JP2888607B2 - 人工肺用複合膜、その製造方法およびそれを用いた複合膜型人工肺 - Google Patents

人工肺用複合膜、その製造方法およびそれを用いた複合膜型人工肺

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JP2888607B2 JP2140870A JP14087090A JP2888607B2 JP 2888607 B2 JP2888607 B2 JP 2888607B2 JP 2140870 A JP2140870 A JP 2140870A JP 14087090 A JP14087090 A JP 14087090A JP 2888607 B2 JP2888607 B2 JP 2888607B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、人工肺用複合膜、その製造方法およびそれ
を用いた複合膜型人工肺に関するものである。詳しく述
べると、長期間使用に際して血漿漏出がなくかつ充分な
ガス交換能を保持しており、しかも抗血栓性に優れた人
工肺用複合膜、その製造法およびそれを用いた複合膜型
人工肺に関するものである。
(従来の技術) 従来、開心術の補助手段等として、良好なガス透過性
を有するガス交換膜を介して、血液と酸素含有ガスとを
接触させてガス交換を行なう膜型人工肺が用いられてい
る。このガス交換膜には、良好なガス透過性を有するこ
と以外に、機械的強度が大きいこと、長期間血液を循環
しても血漿の漏洩が起こらないこと、さらに血液に触れ
ても血液に対する損傷、すなわち血液凝固、微小血栓生
成、血小板損失、血漿タンパクの変性、溶血などを起こ
さないこと等の性能が要求される。現在膜型人工肺に用
いられるガス交換膜としては、均質膜と多孔質膜の2種
類があり、均質膜としては、主にシリコーン膜が用いら
れており、一方多孔質膜としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアミド
等の種々の材質が用いられている。
(発明が解決しようとする課題) 多孔質膜は、用いられる材質において血小板損失等の
生体適合の面から充分といえるものは少なかった。ま
た、必要な物性を付与するために多孔質膜内面に機能性
樹脂を被覆することは行なわれているが、該膜の支持面
が多孔質膜で、しかも疎水性であるために被覆が均一に
行なえず、かつ親水性の機能性樹脂を被覆する際に、細
孔は閉塞せずに多孔膜の細孔内にも被覆され、親水化す
ることから血漿が漏出しやすくなるという問題があっ
た。さらに、膜面にヘパリンを固定化する際に予め被覆
される樹脂が剥離しやすいという問題があった。
したがって、本発明の目的は、新規な人工肺用複合
膜、その製造方法およびそれを用いた複合膜型人工肺を
提供することにある。本発明の他の目的は、長期間使用
に際して血漿漏出がなくかつ充分なガス交換能を保持し
ており、しかも抗血栓性の優れた人工肺用複合膜、その
製造方法およびそれを用いた複合膜型人工肺を提供する
ことにある。
(課題を解決するための手段) これらの諸目的は、肉厚5〜80μm、空孔率20〜80%
および平均細孔径0.01〜5μmを有する疎水性多孔質膜
において、該疎水性多孔質膜よりも親水性が高く、被覆
する生体適合性重合体に対して親和性が高く、かつ該平
均細孔径よりも小さい粒径を有する微粒子が該細孔内に
充填され、生体適合性重合体で被覆されていることを特
徴とする人工肺用複合膜により達成される。
本発明はまた、疎水性多孔質膜がポリオレフィン多孔
質膜であり、かつ微粒子がアクリル系重合体である人工
用複合膜である。本発明はさらに、アクリル系重合体が
