JPH06138885A - 騒音キャンセル装置 - Google Patents
騒音キャンセル装置Info
- Publication number
- JPH06138885A JPH06138885A JP4291256A JP29125692A JPH06138885A JP H06138885 A JPH06138885 A JP H06138885A JP 4291256 A JP4291256 A JP 4291256A JP 29125692 A JP29125692 A JP 29125692A JP H06138885 A JPH06138885 A JP H06138885A
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- JP
- Japan
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- noise
- signal
- gain
- sound
- adaptive
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 S/N比が良好で、しかも、幅広いダイナミ
ックレンジの合成音信号(エラー信号)を適応信号処理
部に入力する。 【構成】 ゲインコントロール部42はADコンバータ
41の入力信号がそのダイナミックレンジを越えないよ
うにゲイン可変アンプ39のゲインを制御すると共に、
スケーリング部34dのスケーリング定数をゲイン変化
方向と逆方向に制御する。すなわち、ゲインコントロー
ル部42よりゲイン可変アンプ39のゲインを1/n倍
するように指示すると、スケーリング部にはADコンバ
ータから入力された数値をn倍するように指示し、エラ
ーマイク38から適応信号処理部34aまでのゲインG
を一定にし、また、ゲインGを大きくしてもダイナミッ
クレンジを越えないようにする。
ックレンジの合成音信号(エラー信号)を適応信号処理
部に入力する。 【構成】 ゲインコントロール部42はADコンバータ
41の入力信号がそのダイナミックレンジを越えないよ
うにゲイン可変アンプ39のゲインを制御すると共に、
スケーリング部34dのスケーリング定数をゲイン変化
方向と逆方向に制御する。すなわち、ゲインコントロー
ル部42よりゲイン可変アンプ39のゲインを1/n倍
するように指示すると、スケーリング部にはADコンバ
ータから入力された数値をn倍するように指示し、エラ
ーマイク38から適応信号処理部34aまでのゲインG
を一定にし、また、ゲインGを大きくしてもダイナミッ
クレンジを越えないようにする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は騒音キャンセル装置に係
わり、特に騒音キャンセル点(観測点)における騒音と
キャンセル音との合成音を高S/N比、高ダイナミック
レンジで検出して適応信号処理部に入力できる騒音キャ
ンセル装置に関する。
わり、特に騒音キャンセル点(観測点)における騒音と
キャンセル音との合成音を高S/N比、高ダイナミック
レンジで検出して適応信号処理部に入力できる騒音キャ
ンセル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】騒音対策としては、従来より吸音材を用
いる方法(パッシブ制御)が知られている。しかし、吸
音材を用いる方法では、騒音が小さい静音エリアを形成
するのが面倒であると共に、低音を効果的に消せない問
題がある。特に、自動車の車室内の騒音を防止するに
は、自動車の重量が増大すると共に、騒音を効果的に消
せない問題がある。このため、騒音と逆位相の騒音キャ
ンセル音をスピ−カから放射して騒音を低減する方法
(アクティブ制御)が脚光を浴び、工場やオフィスなど
の室内空間の一部に実用化されつつある。又、自動車の
車室内においてもアクティブ制御により騒音を低減する
方式が提案されている。
いる方法(パッシブ制御)が知られている。しかし、吸
音材を用いる方法では、騒音が小さい静音エリアを形成
するのが面倒であると共に、低音を効果的に消せない問
題がある。特に、自動車の車室内の騒音を防止するに
は、自動車の重量が増大すると共に、騒音を効果的に消
せない問題がある。このため、騒音と逆位相の騒音キャ
ンセル音をスピ−カから放射して騒音を低減する方法
(アクティブ制御)が脚光を浴び、工場やオフィスなど
の室内空間の一部に実用化されつつある。又、自動車の
車室内においてもアクティブ制御により騒音を低減する
方式が提案されている。
【0003】図2は従来の騒音キャンセルを実現する装
置の構成図であり、11は騒音源であるエンジン、12
はエンジン回転数Rを検出する回転数センサ、13はエ
ンジン回転数Rに応じた周波数を有する一定振幅の正弦
波信号を参照信号xa1nとして発生する参照信号発生部
である。騒音源がエンジンの場合、エンジン回転により
発生するノイズは周期性を有し(周期性ノイズ)、その
周波数はエンジン回転数に依存する。例えば、4気筒エ
ンジンの場合、車室内に発生する周期性ノイズはエンジ
ン回転数の2次高調波が支配的であり、回転数が600
rpm(10rps)の時、車室内に発生するノイズの
周波数は20Hz、回転数が6000rpm(100r
ps)の時、車室内に発生するノイズの周波数は200
Hzである。参照信号発生部13は、2次高次調波の正
弦波データをROMに記憶しておき、そのデータを必要
に応じて読み出して出力することにより参照信号xa1n
を生成する。尚、このデータの読み出し/出力タイミン
グはエンジン回転数Rに応じてコントロールされ、これ
によりエンジン回転数Rに応じて発生する周期性ノイズ
の周波数を有する参照信号が出力されるようになってい
る。
置の構成図であり、11は騒音源であるエンジン、12
はエンジン回転数Rを検出する回転数センサ、13はエ
ンジン回転数Rに応じた周波数を有する一定振幅の正弦
波信号を参照信号xa1nとして発生する参照信号発生部
である。騒音源がエンジンの場合、エンジン回転により
発生するノイズは周期性を有し(周期性ノイズ)、その
周波数はエンジン回転数に依存する。例えば、4気筒エ
ンジンの場合、車室内に発生する周期性ノイズはエンジ
ン回転数の2次高調波が支配的であり、回転数が600
rpm(10rps)の時、車室内に発生するノイズの
周波数は20Hz、回転数が6000rpm(100r
ps)の時、車室内に発生するノイズの周波数は200
Hzである。参照信号発生部13は、2次高次調波の正
弦波データをROMに記憶しておき、そのデータを必要
に応じて読み出して出力することにより参照信号xa1n
を生成する。尚、このデータの読み出し/出力タイミン
グはエンジン回転数Rに応じてコントロールされ、これ
によりエンジン回転数Rに応じて発生する周期性ノイズ
の周波数を有する参照信号が出力されるようになってい
る。
【0004】14は騒音キャンセルコントローラであ
り、参照信号発生部13から発生する参照信号xa1nを
入力されると共に、車室内の騒音キャンセル位置(観測
点であり例えば運転者の耳元近傍)における騒音Sn1と
キャンセル音Sc1の合成音信号をエラ−信号e1nとして
入力され、該エラ−信号が最小となるように適応信号処
理を行って騒音キャンセル信号ya1nを出力する。騒音
キャンセルコントローラ14は、適応信号処理部14a
と、デジタルフィルタ構成の適応フィルタ14bと、ス
ピーカから騒音キャンセル点までのキャンセル音伝搬系
(二次音伝搬系)の伝達関数に基づいて作成され、参照
信号xa1nが入力されるフィルタ14cを有している。
15は適応フィルタ出力(騒音キャンセル信号ya1n)
をアナログの騒音キャンセル信号に変換するDAコンバ
ータ、16は騒音キャンセル信号を増幅するパワ−アン
プ、17は騒音キャンセル音Sc1を放射するキャンセル
スピ−カ、18は騒音キャンセル点に配置され、騒音S
n1とキャンセル音Sc1の合成音を検出し、合成音信号を
エラ−信号e1nとして出力するエラ−マイク、19はエ
ラー信号e1nを増幅するアンプ、20は周期性ノイズの
帯域外の騒音信号を除去するローパスフィルタ、20′
はローパスフィルタ出力をデジタルに変換するADコン
バータである。
