JPH0659308B2

JPH0659308B2 - 中空糸膜型血液処理器およびその製造方法

Info

Publication number: JPH0659308B2
Application number: JP63267832A
Authority: JP
Inventors: 勝美土屋; 義博伊井
Original assignee: Terumo Corp
Current assignee: Terumo Corp
Priority date: 1988-10-24
Filing date: 1988-10-24
Publication date: 1994-08-10
Anticipated expiration: 2009-08-10
Also published as: JPH02114970A

Description

【発明の詳細な説明】［産業上の利用分野］本発明は、例えば中空糸膜型人工透析器などの中空糸膜
型血液処理器およびその製造方法に関する。

［従来の技術］従来より、多くの中空糸膜型血液処理器が使用されてい
る。その代表的なものとして中空糸膜型人工透析器があ
り、その一般的構造は、透析液の流入口および流出口を
有する筒状ハウジング内に多数の透析用中空糸膜からな
る中空糸膜束が挿入されており、この中空糸膜束の両端
部は、筒状ハウジングの両端部にポッティング剤により
形成された隔壁により液密に固定されており、この隔壁
の外側に血液流入口および血液流出口を形成するキャッ
プ状のヘッダーが取り付けられている。そして、透析用
中空糸膜は、親水性膜、例えば酢酸セルロース、銅アン
モニアセルロースなどの再生セルロースが使用され、ポ
ッティング剤としては、ポリウレタンなどが使用されて
いる。

［発明が解決しようとする問題点］そして、このような中空糸を用いた処理器では、使用す
る中空糸膜が細径で肉厚も薄いことより、欠損部（ピン
ホール）を持つものが製造されることがある。このよう
なピンホールを有する中空糸を、個々に検査することは
困難であり、ピンホールの有無は血液処理器を組み立て
た後の検査によらざるをえない。しかし、この検査にお
いて完全にピンホールを有する中空糸のすべて発見でき
ない場合もある。さらに、中空糸のピンホール検査は、
透析液側に液体を充填し、隔壁の端部での液体の流出を
確認する（流出する場合はピンホールあり）ことにより
行っており、ピンホールがあった場合は、液体が流出し
た付近の隔壁の端部にポッティング剤を注入し、その付
近の中空糸の開口を閉塞することにより修理している。
このため、上記のポッティング剤の注入により、ピンホ
ールを有すると思われる中空糸の付近にある閉塞の必要
のない中空糸膜の開口も閉塞されるため、中空糸の有効
利用ができないという問題点があった。

さらに、上記のポッティング剤の注入部分は、他の隔壁
部分が形成する平滑面より突出する部分を形成し、血栓
の発生するおそれがあった。

また、人工透析器の一般的製法としては、透析液流入口
および透析液流出口を側壁に有する円筒状ハウジングを
作成し、そのハウジング内に、多数の透析用中空糸膜束
よりなる中空糸膜束を挿入し、中空糸膜束の両端部の中
空糸膜を均一に分散させた後、中空糸膜束の両端部に、
目止め剤を充填した容器を被嵌し、中空糸膜の全部の端
部を閉塞する。さらに、ハウジングの透析液流入口およ
び透析液流出口よりポッティング剤を遠心注入し、中空
糸膜束のそれぞれの端部をハウジングに固定し、上記容
器を取り外した後、ポッティング剤部分をスライスし、
中空糸束の両端を開口させている。このため、中空糸に
ピンホールが存在している中空糸の末端もスライス工程
により開口してしまうため、ピンホールの検査が必要と
なり、さらにピンホールの修理も必要であった。

［問題点を解決するための手段］そこで、本発明は、欠損部のない中空糸の開口が閉塞し
ておらず、欠損部のある中空糸のみ閉塞しており、中空
糸を有効に利用でき、さらに、欠損部（ピンホール）確
認検査およびその修理の必要のない中空糸膜型血液処理
器およびその製造方法を提供する。