ポリメチルメタクリレートである人工肺用複合膜であ
る。本発明はまた、生体適合性重合体がアクリル系重合
体である人工肺複合膜である。本発明はさらに、該多孔
質膜の少なくとも血液と接触する面に生体適合性の被覆
を有してなる人工肺用複合膜である。
これらの諸目的は、肉厚5〜80μm、空孔率20〜80%
および平均細孔径0.01〜5μmを有する疎水性多孔質膜
に、該疎水性多孔質膜よりも親水性が高く、被覆する生
体適合性重合体に対し親和性が高く、かつ該平均細孔径
よりも小さい粒径を有する疎水性微粒子の分散液を濾過
させて該疎水性多孔質膜の細孔内に該微粒子を充填し、
さらに生体適合性重合体を被覆することにより該微粒子
を固定することを特徴とする人工肺用複合膜の製造方法
によっても達成される。
本発明はまた、疎水性多孔質膜がポリオレフィン多孔
質膜であり、かつ疎水性微粒子がアクリル系重合体であ
る人工肺用複合膜の製造方法である。本発明はさらに、
アクリル系重合体がポリメチルメタクリレートである人
工肺複合膜の製造方法である。本発明はまた、生体適合
性重合体かアクリル系重合体である人工肺用複合膜の製
造方法である。
これらの諸目的は、肉厚5〜80μm、空孔率20〜80%
および平均細孔径0.01〜5μmを有する疎水性多孔質膜
において、該疎水性多孔質膜よりも親水性が高く、被覆
する生体適合性重合体に対して親和性が高く、かつ該平
均細孔径よりも小さい粒径を有する微粒子を該細孔内に
充填して閉塞し、生体適合性重合体を被覆することによ
り微粒子が固定し、さらに複合膜を形成してなる複合膜
を介して血液流路および酸素流路を形成してなる複合膜
型人工肺によっても達成される。
本発明はまた、該疎水性多孔質膜の少なくとも血液を
接触する面に、生体適合性重合体の溶液を接触させたの
ち、該溶媒を除去して該多孔質膜の少なくとも血液と接
触する面を該重合体により被覆してなる複合膜型人工肺
である。
(作用) 本発明で使用される疎水性多孔質膜は、種々の疎水性
樹脂の多孔質膜であるが、一例を挙げると、例えばポリ
プロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン製膜であ
り、その肉厚は5〜80μm、好ましくは10〜60μm、空
孔率は、20〜80%、好ましくは30〜60%および平均細孔
径は0.01〜5μm、好ましくは0.01〜1μmであり、中
空糸膜でも平幕でもよい。中空糸膜の場合は、内径は10
0〜1,000μm、好ましくは100〜300μmである。
このような疎水性多孔質膜は、延伸法により製造する
こともできるが、例えば特開昭61−90,704号、特開昭61
−90,705号、特開昭61−90,707号、特開昭62−106,770
号等に開示されているように、ポリオレフィン、該ポリ
オレフィンの溶融下で該ポリオレフィンに均一に分散し
かつ使用する抽出液に対して易容性である有機充填剤お
よび結晶核形成剤を混練し、このようにして得られた混
練物を溶融状態でノズルより吐出させ、吐出させた溶融
膜を冷却用流体と接触させて冷却固化し、ついで冷却固
化した平膜を前記ポリオレフィンを溶融しない抽出液と
接触させて前記有機充填剤を抽出除去することにより製
造することもできる。
微粒子としては、被覆する生体適合性重合体に対して
親和性が高いものであり、一例を挙げると、例えばポリ
メチルメタクリレート、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、
ポリヒドロキシエチルメタクリレート等である。これら
の微粒子の平均粒径は、前記疎水性多孔質膜の平均細孔
径よりも小さいものであることが必要であるが、通常0.
