JP3532583B2 - 騒音キャンセル方式 - Google Patents

騒音キャンセル方式

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JP3532583B2
JP3532583B2 JP19427692A JP19427692A JP3532583B2 JP 3532583 B2 JP3532583 B2 JP 3532583B2 JP 19427692 A JP19427692 A JP 19427692A JP 19427692 A JP19427692 A JP 19427692A JP 3532583 B2 JP3532583 B2 JP 3532583B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は騒音キャンセル方式に係
わり、特に自動車内の所定位置(観測点)におけるエン
ジン音をキャンセルして快適な自動車の車室内環境を提
供できる騒音キャンセル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】騒音対策としては、従来より吸音材を用
いる方法(パッシブ制御)が知られている。しかし、吸
音材を用いる方法では、騒音が小さい静音エリアを形成
するのが面倒であると共に、低音を効果的に消せない問
題がある。特に、自動車の車室内の騒音を防止するに
は、自動車の重量が増大すると共に、騒音を効果的に消
せない問題がある。このため、騒音と逆位相の騒音キャ
ンセル音をスピ−カから放射して騒音を低減する方法
(アクティブ制御)が脚光を浴び、工場やオフィスなど
の室内空間の一部に実用化されつつある。又、自動車の
車室内においてもアクティブ制御により騒音を低減する
方式が提案されている。
【0003】図3は従来の騒音キャンセルを実現する装
置の構成図であり、11は騒音源であるエンジン、12
はエンジン回転数Rを検出する回転数センサ、13はエ
ンジン回転数Rに応じた周波数を有する一定振幅の正弦
波信号を参照信号xa1nとして発生する参照信号発生部
である。騒音源がエンジンの場合、エンジン回転により
発生するノイズは周期性を有し(周期性ノイズ)、その
周波数はエンジン回転数に依存する。例えば、4気筒エ
ンジンの場合、回転数が600rpm(10rps)の
時、車室内に発生する2次高周波周期性ノイズの周波数
は20Hz、回転数が6000rpm(100rps)
の時、車室内に発生する周期性ノイズの周波数は200
Hzであり、エンジン回転数の2次高調波が支配的であ
る。従って、参照信号発生部13は、正弦波データをR
OMに記憶しておき、そのデータを必要に応じて読み出
して出力することにより参照信号xa1nを生成する。
尚、このデータの読み出し/出力タイミングはエンジン
回転数Rに応じてコントロールされ、エンジン回転数R
に応じて発生する周期性ノイズの周波数を有する参照信
号が出力されるようになっている。
【0004】14は騒音キャンセルコントローラであ
り、参照信号発生部13から発生する参照信号xa1n
入力されると共に、車室内の騒音キャンセル位置(観測
点であり例えば運転者の耳元近傍)における騒音Sn1
キャンセル音Sc1の合成音信号をエラ−信号e1nとして
入力され、該エラ−信号が最小となるように適応信号処
理を行って騒音キャンセル信号ya1nを出力する。騒音
キャンセルコントローラ14は、適応信号処理部14a
と、デジタルフィルタ構成の適応フィルタ14bと、ス
ピーカから騒音キャンセル点までのキャンセル音伝搬系
(二次音伝搬系)の伝達関数に基づいて作成され、参照
信号xa1nが入力されるフィルタ14cを有している。
15は適応フィルタ出力(騒音キャンセル信号ya1n
をアナログの騒音キャンセル信号に変換するDAコンバ
ータ、16は騒音キャンセル信号を増幅するパワ−アン
プ、17は騒音キャンセル音Sc1を放射するキャンセル
スピ−カ、18は騒音キャンセル点に配置され、騒音S
n1とキャンセル音Sc1の合成音を検出し、合成音信号を
エラ−信号e1nとして出力するエラ−マイク,19はエ
ラー信号e1nをデジタルに変換するADコンバータであ
る。
【0005】適応信号処理部14aは騒音キャンセル点
におけるエラー信号e1nとフィルタ14cを介して入力
される信号処理用の参照信号r111nを入力され、これら
信号を用いて騒音キャンセル点における騒音をキャンセ
ルするように適応信号処理を行って適応フィルタ14b
の係数を決定する。例えば適応信号処理部14aは周知
のLMS(Least Mean Square)適応アルゴリズムに従っ
て、エラ−マイク18から入力されたエラ−信号e1n
最小となるように適応フィルタ14bの係数を決定す
る。適応フィルタ14bは適応信号処理部14aにより
決定された係数に従って参照信号xa1nにデジタルフィ
ルタ処理を施してDAコンバータ15より騒音キャンセ
ル信号ya1nを出力する。尚、参照信号xa1nは、消去し
たい騒音Sn1と相関の高い信号でなくてはならず、参照
信号と相関のない音は消去されない。エンジン11が回
転すると、その回転数Rは回転数センサ12により検出
され、参照信号発生部13はエンジン回転数Rに応じた
周波数の参照信号xa1n(図4(a)参照)を発生し、騒音
キャンセルコントローラ14に入力する。この時、エン
ジン11から発生した周期性を有するエンジン音(周期
性ノイズ)は、所定の伝達関数を有する騒音伝搬系(一
次音伝搬系)を有する空中を伝播して騒音キャンセル点
に至る。従って、該騒音キャンセル点における騒音(エ
ンジン音)Sn1はレベルが若干弱まり、かつ若干遅延し