上記目的を達成するものは、ハウジングと、該ハウジン
グ内に挿入された多数の血液処理用中空糸膜からなり、
かつ少なくともその一部に欠損部を有する中空糸膜を含
む中空糸膜束と、該中空糸膜束の両端部を前記ハウジン
グの両端部に液密に固定するポッティング剤により形成
された２つの隔壁と、前記ハウジングの両端部にそれぞ
れ取り付けられた血液流入口および血液流出口と、前記
ハウジングの両端部付近の側壁にそれぞれ設けられ、前
記中空糸膜の外面と前記ハウジングの内面と隔壁とによ
り形成される空間に連通する流体の流入口および流出口
とを有する血液処理器であって、欠損部を有しない中空
糸の端部は、前記隔壁面にて開口しており、かつ、前記
欠損部を有する中空糸膜の少なくとも一端内部には、前
記隔壁を形成するポッティング剤が流入し、閉塞してい
る中空糸膜型血液処理器である。

前記欠損部を有する中空糸内部に流入したポッティング
剤の端面を含む隔壁面は、平面となっていることが好ま
しい。

また、上記目的を達成するものは、流体の流入口および
流出口を側壁に有する筒状ハウジング内に、多数の血液
処理用中空糸膜束からなり、少なくともその一部に欠損
部を有する中空糸膜を含む中空糸膜束を挿入し、前記中
空糸膜束の両端部を、目止めすることなく固定し、前記
ハウジングの液体の流入口および流出口よりポッティン
グ剤を、前記欠損部を有さない中空糸膜の両端内に後に
行うポッティング剤の切断部をこえる位置まで前記ポッ
ティング剤が入り込まないように、かつ前記欠損部を有
する中空糸膜の少なくとも一端部内には該ポッティング
剤の切断部をこえる位置まで前記ポッティング剤が流入
するように遠心注入し、該ポッティング剤が固化した
後、該ポッティング剤を前記ハウジングの端部付近にて
切断して、前記欠損部を有さない中空糸膜の両端のみを
開口させて、それぞれの隔壁を形成することを特徴とす
る中空糸膜型血液処理器の製造方法である。

さらに、前記ポッティング剤は、粘度が３０００〜４０
００ｃｐであることが好ましい。さらに、前記遠心注入
は、４５０〜９５０ｒｐｍで行うものであることが好ま
しい。

本発明の中空糸膜型血液処理器を図面に示した実施例を
用いて説明する。

第１図は本発明の中空糸膜型血液処理器を中空糸膜型人
工透析器に応用した実施例を示す一部断面図であり、第
２図は、第１図に示した中空糸膜型血液処理器の隔壁部
の拡大断面図である。

本発明の中空糸膜型血液処理器１は、ハウジング２と、
ハウジング２内に挿入された多数の血液処理用中空糸膜
からなり、かつ少なくともその一部に欠損部２１を有す
る中空糸膜を含む中空糸膜束３と、中空糸膜束３の両端
部をハウジング２の両端部に液密に固定するポッティン
グ剤により形成された２つの隔壁５，６と、ハウジング
２の両端部にそれぞれ取り付けられた血液流入口７およ
び血液流出口８と、ハウジング２の両端部付近の側壁に
それぞれ設けられ、中空糸膜の外面とハウジング２の内
面と隔壁５，６とにより形成される空間に連通する流体
の流入口１１および流出口１２とを有し、欠損部を有し
ない中空糸の端部は、隔壁５および隔壁６の端面にて開
口しており、かつ、欠損部を有する中空糸膜の少なくと
も一端内部には、隔壁５または／および６を形成するポ
ッティング剤２４が流入し、閉塞している。

そこで、本発明の血液処理器１として、第１図に示した
中空糸膜型人工透析器の実施例を用いて説明する。

この中空糸膜型血液処理器１は、筒状体のハウジング２
と、このハウジング２内全体に広がって透析用中空糸膜
３が６，０００〜５０，０００本収納されている。そし
て、この透析用中空糸膜３のほとんどは、その両端部の
開口が閉塞されない状態で隔壁５，６によりハウジング
２の端部に液密に固着されている。隔壁５，６により、
ハウジング２内部は、透析用中空糸膜３の外壁とハウジ
ング２の内壁と隔壁５，６により形成される透析液室
と、中空糸膜３の内部に形成される血液室とに区画され
る。

