JP3502112B2 - 騒音キャンセル装置 - Google Patents

騒音キャンセル装置

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JP3502112B2
JP3502112B2 JP19427792A JP19427792A JP3502112B2 JP 3502112 B2 JP3502112 B2 JP 3502112B2 JP 19427792 A JP19427792 A JP 19427792A JP 19427792 A JP19427792 A JP 19427792A JP 3502112 B2 JP3502112 B2 JP 3502112B2
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健治 今井
哲 金森
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  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は騒音キャンセル装置に係
わり、特に自動車内の所定位置(観測点)における騒音
をキャンセルして快適な自動車の車室内環境を提供でき
る騒音キャンセル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】騒音対策としては、従来より吸音材を用
いる方法(パッシブ制御)が知られている。しかし、吸
音材を用いる方法では、騒音が小さい静音エリアを形成
するのが面倒であると共に、低音を効果的に消せない問
題がある。特に、自動車の車室内の騒音を防止するに
は、自動車の重量が増大すると共に、騒音を効果的に消
せない問題がある。このため、騒音と逆位相の騒音キャ
ンセル音をスピ−カから放射して騒音を低減する方法
(アクティブ制御)が脚光を浴び、工場やオフィスなど
の室内空間の一部に実用化されつつある。又、自動車の
車室内においてもアクティブ制御により騒音を低減する
方式が提案されている。
【0003】図7は従来の騒音キャンセルを実現する装
置の構成図であり、11は騒音源であるエンジン、12
はエンジン回転数Rを検出する回転数センサ、13はエ
ンジン回転数Rに応じた周波数を有する一定振幅の正弦
波信号を参照信号SNとして発生する参照信号発生部で
ある。騒音源がエンジンの場合、エンジン回転により発
生するノイズは周期性を有し(周期性ノイズ)、その周
波数はエンジン回転数に依存する。例えば、4気筒エン
ジンの場合、回転数が600rpmの時、車室内に発生
する2次高周波周期性ノイズの周波数は20Hz、回転
数が6000rpmの時、車室内に発生する周期性ノイ
ズの周波数は200Hzであり、エンジン回転数の2次
高調波が支配的である。従って、参照信号発生部13
は、正弦波データをROMに記憶しておき、そのデータ
を必要に応じて読み出して出力することにより、参照信
号を生成する。尚、このデータの読み出し/出力タイミ
ングは、エンジン回転数Rに応じてコントロールされ、
エンジン回転数Rに応じて発生する周期性ノイズの周波
数を有する参照信号が生成されるようになっている。
【0004】14は騒音キャンセルコントローラであ
り、参照信号発生部13から発生する参照信号SNを入
力されると共に、車室内の騒音キャンセル位置(観測点
であり例えば運転者の耳元近傍)における騒音Snとキ
ャンセル音Scの合成音信号をエラ−信号Erとして入力
され、該エラ−信号が最小となるように適応信号処理を
行って騒音キャンセル信号NcDを出力する。騒音キャン
セルコントローラ14は、適応信号処理部14aと、デ
ジタルフィルタ構成の適応フィルタ14bと、スピーカ
から騒音キャンセル点までのキャンセル音伝搬系(二次
音伝搬系)の伝達関数に基づいて作成され、参照信号S
Nが入力されるフィルタ14cを有している。15は適
応フィルタ出力(騒音キャンセル信号NcD)をアナログ
の騒音キャンセル信号NcAに変換するDAコンバータ、
16は騒音キャンセル信号NcAを増幅するパワ−アン
プ、17は騒音キャンセル音Scを放射するキャンセル
スピ−カ、18は騒音キャンセル点に配置され、騒音S
nとキャンセル音Scの合成音を検出し、合成音信号をエ
ラ−信号Erとして出力するエラ−マイク,19はエラ
ー信号Erをデジタルに変換するADコンバータであ
る。
【0005】適応信号処理部14aは騒音キャンセル点
におけるエラー信号Erとフィルタ14cを介して入力
される信号SN′を入力され、これら信号を用いて騒音
キャンセル点における騒音をキャンセルするように適応
信号処理を行って適応フィルタ14bの係数を決定す
る。例えば適応信号処理部14aは周知のLMS(Least
Mean Square)適応アルゴリズムに従って、エラ−マイク
18から入力されたエラ−信号Erが最小となるように
適応フィルタ14bの係数を決定する。適応フィルタ1
4bは適応信号処理部14aにより決定された係数に従
って参照信号S Nにデジタルフィルタ処理を施してDA
コンバータ15より騒音キャンセル信号NCAを出力す
る。尚、参照信号SNは、消去したい騒音Snと相関の高
い信号でなくてはならず、参照信号と相関のない音は消
去されない。エンジン11が回転すると、その回転数R
は回転数センサ12により検出され、参照信号発生部1
3はエンジン回転数Rに応じた周波数の参照信号S
N(図8(a)参照)を発生し、騒音キャンセルコントロー
ラ14に入力する。この時、エンジン11から発生した
周期性を有するエンジン音(周期性ノイズ)は、所定の
伝達関数を有する騒音伝搬系(一次音伝搬系)を有する空
中を伝播して騒音キャンセル点に至る。従って、該騒音
キャンセル点における騒音(エンジン音)Snはレベル
が若干弱まり、かつ若干遅延して図8(b)に示すように
なる。
【0006】最初、騒音キャンセルコントローラ14は
例えば参照信号SNと位相が逆の騒音キャンセル信号Nc
Aを出力し、キャンセルスピ−カ16より図8(c)に示す
キャンセル音Scを出力する。しかし、騒音Snのレベル
と位相がずれているため、キャンセル音Scにより騒音
はキャンセルされず、エラ−信号Erが発生する。騒音
キャンセルコントローラ14は該エラ−信号Erが最小
となるように適応信号処理を行って適応フィルタ14b
の係数を決定し、理想的な場合、最終的に図8(d)に示
すようにキャンセル音Scの位相を騒音Snの位相と逆相
にし、かつレベルを一致させ騒音をキャンセルする。
【0007】以上は説明を簡単にするために、騒音源を
1個、キャンセル音発生源(スピーカ)を1個、騒音キ
ャンセル点(観測点)を1箇所とした例である。しか
し、実際には騒音源は複数存在し、又、騒音をキャンセ
ルしたい地点(観測点)も複数存在し、このため1つの
スピーカでは各観測点の騒音をキャンセルできず、スピ
ーカも複数存在する。図9は騒音源がK個、スピーカが
M個、観測点がL箇所の場合における従来の騒音キャン
セル装置の構成図である。21は各観測点における騒音
をキャンセルするように動作する騒音キャンセルコント
ローラ、22は各騒音源(図示せず)から各観測点まで
騒音が伝搬する系を表現した一次音仮想伝搬系(騒音伝
搬系)、23はスピーカ(図示せず)の特性を含め、各
スピーカから各観測点までのキャンセル音が伝搬する系
を表現する二次音伝搬系(キャンセル音伝搬系)、24
は各観測点におけるマイクの機能を表現する信号合成部
で、加算部241〜241′は第1観測点におけるマイク
に相当し、加算部242〜242′は第2観測点における
マイクに相当し、・・・加算部24L〜24L′は第L観
測点におけるマイクに相当する。dd1n〜ddLnは各観測
点におけるキャンセル対象でない外部雑音である。尚、
DAコンバ−タ、ADコンバータ等は省略している。
【0008】騒音キャンセルコントローラ21におい
て、21aは各騒音源から発生する騒音に応じた参照信
号xa1n〜xaKn(図示しない参照信号発生部から出力さ
れる)が入力され、騒音キャンセル信号ya1n〜yaMn
各スピーカに入力する多入力−多出力適応フィルタ(以
後単に適応フィルタと言う)、21bは二次音伝搬系2
3の伝達関数マトリックスの各要素(伝搬要素)を用い
て作成したフィルタードX信号作成用のフィルタであ
り、騒音源から発生する騒音に応じた参照信号xa1 n
aKnを入力されるもの、21cは各観測点におけるエ
ラー信号e1n〜eLnとフィルタ21bから出力されるフ
ィルタードX信号r111n〜rLMKnを入力され、これら信
号を用いて各観測点における騒音をキャンセルするよう
に適応信号処理を行って適応フィルタ21aの係数を決
定する適応信号処理部である。
【0009】図10は一次音仮想伝搬系22の説明図で
あり、図10(a)に示すようにK個の各騒音源NG1〜N
Kから発生する騒音は所定の周波数・位相特性を有する
一次音伝搬系22を伝搬して各観測点に設けたマイク
(MIC1〜MICL)に到達する。従って、第i番目の
騒音源NGiからの騒音が第j番目のマイクMICjに到
る伝搬系の伝達特性をHjiとすると、一次音仮想伝搬系
22は図10(b)に示すように表現され、その伝達関数
マトリックス(H)は以下のようになる。
【0010】
【数1】
【0011】伝達関数マトリックス(H)の各要素Hij
図11に示すFIR型デジタルフィルタによりモデル化
される。すなわち、入力信号を順次1サンプリング時間
遅延する遅延要素DLと、各遅延要素出力に係数h0
1,h2,・・・を乗算する乗算部MLと、乗算部出力
を加算する加算部ADより成るデジタルフィルタでモデ
ル化される。図12は二次音伝搬系23の説明図であ
り、図12(a)に示すように各スピーカSP1〜SPM
ら発生する騒音キャンセル音は所定の周波数・位相特性
を有する二次音伝搬系23を伝搬して各観測点に設けた
マイクMIC1〜MICLに到達する。従って、第i番目
の騒音キャンセル信号yainに基づくキャンセル音が第
j番目のマイクMICjに到る二次音伝搬系の伝達特性
をCjiとすると、二次音伝搬系23は図12(b)に示す
ようにモデル化され、その伝達関数マトリックス(C)は
以下のようになる。
【0012】
【数2】
【0013】伝達関数マトリックス(C)の各要素は一次
音仮想伝搬系22の場合と同様に、図11に示すFIR
型デジタルフィルタによりモデル化される。すなわち、
入力信号を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素D
Lと、各遅延要素出力に係数c0,c1,c2,・・・を
乗算する乗算部MLと、各乗算部出力を加算する加算部
ADより成るデジタルフィルタでモデル化される。図1
3は二次音伝搬系23の伝達関数マトリックス(C)の各
要素Cijを用いて作成したフィルタードX信号作成用の
フィルタ21bの構成図である。適応信号処理部21c
は参照信号xa1n〜xaKnと、各観測点における騒音とキ
ャンセル音との合成信号(エラー信号)e1n〜eLnとに
基づいて適応信号処理を実行して適応フィルタの係数を
更新し、適応フィルタ21aは参照信号xa1n〜xaKn
入力されて騒音キャンセル信号ya1n〜yaMnを発生して
スピーカに入力し、各観測点の騒音をキャンセルする。
【0014】ところで、適応フィルタ21aから出力さ
れる騒音キャンセル信号ya1n〜ya Mnは観測点にそのま
ま到達するのでなく、二次音伝搬系23の周波数・位相
特性の影響を受けて到達する。このため、適応信号処理
部21cは、参照信号xa1n〜xaKnをそのまま使用せ
ず、参照信号に二次音伝搬系23の特性を付加した信号
を用いるフィルタードX LMS(MEFX LMS)ア
ルゴリズムを採用し、より高度な騒音キャンセル制御を
行っている。すなわち、フィルタードX LMSアルゴ
リズムでは、参照信号xa1n〜xaKnをフィルタ21bに
よりフィルタリングした信号(フィルタードX信号)と
各観測点におけるエラー信号とを用いて適応フィルタ2
1aの係数更新を行う。
【0015】図13において、Cijは二次音伝搬系23
における伝達関数マトリックス(C)の各要素Cij(図
12参照)を実現するFIR型デジタルフィルタであ
る。フィルタ21bは各参照信号xa1n〜xaKnに全ての
伝搬要素を作用させて(全ての伝搬要素に対応するフィ
ルタを通過させて)フィルタードX信号r111n〜rLMKn
を出力するようになっている。すなわち、参照信号x
a1nに第1番目のスピーカから全観測点までの伝搬要素
11〜CL1を作用させてフィルタードX信号r111n〜r
L11nを出力し、参照信号xa1nに第2番目のスピーカか
ら全観測点までの伝搬要素C12〜CL2を作用させてフィ
ルタードX信号r121n〜rL21nを出力し、・・・参照信
号xa1nに第M番目のスピーカから全観測点までの伝搬
要素C1M〜CL Mを作用させてフィルタードX信号r1M1n
〜rLM1nを出力し、以下同様に、参照信号xa2n〜xaKn
に全ての伝搬要素を作用させる。尚、 R11=(r111n,r211n,・・・rL11n) R21=(r121n,r221n,・・・rL21n) ・・・ RM1=(r1M1n,r2M1n,・・・rLM1n) ・・・ RMK=(r1MKn,r2MKn,・・・rLMKn) と表現する。
【0016】図14は多入力−多出力の適応フィルタ2
1aの構成図であり、一次音仮想伝搬系22や二次音伝
搬系23と同様の構造を有している。A11n〜AMKnはF
IR型デジタルフィルタで構成され、例えば、入力信号
を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL1、D
l2・・と、各遅延要素出力に係数a0,a1,a2・・
を乗算する乗算部ML1,ML2,ML3・・と、各乗
算部出力を加算する加算部AD1,AD2・・で実現さ
れる。尚、遅延段数は2段に限らない。各参照信号x
a1n〜xaKnをデジタルフィルタA11n〜A1Knに入力して
加算することにより第1番目のスピーカに入力する騒音
キャンセル信号ya1nが得られ、各参照信号xa1n〜x
aKnをデジタルフィルタA21n〜A2Knに入力して加算す
ることにより第2番目のスピーカに入力する騒音キャン
セル信号ya2nが得られ、・・・・各参照信号xa1n〜x
aKnをデジタルフィルタAM1n〜AMKnに入力して加算す
ることにより第M番目のスピーカに入力する騒音キャン
セル信号yaMnが得られる。
【0017】適応フィルタ21aにおける各FIR型デ
ジタルフィルタA11n〜AMKnを3個の係数(2段遅延)
で構成する時、適応信号処理部21cは各FIR型デジ
タルフィルタA11n〜AMKnの3つの係数毎に適応信号処
理を行って係数値を決定する。すなわち、1つのFIR
型デジタルフィルタAijの係数a0,a1,a2について
次式の演算を行って係数a0,a1,a2を決定する。
【0018】
【数3】
【0019】(1)式において、(n)は現サンプリング時刻
の値、(n-1)は1サンプリング時刻前の値、(n-2)は2サ
ンプリング時刻前の値、(n+1)は現時刻から次サンプリ
ング時刻までの値を意味している。従って、Rij(n-2)は
2サンプリング時刻前の参照信号に応じたフィルタ21
bの出力を意味し、Rij(n-1)は1サンプリング時刻前の
参照信号に応じたフィルタ出力であり、Rij(n)は現時刻
の参照信号に応じたフィルタ出力である。又、μは1以
下の定数(ステップサイズパラメータ)、enはL個の
各観測点における騒音とキャンセル音の合成音信号であ
る。
【0020】かかる騒音キャンセル装置によれば、適応
信号処理部21cはフィルタ21bの出力であるフィル
タードX信号r111n〜rLMKnと、各観測点における騒音
とキャンセル音との合成音信号(エラー信号)e1n〜e
Lnとに基づいて適応信号処理を実行して適応フィルタ2
1aを構成する各FIR型デジタルフィルタA11n〜A
MKnの係数を決定し、適応フィルタ21aは参照信号x
a1n〜xaKnを入力されて騒音キャンセル信号ya1n〜y
aMnを発生してスピーカSP1〜SPM(図12)に入力
し、各スピーカはキャンセル音を発生して各観測点の騒
音をキャンセルするように作用する。
【0021】図15は騒音源数K=2、スピーカ数M=
2、観測点数(マイク数)L=2の場合の具体的な従来
の騒音キャンセル装置の構成図であり、21aは4つの
FIR型デジタルフィルタA11,A21,A12,A22で構
成された適応フィルタ、21bは二次音伝搬系の伝達関
数マトリックス(C)の各伝搬要素C11,C21,C12
22をデジタルフィルタで構成したフィルタードX信号
作成用フィルタ、21c-1〜21c-4は適応信号処理部(ME
FX LMSアルゴリズム)、SP1,SP2はスピー
カ、MC1,MC2は観測点に設置されたマイクである。
図16は騒音源数K=1、スピーカ数M=2、観測点数
(マイク数)L=2の場合の具体的な従来の騒音キャン
セル装置の構成図であり、21aは2つのFIR型デジ
タルフィルタA11,A21で構成された適応フィルタ、2
1bは二次音伝搬系の伝達関数マトリックス(C)の各
伝搬要素C11,C21,C12,C22をデジタルフィルタで
構成したフィルタードX信号作成用フィルタ、21c-1〜2
1c-2は適応信号処理部(MEFX LMSアルゴリズ
ム)、SP1,SP2はスピーカ、MC1,MC2は観測点
に設置されたマイクである。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】スピーカの周波数特性
はフラットにならず周波数に応じて変化する特性になっ
ている。図17はスピーカの周波数特性図であり、低域
の或る周波数までは周波数に応じて略直線的に変化し、
それ以上の周波数では略フラットになっている。ところ
で、騒音キャンセルコントローラはスピーカの周波数特
性が全域でフラットであるとして適応信号処理を行なっ
て騒音キャンセル信号を出力する。しかし、スピーカは
実際に図17に示す周波数特性を有する。このため、ス
ピ−カは低域において騒音キャンセルコントローラが指
示するようにキャンセル音を出せず、適応フィルタが出
力した信号とは全く違った周波数成分を持つ信号(ノイ
ズ)を出力するようになる。このため、エラーマイクに
より検出されるエラー信号は、小さくならず、騒音キャ
ンセルコントローラは、これをキャンセルしようとさら
に大きな信号を出力する。以後、これらの動作が繰り返
されてスピーカから出力されるノイズが非常に大きくな
る。実際には、騒音周波数がスピーカ周波数特性の傾斜
部分におけるfL以上であれば、騒音をある程度キャン
セルできるが、fL以下になると騒音をキャンセルでき
ず騒音と異質のノイズとなってスピーカから発生し、ノ
イズを増大する。
【0023】図18は従来の騒音キャンセル効果の説明
図である。横軸はエンジン回転数rpm(騒音周波数Hz)、
縦軸は音圧レベル(dB)であり、51は騒音キャンセル
しない場合の観測点における騒音音圧レベル曲線、52
は騒音キャンセルした場合の観測点における騒音音圧レ
ベル曲線、NCは騒音がキャンセルされて減小する減音
領域、NGは騒音が増加する増音領域である。回転数r
L(騒音周波数fL)以上の減音領域NCでは斜線で示す
騒音キャンセル効果が得られている。しかし、回転数r
L(騒音周波数fL)以下の低周波領域(増音領域NG)
においては騒音はキャンセルされず、騒音キャンセル制
御により出力されるキャンセル音が新たなノイズとなっ
て、かえって騒音が増加している。
【0024】以上から、本発明の目的はスピ−カの周波
数特性の低域における劣化に起因するノイズの発生を防
止できる騒音キャンセル装置を提供することである。本
発明の別の目的は、エンジン回転数が所定回転数以下に
なった時(騒音周波数が所定周波数fL以下になった
時)、騒音キャンセル制御を停止して騒音が増大するの
を防止する騒音キャンセル装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、エンジン回転数が所定回転数
以上になって騒音キャンセル制御を再開した時に発生す
る騒音キャンセル音が違和感を与えないようにできる
(耳障りにならないようにできる)騒音キャンセル装置
を提供することである。本発明の他の目的は、エンジン
回転数が所定回転数近傍で変動する時、頻繁に騒音キャ
ンセル制御の停止、再開を行わないようにする騒音キャ
ンセル装置を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記課題は本発明によれ
ば、キャンセル音発生源(スピーカ)と、騒音キャンセ
ル点における騒音とキャンセル音との合成音を検出する
センサ(マイク)と、騒音キャンセル点における合成音
信号と騒音源であるエンジンから発生するエンジン音に
応じた参照信号とステップサイズパラメ−タとを用いて
騒音キャンセル点におけるエンジン音をキャンセルする
ように適応信号処理を行って騒音キャンセル信号を発生
し、キャンセル音発生源に入力する騒音キャンセルコン
トローラと、エンジンの回転数Rを検出するセンサと、
該エンジン回転数Rが第1の設定回転数R1より小さく
なった時、ステップサイズパラメ−タを0及び適応フィ
ルタの係数を0にし、エンジン回転数Rが第2の設定回
転数R2(R2≠R1)より大きくなった時、ステップサ
イズパラメ−タの値を元に戻すステップサイズパラメ−
タ制御手段とを備え R≧R 2 となってステップサイズパ
ラメ−タを元の値に戻す時、前記ステップサイズパラメ
−タ制御手段により該ステップサイズパラメ−タの値を
漸増することにより達成される 上記課題は本発明に
よれば、参照信号を発生する参照信号発生部の後段と、
合成音信号を騒音キャンセルコントローラにフィードバ
ックするフィードバック部とにそれぞれ設けられた減衰
度が可変の減衰手段を備え、ステップサイズパラメ−タ
を元の値に戻す時、各減衰手段により減衰度を最大値か
ら0に漸減することにより達成される
【0026】
【作用】騒音キャンセル点におけるエンジン音をキャン
セルするためにスピーカよりキャンセル音を出力し、騒
音キャンセル点における騒音とキャンセル音との合成音
をマイクにより検出する。騒音キャンセルコントローラ
は騒音キャンセル点における合成音信号Erとエンジン
回転数に応じた参照信号SNとステップサイズパラメー
タμとを用いて騒音キャンセル点における騒音をキャン
セルするように適応信号処理を行って適応フィルタの係
数を決定し、適応フィルタは該係数に応じたフィルタ処
理を参照信号SNに施して騒音キャンセル信号を発生し
スピーカに入力する。ステップサイズパラメータ制御部
はエンジンの回転数Rが、騒音キャンセルを効果的に行
なえない回転数R1より小さくなった時、ステップサイ
ズパラメ−タμを0にし、かつ 適応フィルタ係数を0に
エンジン回転数Rが回転数R2(R2≠R1)より大き
くなった時、ステップサイズパラメ−タの値を漸増しな
がら元に戻す。このようにR<R1(増音領域)におい
てμ=0及び適応フィルタの係数を0として適応信号処
理(騒音キャンセル制御)を停止するようにしたから、
スピーカ特性の低域劣化に起因する騒音の増大を防止で
きる。又、R>R2になればステップサイズパラメータ
μを元の値に戻して騒音キャンセル制御を再開するた
め、騒音を効果的にキャンセルできる。この場合、R2
≠R1としてμ=0及び適応フィルタの係数を0にする
回転数R1と、μを元の値に戻す回転数R2を異ならせて
ヒステリヒスを持たせると、エンジン回転数がR1近傍
で小刻みに変動する時、頻繁に適応信号処理の停止、再
開が行なわれず違和感のない騒音キャンセルができる。
【0027】又、R≧R2となってステップサイズパラ
メ−タを元の値に戻す時、該ステップサイズパラメ−タ
の値を漸増するようにすれば、騒音キャンセル制御を再
開した時に発生する騒音キャンセル音を漸増でき違和感
を与えないように、すなわち、耳障りにならないように
できる。更に、参照信号を発生する参照信号発生部の後
段と、合成音信号を騒音キャンセルコントローラにフィ
ードバックするフィードバック部にそれぞれ減衰度が可
変の減衰手段を設け、R≧R2となってステップサイズ
パラメ−タを元の値に戻す時、各減衰手段の減衰度を最
大値から0に漸減するようにする。このようにすれば、
騒音キャンセル制御を再開した時に発生する騒音キャン
セル音を漸増でき違和感を与えないように、すなわち、
耳障りにならないようにできる。
【0028】
【実施例】 (a) 本発明の第1の実施例全体の構成 図1は本発明の実施例である騒音キャンセル装置の第1
の実施例構成図であり、図7の従来装置と同一機能部分
には同一符号を付している。尚、図1では説明を簡単に
するために、騒音源、スピーカ、エラーマイクが1個の
場合を示しているが本発明はかかる場合に限らず、複数
の騒音源、複数のスピーカ、複数のエラーマイクが設け
られる場合にも適用できるものである。図1において、
11は騒音源であるエンジン、12はエンジン回転数R
を検出する回転数センサ、13はエンジン回転数Rに応
じた周波数を有する一定振幅の正弦波信号を参照信号S
Nとして発生する参照信号発生部である。騒音源がエン
ジンの場合、エンジン回転により発生するノイズは周期
性を有し(周期性ノイズ)、騒音周波数はエンジン回転
数に依存する。従って、参照信号発生部13は、正弦波
データをROMに記憶しておき、そのデータを必要に応
じて読み出して出力することにより、参照信号を生成す
る。尚、このデータの読み出し/出力タイミングは、エ
ンジン回転数Rに応じてコントロールされ、エンジン回
転数Rに応じて発生する周期性ノイズの周波数を有する
参照信号が生成されるようになっている。
【0029】14は騒音キャンセルコントローラであ
り、参照信号発生部13から発生する参照信号SNを入
力されると共に、車室内の騒音キャンセル位置(観測点
であり例えば運転者の耳元近傍)における騒音Snとキ
ャンセル音Scの合成音信号をエラ−信号Erとして入力
され、エラー信号Erと参照信号SNとステップサイズパ
ラメータμとを用いて該エラ−信号が最小となるように
適応信号処理を行って騒音キャンセル信号NCDを出力す
る。15は適応フィルタ出力(デジタルの騒音キャンセ
ル信号NcD)をアナログの騒音キャンセル信号NcAに変
換するDAコンバータ、16は騒音キャンセル信号NcA
を増幅するパワ−アンプ、17は騒音キャンセル音Sc
を放射するキャンセルスピ−カ、18は騒音キャンセル
点に配置され、騒音Snとキャンセル音Scの合成音を検
出し、合成音信号をエラ−信号Erとして出力するエラ
−マイク、19はエラー信号Erをデジタルに変換する
ADコンバータ、20はスピーカから騒音キャンセル点
までキャンセル音が伝搬するキャンセル音伝搬系(二次
音伝搬系)、31はエンジン回転数Rの回転数範囲を監
視する回転数範囲監視部、32は適応信号処理で用いる
ステップサイズパラメータμの値を制御するステップサ
イズパラメータ制御部である。
【0030】騒音キャンセルコントローラ 騒音キャンセルコントローラ14は、適応信号処理部1
4aと、デジタルフィルタ構成の適応フィルタ14b
と、適応信号処理に用いるフィルタードX信号作成用の
フィルタ(フィルタードX信号作成用フィルタ)14c
を備えている。適応信号処理部14aは騒音キャンセル
点におけるエラー信号ErとフィルタードX信号作成用
フィルタ14cを介して入力されるフィルタードX信号
N′を入力され、これら信号を用いて(1)式に従って騒
音キャンセル点における騒音をキャンセルするように適
応信号処理を行い、適応フィルタ14bの係数を決定す
る。すなわち、適応信号処理部14aは周知のLMS(L
east Mean Square)適応アルゴリズムに従って、エラ−
マイク18から入力されたエラ−信号Erが最小となる
ように適応フィルタ14bの係数を決定する。適応フィ
ルタ14bは適応信号処理部14aにより決定された係
数に従って参照信号SNにデジタルフィルタ処理を施し
て騒音キャンセル信号NCDを出力する。
【0031】回転数範囲監視部 回転数範囲監視部31にはエンジン回転数Rが入力され
ると共に、第1、第2の設定回転数R1,R2がそれぞれ
入力されている。回転数範囲監視部31はエンジン回転
数が低速になってR≦R1となれば信号RLを出力し、
エンジン回転数が高速になってR≧R2となれば信号R
Hを出力する。
【0032】ステップサイズパラメータ制御部 ステップサイズパラメータ制御部32は騒音キャンセル
コントローラ14の適応信号処理で用いるステップサイ
ズパラメータμの値を制御する。すなわち、エンジン回
転数RがR1以下となり回転数範囲監視部31から信号
RLが出力されると、ステップサイズパラメ−タμの値
を0及び適応フィルタの係数を0にし、エンジン回転数
RがR2以上となり回転数範囲監視部31から信号RH
が出力されると、ステップサイズパラメータμを元の値
μ0に戻す。尚、ステップサイズパラメータμを0及び
適応フィルタの係数を0にすると、適応信号処理が停止
した状態と同じになる。又、μ0は1以下であり、この
μ0の値は騒音キャンセルシステムに応じて最適となる
ように予め設定されている。
【0033】ところで、エンジン回転数が増音領域を脱
してR≧R2となった時、直ちにステップサイズパラメ
ータμを元の値μ0に戻しても良いが、R≦R1の状態で
は前述のように適応フィルタの係数は0になっている。
このためステップサイズパラメータμを直ちにμ0に戻
すと、その瞬間に異質の騒音キャンセル音が発生して違
和感を与える。そこで、ステップサイズパラメータ制御
部32は図2に示すようにステップサイズパラメータμ
の値を漸増し、時間T0後に元の値μ0になるように制御
する。又、回転数範囲監視部31に入力する第1、第2
の設定回転数R1,R2を等しく(R2=R1)しても良い
が、R2=R1にするとエンジン回転数がR1近傍で小刻
みに変動すると頻繁に適応信号処理の停止、再開が繰り
返され、騒音キャンセル音が出たり、出なかったりして
違和感が生じる。そこで、R2≠R1とし、μ=0にする
回転数R1とμを元の値に戻す回転数R2を異ならせてヒ
ステリヒスを持たせる。このようにすると、エンジン回
転数RがR1近傍で小刻みに変動しても、頻繁に適応信
号処理の停止、再開が行なわれず、違和感のない騒音キ
ャンセルができる。
【0034】全体の動作 エンジン回転数Rが高速度で回転している場合 エンジンが第1の回転数R1以上の速度で回転している
場合には、ステップサイズパラメータ制御部32はステ
ップサイズパラメータμとしてμ0を騒音キャンセルコ
ントローラ14に指示している。かかる状態において、
エンジン回転数Rは回転数センサ12により検出され、
参照信号発生部13はエンジン回転数Rに応じた周波数
の参照信号SNを発生し、騒音キャンセルコントローラ
14に入力する。この時、エンジン11から発生した周
期性を有するエンジン音(周期性ノイズ)は、所定の伝
達関数を有する騒音伝搬系(一次音伝搬系)を有する空中
を伝播して騒音キャンセル点に至る。騒音キャンセル点
における騒音とキャンセル音の合成音をエラーマイク1
8は検出し、合成音信号(エラー信号)ErをADコン
バータ19を介して適応信号処理部14aに入力する。
以上と並行してフィルタードX信号作成用フィルタ14
cは参照信号SNを入力され、適応信号処理に用いるフ
ィルタードX信号SN′を適応信号処理部14aに入力
する。
【0035】適応信号処理部14aはエラー信号Erと
フィルタ14cより出力されるフィルタードX信号
N′とステップサイズパラメータμ0とを用いて(1)式
に従って適応信号処理を行い、適応フィルタ14bの係
数を決定する。適応フィルタ14bは適応信号処理部1
4aにより決定された係数に従って参照信号SNにデジ
タルフィルタ処理を施して騒音キャンセル信号NcDを出
力し、DAコンバータ15はデジタルの騒音キャンセル
信号NcDをアナログの騒音キャンセル信号NCAに変換し
パワーアンプ16を介してスピーカ17に入力する。こ
れにより、スピーカ17から騒音キャンセル音が出力さ
れ、二次音伝搬系20を介して騒音キャンセル点に到
り、騒音をキャンセルするように作用する。以後、上記
動作が繰り返されて騒音は速やかにキャンセルされる。
【0036】 エンジン回転数Rが第1の設定回転数
1以下になった場合 エンジン回転数Rが低速回転になって、第1の設定回転
数R1以下になると、回転数範囲監視部31は信号RL
を出力する。この信号RLが入力されると、ステップサ
イズパラメータ制御部32は直ちにステップサイズパラ
メ−タμを0にし、適応信号処理部14aは、適応フィ
ルタの係数を0にする。これにより、適応信号処理は停
止した状態となり、エンジン音はキャンセルされない。
すなわち、スピーカ特性の低域劣化に起因する騒音の増
大を防止できる。かかる状態で、エンジン回転数が増大
して、R≧R2になれば回転数範囲監視部31は信号R
Hを出力する。この信号RHが入力されると、ステップ
サイズパラメータ制御部32は図2に示すように所定時
間毎にステップサイズパラメ−タを0から漸増し、時間
0後に元の値μ0に戻す。適応信号処理部14aは該入
力された漸増するステップサイズパラメータを用いて適
応信号処理を行いエンジン音をキャンセルする。このよ
うに、適応信号処理再開時にステップサイズパラメ−タ
の値を漸増するようにすれば、騒音キャンセル制御の再
開時に騒音キャンセル音も漸増し耳障りになることはな
い。以後、上記,の処理がエンジン回転数に応じて
行われる。
【0037】(b) 本発明の第2の実施例 図3は本発明の第2の実施例構成図であり、第1の実施
例と同一部分には同一符号を付している。第1の実施例と異なる構成 第2の実施例が第1の実施例と異なる点は、参照信号
を発生する参照信号発生部13の後段とエラー信号Er
を騒音キャンセルコントローラ14にフィードバックす
るフィードバック部とにそれぞれ減衰度が可変の減衰部
14d,14eを設けた点、エンジン回転数RがR≧
2になった時、各減衰部14d,14eが減衰度ηを
最大値ηMAXから0に漸減する点(図4(b)参照)、ス
テップサイズパラメータ制御部32が、エンジン回転数
RがR≧R2になった時、直ちにμ=μ0にする点(図4
(a)参照)である。すなわち、第2の実施例では適応信号
処理を再開する際、第1の実施例のようにステップサイ
ズパラメータμを漸増せず、そのかわり減衰度を漸減す
ることにより、適応信号処理再開時に騒音キャンセル音
を漸増させて耳障りにならないようにしている。
【0038】全体の動作 エンジンが第1の設定回転数R1以上の速度で回転して
いる場合には、第1の実施例と同様の適応信号処理が行
われてエンジン音がキャンセルされる。尚、各減衰部1
4d,14eの減衰度は0である。エンジン回転数Rが
低速回転になって、第1の設定回転数R1以下になる
と、回転数範囲監視部31は信号RLを出力する。この
信号RLが発生すると、ステップサイズパラメータ制御
部32は直ちにステップサイズパラメ−タμを0及び適
応フィルタの係数を0にする(図4(a)参照)。これによ
り、適応信号処理は停止した状態となり、エンジン音は
キャンセルされない。すなわち、スピーカ特性の低域劣
化に起因する騒音の増大を防止できる。
【0039】かかる状態で、エンジン回転数が増大し
て、R≧R2になれば回転数範囲監視部31は信号RH
を出力する。信号RHが発生すると、ステップサイズパ
ラメータ制御部32は直ちにステップサイズパラメータ
を元の値μ0に戻す(図4(a))。又、信号RHが発生す
ると各減衰部14d,14eは図4(b)に示すように減
衰度ηを最大値ηMAXから漸減させ、時間T0後に0にす
る。この結果、適応フィルタ14b及びフィルタードX
信号作成用フィルタ14cに入力される参照信号SND
最初小さく、以後次第に大きくなる。又、エラー信号E
rには入力側の参照信号SNDと同一の減衰度制御が付与
される。適応信号処理部14aは入力された各信号及び
ステップサイズパラメータを用いて適応信号処理を行い
エンジン音をキャンセルする。このように、適応信号処
理再開時に参照信号及びエラー信号のレベルを漸増する
ようにすれば、騒音キャンセル制御の再開時に騒音キャ
ンセル音が漸増し耳障りになることはない。以後、上記
の処理がエンジン回転数に応じて行われる。
【0040】(c) 本発明の第3の実施例車室内の騒音キャンセルシステムの構成 車室内においてエンジンから発生するエンジン音をキャ
ンセルする場合、図5に示すように、フロントの運転席
31、助手席32、リアの左右座席31′,32′の搭
乗者近傍にスピーカSP1、SP2,SP1′、SP2′と
マイクMC1,MC2,MC1′,MC2′をそれぞれ設け
て騒音キャンセルシステムを構成する。尚、騒音源数が
K個、マイク数がL個、スピーカ数がM個のシステムは
K−L−Mシステムと呼ばれる。かかる車室内の1−4
−4システムにおいては、スピーカの向き、スピーカか
らマイクまでの距離を考慮すると、フロント側のスピー
カSP1、SP2がリア側のマイクMC1′,MC2′に及
ぼす影響は小さく、又、リア側のスピーカSP1′、S
2′がフロント側のマイクMC1,MC2に及ぼす影響
は小さい。このため、フロント側とリア側を独立した系
として考えて2つの1−2−2システムを構成し、これ
により適応信号処理を簡単にすることが行われる。
【0041】全体の構成 図6は車室内のエンジン音を、フロント側とリア側で独
立の1−2−2システムを構成してキャンセルする場合
の本発明の実施例構成図である。11は騒音源であるエ
ンジン、12はエンジン回転数Rを検出する回転数セン
サ、13はエンジン回転数Rに応じた周波数を有する一
定振幅の正弦波信号を参照信号SNとして発生する参照
信号発生部、14,14′はフロント側及びリア側の騒
音キャンセルコントローラであり、図16に示す構成を
有するもの、31,31′はエンジン回転数Rの回転数
範囲を監視するフロント側及びリア側の回転数範囲監視
部、32、32′は適応信号処理で用いるステップサイ
ズパラメータμの値を制御するフロント側及びリア側の
ステップサイズパラメータ制御部である。また、S
1、SP2、MC1,MC2はそれぞれ運転席、助手席の
搭乗者近傍に設けられたスピーカ及びマイク、S
1′、SP2′、MC1′,MC2′はそれぞれリア左右
座席の搭乗者近傍に設けられたマイクである。フロント
側とリア側の1−2−2システムでは、スピーカ特性や
一次音伝搬系、二次音伝搬系の伝搬特性が互いに異な
る。このため、それぞれのシステムに最適のステップサ
イズパラメータμ0、μ0′が予め定められると共に、増
音領域の境界回転数も異なり、それぞれのシステムに応
じた第1、第2の設定回転数R1,R2;R1′,R2′が
回転数範囲監視部31、31′に入力されている。
【0042】全体の動作 エンジンが第1の設定回転数R1、R1′以上の速度で回
転している場合には、フロント側及びリア側の1−2−
2システムにおいて、第1の実施例と同様の適応信号処
理が行われて各騒音キャンセル点におけるエンジン音が
キャンセルされる。かかる状態において、エンジン回転
数Rが低速回転になって、第1の設定回転数R1以下に
なると、フロント側の回転数範囲監視部31は信号RL
を出力する。この信号RLが発生すると、フロント側の
ステップサイズパラメータ制御部32は直ちにステップ
サイズパラメ−タμを0及び適応フィルタの係数を0に
する。これにより、適応信号処理は停止した状態とな
り、エンジン音はキャンセルされない。しかる後、エン
ジン回転数が増大して、R≧R2になればフロント側の
回転数範囲監視部31は信号RHを出力する。信号RH
が発生すると、フロント側のステップサイズパラメータ
制御部32はステップサイズパラメ−タを0からμ0
で漸増する。フロント側の騒音キャンセルコントローラ
14は入力された漸増するステップサイズパラメータを
用いて適応信号処理を行いエンジン音をキャンセルす
る。
【0043】以上は、フロント側のステップサイズパラ
メータの制御であるが、リア側のステップサイズパラメ
ータの制御もまったくフロント側と同様に独立して行わ
れる。すなわち、エンジン回転数Rが低速回転になっ
て、第1の設定回転数R1′以下になると、リア側の回
転数範囲監視部31′は信号RL′を出力する。この信
号RL′が発生すると、リア側のステップサイズパラメ
ータ制御部32′は直ちにステップサイズパラメ−タμ
を0及び適応フィルタの係数を0にする。これにより、
適応信号処理は停止した状態となり、エンジン音はキャ
ンセルされない。しかる後、エンジン回転数が増大し
て、R≧R2になればリア側の回転数範囲監視部31′
は信号RH′を出力する。信号RH′が発生すると、リ
ア側のステップサイズパラメータ制御部32′はステッ
プサイズパラメ−タを0からμ0′まで漸増する。リア
側の騒音キャンセルコントローラ14′は入力された漸
増するステップサイズパラメータを用いて適応信号処理
を行いエンジン音をキャンセルする。
【0044】このように、フロント側、リア側で独立に
それぞれのシステムに適した第1、第2の設定回転数を
設定し、これら設定回転数に基づいて適応信号処理の停
止、再開制御、及び適応信号処理の再開時におけるステ
ップサイズパラメ−タ漸増制御を行うから、適応信号処
理の再開時にフロント側及びリア側において騒音キャン
セル音が耳障りになることはない。又、本実施例ではエ
ンジン回転数がR1以下になったら直ちにステップサイ
ズパラメータ、及び適応フィルタの係数を0にするとな
っているが、R1の回転数を上方に少しずらし、エンジ
ン回転数RがR1より下がった時に、ステップサイズパ
ラメータ及び適応フィルタの係数を漸次0に近づけ、い
きなり制御をストップさせた事による騒音増加の違和感
を少なくすることも考えられる。特にアクセルを徐々に
緩めたときの緩減速時に、いきなり制御音をストップす
ると非常に違和感を伴うので、これを他のシフトチェン
ジを伴うエンジン回転数低下等と区別して,ステップサ
イズパラメータ及び適応フィルタの係数を漸次0に近づ
けるという様な制御も可能である。つまり、エンジン回
転の低下が何によるものなのか判断し、ステップサイズ
パラメータ及び適応フィルタの係数を漸次0に近づける
か、直ちに0にするかを自動的に切り換えることも考え
られる。以上、本発明を実施例により説明したが、本発
明は請求の範囲に記載した本発明の主旨に従い種々の変
形が可能であり、本発明はこれらを排除するものではな
い。
【0045】
【発明の効果】以上、本発明によれば、エンジンの回転
数Rが、騒音キャンセルを効果的に行なえない回転数R
1より小さくなった時、ステップサイズパラメ−タμを
0及び適応フィルタの係数を0にし、エンジン回転数R
が回転数R2(R2≠R1)より大きくなった時、ステッ
プサイズパラメ−タの値を元に戻すように構成したか
ら、スピーカ特性の低域劣化に起因する騒音の増大を防
止することできる。又、R≧R2になればステップサイ
ズパラメータμを元の値に戻して騒音キャンセル制御を
再開するため、騒音を効果的にキャンセルできる。この
場合、R2≠R1としてμ=0にする回転数と、μを元の
値に戻す回転数を異ならせてヒステリヒスを持たせるよ
うにしたから、エンジン回転数がR1近傍で小刻みに変
動する時、頻繁に適応信号処理の停止、再開が行なわれ
ず、違和感のない騒音キャンセルができる。
【0046】又、本発明によれば、R≧R2となってス
テップサイズパラメ−タを元の値に戻す時、該ステップ
サイズパラメ−タの値を漸増するように構成したから、
騒音キャンセル制御を再開した時に発生する騒音キャン
セル音を漸増でき違和感を与えないように、すなわち、
耳障りにならないようにできる。更に、本発明によれ
ば、参照信号を発生する参照信号発生部の後段と、合成
音信号を騒音キャンセルコントローラにフィードバック
するフィードバック部にそれぞれ減衰度が可変の減衰手
段を設け、R≧R2となってステップサイズパラメ−タ
を元の値に戻す時、減衰度を最大値から0に漸減するよ
うに構成したから、騒音キャンセル制御を再開した時に
生じる騒音キャンセル音を漸増でき違和感を与えないよ
うに、すなわち、耳障りにならないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の騒音キャンセル装置の第1の実施例構
成図である。
【図2】ステップサイズパラメータ制御の説明図であ
る。
【図3】本発明の騒音キャンセル装置の第2の実施例構
成図である。
【図4】ステップサイズパラメータ及び減衰度の制御説
明図である
【図5】車室内の騒音キャンセルシステムの説明図であ
る。
【図6】本発明の第3の実施例構成図である。
【図7】従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図8】騒音キャンセル動作説明用波形図である。
【図9】騒音源、スピーカ、観測点が複数存在する場合
の従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図10】一次音仮想伝搬系の説明図である。
【図11】伝達関数マトリックスの各要素を実現するデ
ジタルフィルタの構成図である。
【図12】二次音伝搬系の説明図である。
【図13】フィルタードX信号作成用フィルタの構成図
である。
【図14】適応フィルタの構成図である。
【図15】騒音源、スピーカ、マイクが2個存在する場
合の従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図16】騒音源が1個、、スピーカ、マイクが2個存
在する場合の従来の騒音キャンセル装置の構成図であ
る。
【図17】スピーカの周波数特性図である。
【図18】従来の騒音キャンセル効果の説明図である。
【符号の説明】
13・・参照信号発生部 14・・騒音キャンセルコントローラ 14a・・適応信号処理部 14b・・適応フィルタ 14c・・フィルタードX信号作成用フィルタ 17・・スピーカ 18・・エラーマイク 31・・回転数範囲監視部 32・・ステップサイズパラメータ制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮内 邦夫 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平5−61482(JP,A) 特開 昭63−230986(JP,A) 特開 平3−221824(JP,A) 特開 平5−257481(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/178 F01N 1/00 H03H 17/04 H03H 21/00 G01P 1/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音キャンセル点におけるエンジン音を
    キャンセルするためにキャンセル音を出力するキャンセ
    ル音発生源と、騒音キャンセル点における騒音とキャン
    セル音との合成音を検出するセンサと、騒音キャンセル
    点における合成音信号と騒音源であるエンジンから発生
    するエンジン音に応じた参照信号を入力され、これらの
    信号とステップサイズパラメ−タを用いて前記騒音キャ
    ンセル点におけるエンジン音をキャンセルするように適
    応信号処理を行って騒音キャンセル信号を発生し、キャ
    ンセル音発生源に入力する騒音キャンセルコントローラ
    を備えた騒音キャンセル装置において、 エンジンの回転数Rを検出するセンサと、 該エンジン回転数Rが第1の設定回転数R1より小さく
    なった時、前記ステップサイズパラメ−タを0及び適応
    フィルタの係数を0にし、エンジン回転数Rが第2の設
    定回転数R2(R2≠R1)より大きくなった時、ステッ
    プサイズパラメ−タの値を元に戻すステップサイズパラ
    メ−タ制御手段と、を備え 前記ステップサイズパラメ
    −タ制御手段は、R≧R 2 となってステップサイズパラ
    メ−タを元の値に戻す時、該ステップサイズパラメ−タ
    の値を漸増する、 ことを特徴とする騒音キャンセル装置。
  2. 【請求項2】 騒音キャンセル点におけるエンジン音を
    キャンセルするためにキャンセル音を出力するキャンセ
    ル音発生源と、騒音キャンセル点における騒音とキャン
    セル音との合成音を検出するセンサと、騒音キャンセル
    点における合成音信号と騒音源であるエンジンから発生
    するエンジン音に応じた参照信号を入力され、これらの
    信号とステップサイズパラメ−タを用いて前記騒音キャ
    ンセル点におけるエンジン音をキャンセルするように適
    応信号処理を行って騒音キャンセル信号を発生し、キャ
    ンセル音発生源に入力する騒音キャンセルコントローラ
    を備えた騒音キャンセル装置において、 エンジンの回転数Rを検出するセンサと、 該エンジン回転数Rが第1の設定回転数R 1 より小さく
    なった時、前記ステップサイズパラメ−タを0及び適応
    フィルタの係数を0にし、エンジン回転数Rが 第2の設
    定回転数R 2 (R 2 ≠R 1 )より大きくなった時、ステッ
    プサイズパラメ−タの値を元に戻すステップサイズパラ
    メ−タ制御手段と、 参照信号を発生する参照信号発生部の後段と、合成音信
    号を騒音キャンセルコントローラにフィードバックする
    フィードバック部とにそれぞれ設けられた減衰度が可変
    の減衰手段と、 を備え、各減衰手段は、ステップサイズパラメ−タを元
    の値に戻す時、減衰度を最大値から0に漸減する、 ことを特徴とする騒音キャンセル装置。
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