JP3380571B2 - 騒音キャンセル装置 - Google Patents

騒音キャンセル装置

Info

Publication number
JP3380571B2
JP3380571B2 JP17219692A JP17219692A JP3380571B2 JP 3380571 B2 JP3380571 B2 JP 3380571B2 JP 17219692 A JP17219692 A JP 17219692A JP 17219692 A JP17219692 A JP 17219692A JP 3380571 B2 JP3380571 B2 JP 3380571B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
noise
signal
sound
cancel
adaptive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP17219692A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0619485A (ja
Inventor
政一 秋保
望 斉藤
秀司 沢田
久 佐野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Alpine Electronics Inc
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Alpine Electronics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd, Alpine Electronics Inc filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP17219692A priority Critical patent/JP3380571B2/ja
Publication of JPH0619485A publication Critical patent/JPH0619485A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3380571B2 publication Critical patent/JP3380571B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は騒音キャンセル装置に係
わり、特に自動車内の所定位置(観測点)における騒音
をキャンセルして快適な車室内環境を提供できる騒音キ
ャンセル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】騒音対策としては、従来より吸音材を用
いる方法(パッシブ制御)が知られている。しかし、吸
音材を用いる方法では、騒音が小さい静音エリアを形成
するのが面倒であると共に、低音を効果的に消せない問
題がある。特に、自動車の車室内の騒音を防止するに
は、自動車の重量が増大すると共に、騒音を効果的に消
せない問題がある。このため、騒音と逆位相の騒音キャ
ンセル音をスピ−カから放射して騒音を低減する方法
(アクティブ制御)が脚光を浴び、工場やオフィスなど
の室内空間の一部に実用化されつつある。又、自動車の
車室内においてもアクティブ制御により騒音を低減する
方式が提案されている。
【0003】図6は従来の騒音キャンセルを実現する装
置の構成図であり、11は騒音源であるエンジン、12
はエンジン回転数Rを検出する回転数センサ、13はエ
ンジン回転数Rに応じた周波数を有する一定振幅の正弦
波信号を参照信号SNとして発生する参照信号発生部で
ある。騒音源がエンジンの場合、エンジン回転により発
生するノイズは周期性を有し(周期性ノイズ)、その周
波数はエンジン回転数に依存する。例えば、4気筒エン
ジンの場合、回転数が600rpmの時、車室内に発生
する周期性ノイズの周波数は20Hz、回転数が600
0rpmの時、車室内に発生する周期性ノイズの周波数
は200Hzであり、エンジン回転数の2次高調波であ
る。従って、参照信号発生部13は、エンジン回転数R
に応じて種々の周波数を有する正弦波信号を所定サンプ
リング速度でサンプリングしてROMに記憶し、回転数
センサ12からエンジン回転数Rが入力された時、該回
転数に応じた正弦波信号のデジタル値をROMからサン
プリング速度で順次読み出して出力する構成になってい
る。
【0004】14は騒音キャンセルコントローラであ
り、参照信号発生部13から発生する参照信号SNを入
力されると共に、車室内の騒音キャンセル位置(観測点
であり例えば運転者の耳元近傍)における騒音Snとキ
ャンセル音Scの合成音信号をエラ−信号Eとして入力
され、該エラ−信号が最小となるように適応信号処理を
行って騒音キャンセル信号Yaを出力する。騒音キャン
セルコントローラ14は、適応信号処理部14aと、デ
ジタルフィルタ構成の適応フィルタ14bと、適応フィ
ルタ出力をアナログの騒音キャンセル信号Yaに変換す
るDAコンバータ14cと、スピーカから騒音キャンセ
ル点までのキャンセル音伝搬系(二次音伝搬系)18の
伝達関数に基づいて作成され、参照信号SNが入力され
るフィルタ14dを有している。15は騒音キャンセル
信号Yaを増幅するパワ−アンプ、16は騒音キャンセ
ル音Scを放射するキャンセルスピ−カ、17は騒音キ
ャンセル点に配置され、騒音Snとキャンセル音Scの合
成音を検出し、合成音信号をエラ−信号Eとして出力す
るエラ−マイクである。
【0005】適応信号処理部14aは騒音キャンセル点
におけるエラー信号Eとフィルタ14dを介して入力さ
れる参照信号SN′を入力され、これら信号を用いて騒
音キャンセル点における騒音をキャンセルするように適
応信号処理を行って適応フィルタ14bの係数を決定す
る。例えば適応信号処理部14aは周知のLMS(Least
Mean Square)適応アルゴリズムに従って、エラ−マイ
ク17から入力されたエラ−信号Eが最小となるように