筒状ハウジング２は、ポリカーボネート、アクリロニト
リル−スチレン共重合体などにより形成されており、筒
状、好ましくは円筒状のものであり、筒状ハウジング２
には、その一方の端部付近の側壁に、透析液流入口１１
が、他端付近の側壁に、その流出口１２が設けられてい
る。

透析用中空糸膜３は、酢酸セルロース、銅アンモニアセ
ルロースなどの再生セルロース、セルロース誘導体、エ
チレン−ビニルアルコール共重体、アクリルニトリル共
重合体などにより形成された親水性を有する透析用の中
空糸膜であり、肉厚が５〜３５μｍ、好ましくは１０〜
２０μｍ、外径が５０〜５００μｍ、好ましくは１００
〜３００μｍであり、全長にわたり貫通した中空部を有
している。

隔壁５，６は、ポリウレタン、シリコーンゴムなどのポ
ッティング剤により形成されている。そして、中空糸の
うち欠損部２１を有する中空糸膜の端部には、第２図に
示すように、隔壁を形成するポッティング剤２４が流入
入しており、端部が閉塞状態となっている。また、欠損
部を有していないすべての中空糸の端部は、隔壁の端面
において開口している。欠損部２１は、ピンホール、ひ
び割れなど中空糸の側壁に形成された中空糸内部と外部
とを連通する部分をいう。

そして、隔壁５，６の端部は、平滑面となっている。こ
のため、欠損部のある中空糸は閉塞されているので、処
理液体である血液の流出および非処理液体である透析液
の流入がなく、さらに欠損部のない中空糸はすべて閉塞
されていないので、中空糸を有効に利用できる。さら
に、隔壁部分は平滑面となっているので、隔壁面での血
栓の発生が少ない。つまり、第２図および第６図に示す
ように、欠損部２１を有する中空糸内部に流入したポッ
ティング剤２４の端面を含む隔壁５の端面は、平面とな
っている。言い換えれば、欠損部２１を有する中空糸内
部に流入したポッティング剤２４の端面は、隔壁５の端
面と連続する平面となっている。そして、隔壁５および
欠損部２１を有する中空糸内部に流入したポッティング
剤の端面は、後述する切断作業により、同時に切断され
ることにより平面に形成される。

そして、隔壁５の外側には、血液流入口７と環状凸部を
有するキャップ状の流路形成部材９がネジリング１３に
より固定されており、また隔壁６の外側には、血液流出
口８と環状凸部を有するキャップ状の流路形成部材１０
がネジリング１４により固定されている。そして、流路
形成部材９，１０の周縁部内部には、環状の凹部が設け
られており、第２図に示すように、その凹部には、シリ
コーンゴムなどにより形成されたＯリング１６が設けら
れており、このＯリングが、隔壁に当接し、流路形成部
材９，１０を隔壁５，６に液密に固着している。

また、上記説明において、ネジリングを用いたものにて
説明したが、これに限らず流路形成部材を直接ハウジン
グに高周波、超音波などを用いて融着させてもよく、ま
た接着剤などを用いて接着してもよい。

そして、中空糸膜型人工透析器１は、使用前に滅菌され
る。滅菌としては、エチレンオキサイドガス滅菌、オー
トクレーブ滅菌などの公知の方法が用いられる。オート
クレーブ滅菌を行う場合は、透析器内部（透析液室およ
び血液室）に生体に無害な液体（例えば、生理食塩水、
無菌水）を充填し、開口部分（透析液流入口および流出
口、血液流入口および流出口）を弾性部材を用いて密封
した状態にて、オートクレーブ滅菌することにより行わ
れる。

上記説明では、血液処理器として、人工透析器の実施例
を用いて説明したが、本発明の中空糸膜型血液処理器は
これに限られるものではない。

そして、中空糸膜は、それぞれの用途に合致した選択透
過性を有するもの、例えば、セルロース系、セルロース
エステル系、ポリアミド系、シリコン系、ビニル系、フ
ッ素樹脂系などが使用される。