り、参照信号発生部13から発生する参照信号xa1nを
入力されると共に、車室内の騒音キャンセル位置(観測
点であり例えば運転者の耳元近傍)における騒音Sn1と
キャンセル音Sc1の合成音信号をエラ−信号e1nとして
入力され、該エラ−信号が最小となるように適応信号処
理を行って騒音キャンセル信号ya1nを出力する。騒音
キャンセルコントローラ14は、適応信号処理部14a
と、デジタルフィルタ構成の適応フィルタ14bと、ス
ピーカから騒音キャンセル点までのキャンセル音伝搬系
(二次音伝搬系)の伝達関数に基づいて作成され、参照
信号xa1nが入力されるフィルタ14cを有している。
15は適応フィルタ出力(騒音キャンセル信号ya1n)
をアナログの騒音キャンセル信号に変換するDAコンバ
ータ、16は騒音キャンセル信号を増幅するパワ−アン
プ、17は騒音キャンセル音Sc1を放射するキャンセル
スピ−カ、18は騒音キャンセル点に配置され、騒音S
n1とキャンセル音Sc1の合成音を検出し、合成音信号を
エラ−信号e1nとして出力するエラ−マイク、19はエ
ラー信号e1nを増幅するアンプ、20は周期性ノイズの
帯域外の騒音信号を除去するローパスフィルタ、20′
はローパスフィルタ出力をデジタルに変換するADコン
バータである。
【0005】適応信号処理部14aは騒音キャンセル点
におけるエラー信号e1nとフィルタ14cを介して入力
される信号処理用の参照信号R11を入力され、これら信
号を用いて騒音キャンセル点における騒音をキャンセル
するように適応信号処理を行って適応フィルタ14bの
係数を決定する。例えば適応信号処理部14aは周知の
LMS(Least Mean Square)適応アルゴリズムに従っ
て、エラ−マイク18から入力されたエラ−信号e1nが
最小となるように適応フィルタ14bの係数を決定す
る。適応フィルタ14bは適応信号処理部14aにより
決定された係数に従って参照信号xa1nにデジタルフィ
ルタ処理を施してDAコンバータ15より騒音キャンセ
ル信号ya1nを出力する。尚、参照信号xa1nは、消去し
たい騒音 Sn1と相関の高い信号でなくてはならず、参
照信号と相関のない音は消去されない。エンジン11が
回転すると、その回転数Rは回転数センサ12により検
出され、参照信号発生部13はエンジン回転数Rに応じ
た周波数の参照信号xa1n(図3(a)参照)を発生し、騒
音キャンセルコントローラ14に入力する。この時、エ
ンジン11から発生した周期性を有するエンジン音(周
期性ノイズ)は、所定の伝達関数を有する騒音伝搬系
(一次音伝搬系)を有する空中を伝播して騒音キャンセル
点に至る。従って、該騒音キャンセル点における騒音
(エンジン音)Sn1はレベルが若干弱まり、かつ若干遅
延して図3(b)に示すようになる。
におけるエラー信号e1nとフィルタ14cを介して入力
される信号処理用の参照信号R11を入力され、これら信
号を用いて騒音キャンセル点における騒音をキャンセル
するように適応信号処理を行って適応フィルタ14bの
係数を決定する。例えば適応信号処理部14aは周知の
LMS(Least Mean Square)適応アルゴリズムに従っ
て、エラ−マイク18から入力されたエラ−信号e1nが
最小となるように適応フィルタ14bの係数を決定す
る。適応フィルタ14bは適応信号処理部14aにより
決定された係数に従って参照信号xa1nにデジタルフィ
ルタ処理を施してDAコンバータ15より騒音キャンセ
ル信号ya1nを出力する。尚、参照信号xa1nは、消去し
たい騒音 Sn1と相関の高い信号でなくてはならず、参
照信号と相関のない音は消去されない。エンジン11が
回転すると、その回転数Rは回転数センサ12により検
出され、参照信号発生部13はエンジン回転数Rに応じ
た周波数の参照信号xa1n(図3(a)参照)を発生し、騒
音キャンセルコントローラ14に入力する。この時、エ
ンジン11から発生した周期性を有するエンジン音(周
期性ノイズ)は、所定の伝達関数を有する騒音伝搬系
(一次音伝搬系)を有する空中を伝播して騒音キャンセル
点に至る。従って、該騒音キャンセル点における騒音
(エンジン音)Sn1はレベルが若干弱まり、かつ若干遅
延して図3(b)に示すようになる。
【0006】最初、騒音キャンセルコントローラ14は
例えば参照信号xa1nと位相が逆の騒音キャンセル信号
ya1nを出力し、キャンセルスピ−カ16より図3(c)に
示すキャンセル音Sc1を出力する。しかし、騒音Sn1の
レベルと位相がずれているため、キャンセル音Sc1によ
り騒音はキャンセルされず、エラ−信号e1nが発生す
る。騒音キャンセルコントローラ14は該エラ−信号e
1nが最小となるように適応信号処理を行って適応フィル
タ14bの係数を決定し、理想的な場合、最終的に図3
(d)に示すようにキャンセル音Sc1の位相を騒音Sn1の
位相と逆相にし、かつレベルを一致させ騒音をキャンセ
ルする。
例えば参照信号xa1nと位相が逆の騒音キャンセル信号
ya1nを出力し、キャンセルスピ−カ16より図3(c)に
示すキャンセル音Sc1を出力する。しかし、騒音Sn1の
レベルと位相がずれているため、キャンセル音Sc1によ
り騒音はキャンセルされず、エラ−信号e1nが発生す
る。騒音キャンセルコントローラ14は該エラ−信号e
1nが最小となるように適応信号処理を行って適応フィル
タ14bの係数を決定し、理想的な場合、最終的に図3
(d)に示すようにキャンセル音Sc1の位相を騒音Sn1の
位相と逆相にし、かつレベルを一致させ騒音をキャンセ
ルする。
【0007】以上は説明を簡単にするために、騒音源を
1個、キャンセル音発生源(スピーカ)を1個、騒音キ
ャンセル点(観測点)を1箇所とした例である。しか
し、実際には騒音源は複数存在し、又、騒音をキャンセ
ルしたい地点(観測点)も複数存在し、このため1つの
スピーカでは各観測点の騒音をキャンセルできず、スピ
ーカも複数存在する。図4は騒音源がK個、スピーカが
M個、観測点がL箇所の場合における従来の騒音キャン
セル装置の構成図である。21は各観測点における騒音
をキャンセルするように動作するDSP(デジタル・シ
グナル・プロセッサ)構成の騒音キャンセルコントロー
ラ、22は各騒音源(図示せず)から各観測点まで騒音
が伝搬する系を表現した一次音仮想伝搬系(騒音伝搬
系)、23はスピーカの特性を含め、各スピーカから各
観測点までのキャンセル音が伝搬する系を表現する二次
音伝搬系(キャンセル音伝搬系)、24は各観測点にお
けるマイクの機能を表現する信号合成部で、加算部24
1〜241′は第1観測点におけるマイクに相当し、加算
部242〜242′は第2観測点におけるマイクに相当
し、・・・加算部24L〜24L′は第L観測点における
マイクに相当する。dd1n〜ddLnは各観測点におけるキ
ャンセル対象でない外部雑音である。尚、DAコンバ−
タ、ADコンバータ等は省略している。
1個、キャンセル音発生源(スピーカ)を1個、騒音キ
ャンセル点(観測点)を1箇所とした例である。しか
し、実際には騒音源は複数存在し、又、騒音をキャンセ
ルしたい地点(観測点)も複数存在し、このため1つの
スピーカでは各観測点の騒音をキャンセルできず、スピ
ーカも複数存在する。図4は騒音源がK個、スピーカが
M個、観測点がL箇所の場合における従来の騒音キャン
セル装置の構成図である。21は各観測点における騒音
をキャンセルするように動作するDSP(デジタル・シ
グナル・プロセッサ)構成の騒音キャンセルコントロー
ラ、22は各騒音源(図示せず)から各観測点まで騒音
が伝搬する系を表現した一次音仮想伝搬系(騒音伝搬
系)、23はスピーカの特性を含め、各スピーカから各
観測点までのキャンセル音が伝搬する系を表現する二次
音伝搬系(キャンセル音伝搬系)、24は各観測点にお
けるマイクの機能を表現する信号合成部で、加算部24
1〜241′は第1観測点におけるマイクに相当し、加算
部242〜242′は第2観測点におけるマイクに相当
し、・・・加算部24L〜24L′は第L観測点における
マイクに相当する。dd1n〜ddLnは各観測点におけるキ
ャンセル対象でない外部雑音である。尚、DAコンバ−
タ、ADコンバータ等は省略している。
【0008】騒音キャンセルコントローラ21はDSP
で構成され、多入力−多出力適応フィルタ(以後単に適