適応フィルタ14bの係数を決定する。適応フィルタ1
4bは適応信号処理部14aにより決定された係数に従
って参照信号S Nにデジタルフィルタ処理を施してDA
コンバータ14cより騒音キャンセル信号Yaを出力す
る。尚、参照信号SNは、消去したい騒音Snと相関の高
い信号でなくてはならず、参照信号と相関のない音は消
去されない。エンジン11が回転すると、その回転数R
は回転数センサ12により検出され、参照信号発生部1
3はエンジン回転数Rに応じた周波数の参照信号S
N(図7(a)参照)を発生し、騒音キャンセルコントロー
ラ14に入力する。この時、エンジン11から発生した
周期性を有するエンジン音(周期性ノイズ)は、所定の
伝達関数を有する騒音伝搬系(一次音伝搬系)を有する空
中を伝播して騒音キャンセル点に至る。従って、該騒音
キャンセル点における騒音(エンジン音)Snはレベル
が若干弱まり、かつ若干遅延して図7(b)に示すように
なる。
【0006】最初、騒音キャンセルコントローラ14は
例えば参照信号SNと位相が逆の騒音キャンセル信号Ya
を出力し、キャンセルスピ−カ16より図7(c)に示す
キャンセル音Scを出力する。しかし、騒音Snのレベル
と位相がずれているため、キャンセル音Scにより騒音
はキャンセルされず、エラ−信号Eが発生する。騒音キ
ャンセルコントローラ14は該エラ−信号Eが最小とな
るように適応信号処理を行って適応フィルタ14bの係
数を決定し、理想的な場合、最終的に図7(d)に示すよ
うにキャンセル音Scの位相を騒音Snの位相と逆相に
し、かつレベルを一致させ騒音をキャンセルする。
【0007】以上は説明を簡単にするために、騒音源を
1個、キャンセル音発生源(スピーカ)を1個、騒音キ
ャンセル点(観測点)を1箇所とした例である。しか
し、実際には騒音源は複数存在し、又、騒音をキャンセ
ルしたい地点(観測点)も複数存在し、このため1つの
スピーカでは各観測点の騒音をキャンセルできず、スピ
ーカも複数存在する。図8は騒音源がK個、スピーカが
M個、観測点がL箇所の場合における従来の騒音キャン
セル装置の構成図である。21は各観測点における騒音
をキャンセルするように動作する騒音キャンセルコント
ローラ、22は各騒音源(図示せず)から各観測点まで
騒音が伝搬する系を表現した一次音仮想伝搬系(騒音伝
搬系)、23はスピーカ(図示せず)の特性を含め、各
スピーカから各観測点までのキャンセル音が伝搬する系
を表現する二次音伝搬系(キャンセル音伝搬系)、24
は各観測点におけるマイクの機能を表現する信号合成部
で、加算部241〜241′は第1観測点におけるマイク
に相当し、加算部242〜242′は第2観測点における
マイクに相当し、・・・加算部24L〜24L′は第L観
測点におけるマイクに相当する。dd1n〜ddLnは各観測
点におけるキャンセル対象でない外部雑音である。
【0008】騒音キャンセルコントローラ21におい
て、21aは各騒音源から発生する騒音に応じた参照信
号xa1n〜xaKn(図示しない参照信号発生部から出力さ
れる)入力され、騒音キャンセル信号ya1n〜yaMnを各
スピーカに入力する多入力−多出力適応フィルタ(以後
単に適応フィルタと言う)、21bは二次音伝搬系23
の伝達関数マトリックスの各要素(伝搬要素)を用いて
作成したフィルタードX信号作成用のフィルタであり、
騒音源から発生する騒音に応じた参照信号xa1n〜xaKn
を入力されるもの、21cは各観測点におけるエラー信
号e1n〜eLnとフィルタ21bから出力されるフィルタ
ードX信号r111n〜rLMKnを入力され、これら信号を用
いて各観測点における騒音をキャンセルするように適応
信号処理を行って適応フィルタ21aの係数を決定する
適応信号処理部である。
【0009】図9は一次音仮想伝搬系22の説明図であ
り、図9(a)に示すようにK個の各騒音源NG1〜NGK
から発生する騒音は所定の周波数・位相特性を有する一
次音伝搬系22を伝搬して各観測点に設けたマイク(M
IC1〜MICL)に到達する。従って、第i番目の騒音
源NGiからの騒音が第j番目のマイクMICjに到る伝
搬系の伝達特性をHjiとすると、一次音仮想伝搬系22
は図9(b)に示すように表現され、その伝達関数マトリ
ックス(H)は以下のようになる。
【0010】
【数1】
【0011】伝達関数マトリックス(H)の各要素Hij
図10に示すFIR型デジタルフィルタにより実現され
る。すなわち、入力信号を順次1サンプリング時間遅延
する遅延要素DLと、各遅延要素出力に係数h0,h1
2,・・・を乗算する乗算部MLと、乗算部出力を加
算する加算部ADより成るデジタルフィルタで実現され
る。図11は二次音伝搬系23の説明図であり、図11
(a)に示すように各スピーカSP1〜SPMから発生する
騒音キャンセル音は所定の周波数・位相特性を有する二
次音伝搬系23を伝搬して各観測点に設けたマイクMI
1〜MICLに到達する。従って、第i番目の騒音キャ
ンセル信号yainに基づくキャンセル音が第j番目のマ
イクMICjに到る二次音伝搬系の伝達特性をCjiとす
ると、二次音伝搬系23は図11(b)に示すようにモデ
ル化され、その伝達関数マトリックス(C)は以下のよう
になる。
【0012】
【数2】
【0013】伝達関数マトリックス(C)の各要素は一次
音仮想伝搬系22の場合と同様に、図10に示すFIR
型デジタルフィルタにより実現される。すなわち、入力
信号を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL
と、各遅延要素出力に係数c0,c1,c2,・・・を乗
算する乗算部MLと、各乗算部出力を加算する加算部A
Dより成るデジタルフィルタで実現される。図12は二
次音伝搬系23の伝達関数マトリックス(C)の各要素C
ijを用いて作成したフィルタードX信号作成用のフィル
タ21bの構成図である。適応信号処理部21cは参照
信号xa1n〜xaKnと、各観測点における騒音とキャンセ
ル音との合成音信号e1n〜eLnとに基づいて適応信号処
理を実行して適応フィルタの係数を更新し、適応フィル