て図4(b)に示すようになる。
【0006】最初、騒音キャンセルコントローラ14は
例えば参照信号xa1nと位相が逆の騒音キャンセル信号
a1nを出力し、キャンセルスピ−カ16より図4(c)に
示すキャンセル音Sc1を出力する。しかし、騒音Sn1
レベルと位相がずれているため、キャンセル音Sc1によ
り騒音はキャンセルされず、エラ−信号e1nが発生す
る。騒音キャンセルコントローラ14は該エラ−信号e
1nが最小となるように適応信号処理を行って適応フィル
タ14bの係数を決定し、理想的な場合、最終的に図4
(d)に示すようにキャンセル音Sc1の位相を騒音Sn1
位相と逆相にし、かつレベルを一致させ騒音をキャンセ
ルする。
【0007】以上は説明を簡単にするために、騒音源を
1個、キャンセル音発生源(スピーカ)を1個、騒音キ
ャンセル点(観測点)を1箇所とした例である。しか
し、実際には騒音源は複数存在し、又、騒音をキャンセ
ルしたい地点(観測点)も複数存在し、このため1つの
スピーカでは各観測点の騒音をキャンセルできず、スピ
ーカも複数存在する。図5は騒音源がK個、スピーカが
M個、観測点がL箇所の場合における従来の騒音キャン
セル装置の構成図である。21は各観測点における騒音
をキャンセルするように動作するDSP(デジタル・シ
グナル・プロセッサ)構成の騒音キャンセルコントロー
ラ、22は各騒音源(図示せず)から各観測点まで騒音
が伝搬する系を表現した一次音仮想伝搬系(騒音伝搬
系)、23はスピーカの特性を含め、各スピーカから各
観測点までのキャンセル音が伝搬する系を表現する二次
音伝搬系(キャンセル音伝搬系)、24は各観測点にお
けるマイクの機能を表現する信号合成部で、加算部24
1〜241′は第1観測点におけるマイクに相当し、加算
部242〜242′は第2観測点におけるマイクに相当
し、・・・加算部24L〜24L′は第L観測点における
マイクに相当する。dd1n〜ddLnは各観測点におけるキ
ャンセル対象でない外部雑音である。尚、DAコンバ−
タ、ADコンバータ等は省略している。
【0008】騒音キャンセルコントローラ21はDSP
で構成され、機能的に多入力−多出力適応フィルタ(以
後単に適応フィルタと言う)21aと、フィルタードX
信号作成用フィルタ21bと、適応信号処理部21cと
に分けられる。適応フィルタ21aは参照信号発生部
(図示せず)から入力された参照信号xa1n〜xaKnに所
定のフィルタリング処理を施して騒音キャンセル信号y
a1n〜yaMnを発生し、該騒音キャンセル信号を各スピー
カに入力する。フィルタードX信号作成用フィルタ21
bは参照信号xa1n〜xaKnに二次音伝搬系23の伝達関
数マトリックスの各要素(伝搬要素)を畳み込んで信号
処理用の参照信号(フィルタードX信号)r111n〜r
LMKnを出力する。適応信号処理部21cは各観測点にお
けるエラー信号e1n〜eLnとフィルタ21bから出力さ
れるフィルタードX信号r111n〜rLM Knを入力され、こ
れら信号を用いて各観測点における騒音をキャンセルす
るように適応信号処理を行って適応フィルタ21aの係
数を決定する。
【0009】図6は一次音仮想伝搬系22の説明図であ
り、図6(a)に示すようにK個の各騒音源NG1〜NGK
から発生する騒音は所定の周波数・位相特性を有する一
次音伝搬系22を伝搬して各観測点に設けたマイク(M
IC1〜MICL)に到達する。従って、第i番目の騒音
源NGiからの騒音が第j番目のマイクMICjに到る伝
搬系の伝達特性をHjiとすると、一次音仮想伝搬系22
は図6(b)に示すように表現され、その伝達関数マトリ
ックス(H)は以下のようになる。
【0010】
【数1】
【0011】伝達関数マトリックス(H)の各要素Hij
図7に示すFIR型デジタルフィルタによりモデル化さ
れる。すなわち、入力信号を順次1サンプリング時間遅
延する遅延要素DLと、各遅延要素出力に係数h0
1,h2,・・・を乗算する乗算部MLと、乗算部出力
を加算する加算部ADより成るデジタルフィルタでモデ
ル化される。図8は二次音伝搬系23の説明図であり、
図8(a)に示すように各スピーカSP1〜SPMから発生
する騒音キャンセル音は所定の周波数・位相特性を有す
る二次音伝搬系23を伝搬して各観測点に設けたマイク
MIC1〜MICLに到達する。従って、第i番目の騒音
キャンセル信号yainに基づくキャンセル音が第j番目
のマイクMICjに到る二次音伝搬系の伝達特性をCji
とすると、二次音伝搬系23は図8(b)に示すようにモ
デル化され、その伝達関数マトリックス(C)は以下のよ
うになる。
【0012】
【数2】
【0013】伝達関数マトリックス(C)の各要素は一次
音仮想伝搬系22の場合と同様に、図7に示すFIR型
デジタルフィルタによりモデル化される。すなわち、入
力信号を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL
と、各遅延要素出力に係数c 0,c1,c2,・・・を乗
算する乗算部MLと、各乗算部出力を加算する加算部A
Dより成るデジタルフィルタでモデル化される。図9は
二次音伝搬系23の伝達関数マトリックス(C)の各要素
ijを用いて作成したフィルタードX信号作成用のフィ
ルタ21bの構成図である。適応信号処理部21cは参
照信号xa1n〜xaKnと、各観測点における騒音とキャン
セル音との合成信号(エラー信号)e1n〜eLnとに基づ
いて適応信号処理を実行して適応フィルタの係数を更新
し、適応フィルタ21aは参照信号xa1n〜xaKnを入力
されて騒音キャンセル信号ya1n〜yaMnを発生してスピ