応フィルタと言う)21aと、フィルタードX信号作成
用フィルタ21bと、適応信号処理部21cとに分けら
れる。適応フィルタ21aは参照信号発生部(図示せ
ず)から入力された参照信号xa1n〜xaKnに所定のフィ
ルタリング処理を施して騒音キャンセル信号ya1n〜y
aMnを発生し、該騒音キャンセル信号を各スピーカに入
力する。フィルタードX信号作成用フィルタ21bは参
照信号xa1n〜xaKnに二次音伝搬系23の伝達関数マト
リックスの各要素(伝搬要素)を畳み込んで信号処理用
の参照信号(フィルタードX信号)r111n〜rLMKnを出
力する。適応信号処理部21cは各観測点におけるエラ
ー信号e1n〜eLnとフィルタ21bから出力されるフィ
ルタードX信号r111n〜rLMKnを入力され、これら信号
を用いて各観測点における騒音をキャンセルするように
適応信号処理を行って適応フィルタ21aの係数を決定
する。
で構成され、多入力−多出力適応フィルタ(以後単に適
応フィルタと言う)21aと、フィルタードX信号作成
用フィルタ21bと、適応信号処理部21cとに分けら
れる。適応フィルタ21aは参照信号発生部(図示せ
ず)から入力された参照信号xa1n〜xaKnに所定のフィ
ルタリング処理を施して騒音キャンセル信号ya1n〜y
aMnを発生し、該騒音キャンセル信号を各スピーカに入
力する。フィルタードX信号作成用フィルタ21bは参
照信号xa1n〜xaKnに二次音伝搬系23の伝達関数マト
リックスの各要素(伝搬要素)を畳み込んで信号処理用
の参照信号(フィルタードX信号)r111n〜rLMKnを出
力する。適応信号処理部21cは各観測点におけるエラ
ー信号e1n〜eLnとフィルタ21bから出力されるフィ
ルタードX信号r111n〜rLMKnを入力され、これら信号
を用いて各観測点における騒音をキャンセルするように
適応信号処理を行って適応フィルタ21aの係数を決定
する。
【0009】図5は一次音仮想伝搬系22の説明図であ
り、図5(a)に示すようにK個の各騒音源NG1〜NGK
から発生する騒音は所定の周波数・位相特性を有する一
次音伝搬系22を伝搬して各観測点に設けたマイク(M
IC1〜MICL)に到達する。従って、第i番目の騒音
源NGiからの騒音が第j番目のマイクMICjに到る伝
搬系の伝達特性をHjiとすると、一次音仮想伝搬系22
は図5(b)に示すように表現され、その伝達関数マトリ
ックス(H)は以下のようになる。
り、図5(a)に示すようにK個の各騒音源NG1〜NGK
から発生する騒音は所定の周波数・位相特性を有する一
次音伝搬系22を伝搬して各観測点に設けたマイク(M
IC1〜MICL)に到達する。従って、第i番目の騒音
源NGiからの騒音が第j番目のマイクMICjに到る伝
搬系の伝達特性をHjiとすると、一次音仮想伝搬系22
は図5(b)に示すように表現され、その伝達関数マトリ
ックス(H)は以下のようになる。
【0010】
【数1】
【0011】伝達関数マトリックス(H)の各要素Hijは
図6に示すFIR型デジタルフィルタによりモデル化さ
れる。すなわち、入力信号を順次1サンプリング時間遅
延する遅延要素DLと、各遅延要素出力に係数h0,
h1,h2,・・・を乗算する乗算部MLと、乗算部出力
を加算する加算部ADより成るデジタルフィルタでモデ
ル化される。図7は二次音伝搬系23の説明図であり、
図7(a)に示すように各スピーカSP1〜SPMから発生
する騒音キャンセル音は所定の周波数・位相特性を有す
る二次音伝搬系23を伝搬して各観測点に設けたマイク
MIC1〜MICLに到達する。従って、第i番目の騒音
キャンセル信号yainに基づくキャンセル音が第j番目
のマイクMICjに到る二次音伝搬系の伝達特性をCji
とすると、二次音伝搬系23は図7(b)に示すようにモ
デル化され、その伝達関数マトリックス(C)は以下のよ
うになる。
図6に示すFIR型デジタルフィルタによりモデル化さ
れる。すなわち、入力信号を順次1サンプリング時間遅
延する遅延要素DLと、各遅延要素出力に係数h0,
h1,h2,・・・を乗算する乗算部MLと、乗算部出力
を加算する加算部ADより成るデジタルフィルタでモデ
ル化される。図7は二次音伝搬系23の説明図であり、
図7(a)に示すように各スピーカSP1〜SPMから発生
する騒音キャンセル音は所定の周波数・位相特性を有す
る二次音伝搬系23を伝搬して各観測点に設けたマイク
MIC1〜MICLに到達する。従って、第i番目の騒音
キャンセル信号yainに基づくキャンセル音が第j番目
のマイクMICjに到る二次音伝搬系の伝達特性をCji
とすると、二次音伝搬系23は図7(b)に示すようにモ
デル化され、その伝達関数マトリックス(C)は以下のよ
うになる。
【0012】
【数2】
【0013】伝達関数マトリックス(C)の各要素は一次
音仮想伝搬系22の場合と同様に、図6に示すFIR型
デジタルフィルタによりモデル化される。すなわち、入
力信号を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL
と、各遅延要素出力に係数c 0,c1,c2,・・・を乗
算する乗算部MLと、各乗算部出力を加算する加算部A
Dより成るデジタルフィルタでモデル化される。図8は
二次音伝搬系23の伝達関数マトリックス(C)の各要素
Cijを用いて作成したフィルタードX信号作成用フィル
タ21bの構成図である。適応信号処理部21cは参照
信号xa1n〜xaKnと、各観測点における騒音とキャンセ
ル音との合成信号(エラー信号)e1n〜eLnとに基づい
て適応信号処理を実行して適応フィルタの係数を更新
し、適応フィルタ21aは参照信号xa1n〜xaKnを入力
されて騒音キャンセル信号ya1n〜yaMnを発生してスピ
ーカに入力し、各観測点の騒音をキャンセルする。
音仮想伝搬系22の場合と同様に、図6に示すFIR型
デジタルフィルタによりモデル化される。すなわち、入
力信号を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL
と、各遅延要素出力に係数c 0,c1,c2,・・・を乗
算する乗算部MLと、各乗算部出力を加算する加算部A
Dより成るデジタルフィルタでモデル化される。図8は
二次音伝搬系23の伝達関数マトリックス(C)の各要素
Cijを用いて作成したフィルタードX信号作成用フィル
タ21bの構成図である。適応信号処理部21cは参照
信号xa1n〜xaKnと、各観測点における騒音とキャンセ
ル音との合成信号(エラー信号)e1n〜eLnとに基づい
て適応信号処理を実行して適応フィルタの係数を更新
し、適応フィルタ21aは参照信号xa1n〜xaKnを入力
されて騒音キャンセル信号ya1n〜yaMnを発生してスピ
ーカに入力し、各観測点の騒音をキャンセルする。
【0014】ところで、適応フィルタ21aから出力さ
れる騒音キャンセル信号ya1n〜ya Mnは観測点にそのま
ま到達するのでなく、二次音伝搬系23の周波数・位相
特性の影響を受けて到達する。このため、適応信号処理
部21cは、参照信号xa1n〜xaKnをそのまま使用せ
ず、参照信号に二次音伝搬系23の特性を付加した信号
を用いるフィルタードX LMS(MEFX LMS)ア
ルゴリズムを採用し、より高度な騒音キャンセル制御を
行っている。すなわち、フィルタードX LMSアルゴ
リズムでは、参照信号xa1n〜xaKnをフィルタ21bに
よりフィルタリングした信号(フィルタードX信号)と
各観測点におけるエラー信号とを用いて適応フィルタ2
1aの係数更新を行う。
れる騒音キャンセル信号ya1n〜ya Mnは観測点にそのま
ま到達するのでなく、二次音伝搬系23の周波数・位相
特性の影響を受けて到達する。このため、適応信号処理
部21cは、参照信号xa1n〜xaKnをそのまま使用せ
ず、参照信号に二次音伝搬系23の特性を付加した信号
を用いるフィルタードX LMS(MEFX LMS)ア
ルゴリズムを採用し、より高度な騒音キャンセル制御を
行っている。すなわち、フィルタードX LMSアルゴ
リズムでは、参照信号xa1n〜xaKnをフィルタ21bに
よりフィルタリングした信号(フィルタードX信号)と
各観測点におけるエラー信号とを用いて適応フィルタ2
