JPH0659682A - 騒音キャンセル方式 - Google Patents

騒音キャンセル方式

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JPH0659682A
JPH0659682A JP4211348A JP21134892A JPH0659682A JP H0659682 A JPH0659682 A JP H0659682A JP 4211348 A JP4211348 A JP 4211348A JP 21134892 A JP21134892 A JP 21134892A JP H0659682 A JPH0659682 A JP H0659682A
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政一 秋保
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俊一 今西
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 消音性能を低下することなく騒音キャンセル
コントローラの演算量を減少する。 【構成】 フロント側座席のスピーカSP1,SP2から
リア側座席のマイクMC 3,MC4までの伝達関数のゲイ
ン並びにリア側座席のスピーカSP3,SP4からフロン
ト側座席のマイクMC1,MC2までの伝達関数のゲイン
が共に、フロント側座席のスピーカからフロント側座席
のマイクまでの伝達関数のゲイン並びにリア側座席のス
ピーカからリア側座席のマイクまでの伝達関数のゲイン
より小さくなるように各スピーカとマイクを配設する。
フロント側騒音キャンセルコントローラ34はフロント
側座席に対応する2組のスピーカとマイクを用いて、該
フロント側座席におけるエンジン音をキャンセルするよ
うに適応信号処理を行い、リア側騒音キャンセルコント
ローラ35はリア側座席に対応する2組のスピーカとマ
イクを用いて、リア側座席におけるエンジン音をキャン
セルするように適応信号処理を行い、フロント、リア側
の各適応信号処理を独立に行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は騒音キャンセル方式に係
わり、特に自動車内の前後左右座席における4つの騒音
キャンセル点(観測点)におけるエンジン音をキャンセ
ルして快適な自動車の車室内環境を提供できる騒音キャ
ンセル方式に関する。
【0002】
【従来の技術】騒音対策としては、従来より吸音材を用
いる方法(パッシブ制御)が知られている。しかし、吸
音材を用いる方法では、騒音が小さい静音エリアを形成
するのが面倒であると共に、低音を効果的に消せない問
題がある。特に、自動車の車室内の騒音を防止するに
は、自動車の重量が増大すると共に、騒音を効果的に消
せない問題がある。このため、騒音と逆位相の騒音キャ
ンセル音をスピ−カから放射して騒音を低減する方法
(アクティブ制御)が脚光を浴び、工場やオフィスなど
の室内空間の一部に実用化されつつある。又、自動車の
車室内においてもアクティブ制御により騒音を低減する
方式が提案されている。
【0003】図4は従来の騒音キャンセルを実現する装
置の構成図であり、11は騒音源であるエンジン、12
はエンジン回転数Rを検出する回転数センサ、13はエ
ンジン回転数Rに応じた周波数を有する一定振幅の正弦
波信号を参照信号xa1nとして発生する参照信号発生部
である。騒音源がエンジンの場合、エンジン回転により
発生するノイズは周期性を有し(周期性ノイズ)、その
周波数はエンジン回転数に依存する。例えば、4気筒エ
ンジンの場合、車室内に発生する周期性ノイズはエンジ
ン回転数の2次高調波が支配的であり、回転数が600
rpm(10rps)の時、車室内に発生するノイズの
周波数は20Hz、回転数が6000rpm(100r
ps)の時、車室内に発生するノイズの周波数は200
Hzである。従って、参照信号発生部13は、2次高次
調波の正弦波データをROMに記憶しておき、そのデー
タを必要に応じて読み出して出力することにより参照信
号xa1nを生成する。尚、このデータの読み出し/出力
タイミングはエンジン回転数Rに応じてコントロールさ
れ、これによりエンジン回転数Rに応じて発生する周期
性ノイズの周波数を有する参照信号が出力されるように
なっている。
【0004】14は騒音キャンセルコントローラであ
り、参照信号発生部13から発生する参照信号xa1n
入力されると共に、車室内の騒音キャンセル位置(観測
点であり例えば運転者の耳元近傍)における騒音Sn1
キャンセル音Sc1の合成音信号をエラ−信号e1nとして
入力され、該エラ−信号が最小となるように適応信号処
理を行って騒音キャンセル信号ya1nを出力する。騒音
キャンセルコントローラ14は、適応信号処理部14a
と、デジタルフィルタ構成の適応フィルタ14bと、ス
ピーカから騒音キャンセル点までのキャンセル音伝搬系
(二次音伝搬系)の伝達関数に基づいて作成され、参照
信号xa1nが入力されるフィルタ14cを有している。
15は適応フィルタ出力(騒音キャンセル信号ya1n
をアナログの騒音キャンセル信号に変換するDAコンバ
ータ、16は騒音キャンセル信号を増幅するパワ−アン
プ、17は騒音キャンセル音Sc1を放射するキャンセル
スピ−カ、18は騒音キャンセル点に配置され、騒音S
n1とキャンセル音Sc1の合成音を検出し、合成音信号を
エラ−信号e1nとして出力するエラ−マイク,19はエ
ラー信号e1nをデジタルに変換するADコンバータであ