タ21aは参照信号xa1n〜xaKnを入力されて騒音キャ
ンセル信号ya1n〜yaMnを発生してスピーカに入力し、
各観測点の騒音をキャンセルする。
【0014】ところで、適応フィルタ21aから出力さ
れる騒音キャンセル信号ya1n〜ya Mnは観測点にそのま
ま到達するのでなく、二次音伝搬系23の周波数・位相
特性の影響を受けて到達する。このため、適応信号処理
部21cは、参照信号xa1n〜xaKnをそのまま使用せ
ず、参照信号に二次音伝搬系23の特性を付加した信号
を用いるフィルタードX LMS(MEFX LMS)ア
ルゴリズムを採用し、より高度な騒音キャンセル制御を
行っている。すなわち、フィルタードX LMSアルゴ
リズムでは、参照信号xa1n〜xaKnをフィルタ21bに
よりフィルタリングした信号(フィルタードX信号)と
各観測点における合成音信号とを用いて適応フィルタ2
1aの係数更新を行う。
【0015】図12において、Cijは二次音伝搬系23
における伝達関数マトリックス(C)の各要素Cij(図
11参照)を実現するFIR型デジタルフィルタであ
る。フィルタ21bは各参照信号xa1n〜xaKnに全ての
伝搬要素を作用させて(全ての伝搬要素に対応するフィ
ルタを通過させて)フィルタードX信号r111n〜rLMKn
を出力するようになっている。すなわち、参照信号x
a1nに第1番目のスピーカから全観測点までの伝搬要素
11〜CL1を作用させてフィルタードX信号r111n〜r
L11nを出力し、参照信号xa1nに第2番目のスピーカか
ら全観測点までの伝搬要素C12〜CL2を作用させてフィ
ルタードX信号r121n〜rL21nを出力し、・・・参照信
号xa1nに第M番目のスピーカから全観測点までの伝搬
要素C1M〜CL Mを作用させてフィルタードX信号r1M1n
〜rLM1nを出力し、以下同様に、参照信号xa2n〜xaKn
に全ての伝搬要素を作用させる。尚、 R11=(r111n,r211n,・・・rL11n) R21=(r121n,r221n,・・・rL21n) ・・・ RM1=(r1M1n,r2M1n,・・・rLM1n) ・・・ RMK=(r1MKn,r2MKn,・・・rLMKn) と表現する。
【0016】図13は多入力−多出力の適応フィルタ2
1aの構成図であり、一次音仮想伝搬系22や二次音伝
搬系23と同様の構造を有している。A11n〜AMKnはF
IR型デジタルフィルタで構成され、例えば、入力信号
を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL1、D
l2・・と、各遅延要素出力に係数a0,a1,a2・・
を乗算する乗算部ML1,ML2,ML3・・と、各乗
算部出力を加算する加算部AD1,AD2・・で実現さ
れる。尚、遅延段数は2段に限らない。各参照信号x
a1n〜xaKnをデジタルフィルタA11n〜A1Knに入力して
加算することにより第1番目のスピーカに入力する騒音
キャンセル信号ya1nが得られ、各参照信号xa1n〜x
aKnをデジタルフィルタA21n〜A2Knに入力して加算す
ることにより第2番目のスピーカに入力する騒音キャン
セル信号ya2nが得られ、・・・・各参照信号xa1n〜x
aKnをデジタルフィルタAM1n〜AMKnに入力して加算す
ることにより第M番目のスピーカに入力する騒音キャン
セル信号yaMnが得られる。
【0017】適応フィルタ21aにおける各FIR型デ
ジタルフィルタA11n〜AMKnを3個の係数(2段遅延)
で構成する時、適応信号処理部21cは各FIR型デジ
タルフィルタA11n〜AMKnの3つの係数毎に適応信号処
理を行って係数値を決定する。すなわち、1つのFIR
型デジタルフィルタAijの係数a0,a1,a2について
次式の演算を行って係数a0,a1,a2を決定する。
【0018】
【数3】
【0019】(1)式において、(n)は現サンプリング時刻
の値、(n-1)は1サンプリング時刻前の値、(n-2)は2サ
ンプリング時刻前の値、(n+1)は現時刻から次サンプリ
ング時刻までの値を意味している。従って、Rij(n-2)は
2サンプリング時刻前の参照信号に応じたフィルタ21
bの出力を意味し、Rij(n-1)は1サンプリング時刻前の
参照信号に応じたフィルタ出力であり、Rij(n)は現時刻
の参照信号に応じたフィルタ出力である。又、μは1以
下の定数(ステップサイズパラメータ)、enはL個の
各観測点における騒音とキャンセル音の合成信号であ
る。
【0020】かかる騒音キャンセル装置によれば、適応
信号処理部21cはフィルタ21bの出力であるフィル
タードX信号r111n〜rLMKnと、各観測点における騒音
とキャンセル音との合成音信号(エラー信号)e1n〜e
Lnとに基づいて適応信号処理を実行して適応フィルタ2
1aを構成する各FIR型デジタルフィルタA11n〜A
MKnの係数を決定し、適応フィルタ21aは参照信号x
a1n〜xaKnを入力されて騒音キャンセル信号ya1n〜y
aMnを発生してスピーカSP1〜SPM(図11)に入力
し、各スピーカはキャンセル音を発生して各観測点の騒
音をキャンセルするように作用する。以後、同様な動作
を繰返し、適応フィルタ21aの係数を最適値に収束さ
せ、騒音キャンセル点における騒音をキャンセルする。
【0021】図14は騒音源数K=2、スピーカ数M=
2、観測点数(マイク数)L=2の場合の具体的な従来
の騒音キャンセル装置の構成図であり、21aは4つの
FIR型デジタルフィルタA11,A21,A12,A22で構
成された適応フィルタ、21bは二次伝搬系の伝達関数
マトリックス(C)の各伝搬要素C11,C21,C12,C
22をデジタルフィルタで構成したフィルタードX信号作
成用フィルタ、21c-1〜21c-4は適応信号処理部(MEF
X LMSアルゴリズム)、SP1,SP2はスピーカ、
MC1,MC2は観測点に設置されたマイクである。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】適応信号処理におい
て、(1)式のステップサイズパラメータμの値が大きい