ーカに入力し、各観測点の騒音をキャンセルする。
【0014】ところで、適応フィルタ21aから出力さ
れる騒音キャンセル信号ya1n〜ya Mnは観測点にそのま
ま到達するのでなく、二次音伝搬系23の周波数・位相
特性の影響を受けて到達する。このため、適応信号処理
部21cは、参照信号xa1n〜xaKnをそのまま使用せ
ず、参照信号に二次音伝搬系23の特性を付加した信号
を用いるフィルタードX LMS(MEFX LMS)ア
ルゴリズムを採用し、より高度な騒音キャンセル制御を
行っている。すなわち、フィルタードX LMSアルゴ
リズムでは、参照信号xa1n〜xaKnをフィルタ21bに
よりフィルタリングした信号(フィルタードX信号)と
各観測点におけるエラー信号とを用いて適応フィルタ2
1aの係数更新を行う。
【0015】図9において、Cijは二次音伝搬系23に
おける伝達関数マトリックス(C)の各要素Cij(図8
参照)を実現するFIR型デジタルフィルタである。フ
ィルタ21bは各参照信号xa1n〜xaKnに全ての伝搬要
素の特性を畳み込んで(全ての伝搬要素に対応するフィ
ルタを通過させて)フィルタードX信号r111n〜rLM Kn
を出力するようになっている。すなわち、参照信号x
a1nに第1番目のスピーカから全観測点までの伝搬要素
11〜CL1を作用させてフィルタードX信号r11 1n〜r
L11nを出力し、参照信号xa1nに第2番目のスピーカか
ら全観測点までの伝搬要素C12〜CL2を作用させてフィ
ルタードX信号r121n〜rL21nを出力し、・・・参照信
号xa1nに第M番目のスピーカから全観測点までの伝搬
要素C1M〜CLMを作用させてフィルタードX信号r1M1n
〜rLM1nを出力し、以下同様に、参照信号xa2n〜xaKn
に全ての伝搬要素を作用させる。尚、 R11=(r111n,r211n,・・・rL11n) R21=(r121n,r221n,・・・rL21n) ・・・ RM1=(r1M1n,r2M1n,・・・rLM1n) ・・・ RMK=(r1MKn,r2MKn,・・・rLMKn) と表現する。
【0016】図10は多入力−多出力の適応フィルタ2
1aの構成図であり、一次音仮想伝搬系22や二次音伝
搬系23と同様の構造を有している。A11n〜AMKnはF
IR型デジタルフィルタで構成され、例えば、入力信号
を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL1、D
l2・・と、各遅延要素出力に係数a0,a1,a2・・
を乗算する乗算部ML1,ML2,ML3・・と、各乗
算部出力を加算する加算部AD1,AD2・・で実現さ
れる。尚、遅延段数は2段に限らない。各参照信号x
a1n〜xaKnをデジタルフィルタA11n〜A1Knに入力して
加算することにより第1番目のスピーカに入力する騒音
キャンセル信号ya1nが得られ、各参照信号xa1n〜x
aKnをデジタルフィルタA21n〜A2Knに入力して加算す
ることにより第2番目のスピーカに入力する騒音キャン
セル信号ya2nが得られ、・・・・各参照信号xa1n〜x
aKnをデジタルフィルタAM1n〜AMKnに入力して加算す
ることにより第M番目のスピーカに入力する騒音キャン
セル信号yaMnが得られる。
【0017】適応フィルタ21aにおける各FIR型デ
ジタルフィルタA11n〜AMKnを3個の係数(2段遅延)
で構成する時、適応信号処理部21cは各FIR型デジ
タルフィルタA11n〜AMKnの3つの係数毎に適応信号処
理を行って係数値を決定する。すなわち、1つのFIR
型デジタルフィルタAijの係数a0,a1,a2について
以下に示す係数更新式の演算を行って係数a0,a1,a
2を決定する。
【0018】
【数3】
【0019】(1)式において、(n)は現サンプリング時刻
の値、(n-1)は1サンプリング時刻前の値、(n-2)は2サ
ンプリング時刻前の値、(n+1)は現時刻から次サンプリ
ング時刻までの値を意味している。従って、Rij(n-2)は
2サンプリング時刻前の参照信号に応じたフィルタ21
bの出力を意味し、Rij(n-1)は1サンプリング時刻前の
参照信号に応じたフィルタ出力であり、Rij(n)は現時刻
の参照信号に応じたフィルタ出力である。又、μは適応
フィルタの係数を更新するステップを決める1以下の定
数(ステップサイズパラメータ)であり、騒音キャンセ
ルシステムに応じて適当な値に設定される。尚、ステッ
プサイズパラメータμの値は大きい程適応フィルタの係
数が最適値に近ずく速度が早くなり追従性が良くなる
が、近ずいてからオーバシュートが発生して安定性が低
下する。又、ステップサイズパラメータμの値は小さい
程最適係数値に近ずく速度が遅くなり追従性が悪くなる
が、最適値に近ずいてからのオーバシュートが小さく安
定性が良好となる。enはL個の各観測点における騒音
とキャンセル音の合成音信号であり、Rij,enはそれ
ぞれ以下のように表現される。 Rij=(r1ijn,r2ijn,・・・rLijn) Rij(n) =(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn(n) Rij(n-1)=(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn(n-1) Rij(n-2)=(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn(n-2)
【0020】
【数4】
【0021】かかる騒音キャンセル装置によれば、適応
信号処理部21cはフィルタ21bの出力であるフィル
