縁体スペーサ92A,92Bは、他の形態のように平面が屈曲したものではなく、中央位置へ向かって凸となるように湾曲する湾曲面92a,92aを有する。この場合、湾曲面92a,92aの頂部の位置が濃縮部14を形成する。
図6(d)に示す収容容器100は、複数の濃縮部14を有する。収容容器100は、絶縁体スペーサ72A,72Bのような絶縁体スペーサ102A,102B及び絶縁体スペーサ103A,103Bを有する。絶縁体スペーサ102A,102Bは、端部10a側の垂直面102a,102aと、端部10b側の垂直面102b,102bと、Y軸方向に真っ直ぐに延びて平行をなす平面102c,102cと、を備える。絶縁体スペーサ103A,103Bは、端部10a側の垂直面103a,103aと、端部10b側の垂直面103b,103bと、Y軸方向に真っ直ぐに延びて平行をなす平面103c,103cと、を備える。これにより、Y軸方向の負側から順に、領域E1、濃縮部14、領域E2、濃縮部14、及び領域E3が形成される。上流側の濃縮部14に対しては、領域E1が請求項における「第1の領域」に該当し、領域E2が請求項における「第2の領域」に該当する。下流側の濃縮部14に対しては、領域E2が請求項における「第1の領域」に該当し、領域E3が請求項における「第2の領域」に該当する。
図1に示す形態では、流路15は、境界部分において、Y軸方向と90°をなす方向(すなわちX軸方向)へ広がっていた。これに代えて、図7に示すように、流路15は、濃縮部14と領域E2との境界部分において、Y軸方向と交差する方向へ向かって広がる限り、どのような角度で広がってもよい。例えば、図7(a)に示す収容容器110は、濃縮部14からY軸方向の正側へ延びるような傾斜面112b,112bを有するスペーサ112A,112Bを有する。この場合、流路15は、境界部分において、Y軸方向に対して0°(傾斜面112bがY軸方向と平行になる状態)より大きく、90°より小さい角度をなす方向へ広がる。また、図7(b)に示す収容容器120は、濃縮部14からY軸方向の負側へ延びるような傾斜面122b,122bを有するスペーサ122A,122Bを有する。この場合、流路15は、境界部分において、Y軸方向に対して90°より大きく、領域E1の規定面である傾斜面122a,122aより小さい角度をなす方向へ広がる。
また、図8に示すように、試料配置部の形状は適宜変更してもよい。例えば、図8(a)の試料配置部31は、Y軸方向の負側へ凸となるような三角形状を有している。図8(b)の試料配置部32は、楕円形状を有している。図8(c)の試料配置部33は、X軸方向において、中央位置から遠ざかるに従って、Y軸方向の負側へ延びる。
また、図8(d)に示す変形例に係る電気泳動システムでは、支持体10は、試料20を配置する試料配置部34を有し、試料配置部34は、X軸方向において、中央位置から遠ざかるに従って、端部10b側に延びる。すなわち、変形例に係る電気泳動方法では、試料配置工程S10において、試料20は、X軸方向において、中央位置から遠ざかるに従って、端部10b側に延びる試料配置部34に配置される。濃縮部14が中央位置に形成されている場合、試料配置部34のうちの中央位置付近に配置される試料20から濃縮部14までの距離と、中央位置から遠い位置に配置される試料20から濃縮部14までの距離との間の差を小さくすることができる。これにより、試料配置部34内の対象物21が濃縮部14へ到達するタイミングの均一化を図ることができる。
また、支持体10の破損を防止するために、図9に示すような支持体10を採用してよい。なお、図9(b)は、収容容器30を端部10bが正面となる方向から見た図である。図9の例では、収容容器30の壁部側には高濃度のアガロースゲル10Bを配置し、内側の領域には、対象物21に適した濃度に設定された低濃度のアガロースゲル10Aを配置する。ゲルの強度はアガロースの濃度が高くなるほど強くなり、DNAの分離では一般的に4%以下の濃度のゲルが使用される。よって、高濃度のアガロースゲル10Aとして、4%の濃度のアガロースを用いる。低濃度のアガロースゲル10Bとして、1%の濃度のアガロースゲルを用いる。なお、支持体10全体を高濃度のアガロースゲル10Bで構成してもよい。