と適応フィルタの係数収束性が向上し(収束速度が早く
なり)、短時間で最適値近傍に近づく。しかし、ステッ
プサイズパラメータμの値が大きいと最適値に近づいて
からオーバシュートを生じ、安定性が低下する。一方、
ステップサイズパラメータμの値が小さいと適応フィル
タの収束速度が低下し、最適値近傍に近づくのに長時間
を必要とする。しかし、最適値に近づいてからオーバシ
ュートを生じず、安定性が向上する。
【0023】収束性と安定性は、騒音をその変化に追従
して効果的にキャンセルする上で共に満足しなければな
らない要求であるが、前述の如くこれらは相反する要求
である。このため、従来の騒音キャンセル装置では収束
性と安定性の両方を同時に満足することができない問題
があった。以上から、本発明の目的は、収束性と安定性
の両方を同時に満足することができ、騒音変化に対する
追従性を向上でき、騒音を十分にキャンセルできる騒音
キャンセル装置を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題は本発明によれ
ば、キャンセル音発生源(スピーカ)と、騒音キャンセ
ル点における騒音とキャンセル音との合成音を検出する
センサ(マイク)と、騒音キャンセル点における合成音
信号と参照信号とステップサイズパラメータμを用いて
騒音キャンセル点における騒音をキャンセルするように
適応信号処理を行って騒音キャンセル信号を出力する騒
音キャンセルコントローラと、騒音キャンセル信号に対
してキャンセル音発生源からセンサまでのキャンセル音
伝搬系と同等の伝搬特性を付与する伝搬特性付与手段
と、該伝搬特性付与手段の出力信号と合成音信号の比率
に応じて適応信号処理に用いるステップサイズパラメー
タμの値を決定するステップサイズパラメータ決定手段
とにより達成される。
【0025】
【作用】騒音キャンセルコントローラは騒音キャンセル
点における合成音信号と騒音に応じた参照信号とステッ
プサイズパラメータを用いて騒音キャンセル点における
騒音をキャンセルするように適応信号処理を行って適応
フィルタの係数を決定し、適応フィルタは該係数に応じ
たフィルタ処理を参照信号に施して騒音キャンセル信号
を発生してスピーカと伝搬特性付与手段に入力する。ス
ピーカはキャンセル音を出力し、騒音キャンセル点にお
ける騒音をキャンセルする。伝搬特性付与手段は適応フ
ィルタ出力(騒音キャンセル信号)にキャンセル音伝搬
系と同等の伝搬特性を付与し、ステップサイズパラメー
タ決定手段は伝搬特性付与手段の出力信号と合成音信号
との比率に応じて適応信号処理に用いるステップサイズ
パラメータの値を決定する。すなわち、騒音が十分にキ
ャンセルされていない場合には、合成音信号が大きくて
比率が大きいからステップサイズパラメータμの値を大
きくする。また、騒音キャンセル状況の進行に応じて、
すなわち前記比率が小さくなるにつれてステップサイズ
パラメータの値を小さくする。これにより、適応フィル
タの係数収束性と安定性の両方を満足することができ
る。又、合成音信号に含まれるキャンセルしたい騒音の
周波数成分のみを通過するバンドパスフィルタを設け、
このバンドパスフィルタの出力信号を合成音信号として
前記比率を計算するようにする。このようにすれば、キ
ャンセルしたい騒音以外の雑音に影響されずより収束速
度が早い、安定性に優れた騒音キャンセル装置を提供す
ることができる。
【0026】
【実施例】
(a) 本発明の第1の実施例全体の構成 図1は本発明の実施例である騒音キャンセル装置の構成
図であり、図6の従来装置と同一機能部分には同一符号
を付している。図中、11は騒音源であるエンジン、1
2はエンジン回転数Rを検出する回転数センサ、13は
エンジン回転数Rに応じた周波数を有する一定振幅の正
弦波信号を参照信号SNとして発生する参照信号発生部
である。騒音源がエンジンの場合、エンジン回転により
発生するノイズは周期性を有し(周期性ノイズ)、騒音
周波数はエンジン回転数に依存する。従って、参照信号
発生部13は、エンジン回転数Rに応じて種々の周波数
を有する正弦波信号を所定サンプリング速度でサンプリ
ングしてROMに記憶し、回転数センサ12からエンジ
ン回転数Rが入力された時、該回転数に応じた正弦波信
号のデジタル値をROMからサンプリング速度で順次読
み出して出力する構成になっている。
【0027】14は騒音キャンセルコントローラであ
り、参照信号発生部13から発生する参照信号SNを入
力されると共に、車室内の騒音キャンセル位置(観測点
であり例えば運転者の耳元近傍)における騒音Snとキ
ャンセル音Scの合成音信号をエラ−信号Eとして入力
され、該エラ−信号が最小となるようにLMSアルゴリ
ズムに基づく適応信号処理を行って騒音キャンセル信号
Yaを出力する。15はアナログの騒音キャンセル信号
Yaを増幅するパワ−アンプ、16は騒音キャンセル音
Scを放射するキャンセルスピ−カ(キャンセル音発生
源)、17は騒音キャンセル点(観測点)に配置され、
騒音Snとキャンセル音Scの合成音を検出し、合成音信
号をエラ−信号Eとして出力するエラ−マイク、18は
スピーカから騒音キャンセル点までキャンセル音が伝搬
するキャンセル音伝搬系(二次音伝搬系)である。尚、
図1では説明を簡単にするために、騒音源、スピーカ、
エラーマイクが1個の場合を示しているが本発明はかか
る場合に限らず、複数の騒音源、複数のスピーカ、複数
のエラーマイクが設けられる複合システムにも適用でき
るものである。
【0028】騒音キャンセルコントローラ 騒音キャンセルコントローラ14は、適応信号処理部1
4aと、デジタルフィルタ構成の適応フィルタ14b
と、適応フィルタから出力されるデジタルの騒音キャン
セル信号Yaをアナログの騒音キャンセル信号に変換す
るDAコンバータ14cと、二次音伝搬系18の伝達関
数(複合システムでは伝達関数マトリックス)を用いて
構成され、適応信号処理に用いるフィルタードX信号を
作成するためのフィルタ(フィルタードX信号作成用フ
ィルタ)14dと、騒音キャンセル信号Yaに対して二
次音伝搬系18と同等の伝搬特性を付与する二次音伝搬
特性付与部14eと、二次音伝搬特性付与部14eの出
力信号Yc´と合成音信号Eの比率に応じて適応信号処
理に用いる(1)式のステップサイズパラメータμの値を
決定するステップサイズパラメータ決定部14fを備え
ている。
【0029】適応信号処理部14aは騒音キャンセル点
における合成音信号(エラー信号)Eとフィルタ14dを
介して出力されるフィルタードX信号SN′を入力さ
れ、これら信号を用いて(1)式に従って騒音キャンセル
点における騒音をキャンセルするように適応信号処理を
行い、適応フィルタ14bの係数を決定する。すなわ
ち、適応信号処理部14aはLMS(Least Mean Squar
e)適応アルゴリズムに従って、エラ−マイク17から入
力された合成音信号(エラ−信号)Eが最小となるように
適応フィルタ14bの係数を決定する。適応フィルタ1
4bは適応信号処理部14aにより決定された係数に従
って参照信号SNにデジタルフィルタ処理を施して騒音
キャンセル信号Yaを出力する。
【0030】二次音伝搬特性付与部 図2は二次音伝搬特性付与部14eの説明図であり、騒
音源数K=2、スピーカ数M=2、観測点数(マイク
数)L=2とすると以下のように構成される。図2にお
いて、14eは二次音伝搬特性付与部、18は二次音伝
搬系、SP1〜SP2はスピーカ、MIC1〜MIC2は2
つの騒音キャンセル点に設けられたマイクである。各ス
ピーカSP1〜SP2から発生する騒音キャンセル音は所
定の周波数・位相特性を有する二次音伝搬系18を伝搬
して各騒音キャンセル点に設けたマイクMIC1〜MI
2に到達する。第i番目の騒音キャンセル信号yain
基づくキャンセル音が第j番目のマイクMICjに到る
二次音伝搬系の伝達特性をCjiとすると、二次音伝搬特
性付与部14eはこの二次音伝搬系18を模擬するよう
に構成され、図2に示すようにモデル化される。この二
次音伝搬特性付与部14eにおいて、14e-1〜14e-4は二
次音伝搬系の伝搬要素Cjiを実現するFIR型デジタル
フィルタであり、14e-5,14e-6は加算部である。加算部1
4e-5の出力信号yc1n′と加算部14e-6の出力信号
c2n′はそれぞれ騒音キャンセル信号ya1n,ya2n
スピーカに入力した時の騒音キャンセル点における騒音
キャンセル音とみなすことができる。
【0031】ステップサイズパラメータ決定部 ステップサイズパラメータ決定部14fは、騒音キャン
セル点における消音量の大小に応じて(1)式におけるス
テップサイズパラメータの値を変更するものである。騒
音キャンセルが理想的に行われている時、合成音信号e
1n,e2n(図2参照)は0であり、従ってキャンセルし
たい騒音d1n,d2nと合成音信号e1n,e2nの比率η
(e1n/d1n,e2n/d2n)は0となる。しかし、騒音
キャンセルが十分に行われていない時には、合成音信号
1n,e2nが大きくなって比率ηが大きくなる。すなわ
ち、消音量が小さい場合には比率ηは大きくなり、消音
量が大きい場合には比率ηが小さくなる。尚、比率計算
において符号は考慮せず絶対値で計算する。そこで、ス
テップサイズパラメータ決定部14fは比率ηを計算
し、該比率に応じてステップサイズパラメータμの値を
変更して、収束速度の高速化と安定性の両方を満足する
ようにする。ところで、比率ηは η=(合成音信号e)/(キャンセルしたい騒音d) ・・・(4) である。合成音信号eはマイク出力であり検出できる
が、騒音dは検出できない。しかし、騒音dとキャンセ
ル音には相関があり、騒音が大きくなればキャンセル音
も大きくなり、騒音が小さくなればキャンセル音も小さ
くなり、理想的な騒音キャンセル状態では騒音とキャン
セル音は等しい。このことから、各騒音キャンセル点
(観測点)におけるキャンセル音の大きさをキャンセルし
たい騒音dと仮定することができる。このように仮定す
ることにより、ステップサイズパラメータ決定部14f
は次式 η=(合成音信号e)/(観測点におけるキャンセル音) ・・・(5) により、比率ηを計算する。尚、各観測点におけるキャ
ンセル音は前述の二次音伝搬特性付与部14eの出力信
号yc1n′,yc2n′である。
【0032】図3はステップサイズパラメータ決定部の
構成図であり、騒音源数K=2、スピーカ数M=2、観
測点数(マイク数)L=2の場合である。14f-1は比率
演算部であり、合成音信号e1n,e2n及び二次音伝搬特
性付与部14eの出力信号yc1n′,yc2n′を入力さ
れ、(5)式に基づいて比率η1(=e1n/yc1n′),η2
(=e2n/yc2n′)を計算する。14f-2は比率η値に対
応するステップサイズパラメータ値μを(変更するため
の積算係数)記憶するη−μ係数対応テーブルである。
尚、比率が1以上の場合には騒音キャンセル動作がうま
く作動していないからキャンセル動作を停止する。14f-
3はステップサイズパラメータ決定部であり、各比率
η1,η2に応じたステップサイズパラメータμ1 2
η-μ係数対応テーブルより算出し、その平均値、ある
いは最小値、あるいは最大値をステップサイズパラメー
タμとして求め、適応信号処理部14aに入力する。
尚、最小値を用いれば、比較的安定性が重視され、最大
値を用いれば比較的収束性が重視される。
【0033】全体の動作 エンジン11が回転すると、その回転数Rは回転数セン
サ12により検出され、参照信号発生部13はエンジン
回転数Rに応じた周波数の参照信号SNを発生し、騒音
キャンセルコントローラ14に入力する。この時、エン
ジン11から発生した周期性を有するエンジン音(周期
性ノイズ)は、所定の伝達関数を有する騒音伝搬系(一
次音伝搬系)を有する空中を伝播して騒音キャンセル点
に至る。エラーマイク17は騒音キャンセル点における
騒音とキャンセル音の合成音を検出し、合成音信号(エ
ラー信号)Eを適応信号処理部14aに入力する。以上
と並行してフィルタードX信号作成用フィルタ14dは
参照信号SNを入力され、適応信号処理に用いるフィル
タードX信号SN′を適応信号処理部14aに入力す
る。適応信号処理部14aは合成音信号(エラー信号)