タードX信号r111n〜rLMKnと、各観測点における騒音
とキャンセル音との合成音信号(エラー信号)e1n〜e
Lnとに基づいて適応信号処理を実行して適応フィルタ2
1aを構成する各FIR型デジタルフィルタA11n〜A
MKnの係数を決定し、適応フィルタ21aは参照信号x
a1n〜xaKnを入力されて騒音キャンセル信号ya1n〜y
aMnを発生してスピーカSP1〜SPM(図8)に入力
し、各スピーカはキャンセル音を発生して各観測点の騒
音をキャンセルするように作用する。
【0022】図11は騒音源数K=1、スピーカ数M=
2、観測点数(マイク数)L=2の場合の具体的な従来
の騒音キャンセル装置の構成図であり、21aは2つの
FIR型デジタルフィルタA11,A21で構成された適応
フィルタ、21bは二次音伝搬系の伝達関数マトリック
ス(C)の各伝搬要素C11,C21,C12,C22をデジタ
ルフィルタで構成したフィルタードX信号作成用フィル
タ、21c-1〜21c-2は適応信号処理部(MEFX LMS
アルゴリズム)、SP1,SP2はスピーカ、MC1,M
2は観測点に設置されたマイクである。各適応信号処
理部、適応フィルタ、フィルタードX信号作成用フィル
タの演算は1つのDSP(デジタル・シグナル・プロセ
ッサ)により実行される。尚、騒音源数が1個、スピー
カ数が2個、マイク数が2個のシステムを1−2−2系
システムという。図12は騒音源数K=1、スピーカ数
M=4、観測点数(マイク数)L=4の場合の具体的な
従来の騒音キャンセル装置の構成図である。21aは4
つのFIR型デジタルフィルタA11,A21,A12,A22
で構成された適応フィルタ、21bは二次音伝搬系の伝
達関数マトリックス(C)の各伝搬要素C11〜C41,C
12〜C42,C13〜C43,C14〜C44をデジタルフィルタ
で構成したフィルタードX信号作成用フィルタ、21c-1
〜21c-4は適応信号処理部(MEFX LMSアルゴリ
ズム)、SP1,SP2,SP3,SP4はスピーカ、MC
1,MC2,MC3,MC4は観測点に設置されたマイクで
ある。各適応信号処理部、適応フィルタ、フィルタード
X信号作成用フィルタの演算は1つのDSP(デジタル
・シグナル・プロセッサ)により実行される。尚、騒音
源数が1個、スピーカ数が4個、マイク数が4個のシス
テムを1−4−4系システムという。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】騒音キャンセルシステ
ムにおいて、騒音源数をK、スピーカ数をM、マイク数
をLとすると、二次音伝搬系における伝搬経路はM・L
個存在し、又、適応フィルタを構成するFIR型デジタ
ルフィルタの数はK・M個必要になる。このため、K,
M,Lが多くなる程演算数が多くなり、DSPの負担が
大きくなる。このため、K,M,Lが多くなる程、適応
フィルタにおける各FIR型デジタルフィルタの係数
(a0,a1,a2・・・)の数や、フィルタードX信号
作成用フィルタにおける各FIR型デジタルフィルタの
係数(h0,h1,h2・・・)の数を少なくして演算数
を減らしてDSPの負担を軽減する。しかし、適応フィ
ルタの各FIR型デジタルフィルタにおける係数の数が
少なくなると、種々の特性の適応フィルタが生成でき
ず、このため消音性能に影響を与え騒音を効果的にキャ
ンセルできない問題が生じる。又、フィルタードX信号
作成用フィルタの各FIR型デジタルフィルタにおける
係数の数を多くできないため、精度良く二次音伝搬系を
再現できず、同様に消音性能に影響を与え、騒音を効果
的にキャンセルできない。
【0024】さて、車室内においてエンジンから発生す
るエンジン音をキャンセルする場合、通常、運転席、助
手席及びリアの左右座席の搭乗者近傍にそれぞれスピー
カSP1、SP2,SP3,SP4とマイクMC1,MC2
MC3,MC4をそれぞれ設けて図12に示す1−4−4
系の騒音キャンセルシステムを構成する。かかる1−4
−4系システムにおいては二次音伝搬系における伝搬経
路は16(=4×4)個存在し、また、適応フィルタ2
1a(図12参照)を構成するFIR型デジタルフィル
タの数は4個存在する。従って、これら伝搬系路数やF
IR型デジタルフィルタ数及びDSPの処理能力を考慮
して、1−4−4系システムにおける適応フィルタ21
aの係数の数や、フィルタードX信号作成用フィルタ2
1bの係数の数を決定し、適応信号処理により4つの観
測点におけるエンジン音をキャンセルする。しかし、従
来は、各座席の搭乗状態に関係無く、常に1−4−4系
システムにより騒音キャンセルを行うものであり、1−
4−4系システム以上の騒音キャンセル効果が得られな
い問題があった。
【0025】以上から、本発明の目的は、スピーカ数と
マイク数が異なる複数の騒音キャンセルシステムを構成
できるようにしておき、指示された騒音キャンセルシス
テムのスピーカ数とマイク数のトータル数が少ない程、
適応フィルタやフィルタードX信号作成用フィルタの係
数を多くして消音性能を向上する騒音キャンセル方式を
提供することである。本発明の別の目的は、搭乗者状態
を検出して自動的に、あるいはスイッチにより騒音キャ
ンセル効果が大きくなる騒音キャンセルシステムを選択
して騒音をキャンセルする騒音キャンセル方式を提供す
ることである。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記課題は本発明によれ
ば、スピーカ数とマイク数のトータル数が異なる各種騒
音キャンセルシステムに対応させて、適応信号処理のた
めのソフトウェアと、ステップサイズパラメータと、信