上述の実施形態及び変形例では、絶縁体スペーサを用いて支持体を所望の形状に形成していた。これに代えて、収容容器の側壁部自体が各絶縁体スペーサに対応する形状を有していてもよい。この場合、収容容器の側壁部は絶縁体で構成されている必要がある。また、支持体は、収容容器に収容されたままの状態で電圧を印加されていたが、支持体は、収容容器から取り外された状態で電圧を印加されてもよい。すなわち、支持体に電圧を印加する際に、実施形態及び変形例において絶縁体スペーサが設けられていた箇所の絶縁性が確保されていれば、どのような構成を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、支持体は平板状の形状を有しており、X軸方向の流路幅の大きさが変動していた。これに代えて、流路幅が全方向にわたって変動するような支持体を採用してもよい。例えば、図10に示すように、円筒状の部材で構成される収容容器200を採用してよい。この収容容器200は、円筒状の壁部216において、長手方向の中央付近に内径が小さくなるような絶縁体スペーサ212を有する。この場合は、絶縁体スペーサ212の頂部に対応する部分が濃縮部14として機能する。なお、支持体10の端部10aは、壁部216の上端部よりも下側に設けられる。この場合、端部10aよりも上側の空間を試料配置部として利用してよい。このように、試料配置部は、必ずしも支持体10内に形成されていなくともよい。あるいは、図10(c)に示すように、端部10aから支持体10内へ入り込むような試料配置部211を形成してもよい。
また、上述の実施形態では、支持体10は、領域E1,E2及び濃縮部14において一定の厚みを有し、X軸方向に対向する位置に規定面を設けることで、濃縮部14の流路断面積を小さくしていた。これに代えて、厚みを変化させることで濃縮部14を形成してもよい。例えば、図11(a)に示す収容容器300は、X軸方向に対向するスペーサを有していない。これにより、支持体10のX軸方向の寸法は、領域E1,E2及び濃縮部14において一定である。一方、図11(a)の右側に示すように、支持体10の厚み方向における上面側においては、領域E1の上面10eは、端部10aから濃縮部14へ向かって厚みが減少するように傾斜し、領域E2の上面10fは、濃縮部14から端部10bへ向かって厚みが増加するように傾斜する。これにより、濃縮部14での支持体10の厚み寸法が小さくなることで、濃縮部14の流路断面積が、領域E1,E2の断面積より小さくなる。
図11(b)に示す収容容器350は、X軸方向に対向するスペーサを有していない。これにより、支持体10のX軸方向の寸法は、領域E1,E2及び濃縮部14において一定である。一方、図11(b)の右側に示すように、支持体10の厚み方向における底面側には、スペーサ360が設けられている。スペーサ360の領域E1の規定面360aは、端部10aから濃縮部14へ向かって上面側へ傾斜し、領域E2の規定面360bは、濃縮部14から端部10bへ向かって底面側へ傾斜する。これにより、濃縮部14での支持体10の厚み寸法が小さくなることで、濃縮部14の流路断面積が、領域E1,E2の断面積より小さくなる。なお、図11(a)の構成と図11(b)の構成を組み合わせてもよい。また、図11(a),(b)に示すような構成、及び両者を組み合わせた構成に対して、X軸方向における濃縮部14の寸法を狭くする構成を追加してもよい。なお、濃縮部14における流路断面積は、領域E1,E2よりも小さければ、どのような態様で形成されてもよい。ただし、濃縮部14の位置では、X軸方向における寸法が広がらないようになっていることが好ましい。また、濃縮部14の位置では、厚み方向における寸法が広がらないようになっていることが好ましい。
図1に示す実施形態では、サブマリン型電気泳動装置によるアガロースゲル電気泳動と称される形態に係る電気泳動法が例示されていた。ただし、電気泳動法として、どのような種類の方法を用いるかは特に限定されない。
例えば、図13(a),(b)に示されるようなスラブ型電気泳動装置400,450によるポリアクリルアミドゲル電気泳動法が採用されてよい。当該方法では、図12に示すように、収容容器402が鉛直方向に立てられるように配置される。すなわち、支持体10の端部10aが上方を向き、端部10bが下方を向くように配置される。収容容器402は、側壁部126A,126Bを有すると共に、支持体10の厚み方向に対向する一対の壁部も有する(図12の紙面の表側及び裏側の両方に壁部が存在する)。図12(a)に示すように、端部10aには上方から溝を形成したような試料配置部11が形成される。あるいは、図12(b)に示すように、端部10aが収容容器402の上端よりも低い位置に配置されることで、端部10aに直接、試料が配置されてもよい。このように、試料は支持体10の外部に配置されてよい。
図13(a)に示すスラブ型電気泳動装置400に組み込まれた収容容器402では、支持体10の端部10a,10bのみが泳動バッファ405と接触する。すなわち、収容容器402の上端側に泳動バッファ405の槽410が取り付けられ、下端側に泳動バッファ405の槽420が取り付けられる。槽410は、連結部408を介して収容容器402と連結され、当該収容容器402の上端側の開口と連通しており、内部には陰極411が配置される。槽420は収容容器402の下端側の開口と連通しており、内部には陽極422が配置される。または、図13(b)に示すスラブ型電気泳動装置450では、収容容器402の上端側の開口と連通する槽460と、下端側の開口と連通する槽470が設けられる。槽460,470は収容容器402の略全長を浸漬させる深さを有している。陰極411は槽460の底部に配置され、陽極422は槽470の底部に配置される。このように、電極は、物理的に支持体10の端部10a側と端部10b側の両方に配置されていなくともよい。