る。
【0005】適応信号処理部14aは騒音キャンセル点
におけるエラー信号e1nとフィルタ14cを介して入力
される信号処理用の参照信号r111nを入力され、これら
信号を用いて騒音キャンセル点における騒音をキャンセ
ルするように適応信号処理を行って適応フィルタ14b
の係数を決定する。例えば適応信号処理部14aは周知
のLMS(Least Mean Square)適応アルゴリズムに従っ
て、エラ−マイク18から入力されたエラ−信号e1n
最小となるように適応フィルタ14bの係数を決定す
る。適応フィルタ14bは適応信号処理部14aにより
決定された係数に従って参照信号xa1nにデジタルフィ
ルタ処理を施してDAコンバータ15より騒音キャンセ
ル信号ya1nを出力する。尚、参照信号xa1nは、消去し
たい騒音Sn1と相関の高い信号でなくてはならず、参照
信号と相関のない音は消去されない。エンジン11が回
転すると、その回転数Rは回転数センサ12により検出
され、参照信号発生部13はエンジン回転数Rに応じた
周波数の参照信号xa1n(図5(a)参照)を発生し、騒音
キャンセルコントローラ14に入力する。この時、エン
ジン11から発生した周期性を有するエンジン音(周期
性ノイズ)は、所定の伝達関数を有する騒音伝搬系(一
次音伝搬系)を有する空中を伝播して騒音キャンセル点
に至る。従って、該騒音キャンセル点における騒音(エ
ンジン音)Sn1はレベルが若干弱まり、かつ若干遅延し
て図5(b)に示すようになる。
【0006】最初、騒音キャンセルコントローラ14は
例えば参照信号xa1nと位相が逆の騒音キャンセル信号
a1nを出力し、キャンセルスピ−カ16より図5(c)に
示すキャンセル音Sc1を出力する。しかし、騒音Sn1
レベルと位相がずれているため、キャンセル音Sc1によ
り騒音はキャンセルされず、エラ−信号e1nが発生す
る。騒音キャンセルコントローラ14は該エラ−信号e
1nが最小となるように適応信号処理を行って適応フィル
タ14bの係数を決定し、理想的な場合、最終的に図5
(d)に示すようにキャンセル音Sc1の位相を騒音Sn1
位相と逆相にし、かつレベルを一致させ騒音をキャンセ
ルする。
【0007】以上は説明を簡単にするために、騒音源を
1個、キャンセル音発生源(スピーカ)を1個、騒音キ
ャンセル点(観測点)を1箇所とした例である。しか
し、実際には騒音源は複数存在し、又、騒音をキャンセ
ルしたい地点(観測点)も複数存在し、このため1つの
スピーカでは各観測点の騒音をキャンセルできず、スピ
ーカも複数存在する。図6は騒音源がK個、スピーカが
M個、観測点がL箇所の場合における従来の騒音キャン
セル装置の構成図である。21は各観測点における騒音
をキャンセルするように動作するDSP(デジタル・シ
グナル・プロセッサ)構成の騒音キャンセルコントロー
ラ、22は各騒音源(図示せず)から各観測点まで騒音
が伝搬する系を表現した一次音仮想伝搬系(騒音伝搬
系)、23はスピーカの特性を含め、各スピーカから各
観測点までのキャンセル音が伝搬する系を表現する二次
音伝搬系(キャンセル音伝搬系)、24は各観測点にお
けるマイクの機能を表現する信号合成部で、加算部24
1〜241′は第1観測点におけるマイクに相当し、加算
部242〜242′は第2観測点におけるマイクに相当
し、・・・加算部24L〜24L′は第L観測点における
マイクに相当する。dd1n〜ddLnは各観測点におけるキ
ャンセル対象でない外部雑音である。尚、DAコンバ−
タ、ADコンバータ等は省略している。
【0008】騒音キャンセルコントローラ21はDSP
で構成され、多入力−多出力適応フィルタ(以後単に適
応フィルタと言う)21aと、フィルタードX信号作成
用フィルタ21bと、適応信号処理部21cとに分けら
れる。適応フィルタ21aは参照信号発生部(図示せ
ず)から入力された参照信号xa1n〜xaKnに所定のフィ
ルタリング処理を施して騒音キャンセル信号ya1n〜y
aMnを発生し、該騒音キャンセル信号を各スピーカに入
力する。フィルタードX信号作成用フィルタ21bは参
照信号xa1n〜xaKnに二次音伝搬系23の伝達関数マト
リックスの各要素(伝搬要素)を畳み込んで信号処理用
の参照信号(フィルタードX信号)r111n〜rLMKnを出
力する。適応信号処理部21cは各観測点におけるエラ
ー信号e1n〜eLnとフィルタ21bから出力されるフィ
ルタードX信号r111n〜rLMKnを入力され、これら信号
を用いて各観測点における騒音をキャンセルするように
適応信号処理を行って適応フィルタ21aの係数を決定
する。
【0009】図7は一次音仮想伝搬系22の説明図であ
り、図7(a)に示すようにK個の各騒音源NG1〜NGK
から発生する騒音は所定の周波数・位相特性を有する一
次音伝搬系22を伝搬して各観測点に設けたマイク(M
IC1〜MICL)に到達する。従って、第i番目の騒音
源NGiからの騒音が第j番目のマイクMICjに到る伝
搬系の伝達特性をHjiとすると、一次音仮想伝搬系22
は図7(b)に示すように表現され、その伝達関数マトリ
ックス(H)は以下のようになる。
【0010】
【数1】
【0011】伝達関数マトリックス(H)の各要素Hij
図8に示すFIR型デジタルフィルタによりモデル化さ
れる。すなわち、入力信号を順次1サンプリング時間遅
延する遅延要素DLと、各遅延要素出力に係数h0
1,h2,・・・を乗算する乗算部MLと、乗算部出力
を加算する加算部ADより成るデジタルフィルタでモデ
ル化される。図9は二次音伝搬系23の説明図であり、