05〜1.2μm、好ましくは0.05〜0.15μmである。
本発明による人工肺用複合膜、その製造方法および得
られる人工肺を、中空糸膜を例にとって説明すると、つ
ぎのとおりである。すなわち、第1図は、本発明の中空
糸型の複合膜型人工肺の一実施態様である中空糸膜型人
工肺の組立状態を示すものである。すなわち該中空糸膜
型人工肺1は、ハウジング6を具備してなり、このハウ
ジング6は筒状本体7の両端部にそれぞれ環状の雄ネジ
付き取付カバー8,9が設けられ、ハウジング6内には、
全体が広がって多数の、例えば10,000〜60,000本の上記
したように細孔を有する中空糸状の疎水性多孔質膜(ガ
ス交換膜)2がハウジング6の長手方向に沿って並列的
な相互に離間配置されている。そして、このガス交換膜
2の両端部は、取付カバー8,9内においてそれぞれの開
口が閉塞されない状態で隔壁10,11により液密に支持さ
れている。また、上記各隔室10,11は、ガス交換膜2外
周と上記ハウジング6の内面とともに第1の物質移動室
である酸素室12を構成し、これを閉塞し、かつ上記ガス
交換膜2の内部に形成される第2の物質移動流体用空間
である血液流通用空間(図示しない)と酸素室12を隔離
するものである。
一方の取付カバー8には、第1の物質移動流体である
酸素を供給する導入口13が設けられている。他方の取付
カバー9には酸素を排出する導出口14が設けられてい
る。
上記ハウジング6の筒状本体7の内面には、軸方向の
中央に位置して突出する絞り用拘束部15を設けることが
好ましい。すなわち、拘束部15は上記筒状本体7の内面
に筒状本体と一体に形成されていて、筒状本体7内に挿
通される多数のガス交換膜2からなる中空糸束16の外周
を締め付けるようになっている。こうして、上記中空糸
束16は、第1図で示すように軸方向の中央において絞り
込まれ、絞り部17を形成している。したがって、ガス交
換膜2の充填率は、軸方向に沿う各部において異なり、
中央部分において最も高くなっている。なお、後述する
理由により望ましい各部の充填率は次の通りである。ま
ず、中央の絞り部17における充填率は、約60〜80%、そ
の他筒状本体7内では約30〜60%であり、中空糸束16の
両端、つまり隔壁10,11の外面における充填率では、約2
0〜40%である。
次に、上記隔壁10,11の形成について述べる。前述し
たように隔壁10,11は、ガス交換膜2の内部と外部を隔
離するという重要な機能を果たすものである。通常、こ
の隔壁10,11は、極性の高い高分子ポッティング材、た
とえばポリウレタン、シリコーン、エポキシ樹脂等をハ
ウシング6の両端内壁面に遠心注入法を利用して流し込
み、硬化させることにより作られる。さらに詳述すれ
ば、まず、ハウジング6の長さより長い多数の中空糸膜
2を用意し、この両開口端を粘度の高い樹脂によって目
止めをした後、ハウジング6の筒状本体7内に並べて位
置せしめる。この後、取付けカバー8,9の径以上の大き
さの型カバーで、ガス交換膜2の各両端を完全に覆っ
て、ハウジング6の中心軸を中心にそのハウジング6を
回転させながら両端部側から高分子ポッティング材を流
入する。流し終って樹脂が硬化すれば、上記型カバーを
外して樹脂の外側面部を鋭利な刃物で切断してガス交換
膜2の両開口端を表面に露出させる。かくして隔壁10,1
1は形成されることになる。
上記隔壁10,11の外面は、環状凸部を有する流路形成
部材18,19でそれぞれ覆われている。この流路形成部材1
8,19はそれぞれ液分配部材20,21およびネジリング22,23
よりなり、この液分配部材20,21の周縁部付近に設けら
れた環状凸部として突条24,25の端面を前記隔壁10,11に
それぞれ当接させ、ネジリング22,23を取付けカバー8,9
にそれぞれ螺合することにより固定することにより第2
の物質移動流体である血液の流入室26および流出室27が
それぞれ形成されている。この流路形成部材18,19には
それぞれ第2の物質移動流体である血液入口28および出
口29が形成されている。
この隔壁10,11と、流路形成部材18,19とにより形成さ
れる隔壁10,11の周縁部の空隙部には、該空隙部に連通
する少なくとも2個の孔32,33の一方より充填剤34,35を
充填することにより前記隔壁10,11と接触するようにシ
ールされる。あるいはまた、Oリング(図示せず)を介
してシールされる。
このようにして形成された人工肺のモジュールの第1
の物質移動流体の導入口13または導出口14または第2の
物質移動流体の入口28または出口29より、前記微粒子の
分散液を流入させ、前記ガス交換膜2で分散媒を濾過さ
せることにより該微粒子をガス交換膜である疎水性多孔
質膜の細孔内に充填する。この場合、前記入口13,28ま
たは出口14,29のうちのいずれかからエタノール等のア
ルコール類を流入させて前記疎水性多孔質膜にある程度
新水性を付与したのち、蒸留水等で置換してから分散液
を流入させると、微粒子の細孔への充填がより容易とな
る。なお、微粒子を分散させるための分散媒としては
水、エタノール等のアルコール類、これらの混合物があ
るが、好ましくは水である。分散液中における微粒子の
濃度は、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜1.0重量
%である。つぎに、分散媒が濾別されたら、該多孔質膜
の表面に残留する分散媒を洗浄流体にて除去し、溶解性
の低い溶媒に置換して微粒子表面を溶かし、粘着結合さ
せる。微粒子に対する良溶媒を流入させて接触させるこ
とにより該微粒子の一部または全部が溶解ないし膨潤し
て微粒子同士が結合するかあるいは薄膜化して細孔内を
閉塞することになる。
このような溶媒としては、例えばポリメチルメタクリ
レートのようなアクリル系重合体に対しては、アセト
ン、アセトアルデヒド、アリルアルコール、キシレン、
セバチン酸ジオクチル、テトラヒドロフラン、トルエ
ン、ナフサ、n−デタノール、メチルエチルケトン等が
あり、またポリアミドに対してはメタノール、ブタノー
ル、エチレングリコール等があり、ポリ酢酸ビニルに対
してはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、酢酸、ベンゼン、トルエン等がある。
本発明による人工肺において、血液は第1の物質移動
流体側でもあるいは第2の物質移動流体側のいずれに流
通させてもよいが、前記分散液は少なくとも血液流通側
に流通させて薄膜化することが望ましい。
このような薄膜を有する複合膜には、さらに生体適合
製重合体の溶液と接触させたのち、該溶液を除去して前
記多孔質膜の少なくとも血液と接触する面を該重合体に
より被覆すれば、さらに良好な結果が得られる。生体適
合性重合体としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエ
チルタククリレート)等のアクリル系重合体、ポリエチ
レンイミン(POLYMIN SN,BASF社製)、これらの混合物
ないしコンプレックス等がある。
このような生体適合性重合体被覆の表面には、さらに
ヘパリンを被覆し、得られる被膜をグルタルアルデヒド
で架橋すると、さらに良好な結果が得られる。
なお、前記中空糸膜型人工肺において、第1の物質移
動流体としては空気等の酸素含有ガスまたは血液であ
り、第2の物質移動流体としては血液または酸素含有ガ
スである。したがって、第1の物質移動流体がガスの場
合には第2の物質移動流体は血液であり、一方、第1の
物質移動流体が血液の場合には第2の物質移動流体はガ
スである。
以上は、中空糸膜型人工肺の場合について説明した
が、積層式、1枚の膜をコイル状に巻いたもの、ジグザ
グ状に折込んだもの等の平膜型人工肺についても、用い
られるガス交換膜の細孔が該細孔系よりも小さな微粒子
により閉塞され、また少なくとも血液接触面が生体適合
性疎水性樹脂によりコーティングされたものであれば、
生体適合性が高く接触する血液の血小板等の損傷が極め
て少なく、またガス交換能に優れ、さらに長期間使用し
ても血漿漏出の虞れない膜型人工肺が得られる。
以下、実施例を上げて本発明をさらに詳細に説明す
る。
比較例1 内径200μm、肉厚50μm、空孔率40%、平均孔径700
Åのポリプロピレン製中空糸膜を用いて、膜面積0.8m2
の第1図に示すような中空糸膜型人工肺1を組立てた。
実施例1 比較例1の中空糸膜型人工肺の血液入口28よりエタノ
ールを流入させ、中空糸状ガス交換膜2を親水化処理し
た後、蒸留水を流通させてエタノール置換した。ついで
血液入口28よりポリメチルメタクリレート微粉末(GLE
−12、綜研化学株式会社製)(平均粒径0.1μm)の水
分散液(固形分1重量%)を流入させ、前記ガス交換膜
2により水分を濾別することによりポリメチルメタクリ
レート微粉末をガス交換膜の細孔内に充填した。この
際、分散液の流入側端と反対側、すなわち流出端におけ
る流体流通抵抗を、例えば流出側端開口を絞る等により
高くして中空糸状ガス交換膜内部に圧力1〜3kg/cm2
度の圧力をかけることで、ガス交換膜の細孔側へ微粒子
の分散液がより良好に通過した。つぎに、蒸留水を流入
させて中空糸状ガス交換膜内部に残留するポリメチルメ
タクリレート微粉末の水分散液を充分排出させた。
ついで、得られた人工肺において、細孔内に充填され
た微粒子が乾燥時に流出しないようにガス交換膜内部に
残留するポリメチルメタクリレート微粉末の水分散液を
蒸留水を流入させて排出したのち、エタノールに置換し
て微粒子同士の凝集あるいは粘着させたのち乾燥した。
このようにして得られた人工肺の中空糸内部にポリ
(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)をエタノール
で1.25w/v%溶液に希釈し、この中へポリエチレンイミ
ン(POLYMIN SN,BASF社製)を1.0w/v%なるように添加
した被覆液を流入充填させて被覆し、排出、乾燥後にヘ
パリンを流入させ、排出後に濃度1.0w/v%のグルタルア
ルデヒド水溶液を流入させて架橋を行なってヘパリン化
した人工肺を得た。
比較例2 比較例1で得られた人工肺について実施例1と同様に
処理してヘパリン化した人工肺を得た。
実施例2 実施例1および比較例2で得られた人工肺について、
雑犬を用いて30時間にわたって静−動脈の部分対外循環
試験を行なって血漿の漏出量(ml/hr)を測定した。こ
のときの血液流量は400ml/minであった。その結果を第
1表に示す。
実施例1で得られた生体適合性重合体被覆前の人工肺
のガス交換膜を電子顕微鏡(倍率10.00倍)で観察した
ところ、平均孔径小さくなっており、また生体適合性重
合体で被覆したものは、空孔はほとんど消失していた。
実施例1で得られた人工肺の空気フラックスを測定し
たところ、200ml/min・m2・mmHgであった。これにに対
して比較例2で得られた人工肺の空気フラックスは1,00
0ml/mit・m2・mmHgであった。このことから、本発明に
よる人工肺の複合膜は超微細孔膜になっていることが推
測された。
これらの人工肺のガス交換能を評価するために、つぎ
の方法により生体外(in−vitro)試験を行なった。
新鮮ヘパリン牛血を用い酸素飽和度(SVO2)65%およ
び炭酸ガス分圧45〜48mmHgでベース(BE)±1となる静
脈血を作製し、これを人工肺の血液流路に流通させて性
能評価を行なった。なお、用いられたヘモグロビン含量
は11.5g/dlで、温度は37℃であった。
酸素流量と血液流量との比が1で、血液流量600ml/mi
nのときの酸素ガス添加能および炭酸ガス除去能の関係
を第2表に示す。
さらに、この複合膜の被覆性をみるために、実施例1
および比較例2の人工肺について、X線光電子分光(ES
CA)法により表面の分析を行なって、ヘパリンの固定量
Sの値を測定したところ、第3表のとおりであった。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明は、肉厚5〜80μm、空孔
率20〜80%および平均細孔径0.01〜5μmを有する疎水
性多孔質膜において、該疎水性多孔質膜よりも親水性が
高く、被覆する生体適合性重合体に対して親和性が高
く、かつ該平均細孔径よりも小さい粒径を有する微粒子
が該細孔内に充填され、生体適合性重合体で被覆されて
いることを特徴とする人工肺用複合膜およびそれを用い
た複合膜型人工肺であるから、疎水性多孔質膜の細孔が
微粉末により少なくとも部分的に閉塞されるとともに閉
塞微粒子の表面が溶解することによって微粒子同士を凝
集あるいは粘着させ、さらに生体適合性重合体が該閉塞
微粒子を固定することにより被覆が容易となり、均一に
被覆され、複合膜を形成できるので機能性発現(ヘパリ
ン化)も容易となり、また、長時間体外循環使用しても
被覆が剥離せず、かつ機能性が効果的に発揮される人工
肺が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による人工肺の一実施例を示す部分断面
図である。 1……膜型人工肺、2……ガス交換膜、3……細孔、 4……微粒子、5……被膜、6……ハウシング、 7……筒状本体、10,11……隔壁、 12……第1の物質移動室、 13,14……第1の物質移動流体導入出口、 16……中空糸束、 28,29……第2の物質移動流体導入出口。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】肉厚5〜80μm、空孔率20〜80%および平
    均細孔径0.01〜5μmを有する疎水性多孔質膜におい
    て、該疎水性多孔質膜よりも親水性が高く、被覆する生
    体適合性重合体に対して親和性が高く、かつ該平均細孔
    径よりも小さい粒径を有する微粒子が該細孔内に充填さ
    れ、生体適合性重合体で被覆されていることを特徴とす
    る人工肺用複合膜。
  2. 【請求項2】疎水性多孔質膜がポリオレフィン多孔質膜
    であり、かつ微粒子がアクリル系重合体である請求項1
    に記載の人工肺用複合膜。
  3. 【請求項3】アクリル系重合体がポリメチルメタクリレ
    ートである請求項2に記載の人工肺用複合膜。
  4. 【請求項4】生体適合性重合体がアクリル系重合体であ
    る請求項1に記載の人工肺用複合膜。
  5. 【請求項5】該多孔質膜の少なくとも血液と接触する面
    に生体適合性の被覆を有してなる請求項1ないし4のい
    ずれか一つに記載の人工肺用複合膜。
  6. 【請求項6】肉厚5〜80μm、空孔率20〜80%および平
    均細孔径0.01〜5μmを有する疎水性多孔質膜に、該疎
    水性多孔質膜よりも親水性が高く、被覆する生体適合性
    重合体に対し親和性が高く、かつ該平均細孔径よりも小
    さい粒径を有する微粒子の分散液を濾過させて該疎水性
    多孔質膜の細孔内に該微粒子を充填し、さらに機能性樹
    脂を被覆することにより該微粒子を固定することを特徴
    とする人工肺用複合膜の製造方法。
  7. 【請求項7】疎水性多孔質膜がポリオレフィン多孔質膜
    であり、かつ微粒子がアクリル系重合体である請求項6
    に記載の人工肺用複合膜の製造方法。
  8. 【請求項8】アクリル系重合体がポリメチルメタクリレ
    ートである請求項7に記載の人工肺用複合膜の製造方
    法。
  9. 【請求項9】生体適合性重合体がアクリル系重合体であ
    る請求項6に記載の人工肺用複合膜の製造方法。
  10. 【請求項10】肉厚5〜80μm、空孔率20〜80%および
    平均細孔径0.01〜5μmを有する疎水性多孔質膜におい
    て、該疎水性多孔質膜よりも親水性が高く、被覆する生
    体適合性重合体に対して親和性が高く、かつ該平均細孔
    径よりも小さい粒径を有する微粒子を有する微粒子を該
    細孔内に充填して閉塞し、生体適合性重合体を被覆する
    ことにより微粒子が固定し、さらに被覆膜を形成してな
    る該複合膜を介して血液流路および酸素流路を形成して
    なる複合膜型人工肺。
  11. 【請求項11】該疎水性多孔質膜の少なくとも血液を接
    触する面に、生体適合性重合体の溶液を接触させたの
    ち、該溶媒を除去して該多孔質膜の少なくとも血液と接
    触する面を該重合体により被覆してなる請求項10に記載
    の複合膜型人工肺。
JP2140870A 1990-05-30 1990-05-30 人工肺用複合膜、その製造方法およびそれを用いた複合膜型人工肺 Expired - Fee Related JP2888607B2 (ja)

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