次に、本発明の中空糸膜型血液処理器の製造方法を説明
する。

本発明の製造方法は、流体の流入口１１および流出口１
２を側壁に有する筒状ハウジング２内に、多数の血液処
理用中空糸膜束からなり、少なくともその一部に欠損部
を有する中空糸膜を含む中空糸膜束３を挿入し、中空糸
膜束３の両端部を、目止めすることなく固定し、ハウジ
ング２の液体の流入口１１および流出口１２よりポッテ
ィング剤を、欠損部を有さない中空糸膜の両端部には後
に行うポッティング剤の切断部をこえる位置までポッテ
ィング剤が入り込まないように、かつ欠損部を有する中
空糸膜の少なくとも一端内部には後に行うポッティング
剤の切断部をこえる位置までポッティング剤が流入する
ように遠心注入し、ポッティング剤が固化した後、ポッ
ティング剤のハウジング２の端部付近をスライスし、欠
損部を有さない中空糸膜の両端のみを開口させて、それ
ぞれの隔壁５，６を形成するものである。

そこで、本発明の製造方法を、人工透析器に応用した実
施例を用いて、その各工程について第１図ないし第６図
を用いて説明する。

まず、透析液流入口および透析液流出口を側壁に有する
筒状ハウジング２を作成する。ハウジング２は、ポリカ
ーボネート、アクリロニトリル−スチレン共重合体など
を射出成形することにより形成される。

そして、中空糸膜の複数本（例えば、６，０００〜５
０，０００本）束ねた中空糸膜束３を作成する。この中
空糸膜束３の中には、欠損部を有する中空糸膜が含まれ
ている。

この中空糸膜束３をハウジング２内に挿入する。そし
て、中空糸膜束３の両端部の中空糸膜を均一に分散させ
た後、第３図に示すように、中空糸膜束３の両端部に、
容器２２を被嵌する。この容器２２としては、後のポッ
ティング剤部分での切断工程において、ポッティング剤
と共に切断可能なものを用いることが好ましい。また、
ポッティング剤との接着性がなく、簡単に取り外せるも
のを用いてもよい。そして、この容器をハウジング２の
端部に固定する。

このとき、容器２２内部には、目止め剤が入っていない
ので、各中空糸膜の各端部は開口状態のままとなってい
る。

そして、第４図に示すように、ハウジング２の透析液流
入口１１および透析液流出口１２よりポッティング剤を
遠心注入する。この遠心注入工程では、ポッティング剤
２４を、欠損部を有さない中空糸膜の両端部には後に行
うポッティング剤部分の切断部（ハウジング２の端部よ
り若干外側の位置となる）をこえる位置までポッティン
グ剤２４が入り込まないように、かつ欠損部を有する中
空糸膜の少なくとも一端内部には後に行うポッティング
剤の切断部（ハウジング２の端部より若干外側の位置）
をこえる位置までポッティング剤２４が流入するように
行う。

具体的に説明すると、ハウジング２内に中空糸膜束３が
収納された状態で、ハウジング２の透析液流入口１１お
よび流出口１２よりポッティング剤を、ハウジング２を
遠心させた状態で注入する。中空糸膜に欠損部が存在す
る場合には、遠心効果により、その中空糸２内には中空
糸外面のポッティング剤レベルまでポッティング剤４が
注入され、次工程の切断工程において、ポッティング剤
部分にて切断しても、中空糸膜内には、ポッティング剤
が詰まった状態で末端が開口されず、その結果が切断部
を有する中空糸膜の端部が閉塞されたことになる。

第４図に示すｒ_１，ｒ_２，ｒ_３は、ｒ_１：回転中心からポッティング剤の内側端面までの距
離（ｃｍ）ｒ_２：回転中心からファイバー内ウレタン面までの距離
（ｃｍ）ｒ_３：ファイバー端までの距離（ｃｍ）である。

Ｐ_ｏ：大気圧１０３３ｇ／ｃｍ^２Ｎ：回転数（ｒｐｍ）とする。

両端が開口している状態で中空糸膜にポッティング剤の
注入を行うと、ポッティング剤は中空糸膜の端部内に侵
入するが、中空糸膜内の空気は圧縮され圧力が上昇す
る。従って、中空糸膜内外のポッティング剤面に差がで
きる。中空糸膜内の圧力はボイルの法則によりＰｏＶｏ＝Ｐ′Ｖ′ Ｐ′＝Ｐｏ・ｒ_２／ｒ_３回転液体の呈する圧力は従って、 △ｐ＝ρ／２・ω／ｇｃ・（ｒ_２−ｒ_１）ｒ_２ ^２−ｒ_１ ^２＝１．８４６（ｒ_３−ｒ_２）／Ｎ^２ｒ_２・１０^８の関係式が導かれる。

尚、簡単にするため比重ρは１とし、ｇｃは９８０ｃｍ
／ｓｅｃ^２とする。ωは、角速度である。

この式には毛管の影響、温度変化の影響、液体の粘度は
考慮されていないが、実際の製造においては、それらは
常にほぼ一定の範囲内にあるため、製造条件の算出、つ
まりｒ_２、ｒ_３およびＮの算出には支障がない。

そして、ｒ_１は、製品設計におけるハウジングの長さに
よりほぼ決定する。そして、ｒ_２は中空糸およびポッテ
ィング剤のむだを少なくし、かつピンホールのない中空
糸が確実にスライス面（隔壁端部）において開口するよ
うにするために、ハウジングの中心からスライス面まで
の距離＋２〜１０ｍｍ、好ましくは＋３〜５ｍｍに設定
する。これによりｒ_３とＮの関係が算出される。また、
ｒ_３も中空糸およびポッティング剤のむだをするため
に、ハウジングの中心からスライス面までの距離よりあ
まり長くないものとすることが好ましい。このようにし
て、好ましいｒ_３およびＮが決定される。

回転数Ｎとしては、４５０〜９５０ｒｐｍが好ましく、
さらに５００〜７００ｒｐｍが好ましく、特に５５０〜
６５０ｒｐｍが好適である。また、使用するポッティン
グ剤の粘度としては、３０００〜４５００ｃｐ、特に３
５００〜３７００ｃｐが好ましい。

そして、ポッティング剤が硬化した後、第５図に示すよ
うに、ポッティング剤をハウジングの端部付近のＸ−Ｘ
線で切断する。これにより、第６図に示すように、欠損
部のない中空糸は切断部分で開口する。そして、この切
断作業により、第６図に示すように、欠損部２１を有す
る中空糸内部に流入したポッティング剤２４の端面を含
む隔壁５の端面は、平面なものに形成される。つまり、
この切断作業において、隔壁５および欠損部２１を有す
る中空糸内部に流入したポッティング剤の端面が、同時
に形成される。そして、ポッティング剤の切断部（隔
壁）の外側に流路規制部材を取り付ける。

次に、本発明の実施例を挙げて説明する。

［実施例］（実施例１）内径約２００μｍ、肉厚約１２μｍの銅アンモニアセル
ロース製透析用中空糸膜約７，１００本を用いて、中空
糸膜束を作成した。そして、長さ１９８ｍｍ、端部内径
４２ｍｍ、中間部内径３２ｍｍのポリカーボネート製ハ
ウジングに、上記の中空糸膜束を挿入し、それぞれの端
部を分散させた。そして、塩化ビニル製容器により中空
糸膜束の端部を被嵌するとともに、この容器をハウジン
グの端部に固定した。ハウジングの両端部に容器を固定
したものを、遠心機に取り付け、遠心するとともに、ハ
ウジングの透析液流入口および流出口よりポッティング
剤を注入した。ポッティング剤として、ポリウレタン
（粘度３，６００ｃｐ）を用いた。第４図における、ｒ
_１は８９ｍｍ、ｒ_２は１０７ｍｍ、ｒ_３は１１３ｍｍ、
遠心機の回転数Ｎは６５０ｒｐｍとした。そして、ポッ
ティング剤が硬化した後、容器とともに、ポリウレタン
部分にて切断して、隔壁を作成した。そして、それぞれ
の隔壁の外部に外部にポロプロピレン製の流路形成部材
を取り付けることにより、中空糸膜型人工透析器を作成
した。この中空糸膜型透析器の膜面積は、約０．８ｍ^２
であった。

（実施例２）内径約２００μｍ、肉厚約１２μｍの銅アンモニアセル
ロース製透析用中空糸膜約８，３００本を用いて、中空
糸膜束を作成した。そして、長さ２５４ｍｍ、端部内径
４５ｍｍ、中間部内径３５ｍｍのポリカーボネート製ハ
ウジングに、上記の中空糸膜束を挿入し、それぞれの端
部を分散させた。そして、塩化ビニル製容器により中空
糸膜束の端部を被嵌するとともに、容器をハウジングの
端部に固定した。ハウジングの両端部に容器を固定した
ものを、遠心機に取り付け、遠心するとともに、ハウジ
ングの透析液流入口および流出口よりポッティング剤を
注入した。そして、ポッティング剤として、ポリウレタ
ン（粘度３，６００ｃｐ）を用いた。第４図における、
ｒ_１は１１８ｍｍ、ｒ_２は１３５ｍｍ、ｒ_３は１４２ｍ
ｍ、遠心機の回転数Ｎは、５５０ｒｐｍとした。

そして、ポッティング剤が硬化した後、容器とともに、
ポリウレタン部分にて切断して、隔壁を作成した。そし
て、それぞれの隔壁の外部に外部にポリプロピレン製の
流路形成部材を取り付けることにより、中空糸膜型人工
透析器を作成した。この中空糸膜型透析器の膜面積は、
約１．２ｍ^２であった。

（比較例１）内径約２００μｍ、肉厚約１２μｍの銅アンモニアセル
ロース製透析用中空糸膜約７，１００本を用いて、中空
糸膜束を作成した。そして、長さ１９８ｍｍ、端部内径
４２ｍｍ、中間部内径３２ｍｍのポリカーボネート製ハ
ウジングに、上記の中空糸膜束を挿入し、それぞれの端
部を分散させた。そして、塩化ビニル製容器により中空
糸膜束の端部を被嵌するとともに、容器をハウジングの
端部に固定した。ハウジングの両端部に容器を固定した
ものを、遠心機に取り付け、遠心するとともに、ハウジ
ングの透析液流入口および流出口よりポッティング剤を
注入した。そして、ポッティング剤として、ポリウレタ
ン（粘度４，５００ｃｐ）を用いた。第４図における、
ｒ_１は９８ｍｍ、ｒ_３は１１３ｍｍ、遠心機の回転数Ｎ
は、６５０ｒｐｍとした。

そして、ポッティング剤が硬化した後、容器とともに、
ポリウレタン部分にて切断して、隔壁を作成した。そし
て、それぞれの隔壁の外部に外部にポリプロピレン製の
流路形成部材を取り付けることにより、中空糸膜型人工
透析器を作成した。この中空糸膜型透析器の膜面積は、
約０．８ｍ_２であった。

（比較例２）内径約２００μｍ、肉厚約１２μｍの銅アンモニアセル
ロース製透析用中空糸膜約７，１００本を用いて、中空
糸膜束を作成した。そして、長さ１９８ｍｍ、端部内径
４，５００ｍｍ、中間部内径３２ｍｍのポリカーボネー
ト製ハウジングに、上記の中空糸膜束を挿入し、それぞ
れの端部を分散させた。そして、塩化ビニル製容器によ
り中空糸膜束の端部を被嵌するとともに、容器をハウジ
ングの端部に固定した。ハウジングの両端部に容器を固
定したものを、遠心機に取り付け、遠心するとともに、
ハウジングの透析液流入口および流出口よりポッティン
グ剤を注入した。そして、ポッティング剤として、ポリ
ウレタン（粘度３，６００ｃｐ）を用いた。第４図にお
ける、ｒ_１は９８ｍｍ、ｒ_３は１１３ｍｍ、遠心機の回
転数Ｎは３５０ｒｐｍとした。そして、ポッティング剤
が硬化した後、容器とともに、ポリウレタン部分にて切
断して、隔壁を作成した。そして、それぞれの隔壁の外
部に外部にポリプロピレン製の流路形成部材を取り付け
ることにより、中空糸膜型人工透析器を作成した。この
中空糸膜型透析器の膜面積は、約０．８ｍ^２であった。
なお、この中空糸膜型透析器のｒ_２は、約１１１ｍｍで
あった。

（比較例３）内径約２００μｍ、肉厚約１２μｍの銅アンモニアセル
ロース製透析用中空糸膜約７，１００本を用いて、中空
糸膜束を作成した。そして、長さ１９８ｍｍ、端部内径
４２ｍｍ、中間部内径３２ｍｍのポリカーボネート製ハ
ウジングに、上記の中空糸膜束を挿入し、それぞれの端
部を分散させた。そして、塩化ビニル製容器により中空
糸膜束の端部を被嵌するとともに、容器をハウジングの
端部に固定した。ハウジングの両端部に容器を固定した
ものを、遠心機に取り付け、遠心するとともに、ハウジ
ングの透析液流入口および流出口よりポッティング剤を
注入した。そして、ポッティング剤として、ポリウレタ
ン（粘度３，６００ｃｐ）を用いた、第４図における、
ｒ_１は９８ｍｍ、ｒ_３は１１３ｍｍ、遠心機の回転数Ｎ
は、１，３００ｒｐｍとした。

そして、ポッティング剤が硬化した後、容器とともに、
ポリウレタン部分にて切断して、隔壁を作成した。そし
て、それぞれの隔壁の外部に外部にポリプロピレン製の
流路形成部材を取り付けることにより、中空糸膜型人工
透析器を作成した。この中空糸膜型透析器の膜面積は、
約０．８ｍ^２であった。なお、この中空糸膜型透析器の
ｒ_２は、約１０３ｍｍであった。

そして、比較例１では、注入したポッティング剤が中空
糸束の中心部まで十分に流入せず、ポッティング剤部分
をスライスした後、ハウジングに固定されていない中空
糸があった。

比較例２では、中空糸膜束へのポッティング剤の充填が
不十分で、中空糸膜束の固定が不十分になり、ハウジン
グ内において、血液通路と透析液通路路とが連通するも
のが製造されることがあった。また、気泡がポッティン
グ剤中に閉じ込められたまま固化することがあり、スラ
イス面においてこの気泡部分が露出することがあり、隔
壁が平滑面とならないことがあった。さらに、ポッティ
ング剤が欠損部のある中空糸膜内に入りにくく、スライ
スで工程後、端部が開口するおそれがあった。

比較例３では、中空糸膜束へのポッティング剤の充填は
十分になるが、ポッティング剤が中空糸膜内に深く侵入
するため、スライス面をハウジングの端部ぎりぎりにし
なければならず、中にはハウジングの端部にてスライス
しても中空糸が開口しないものも作成された。

これに対し、実施例１，２では、ポッティング剤の充填
の安定性、その固定による均一性も良く、ピンホールの
ある中空糸膜内部には、ポッティング剤が入り込んで、
確実に閉塞状態とすることができた。

［発明の作用］本発明の中空糸膜型血液処理器の作用を、第１図の中空
糸膜型人工透析器を用いて説明する。

本発明の中空糸膜型人工透析器は、体外循環回路中に取
り付けられ、体外循環回路および透析器１内をプライミ
ングした後、中空糸膜型血液処理器１の血液流入口７よ
り、血液処理器１内に血液を流入する。流入された血液
は、透析用中空糸膜３の内面に接触し、また、透析液
は、透析液流入口１１より、透析器１内に流入し中空糸
膜３の外側に接触する。このとき、血液中の過剰な水
分、および尿素窒素、尿酸、クレアチニンなどの老廃物
が透析液に移動し、また、血液中のＫ、Ｎａ、Ｃｌ、Ｐ
などの電界質濃度の調整が行われ、血液は、血液流出口
８より流出する。

［発明の効果］本発明の中空糸膜型血液処理器は、ハウジングと、該ハ
ウジング内に挿入された多数の血液処理用中空糸膜から
なり、かつ少なくともその一部に欠損部を有する中空糸
膜を含む中空糸膜束と、該中空糸膜束の両端部を前記ハ
ウジングの両端部に液密に固定するポッティング剤によ
り形成された２つの隔壁と、前記ハウジングの両端部に
それぞれ取り付けられた血液流入口および血液流出口
と、前記ハウジングの両端部付近の側壁にそれぞれ設け
られ、前記中空糸膜の外面と前記ハウジングの内面と隔
壁とにより形成される空間に連通する流体の流入口およ
び流出口とを有する血液処理器であって、欠損部を有し
ない中空糸の端部は、前記隔壁面にて開口しており、か
つ、前記欠損部を有する中空糸膜の少なくとも一端内部
には、前記隔壁を形成するポッティング剤が流入し、閉
塞しているので、血液の流出および透析液の流入がな
く、さらに欠損部のない中空糸はすべて閉塞されていな
いので、中空糸を有効に利用できる。また、欠損部検査
の必要がなく、よって、その修理の必要もない。

さらに、本発明の中空糸膜型血液処理器の製造方法は、
流体の流入口および流出口を側壁に有する筒状ハウジン
グ内に、多数の血液処理用中空糸膜束からなり、少なく
ともその一部に欠損部を有する中空糸膜を含む中空糸膜
束を挿入し、前記中空糸膜束の両端部を、目止めするこ
となく固定し、前記ハウジングの液体の流入口および流
出口よりポッティング剤を、前記欠損部を有さない中空
糸膜の両端内には後に行うポッティング剤の切断部をこ
える位置まで前記ポッティング剤が入り込まないよう
に、かつ前記欠損部を有する中空糸膜の少なくとも一端
部内には該ポッティング剤の切断部をこえる位置まで前
記ポッティング剤が流入するように遠心注入し、該ポッ
ティング剤が固化した後、該ポッティング剤を前記ハウ
ジングの端部付近にて切断して、前記欠損部を有さない
中空糸膜の両端のみを開口させて、それぞれの隔壁を形
成するものであるので、上記のような中空糸膜型血液処
理器を容易に製造することができ、さらに従来の製造方
法では必須であった、ピンホール検査およびその処理工
程をを行う必要がなく、中空糸膜型血液処理器を効率よ
く製造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の中空糸膜型血液処理器の一
部断面図であり、第２図は、第１図に示した中空糸型血
液処理器の隔壁部の拡大断面図であり、第３図、第４
図、第５図および第６図は、本発明の血液処理器の製造
方法を説明するための説明図である。１……中空糸膜型血液処理器、２……ハウジング、３……中空糸膜、５，６……隔壁２１……欠損部、２２……容器２４……ポッティング剤、２８……リブ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ハウジングと、該ハウジング内に挿入され
た多数の血液処理用中空糸膜からなり、かつ少なくとも
その一部に欠損部を有する中空糸膜を含む中空糸膜束
と、該中空糸膜束の両端部を前記ハウジングの両端部に
液密に固定するポッティング剤により形成された２つの
隔壁と、前記ハウジングの両端部にそれぞれ取り付けら
れた血液流入口および血液流出口と、前記ハウジングの
両端部付近の側壁にそれぞれ設けられ、前記中空糸膜の
外面と前記ハウジングの内面と隔壁とにより形成される
空間に連通する流体の流入口および流出口とを有する血
液処理器であって、欠損部を有しない中空糸の端部は、
前記隔壁面にて開口しており、かつ、前記欠損部を有す
る中空糸膜の少なくとも一端内部には、前記隔壁を形成
するポッティング剤が流入し、閉塞していることを特徴
とする中空糸膜型血液処理器。
【請求項２】前記欠損部を有する中空糸内部に流入した
ポッティング剤の端面を含む隔壁面は、平面となってい
る請求項１に記載の中空糸膜型液体処理器。
【請求項３】流体の流入口および流出口を側壁に有する
筒状ハウジング内に、多数の血液処理用中空糸膜束から
なり、少なくともその一部に欠損部を有する中空糸膜を
含む中空糸膜束を挿入し、前記中空糸膜束の両端部を、
目止めすることなく固定し、前記ハウジングの前記液体
の流入口および流出口よりポッティング剤を、前記欠損
部を有さない中空糸膜の両端内には後に行うポッティン
グ剤の切断部をこえる位置まで前記ポッティング剤が入
り込まないように、かつ前記欠損部を有する中空糸膜の
少なくとも一端部内には該ポッティング剤の切断部をこ
える位置まで前記ポッティング剤が流入するように遠心
注入し、該ポッティング剤が固化した後、該ポッティン
グ剤を前記ハウジングの端部付近にて切断して、前記欠
損部を有さない中空糸膜の両端のみを開口させて、それ
ぞれの隔壁を形成することを特徴とする中空糸膜型血液
処理器の製造方法。