1aの係数更新を行う。
【0015】図8において、Cijは二次音伝搬系23に
おける伝達関数マトリックス(C)の各要素Cij(図7
参照)を実現するFIR型デジタルフィルタである。フ
ィルタ21bは各参照信号xa1n〜xaKnに全ての伝搬要
素の特性を畳み込んで(全ての伝搬要素に対応するフィ
ルタを通過させて)フィルタードX信号r111n〜rLM Kn
を出力するようになっている。すなわち、参照信号x
a1nに第1番目のスピーカから全観測点までの伝搬要素
C11〜CL1を作用させてフィルタードX信号r11 1n〜r
L11nを出力し、参照信号xa1nに第2番目のスピーカか
ら全観測点までの伝搬要素C12〜CL2を作用させてフィ
ルタードX信号r121n〜rL21nを出力し、・・・参照信
号xa1nに第M番目のスピーカから全観測点までの伝搬
要素C1M〜CLMを作用させてフィルタードX信号r1M1n
〜rLM1nを出力し、以下同様に、参照信号xa2n〜xaKn
に全ての伝搬要素を作用させる。尚、 R11=(r111n,r211n,・・・rL11n) R21=(r121n,r221n,・・・rL21n) ・・・ RM1=(r1M1n,r2M1n,・・・rLM1n) ・・・ RMK=(r1MKn,r2MKn,・・・rLMKn) と表現する。
おける伝達関数マトリックス(C)の各要素Cij(図7
参照)を実現するFIR型デジタルフィルタである。フ
ィルタ21bは各参照信号xa1n〜xaKnに全ての伝搬要
素の特性を畳み込んで(全ての伝搬要素に対応するフィ
ルタを通過させて)フィルタードX信号r111n〜rLM Kn
を出力するようになっている。すなわち、参照信号x
a1nに第1番目のスピーカから全観測点までの伝搬要素
C11〜CL1を作用させてフィルタードX信号r11 1n〜r
L11nを出力し、参照信号xa1nに第2番目のスピーカか
ら全観測点までの伝搬要素C12〜CL2を作用させてフィ
ルタードX信号r121n〜rL21nを出力し、・・・参照信
号xa1nに第M番目のスピーカから全観測点までの伝搬
要素C1M〜CLMを作用させてフィルタードX信号r1M1n
〜rLM1nを出力し、以下同様に、参照信号xa2n〜xaKn
に全ての伝搬要素を作用させる。尚、 R11=(r111n,r211n,・・・rL11n) R21=(r121n,r221n,・・・rL21n) ・・・ RM1=(r1M1n,r2M1n,・・・rLM1n) ・・・ RMK=(r1MKn,r2MKn,・・・rLMKn) と表現する。
【0016】図9は多入力−多出力の適応フィルタ21
aの構成図であり、一次音仮想伝搬系22や二次音伝搬
系23と同様の構造を有している。A11n〜AMKnはFI
R型デジタルフィルタで構成され、例えば、入力信号を
順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL1、Dl
2・・と、各遅延要素出力に係数a0,a1,a2・・を
乗算する乗算部ML1,ML2,ML3・・と、各乗算
部出力を加算する加算部AD1,AD2・・で実現され
る。尚、遅延段数は2段に限らない。各参照信号xa1n
〜xaKnをデジタルフィルタA11n〜A1Knに入力して加
算することにより第1番目のスピーカに入力する騒音キ
ャンセル信号ya1nが得られ、各参照信号xa1n〜xaKn
をデジタルフィルタA21n〜A2Knに入力して加算するこ
とにより第2番目のスピーカに入力する騒音キャンセル
信号ya2nが得られ、・・・・各参照信号xa1n〜xaKn
をデジタルフィルタAM1n〜AMKnに入力して加算するこ
とにより第M番目のスピーカに入力する騒音キャンセル
信号yaMnが得られる。
aの構成図であり、一次音仮想伝搬系22や二次音伝搬
系23と同様の構造を有している。A11n〜AMKnはFI
R型デジタルフィルタで構成され、例えば、入力信号を
順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL1、Dl
2・・と、各遅延要素出力に係数a0,a1,a2・・を
乗算する乗算部ML1,ML2,ML3・・と、各乗算
部出力を加算する加算部AD1,AD2・・で実現され
る。尚、遅延段数は2段に限らない。各参照信号xa1n
〜xaKnをデジタルフィルタA11n〜A1Knに入力して加
算することにより第1番目のスピーカに入力する騒音キ
ャンセル信号ya1nが得られ、各参照信号xa1n〜xaKn
をデジタルフィルタA21n〜A2Knに入力して加算するこ
とにより第2番目のスピーカに入力する騒音キャンセル
信号ya2nが得られ、・・・・各参照信号xa1n〜xaKn
をデジタルフィルタAM1n〜AMKnに入力して加算するこ
とにより第M番目のスピーカに入力する騒音キャンセル
信号yaMnが得られる。
【0017】適応フィルタ21aにおける各FIR型デ
ジタルフィルタA11n〜AMKnを3個の係数(2段遅延)
で構成する時、適応信号処理部21cは各FIR型デジ
タルフィルタA11n〜AMKnの3つの係数毎に適応信号処
理を行って係数値を決定する。すなわち、1つのFIR
型デジタルフィルタAijの係数a0,a1,a2について
以下に示す係数更新式の演算を行って係数a0,a1,a
2を決定する。
ジタルフィルタA11n〜AMKnを3個の係数(2段遅延)
で構成する時、適応信号処理部21cは各FIR型デジ
タルフィルタA11n〜AMKnの3つの係数毎に適応信号処
理を行って係数値を決定する。すなわち、1つのFIR
型デジタルフィルタAijの係数a0,a1,a2について
以下に示す係数更新式の演算を行って係数a0,a1,a
2を決定する。
【0018】
【数3】
【0019】(1)式において、(n)は現サンプリング時刻
の値、(n-1)は1サンプリング時刻前の値、(n-2)は2サ
ンプリング時刻前の値、(n+1)は現時刻から次サンプリ
ング時刻までの値を意味している。従って、Rij(n-2)は
2サンプリング時刻前の参照信号に応じたフィルタ21
bの出力を意味し、Rij(n-1)は1サンプリング時刻前の
参照信号に応じたフィルタ出力であり、Rij(n)は現時刻
の参照信号に応じたフィルタ出力である。又、μは適応
フィルタの係数を更新するステップを決める1以下の定
数(ステップサイズパラメータ)であり、騒音キャンセ
ルシステムに応じて適当な値に設定される。尚、ステッ
プサイズパラメータμの値は大きい程適応フィルタの係
数が最適値に近ずく速度が早くなり追従性が良くなる
が、近ずいてからオーバシュートが発生して安定性が低
下する。又、ステップサイズパラメータμの値は小さい
程最適係数値に近ずく速度が遅くなり追従性が悪くなる
が、最適値に近ずいてからのオーバシュートが小さく安
定性が良好となる。enはL個の各観測点における騒音
とキャンセル音の合成音信号であり、Rij,enはそれ
ぞれ以下のように表現される。 Rij=(r1ijn,r2ijn,・・・rLijn) Rij(n) =(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn(n) Rij(n-1)=(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn(n-1) Rij(n-2)=(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn(n-2)
の値、(n-1)は1サンプリング時刻前の値、(n-2)は2サ
ンプリング時刻前の値、(n+1)は現時刻から次サンプリ
ング時刻までの値を意味している。従って、Rij(n-2)は
2サンプリング時刻前の参照信号に応じたフィルタ21
bの出力を意味し、Rij(n-1)は1サンプリング時刻前の
参照信号に応じたフィルタ出力であり、Rij(n)は現時刻
の参照信号に応じたフィルタ出力である。又、μは適応
フィルタの係数を更新するステップを決める1以下の定
数(ステップサイズパラメータ)であり、騒音キャンセ
ルシステムに応じて適当な値に設定される。尚、ステッ
プサイズパラメータμの値は大きい程適応フィルタの係
数が最適値に近ずく速度が早くなり追従性が良くなる
が、近ずいてからオーバシュートが発生して安定性が低
下する。又、ステップサイズパラメータμの値は小さい