Eとフィルタ14dより出力されるフィルタードX信号
N′とステップサイズパラメータμ(初期値は例えば
0.5)を用いて、(1)式に従って適応信号処理を行
い、適応フィルタ14bの係数を決定する。
【0034】適応フィルタ14bは適応信号処理部14
aにより決定された係数に従って参照信号SNにデジタ
ルフィルタ処理を施して騒音キャンセル信号Yaを出力
する。DAコンバータ14cは適応フィルタ出力をDA
変換してスピーカ16に入力する。これにより、スピー
カから騒音キャンセル音が出力され、二次音伝搬系18
を介して騒音キャンセル点に到り、騒音をキャンセルす
るように作用する。エラーマイク17は騒音キャンセル
点における合成音を検出して適応信号処理部14aとス
テップサイズパラメータ決定部14fに入力する。これ
と並行して、二次音伝搬特性付与部14eは適応フィル
タ14bから出力される騒音キャンセル信号Yaにキャ
ンセル音伝搬系18と同等の伝搬特性を付与して騒音キ
ャンセル点におけるキャンセル音信号Yc′を生成して
ステップサイズパラメータ決定部14fに入力する。ス
テップサイズパラメータ決定部14fは二次音伝搬特性
付与部14eの出力信号Yc′と合成音信号Eとの比率
η(=E/Yc′)に応じて適応信号処理に用いるステ
ップサイズパラメータμを決定し、適応信号処理部14
aに入力する。適応信号処理部14aはこの入力された
ステップサイズパラメータμを用いて、適応信号処理を
実行する。以後、同様に比率ηの値に応じて、すなわち
騒音キャンセル状態に応じてμを変更しながら適応信号
処理を実行して騒音をキャンセルする。このようにすれ
ば、騒音キャンセル状態が悪い場合にはステップサイズ
パラメータμの値を大きくして収束性を良好にでき、短
時間で適応フィルタの係数値を最適値に近づけることが
できる。そして、騒音がキャンセルされる度合いに応じ
てμを小さくしてゆくから最適値に近づいた時点では十
分な安定性を保持でき、十分な騒音防止効果を発揮でき
る。
【0035】(b) 本発明の第2の実施例 図4は本発明の別の実施例構成図であり、第1の実施例
と同一部分には同一符号を付している。第2の実施例が
第1の実施例と異なる点は、合成音信号Eに含まれるキ
ャンセルしたい騒音の周波数成分のみを通過するトラッ
クキングコントロールフィルタ(バンドパスフィルタ)
19を設けた点、及び、ステップサイズパラメータ決定
部14fがこのトラッキングコントロールフィルタ19
から出力される信号を合成音信号として比率ηを計算す
る点である。騒音キャンセル点における騒音には、キャ
ンセルしたい騒音とキャンセルの対象でない外部騒音が
存在する。このためエラーマイク17から出力される合
成音信号Eにはこのキャンセル対象でない騒音が含ま
れ、正確な比率ηの計算ができず、誤ったステップサイ
ズパラメータμの決定をする場合が生じる。そこで、第
2の実施例では、合成音信号Eより真にキャンセルした
い騒音の周波数成分のみを抽出して比率ηを計算し、該
比率ηに基づいてステップサイズパラメータμを決定す
るものである。このようにすれば、キャンセルしたい騒
音以外の外部騒音に影響されず、正しくステップサイズ
パラメータμを決定でき、より収束性に優れ、かつ、安
定性に優れた騒音キャンセル装置を提供することができ
る。
0036】トラッキングコントロールフィルタ トラッキングコントロールフィルタ19は、周期性ノイ
ズ(例えばエンジン音)の周波数に応じた中心周波数及
び帯域を有する複数のフィルタを備え、エンジン回転数
Rに基づいて所定のフィルタを選択し、該フィルタを通
過した信号を合成音信号E´として出力するようになっ
ている。図5はトラッキングコントロールフィルタ19
の構成図であり、19a〜19nはいくつかのエンジン
回転数範囲に応じた、換言すれば周期性ノイズのいくつ
かの周波数範囲に応じた中心周波数及び帯域幅を有する
フィルタであり、19pはエンジン回転数Rに応じたフ
ィルタのみに合成音信号Eを入力するフィルタ選択回路
である。エンジン回転数Rが600rpmの場合、周期
性ノイズの周波数は20Hzである。従って、回転数6
00rpmに対応するフィルタはカットオフ周波数が3
0Hz程度のロ−パスフィルタとなる。又、エンジン回
転数Rが6000rpmの場合、周期性ノイズの周波数
は200Hzであるから、該回転数に対応するフィルタ
は中心周波数が200Hz、帯域幅が50Hz程度のバ
ンドパスフィルタとなる。
【0037】全体の動作 エンジン11が回転すると、その回転数Rは回転数セン
サ12により検出されて参照信号発生部13とトラッキ
ングコントロールフィルタ19に入力される。参照信号
発生部13はエンジン回転数Rが入力されると、該回転
数に応じた周波数の参照信号SNを発生して騒音キャン
セルコントローラ14に入力する。又、トラッキングコ
ントロールフィルタ19は回転数に応じた周波数帯域に
設定される。すなわち、回転数に応じた所定のフィルタ
を選択する。エンジン11から発生した周期性を有する
エンジン音(周期性ノイズ)は、所定の伝達関数を有す
る騒音伝搬系(一次音伝搬系)を有する空中を伝播して騒
音キャンセル点に至る。エラーマイク17は騒音キャン
セル点における騒音とキャンセル音の合成音を検出し、
合成音信号(エラー信号)Eを適応信号処理部14aに
入力する。以上と並行してフィルタードX信号作成用フ
ィルタ14dは参照信号SNを入力され、適応信号処理
に用いるフィルタードX信号SN′を適応信号処理部1
4aに入力する。適応信号処理部14aは合成音信号
(エラー信号)Eとフィルタ14dより出力されるフィ
ルタードX信号SN′とステップサイズパラメータμ
(初期値は例えば0.5)を用いて、(1)式に従って適
応信号処理を行い、適応フィルタ14bの係数を決定す
る。
【0038】適応フィルタ14bは適応信号処理部14
aにより決定された係数に従って参照信号SNにデジタ
ルフィルタ処理を施して騒音キャンセル信号Yaを出力
する。DAコンバータ14cは適応フィルタ出力をDA
変換してスピーカ16に入力する。これにより、スピー
