JP2005278418A - 試料から荷電物質を濃縮及び/又は抽出する方法及びそのためのデバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、夾雑物の存在下、目的の荷電物質を選択的に抽出又は濃縮する方法及びそのためのデバイスであって、マイクロ流体デバイス上で実施可能なものを提供することである。
【解決手段】 導入口と排出口を有し該導入口と排出口との間にテーパー状部分を有する流路、該テーパー状部分を挟んで電圧を印加する電源装置及び該テーパー状部分を挟んで圧力を印加する装置を有する荷電物質を濃縮及び/又は抽出するデバイスであって、該テーパー状部分が、排出口側の第1幅を有する部分、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分及び第2幅から第3幅に広がる部分からなる、該デバイス。
【選択図】 図1

Description

本発明は、荷電物質を含む試料から、目的とする荷電物質を濃縮及び/又は抽出する方法、及びそのためのデバイスに関する。
現在、生化学および化学反応工程を微細な領域に集積化した分析システムはMicroscale total analysis systems(μTAS)と呼ばれ、その試みが数多く報告されている。これらは、ゲノム解析、ポストゲノム解析、薬剤スクリーニングおよびその他の臨床応用において極めて有効であると期待されている。
細胞やウイルスに由来する生体分子を分析するにあたっては、細胞膜やウィルス壁を破砕した試料溶液から、その後の反応や検出を阻害する物質を除外し、目的の生体分子を適当な溶媒中に抽出し適当な濃度とする前処理が必要になる。従って、反応工程を基材上に集積化する場合においても、基板上において、血液や細胞溶解物などの試料に含まれるDNA等の目的物質を濃縮及び/又は抽出すること、並びに目的物質を分散させる溶媒を交換することが要素技術として必須である。
また、ウイルス性の病気の診断においては、血液中のウイルスに対する抗体を検出する方法がとられているが、当該方法では十分ではなく誤診が生じるという問題があった。血液中に存在するウイルス由来DNAを検出することができれば、誤診を防止することができると考えられるが、血液中のウイルスは非常に微量であるため検出が困難であり、このような微量なDNAを濃縮する技術が望まれていた。
生体分子の濃縮及び/又は抽出を行う方法として、遠心分離法や磁気ビーズを用いる方法などが知られている。しかし、反応工程を基板上に集積化する場合や、試料又は目的分子が非常に微量であるような場合、遠心分離法や磁気ビーズを用いる方法を採用することができない。
一方、微小流路中のテーパー状のチャネルに電場による力と圧力を逆向きに印加することにより、長鎖DNAがトラップされることが報告されている(特許文献1)。当該技術を用いて、溶液からの長鎖DNAの回収、洗浄及び溶媒交換が基板上で可能になると期待されている。しかし、細胞中のDNAを遊離させ、様々な夾雑物の存在下で濃縮及び抽出することは困難であった。
特開2004−000217号公報
本発明の課題は、夾雑物の存在下、目的の荷電物質を選択的に抽出又は濃縮する方法及びそのためのデバイスであって、マイクロ流体デバイス上で実施可能なものを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、テーパー状の構造を有する部分を含む流路に試料溶液を流し、該テーパー状部分を挟んで電圧を印加するとともに、圧力流を生じさせることにより、試料中の荷電物質を選択的にトラップし、濃縮又は抽出できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)導入口と排出口を有し、該導入口と排出口との間にテーパー状部分を有する流路からなる、荷電物質を濃縮及び/又は抽出するデバイスであって、該テーパー状部分を挟んで電圧及び圧力を印加可能であり、該テーパー状部分が、排出口側の第1幅を有する部分、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分及び第2幅から第3幅に広がる部分からなる、該デバイス。
(2)第2幅に対する第1幅の比が3〜100であり、第2幅に対する第3幅の比が3〜100であり、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分の流路長さの第2幅に対する比が1〜200であり、第2幅から第3幅に広がる部分の流路長さの第2幅に対する比が0〜20である(1)記載のデバイス。
(3)テーパー状部分と排出口との間に枝分かれしたさらなる流路を有する、(1)又は(2)記載のデバイス。
(4)導入口とテーパー状部分との間に開閉可能な弁を有し、枝分かれしたそれぞれの流路に開閉可能な弁を有する、(3)記載のデバイス。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のデバイスを備えたマイクロ流体デバイス。
(6)導入口と排出口を有し該導入口と排出口との間にテーパー状部分を有する流路に試料を流すことによって試料から荷電物質を濃縮及び/又は抽出する方法であって、該テーパー状部分が、排出口側の第1幅を有する部分、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分及び第2幅から第3幅に広がる部分からなり、導入口から試料を導入し、第1幅から第2幅となる方向と逆方向に圧力流を生じさせる圧力を印加し、印加電圧によって荷電物質が第1幅から第2幅となる方向に移動するように電圧を印加することによって荷電物質をトラップし、その後電圧又は圧力を変化させることによりトラップされていた荷電物質を回収することを含む、該方法。
(7)導入口と排出口を有し該導入口と排出口との間にテーパー状部分を有する流路に試料を流すことによって試料から荷電物質を濃縮及び/又は抽出する方法であって、該テーパー状部分が、排出口側の第1幅を有する部分、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分及び第2幅から第3幅に広がる部分からなり、導入口から試料を導入し、第1幅から第2幅となる方向に圧力流を生じさせる圧力を印加し、印加電圧によって荷電物質が第2幅から第1幅となる方向に移動するように電圧を印加することによって荷電物質をトラップし、その後電圧又は圧力を変化させることによりトラップされていた荷電物質を回収することを含む、該方法。
(8)第2幅に対する第1幅の比が3〜100であり、第2幅に対する第3幅の比が3〜100であり、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分の流路長さの第2幅に対する比が1〜200であり、第2幅から第3幅に広がる部分の流路長さの第2幅に対する比が0〜20である(6)又は(7)記載の方法。
(9)荷電物質をトラップした後荷電物質を回収する前に、洗浄液を導入することをさらに含む、(6)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)荷電物質が生体関連分子である、(6)〜(9)のいずれかに記載の方法。
本発明により、夾雑物の存在下、目的の荷電物質を選択的に濃縮及び/又は抽出する方法及びそのためのデバイスが提供される。また本発明の方法及びデバイスにより、マイクロ流体デバイス上で目的の荷電物質を濃縮及び/又は抽出すること、精製及び溶媒交換を行うことが可能になる。
本発明は、導入口と排出口を有し、該導入口と排出口との間にテーパー状部分を有する流路からなる、荷電物質を濃縮及び/又は抽出するデバイスであって、該テーパー状部分を挟んで電圧及び圧力を印加可能であり、該テーパー状部分が、排出口側の第1幅を有する部分、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分及び第2幅から第3幅に広がる部分からなる、該デバイスに関する。
本発明において、荷電物質とは溶液中で電荷を有する物質を意味し、特に制限されない。荷電物質としては、DNA及びRNAなどの核酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド及びタンパク質などの生体関連分子、細胞、細胞内の小胞体、ミトコンドリア、染色体並びにポリマーなどの化合物等が挙げられる。本発明は、生体関連分子、特に核酸の濃縮及び/又は抽出に好適に用いられる。
さらに本発明は、100〜10塩基、好ましくは1000〜10塩基、より好ましくは10〜10塩基の核酸、特にDNAの濃縮及び/又は抽出に対し、特に好適に用いられる。また、DNAは二本鎖及び一本鎖のいずれもトラップ可能である。
試料としては、目的の荷電物質を含有しうるものであれば特に制限されない。対象となる荷電物質を含有しうる試料としては、生体関連分子を含有する試料、例えば、細胞破砕物、血液、血漿、汗、尿及び唾液などの体液、in vitroタンパク質合成液、PCR産物等が挙げられ、特に、細胞破砕物が好ましく用いられる。本発明は、液状の試料を精製することなく、そのまま使用できる点で有利である。
細胞破砕物を試料として用いる場合、対象とする細胞を破砕する方法としては、当技術分野において通常用いられるものを使用でき、例えば、低張液破砕法、SDS破砕法、界面活性剤破砕法、カオトロピック剤破砕法、超音波破砕法等が挙げられ、本発明においては、SDS破砕法を用いるのが好ましい。
本発明の濃縮及び/又は抽出方法は、上記のような試料を流路に流し、導入口からテーパー状部分に向かって圧力流を生じさせる圧力を印加し、荷電物質がそれと反対方向に移動する方向に電圧を印加することによって、荷電物質をテーパー状部分にトラップし、その後電圧又は圧力を変化させることによりトラップされていた荷電物質を回収するものである。
本発明においては、導入口からテーパー状部分に向かって荷電物質が移動する方向に電圧を印加し、それと反対方向に圧力流を生じさせる圧力を印加してもよい。
電圧及び圧力を同時に印加することにより、テーパー状部分に目的の荷電物質のみが選択的にトラップされ、その他の夾雑物はトラップを通過する。そのため、試料を流し続けることにより、テーパー状部分に目的の荷電物質のみを蓄積させ、濃縮することができる。そして、電圧又は圧力を変化させることにより蓄積させた荷電物質を回収することができ、試料から目的の荷電物質を抽出することができる。また、トラップされていた荷電物質を試料溶液とは異なる溶媒中にとることにより、溶媒交換を実施することもできる。
ここで電圧または圧力を変化させるとは、電圧及び/又は圧力を解除する、電圧及び/又は圧力を強める、電圧及び/又は圧力を弱めることを包含し、それにより電圧と圧力のバランスを変化させることを意味する。
また、テーパー状部分に目的の荷電物質をトラップさせた状態で、試料にかえて洗浄液を流すことにより、トラップされている荷電物質を洗浄し、その後回収することもできる。洗浄液は、対象とする物質により適宜選択され、生体関連分子の場合は、水や生理食塩水を用いることができる。
例えば、DNA及びペプチド等の生体関連分子、細胞小器官並びに細胞などは、水溶液中において、等電点と称される特定のpH以外においては、プラス又はマイナスに荷電している。従って、試料溶液に電場をかけると、試料溶液中におけるこれらの物質の荷電と反対方向の電極に向かって物質が移動することになる。従って、試料溶液中の荷電状態に合わせて、電場によって排出口側から導入口側に、すなわち、第1幅から第2幅となる方向に物質が移動するように、テーパー状部分を挟んで電圧を印加する。
本発明におけるテーパー状部分は、排出口側の第1幅を有する部分、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分及び第2幅から第3幅に広がる部分からなる。
第2幅に対する第1幅の比は、通常3〜100、好ましくは10〜100、より好ましくは20〜100である。第2幅に対する第3幅の比は、通常3〜100、好ましくは10〜100、より好ましくは20〜100である。第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分の流路長さの第2幅に対する比は、通常1〜200、好ましくは2〜100、より好ましくは5〜20である。第2幅から第3幅に広がる部分の流路長さの第2幅に対する比は、通常0〜200、好ましくは0〜100、より好ましくは0〜20である。
第1幅は、通常3〜500μm、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50μmである。第2幅は、通常0.1〜50μm、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは1〜5μmである。第3幅は、通常3〜500μm、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50μmである。
テーパー状部分以外の流路の形状は特に制限されないが、一定幅の流路であることが好ましく、その流路幅は、通常3〜500μm、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50μmである。
本発明の一態様においては、第1幅と第3幅は等しく、第1幅及び第3幅はその他の部分の流路幅と等しい。
上記のようなテーパー部分及びその他の部分における流路の形状は、流路の軸方向と平行ないずれかの断面において、流路幅が上記のような数値又は比を有する限り、本発明の範囲に包含される。本発明において、流路は通常、チャネル構造又は管構造を有するが、管構造を有するのが好ましい。管断面が円形の管構造の場合、流路幅とは流路断面の直径を意味し、断面が四角形の管構造の場合は、その縦又は横の長さを意味し、断面が四角形のチャネル構造の場合は、チャネルの幅を意味する。断面が四角形のチャネル構造の場合、その深さは一定で、通常0.3〜300μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜20μmであり、その幅が上記の流路幅の関係を満たすことになる。また、断面が四角形の管構造の場合も、縦又は横の長さが一定でチャネルにおける上記深さと同じ範囲の値を有するのが好ましく、もう一方の長さが上記の流路幅の関係を満たすことになる。
本発明のデバイスにおける流路は、当技術分野において通常用いられる方法によって製造することができる。例えば、基板に流路パターンを形成し、これに上板を圧着させることにより作成することができる。この場合に、基板上における流路は、例えば、光リソグラフィー法を用いて流路パターンを形成し、エッチングすることにより形成することができる。
基板としては、当技術分野において通常用いられるものを使用でき、例えば、石英、シリコン、サファイア、ガラス並びにポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、メチルペンテンコポリマー、ポリジメチルシロキサン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などのプラスチック材料を使用できる。プラスチック材料を用いると安価に製造できるため、使い捨てのチップ等に使用する場合に好ましい。
本発明においては、特に、ポリジメチルシロキサン、石英を使用するのが好ましい。
図1に、本発明における流路のテーパー状部分の態様を示す。これらの態様では、流路は、断面が四角形かつ一定深さのチャネル構造又は管構造を有する。(a)は、第2幅から第3幅に広がる部分の流路長さがゼロ、すなわち、第2幅からすぐに第3幅になる態様を表す。101は流路の第1幅を表し、102は流路の第2幅を表し、103は流路の第3幅を示す。104は、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分の流路長さを表し、105は、第2幅から第3幅に広がる部分の流路長さを表す。106は排出口につながり、107は導入口につながる。導入口から圧力流により107部分に流れてきた荷電物質は、電圧を印加することにより第2幅付近にトラップされる。
本発明者らは、テーパー状部分の形状とトラップされる荷電物質のサイズとの間に相関関係があることを見いだした。すなわち、サイズの大きな物質の方がサイズの小さい物質よりも優先的にトラップされることを見いだした。従って、上記のテーパー状部分の幅及び長さを調節することにより、所望のサイズの荷電物質をトラップし、濃縮及び/又は抽出することができる。
荷電分子がDNAである場合、長いDNAの方が短いDNAよりも優先的にトラップされる。より具体的には、トラップされるDNAの塩基長をL(塩基)とし、第2幅をX(μm)とすると、LとXは以下の関係を有すると考えられる。
L>0.01X
また、本発明においては、大きい圧力を印加した場合には、大きい電圧を印加することにより荷電物質がトラップされることが明らかになった。従って、圧力を小さくすることにより、低い印加電圧でも荷電物質をトラップでき、また、印加電圧を低くすることにより、小さな圧力で荷電物質をトラップできる。圧力と、電圧をともに大きくしたほうがトラップされやすい。逆に小さくすると、あるところ以下ではトラップされなくなる。
本発明において、テーパー状部分を挟んで印加する電圧Vは、通常1〜1000V、好ましくは5〜300V、より好ましくは10〜100Vである。また、圧力流を生じさせるためにテーパー状部分を挟んで印加する圧力Pは、通常5〜100000Pa、好ましくは100〜10000Pa、より好ましくは1000〜6000Paである。通常10〜200Vの電圧で、500〜10000Paの圧力を印加するのが好ましい。
本発明において、上記のテーパー状部分は、流路において複数を直列及び/又は並列に連結させてもよい。並列に連結させる場合は、流路が分岐することになる。複数のテーパー状部分を、直列又は並列に連結させることにより、荷電物質のトラップ量を増加させることができ、荷電物質の抽出、濃縮又は洗浄等を効率的に実施することができる。
また、荷電物質のサイズや形状による選択的トラップでは、直列に連結することで、選択性を鋭くしたり、鈍くしたり、コントロールすることができる。さらには、一つのトラップではサイズによる差がでなくても、これを連結することにより、差を拡大することができる。
図2に、テーパー状部分を直列及び並列に複数に連結した態様を示す。(b)はテーパー状部分の拡大図である。201はテーパー状部分の1つを表し、202は4つのテーパー状部分が並列に連結した幅を表し、通常、5〜1000μm、好ましくは20〜400μmである。207は、テーパー状部分が直列に連結した長さを表し、通常、0.1〜40mm、好ましくは0.5〜3mmである。206は導入口につながり、205は排出口につながる。204はテーパー状部分と排出口の間の枝分かれ流路を示す。
本発明の一実施態様では、テーパー状部分と排出口との間に枝分かれしたさらなる流路が存在する。テーパー状部分の下流に少なくとも2つの流路を設けることにより、試料中の目的とする荷電物質とその他の夾雑物を別の流路に取り込み、目的物質を分別して回収することができる。該枝分かれ流路は、図2において204として表される。枝分かれ流路は、1つに限られず、複数を設けることもできる。
例えば、荷電物質をテーパー状部分にトラップしている間、目的物質を取り込む方の流路を閉じ、排出口を開くことによって、目的物質以外の夾雑物を排出口から廃棄する。そして、目的物質がテーパー状部分に蓄積・濃縮された後、排出口を閉じるとともに目的物質を取り込む方の流路を開き、その後電圧又は圧力を変化させることにより、目的物質のみを回収することができる。このような態様においては、目的物質を取り込む方の流路にリザーバー部分を設けて、目的物質を該リザーバー内に回収することが好ましい。
また、目的物質をトラップした後、電圧又は圧力を変化させて目的物質を取り込む前に、排出口を開き目的物質を取り込む方の流路を閉じたまま、溶媒や緩衝液を流すことにより洗浄を行い、その後排出口を閉じるとともに目的物質を取り込む方の流路を開き、目的物質を回収することもできる。
上記のような態様においては、導入口とテーパー状部分との間、及び枝分かれしたそれぞれの流路に開閉可能な弁を設けることにより、流路の開閉を実施することができる。
開閉可能な弁としては、当技術分野において通常用いられるものを使用できる。例えば、3層構造をしており、1番下の層がDNAの溶液が流れる流路、2番目の層が厚さ40μm〜60μmの中間膜である。そして3層目は空気が通る流路となっており、全てはPDMSで作成される。機構としては3層目の空気の流路を減圧することにより、中間膜を引き上げ、1層目の流路中の溶液が流れる仕組みとなる弁を用いられる。
枝分かれした流路及び弁を有する態様を図3に示す。301はテーパー状部分を示し、302〜304は弁を示し、305は導入口につながり、306は排出口につながり、307は枝分かれ流路を示す。この態様にいて弁302〜304は空気圧により開閉するシステムを採用しており、それぞれの弁につながる管は、空気を排出及び導入するための管である。
まず、テーパー状部分を挟んで電圧と圧力を印加し、弁302と304を開けた状態で試料を流し、目的の荷電物質をテーパー状部分301にトラップする。荷電物質が濃縮されたら、所望により洗浄液を305から流し、余分な夾雑物を洗い流す。その後、弁304を閉じて弁303を開け、電圧又は圧力を変化させると、トラップされていた荷電物質が圧力流により流路307の方に流れ、回収することができる。
本発明はまた、本発明の荷電物質を濃縮及び/又は抽出するためのデバイスを備えたマイクロ流体デバイスに関する。マイクロ流体デバイスは、内部に細い毛細管状の流路を有し、流路を合成や分析の場として用いるデバイスであって、マイクロ・フルイディック・デバイス、ラボ・オン・チップ、またはマイクロ・トータル・アナリティカル・システム(μTAS)などとも呼ばれる。マイクロ流体デバイスは、化学、生化学、物理化学用などの微小反応デバイス(マイクロ・リアクター)や、集積型DNA分析デバイス、電気泳動デバイス、クロマトグラフィーデバイスなどの微小分析デバイスとして使用される。
マイクロ流体デバイスは、シリコン、石英、ガラス、有機ポリマーなどの一部材の表面にエッチング法などにより細い溝を形成し、この溝形成面である表面にガラス板などの別部材を、ネジ止め、接着、融着(熔着)などにより固定又は固着させて流路を外部から仕切って形成する方法が知られている。
(実施例1)
Jurkat細胞(5×10個)に低張液(0.075M KCl)を加えた後、純水を1ml加え、細胞を破砕させた。破砕液中のDNAを蛍光色素YOYO1で染色し、TBEを加えた。0.5TBE緩衝液中において、DNAの最終濃度が1.6×10個/mlとなるように調製した。得られた調製液を、PDMS(ポリジメチルシロキサン)で作成した微小流路に流し、圧力と電圧を印加し、蛍光顕微鏡で観察した。
本実施例では、図1(a)の形状を有する流路で、101が100μm、102が10μm、103が100μm、104が100μm、流路深さが10μmのものを使用した。電場による力を矢印108の方向に印可し、圧力を矢印109の方向に印加した。
細胞破砕液を流し、圧力と電圧を印加したところ、DNAのトラップ及び濃縮を確認することができた。また、細胞破砕液に含まれる夾雑物はトラップされずに流れていくことが確認された。図4に、一定の圧力下でDNAのトラップが観察された電圧の条件を示す。破線で囲まれている領域はトラップが観察された領域を示している。図5に、各電圧及び圧力を印加したときに、蛍光顕微鏡で観察された結果を示す。
(実施例2)SDS破砕法による結果
Jurkat細胞(5×10個)に、0.01%SDS及び20mM NaClを加えた後、細胞を破砕させた。破砕液中のDNAを蛍光色素YOYO1で染色し、TBEを加えた。0.5TBE緩衝液中において、DNAの最終濃度が1.6×10個/mlとなるように調製した。得られた調製液を、PDMS(ポリジメチルシロキサン)で作成した実施例1と同じ微小流路に流し、圧力と電場による力を矢印の方向に印加し、蛍光顕微鏡で観察した。
細胞破砕液を流し、圧力と電圧を印加したところ、DNAのトラップ及び濃縮を確認することができた。また、細胞破砕液に含まれる夾雑物はトラップされずに流れていくことが確認された。図6に、一定の圧力下でDNAのトラップが観察された電圧の条件を示す。破線で囲まれている領域はトラップ領域を示している。図7に、各電圧及び圧力を印加したときに、蛍光顕微鏡で観察された結果を示す。(a)は電圧60V、圧力2600Paのとき、(b)は電圧25V、圧力300Paのときの結果である。
実施例1及び2の結果より、細胞破砕液を用いても大きい圧力を印加した場合には、大きい電圧を印加することによりDNAがトラップされることがわかった。従って、圧力流を小さくすることにより、低い印加電圧でもDNAをトラップできること、また、印加電圧を低くすることにより、小さな圧力流でDNAをトラップできることが明らかとなった。
(実施例3)
図2において104及び101が25μmであり、流路深さが10μmであり、207が3cmであり、202が100μmである、テーパー状部分を直列及び並列に連結した流路に、以下の表1に示す組成を有する溶液を流し、矢印の方向に電場による力及び圧力流が生じるように、電圧(100V)及び圧力(2500Pa)を印加した。
Figure 2005278418
0〜15秒後における蛍光標識したDNAのトラップの様子を図8に示す。以上から、テーパー状部分を直列及び並列に連結することにより、DNAを効率的にトラップできることが明らかになった。
(実施例4)サイズ依存性
実施例3において、長さが異なる3種類のDNA、即ちT4(166kbp)、λ(48kbp)、M13mp(7.2kbp)を流した時の、1段あたりのトラップ確率を図9に示す。圧力は2500Pa、電圧は0〜200Vを印加した。このとき、電圧による力と、圧力による力は、電圧100V付近でほぼつりあい、図9においてはこのつりあいのポイントを1となるように、電圧を規格化してプロットした。これより、48kbp以上の大きさのDNAは、最大0.7のトラップ確率を示したが、およそ7.2kbpのDNAは同じ条件では殆ど、トラップされなかった。これは、トラップ確率に明確なサイズ依存性があることを示している。このことは、本トラップがある大きさの範囲のDNAのみを選別するような用途に利用できることを示している。
本発明における流路のテーパー状部分の態様を示す。 図2に、テーパー状部分の複数を直列及び並列に連結した態様を示す。 枝分かれした流路及び弁を有する態様を示す 実施例1で、一定の圧力下でDNAのトラップが観察された電圧の条件を示す。 実施例1で、各電圧及び圧力を印加したときに、蛍光顕微鏡で観察された結果を示す。 実施例2で、一定の圧力下でDNAのトラップが観察された電圧の条件を示す。 実施例2で、各電圧及び圧力を印加したときに、蛍光顕微鏡で観察された結果を示す。 実施例3における0〜15秒後における蛍光標識したDNAのトラップの様子を示す。 実施例4におけるDNAのトラップ確率のサイズ依存性を示す。
符号の説明
101・・・流路テーパー状部分の第1幅、102・・・流路テーパー状部分の第2幅、103・・・流路テーパー状部分の第3幅、104・・・第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分の流路長さ、105・・・第2幅から第3幅に広がる部分の流路長さ、
201・・・テーパー状部分、202・・・テーパー状部分が並列に連結した幅、207・・・テーパー状部分が直列に連結した長さ、204・・・枝分かれ流路、
301・・・テーパー状部分、302〜304・・・弁、307・・・枝分かれ流路

Claims (10)

  1. 導入口と排出口を有し、該導入口と排出口との間にテーパー状部分を有する流路からなる、荷電物質を濃縮及び/又は抽出するデバイスであって、該テーパー状部分を挟んで電圧及び圧力を印加可能であり、該テーパー状部分が、排出口側の第1幅を有する部分、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分及び第2幅から第3幅に広がる部分からなる、該デバイス。
  2. 第2幅に対する第1幅の比が3〜100であり、第2幅に対する第3幅の比が3〜100であり、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分の流路長さの第2幅に対する比が1〜200であり、第2幅から第3幅に広がる部分の流路長さの第2幅に対する比が0〜20である請求項1記載のデバイス。
  3. テーパー状部分と排出口との間に枝分かれしたさらなる流路を有する、請求項1又は2記載のデバイス。
  4. 導入口とテーパー状部分との間に開閉可能な弁を有し、枝分かれしたそれぞれの流路に開閉可能な弁を有する、請求項3記載のデバイス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のデバイスを備えたマイクロ流体デバイス。
  6. 導入口と排出口を有し該導入口と排出口との間にテーパー状部分を有する流路に試料を流すことによって試料から荷電物質を濃縮及び/又は抽出する方法であって、該テーパー状部分が、排出口側の第1幅を有する部分、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分及び第2幅から第3幅に広がる部分からなり、導入口から試料を導入し、第1幅から第2幅となる方向と逆方向に圧力流を生じさせる圧力を印加し、印加電圧によって荷電物質が第1幅から第2幅となる方向に移動するように電圧を印加することによって荷電物質をトラップし、その後電圧又は圧力を変化させることによりトラップされていた荷電物質を回収することを含む、該方法。
  7. 導入口と排出口を有し該導入口と排出口との間にテーパー状部分を有する流路に試料を流すことによって試料から荷電物質を濃縮及び/又は抽出する方法であって、該テーパー状部分が、排出口側の第1幅を有する部分、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分及び第2幅から第3幅に広がる部分からなり、導入口から試料を導入し、第1幅から第2幅となる方向に圧力流を生じさせる圧力を印加し、印加電圧によって荷電物質が第2幅から第1幅となる方向に移動するように電圧を印加することによって荷電物質をトラップし、その後電圧又は圧力を変化させることによりトラップされていた荷電物質を回収することを含む、該方法。
  8. 第2幅に対する第1幅の比が3〜100であり、第2幅に対する第3幅の比が3〜100であり、第1幅から次第に狭くなり第2幅となる部分の流路長さの第2幅に対する比が1〜200であり、第2幅から第3幅に広がる部分の流路長さの第2幅に対する比が0〜20である請求項6又は7記載の方法。
  9. 荷電物質をトラップした後荷電物質を回収する前に、洗浄液を導入することをさらに含む、請求項6〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 荷電物質が生体関連分子である、請求項6〜9のいずれか1項記載の方法。
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