程最適係数値に近ずく速度が遅くなり追従性が悪くなる
が、最適値に近ずいてからのオーバシュートが小さく安
定性が良好となる。enはL個の各観測点における騒音
とキャンセル音の合成音信号であり、Rij,enはそれ
ぞれ以下のように表現される。 Rij=(r1ijn,r2ijn,・・・rLijn) Rij(n) =(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn(n) Rij(n-1)=(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn(n-1) Rij(n-2)=(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn(n-2)
【0020】
【数4】
【0021】かかる騒音キャンセル装置によれば、適応
信号処理部21cはフィルタ21bの出力であるフィル
タードX信号r111n〜rLMKnと、各観測点における騒音
とキャンセル音との合成音信号(エラー信号)e1n〜e
Lnとに基づいて適応信号処理を実行して適応フィルタ2
1aを構成する各FIR型デジタルフィルタA11n〜A
MKnの係数を決定し、適応フィルタ21aは参照信号x
a1n〜xaKnを入力されて騒音キャンセル信号ya1n〜y
aMnを発生してスピーカSP1〜SPM(図7)に入力
し、各スピーカはキャンセル音を発生して各観測点の騒
音をキャンセルするように作用する。
信号処理部21cはフィルタ21bの出力であるフィル
タードX信号r111n〜rLMKnと、各観測点における騒音
とキャンセル音との合成音信号(エラー信号)e1n〜e
Lnとに基づいて適応信号処理を実行して適応フィルタ2
1aを構成する各FIR型デジタルフィルタA11n〜A
MKnの係数を決定し、適応フィルタ21aは参照信号x
a1n〜xaKnを入力されて騒音キャンセル信号ya1n〜y
aMnを発生してスピーカSP1〜SPM(図7)に入力
し、各スピーカはキャンセル音を発生して各観測点の騒
音をキャンセルするように作用する。
【0022】図10は騒音源数K=1、スピーカ数M=
2、観測点数(マイク数)L=2の場合の具体的な騒音
キャンセル装置の構成図であり、例えば、自動車の前の
2つの座席(運転席と助手席)におけるエンジン音をキ
ャンセルするために用いられるものである。21aは2
つのFIR型デジタルフィルタA11n,A21nで構成され
た適応フィルタ、21bは二次音伝搬系の伝達関数マト
リックス(C)の各伝搬要素C11,C21,C12,C22を
デジタルフィルタで構成したフィルタードX信号作成用
フィルタ、21c-1〜21c-2は適応信号処理部(MEFX
LMSアルゴリズム)、SP 1,SP2は各座席の下方に
設けたスピーカ、MC1,MC2は各観測点(搭乗者の耳
元近傍)に設置されたマイクである。各適応信号処理
部、適応フィルタ、フィルタードX信号作成用フィルタ
の演算は1つのDSP(デジタル・シグナル・プロセッ
サ)により実行される。
2、観測点数(マイク数)L=2の場合の具体的な騒音
キャンセル装置の構成図であり、例えば、自動車の前の
2つの座席(運転席と助手席)におけるエンジン音をキ
ャンセルするために用いられるものである。21aは2
つのFIR型デジタルフィルタA11n,A21nで構成され
た適応フィルタ、21bは二次音伝搬系の伝達関数マト
リックス(C)の各伝搬要素C11,C21,C12,C22を
デジタルフィルタで構成したフィルタードX信号作成用
フィルタ、21c-1〜21c-2は適応信号処理部(MEFX
LMSアルゴリズム)、SP 1,SP2は各座席の下方に
設けたスピーカ、MC1,MC2は各観測点(搭乗者の耳
元近傍)に設置されたマイクである。各適応信号処理
部、適応フィルタ、フィルタードX信号作成用フィルタ
の演算は1つのDSP(デジタル・シグナル・プロセッ
サ)により実行される。
【0023】図11は騒音源数K=1、スピーカ数M=
4、観測点数(マイク数)L=4の場合の具体的な従来
の騒音キャンセル装置の構成図であり、自動車の前後左
右4座席におけるエンジン音をキャンセルするものであ
る。21aは4つのFIR型デジタルフィルタA11n,
A21n,A12n,A22nで構成された適応フィルタ、21
bは二次音伝搬系の伝達関数マトリックス(C)の各伝
搬要素C11〜C41,C12〜C42,C13〜C43,C14〜C
44をデジタルフィルタで構成したフィルタードX信号作
成用フィルタ、21c-1〜21c-4は適応信号処理部(MEF
X LMSアルゴリズム)、SP1,SP2,SP3,S
P4はスピーカ、MC1,MC2,MC3,MC4は観測点
に設置されたマイクである。各適応信号処理部、適応フ
ィルタ、フィルタードX信号作成用フィルタの演算は1
つのDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)により
実行される。
4、観測点数(マイク数)L=4の場合の具体的な従来
の騒音キャンセル装置の構成図であり、自動車の前後左
右4座席におけるエンジン音をキャンセルするものであ
る。21aは4つのFIR型デジタルフィルタA11n,
A21n,A12n,A22nで構成された適応フィルタ、21
bは二次音伝搬系の伝達関数マトリックス(C)の各伝
搬要素C11〜C41,C12〜C42,C13〜C43,C14〜C
44をデジタルフィルタで構成したフィルタードX信号作
成用フィルタ、21c-1〜21c-4は適応信号処理部(MEF
X LMSアルゴリズム)、SP1,SP2,SP3,S
P4はスピーカ、MC1,MC2,MC3,MC4は観測点
に設置されたマイクである。各適応信号処理部、適応フ
ィルタ、フィルタードX信号作成用フィルタの演算は1
つのDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)により
実行される。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】以上の騒音キャンセル
装置では、騒音キャンセル点における騒音とキャンセル
音との合成音であるエラー信号をマイクアンプで増幅
後、AD変換して騒音キャンセルコントローラに入力す
る。このマイクアンプのゲインはS/N比の点で、でき
るだけ高い設定が望ましいが、ゲインを大きくすると、
ADコンバータ等のダイナミックレンジを越え、波形ク
リップ等の歪を生じる。このため、従来装置ではゲイン
を大きくできず、S/N比の良い高精度の合成音信号を
騒音キャンセルコントローラに入力できない問題があっ
た。以上から本発明の目的は、S/N比が良好で、しか
も、幅広いダイナミックレンジの合成音信号を騒音キャ
ンセルコントローラに入力できる騒音キャンセル装置を
提供することである。
装置では、騒音キャンセル点における騒音とキャンセル
音との合成音であるエラー信号をマイクアンプで増幅
後、AD変換して騒音キャンセルコントローラに入力す
る。このマイクアンプのゲインはS/N比の点で、でき
るだけ高い設定が望ましいが、ゲインを大きくすると、
ADコンバータ等のダイナミックレンジを越え、波形ク
リップ等の歪を生じる。このため、従来装置ではゲイン
を大きくできず、S/N比の良い高精度の合成音信号を
騒音キャンセルコントローラに入力できない問題があっ
た。以上から本発明の目的は、S/N比が良好で、しか
も、幅広いダイナミックレンジの合成音信号を騒音キャ
ンセルコントローラに入力できる騒音キャンセル装置を
提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明によ
れば、騒音キャンセルコントローラをデジタル・シグナ
ル・プロセッサ(DSP)で構成すると共に、ゲイン可
変のアンプと、アンプ出力をデジタルデータに変換して
デジタル・シグナル・プロセッサに入力するADコンバ
ータと、ADコンバータの入力信号がそのダイナミック
レンジを越えないようにゲイン可変アンプのゲインを制
御すると共に、DSPのスケーリング定数をゲイン変化
方向と逆方向に制御するコントローラとにより達成され
る。
れば、騒音キャンセルコントローラをデジタル・シグナ
ル・プロセッサ(DSP)で構成すると共に、ゲイン可