号処理用参照信号を生成するフィルタを構成する各デジ
タルフィルタの係数とを各種騒音キャンセルシステムに
対応させて記憶する記憶手段、所定の騒音キャンセルシ
ステムを指定する手段、前記指定された騒音キャンセル
システムに応じたソフトウェア、ステップサイズパラメ
ータ、フィルタ係数を選択して前記騒音キャンセルコン
トローラに入力する選択手段、指定された騒音キャンセ
ルシステムに応じたソフトウェア、ステップサイズパラ
メータ、フィルタ係数を用いて、適応信号処理をおこな
う騒音キャンセルコントローラとにより達成される。
【0027】
【作用】スピーカ数とマイク数のトータル数が異なる各
種騒音キャンセルシステムに対応させて、適応信号処理
のためのソフトウェアと、ステップサイズパラメータ
と、信号処理用参照信号を生成するフィルタを構成する
各デジタルフィルタの係数とを各種騒音キャンセルシス
テムに対応させて予め記憶しておき、所定の騒音キャン
セルシステムを指定し、前記指定された騒音キャンセル
システムに応じたソフトウェア、ステップサイズパラメ
ータ、フィルタ係数を選択して前記騒音キャンセルコン
トローラに入力し、騒音キャンセルコントローラは該指
定された騒音キャンセルシステムに応じたソフトウェ
ア、ステップサイズパラメータ、フィルタ係数を用い
て、適応信号処理を行う。このようにすれば、自動車の
搭乗者に応じて最適の騒音キャンセル効果が得られるよ
うに騒音キャンセルシステムを構成しておき、実際の搭
乗者に応じた最適の騒音キャンセルシステムで騒音をキ
ャンセルすることができる。又、スイッチからの切換信
号によりあるいは着座検出信号に基づいて最適のの騒音
キャンセルシステムを選択することにより、簡単に、あ
るいは自動的に最適の騒音キャンセル効果が得られるよ
うにすることができる。
【0028】
【実施例】図1は本発明の実施例構成図であり、騒音源
をエンジン1個とし、スピーカが4個、マイクが4個そ
れぞれ設けられている。全体の構成 図中、31は騒音源であるエンジン、32はエンジン回
転数Rを検出する回転数センサ、33はエンジン回転数
Rに応じた周波数を有する一定振幅の正弦波信号を参照
信号xa1nとして発生する参照信号発生部である。
【0029】34はDSP構成の騒音キャンセルコント
ローラであり、参照信号発生部33から発生する参照信
号xa1nを入力されると共に、車室内の各騒音キャンセ
ル位置(観測点であり前後左右座席の搭乗者近傍)にお
ける騒音Sn1〜Sn4とキャンセル音Sc1〜Sc4の合成音
信号をエラ−信号en(e1n,e2n,e3n,e4n)とし
て入力され、エラー信号enと参照信号xa1nとステップ
サイズパラメータμとを用いて各観測点のエラ−信号e
1n,e2n,e3n,e4nが最小となるように適応信号処理
を行って騒音キャンセル信号ya1n〜ya4nを出力する。
【0030】35は適応フィルタから出力される4つの
騒音キャンセル信号ya1n〜ya4nをそれぞれアナログの
騒音キャンセル信号に変換するDAコンバータ、36は
各アナログの騒音キャンセル信号を増幅するパワ−アン
プ、37は4つの騒音キャンセル信号を入力され騒音キ
ャンセル音Sc1〜Sc4を放射する4つのキャンセルスピ
−カ(図12のSP1〜SP4に相当する)、38は騒音
キャンセル点に配置され、騒音Sn1〜Sn4とキャンセル
音Sc1〜Sc4の合成音を検出し、合成音信号をエラ−信
号e1n,e2n,e3n,e4nとして出力する4つのエラ−
マイク(図12のMC1〜MC4に相当する)、39はエ
ラー信号e1n,e2n,e3n,e4nをデジタルに変換する
ADコンバータ、40はスピーカから騒音キャンセル点
までキャンセル音が伝搬するキャンセル音伝搬系(二次
音伝搬系)である。
【0031】41はスピーカ数とマイク数のトータル数
が異なる各種騒音キャンセルシステムに対応させて、
(1)適応信号処理のためのソフトウェアと、(2)ステップ
サイズパラメータと、(3)信号処理用参照信号を生成す
るソフトウェアと、(4)信号処理用参照信号を生成する
フィルタの各FIR型デジタルフィルタの係数をそれぞ
れ記憶する記憶部である。42はどの騒音キャンセルシ
ステムにより騒音キャンセル制御を実行させるかを指示
する騒音キャンセルシステム指示部、43は指示された
騒音キャンセルシステムに応じた各種ソフトウェア、ス
テップサイズパラメータ及びフィルタ係数をDSP構成
の騒音キャンセルコントローラ34に入力するソフトウ
ェア・パラメータ選択部である。
【0032】騒音キャンセルコントローラ 騒音キャンセルコントローラ34はDSPで構成されて
おり、機能的には適応信号処理部34aと、デジタルフ
ィルタ構成の適応フィルタ34bと、適応信号処理に用
いる参照信号(フィルタードX信号)作成用のフィルタ
(フィルタードX信号作成用フィルタ)34cを備えて
いる。適応信号処理部34aは騒音キャンセル点におけ
るエラー信号e1n,e2n,e 3n,e4nとフィルタードX
信号作成用フィルタ14cを介して入力される信号処理
用の参照信号R11,R21,R31,R41を入力され、これ
ら信号を用いて(1)式に従って騒音キャンセル点におけ
る騒音をキャンセルするように適応信号処理を行い、適
応フィルタ34bの係数を決定する。すなわち、適応信
号処理部34aは周知のLMS(Least Mean Square)適
応アルゴリズムに従って、エラ−マイク38から入力さ
れたエラ−信号e1n,e2n,e3n,e4nが最小となるよ
うに適応フィルタ34bの係数を決定する。適応フィル
タ34bは適応信号処理部34aにより決定された係数
に従って参照信号xa1nにデジタルフィルタ処理を施し
て騒音キャンセル信号ya1n〜ya4nを出力する。
【0033】尚、騒音キャンセルコントローラ34は、
騒音キャンセルシステム指示部42により指定された騒
音キャンセルシステムに応じたソフトウェア及びステッ
プサイズパラメータ、フィルタ係数等を用いて適応信号
処理を行って騒音をキャンセルするようになっている。
図1の実施例では、指定可能な騒音キャンセルシステム
として、スピーカSP1〜SP4及びマイクMC1〜M
4をそれぞれ車室内の前後左右座席に設け、全観測点
(全座席)の騒音をキャンセルする1−4−4系システ
ム(図12参照)、車室内における2つの座席(運転
席、助手席)のスピーカSP1〜SP2及びマイクMC1
〜MC2を用いて(他の2つは使用しない)、運転席、
助手席の騒音をキャンセルする1−2−2系システム
(図11参照)があり、騒音キャンセルコントローラ3
4は指定されたシステムに応じた適応信号処理を行って
騒音をキャンセルするようになっている。
【0034】記憶部 記憶部41には、1−2−2系システム及び1−4−4
系システムのそれぞれにおいて最適の適応信号処理を行
って、車室内の騒音をキャンセルできるように、各シス
テムに対応させて信号処理用ソフトウェア及び参照信号
生成用のソフトウェア,、ステップサイズパラメー
タ、フィルタの係数等が格納されている。信号処理
用ソフトウェアは、騒音キャンセルシステムのスピー
カ数とマイク数のトータル数が少ない程、適応フィルタ
34bを構成する各FIR型デジタルフィルタの係数の
数が多い適応信号処理を行って消音性能を向上するよう
にプログラムされている。同様に、騒音キャンセルシス
テムのスピーカ数とマイク数のトータル数が少ない程、
フィルタードX信号生成用フィルタ34cを構成する各
FIR型デジタルフィルタの係数が多く設定され、消音
性能を向上するようになっている。又、各システムに応
じた最適のステップサイズパラメータが設定されてい
る。従って、1−2−2系システム(スピーカ数2、マ
イク数2)は、1−4−4系システム(スピーカ数4、
マイク数4)に比べて、適応フィルタ34bやフィルタ
ードX信号作成用フィルタ34cの係数が多くなってお
り、フロント側座席における消音性能が向上し、騒音を
1−4−4系システムより効果的にキャンセルする。
【0035】騒音キャンセルシステム指示部 騒音キャンセルシステム指示部42は、例えば、座席シ
ートの下に配置された着座センサ(シートベルトでも良
い)からの信号を入力され、後の座席に一人でも着座し
ている場合には1−4−4系システムを指示し、後の座
席にだれも着座していない場合には1−2−2系システ
ムを指示するようになっている。尚、騒音キャンセルシ
ステムの指示は着座センサによらず、スイッチを設けて
手動で指示するように構成することもできる。ソフトウ
ェア・パラメータ選択部43は騒音キャンセルシステム
指示部42から指示されたシステムに応じた信号処理用
及び参照信号生成用のソフトウェア、ステップサイズパ
ラメータ、フィルタの係数を記憶部41より選択して騒
音キャンセルシステム34に入力する。
【0036】全体の動作 後の座席に着座している場合 後の座席に着座している場合には、騒音キャンセルシス
テム指示部42より、1−4−4系の騒音キャンセルシ
ステムが指示される。ソフトウェア・パラメータ選択部
43は1−4−4系システムが指示されると、該システ
ムに応じた信号処理用及び参照信号生成用のソフトウェ
ア、ステップサイズパラメータ、フィルタの係数を記憶
部41より選択して騒音キャンセルコントローラ34に
入力する。以上により、図12の1−4−4系システム
が構成される。かかる状態において、エンジン31が回
転すると、その回転数Rは回転数センサ32により検出
され、参照信号発生部33はエンジン回転数Rに応じた
周波数の参照信号xa1nを発生し、騒音キャンセルコン
トローラ34に入力する。この時、エンジン11から発
生した周期性を有するエンジン音(周期性ノイズ)は、
所定の伝達関数を有する騒音伝搬系(一次音伝搬系)を有
する空中を伝播して各騒音キャンセル点に至る。各騒音
キャンセル点における騒音とキャンセル音の合成音をエ
ラーマイク38は検出し、合成音信号(エラー信号)e
1n,e2n,e3n,e4nをADコンバータ39を介して適
応信号処理部34aに入力する。以上と並行してフィル
タードX信号作成用フィルタ34cは参照信号xa1n
入力され、該信号にキャンセル音伝搬系40の16個の
伝搬特性C11〜C41,C12〜C42,C13〜C43,C14
44を畳み込んで適応信号処理用の参照信号R11
21,R31,R41を生成して適応信号処理部14aに入
力する。
【0037】適応信号処理部34aはエラー信号e1n
2n,e3n,e4nとフィルタ34cより出力される適応
信号処理用の参照信号R11,R21,R31,R41とステッ
プサイズパラメータμ4とを用いて(1)式に従って適応信
号処理を行い、適応フィルタ34bを構成する4つのF
IR型デジタルフィルタA11,A21,A12,A22の係数
(a0,a1,a2)を決定する。尚、1−4−4系シス
テムでは適応フィルタ34bを構成する各FIR型デジ
タルフィルタの係数の数を3個としているが、3個に限
らない。適応フィル34bの各FIR型デジタルフィル
タA11,A21,A12,A22は適応信号処理部34aによ
り決定された係数に従って参照信号xa1nにデジタルフ
ィルタ処理を施して4つの騒音キャンセル信号ya1n
a4nを出力し、DAコンバータ35は該騒音キャンセ
ル信号ya1n〜ya4nをアナログの騒音キャンセル信号に
変換しパワーアンプ36を介して4つのスピーカ37
(SP1〜SP4)に入力する。これにより、スピーカ3
7から騒音キャンセル音Sc1〜Sc4が出力され、二次音
伝搬系40を介して騒音キャンセル点に到り、騒音をキ
ャンセルするように作用する。以後、上記動作が繰り返
されて騒音は速やかにキャンセルされる。
【0038】 後の座席に着座していない場合 後の座席にだれも着座していない場合には、騒音キャン
セルシステム指示部42より、1−2−2系システムが
指示される。ソフトウェア・パラメータ選択部43は1
−2−2系システムが指示されると、該システムに応じ
た信号処理用及び参照信号生成用のソフトウェア、ステ
ップサイズパラメータ、フィルタの係数を記憶部41よ
り選択して騒音キャンセルシステム34に入力する。以
上により、図11の1−2−2系システムが構成され
る。かかる状態において、エンジン31が回転すると、
その回転数Rは回転数センサ32により検出され、参照
信号発生部33はエンジン回転数Rに応じた周波数の参
照信号xa1nを発生し、騒音キャンセルコントローラ3
4に入力する。エンジン11から発生した周期性を有す
るエンジン音は、所定の伝達関数を有する騒音伝搬系を
有する空中を伝播して各騒音キャンセル点に至る。
【0039】各騒音キャンセル点における騒音とキャン
セル音の合成音をエラーマイク38は検出し、合成音信
号(エラー信号)e1n,e2n,e3n,e4nをADコンバ
ータ39を介して適応信号処理部34aに入力する。以
上と並行してフィルタードX信号作成用フィルタ34c
は参照信号xa1nを入力され、該信号にキャンセル音伝
搬系40の4個の伝搬特性C11〜C21,C12〜C22を畳
み込んで適応信号処理用の参照信号R11,R21を生成し
て適応信号処理部34aに入力する。適応信号処理部3
4aはフロント側の2つのマイクから出力されたエラー
信号e1n,e2nとフィルタ34cより出力される適応信
号処理用参照信号R11,R21とステップサイズパラメー
タμ4とを用いて次式に従って適応信号処理を行い、適
応フィルタ34bを構成する2つのFIR型デジタルフ
ィルタA11,A21の係数(a0,a1,・・・、a5)を
決定する。
【0040】
【数5】
【0041】尚、1−2−2系システムでは、適応フィ
ルタの係数の数を6個としているが、6個に限らない。
適応フィル34bの各FIR型デジタルフィルタA11
21は適応信号処理部34aにより決定された係数に従
って参照信号xa1nにデジタルフィルタ処理を施して2
つの騒音キャンセル信号ya1n〜ya2nを出力し、DAコ
ンバータ35は該騒音キャンセル信号ya1n〜ya2nをア
ナログの騒音キャンセル信号に変換しパワーアンプ36
を介して2つのフロント側のスピーカ37(SP1〜S
2)に入力する。これにより、スピーカ37(SP1
SP2)から騒音キャンセル音Sc1〜Sc2が出力され、
二次音伝搬系40を介して騒音キャンセル点に到り、騒
音をキャンセルするように作用する。以後、上記動作が
繰り返されて騒音は速やかにキャンセルされる。
【0042】尚、以上では適宜、1−2−2系システム
と1−4−4系システムを指示し、騒音キャンセルコン
トローラのソフトウェア、パラメータ、係数等を指示さ
れたシステムのものに変更して騒音キャンセルを行う場
合であるが本発明はかかる場合に限るものではない。す
なわち、騒音源数がK、スピーカ数がM、マイク数がL
個の騒音キャンセルシステムをK−M−L系システムと
称することにすると、図2に示すように、1−1−1系
システム101、1−2−2系システム102、1−2
−4系システム103、デュアル1−2−2系システム
104、1−4−4系システム105等に対応させて、
適応信号処理用ソフトウェア、ステップサイズパラ
メータ、信号処理用参照信号を生成するソフトウェ
ア、信号処理用参照信号を生成するフィルタの係数を
それぞれ記憶部41に記憶しておき、所定のシステムを
指示して該システムに応じた騒音キャンセル制御を行う
ようにも構成できる。
【0043】デュアル1−2−2系システムとは、1−
4−4系システムを独立した2つの1−2−2系システ
ムに分けて騒音キャンセルするシステムである。すなわ
ち、車室内におけるエンジン音をキャンセルする1−4
−4系システムにおいては、スピーカの向き、スピーカ
からマイクまでの距離を考慮すると、フロント側のスピ
ーカSP1、SP2がリア側のマイクMC3,MC4に及ぼ
す影響は小さく、又、リア側のスピーカSP3、SP4
フロント側のマイクMC1,MC2に及ぼす影響は小さ
い。このため、フロント側とリア側を独立した系として
考えて2つの1−2−2系システムを構成し、それぞれ
の1−2−2系システムで騒音キャンセルを行う。かか
るシステムがデュアル1−2−2系システムである。
【0044】
【発明の効果】以上、本発明によれば、スピーカ数とマ
イク数のトータル数が異なる各種騒音キャンセルシステ
ムに対応させて、適応信号処理のためのソフトウェア
と、ステップサイズパラメータと、信号処理用参照信号
を生成するフィルタを構成する各デジタルフィルタの係
数とを各種騒音キャンセルシステムに対応させて予め記
憶しておき、所定の騒音キャンセルシステムを指定し、
前記指定された騒音キャンセルシステムに応じたソフト
ウェア、ステップサイズパラメータ、フィルタ係数を選
択して前記騒音キャンセルコントローラに入力し、騒音
キャンセルコントローラは該指定された騒音キャンセル
システムに応じたソフトウェア、ステップサイズパラメ
ータ、フィルタ係数を用いて、適応信号処理を行うよう
に構成したから、自動車の搭乗者に応じて最適の騒音キ
ャンセル効果が得られるように騒音キャンセルシステム
を構成しておき、実際の搭乗者に応じた最適の騒音キャ
ンセルシステムで騒音をキャンセルすることができる。
又、本発明によれば、信号処理用参照信号を生成するフ
ィルタの係数の数をスピーカ数とマイク数のトータル数
が少ない程多くなるようにしたから、ますます自動車の
搭乗者に応じて最適の騒音キャンセル効果を得るように
することができる。更に、本発明によれば、スイッチか
らの切換信号によりあるいは着座検出信号に基づいて所
定の騒音キャンセルシステムを選択するように構成した
から、簡単に、あるいは自動的に最適の騒音キャンセル
システムを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例構成図である。
【図2】本発明の各種ソフトウェア及びパラメータ等の
記憶例説明図表である。
【図3】従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図4】騒音キャンセル動作説明用波形図である。
【図5】騒音源、スピーカ、観測点が複数存在する場合
の従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図6】一次音仮想伝搬系の説明図である。
【図7】伝達関数マトリックスの各要素を実現するデジ
タルフィルタの構成図である。
【図8】二次音伝搬系の説明図である。
【図9】フィルタードX信号作成用フィルタの構成図で
ある。
【図10】適応フィルタの構成図である。
【図11】騒音源が1個、スピーカ、マイクが2個存在
する場合の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図12】騒音源が1個、、スピーカ、マイクが4個存
在する場合の騒音キャンセル装置の構成図である。
【符号の説明】
33・・参照信号発生部 34・・騒音キャンセルコントローラ 34a・・適応信号処理部 34b・・適応フィルタ 34c・・フィルタードX信号作成用フィルタ 37・・スピーカ 38・・エラーマイク 41・・記憶部 42・・騒音キャンセルシステム指示部 43・・ソフトウェア・パラメータ選択部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮内 邦夫 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平3−284098(JP,A) 特開 平3−274897(JP,A) 特開 昭63−74399(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/178 F01N 1/00 H03H 17/04 H03H 21/00 G01P 1/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音キャンセル点における騒音をキャン
    セルするキャンセル音を出力するスピーカ、 騒音キャンセル点における騒音とキャンセル音の合成音
    を検出するマイク、 騒音源から発生する騒音に応じた参照信号を発生する参
    照信号発生部、 該参照信号に各スピーカから全マイクまでのキャンセル
    音伝搬系の特性を付与して信号処理用参照信号を生成す
    るフィルタと、参照信号発生部から出力される参照信号
    に所定のフィルタリング処理を施して騒音キャンセル信
    号を発生して各スピーカに入力する適応フィルタと、騒
    音キャンセル点における合成音信号と信号処理用参照信
    号と信号処理用の係数であるステップサイズパラメ−タ
    を用いて前記騒音キャンセル点における騒音をキャンセ
    ルするように適応フィルタの係数を決定する適応信号処
    理部とを有する騒音キャンセルコントローラ、 を備えた騒音キャンセルシステムにおける騒音キャンセ
    ル方式において、スピーカ数とマイク数のトータル数が異なる各種騒音キ
    ャンセルシステムに対応させて、適応信号処理のための
    ソフトウェアと、ステップサイズパラメータと、信号処
    理用参照信号を生成するフィルタを構成する各デジタル
    フィルタの係数とを各種騒音キャンセルシステムに対応
    させて記憶する記憶手段、 所定の騒音キャンセルシステムを指定する手段、 前記指定された騒音キャンセルシステムに応じたソフト
    ウェア、ステップサイズパラメータ、フィルタ係数を選
    択して前記騒音キャンセルコントローラに入力する選択
    手段、 を備え、前記 騒音キャンセルコントローラは指定された
    騒音キャンセルシステムに応じたソフトウェア、ステッ
    プサイズパラメータ、フィルタ係数を用いて、適応信号
    処理をおこなうことを特徴とする騒音キャンセル方式。
  2. 【請求項2】 前記信号処理用参照信号を生成するフィ
    ルタを構成する各デジタルフィルタの係数の数を、スピ
    ーカ数とマイク数のトータル数が少ない程多くなるよう
    に設定することを特徴とする請求項1記載の騒音キャン
    セル方式。
  3. 【請求項3】 前記騒音は自動車の車室内におけるエン
    ジン音であり、スイッチからの切換信号によりあるいは
    着座検出信号に基づいて所定の騒音キャンセルシステム
    指定することを特徴とする請求項1または請求項2記
    載の騒音キャンセル方式。
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