また、図14及び図15に示すように、等電点・二次元電気泳動法が採用されてもよい。この方法では、一回目に等電点電気泳動が行われ、二回目に一回目における電気泳動方向と垂直な方向へ、分子ふるい効果を利用した電気泳動が行われる。図14(a)に示すように、一回目の等電点電気泳動においては、pH勾配(例えばpH3~pH10)のある支持体510が用いられる。ここで、試料521は、荷電状態が異なるタンパク質試料521a,521bを含んでいる。この場合、タンパク質試料521a,521bは、電荷が0となる位置(等電点)に移動することで互いに分離される。例えば、図14(b)に示すように支持体510の中央位置に試料521を配置して電気泳動を施した場合、タンパク質試料521a,521bは、互いに異なる方向へ移動する。
次に、二回目の電気泳動では、ポリアクリルアミドゲルの支持体(10%ポリアクリルアミドゲル+SDS)が用いられる。SDSは、タンパク質の立体構造をほどいて直鎖状にするとともに、タンパク質の荷電状態を負にする化学物質であるため、タンパク質構造によらない分子量による分離が可能となる。図15に示すように、ポリアクリルアミドゲルの支持体10の端部10aに接するように、収容容器500に一回目の支持体510を配置する。当該状態で支持体510に電圧を印加し、タンパク質試料521a,521bの各々の分離を開始する。この時、タンパク質試料521a,521bは、互いに異なる位置で電気泳動が行われる。すなわち、支持体10は、タンパク質試料521aに対する流路と、タンパク質試料521bに対する流路を並列な状態で備える。支持体10は、それぞれの流路に対する濃縮部514を有する。具体的には、タンパク質試料521aに対して絶縁体スペーサ512A,512Bによって濃縮部514が形成される。また、タンパク質試料521bに対して絶縁体スペーサ512C,512Dによって濃縮部514が形成される。このように、一つの支持体が複数箇所に濃縮部を有してもよい。
なお、図14で説明したように、試料の中の対象物が互いに異なる方向へ移動する場合がある。このような場合、一方の方向へ移動する対象物に対して濃縮部を設け、反対の方向へ移動する対象物に対して濃縮部を設けてもよい。例えば、図14(b)に示すような支持体510が、端部510a側にタンパク質試料521aに対する濃縮部を有し、端部510b側にタンパク質試料521bに対する濃縮部を有してもよい。この場合、タンパク質試料521aに対する濃縮部に対しては、端部510bが請求項における「第1の端部」に該当し、端部510aが請求項における「第2の端部」に該当する。一方、タンパク質試料521bに対する濃縮部に対しては、端部510aが請求項における「第1の端部」に該当し、端部510bが請求項における「第2の端部」に該当する。
1…電気泳動システム、2,30,40,60,70,80,90,100,110,120,200,300,350,402,500…収容容器、10…支持体、10a…端部(第1の端部)、10b…端部(第2の端部)、12A,12B,32A,32B,42,43,62A,62B,72A,72B,82A,82B,92A,92B,102A,102B,103A,103B,212,512A,512B,512C,512D…絶縁体スペーサ(絶縁体)、12a…傾斜面(第1の部分)、12c…頂部(濃縮部形成部)、14,514…濃縮部、16a…内面(第1の部分、第2の部分)、20…試料、21…対象物、25A,25B…規定面、25a…端部(第1の端部)、25b…端部(第2の端部)、E1…領域(第1の領域)、E2…領域(第1の領域、第2の領域)、E3…領域(第2の領域)。

Claims (11)

  1. 対象物を含む試料を支持体の内部で移動させることで、他の物質と前記対象物とを分離する電気泳動方法であって、
    第1の方向における一方側の第1の端部及び他方側の第2の端部を有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間に前記試料の流路を形成する前記支持体を準備する支持体準備工程と、
    前記支持体に対して前記試料を配置する試料配置工程と、
    電圧を印加して前記流路内に電位差を形成することで、前記対象物を前記流路内において前記第1の方向の前記第2の端部側へ移動させる電圧印加工程と、を備え、
    前記支持体は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に、前記対象物を濃縮するための濃縮部を有し、
    前記第1の方向における所定の位置にて、前記第1の方向と直交する平面で前記流路を切断したときの切断面の面積を流路断面積とした場合、
    前記濃縮部での前記流路断面積は、当該濃縮部よりも前記第1の端部側の第1の領域における前記流路断面積に比して小さく、
    前記濃縮部よりも前記第2の端部側の第2の領域の前記流路断面積は、前記濃縮部の前記流路断面積に比して大きく、
    前記流路は、前記濃縮部と前記第2の領域との境界部分において、前記第1の方向と交差する方向へ向かって広がる、電気泳動方法。
  2. 前記濃縮部は、絶縁体で前記流路断面積を規定することで構成される、請求項1に記載の電気泳動方法。
  3. 前記第1の領域の前記流路断面積は、前記第1の端部側から前記濃縮部に近づくに従って小さくなる、請求項1又は2に記載の電気泳動方法。
  4. 前記試料配置工程において、前記試料は、前記第1の方向と直交する第2の方向において、中央位置から遠ざかるに従って、前記第2の端部側に延びる試料配置部に配置される、請求項1~3の何れか一項に記載の電気泳動方法。
  5. 対象物を含む試料を支持体の内部で移動させることで、他の物質と前記対象物とを分離する電気泳動システムであって、
    第1の方向における一方側の第1の端部及び他方側の第2の端部を有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間に前記試料の流路を形成する前記支持体と、
    電圧を印加して前記流路内に電位差を形成することで、前記第1の端部側に配置された前記試料の前記対象物を前記流路内において前記第1の方向の前記第2の端部側へ移動させる電圧印加部と、を備え、
    前記支持体は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に、前記対象物を濃縮するための濃縮部を有し、
    前記第1の方向における所定の位置にて、前記第1の方向と直交する平面で前記流路を切断したときの切断面の面積を流路断面積とした場合、
    前記濃縮部での前記流路断面積は、当該濃縮部よりも前記第1の端部側の第1の領域における前記流路断面積に比して小さく、
    前記濃縮部よりも前記第2の端部側の第2の領域の前記流路断面積は、前記濃縮部の前記流路断面積に比して大きく、
    前記流路は、前記濃縮部と前記第2の領域との境界部分において、前記第1の方向と交差する方向へ向かって広がる、電気泳動システム。
  6. 前記濃縮部は、絶縁体で前記流路断面積を規定することで構成される、請求項5に記載の電気泳動システム。
  7. 前記第1の領域の前記流路断面積は、前記第1の端部側から前記濃縮部に近づくに従って小さくなる、請求項5又は6に記載の電気泳動システム。
  8. 前記支持体は、前記試料を配置する試料配置部を有し、
    前記試料配置部は、前記第1の方向と直交する第2の方向において、中央位置から遠ざかるに従って、前記第2の端部側に延びる、請求項5~7の何れか一項に記載の電気泳動システム。
  9. 対象物を含む試料を支持体の内部で移動させることで、他の物質と前記対象物とを分離する電気泳動方法にて、前記支持体を収容する電気泳動用の収容容器であって、
    前記支持体の内部において第1の方向に延びる前記試料の流路の流路断面積を規定する規定面を有し、
    前記流路断面積は、第1の方向における所定の位置にて、前記第1の方向と直交する平面で前記流路を切断したときの切断面の面積であり、
    前記規定面は、
    前記第1の方向に沿って延びており、前記第1の方向における一方側の第1の端部及び他方側の第2の端部を有し、
    前記第1の端部と前記第2の端部との間に、前記対象物を濃縮するための濃縮部を形成する濃縮部形成部を有し、
    前記濃縮部形成部によって規定される前記流路断面積は、当該濃縮部形成部よりも前記第1の端部側の第1の部分によって規定される前記流路断面積に比して小さく、
    前記濃縮部形成部よりも前記第2の端部側の第2の部分によって規定される前記流路断面積は、前記濃縮部形成部によって規定される前記流路断面積に比して大きく、
    前記規定面は、前記濃縮部形成部と前記第2の部分との境界部分において、前記第1の方向と交差する方向へ向かって広がる、電気泳動用の収容容器。
  10. 前記濃縮部形成部は、絶縁体によって構成される、請求項9に記載の電気泳動用の収容容器。
  11. 前記第1の部分によって規定される前記流路断面積は、前記第1の端部側から前記濃縮部形成部に近づくに従って小さくなる、請求項9又は10に記載の電気泳動用の収容容器。
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