図9(a)に示すように各スピーカSP1〜SPMから発生
する騒音キャンセル音は所定の周波数・位相特性を有す
る二次音伝搬系23を伝搬して各観測点に設けたマイク
MIC1〜MICLに到達する。従って、第i番目の騒音
キャンセル信号yainに基づくキャンセル音が第j番目
のマイクMICjに到る二次音伝搬系の伝達特性をCji
とすると、二次音伝搬系23は図9(b)に示すようにモ
デル化され、その伝達関数マトリックス(C)は以下のよ
うになる。
【0012】
【数2】
【0013】伝達関数マトリックス(C)の各要素は一次
音仮想伝搬系22の場合と同様に、図8に示すFIR型
デジタルフィルタによりモデル化される。すなわち、入
力信号を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL
と、各遅延要素出力に係数c 0,c1,c2,・・・を乗
算する乗算部MLと、各乗算部出力を加算する加算部A
Dより成るデジタルフィルタでモデル化される。図10
は二次音伝搬系23の伝達関数マトリックス(C)の各要
素Cijを用いて作成したフィルタードX信号作成用フィ
ルタ21bの構成図である。適応信号処理部21cは参
照信号xa1n〜xaKnと、各観測点における騒音とキャン
セル音との合成信号(エラー信号)e1n〜eLnとに基づ
いて適応信号処理を実行して適応フィルタの係数を更新
し、適応フィルタ21aは参照信号xa1n〜xaKnを入力
されて騒音キャンセル信号ya1n〜yaMnを発生してスピ
ーカに入力し、各観測点の騒音をキャンセルする。
【0014】ところで、適応フィルタ21aから出力さ
れる騒音キャンセル信号ya1n〜ya Mnは観測点にそのま
ま到達するのでなく、二次音伝搬系23の周波数・位相
特性の影響を受けて到達する。このため、適応信号処理
部21cは、参照信号xa1n〜xaKnをそのまま使用せ
ず、参照信号に二次音伝搬系23の特性を付加した信号
を用いるフィルタードX LMS(MEFX LMS)ア
ルゴリズムを採用し、より高度な騒音キャンセル制御を
行っている。すなわち、フィルタードX LMSアルゴ
リズムでは、参照信号xa1n〜xaKnをフィルタ21bに
よりフィルタリングした信号(フィルタードX信号)と
各観測点におけるエラー信号とを用いて適応フィルタ2
1aの係数更新を行う。
【0015】図10において、Cijは二次音伝搬系23
における伝達関数マトリックス(C)の各要素Cij(図
9参照)を実現するFIR型デジタルフィルタである。
フィルタ21bは各参照信号xa1n〜xaKnに全ての伝搬
要素の特性を畳み込んで(全ての伝搬要素に対応するフ
ィルタを通過させて)フィルタードX信号r111n〜r
LMKnを出力するようになっている。すなわち、参照信号
a1nに第1番目のスピーカから全観測点までの伝搬要
素C11〜CL1を作用させてフィルタードX信号r 111n
L11nを出力し、参照信号xa1nに第2番目のスピーカ
から全観測点までの伝搬要素C12〜CL2を作用させてフ
ィルタードX信号r121n〜rL21nを出力し、・・・参照
信号xa1nに第M番目のスピーカから全観測点までの伝
搬要素C1M〜CLMを作用させてフィルタードX信号r
1M1n〜rLM1nを出力し、以下同様に、参照信号xa2n
aKnに全ての伝搬要素を作用させる。尚、 R11=(r111n,r211n,・・・rL11n) R21=(r121n,r221n,・・・rL21n) ・・・ RM1=(r1M1n,r2M1n,・・・rLM1n) ・・・ RMK=(r1MKn,r2MKn,・・・rLMKn) と表現する。
【0016】図11は多入力−多出力の適応フィルタ2
1aの構成図であり、一次音仮想伝搬系22や二次音伝
搬系23と同様の構造を有している。A11n〜AMKnはF
IR型デジタルフィルタで構成され、例えば、入力信号
を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL1、D
l2・・と、各遅延要素出力に係数a0,a1,a2・・
を乗算する乗算部ML1,ML2,ML3・・と、各乗
算部出力を加算する加算部AD1,AD2・・で実現さ
れる。尚、遅延段数は2段に限らない。各参照信号x
a1n〜xaKnをデジタルフィルタA11n〜A1Knに入力して
加算することにより第1番目のスピーカに入力する騒音
キャンセル信号ya1nが得られ、各参照信号xa1n〜x
aKnをデジタルフィルタA21n〜A2Knに入力して加算す
ることにより第2番目のスピーカに入力する騒音キャン
セル信号ya2nが得られ、・・・・各参照信号xa1n〜x
aKnをデジタルフィルタAM1n〜AMKnに入力して加算す
ることにより第M番目のスピーカに入力する騒音キャン
セル信号yaMnが得られる。
【0017】適応フィルタ21aにおける各FIR型デ
ジタルフィルタA11n〜AMKnを3個の係数(2段遅延)
で構成する時、適応信号処理部21cは各FIR型デジ
タルフィルタA11n〜AMKnの3つの係数毎に適応信号処
理を行って係数値を決定する。すなわち、1つのFIR
型デジタルフィルタAijの係数a0,a1,a2について
以下に示す係数更新式の演算を行って係数a0,a1,a
2を決定する。
【0018】
【数3】
【0019】(1)式において、(n)は現サンプリング時刻
の値、(n-1)は1サンプリング時刻前の値、(n-2)は2サ
ンプリング時刻前の値、(n+1)は現時刻から次サンプリ
ング時刻までの値を意味している。従って、Rij(n-2)は
2サンプリング時刻前の参照信号に応じたフィルタ21
bの出力を意味し、Rij(n-1)は1サンプリング時刻前の
参照信号に応じたフィルタ出力であり、Rij(n)は現時刻
の参照信号に応じたフィルタ出力である。又、μは適応
フィルタの係数を更新するステップを決める1以下の定
数(ステップサイズパラメータ)であり、騒音キャンセ
ルシステムに応じて適当な値に設定される。尚、ステッ
プサイズパラメータμの値は大きい程適応フィルタの係
数が最適値に近ずく速度が早くなり追従性が良くなる
が、近ずいてからオーバシュートが発生して安定性が低
下する。又、ステップサイズパラメータμの値は小さい
程最適係数値に近ずく速度が遅くなり追従性が悪くなる
が、最適値に近ずいてからのオーバシュートが小さく安
定性が良好となる。enはL個の各観測点における騒音
とキャンセル音の合成音信号であり、Rij,enはそれ
ぞれ以下のように表現される。 Rij=(r1ijn,r2ijn,・・・rLijn) Rij(n) =(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn
(n) Rij(n-1)=(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn
(n-1) Rij(n-2)=(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn
(n-2)
【0020】
【数4】
【0021】かかる騒音キャンセル装置によれば、適応
信号処理部21cはフィルタ21bの出力であるフィル
タードX信号r111n〜rLMKnと、各観測点における騒音
とキャンセル音との合成音信号(エラー信号)e1n〜e
Lnとに基づいて適応信号処理を実行して適応フィルタ2
1aを構成する各FIR型デジタルフィルタA11n〜A
MKnの係数を決定し、適応フィルタ21aは参照信号x
a1n〜xaKnを入力されて騒音キャンセル信号ya1n〜y
aMnを発生してスピーカSP1〜SPM(図9)に入力
し、各スピーカはキャンセル音を発生して各観測点の騒
音をキャンセルするように作用する。
【0022】図12は騒音源数K=1、スピーカ数M=
2、観測点数(マイク数)L=2の場合の具体的な騒音
キャンセル装置の構成図であり、例えば、自動車の前の
2つの座席(運転席と助手席)におけるエンジン音をキ
ャンセルするために用いられるものである。21aは2
つのFIR型デジタルフィルタA11n,A21nで構成され
た適応フィルタ、21bは二次音伝搬系の伝達関数マト
リックス(C)の各伝搬要素C11,C21,C12,C22
デジタルフィルタで構成したフィルタードX信号作成用
フィルタ、21c-1〜21c-2は適応信号処理部(MEFX
LMSアルゴリズム)、SP 1,SP2は各座席の下方に
設けたスピーカ、MC1,MC2は各観測点(搭乗者の耳
元近傍)に設置されたマイクである。各適応信号処理
部、適応フィルタ、フィルタードX信号作成用フィルタ
の演算は1つのDSP(デジタル・シグナル・プロセッ
サ)により実行される。
【0023】図13は騒音源数K=1、スピーカ数M=
4、観測点数(マイク数)L=4の場合の具体的な従来
の騒音キャンセル装置の構成図であり、自動車の前後左
右4座席におけるエンジン音をキャンセルするものであ
る。21aは4つのFIR型デジタルフィルタA11n
21n,A12n,A22nで構成された適応フィルタ、21
bは二次音伝搬系の伝達関数マトリックス(C)の各伝
搬要素C11〜C41,C12〜C42,C13〜C43,C14〜C
44をデジタルフィルタで構成したフィルタードX信号作
成用フィルタ、21c-1〜21c-4は適応信号処理部(MEF
X LMSアルゴリズム)、SP1,SP2,SP3,S
4はスピーカ、MC1,MC2,MC3,MC4は観測点
に設置されたマイクである。各適応信号処理部、適応フ
ィルタ、フィルタードX信号作成用フィルタの演算は1
つのDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)により
実行される。各スピーカSP1,SP2,SP3,SP4
図14に示すようにそれぞれ運転席25-1、助手席25-2、
後部左右座席25-3,25-4の下方に搭乗者に向けて配設さ
れ、各マイクMC1,MC2,MC3,MC4は各座席搭乗
者の耳元近傍(例えばヘッドレスト等)に設けられてい
る。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】自動車の前後左右4座
席におけるエンジン音をキャンセルする場合、従来の騒
音キャンセルシステム(図12,図13)では、前後の
各スピーカSP1,SP2,SP3,SP4からそれぞれの
マイクMC1,MC2,MC3,MC4迄総計16通りのキ
ャンセル音伝搬路がある。このため、フィルタードX
信号作成用フィルタ21bはこれら全てのキャンセル音
伝搬路の伝搬要素C11〜C41,C12〜C42,C13
43,C14〜C44を参照信号xa1nに畳み込んで信号処
理用の参照信号(フィルタードX信号)r111〜r441
生成しなければならず、また、信号処理部21cは、
適応フィルタ21aを構成する4つのFIR型デジタル
フィルタ(A11n,A21n,A12n,A22n)の係数を(1)
式に基づいて計算しなければならず、しかも、(1)式に
おけるRij(=(r1ijn,r2ijn,・・・rLijn))の
要素数が増大し、更には適応フィルタ21aはそれぞ
れのFIR型デジタルフィルタにより参照信号xa1n
フィルタリング処理を施さなければならず、騒音キャン
セルコントローラ(DSP)の計算量が非常に多くな
り、高速の適応信号処理ができず、騒音に対する追従性
が低下して十分な消音性能を発揮できない問題があっ
た。
【0025】このため、適応フィルタにおける各FIR
型デジタルフィルタの係数(a0,a1,a2・・・)の
数や、フィルタードX信号作成用フィルタにおける各F
IR型デジタルフィルタの係数(h0,h1,h2・・
・)の数を少なくして演算数を減らしてDSPの負担を
軽減することが考えられる。しかし、適応フィルタにお
けるFIR型デジタルフィルタの係数の数が少なくなる
と、種々の特性の適応フィルタが生成できなくなり、消
音性能に影響を与え騒音を効果的にキャンセルできない
問題が生じる。同様に、フィルタードX信号作成用フィ
ルタにおける各FIR型デジタルフィルタの係数の数が
少なくなると、キャンセル音伝搬系の各伝搬要素の近似
精度が低下し、消音性能に影響を与え騒音を効果的にキ
ャンセルできない問題が生じる。以上から、本発明の目
的は、自動車の前後左右4座席におけるエンジン音をキ
ャンセルする適応信号処理において、考慮すべきキャン
セル音伝搬路数を少なくでき、これにより、騒音キャン
セルコントローラ(DSP)の演算量を減少できる騒音
キャンセル方式を提供することである。本発明の別の目
的は消音性能を低下することなく騒音キャンセルコント
ローラ(DSP)の演算量を減少できる騒音キャンセル
方式を提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明によ
れば、車両の前後左右座席におけるエンジン音をキャン
セルするために各座席の近傍に設けられてキャンセル音
を出力する4つのスピーカと、各騒音キャンセル点にお
ける騒音とキャンセル音の合成音を検出する4つのセン
サ(マイク)と、フロント側座席におけるエンジン音を
キャンセルするための適応信号処理とリア側座席におけ
るエンジン音をキャンセルするための適応信号処理を独
立に行う騒音キャンセルコントローラとにより達成され
る。
【0027】
【作用】フロント側座席近傍に設けたスピーカからリア
側座席の騒音キャンセル点までのキャンセル音伝搬路に
おける伝達関数のゲイン並びにリア側座席近傍に設けた
スピーカからフロント側座席の騒音キャンセル点までの
キャンセル音伝搬路における伝達関数のゲインが共に、
フロント側座席近傍に設けたスピーカからフロント側座
席の騒音キャンセル点までのキャンセル音伝搬路におけ
る伝達関数のゲイン並びにリア側座席近傍に設けたスピ
ーカからリア側座席の騒音キャンセル点までのキャンセ
ル音伝搬路における伝達関数のゲインより小さくなるよ
うに各スピーカとセンサを配設し、フロント側座席に対
応する2組のスピーカとマイクを用いて、該フロント側
座席におけるエンジン音をキャンセルするように適応信
号処理を行い、リア側座席に対応する2組のスピーカと
マイクを用いて、リア側座席におけるエンジン音をキャ
ンセルするように適応信号処理を行い、フロント、リア
側の各適応信号処理を独立に行う。このようにすれば、
フロント側座席のスピーカからリア側座席のマイクまで
のキャンセル音伝搬路やリア側座席のスピーカからフロ
ント側座席のマイクまでのキャンセル音伝搬路を考慮す
る必要がなくなるため、フロント側座席の適応信号処理
においては、フロント側座席の各スピーカからフロント
側座席の各マイク迄の4通りのキャンセル音伝搬路のみ
を考慮するだけで良く、同様にリア側座席の適応信号処
理においては、リア側座席の各スピーカからリア側座席
の各マイク迄の4通りのキャンセル音伝搬路のみを考慮
するだけで良く、騒音キャンセルコントローラ(DS
P)の演算量を大幅に減少できる。この結果、適応信号
処理を高速で行うことができ、騒音に対する追従性を向
上でき、しかも、FIR型デジタルフィルタの係数の数
を少なくする必要がないため、消音性能を向上できる。
【0028】又、フロント側の2座席の適応信号処理に
用いるステップサイズパラメータとリア側の2座席の適
応信号処理に用いるステップサイズパラメータをそれぞ
れの系に応じた最適値とすることにより消音効果を更に
向上できる。更に、各スピーカを各座席上の天井に配設
し、マイクをヘッドレスト等の各座席における搭乗者耳
元近傍に設けることにより、確実に、フロント側座席の
スピーカからリア側座席のマイクまでのゲイン並びにリ
ア側座席のスピーカからフロント側座席のマイクまでの
ゲインを共に、フロント側座席のスピーカからフロント
側座席のマイクまでのゲイン並びにリア側座席のスピー
カからリア側座席のマイクまでのゲインより小さくさせ
ることができ、フロント側とリア側の相互干渉をなくす
ことができる。
【0029】
【実施例】図1は本発明の実施例構成図であり、自動車
内の前後左右の4座席におけるエンジン音をキャンセル
する場合の実施例である。全体の構成 図中、31は騒音源であるエンジン、32はエンジン回
転数Rを検出する回転数センサ、33はエンジン回転数
Rに応じた2次高調波の正弦波信号を参照信号xa1n
して出力する参照信号発生部である。。34は車室内の
フロント側の2座席(運転席、助手席)におけるエンジ
ン音をキャンセルするための適応信号処理を行うDSP
構成のフロント側騒音キャンセルコントローラ、35は
車室内のリア側の2座席におけるエンジン音をキャンセ
ルするための適応信号処理を行うDSP構成のリア側騒
音キャンセルコントローラである。各騒音キャンセルコ
ントローラ34,35は図12に示す構成を有してい
る。尚、フロント側とリア側で別個に騒音キャンセルコ
ントローラを設けたが、1つのDSP構成の騒音キャン
セルコントローラを設け、フロント側座席とリア側座席
の適応信号処理を独立に行うように構成することもでき
る。
【0030】SP1は運転席の近傍に設けられたスピー
カであり、騒音キャンセルコントローラ34から出力さ
れる騒音キャンセル信号ya1nを入力されてキャンセル
音を出力し、運転席におけるエンジン音をキャンセルす
るもの、MC1は運転席の搭乗者近傍(観測点)に設け
られ、該観測点におけるキャンセル音と騒音の合成音信
号をエラー信号e1nとして出力するエラーマイク、SP
2は助手席の近傍に設けられたスピーカであり、騒音キ
ャンセルコントローラ34から出力される騒音キャンセ
ル信号ya2nを入力されてキャンセル音を出力し、助手
席におけるエンジン音をキャンセルするもの、MC2
助手席の搭乗者近傍(観測点)に設けられ、該観測点に
おけるキャンセル音と騒音の合成音信号をエラー信号e
2nとして出力するエラーマイクである。SP3はリア右
側座席の近傍に設けられたスピーカであり、騒音キャン
セルコントローラ35から出力される騒音キャンセル信
号ya1n′を入力されてキャンセル音を出力し、該座席
におけるエンジン音をキャンセルするもの、MC3はリ
ア右側座席の搭乗者近傍(観測点)に設けられ、該観測
点におけるキャンセル音と騒音の合成音信号をエラー信
号e1n′として出力するエラーマイク、SP4はリア左
側座席の近傍に設けられたスピーカであり、騒音キャン
セルコントローラ35から出力される騒音キャンセル信
号ya2n′を入力されてキャンセル音を出力し、該座席
におけるエンジン音をキャンセルするもの、MC4はリ
ア左側座席の搭乗者近傍(観測点)に設けられ、該観測
点におけるキャンセル音と騒音の合成音信号をエラー信
号e2n′として出力するエラーマイクである。尚、d1n
〜d4nは各観測点における騒音である。
【0031】各スピーカとマイクの配設位置 フロント側のスピーカSP1,SP2はそれぞれ図2に示
すように運転席、助手席25-1,25-2の真上の天井部に搭
乗者に向けて配設され、マイクMC1,MC2は運転席、
助手席25-1,25-2のヘッドレスト25-1a,25-2aに取付
けられている。又、リア側のスピーカSP3,SP4は左
右のリア座席25-3,25-4の真上の天井部に搭乗者に向け
て配設され、マイクMC1,MC2は左右のリア座席25-
3,25-4のヘッドレスト25-3a,25-4aに取付けられて
いる。このようにスピーカとマイクを配設すると、各座
席対応のスピーカとマイク間の距離を短くすることがで
きる。4つのスピーカSP1,SP2,SP3,SP4と4
つのマイクMC1,MC2,MC3,MC4を備えたシステ
ムにおいては、図3に実線矢印、点線矢印で示すように
各スピーカから各マイク迄のキャンセル音伝搬路は16
個存在する。しかし、図2に示すように各座席対応のス
ピーカとマイクを近接して配設すると、フロント側キャ
ンセル音伝搬路(図3の左側実線矢印参照)における伝
達関数C11,C 21,C12,C22のゲイン並びにリア側キ
ャンセル音伝搬路(図3の右側実線矢印参照)における
伝達関数C33,C43,C34,C44のゲインを共に、フロ
ント(リア)からリア(フロント)へのキャンセル音伝
搬路(図3の点線矢印参照)における伝達関数C31,C
41,C32,C42(C13,C23,C14,C24)のゲインよ
り大きくでき、点線矢印で示すキャンセル音伝搬路を無
視することができる。
【0032】かかる場合には、キャンセル音伝搬路は総
計8個になり、しかもフロント側とリア側の騒音キャン
セル制御を全く独立に行うことができる。すなわち、フ
ロント側2座席(運転席、助手席)に対応する2組のス
ピーカSP1,SP2とマイクMC1,MC2を用いて、該
フロント側2座席におけるエンジン音をキャンセルする
ように適応信号処理を行い、リア側2座席に対応する2
組のスピーカSP3,SP4とマイクMC3,MC4を用い
て、リア側2座席におけるエンジン音をキャンセルする
ように適応信号処理を行い、前後の各適応信号処理を独
立に行うことができる。
【0033】騒音キャンセルコントローラ 各騒音キャンセルコントローラ34,35は図12に示
す構成を備えている。フロント側騒音キャンセルコント
ローラ34はフロント側2座席(運転席、助手席)に対
応する2組のスピーカSP1,SP2とマイクMC1,M
2を用いて、該フロント側2座席におけるエンジン音
をキャンセルするように適応信号処理を行い、リア側騒
音キャンセルコントローラ35はリア側2座席に対応す
る2組のスピーカSP3,SP4とマイクMC3,MC4
用いて、リア側2座席におけるエンジン音をキャンセル
するように適応信号処理を行う。すなわち、フロント側
騒音キャンセルコントローラ34は、参照信号発生部3
3から発生する参照信号xa1nを入力されると共に、車
室内のフロント側2座席の観測点におけるエラ−信号e
1n,e2nを入力され、これらエラー信号e1n,e 2nと参
照信号xa1nとステップサイズパラメータμ(=μ0)と
を用いて(1)式により適応フィルタの係数を更新し、各
観測点のエラ−信号e1n,e2nが最小となるように騒音
キャンセル信号ya1n〜ya2nを出力する。
【0034】又、リア側騒音キャンセルコントローラ3
4は、参照信号発生部33から発生する参照信号xa1n
を入力されると共に、車室内のリア側2座席の観測点に
おけるエラ−信号e1n′,e2n′を入力され、これらエ
ラー信号e1n′,e2n′と参照信号xa1nとステップサ
イズパラメータμ(=μ0′)とを用いて(1)式により適
応フィルタの係数を更新し、各観測点のエラ−信号
1n′,e2n′が最小となるように騒音キャンセル信号
a1n′〜ya2n′ を出力する。尚、フロント側とリア
側では、スピーカ特性や一次音伝搬系、二次音伝搬系の
伝搬特性が互いに異なる。このため、それぞれのシステ
ムに最適のステップサイズパラメータμ0、μ0′が予め
定められて各騒音キャンセルコントローラ34、35に
設定されている。
【0035】全体の動作 エンジン31が回転すると、その回転数Rは回転数セン
サ32により検出され参照信号発生部33に入力され
る。参照信号発生部33はエンジン回転数に応じた参照
信号xa1nを発生してフロント側及びリア側の騒音キャ
ンセルコントローラ34,35に入力する。この時、エ
ンジン31から発生した周期性を有するエンジン音(周
期性ノイズ)は、所定の伝達関数を有する騒音伝搬系
(一次音伝搬系)を有する空中を伝播して各騒音キャンセ
ル点に至る。一方、フロント側2座席の搭乗者近傍に設
けたマイクMC1,MC2はそれぞれの位置におけるエン
ジン音とキャンセル音の合成音を検出し、合成音信号
(エラー信号)e1n,e2nをフロント側の騒音キャンセ
ルコントローラ34の適応信号処理部に入力する。又、
リア側2座席の搭乗者近傍に設けたマイクMC3,MC4
はそれぞれの位置におけるエンジン音とキャンセル音の
合成音を検出し、合成音信号(エラー信号)e1n′,e
2n′をリア側の騒音キャンセルコントローラ35の適応
信号処理部に入力する。
【0036】以上と並行して騒音キャンセルコントロー
ラ34のフィルタードX信号作成用フィルタは参照信号
a1nを入力され、該入力された参照信号にそれぞれフ
ロント側キャンセル音伝搬系の4個の伝搬特性C11,C
21,C12,C22を畳み込んで適応信号処理用の参照信号
11,R21を生成して適応信号処理部に入力する。又、
騒音キャンセルコントローラ35のフィルタードX信号
作成用フィルタは参照信号xa1nを入力され、該入力さ
れた参照信号にそれぞれリア側キャンセル音伝搬系の4
個の伝搬特性C33,C43,C34,C44を畳み込んで適応
信号処理用の参照信号R11,R21を生成して適応信号処
理部に入力する。
【0037】フロント側騒音キャンセルコントローラ3
4の適応信号処理部はエラー信号e 1n,e2nと適応信号
処理用の参照信号R11,R21とステップサイズパラメー
タμ 0とを用いて(1)式に従って適応信号処理を行い、適
応フィルタを構成する2つのFIR型デジタルフィルタ
11n,A21n(図12参照)の係数を決定する。適応フ
ィルタの各FIR型デジタルフィルタA11n,A21nは適
応信号処理部により決定された係数に従って参照信号x
a1nにデジタルフィルタ処理を施して2つの騒音キャン
セル信号ya1n〜ya2nを出力する。又、リア側騒音キャ
ンセルコントローラ35の適応信号処理部はエラー信号
1n′,e2n′と適応信号処理用の参照信号R11,R21
とステップサイズパラメータμ0′とを用いて(1)式に従
って適応信号処理を行い、適応フィルタを構成する2つ
のFIR型デジタルフィルタA11 n,A21nの係数を決定
する。適応フィルタの各FIR型デジタルフィルタA
11n,A21nは適応信号処理部により決定された係数に従
って参照信号xa1nにデジタルフィルタ処理を施して2
つの騒音キャンセル信号ya1n′〜ya2n′を出力する。
【0038】フロント側騒音キャンセルコントローラ3
4より出力された騒音キャンセル信号yb1n〜yb2nは図
示しないDAコンバータ、パワーアンプを介してフロン
ト側座席のスピーカSP1,SP2に入力する。これによ
り、スピーカSP1,SP2から騒音キャンセル音が出力
され、キャンセル音伝搬路を介してフロント側の騒音キ
ャンセル点に到り、騒音をキャンセルするように作用す
る。又、リア側騒音キャンセルコントローラ35より出
力された騒音キャンセル信号yb1n′〜yb2n′は図示し
ないDAコンバータ、パワーアンプを介してリア側座席
のスピーカSP 3,SP4に入力する。これにより、スピ
ーカSP3,SP4から騒音キャンセル音が出力され、キ
ャンセル音伝搬路を介してリア側の騒音キャンセル点に
到り、騒音をキャンセルするように作用する。以後、上
記動作が繰り返されて前後左右4座席におけるエンジン
音は速やかにキャンセルされる。以上、本発明を実施例
により説明したが、本発明は請求の範囲に記載した本発
明の主旨に従い種々の変形が可能であり、本発明はこれ
らを排除するものではない。
【0039】
【発明の効果】以上、本発明によれば、フロント側座席
のスピーカからリア側座席のマイクまでのキャンセル音
伝搬路やリア側座席のスピーカからフロント側座席のマ
イクまでのキャンセル音伝搬路を考慮する必要がなくな
るため、フロント側座席の適応信号処理においてフロン
ト側座席の各スピーカからフロント側座席の各マイク迄
の4通りのキャンセル音伝搬路のみを考慮するだけで良
く、同様にリア側座席の適応信号処理においては、リア
側座席の各スピーカからリア側座席の各マイク迄の4通
りのキャンセル音伝搬路のみを考慮するだけで良く、し
かも、適応フィルタを構成するFIR型デジタルフィル
タ数が2個となるため、騒音キャンセルコントローラ
(DSP)の演算量を大幅に減少できる。この結果、適
応信号処理を高速で行うことができ、騒音に対する追従
性を向上でき、しかも、FIR型デジタルフィルタの係
数の数を少なくする必要がないため、消音性能を向上で
きる。又、本発明によればフロント側座席の適応信号処
理に用いるステップサイズパラメータとリア側座席の適
応信号処理に用いるステップサイズパラメータをそれぞ
れの系に応じた最適値になるようにしたから、消音効果
を一層向上することができる。更に、本発明によれば、
各スピーカを各座席上の天井に配設し、マイクをヘッド
レスト等の各座席における搭乗者耳元近傍に設けるよう
に構成したから、確実に、フロント側座席のスピーカか
らリア側座席のマイクまでのゲイン並びにリア側座席の
スピーカからフロント側座席のマイクまでのゲインを、
フロント側座席のスピーカからフロント側座席のマイク
までのゲイン並びにリア側座席のスピーカからリア側座
席のマイクまでのゲインより小さくさせることができ、
フロント側とリア側の相互の干渉を少なくできる。他の
スピーカ、マイクの配設を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例構成図である。
【図2】本発明のスピーカ、マイク配設位置説明図であ
る。
【図3】4つのスピーカ、4つのマイクが存在するシス
テムにおけるキャンセル音伝搬路の説明図である。
【図4】従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図5】騒音キャンセル動作説明用波形図である。
【図6】騒音源、スピーカ、観測点が複数存在する場合
の従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図7】一次音仮想伝搬系の説明図である。
【図8】伝達関数マトリックスの各要素を実現するデジ
タルフィルタの構成図である。
【図9】二次音伝搬系の説明図である。
【図10】フィルタードX信号作成用フィルタの構成図
である。
【図11】適応フィルタの構成図である。
【図12】騒音源が1個、スピーカ、マイクが2個存在
する場合の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図13】騒音源が1個、、スピーカ、マイクが4個存
在する場合の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図14】車室内の騒音キャンセルシステムの説明図で
ある。
【符号の説明】
33・・参照信号発生部 34・・フロント側騒音キャンセルコントローラ 35・・リア側騒音キャンセルコントローラ SP1,SP2・・フロント側のスピーカ SP3,SP4・・リア側のスピーカ MC1,MC2・・フロント側のマイク MC3,MC4・・リア側のマイク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮内 邦夫 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の前後左右座席における4つの騒音
    キャンセル点におけるエンジン音をキャンセルするため
    に各座席の近傍に設けられてキャンセル音を出力する4
    つのスピーカ、各騒音キャンセル点における騒音とキャ
    ンセル音の合成音を検出する4つのセンサ、エンジン音
    に応じた参照信号を発生する参照信号発生部、各騒音キ
    ャンセル点における合成音信号と前記参照信号と信号処
    理用の係数であるステップサイズパラメ−タを用いて各
    騒音キャンセル点におけるエンジン音をキャンセルする
    ように適応信号処理を行って騒音キャンセル信号を発生
    し、該騒音キャンセル信号を各スピーカに入力する騒音
    キャンセルコントローラを備えた騒音キャンセル方式に
    おいて、 フロント側座席近傍に設けたスピーカからリア側座席の
    騒音キャンセル点までのキャンセル音伝搬路における伝
    達関数のゲイン並びにリア側座席近傍に設けたスピーカ
    からフロント側座席の騒音キャンセル点までのキャンセ
    ル音伝搬路における伝達関数のゲインが共に、フロント
    側座席近傍に設けたスピーカからフロント側座席の騒音
    キャンセル点までのキャンセル音伝搬路における伝達関
    数のゲイン並びにリア側座席近傍に設けたスピーカから
    リア側座席の騒音キャンセル点までのキャンセル音伝搬
    路における伝達関数のゲインより小さくなるように各ス
    ピーカとセンサを配設し、 フロント側座席に対応する2組のスピーカとマイクを用
    いて、該フロント側座席におけるエンジン音をキャンセ
    ルするように適応信号処理を行うと共に、リア側座席に
    対応する2組のスピーカとマイクを用いて、リア側座席
    におけるエンジン音をキャンセルするように適応信号処
    理を行い、これらフロント、リア側の各適応信号処理を
    互いに独立に行うことを特徴とする騒音キャンセル方
    式。
  2. 【請求項2】 フロント側座席の適応信号処理に用いる
    ステップサイズパラメータとリア側座席の適応信号処理
    に用いるステップサイズパラメータをそれぞれの系に応
    じた値とすることを特徴とする請求項1記載の騒音キャ
    ンセル方式。
  3. 【請求項3】 各スピーカを各座席上の天井に配設し、
    センサを各座席の搭乗者耳元近傍に設けることを特徴と
    する請求項1記載の騒音キャンセル方式。
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