変のアンプと、アンプ出力をデジタルデータに変換して
デジタル・シグナル・プロセッサに入力するADコンバ
ータと、ADコンバータの入力信号がそのダイナミック
レンジを越えないようにゲイン可変アンプのゲインを制
御すると共に、DSPのスケーリング定数をゲイン変化
方向と逆方向に制御するコントローラとにより達成され
る。
【0026】
【作用】コントローラはADコンバータの入力信号がそ
のダイナミックレンジを越えないようにゲイン可変アン
プのゲインを制御すると共に、DSPのスケーリング定
数をゲイン変化方向と逆方向に制御する。すなわち、コ
ントローラはアンプのゲインを1/n倍するように指示
すると、DSPにはADコンバータから入力された数値
をn倍するように指示する。これにより、マイクから適
応信号処理部までのゲインGを一定にでき、また、ゲイ
ンGを大きくしてもダイナミックレンジを越えることが
なく、高S/N比、高ダイナミックレンジの合成音信号
を騒音キャンセルコントローラの信号処理部に入力でき
る。
のダイナミックレンジを越えないようにゲイン可変アン
プのゲインを制御すると共に、DSPのスケーリング定
数をゲイン変化方向と逆方向に制御する。すなわち、コ
ントローラはアンプのゲインを1/n倍するように指示
すると、DSPにはADコンバータから入力された数値
をn倍するように指示する。これにより、マイクから適
応信号処理部までのゲインGを一定にでき、また、ゲイ
ンGを大きくしてもダイナミックレンジを越えることが
なく、高S/N比、高ダイナミックレンジの合成音信号
を騒音キャンセルコントローラの信号処理部に入力でき
る。
【0027】
【実施例】図1は本発明の騒音キャンセル装置の実施例
構成図である。全体の構成 図中、31は騒音源であるエンジン、32はエンジン回
転数Rを検出する回転数センサ、33はエンジン回転数
Rに応じた2次高調波の正弦波信号を参照信号xa1nと
して出力する参照信号発生部である。。34は車室内の
騒音キャンセル位置(観測点)におけるエンジン音をキ
ャンセルするための適応信号処理を行うDSP構成の騒
音キャンセルコントローラであり、参照信号発生部33
から発生する参照信号xa1nを入力されると共に、車室
内の騒音キャンセル点における騒音Sn1とキャンセル音
Sc1の合成音信号をエラ−信号e1nとして入力され、該
エラ−信号が最小となるように適応信号処理を行って騒
音キャンセル信号ya1nを出力する。騒音キャンセルコ
ントローラ34は、適応信号処理部34aと、デジタル
フィルタ構成の適応フィルタ34bと、スピーカから騒
音キャンセル点までのキャンセル音伝搬系(二次音伝搬
系)の伝達関数に基づいて作成され、参照信号xa1nが
入力されるフィルタードX信号作成用フィルタ34c
と、数値データを指示に従ってn倍して適応信号処理部
34aに渡すスケーリング部34dを有している。
構成図である。全体の構成 図中、31は騒音源であるエンジン、32はエンジン回
転数Rを検出する回転数センサ、33はエンジン回転数
Rに応じた2次高調波の正弦波信号を参照信号xa1nと
して出力する参照信号発生部である。。34は車室内の
騒音キャンセル位置(観測点)におけるエンジン音をキ
ャンセルするための適応信号処理を行うDSP構成の騒
音キャンセルコントローラであり、参照信号発生部33
から発生する参照信号xa1nを入力されると共に、車室
内の騒音キャンセル点における騒音Sn1とキャンセル音
Sc1の合成音信号をエラ−信号e1nとして入力され、該
エラ−信号が最小となるように適応信号処理を行って騒
音キャンセル信号ya1nを出力する。騒音キャンセルコ
ントローラ34は、適応信号処理部34aと、デジタル
フィルタ構成の適応フィルタ34bと、スピーカから騒
音キャンセル点までのキャンセル音伝搬系(二次音伝搬
系)の伝達関数に基づいて作成され、参照信号xa1nが
入力されるフィルタードX信号作成用フィルタ34c
と、数値データを指示に従ってn倍して適応信号処理部
34aに渡すスケーリング部34dを有している。
【0028】35は適応フィルタ出力(騒音キャンセル
信号ya1n)をアナログの騒音キャンセル信号に変換す
るDAコンバータ、36は騒音キャンセル信号を増幅す
るパワ−アンプ、17は騒音キャンセル音Sc1を放射す
るキャンセルスピ−カ、38は騒音キャンセル点に配置
され、騒音Sn1とキャンセル音Sc1の合成音を検出し、
合成音信号をエラ−信号e1nとして出力するエラ−マイ
ク、39はエラー信号e1nを増幅するゲイン可変のマイ
クアンプで、プログラマブルにゲインを可変できるも
の、40は周期性ノイズの帯域外の騒音信号を除去する
ローパスフィルタ、41はローパスフィルタ出力をデジ
タルデータに変換してDSP構成の騒音キャンセルコン
トローラに入力するADコンバータ、42はゲインアン
プ39のゲインG及びスケーリング部34dのスケーリ
ング定数Sを制御するゲインコントロール部である。
信号ya1n)をアナログの騒音キャンセル信号に変換す
るDAコンバータ、36は騒音キャンセル信号を増幅す
るパワ−アンプ、17は騒音キャンセル音Sc1を放射す
るキャンセルスピ−カ、38は騒音キャンセル点に配置
され、騒音Sn1とキャンセル音Sc1の合成音を検出し、
合成音信号をエラ−信号e1nとして出力するエラ−マイ
ク、39はエラー信号e1nを増幅するゲイン可変のマイ
クアンプで、プログラマブルにゲインを可変できるも
の、40は周期性ノイズの帯域外の騒音信号を除去する
ローパスフィルタ、41はローパスフィルタ出力をデジ
タルデータに変換してDSP構成の騒音キャンセルコン
トローラに入力するADコンバータ、42はゲインアン
プ39のゲインG及びスケーリング部34dのスケーリ
ング定数Sを制御するゲインコントロール部である。
【0029】適応信号処理部 適応信号処理部34aは騒音キャンセル点におけるエラ
ー信号e1nとフィルタ34cを介して入力される信号処
理用の参照信号を入力され、これら信号を用いて騒音キ
ャンセル点における騒音をキャンセルするように適応信
号処理を行って適応フィルタ34bの係数を決定する。
例えば適応信号処理部34aは周知のLMS(Least Mea
n Square)適応アルゴリズムに従って、エラ−マイク3
8から入力されたエラ−信号e1nが最小となるように適
応フィルタ34bの係数を決定する。適応フィルタ34
bは適応信号処理部34aにより決定された係数に従っ
て参照信号xa1nにデジタルフィルタ処理を施してDA
コンバータ35より騒音キャンセル信号ya1nを出力す
る。
ー信号e1nとフィルタ34cを介して入力される信号処
理用の参照信号を入力され、これら信号を用いて騒音キ
ャンセル点における騒音をキャンセルするように適応信
号処理を行って適応フィルタ34bの係数を決定する。
例えば適応信号処理部34aは周知のLMS(Least Mea
n Square)適応アルゴリズムに従って、エラ−マイク3
8から入力されたエラ−信号e1nが最小となるように適
応フィルタ34bの係数を決定する。適応フィルタ34
bは適応信号処理部34aにより決定された係数に従っ
て参照信号xa1nにデジタルフィルタ処理を施してDA
コンバータ35より騒音キャンセル信号ya1nを出力す
る。
【0030】ゲインコントロール部 ゲインコントロール部42は、ADコンバータ41の出
力データを入力され、該データに基づいてADコンバー
タ41への入力信号がそのダイナミックレンジを越えな
いようにゲイン可変アンプ39のゲインを制御すると共
に、DSPのスケーリング定数Sをゲイン変化方向と逆
方向に制御する。例えば、ゲインコントロール部にAD
コンバータの出力値とダイナミックレンジを越えないよ
うにするゲイン制御変数nとの対応関係を予め種々設定
しておき、ADコンバータ出力値に基づいてゲイン制御
変数nを求め、アンプ39のゲインを1/n倍するよう
に指示すると共にスケーリング部34dにADコンバー
タ41から入力される数値をn倍するように指示する。
以上により、エラーマイク38から適応信号処理部34
aまでのトータルのゲインGを一定にでき、また、この
ゲインGを大きくしてもダイナミックレンジを越えない
ようにできる。
力データを入力され、該データに基づいてADコンバー
タ41への入力信号がそのダイナミックレンジを越えな
いようにゲイン可変アンプ39のゲインを制御すると共
に、DSPのスケーリング定数Sをゲイン変化方向と逆
方向に制御する。例えば、ゲインコントロール部にAD
コンバータの出力値とダイナミックレンジを越えないよ
うにするゲイン制御変数nとの対応関係を予め種々設定
しておき、ADコンバータ出力値に基づいてゲイン制御
変数nを求め、アンプ39のゲインを1/n倍するよう
に指示すると共にスケーリング部34dにADコンバー
タ41から入力される数値をn倍するように指示する。
以上により、エラーマイク38から適応信号処理部34
aまでのトータルのゲインGを一定にでき、また、この
ゲインGを大きくしてもダイナミックレンジを越えない
ようにできる。
【0031】全体の動作 エンジン31が回転すると、その回転数Rは回転数セン
サ32により検出され、参照信号発生部33はエンジン
回転数Rに応じた周波数の参照信号xa1nを発生し、騒
音キャンセルコントローラ34に入力する。この時、エ
ンジン31から発生した周期性を有するエンジン音(周
期性ノイズ)は、所定の伝達関数を有する騒音伝搬系
(一次音伝搬系)を有する空中を伝播して騒音キャンセル
点に至る。騒音キャンセル点における騒音とキャンセル
音の合成音(エラー信号)はエラーマイク38により検
出され、ゲイン可変アンプ39に入力される。ゲイン可
変アンプ39はエラー信号e1nを増幅し、ローパスフィ
ルタ40を介してADコンバータ41に入力する。尚、
最初、ゲイン可変アンプ39のゲインは初期値Gに設定
されている。ADコンバータ41は入力されたエラー信
号をデジタルに変換し、スケーリング部34dに入力す
る。初期時、スケーリング定数Sは1であるから、該デ
ジタルデータをそのまま適応信号処理部34aに入力す
る。
サ32により検出され、参照信号発生部33はエンジン
回転数Rに応じた周波数の参照信号xa1nを発生し、騒
音キャンセルコントローラ34に入力する。この時、エ
ンジン31から発生した周期性を有するエンジン音(周
期性ノイズ)は、所定の伝達関数を有する騒音伝搬系
(一次音伝搬系)を有する空中を伝播して騒音キャンセル
点に至る。騒音キャンセル点における騒音とキャンセル
音の合成音(エラー信号)はエラーマイク38により検
出され、ゲイン可変アンプ39に入力される。ゲイン可
変アンプ39はエラー信号e1nを増幅し、ローパスフィ
ルタ40を介してADコンバータ41に入力する。尚、
最初、ゲイン可変アンプ39のゲインは初期値Gに設定
されている。ADコンバータ41は入力されたエラー信
号をデジタルに変換し、スケーリング部34dに入力す
る。初期時、スケーリング定数Sは1であるから、該デ
ジタルデータをそのまま適応信号処理部34aに入力す
る。
【0032】以上と並行してフィルタードX信号作成用
フィルタ34cは参照信号xa1nを入力され、LMS適
応信号処理に用いるフィルタードX信号を生成して適応
信号処理部34aに入力する。適応信号処理部34aは
エラー信号とフィルタードX信号を用いて(1)式に従っ
てLMS適応信号処理を行い、適応フィルタ34bの係
数を決定する。適応フィルタ34bは適応信号処理部3
4aにより決定された係数に従って参照信号xa1nにデ
ジタルフィルタ処理を施して騒音キャンセル信号ya1n
をDAコンバータ35に入力する。DAコンバータ35
は騒音キャンセル信号ya1nをDA変換してパワーアン
プ36を介してスピーカ37に入力する。これにより、
スピーカ37から騒音キャンセル音が出力され、二次音
伝搬系を介して騒音キャンセル点に到り、騒音をキャン
セルするように作用する。以後、上記動作が繰り返され
て騒音は速やかにキャンセルされる。
フィルタ34cは参照信号xa1nを入力され、LMS適
応信号処理に用いるフィルタードX信号を生成して適応
信号処理部34aに入力する。適応信号処理部34aは
エラー信号とフィルタードX信号を用いて(1)式に従っ
てLMS適応信号処理を行い、適応フィルタ34bの係
数を決定する。適応フィルタ34bは適応信号処理部3
4aにより決定された係数に従って参照信号xa1nにデ
ジタルフィルタ処理を施して騒音キャンセル信号ya1n
をDAコンバータ35に入力する。DAコンバータ35
は騒音キャンセル信号ya1nをDA変換してパワーアン
プ36を介してスピーカ37に入力する。これにより、
スピーカ37から騒音キャンセル音が出力され、二次音
伝搬系を介して騒音キャンセル点に到り、騒音をキャン
セルするように作用する。以後、上記動作が繰り返され
て騒音は速やかにキャンセルされる。
【0033】以上において、エラー信号e1nが大きくな
ってADコンバータ41の出力値が大きくなると、ゲイ
ンコントロール部42はADコンバータの入力信号がダ
イナミックレンジを越えないように、ゲイン可変アンプ
39にゲインを1/nに減少するよう指示すると共に、
スケーリング部34dにスケーリング定数Sをn倍する
ように指示する。これにより、ゲイン可変アンプ39は
エラー信号e1nをゲインG/n(<G)で増幅するた
め、増幅後のエラー信号はADコンバータ41のダイナ
ミックレンジを越えず、ひずむことなく正しくAD変換
されて騒音キャンセルコントローラ34に入力される。
騒音キャンセルコントローラ34のスケーリング部34
dはスケーリング定数S(=n)で入力された数値デー
タをスケーリング(S倍)して適応信号処理部34aに
入力する。又、エラー信号e1nが小さくなってADコン
バータ41の出力値が小さくなると、逆にゲイン可変ア
ンプ39にゲインをm倍するよう指示すると共に、スケ
ーリング部34dにスケーリング定数Sを1/mにする
ように指示する。以上より、エラーマイク38から適応
信号処理部34aまでのトータルのゲインGを常に一定
にでき、また、このゲインGを大きくしてもダイナミッ
クレンジを越えないようにできる。
ってADコンバータ41の出力値が大きくなると、ゲイ
ンコントロール部42はADコンバータの入力信号がダ
イナミックレンジを越えないように、ゲイン可変アンプ
39にゲインを1/nに減少するよう指示すると共に、
スケーリング部34dにスケーリング定数Sをn倍する
ように指示する。これにより、ゲイン可変アンプ39は
エラー信号e1nをゲインG/n(<G)で増幅するた
め、増幅後のエラー信号はADコンバータ41のダイナ
ミックレンジを越えず、ひずむことなく正しくAD変換
されて騒音キャンセルコントローラ34に入力される。
騒音キャンセルコントローラ34のスケーリング部34
dはスケーリング定数S(=n)で入力された数値デー
タをスケーリング(S倍)して適応信号処理部34aに
入力する。又、エラー信号e1nが小さくなってADコン
バータ41の出力値が小さくなると、逆にゲイン可変ア
ンプ39にゲインをm倍するよう指示すると共に、スケ
ーリング部34dにスケーリング定数Sを1/mにする
ように指示する。以上より、エラーマイク38から適応
信号処理部34aまでのトータルのゲインGを常に一定
にでき、また、このゲインGを大きくしてもダイナミッ
クレンジを越えないようにできる。
【0034】以上では、ADコンバータ出力に基づいて
ゲインやスケーリング定数を制御したが、スケーリング
部の出力やゲイン可変アンプの出力に基づいて制御する
こともできる。以上、本発明を実施例により説明した
が、本発明は請求の範囲に記載した本発明の主旨に従い
種々の変形が可能であり、本発明はこれらを排除するも
のではない。
ゲインやスケーリング定数を制御したが、スケーリング
部の出力やゲイン可変アンプの出力に基づいて制御する
こともできる。以上、本発明を実施例により説明した
が、本発明は請求の範囲に記載した本発明の主旨に従い
種々の変形が可能であり、本発明はこれらを排除するも
のではない。
【0035】
【発明の効果】以上本発明によれば、ADコンバータ入
力電圧値がそのダイナミックレンジを越えないようにゲ
イン可変アンプのゲインを制御すると共に、DSPのス
ケーリング定数をゲイン変化方向と逆方向に制御するよ
うに構成したから、マイクから適応信号処理部までのト
ータルのゲインGを一定にでき、また、ゲインGを大き
くしてもダイナミックレンジを越えないようにでき、高
S/N比、高ダイナミックレンジの合成音信号を騒音キ
ャンセルコントローラの信号処理部に入力することがで
きる。
力電圧値がそのダイナミックレンジを越えないようにゲ
イン可変アンプのゲインを制御すると共に、DSPのス
ケーリング定数をゲイン変化方向と逆方向に制御するよ
うに構成したから、マイクから適応信号処理部までのト
ータルのゲインGを一定にでき、また、ゲインGを大き
くしてもダイナミックレンジを越えないようにでき、高
S/N比、高ダイナミックレンジの合成音信号を騒音キ
ャンセルコントローラの信号処理部に入力することがで
きる。
【図1】本発明の騒音キャンセル装置の実施例構成図で
ある。
ある。
【図2】従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図3】騒音キャンセル動作説明用波形図である。
【図4】騒音源、スピーカ、観測点が複数存在する場合
の従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
の従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図5】一次音仮想伝搬系の説明図である。
【図6】伝達関数マトリックスの各要素を実現するデジ
タルフィルタの構成図である。
タルフィルタの構成図である。
【図7】二次音伝搬系の説明図である。
【図8】フィルタードX信号作成用フィルタの構成図で
ある。
ある。
【図9】適応フィルタの構成図である。
【図10】騒音源が1個、スピーカ、マイクが2個存在
する場合の騒音キャンセル装置の構成図である。
する場合の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図11】騒音源が1個、、スピーカ、マイクが4個存
在する場合の騒音キャンセル装置の構成図である。
在する場合の騒音キャンセル装置の構成図である。
33・・参照信号発生部 34・・騒音キャンセルコントローラ 34a・・適応信号処理部 34d・・スケーリング部 38・・エラーマイク 39・・ゲイン可変アンプ 41・・ADコンバータ 42・・ゲインコントロール部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮内 邦夫 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】 騒音キャンセル点における騒音をキャン
セルするためにキャンセル音を出力するキャンセル音発
生源と、騒音キャンセル点における騒音とキャンセル音
との合成音を検出するセンサと、騒音キャンセル点にお
ける合成音信号と騒音源から発生する騒音に応じた参照
信号を入力され、これら信号を用いて前記騒音キャンセ
ル点における騒音をキャンセルするように適応信号処理
を行って騒音キャンセル信号を発生してキャンセル音発
生源に入力する騒音キャンセルコントローラを備えた騒
音キャンセル装置において、 前記騒音キャンセルコントローラをデジタル・シグナル
・プロセッサで構成すると共に、ゲイン可変のアンプ
と、アンプ出力をデジタルデータに変換してデジタル・
シグナル・プロセッサに入力するADコンバータと、A
Dコンバータの入力信号がADコンバータのダイナミッ
クレンジを越えないようにゲイン可変アンプのゲインを
制御すると共に、デジタル・シグナル・プロセッサのス
ケーリング定数をゲイン変化方向と逆方向に制御するコ
ントローラとを備えたことを特徴とする騒音キャンセル
装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29125692A JP3439228B2 (ja) | 1992-10-29 | 1992-10-29 | 騒音キャンセル装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29125692A JP3439228B2 (ja) | 1992-10-29 | 1992-10-29 | 騒音キャンセル装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06138885A true JPH06138885A (ja) | 1994-05-20 |
JP3439228B2 JP3439228B2 (ja) | 2003-08-25 |
Family
ID=17766512
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29125692A Expired - Fee Related JP3439228B2 (ja) | 1992-10-29 | 1992-10-29 | 騒音キャンセル装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3439228B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5692055A (en) * | 1996-09-24 | 1997-11-25 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Active noise-suppressive control method and apparatus |
EP1436898A1 (en) * | 2001-10-16 | 2004-07-14 | Varian Medical Systems Technologies, Inc. | Data signal amplifier with automatically controllable dynamic signal range |
EP1801965A1 (en) | 2005-12-22 | 2007-06-27 | Fujitsu Limited | Analog multistage amplification circuit in the field of sensor |
-
1992
- 1992-10-29 JP JP29125692A patent/JP3439228B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5692055A (en) * | 1996-09-24 | 1997-11-25 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Active noise-suppressive control method and apparatus |
EP1436898A1 (en) * | 2001-10-16 | 2004-07-14 | Varian Medical Systems Technologies, Inc. | Data signal amplifier with automatically controllable dynamic signal range |
EP1436898A4 (en) * | 2001-10-16 | 2005-04-20 | Varian Med Sys Tech Inc | DATA SIGNAL AMPLIFIER WITH AUTOMATICALLY CONTROLLABLE DYNAMIC SIGNALING |
EP1801965A1 (en) | 2005-12-22 | 2007-06-27 | Fujitsu Limited | Analog multistage amplification circuit in the field of sensor |
US7342454B2 (en) | 2005-12-22 | 2008-03-11 | Fujitsu Limited | Analog multistage amplification circuit in the field of sensor |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3439228B2 (ja) | 2003-08-25 |
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Legal Events
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