カから騒音キャンセル音が出力され、二次音伝搬系18
を介して騒音キャンセル点に到り、騒音をキャンセルす
るように作用する。エラーマイク17は騒音キャンセル
点における合成音を検出して適応信号処理部14aとト
ラッキングコントロールフィルタ19に入力する。トラ
ッキングコントロールフィルタ19にはエンジン回転数
に応じた周期性ノイズの周波数帯域が設定されているか
ら、該トラッキングコントロールフィルタ19は周期性
ノイズの帯域外の騒音信号を除去し、換言すれば周期性
ノイズと同一帯域成分のみ合成音信号E′として通過さ
せてステップサイズパラメータ決定部14fに入力す
る。これと並行して、二次音伝搬特性付与部14eは適
応フィルタ14bから出力される騒音キャンセル信号Y
aにキャンセル音伝搬系18と同等の伝搬特性を付与し
て騒音キャンセル点におけるキャンセル音信号Yc′を
生成してステップサイズパラメータ決定部14fに入力
する。ステップサイズパラメータ決定部14fは二次音
伝搬特性付与部14eの出力信号Yc′と合成音信号
E′との比率η(=E′/Yc′)に応じて適応信号処
理に用いるステップサイズパラメータμを決定し、適応
信号処理部14aに入力する。
【0039】適応信号処理部14aはこの入力されたス
テップサイズパラメータμを用いて、適応信号処理を実
行し、以後、同様に比率ηの値に応じて、すなわち騒音
キャンセル状態に応じてμを変更しながら、適応信号処
理を実行して騒音をキャンセルする。このように、周期
性ノイズの帯域が設定されるフィルタを設けたから、真
にキャンセルしたい周期性ノイズ以外の騒音を合成音信
号から除去でき、従って、正しくステップサイズパラメ
ータμを決定でき、短時間で、かつ安定して騒音をキャ
ンセルすることができる。以上、本発明を実施例により
説明したが、本発明は請求の範囲に記載した本発明の主
旨に従い種々の変形が可能であり、本発明はこれらを排
除するものではない。
【0040】
【発明の効果】以上本発明によれば、騒音キャンセル信
号にキャンセル音伝搬系と同等の伝搬特性を付与する伝
搬特性付与手段と、該伝搬特性付与手段の出力信号と合
成音信号の比率に応じて適応信号処理に用いるステップ
サイズパラメータの値を変更するステップサイズパラメ
ータ決定手段とを設け、騒音が十分にキャンセルされて
いない場合(合成音信号が大きくて比率が大きい場
合)、ステップサイズパラメータμの値を大きくし、騒
音キャンセルの度合いに応じて(比率が小さくなるにつ
れて)、ステップサイズパラメータの値を小さくしたか
ら、適応フィルタの係数収束性と安定性の両方を満足す
ることができ、騒音を効果的にキャンセルすることがで
きる。又、本発明によれば、合成音信号よりキャンセル
したい騒音の周波数成分のみを通過するバンドパスフィ
ルタを設け、このバンドパスフィルタの出力信号を合成
音信号として前記比率を計算するように構成したから、
キャンセルしたい騒音以外の雑音に影響されずより収束
速度が早い、安定性に優れた騒音キャンセル装置を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例構成図である。
【図2】二次音伝搬特性付与部の説明図である。
【図3】ステップサイズパラメータ決定部の構成図であ
る。
【図4】本発明の第2の実施例構成図である。
【図5】トラッキングコントロールフィルタの構成図で
ある。
【図6】従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図7】騒音キャンセル動作説明用波形図である。
【図8】騒音源、スピーカ、観測点が複数存在する場合
の従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図9】一次音仮想伝搬系の説明図である。
【図10】伝達関数マトリックスの各要素を実現するデ
ジタルフィルタの構成図である。
【図11】二次音伝搬系の説明図である。
【図12】フィルタードX信号作成用フィルタの構成図
である。
【図13】適応フィルタの構成図である。
【図14】騒音源、スピーカ、観測点が2個存在する場
合の従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【符号の説明】
13・・参照信号発生部 14・・騒音キャンセルコントローラ 14a・・適応信号処理部 14b・・適応フィルタ 14d・・フィルタードX信号作成用フィルタ 14e・・二次音伝搬特性付与部 14f・・ステップサイズパラメータ決定部 16・・スピーカ 17・・エラーマイク 18・・二次音伝搬系 19・・トラッキングコントロールフィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢田 秀司 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 佐野 久 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平3−178846(JP,A) 特開 平5−27777(JP,A) 特開 平5−61490(JP,A) 特開 平5−73074(JP,A) 特開 平5−80785(JP,A) 特開 平5−232971(JP,A) 特開 昭63−228817(JP,A) 特開 平3−266516(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/178 B60R 11/02 H03H 17/02 601 H03H 21/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音キャンセル点における騒音をキャン
    セルするためにキャンセル音を出力するキャンセル音発
    生源と、騒音キャンセル点における騒音とキャンセル音
    との合成音を検出するセンサと、騒音キャンセル点にお
    ける合成音信号と騒音源から発生する騒音に応じた参照
    信号を入力され、これら信号と信号処理用の係数である
    ステップサイズパラメータを用いて前記騒音キャンセル
