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中空糸膜モジュール及びその製造方法

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佐々木 亮
亮 佐々木
林太郎 粕谷
林太郎 粕谷
梢 伊藤
梢 伊藤
威 助川
威 助川
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2015 JP 2016 CN

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2020-10-28
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Description

本発明は、中空糸膜型医療用具における中空糸膜モジュール及びその製造方法に関する。
血液透析、血液濾過、血液濾過透析など、中空糸膜分離技術を利用した多くの血液浄化療法が考案されている。その中に、慢性腎不全患者に対する一般的な血液透析とは異なる、急性腎不全患者などに対して腎機能をサポートする持続的腎代替療法(CRRT)があり、近年では救命救急やICU等でも広く施行されている。
CRRTには、腎機能の代替を意図したrenal indicationの側面と、サイトカインのような液性伝達物質の除去等を意図したnon−renal indicationの側面とがある。いずれも、急性腎不全などの重篤な患者が主な対象であり、血行動態への影響を考慮して、通常の血液透析よりも循環流量を低くした条件で長時間行われることが多い。例えば、通常の血液透析は流量200mL/minで4時間施行されるのに対し、CRRTでは流量100mL/minで8時間から24時間以上施行される。
血液浄化を行う中空糸膜モジュールは、筒状容器と、当該筒状容器の長手方向に沿って装填され、両端部が前記筒状容器の両端に固定されている中空糸膜束とを有している。また、中空糸膜モジュールは、前記中空糸膜束を、前記筒状容器の両端で包埋固定しているポッティング樹脂部を有している。また、中空糸膜モジュールは、前記中空糸膜の両端面に対向し、前記筒状容器の両端部に設けられており、それぞれ流体の出入口となるノズルを具備するヘッダーと、前記筒状容器の側面部に設けられており、流体の出入口となるポートとを有している。
血液浄化療法では、この中空糸膜モジュール内で血液凝固を起こさないようにしなければならない。血液凝固してしまうと中空糸膜モジュールの交換作業等により治療を一時中断しなくてはならず、また、それに伴い回路内に残留した血液を損失してしまうためである。従って、CRRTのように対象患者の病態が重症であればあるほど、血液凝固を抑制することが重要となる。
血液凝固は、血小板等の血球成分の堆積や凝固反応の活性化などによって起こる。多くの場合、施行時には抗凝固薬が投与されるが、それでも中空糸膜等の血液適合性やモジュール内の血液滞留によって血液凝固が起きてしまう場合がある。
CRRTのように低流量で血液を循環する場合、血流は特に停滞しやすいので注意する必要がある。中空糸膜モジュール内で血液滞留が起きやすい場所としては、ヘッダー内部空間および中空糸膜への流入部分が挙げられる。ヘッダーのノズル内からヘッダー内部空間へ急激に流路が拡大するために、ヘッダー内部空間にデッドスペースがあると、そこに血液が長く留まり凝固の原因となる。これに対し、ノズルの根本を絞るような形状のヘッダー(特許文献1参照)や、ヘッダーの内部空間が薄く偏平になるような形状のヘッダー(特許文献2参照)などが提案されている。
一方で、中空糸膜への流入部も滞留しやすい領域である。ヘッダー内のような大きな空間から中空糸膜の細い管路へ流入する領域では渦のような流れが形成されやすいため、そこが滞留領域となってしまうのである。
また、特許文献1、2のようなヘッダーでは、ヘッダー内部空間が薄い偏平形状であるために、ノズルから流入した血液は中空糸の開口に対して垂直方向に強く流れるようになる。そのため、流れの向きが90度変化して中空糸膜へ流れ込むときに、中空糸に流入した直後の領域で滞留が起きやすくなる。
血液が中空糸膜へ流入するのを円滑におこなうために、中空糸膜の開口端に曲面あるいは傾斜面を構築する方法が開示されている。例えば、樹脂を被覆して形成する方法(特許文献3、4参照)や中空糸膜を溶融する方法(特許文献5、6、7、8参照)がある。
特開平09−108338号公報 特許第2554958号公報 特公平4−9423号公報 特開昭58−175567号公報 特公昭59−32142号公報 特開昭58−12655号公報 特許第3084529号公報 特開平7−255839号公報 特許第4311051号 特開2004−290670号公報
特許文献3、4のように中空糸の開口端に樹脂を被覆させて流路を形成させる方法は、血液適合性が良好で、形状変化しにくい樹脂を選定する必要があり、また、製造工程において全中空糸に対して均一に被覆させることが難しく、現実的な方法ではない。この点では、特許文献5、6、7、8のように直接中空糸膜を溶融して、中空糸流入口を形状変化させることが簡便であり好ましい。
特許文献5、6、7、8ではポリアクリロニトリル中空糸膜やセルロース系中空糸膜等が例示されているが、これらは中空糸膜の内表面側も外表面側も孔径が小さいことが特徴的な膜である。このような中空糸膜では膜厚内部にポッティング樹脂が入り込まないので、加熱等により中空糸膜のみを溶融して中空糸流入口を形状変化させることが可能となる。
一方、ポリスルホン膜のような、膜厚の内表面側に緻密層を有し、孔径が内表面側から外表面に向かって大きくなるようなグラジェント構造をとる中空糸膜では、成型時にポッティング樹脂が膜厚内部へ入り込んでしまう。この場合、ポッティング樹脂があるがために、中空糸膜のみを溶融することが不可能となるため、加熱等を試みても傾斜が構築されないか、或いは傾斜に段差を生じてしまう。
グラジェント構造は、中空糸膜の溶質除去性能を向上させるためには必要な構造である。すなわち、溶質除去性能は中空糸膜の抵抗に影響されるものであるところ、内表面側の緻密層が実質的な溶質除去機能を担うグラジェント構造を持つ膜では、膜厚部分全体で溶質除去を行う膜に比べて抵抗が少なくなるため、高い溶質除去性能が発揮される。特に、CRRTでは、サイトカイン等の分子量の比較的大きな物質の除去が求められることが多く、高い溶質除去性能が望まれていることから、上記の如きグラジェント構造を有する膜はその用に適している。
また、血液を円滑に中空糸膜内へ流入させるには、適切な角度の傾斜面あるいは曲面で流入させることが重要である。傾斜面が構築されていないか、或いは傾斜面が最適な角度で構築されても、傾斜面の長さが短いか、或いは傾斜面上に段差があると、血液滞留を防ぐ効果は不十分となってしまう。
上記の先行文献などでは中空糸膜端部の傾斜構造の最適な形状が求められたことはなかった。中空糸膜の開口端に構築する傾斜の角度は、浅すぎても深すぎても血液の滞留を防ぐ効果は不十分となってしまう。血液が高流量で流れる場合には、その流動性の高さから傾斜角度の影響は少ないが、低流量で流れる場合には血液が停滞しやすいために傾斜の角度が重要となる。
特許文献9、特許文献10では、切断工程を経た後に生じる中空糸膜切断面におけるバリを無くす方法として中空糸膜端部を溶融することが提案されているが、上述したグラジェント構造を持つ中空糸膜のように成型時にポッティング樹脂が膜厚部分に入り込むタイプの中空糸膜に斜面構造を付与することは記載されていない。
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、孔径が内表面側から外表面に向かって大きくなるようなグラジェント構造を有している中空糸膜において、血液が低流量で流れる場合であっても血液がヘッダー内部空間から中空糸膜内へ流れ込む際の滞留の発生を抑え中空糸膜流入口における血球成分の付着を抑制することのできる中空糸膜モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、グラジェント構造を有する膜においても、ポッティング樹脂が膜厚へ入り込むことを防ぐことにより、中空糸膜の流入口に適切な傾斜面を構築することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)筒状容器と、
該筒状容器の長手方向に沿って前記筒状容器内に装填される中空糸膜束と、
前記筒状容器の両端部の内側で前記中空糸膜束の両端部を包埋し、当該中空糸膜束の両端部を前記筒状容器の両端部に固定するポッティング樹脂部と、
前記筒状容器内を流れる流体の出入口となるノズルを有しており、前記筒状容器の両端部にそれぞれ設けられるヘッダーと、
を備えた中空糸膜モジュールであって、
前記中空糸膜は膜厚方向の内側から外側に向けて孔径が拡大するグラジェント多孔質構造を有しており、
前記中空糸膜の開口端の全周にわたって、開口端面に対し10度〜70度の傾斜面が形成されており、
前記傾斜面は膜厚の外端全周から内側に向かって形成されている、
ことを特徴とする中空糸膜モジュール。
本発明によれば、グラジェント多孔質構造である中空糸膜の端部形状を最適化することで、血液はヘッダー内部空間から中空糸膜へ淀みなく流れ込むようになるため、血球成分の堆積や凝固反応の活性化などの血液凝固に繋がる現象を抑制することができる。更に、流入口が広がり流れの抵抗が軽減するため、血液細胞の損傷も抑制することができる。
(2)上記(1)の中空糸膜モジュールにおいて、前記中空糸膜束の端面における、前記ポッティング樹脂部の端面の凹凸の高低差が10μm以下であることが好ましい。この中空糸膜モジュールでは、血球成分の堆積、損傷の発生を抑えやすく、また、血流の乱れの発生を抑えて血液を中空糸膜内へ円滑に流入させ血液凝固を抑えやすい。
(3)上記(2)の中空糸膜モジュールにおいて、前記ヘッダーの内径の1/2を半径aとしたとき、前記ヘッダーの中央部から前記筒状容器の軸線に直交する方向にa/3離れた位置における前記ポッティング樹脂部の端面から前記ヘッダーの内面までの高さをh1、2a/3離れた位置における前記ポッティング樹脂部の端面から前記ヘッダーの内面までの高さをh2としたときに、0.9h1≦h2≦1.0h1であることが好ましい。また本発明によれば、ヘッダー内空間が扁平状のヘッダーを併用することで、ヘッダー内での血液の滞留抑制効果と、中空糸膜への流入部分での血液の滞留抑制効果の両立が可能となる。
(4)上記(3)の中空糸膜モジュールにおいて、h1≦2.5mmであることが好ましい。このような空間にすることで、低流量で血液が流れても滞留を起こすようなデッドスペースを無くすことができる。
(5)上記(1)の中空糸膜モジュールにおいて、一方の前記ポッティング樹脂部の端面から他方の前記ポッティング樹脂部の端面までの長さを容器長L、前記筒状容器の容器内径をDとしたときに、3.5≦L/D≦5.5となることが好ましい。
本発明に係る中空糸膜モジュールの製造方法は以下のとおりである。
(6) 中空糸膜モジュールの製造方法において、
中空糸膜束の端部の少なくとも一部にシーリング剤を含ませ、
筒状容器の両端部の内側で前記中空糸膜束の両端部をポッティング樹脂によって包埋して当該中空糸膜束の両端部を前記筒状容器の両端部に固定し、
余分なポッティング樹脂を切断除去して前記中空糸膜の端面を開口させ、
前記中空糸膜の束を加熱して該中空糸膜の束の一部を溶融させ、前記中空糸膜の端面に傾斜面を構築する
ことを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
本発明によれば、血液が低流量で流れる場合であっても血液がヘッダー内部空間から中空糸膜内へ流れ込む際の滞留の発生を抑え中空糸膜流入口における血球成分の付着を抑制することができる。
中空糸膜モジュールの構造を示す模式図である。 中空糸膜モジュールにおけるヘッダー部位を拡大した模式図である。 (a)は本発明における中空糸膜端部の傾斜構造を示す模式図、(b)は本発明における中空糸膜端部の傾斜角度を示す模式図、(c)は一般的な中空糸膜端部の構造を示す模式図である。 溶血率を評価するために用いたヘッダーカラムの模式図である。 本発明の実施例において、中空糸膜の開口端面の観察エリアの概略を示す図である。 各実施例および比較例の測定結果を示す表である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔1.中空糸膜の製作方法〕
本実施形態の中空糸膜3の形状、寸法、分画特性は、特に限定されるものではなく、使用目的に照らして適切に選択することができる。
中空糸膜3の素材は特に限定されるものではないが、ポリスルホン(以下、「PSf」と記載する場合がある。)、ポリエーテルスルホン等のポリスルホン系ポリマーに、ポリビニルピロリドン等の親水化剤を含ませた多孔質中空糸膜は、用途に応じた分画性の制御に適し、また、血液適合性の最適化も行いやすいため、血液浄化用の中空糸膜として広く用いられている。中空糸膜3は、グリセリンやポリエチレングリコール等の第二の親水化剤や、その他添加剤、表面改質剤等をさらに含んでいてもよい。
ポリスルホン系ポリマーとは、式(1)に示される繰り返し単位を持つポリマーであるビスフェノール型ポリスルホンや、式(2)に示される繰り返し単位を持つポリマーであるポリエーテルスルホンの総称であり、中空糸膜の素材として広く用いられている。
(−Φ−SO2−Φ−O−C(CH3)2−Φ−O−)n (1)
(−Φ−SO2−Φ−O−)n (2)
ここで、Φはベンゼン環を、nはポリマーの繰り返しを表す。
ポリビニルピロリドン(以下、PVP)とは、N−ビニルピロリドンをビニル重合させた水溶性の高分子化合物であり、親水化剤や孔形成剤として中空糸膜の素材として広く用いられている。
中空糸膜3を製造する工程においては、以下に限定されないが、例えば、チューブインオリフィス型の紡糸口金を用い、紡糸口金のオリフィスから製膜原液を、該製膜原液を凝固させるための中空内液と同時に、チューブから空中に吐出させる。
製膜原液は、ポリスルホン系ポリマーとPVPを共通溶媒に溶解することによって調整することができる。
共通溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の溶媒、あるいは上記2種以上の混合液からなる溶媒が挙げられる。
製膜原液には水などの添加物を加えてもよいが、水分は製膜原液の安定性を損なう傾向があるため、出来るだけ添加しないことが好ましい。
中空内液は水、または水を主体とした凝固液が使用でき、一般的には製膜原液に使った溶剤と水との混合溶液が好適に使用される。この際、原液吐出量と中空内液吐出量を調整することにより中空糸膜3の内径と膜厚を所望の値に調整することができる。
紡糸口金から中空内液とともに吐出された製膜原液は、エアーギャップ部を走行させ、紡糸口金下部に設置した水を主体とする凝固浴中へ導入し、一定時間浸漬して凝固を完了させる。いわゆる乾湿式紡糸法である。エアーギャップ部とは、紡糸口金と凝固浴との間の空間を意味する。
製膜原液は、紡糸口金から同時に吐出された中空内液中の貧溶媒成分によって、内表面側から凝固が開始し、エアーギャップ部を走行中にその凝固が膜の外表面側に向かって進行する。中空内液から供給される貧溶媒は、主に拡散によって製膜原液中に浸透し中空糸膜の構造を形成させていくが、外表面側に行くに従って貧溶媒の濃度は希薄になっていく。従って、膜厚の内側から外側に向けて孔径が拡大するグラジェント多孔質構造の中空糸膜となる。
次いで、洗浄し、さらにグリセリンまたはポリエチレングリコール水溶液等の孔径保持剤を付着させ、乾燥処理を行うことで、中空糸膜3を得ることができる。孔径保持剤を用いなくとも中空糸膜3を得ることができるが、乾燥処理等での孔径の変化を制御しやすくなるため用いることが好ましい。
〔2.中空糸膜モジュールの製作方法〕
図1に中空糸膜モジュール1の構造を示す模式図、図2に中空糸膜モジュール1におけるヘッダー7の部位を拡大した模式図を示す。なお、図1,2においては、便宜的に、断面に現れる部分のみを線図に表している。
図1に示されるように、本実施形態に係る中空糸膜モジュール1は、略円筒状の筒状容器2と、筒状容器2の長手方向に沿って装填され、両端部4aが筒状容器2の両端部2aの内側に固定されている中空糸膜3の束(以下「中空糸膜束」という)4と、筒状容器2の両端部2aの内側で中空糸膜束4の両端部4aを包囲すると共に、中空糸膜束4の両端部4aが埋設されて固定されたポッティング樹脂部5と、を備えている。また、筒状容器2の側部2bには、流体の出入口となるポート6が設けられており、筒状容器2の両端部2aの外側には、それぞれヘッダー7が取り付けられている。
同一の寸法を有する中空糸から構成される該中空糸膜モジュール1においては、中空糸膜3の内表面の総面積が同一あっても、該モジュールの太さがより太く、該モジュールの長手方向の長さがより短い方が、流体の線速度が抑制されるため、圧力損失が低く抑えられる。この観点から、モジュール全長(あるいは容器長ということもでき、これは、すなわち、一方のポッティング樹脂部5の端面から他方のポッティング樹脂部5の端面までの長さをいう)をL、容器内径をD(図2参照)としたときに、3.5≦L/D≦5.5となることが好ましい。
図1、及び図2に示されるように、ヘッダー7は、中空糸膜3の一方(例えば、図1で示す上方)の端面3aに対向するように配置された円形のキャップ状部材である。ヘッダー7は、筒状容器2の片側端部2aの開口を覆う略円形のカバー部7aと、カバー部7aの周縁に沿って円筒状に設けられ、筒状容器2の端部2aに外接して筒状容器2に固定される固定部7bと、を備えている。
カバー部7aの中央部(ヘッダー7の中央部)には、液体の出入口となるノズル8が設けられている。一般的な場合、ノズル8は筒状容器2の軸線C(図2参照)に沿って延在する。また、ポッティング樹脂部5のカバー部7a側の端面とカバー部7aの周縁との間には、気密性を確保するための環状のシール材9が挟持されていてもよい。なお、ポート6、ヘッダー7に被されているキャップを符号12で示している(図1参照)。
該ヘッダー7内に形成される内部空間(すなわち、ヘッダー7と中空糸膜3の端面3aとの間に形成される空間であり、図2において符号Sで示す)における、ヘッダー7の内径の1/2を半径aとする。この半径aは、ヘッダー7の筒状容器2側の半径であり、より具体的には、内部空間Sにおいてカバー部7aの内面がポッティング樹脂部5のウレタン面に近接する部位の内径の1/2である。また、ヘッダー7の中央部(筒状容器2の軸線Cが通る位置)から筒状容器2の軸線Cに直交する方向にa/3離れた位置でのヘッダー7の高さ(すなわち、ポッティング樹脂部5の端面(表面)から、ヘッダー7の内面7cまでの鉛直方向距離のこと)をh1、2a/3離れた位置でのヘッダー7の高さをh2としたときに、0.9h1≦h2≦1.0h1となるような扁平構造であることが好ましく、h1=h2であればより好ましい。また、該ヘッダー7の内部空間Sの高さhが2.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であればより好ましい。このような空間にすることで、低流量で血液が流れても滞留を起こすようなデッドスペースを無くすことができる。
中空糸膜束4は、筒状容器2の長手方向に沿って装填され、両端部4aがポッティング樹脂部5を介して筒状容器2の両端部2aに固定されている。
中空糸膜束4を筒状容器2の両端部2aに固定するには、例えば、中空糸膜束4を筒状容器2へ挿入し、中空糸膜束4の両端部4aに、ポッティング樹脂を注入して、筒状容器2の長手方向中心を軸として遠心回転させることにより、中空糸膜束4の両端部4aにポッティング層(ポッティング樹脂部5)を形成して両端をシールすることにより、固定できる。ポッティング樹脂の材質としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。
その後、余分なポッティング樹脂を切断除去して、中空糸膜3の端面3aを開口させる。中空糸膜束4の端面4bにおいてポッティング樹脂部5の表面(切断面からなる端面)が平滑となるように切断することが好ましく、ポッティング樹脂部5の端面(表面)の凹凸の高低差(後に測定方法を述べる)は、血球成分の堆積、損傷の発生を抑える観点から、また、血流の乱れの発生を抑えて血液を中空糸膜3内へ円滑に流入させ血液凝固を抑える観点から、10μm以下であることが好ましい。
〔3.中空糸膜流入口の傾斜構造の構築方法〕
中空糸膜3はグラジェント構造のため外表面の孔径は比較的大きなものになっている。そのため、ポッティング工程において、ポッティング樹脂が膜厚に少なからず入り込んでしまう。とくに、中空糸外表面の開孔率が20%以上になるとポッティング樹脂が入り込みやすくなる。ポッティング樹脂が入り込んでしまうと、中空糸膜3への流体の流入口である端面3aに傾斜面10を構築するのが困難になる。あるいは、傾斜面10が膜厚の一部分にしか形成できない。一方で、ポッティング樹脂が膜厚に入り込むことにより、ポッティング樹脂と中空糸膜3との接着強度が増す。
そこで、中空糸膜束4を筒状容器2へ挿入する前に、中空糸膜束4の端部4aの少なくとも一部に一時的にシーリング剤を含ませると、中空糸膜3の端面3aの開口部分だけポッティング樹脂が膜厚へ入り込むことを防ぎ、端面3aに均一な、テーパー状(あるいは漏斗状、ラッパ状、すり鉢状)の傾斜面10を安定して製造することが可能になる。一方、該開口部分以外はポッティング樹脂が膜厚へ入り込むため、ポッティング樹脂と中空糸膜3との接着強度は維持できる。なお、テーパー状の傾斜面10は、中空糸膜3の両方の端面3aに形成されていることが好ましいが、少なくとも、片方(流体の入口側)の端面3aに形成されていれば、後述するように流体の流れを向上させる(血液滞留を抑制する)ことが可能となる。
中空糸膜束4の端部4aの必要な部分にだけシーリング剤を含ませることは、毛細管現象を利用し、中空糸膜束4の端部4aをシーリング剤に浸漬させる時間をコントロールすることで可能となる。この方法では、浸漬されるすべての中空糸膜3の膜厚の空隙部分に確実にシーリング剤を含ませることができるため、すべての中空糸膜3において膜厚の外端から傾斜面10を構築することが可能である。
中空糸膜束4に含まれる中空糸膜3の形態には限定がなく、ストレート糸、ウェーブ糸、またはその混合でもよく、中空糸膜束4にはスペーサーヤーンが含まれていてもよい。また、中空糸膜3にはポリエチレングリコールやビタミン剤等の付加剤がコーティングされていてもよい。
シーリング剤は、不揮発性で、孔内に留まれる程度の粘性があり、中空糸を溶かさないものであればよい。例えばポリビニルピロリドン、グリセリンあるいはポリエチレングリコールの水溶液などは、上記条件を満たすほか、従来から中空糸膜モジュール1の構成成分となっていることもあり好適であるが、これらに限定されるものではない。
傾斜面10は、加熱による中空糸膜3の一部溶融によって構築できる。加熱の手段としては、ヒーター等の熱源、光照射などが挙げられる。このとき、長手方向側から加熱しながら中空糸膜モジュール1を筒状容器2の軸線Cを中心に当該筒状容器2ごと回転させると、仮に熱源自体に温度ムラがあったとしても、数千〜数万の中空糸膜3を径方向にも周方向にも均一に加熱することが可能になる。
傾斜面10の傾斜角度αは、図3bに示すように、中空糸膜3の縦断面において、膜厚の外端3eともう一方の外端3eとを結ぶ直線と傾斜面10とからなる角度を示すものとする。別言すれば、傾斜面10の傾斜角度αは、傾斜面10が形成される前の中空糸膜3の端面3aを0度とおいた場合の当該端面3aに対する斜度を示す。
傾斜角度αは、10度未満あるいは70度を超える場合、血液がヘッダー7の内部空間Sから中空糸膜3に流入する際に中空糸膜流入口における血液の滞留が起こる可能性があり、血球成分の付着を十分には抑制できない場合があるため、10度〜70度の範囲内にあることが好ましい。血球成分の付着抑制効果をさらに向上させるには、該傾斜角度αは15度〜65度であればより好ましい。
中空糸膜3に傾斜面10を形成した後、ノズル8を有するヘッダー7を取り付け、滅菌することにより、中空糸膜束4が筒状容器2に充填された中空糸膜モジュール1が製造できる。中空糸膜モジュール1に抗酸化剤等の水溶液が充填されていても構わない。
ヘッダー7の内部空間Sは、血液が滞留するデッドスペースを極力少なくすることが望ましい。ノズル8から流入した血液を無駄なく中空糸膜3に分配させるためには、ヘッダー7の内部空間Sを偏平な形状にする必要がある。すなわち、ヘッダー7の高さ(h)は、カバー部7aの全範囲において略同一の高さであることが好ましい。さらに、その値が2.5mm以下であればより好ましい。ここで、ヘッダー7の高さ(h)を、筒状容器2の両端部2aにヘッダー7を装着した状態において、ポッティング樹脂部5の端面からカバー部7aの内面7c(ヘッダー7の天井面)までの距離とした。
筒状容器2とヘッダー7の材質としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ナイロン6樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂などが挙げられる。
特に、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂は、樹脂コストが安価であり、医療用部材の分野での汎用性が高く、高い安全性が確認されているので好ましく、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂が特に好ましいが、特にこれらに限定するものではない。
以下、実施例及び比較例により本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
PSf(ソルベイ社製)19重量部、PVP(日本触媒社製、K−90)7重量部、DMAc(三菱ガス化学社製)74重量部からなる製膜原液を調整した。中空内液にはDMAc60重量%水溶液を用いた。製造原液と中空内液を紡糸口金から吐出させ、フードで覆った落下部を経て水よりなる60℃の凝固浴に浸漬して凝固させた。水洗、20%濃度のグリセリン(日本薬局方)水溶液の塗布、乾燥をおこなって、血液処理膜を得た。得られた中空糸膜3の内径は210〜240μm、膜厚は20〜75μmであった。
中空糸膜9100本を束にして、束端部片側10mmを85%濃度のグリセリン(日本薬局方)に5秒間浸漬させた。その後、毛細管現象によりグリセリンを中空糸膜3に含浸させるため20時間静置した。このとき、中空糸膜束4の端部4aにおいて、グリセリンは中空糸膜重量に対して370%含まれていた。その後、容器長(L)が170mmで容器内径(D)が39mmの筒状容器2に中空糸膜束4を挿入して、ポリウレタン樹脂を用いてポッティング加工した後、余分なポリウレタン樹脂を切断して中空糸膜3を開口させた。
該ウレタン面を700度の熱源に5秒間接近させ、中空糸膜3の端部に傾斜面10を構築した。その後、筒状容器2にヘッダー7を装着し、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を含む抗酸化剤を充填し、γ線によって滅菌することで、中空糸膜モジュール1を得た。ヘッダー7装着後のヘッダー内空間の高さはh1=h2=1.8mmであった。
〔傾斜構造の観察〕
中空糸膜3の膜厚の外端全周から内側に向かって傾斜面10が構築されているか否かを評価するため、中空糸膜モジュール1の中空糸膜束4の開口端部をスライスし、走査型電子顕微鏡(日立、S−3000N)で150倍の視野で、真上からではなく、斜め上から観察した。
該開口端面を、開口端面の半径の半分の半径となる同心円と、その外周部を90度の角度で四分割した計5分割の各エリアにおいて、様子を観察した(図5参照)。
〔傾斜角度の測定〕
傾斜面10の傾斜角度αは、レーザー顕微鏡(KEYENCE、VK−8500)によって測定した。傾斜状態の観察方法と同様に、中空糸膜モジュール1の中空糸膜束4の開口端部をスライスし、開口端部の外周円の半径の半分を半径とする同心円(図5参照)と、その外周の環状部分を90度の角度で四分割した計5分割の各エリアの中から任意の3本ずつ、合計15本の中空糸膜3について、流入口の傾斜角度αを測定した。なお、傾斜角度αの算出は、画像処理、演算等を実施する公知の解析ソフトを利用して行うことができる。
中空糸膜3の膜厚外端から傾斜が構築されていることを確認し、膜厚の内周面上の1点と、そこから膜厚外端までの形状を測定することで傾斜角度αを算出した。
〔開口端面におけるポッティング樹脂部の端面の凹凸の高低差測定〕
レーザー顕微鏡(KEYENCE、VK−9700)を用いて、中空糸膜束4の開口端部における、中空糸膜3を含まないポッティング樹脂のみのエリア内の最大隆起高さを測定した。ポッティング樹脂部5の端面に隆起が観察された場合は、そこを含む250μm四方のエリアにおける最大隆起高さを測定値とし、隆起が観察されなかった場合には、特に指定なく250μm四方のエリアを抽出して、そのエリアにおける最大高さを測定値とした。
〔血球付着数の測定〕
中空糸膜3への流入における血球成分の堆積を評価するため、中空糸膜3の傾斜部位(すなわち傾斜面10)における血球成分の付着数を測定した。
ヘパリンを2000U/Lとなるように添加した健常人ドナー血液90mLを、中空糸膜モジュール1に対して流速100mL/minで4時間循環させた。その後、生理食塩水で中空糸膜モジュール1内を置換、洗浄し、中空糸内に残存した血球細胞をグルタルアルデヒドにて固定した。細胞固定後の中空糸膜モジュール1を蒸留水で洗浄した後、該モジュールを解体して中空糸とポッティング樹脂からなる中空糸膜流入口部分を切出し、凍結乾燥処理を行った。
凍結乾燥後の該中空糸膜流入口部分から、中空糸膜開口部の縦断面が観察できるように切断して観察用サンプルを作製し、走査型電子顕微鏡(日立,S−3000N)で300倍の視野で、中空糸の流入部の端部から中空糸長軸方向に200μmのエリアの血球数を測定した。
中空糸膜束の開口端部の中心部と外周部の四方4ヵ所の各エリアにおいて1本ずつ、合計5本の中空糸膜を抽出し、観察対象とした。
〔溶血率の測定〕
中空糸膜への流入における血球成分の損傷を評価するため、赤血球の溶血率を測定した。
中空糸膜モジュール1からポッティング樹脂部5と、ポッティング樹脂部5に埋設された中空糸膜束4の端部4aとからなる部分を切り取り、切り取った部分の両側からヘッダー7のカバー部7aを環状のシール材9を挟んで押し当てて固定し、ヘッダーカラム11を製作した(図4参照)。
CPDを添加した牛血液(ヘマトクリット値:50%)から遠心分離(3500rpm、20分)によって血球成分と血漿を分離した後、血漿とバフィーコートを除去した。得られた血球成分に対して同容量の生理食塩水を加え、再び遠心分離(3500rpm、20分)によって血球成分を分離した後、上清を除去し、赤血球濃厚液を得た。
得られた赤血球濃厚液を空の血液バッグ(容量:200mL)に移し入れ、もう一つの同容量の空の血液バッグと、回路およびヘッダーカラム11を介して接続した。こうして得た閉鎖回路において、落差を利用して赤血球濃厚液をヘッダーカラム11に潅流させる操作を往復で合計50回繰り返した。
潅流後の赤血球濃厚液を回収し、遠心分離(3500rpm、20分)後の上清の、波長576nmにおける吸光度を測定した。
以上により得られた測定結果を、他の実施例及び比較例の測定結果と合わせて、図6の表に示す。
(実施例2)
ポリウレタン樹脂の切断面を710度の熱源に5秒間接近させたこと以外は、実施例1と同様の製造方法・測定方法を実施した。
(実施例3)
ポリウレタン樹脂の切断面を725度の熱源に6秒間接近させたこと以外は、実施例1と同様の製造方法・測定方法を実施した。
(実施例4)
ヘッダー内高さがh1=h2=4.2mmであるヘッダーを装着したこと以外は、実施例1と同様の製造方法・測定方法を実施した。
(実施例5)
中空糸本数6300本、容器長(L)が170mmで容器内径(D)が32mmの筒状容器2を使用したこと以外は、実施例1と同様の製造方法・測定方法を実施した。
(実施例6)
中空糸本数11700本、容器長(L)が170mmで容器内径(D)が44mmの筒状容器2を使用したこと以外は、実施例1と同様の製造方法・測定方法を実施した。
(比較例1)
中空糸膜束を筒状容器に挿入する前に、中空糸膜束の端部をグリセリン水溶液へ浸漬させなかったこと以外は、実施例1と同様の製造方法を実施した。得られた中空糸膜の内径は210〜240μm、膜厚は20〜75μmであり、中空糸膜束の端部におけるグリセリンの含有率は75%であった。また、ヘッダー内高さはh1=h2=1.8mmであった。得られた中空糸膜モジュール1について、実施例1と同様の測定方法を実施した。
(比較例2)
PSf(ソルベイ社製)19重量部、PVP(日本触媒社製、K−90)7重量部、DMAc(三菱ガス化学社製)74重量部からなる製膜原液を調整した。中空内液にはDMAc60重量%水溶液を用いた。製造原液と中空内液を紡糸口金から吐出させ、フードで覆った落下部を経て水よりなる60℃の凝固浴に浸漬して凝固させた。水洗、72%濃度のグリセリン(日本薬局方)水溶液の塗布、乾燥をおこなって、血液処理膜を得た。得られた中空糸膜の内径は210〜240μm、膜厚は20〜75μmであった。また、中空糸膜束の端部において、グリセリンは中空糸膜重量に対して200%含まれていた。
中空糸膜9100本を束にして、筒状容器に挿入して、ポリウレタン樹脂を用いてポッティング加工した後、余分なポリウレタン樹脂を切断して中空糸膜を開口させた。該ウレタン面を720度の熱源に5秒間接近させ、中空糸膜の端部に傾斜面を構築した。その後、ヘッダーを装着し、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を含む抗酸化剤を充填し、γ線によって滅菌することで、中空糸膜モジュールを得た。ヘッダー装着後のヘッダー内空間の高さはh1=h2=1.8mmであった。
(比較例3)
ポリウレタン樹脂の切断面を740度の熱源に6秒間接近させたこと以外は、実施例1と同様の製造方法・測定方法を実施した。
表(図6参照)に示すように、中空糸膜束の端部に十分グリセリンを含ませた中空糸膜は、膜厚へのポッティング樹脂の入り込みを防げたため、中空糸膜厚の外端より内側へ向かって傾斜が構築されていた。
その結果、適度な角度を付与された傾斜部位における血球の付着数は大きく減少され、血液が滞留なく中空糸膜へ円滑に流れ込むことから、血液凝固を抑制できることが示された。また、ウレタン面が平滑であるため、ウレタン部位における血球成分の付着も少ないことも示された。
更に、傾斜構造の構築によって溶血率も低減することができていることからも、血球成分の損傷およびそれに伴う血液凝固を抑制できることが示された。
本発明の中空糸膜モジュールは、CRRTのように低流量で血液を循環する血液浄化療法に用いられる際の、施行中の血液凝固のリスクが低く、長時間安定して治療に用いることができる。
1 中空糸膜モジュール
2 筒状容器
2a 筒状容器の端部
2b 筒状容器の側部
3 中空糸膜
3a 中空糸膜の端面
3e 外端
4 中空糸膜束
4a 中空糸膜束の端部
4b 中空糸膜束の端面
5 ポッティング樹脂部
6 ポート
7 ヘッダー
7a カバー部
7b 固定部
7c ヘッダーの内面
8 ノズル
9 シール材
10 傾斜面
11 ヘッダーカラム

Claims (10)
Hide Dependent

  1. 筒状容器と、
    該筒状容器の長手方向に沿って前記筒状容器内に装填される中空糸膜束と、
    前記筒状容器の両端部の内側で前記中空糸膜束の両端部を包埋し、当該中空糸膜束の両端部を前記筒状容器の両端部に固定するポッティング樹脂部と、
    前記筒状容器内を流れる流体の出入口となるノズルを有しており、前記筒状容器の両端部にそれぞれ設けられるヘッダーと、
    を備えた中空糸膜モジュールであって、
    前記中空糸膜は膜厚方向の内側から外側に向けて孔径が拡大するグラジェント多孔質構造を有しており、
    前記中空糸膜の開口端の全周にわたって、開口端面に対し10度〜70度の傾斜面が形成されており、
    前記傾斜面は膜厚の外端全周から内側に向かって形成されている、
    ことを特徴とする中空糸膜モジュール。
  2. 筒状容器と、
    該筒状容器の長手方向に沿って前記筒状容器内に装填される中空糸膜束と、
    前記筒状容器の両端部の内側で前記中空糸膜束の両端部を包埋し、当該中空糸膜束の両端部を前記筒状容器の両端部に固定するポッティング樹脂部と、
    前記筒状容器内を流れる流体の出入口となるノズルを有しており、前記筒状容器の両端部にそれぞれ設けられるヘッダーと、
    を備えた中空糸膜モジュールであって、
    前記中空糸膜は膜厚方向の内側から外側に向けて孔径が拡大するグラジェント多孔質構造を有しており、
    前記中空糸膜の開口端の全周にわたって、前記中空糸膜モジュールの開口端部をスライスし、開口端部の外周円の半径の半分を半径とする同心円と、その外周の環状部分を90度の角度で四分割した計5分割の各エリアの中から任意の3本ずつ、合計15本の中空糸膜について測定した流入口の角度が開口端面に対し10度〜70度の傾斜面が形成されており、
    前記傾斜面は膜厚の外端全周から内側に向かって形成されている、
    ことを特徴とする中空糸膜モジュール。
  3. 前記中空糸膜の開口端の全周にわたって、前記開口端面に対し10度〜65度の傾斜面が形成されている、請求項1または2に記載の中空糸膜モジュール。
  4. 前記中空糸膜の開口端の全周にわたって、前記開口端面に対し10度〜52.8度の傾斜面が形成されている、請求項1または2に記載の中空糸膜モジュール。
  5. 前記中空糸膜の開口端の全周にわたって、前記開口端面に対し28.1度〜52.8度の傾斜面が形成されている、請求項1または2に記載の中空糸膜モジュール。
  6. 前記中空糸膜の開口端の全周にわたって、前記開口端面に対し40.5度〜52.8度の傾斜面が形成されている、請求項1または2に記載の中空糸膜モジュール。
  7. 前記中空糸膜束の端面における、前記ポッティング樹脂部の端面の凹凸の高低差が10μm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュール。
  8. 前記ヘッダーの内径の1/2を半径aとしたとき、前記ヘッダーの中央部から前記筒状容器の軸線に直交する方向にa/3離れた位置における前記ポッティング樹脂部の端面から前記ヘッダーの内面までの高さをh1、2a/3離れた位置における前記ポッティング樹脂部の端面から前記ヘッダーの内面までの高さをh2としたときに、0.9h1≦h2≦1.0h1であることを特徴とする請求項7に記載の中空糸膜モジュール。
  9. h1≦2.5mmであることを特徴とする請求項8に記載の中空糸膜モジュール。
  10. 一方の前記ポッティング樹脂部の端面から他方の前記ポッティング樹脂部の端面までの長さを容器長L、前記筒状容器の容器内径をDとしたときに、3.5≦L/D≦5.5となることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュール。