JP3048652B2 - 膜型人工肺の製造方法 - Google Patents

膜型人工肺の製造方法

Info

Publication number
JP3048652B2
JP3048652B2 JP3005272A JP527291A JP3048652B2 JP 3048652 B2 JP3048652 B2 JP 3048652B2 JP 3005272 A JP3005272 A JP 3005272A JP 527291 A JP527291 A JP 527291A JP 3048652 B2 JP3048652 B2 JP 3048652B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
blood
ozone
gas
oxygenator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3005272A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04236961A (ja
Inventor
研司 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP3005272A priority Critical patent/JP3048652B2/ja
Publication of JPH04236961A publication Critical patent/JPH04236961A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3048652B2 publication Critical patent/JP3048652B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、膜型人工肺の製造方法
に関するものである。詳しく述べると、本発明は、オゾ
ンによる基材の劣化を最小限に抑え、かつ、疎水性膜に
抗血栓性を付与する膜型人工肺の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、開心術の補助手段として、良好な
ガス透過性を有するガス交換膜を介して、血液と酸素含
有ガスとを接触させてガス交換を行う膜型人工肺が用い
られている。このガス交換膜には、良好なガス透過能を
有すること以外に、機械的強度が大きいこと、長持間血
液を循環しても血漿の漏洩が起こらないこと、さらに血
液に触れても血液に対する損傷、すなわち血液凝固、微
小血栓形成、血小板損失、血漿タンパクの変性、溶血な
どを起こさない等の性能が要求される。現在、膜型人工
肺に用いられるガス交換膜としては、均質膜と多孔質膜
の2種類があり、均質膜としては、主にシリコーン膜が
用いられており、一方多孔質膜としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポ
リアミド等の種々の材質が用いられている。
【0003】しかしながら、シリコーン均質膜は、強度
的に十分でなく、膜厚を100μm以下にすることがで
きず、このためガス透過に限界があり、特に炭酸ガスの
透過が悪いものであり、また、所望のガス交換能に達す
るために、例えば中空糸膜として数万本束ねた装置を用
いるが、この装置は大型化し、プライミング量の増大を
きたし、さらにコスト的にも高いものとなってしまう。
【0004】一方、多孔質膜については、特に、ポリオ
レフィンを主成分とした材質が寸法安定性や強度等の物
理的性質に優れているため、好ましく使用され、さらに
このポリオレフィン膜に人工肺用ガス交換膜として重要
な性能の一つである抗血栓性を付与するために、従来よ
り様々なものが考案されてきた。抗血栓性を付与する方
法としては、例えば、ヘパリンを基材表面に固定する方
法がある。その方法としては、ヘパリンを固定する際に
プレポリマーをコーティングするものがあるが、この方
法では、プレポリマーの多孔質膜への被着強度が弱く、
プレポリマーが剥がれたり、また該膜の支持体が多孔質
膜で疎水性であるため被覆が均一に行えないという欠点
を有している。また、抗血栓性を付与する方法として、
基材にオゾンを用いた処理をすることによって基材上に
官能基を導入し、この官能基とヘパリンの第1級アミノ
基とを直接または少なくとも一種類のカップリング剤を
介して共有結合させる方法も知られている。しかしなが
ら、この方法では、膜厚の厚い材料では有用であるが、
膜厚の薄い材料を用いると、オゾンによる劣化によって
膜強度が十分でなくなり、オゾンによる酸化分解反応に
限界があるという問題が生じている。
【0005】以上述べたように、優れた抗血栓性および
強度を兼備している膜型人工肺はいまだ開発されていな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、新規な膜型人工肺の製造方法を提供することを目的
とするものである。本発明はまた、基材の劣化を最小限
に抑え、十分な強度を付与し、さらに、血液と接触する
基材に抗血栓性を付与する膜型人工肺の製造方法を提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、ガス流入
口、ガス流出口、血液流入口および血液流出口を備えた
ハウジングと該ハウジング内に収納された多数の連通微
細孔を有するガス交換用の疎水性膜とからなり、該疎水
性膜を介して第1の流体としてのガスまたは血液と第2
の流体としての血液またはガスとを接触させてガス交換
する人工肺において、前記疎水性膜の内面または外面の
一方の血液と接触しない面に液体を接触させることによ
り、前記細孔を閉口させ、この状態で人工肺のハウジン
グ内にオゾンを流通させて、該疎水性膜の血液と接触す
る面にオゾンによる酸化分解反応を生起させることを特
徴とする膜型人工肺の製造方法によって達成される。
【0008】本発明はまた、疎水性膜は、肉厚5〜80
μm、空孔率20〜80%、平均細孔径0.01〜5μ
mおよび内径100〜1000μmの中空糸状多孔質膜
であり、20℃以下の低温下でオゾンによる酸化分解反
応を行う膜型人工肺の製造方法を示すものである。本発
明はまた、疎水性膜が、ポリオレフィン製の膜である膜
型人工肺の製造方法を示すものである。本発明はさら
に、疎水性膜の片側の細孔を閉口するための液体が水ま
たは水溶液である膜型人工肺の製造方法を示すものであ
る。
【0009】
【作用】本発明に係わる膜型人工肺の製造方法は、ガス
流入口、ガス流出口、血液流入口および血液流出口を備
えたハウジングと該ハウジング内に収納された多数の連
通微細孔を有するガス交換用の疎水性膜とからなり、該
疎水性膜を介して第1の流体としてのガスまたは血液と
第2の流体としての血液またはガスとを接触させてガス
交換する人工肺において、前記疎水性膜の内面または外
面の一方の血液と接触しない面に液体を接触させること
により、前記細孔を閉口させ、この状態で人工肺のハウ
ジング内にオゾンを流通させて、血液と接触する面にオ
ゾンによる酸化分解反応を生起させるものである。した
がって、本発明の膜型人工肺の製造方法は、多孔質膜の
微細孔を液体で閉口させ、オゾンが細孔を通過すること
を防止した状態で、オゾンによる酸化分解反応を行うこ
とによって基材の劣化(酸化作用)を最小限に抑え、血
液と接触する面のみにオゾンによる酸化分解反応を生起
させることによって、血液と接触する面の基材に抗血栓
性を付与することができるものである。
【0010】さらに、このオゾンによる処理を20℃以
下の低温で行えば、酸化分解反応の過度な進行を抑える
ことができ、これによって基材となる多孔質膜の損傷を
より小さなものとすることができる。
【0011】また、本発明において、液体で疎水性膜の
片側を閉口させるため、低温での温度制御が容易に行う
ことができる。
【0012】本発明の膜型人工肺の製造方法において、
オゾンによる酸化分解反応の温度は、基材の劣化を抑え
るために低温であることが好ましく、20℃以下、さら
に好ましくは10〜5℃である。
【0013】本発明において、疎水性膜の片側を閉口さ
せるために使用する液体は、水または水溶液であること
が好ましい。水溶液としては、具体的には、エタノー
ル、イソプロパノール等を水に溶解ないし混和させたも
のが挙げられる。
【0014】本発明において使用されるガス交換用の疎
水性膜(ガス交換膜)の形態としては、平膜状、中空糸
状、コイル状などが含まれるが、これらのうち、特に中
空糸状が好ましい。また、この疎水性膜が中空糸状多孔
質膜である場合、その肉厚は5〜80μm、さらに好ま
しくは10〜60μm、空孔率は20〜80%、さらに
好ましくは30〜60%、平均細孔径は0.01〜5μ
m、さらに好ましくは0.01〜1.0μm、および内
径は100〜1000μm、さらに好ましくは100〜
300μmであることが好ましい。さらに、本発明にお
いて使用される疎水性膜の素材としては、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ
スルホン、ポリウレタンが具体的に挙げられる。特に、
ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンが好
適に使用される。
【0015】また、このような疎水性多孔質膜は、延伸
法により製造することもできるが、例えば、特開昭61
−90704号、61−90705号、61−9070
7号、62−106770号等に開示されているよう
に、ポリオレフィン、該ポリオレフィンの溶融下で該ポ
リオレフィンに均一に分散しかつ使用する抽出液に対し
て易溶性である有機充填剤および結晶核形成剤を混練
し、このようにして得られた混練物を溶融状態でノズル
より吐出させ、吐出させた溶融膜を冷却用流体と接触さ
せて冷却固化し、次いで冷却固化した平膜を前記ポリオ
レフィンを溶融しない抽出液と接触させて前記有機充填
剤を抽出除去することにより製造することができる。
【0016】本発明の膜型人工肺の製造方法によって得
られる人工肺が中空糸膜型人工肺の場合を例にとって説
明すると以下の通りである。すなわち、図1は、本発明
の膜型人工肺の製造方法によって得られる中空糸膜型の
人工肺の一実施態様を示すものである。図1において、
中空糸膜型人工肺1は、ハウジング6を具備してなり、
このハウジング6は筒状本体7の両端部にそれぞれ環状
のオスネジ付き取付カバー8,9が設けられ、ハウジン
グ6内には、全体が広がって多数の細孔を有する中空糸
状の疎水性多孔質膜(ガス交換膜)2がハウジング6の
長手方向に沿って並列的な相互に離間配置されている。
そして、このガス交換膜2の両端部は、取付カバー8,
9内においてそれぞれ開口が閉口されない状態で隔壁1
0,11により液密に支持されている。また、上記各隔
壁10,11は、ガス交換膜2外周と上記ハウジング6
の内面と共に第1の物質移動室である空気等の酸素含有
ガス流通用空間(酸素室)12を構成し、これを閉口
し、かつ上記ガス交換膜2の内部に形成される第2の物
質移動流体用空間である血液流通用空間(図示しない)
と酸素室12を隔離するものである。
【0017】一方の取付カバー8には、第1の物質移動
流体である酸素含有ガスを供給する流入口13が設けら
れている。他方の取付カバー9には、酸素含有ガスを排
出する流出口14が設けられている。
【0018】上記ハウジング6の筒状本体7の内面に
は、軸方向の中央に位置して突出する絞り用拘束部15
を設けることが好ましい。すなわち、拘束部15は、上
記筒状本体7の内面に筒状本体と一体に形成されてい
て、筒状本体7内に挿通される多数のガス交換膜2から
なる中空糸束16の外周を締め付けるようになってい
る。こうして、上記中空糸束16は、図1に示すように
軸方向の中央において絞り込まれ、絞り部17を形成し
ている。したがって、ガス交換膜2の充填率は、軸方向
に沿う各部において異なり、中央部分において最も高く
なっている。なお、望ましい各部の充填率は次の通りで
ある。まず、中央部の絞り部17における充填率は、約
60〜80%、その他筒状本体7内では約30〜60%
であり、中空糸束16の両端、つまり隔壁10,11の
外面における充填率では約20〜40%である。
【0019】次に、上記隔壁10,11の形成について
述べる。前述したように隔壁10,11は、ガス交換膜
2の内部と外部を隔離するという重要な機能を果たすも
のである。通常、この隔壁10,11は、極性の高い高
分子ポッティング剤、例えばポリウレタン、シリコー
ン、エポキシ樹脂等をハウジング6の両端内壁面に遠心
注入法を利用して流し込み、硬化させることにより作ら
れる。さらに詳述すれば、まず、ハウジング6の長さよ
り長い多数の中空糸膜2を用意し、この両開口端を粘度
の高い樹脂によって目止めした後、ハウジング6の筒状
本体7内に並べて位置せしめる。この後、取付カバー
8,9の径以上の大きさの型カバーで、ガス交換膜2の
各両端を完全に覆って、ハウジング6の中心軸を中心に
そのハウジング6を回転させながら両端部側から高分子
ポッティング剤を注入する。流し終わって樹脂が硬化す
れば、上記型カバーを外して樹脂の外側面部を鋭利な刃
物で切断してガス交換膜2の両開口端を表面に露出させ
る。かくして、隔壁10,11は形成されることにな
る。
【0020】上記隔壁10,11の外面は、環状凸部を
有する流路形成部材18,19でそれぞれ覆われてい
る。この流路形成部材18,19はそれぞれ液分配部材
20,21およびネジリング22,23よりなり、この
液分配部材20,21の周縁部付近に設けられた環状凸
部として突条24,25の端面に前記隔壁10,11に
それぞれ当接させ、ネジリング22,23を取付カバー
8,9にそれぞれ螺合することにより固定することによ
り第2の物質移動流体である血液の流入室26および流
出室27がそれぞれ形成されている。この流路形成部材
18,19にはそれぞれ第2の物質移動流体である血液
の流入口28および流出口29が形成されている。
【0021】この隔壁10,11と、流路形成部材1
8,19とにより形成される隔壁10,11の周縁部の
空隙部には、該空隙部に連通する少なくとも2個の孔3
2,33の一方より充填剤34,35を充填することに
より前記隔壁10,11と接触するようにシールされ
る。あるいはまた、Oリング(図示せず)を介してシー
ルされる。
【0022】また、上記のように組立てられた人工肺1
内のガス交換膜のオゾンを用いた酸化分解による処理の
一例を以下に示す。まず、人工肺1に流入口13または
流出口14のいずれかより上記したような液体を流入さ
せて酸素室12に該液体を充満させ、ハウジング6内に
収容されたガス交換膜2の外面に液体を接触させること
により細孔を閉口する。そして、この状態で流入口28
または流出口29よりオゾンを、オゾン濃度5〜20g
/m、好ましくは15〜20g/mで、また流量は
人工肺の膜面積によっても左右されるが、流量0.1〜
6.0リットル/分酸素量、好ましくは0.8〜6.0
リットル/分酸素量で、人工肺1に流通させ、ガス交換
膜2の血液流通用空間内にオゾンを接触させ、ガス交換
膜2の内面にオゾンによる酸化分解反応を生起させる。
オゾンによる処理時間は、オゾンの流量および濃度によ
っても左右されるが、5〜60分、より好ましくは10
〜20分程度である。所定時間の経過後、ガス交換膜2
内へのオゾンの流量を止め、さらにハウジング6内に充
満されていた液体を排出する。
【0023】なお、前記中空糸膜型人工肺1は、第1の
物質移動流体として空気等の酸素含有ガスを、第2の物
質移動流体として血液を流通させる、すなわち中空糸膜
内部に血液を流通させるタイプのものであったが、第1
の物質移動流体が血液で第2の物質移動流体はガスであ
る、すなわち中空糸膜外部に血液を流通させるタイプの
人工肺も、上記と同様な形状の人工肺1を組み立てた
後、流入口28または流出口29より液体を流入し、一
方、流入口13または流出口14よりオゾンを流通させ
て、上記と同様に処理すれば同様に得られるものであ
る。
【0024】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
さらに具体的に説明する。
【0025】実施例1 内径200μm、肉厚50μm、空孔率38%、平均孔
径600オングストロームのポリプロピレン製中空糸膜
を用いて、膜面積0.8mの図1に示すような中空糸
膜型人工肺を組み立てた。この中空糸膜型人工肺1のガ
ス流入口13より水を流入させ、充填し、この人工肺の
ガス交換膜の血液と接しない片面を閉口した。
【0026】そして、この状態でオゾン発生機(日本オ
ゾン株式会社製)を用いて、0.8リットル/分酸素量
のオゾンを血液流入口28より導入した。この際、反応
温度を5℃に設定して、中空糸状ガス交換膜のオゾンに
よる酸化分解反応を行なった。 オゾンによる処理をし
た後、得られた中空糸状ガス交換膜を、ストログラフ
(東洋精機製作所株式会社製)を用いて、温度23℃、
中空糸の長さ25mm、クロスヘッド スピード50m
m/分の条件下でオゾン処理時間と中空糸の破断強度及
び伸びの関係を調べた。
【0027】その結果を図2に示す。なお、図2におい
て、実施例1のデータは、丸印によって示されており、
また、白抜きおよび黒塗りは、それぞれ、破断強度およ
び伸びを示すものである。
【0028】これから、水を張り、多孔質膜の外側の細
孔を閉口してオゾンによる酸化分解反応を行ったサンプ
ル(図2、丸印)は、血液と接触する面のみにオゾンに
よる処理を行うことができたため、劣化を最小限に抑え
ることが可能であることが示された。
【0029】比較例1、2 実施例1と同様にして、ポリプロピレン製中空糸膜を用
いて、膜面積0.8mの図1に示すような中空糸膜型
人工肺を組み立てた。そして、この中空糸膜型人工肺の
ガス流入口13およびガス流出口14をお互いにチュー
ブでつなぎ、筒状本体内を閉鎖系にした。
【0030】その後、オゾン発生機(日本オゾン株式会
社製)を用いて、オゾン濃度20g/cmで、0.8
リットル/分酸素量のオゾンを血液流入口28より導入
した。この際、反応温度は、比較例1においては5℃と
し、また、比較例2においては50℃とした。
【0031】オゾン処理後、実施例1と同様にして、オ
ゾン処理時間と中空糸の破断強度及び伸びの関係を調べ
た。
【0032】その結果を図2に示す。なお、図2におい
て、比較例1、2のデータは、それぞれ四角印および三
角印によって示されており、また、白抜きおよび黒塗り
は、それぞれ、破断強度および伸びを示すものである。
【0033】この結果、膜型人工肺の中空糸内部にオゾ
ンを導入し、中空糸状多孔質膜をオゾンによる酸化分解
反応を行う際、水を張らずにガス流入口およびガス流出
口を閉じて行ったサンプル(比較例1)(図2、四角
印)は、ガス交換膜の片面の細孔を閉口させていないの
で、細孔からオゾンが通過し、内外面ともにオゾンによ
る酸化分解反応が行われるため、基材の劣化が激しかっ
た。
【0034】実施例2、比較例3 5℃で、10分間オゾンを内面に導入することによって
オゾンによる処理を行う以外、実施例1および比較例1
と同様にしてサンプルを作製し、それぞれ実施例2およ
び比較例3とした。
【0035】実施例2および比較例3、並びに比較対照
としてオゾン処理を行っていない未処理のサンプルにつ
いて、ESCA(X線光電子分光)(日本電子株式会社
製)を用いて、中空糸状多孔質膜の中央部の内側と外側
の表面元素組成比を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】この結果、水を張らずにオゾンによる処理
を行ったサンプル(比較例3)は、圧力損失の差からオ
ゾンが内側より細孔を通り外側へ流れるため、内側より
外側のほうがオゾンによる酸化分解反応が生起されてい
ることが示された。また、水を張ったサンプル(実施例
2)は、効率良く内面だけがオゾンによる酸化分解反応
が生起されていた。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、ガス流入
口、ガス流出口、血液流入口および血液流出口を備えた
ハウジングと該ハウジング内に収納された多数の連通微
細孔を有するガス交換用の疎水性膜とからなり、該疎水
性膜を介して第1の流体としてのガスまたは血液と第2
の流体としての血液またはガスとを接触させてガス交換
する人工肺において、前記疎水性膜の内面または外面の
一方の血液と接触しない面に液体を接触させることによ
り、前記細孔を閉口させ、この状態で人工肺のハウジン
グ内にオゾンを流通させて、該疎水性膜の血液と接触す
る面にオゾンによる酸化分解反応を生起させることを特
徴とする膜型人工肺の製造方法である。したがって、本
発明は、多孔質膜の片側の面を水等の液体で閉口させ、
オゾンを細孔に通過させることなく、疎水性膜に対して
オゾンによる処理を行うことによって、膜全体の劣化を
最小限に抑えることができ、また、血液と接触する面に
オゾンによる処理を行うことによって、血液と接触する
面に抗血栓性を付与することができる。したがって、本
発明の膜型人工肺の製造方法によって、膜の劣化を起こ
すことなく、血液接触面に抗血栓性を付与することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、中空糸型人工肺の一実施態様を示す
部分断面図である。
【図2】 図2は、各サンプルのオゾン処理時間と中空
糸の破断強度及び伸びの関係を示す。
【符号の説明】
1…膜型人工肺、 2…ガス交換膜、 3…細孔、 6…ハウジング、 7…筒状本体、 10,11…隔壁、 12…第1の物質移動室、 13…第1の物質移動流体流入口、 14…第1の物質移動流体流出口、 16…中空糸束、 28…第2の物質移動流体流入口、 29…第2の物質移動流体流出口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/14 - 1/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス流入口、ガス流出口、血液流入口お
    よび血液流出口を備えたハウジングと該ハウジング内に
    収納された多数の連通微細孔を有するガス交換用の疎水
    性膜とからなり、該疎水性膜を介して第1の流体として
    のガスまたは血液と第2の流体としての血液またはガス
    とを接触させてガス交換する人工肺において、前記疎水
    性膜の内面または外面の一方の血液と接触しない面に液
    体を接触させることにより、前記細孔を閉口させ、この
    状態で人工肺のハウジング内にオゾンを流通させて、該
    疎水性膜の血液と接触する面にオゾンによる酸化分解反
    応を生起させることを特徴とする膜型人工肺の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 疎水性膜が、肉厚5〜80μm、空孔率
    20〜80%、平均細孔径0.01〜5μmおよび内径
    100〜1000μmの中空糸状多孔質膜であり、20
    ℃以下の低温下でオゾンによる酸化分解反応を行うこと
    を特徴とする請求項1に記載の膜型人工肺の製造方法。
  3. 【請求項3】 疎水性膜が、ポリオレフィン製の膜であ
    る請求項1または2に記載の膜型人工肺の製造方法。
  4. 【請求項4】 疎水性膜の片側の細孔を閉口するための
    液体が水または水溶液である請求項1または2に記載の
    膜型人工肺の製造方法。
JP3005272A 1991-01-21 1991-01-21 膜型人工肺の製造方法 Expired - Lifetime JP3048652B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3005272A JP3048652B2 (ja) 1991-01-21 1991-01-21 膜型人工肺の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3005272A JP3048652B2 (ja) 1991-01-21 1991-01-21 膜型人工肺の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04236961A JPH04236961A (ja) 1992-08-25
JP3048652B2 true JP3048652B2 (ja) 2000-06-05

Family

ID=11606598

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3005272A Expired - Lifetime JP3048652B2 (ja) 1991-01-21 1991-01-21 膜型人工肺の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3048652B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04236961A (ja) 1992-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1158510A (en) Hollow fiber-type artificial lung having enclosed heat exchanger
CA1128393A (en) Oxygenator
EP0121911B1 (en) Hollow fiber filter medium and process for preparing the same
US4781889A (en) Hollow fiber membrane type artificial lung
US4501785A (en) Hydrophilized membrane of porous hydrophobic material and process of producing same
WO1989002282A1 (en) Medical instrument and production thereof
JP2006198611A (ja) 分離膜の製造方法およびその分離膜を用いた分離膜モジュールの製造方法
WO1997034687A1 (fr) Membrane en fils creux utilisee pour l'epuration du sang et epurateur de sang
JP3366040B2 (ja) ポリスルホン系半透膜およびその製造方法
JP3048652B2 (ja) 膜型人工肺の製造方法
JP2888607B2 (ja) 人工肺用複合膜、その製造方法およびそれを用いた複合膜型人工肺
JP3688109B2 (ja) 血液浄化膜
JPS60249970A (ja) 中空繊維膜型人工肺の製造方法
JP3090701B2 (ja) 人工肺用複合膜、その製造方法およびそれを用いた複合膜型人工肺
JPS60249968A (ja) 中空繊維膜型人工肺
JPS60249967A (ja) 中空繊維膜型人工肺およびその製造方法
JP2000334277A (ja) ポリスルホン系中空糸膜、その製造方法およびそれを用いた流体処理装置
JPH0116504B2 (ja)
JP2000350926A (ja) ポリスルホン系選択透過性中空糸膜
JPS6352525B2 (ja)
JPS59218160A (ja) 人工肺用ガス交換膜およびその製造方法
JPH0119902B2 (ja)
JPS59108563A (ja) 中空糸型人工肺
JPH0433660A (ja) 人工肺用複合膜、その製造方法およびそれを用いた複合膜型人工肺
JPS59108564A (ja) 中空糸型人工肺

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080324

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090324

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100324

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100324

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110324

Year of fee payment: 11