    点における騒音をキャンセルするように適応信号処理を
    行って騒音キャンセル信号を発生してキャンセル音発生
    源に入力する騒音キャンセルコントローラを備えた騒音
    キャンセル装置において、 騒音キャンセル信号に対しキャンセル音発生源からセン
    サまでのキャンセル音伝搬系と同等の伝搬特性を付与す
    る伝搬特性付与手段と、 該伝搬特性付与手段の出力信号と合成音信号の比率に応
    じて適応信号処理に用いる前記ステップサイズパラメー
    タの値を決定するステップサイズパラメータ決定手段と
    を備えたことを特徴とする騒音キャンセル装置。
  2. 【請求項2】 合成音信号に含まれるキャンセルしたい
    騒音の周波数成分を通過するバンドパスフィルタを備
    え、 前記ステップサイズパラメータ決定手段は、このバンド
    パスフィルタの出力信号を合成音信号として前記比率を
    計算することを特徴とする請求項1記載の騒音キャンセ
    ル装置。
JP17219692A 1992-06-30 1992-06-30 騒音キャンセル装置 Expired - Fee Related JP3380571B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17219692A JP3380571B2 (ja) 1992-06-30 1992-06-30 騒音キャンセル装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17219692A JP3380571B2 (ja) 1992-06-30 1992-06-30 騒音キャンセル装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0619485A JPH0619485A (ja) 1994-01-28
JP3380571B2 true JP3380571B2 (ja) 2003-02-24

Family

ID=15937365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17219692A Expired - Fee Related JP3380571B2 (ja) 1992-06-30 1992-06-30 騒音キャンセル装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3380571B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5557682A (en) * 1994-07-12 1996-09-17 Digisonix Multi-filter-set active adaptive control system
JP4378391B2 (ja) 2007-03-28 2009-12-02 本田技研工業株式会社 車両用能動型騒音制御システム
JP5707663B2 (ja) * 2008-04-18 2015-04-30 富士通株式会社 能動消音装置
US9318095B2 (en) 2010-02-18 2016-04-19 Pioneer Corporation Active vibration noise control device
JP5503023B2 (ja) * 2011-01-06 2014-05-28 パイオニア株式会社 能動型振動騒音制御装置、能動型振動騒音制御方法及び能動型振動騒音制御プログラム
JP7346121B2 (ja) * 2018-10-26 2023-09-19 パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ 騒音制御装置、騒音制御方法及びプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0619485A (ja) 1994-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5524057A (en) Noise-canceling apparatus
JP3471370B2 (ja) 能動振動制御装置
US5410606A (en) Noise canceling method
JPH0728474A (ja) 騒音キャンセル方式
JP3380571B2 (ja) 騒音キャンセル装置
JPH06266374A (ja) 騒音キャンセル方式
JPH06195089A (ja) 騒音キャンセル方式
JP3383325B2 (ja) 騒音キャンセル方式
JP3439229B2 (ja) 騒音キャンセル方式
JPH0659681A (ja) 騒音キャンセル方式
JPH06138885A (ja) 騒音キャンセル装置
JP3432845B2 (ja) 騒音キャンセル方式
JPH0635480A (ja) 騒音キャンセル装置
JP3439245B2 (ja) 騒音キャンセルシステム
JP3405743B2 (ja) 騒音キャンセル方式
JP3405742B2 (ja) 騒音キャンセル方式
JP2901990B2 (ja) 合成音発生装置
JP3502112B2 (ja) 騒音キャンセル装置
JPH06195088A (ja) 騒音キャンセル方式
JP3532582B2 (ja) 騒音キャンセル装置
JP3405752B2 (ja) 騒音キャンセル方式
JP3393738B2 (ja) 適応信号処理方法
JP3431932B2 (ja) 騒音キャンセル方式
JP3532583B2 (ja) 騒音キャンセル方式
JP3406627B2 (ja) 騒音キャンセル方式

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20021203

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091213

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees