JP2717663B2 - 中空糸膜型人工透析器 - Google Patents

中空糸膜型人工透析器

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JP2717663B2 JP63129363A JP12936388A JP2717663B2 JP 2717663 B2 JP2717663 B2 JP 2717663B2 JP 63129363 A JP63129363 A JP 63129363A JP 12936388 A JP12936388 A JP 12936388A JP 2717663 B2 JP2717663 B2 JP 2717663B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、腎不全患者等に使用され、血液中の有害物
質および水分の除去、さらに電解質調整などを行うため
の中空糸膜型人工透析器に関する。
[従来の技術] 従来より、中空糸膜型人工透析器として、例えば、中
空糸膜型人工透析器が使用されており、その一般的構造
は、透析液の流入口および流出口を有する筒状ハウジン
グ内に多数の透析用中空糸膜からなる中空糸膜束が挿入
されており、この中空糸膜束の両端部は、筒状ハウジン
グの両端部にポッティング剤により形成された隔壁によ
り液密に固定されており、この隔壁の外側に血液流入口
および血液流出口を形成するキャップ状のヘッダーが取
り付けられている。そして、透析用中空糸膜は、親水性
膜、例えば酢酸セルロース、銅アンモニアセルロースな
どの再生セルロースが使用され、ポッテイング剤として
は、ポリウレタンなどが使用されている。また、同様の
構成を有する血漿分離装置が用いられている。
[発明が解決しようとする問題点] 従来の中空糸膜型透析器の隔壁部の拡大断面図を第6
図および第7図に示す。第6図は、透析用中空糸膜22の
乾燥状態、つまり透析器の使用前の状態を示している。
この状態では、透析用中空糸膜22は、隔壁20に接触(埋
没)している部分を含めて極端に内径が変化する部分を
有しておらず、製造されたときの中空糸膜の形状のまま
であり、全体の内径がほぼ均一になっている。
そして、透析器は、透析器内に血液を循環する前に血
液が流入される部分(中空糸膜の内部側)に生理食塩水
などを用いてプライミングを行い、内部の空気を液体に
置換する。また、透析液側(中空糸膜の外側)には、透
析液を充填する。この状態において、透析用中空糸膜22
は、湿潤する。中空糸膜22が湿潤状態のときの隔壁部の
拡大断面図を第7図に示す。透析用中空糸膜22は、親水
性のため、水を含有する液体に接触すると、水を吸収し
膨潤し、その肉厚が厚くなる。隔壁20に接触していない
部分では、肉厚の変化は外径の変化となって表れ、内径
は殆ど変化しない。これに対し、隔壁20に接触(埋没)
している部分では、隔壁20により外側が固定されている
ため、外径の変化を行うことができず、肉厚の増加は、
内径の減少となって表れる。
よって、中空糸膜22は、隔壁20に接触している部分で
は内径が狭くなってしまい、隔壁20部分において、血液
の流れが悪くなり、血栓の発生、目詰まり、残血を起こ
すことがあり、また透析器の圧力損失の増加を招くこと
があった。この問題点は、血漿分離器においても同様に
発生した。
そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解決し、人
工透析器中の透析用中空糸膜が水を含有する液体に接触
しても、隔壁部分に接触している中空糸膜の内径が変化
せず、隔壁部分において、血液の流れが悪くなり、血栓
の発生、目詰まり、残血を起こすこと、および透析器の
圧力損失の増加を招く虞れのない中空糸膜型人工透析器
などの中空糸型人工透析器を提供することにある。
[問題点を解決するための手段] 上記目的を達成するものは、ハウジングと、該ハウジ
ング内に挿入された多数の透析用中空糸膜からなる中空
糸膜束と、該中空糸膜束の両端部を前記ハウジングの両
端部に液密に固定する隔壁と、前記ハウジングに設けら
れ、前記中空糸膜の外面と前記ハウジングの内面と隔壁
とにより形成される空間に連通する透析液流入口および
透析液流出口と、前記ハウジングの両端部にそれぞれ取
り付けられた血液流入口および血液流出口とを有する中
空糸膜型人工透析器であって、前記透析用中空糸膜は、
水を含有する液体との接触により膨潤する親水性透析用
中空糸膜であり、かつ、該中空糸膜の前記隔壁と接触す
る部分は、水分を含有する液体と接触したときに、膨潤
しにくい部分となっている中空糸膜型人工透析器であ
る。
そして、前記中空糸膜の前記隔壁と接触する部分は、
例えば、該中空糸膜が有する極性基、または該中空糸膜
が含有する物質が有する極性基と反応する反応性基を有
する物質により処理されているものである。そして、前
記中空糸膜が含有する物質は、水またはグリセリンであ
る。また、前記反応性基は、例えば、イソシアネート
基、エポキシ基、チオシアネート基、酸クロリド基、ア
ルデヒド基のいずれかであることが好ましい。また、前
記中空糸膜が有する極性基または該中空糸膜が含有する
物質が有する極性基は、例えば、水酸基、アミノ基、カ
ルボキシル基のいずれかである。
また、上記目的を達成するものは、ハウジングと、該
ハウジング内に挿入された多数の透析用中空糸膜からな
る中空糸膜束と、該中空糸膜束の両端部を前記ハウジン
グの両端部に液密に固定する隔壁と、前記ハウジングに
設けられ、前記中空糸膜の外面と前記ハウジングの内面
と隔壁とにより形成される空間に連通する透析液流入口
および透析液流出口と、前記ハウジングの両端部にそれ
ぞれ取り付けられた血液流入口および血液流出口とを有
する中空糸膜型人工透析器であって、前記透析用中空糸
膜は、水を含有する液体との接触により肉厚が膨張する
親水性透析用中空糸膜であり、かつ、前記隔壁と接触す
る部分の透析用中空糸膜は、隔壁と接触しない他の部分
に比して、実質的に水分を吸収しにくい部分となってい
る中空糸膜型人工透析器である。
そして、前記隔壁と接触する部分の透析用中空糸膜
は、該部分の中空部の内表面および隔壁表面に位置する
端面が、疎水性表面となっているものである。また、前
記隔壁に接触する部分の透析用中空糸膜には疎水性樹脂
が存在もしくは疎水性物質が含有されているものであ
る。また、前記疎水性樹脂は、前記隔壁に接触する部分
の透析用中空糸膜および隔壁のスライス面全体にコーテ
ィングされていることが好ましい。前記透析用中空糸膜
は、再生セルロース、セルロース誘導体、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体、アクリロニトリル共重合体の
いずれかである。また、前記疎水性物質の含有または疎
水性樹脂のコーティングは、実質的に隔壁と接触する部
分の中空糸膜のみに行われている。
そこで、本発明の中空糸膜型人工透析器を図面に示し
た実施例を用いて説明する。
第1図は本発明の一実施例を中空糸膜型人工透析器の
一部断面図であり、第2図は、第1図に示した中空糸膜
型人工透析器の隔壁部の拡大断面図である。
この中空糸膜型人工透析器1は、ハウジング2と、ハ
ウジング2内に挿入された多数の透析用中空糸膜3から
なる中空糸膜束と、中空糸膜束の両端部をハウジング2
の両端部に液密に固定する隔壁5,6と、ハウジング2の
両端部付近にそれぞれ設けられ、中空糸膜3の外面とハ
ウジング2の内面と隔壁5,6とにより形成される空間に
連通する透析液流入口11および透析液流出口12と、ハウ
ジング2の両端部にそれぞれ取り付けられた血液流入口
7および血液流出口8とを有しており、さらに、隔壁5,
6と接触する部分の透析用中空糸膜3は、隔壁5,6と接触
しない他の部分に比して、実質的に水分を吸収しにくい
部分となっている。
本発明の中空糸膜型人工透析器1に用いられる透析用
中空糸膜3は、酢酸セルロース、銅アンモニアセルロー
スなどの再生セルロース、セルロース誘導体、エチレン
−ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル共重合
体などにより形成された親水性を有する透析用の中空糸
膜であり、肉厚が5〜35μm、好ましくは10〜20μm、
外径が50〜500μm、好ましくは100〜300μmであり、
全長にわたり貫通した中空部を有している。そして、こ
のような透析用中空糸膜3は、水を含有する液体に接触
することにより水分を吸収し、中空糸膜3の肉厚は膨張
する。
中空糸膜型人工透析器1として、第1図にその一実施
態様である中空糸膜型人工透析器の組み立て状態を示し
てある。この中空糸膜型人工透析器1は、筒状体のハウ
ジング2と、このハウジング2内全体に広がって透析用
中空糸膜3が6,000〜50,000本収納されている。そし
て、この透析用中空糸膜3は、その両端部の開口が閉塞
されない状態で隔壁5,6によりハウジング2の端部に液
密に固着されている。そして、この隔壁5,6により、ハ
ウジング2内部は、透析用中空糸膜3の外壁とハウジン
グ2の内壁と隔壁5,6により形成される透析液室と、中
空糸膜3の内部に形成される血液室とに区画される。
筒状ハウジング2は、ポリカーボネート、アクリロニ
トリル−スチレン共重合体などにより形成されており、
筒状、好ましくは円筒状のものであり、筒状ハウジング
2には、その一方の端部付近に、透析液流入口11が、他
端付近に、その流出口12が設けられている。隔壁5,6
は、ポリウレタン、シリコーンゴムなどのポッティング
剤により形成されている。さらに、隔壁5の外側には、
血液流入口7と環状凸部を有するキャップ状の流路形成
部材9がネジリング13により固定されており、また隔壁
6の外側には、血液流出口8と環状凸部を有するキャッ
プ状の流路形成部材10がネジリング14により固定されて
いる。そして、流路形成部材9,10の凸部には、環状の凹
部を有しており、第2図に示すように、その凹部には、
シリコーンゴムなどにより形成されたOリング16が設け
られており、このOリングが、隔壁に当接しており、流
路形成部材9,10を隔壁5,6に液密に固着している。
また、上記説明において、ネジリングを用いたものに
て説明したが、これに限らず流路形成部材を直接ハウジ
ングに高周波、超音波などを用いて融着させてもよく、
また接着剤などを用いて接着してもよい。
さらに、第2図に示すように、隔壁5に接触する部分
のすべての透析用中空糸膜3の中空部内面および端面さ
らには、その部分の中空糸内部の一部に、疎水性樹脂4
が存在しており、その部分の内面および中空糸膜の端面
は疎水性表面を形成しており、隔壁5に接触する部分の
中空糸膜が、水分を吸収しにくいようになっている。ま
た、隔壁6部分に接触する中空糸膜の内面も同様となっ
ている。このように、隔壁に接触する部分の中空糸膜に
疎水性樹脂を存在させることにより、その部分の中空糸
膜3が水を含有する液体に接触しても、実質的に水分を
吸収しないように、中空糸膜3の肉厚の膨張を抑制して
いる。疎水性樹脂を存在させる方法としては、例えばコ
ーティングにより行うことができ、疎水性樹脂は、コー
ティング部分の中空糸表面にのみ存在していてもよく、
さらに中空糸の内部全部または一部に流入していてもよ
い。
そして、疎水性樹脂4は、隔壁面全体にもコーティン
グされていることが好ましい。隔壁面を形成するため
に、ポッティング剤部分にてスライスし、隔壁面を形成
したとき、その表面に荒れが生じることがあり、その隔
壁面の荒れを平滑にすることができるからである。疎水
性樹脂4のコーティングの厚さは、0.01〜100μm、好
ましくは0.1〜10μmである。また、疎水性樹脂の一部
が中空糸膜の内部に流入しているものが好ましい。さら
に、疎水性樹脂4は、固化していることが好ましく、よ
り好ましくは、疎水性樹脂の一部が中空糸膜の内部に流
入しており、さらに、固化していることである。このよ
うにすれば、中空糸膜の膜厚の膨張を確実に抑制でき、
さらに血液循環時において疎水性樹脂が血液中に流出す
ること、また疎水性樹脂が容易に剥離することを防止で
きるからである。また、隔壁5に接触する部分の透析用
中空糸膜3に、疎水性樹脂4をコーティングする方法以
外の方法として、この部分の中空糸膜3に、疎水性樹脂
などの疎水性物質を含有させて、その部分の中空糸膜が
水を含有する液体に接触しても、実質的に水分を吸収し
ないようにしてもよい。
隔壁と接触する部分の中空糸膜3に含有あるいは、そ
の中空部の内面および端面にコーティングされる物質と
しては、生体適合性の高いもの、つまり抗血栓性を有
し、かつ疎水性を有するものが好ましく、例えばシリコ
ーン、ポリウレタンなどのウレタン樹脂、フッ素樹脂な
どが使用できる。シリコーンとしては、例えば、ジメチ
ルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイ
ル、メチルクロロフェニルシリコーンオイル、分岐状ジ
メチルシリコーンオイル、さらに2液型RTVシリコーン
ゴム(例えば、ビニルメチルシロキサンとメチルハイド
ロジェンシロキサンの重合体)、1液型RTVシリコーン
ゴム、またはそれらシリコーンゴムと上記シリコーンオ
イルとの混合物などが好適に使用できる。
特に、好ましくは、反応性を有する変性シリコンオイ
ルである。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエ
チレン、ポリトリフルオロエチレン、パーフルオロアク
リレートなどが好適に使用できる。
尚、上記の物質の含有またはコーティングは、実質的
に隔壁と接触する部分の中空糸膜のみに行われているこ
とが必要である。つまり、隔壁に接触している部分の
み、また隔壁部分を若干越える程度であればよいが、隔
壁部分を大きく越えて上記物質が含有あるいはコーティ
ングされていると、その部分の中空糸膜は、疎水性とな
り、透析膜としての機能しない部分を形成し好ましくな
い。
また、本発明の中空糸膜型人工透析器は、ハウジング
と、ハウジング内に挿入された多数の透析用中空糸膜か
らなる中空糸膜束と、中空糸膜束の両端部を前記ハウジ
ングの両端部に液密に固定する隔壁と、ハウジングの両
端部付近にそれぞれ設けられ、中空糸膜の外面とハウジ
ングの内面と隔壁とにより形成される空間に連通する透
析液流入口および流出口と、ハウジングの両端部にそれ
ぞれ取り付けられた血液流入口および流出口とを有する
中空糸膜型人工透析器であって、中空糸膜は隔壁と接触
する部分が水分と接触したときに膨潤しにくい部分とな
っているものである。
特に、隔壁5に接触する部分の中空糸膜を、水分と接
触したときに膨潤しにくい部分とするために、中空糸膜
3の隔壁5,6と接触する部分を、中空糸膜3が有する極
性基、または中空糸膜3が含有する物質が有する極性基
と反応する反応性基を有する物質により処理してもよ
い。第3図に上記物質により処理された状態の中空糸膜
型人工透析器1の隔壁部分の拡大断面図を示す。第3図
に示すように、隔壁5に接触する部分の中空糸膜のすべ
てが上記物質により処理されており、中空糸膜は隔壁と
接触する部分が水分と接触したときに膨潤しにくい部分
となっている。
そして、中空糸膜3が有する極性基または中空糸膜3
が含有する物質が有する極性基としては、水酸基、アミ
ノ基、カルボキシル基などが考えられ、透析用中空糸膜
としては、酢酸セルロース、銅アンモニアセルロースな
どの再生セルロース、セルロース誘導体、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体、アクリロニトリル共重合体な
どの透析用中空糸膜が好適である。このような中空糸膜
は、水分と接触したときに膨潤し、中空糸膜3の肉厚は
膨張する。
または中空糸膜が含有する物質としては、水、グリセ
リンなどが考えられる。また、中空糸膜の処理に用いら
れる物質が有する反応性基としては、イソシアネート
基、エポキシ基、チオシアネート基、酸クロリド基、ア
ルデヒド基などが考えられ、エポキシ基、イソシアナー
ト基などが好ましい。特に好ましくは、活性の高いイソ
シアネート基を有する物質であり、例えば、ジフェニル
メタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネ
ート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシア
ネートが好適である。また、エポキシ基を有する物質と
しては、エピクロルヒドリン、1,4−ブタンジオール、
ジグリシジルエーテルなどが使用できる。
そして、上記のような反応性基を有する物質により、
中空糸膜の隔壁との接触する部分を処理することによ
り、上記物質が有する反応性基と中空糸膜が有する極性
基または中空糸膜が含有する物質が有する極性基とが反
応し、三次元マトリックスを形成するため、処理された
部分の中空糸膜の構造が固定化され、その部分の中空糸
膜3が水を含有する液体に接触しても、実質的に水分を
吸収しないようにし、中空糸膜3の肉厚の膨張を抑制す
る。また、上記の反応性基を有する物質を中空糸膜の内
部まで流入させ、中空糸膜の内部まで反応させることが
好ましく、そのためは、上記物質として、低分子量のも
のを用いることが好ましく、分子量30,000以下、さらに
好ましくは分子量1,000以下である。
さらに、上記物質は、溶媒に溶解させ、粘性を低下さ
せて用いることが好ましく、中空糸膜の中空部への流
入、中空糸膜内部への流入が確実となり、処理が容易に
なるとともに、確実に処理することができる。溶媒は、
使用する反応性基を有する物質により相違するが、上記
物質との反応性が少なく、上記物質を溶解するものであ
ればよく、例えば、アセトン、クロロホルム、メチルエ
チルケトン、ベンゼン、酢酸エチル、ジオキサン、ジメ
チルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが好適に
使用できる。上記のような溶媒により低粘度とされたも
のを用いることにより、処理時の中空糸膜の膨潤効果等
が利用でき、処理効果をより確実にすることができる。
また、処理時間は、温度、溶媒、処理剤などにより異
なるが室温下において、溶媒として、ベンゼン:ジメチ
ルスルホキシド=9:1系を用いる場合では5秒から30
分、より好ましくは1分から20分、溶媒として、クロロ
ホルム:ジメチルスルホキシド=9:1系を用いる場合で
は5秒から2時間より、好ましくは10秒から1時間程度
である。そして、中空糸膜型透析器1は、使用前に滅菌
される。滅菌としては、エチレンオキサイドガス滅菌、
オートクレーブ滅菌などの公知の方法が用いられる。オ
ートクレーブ滅菌を行う場合は、透析器内部(透析液室
および血液室)に生体に無害な液体(例えば、生理食塩
水、無菌水)を充填し、開口部分(透析液流入口および
流出口、血液流入口および流出口)を弾性部材を用いて
密封した状態にて、オートクレーブ滅菌することにより
行われる。
そして、本発明の中空糸膜型透析器では、オートクレ
ーブ滅菌のために液体を充填しても、隔壁に接触する部
分の透析用中空糸膜には、疎水性物質を含有あるいは疎
水性物質がコーティングされており、また中空糸膜の隔
壁と接触する部分が、透析用中空糸膜が有する極性基、
または透析用中空糸膜が含有する物質が有する極性基と
反応する反応性基を有する物質により処理されており、
その部分の内面は水分を実質的に吸収しにくい部分とな
っているので、その部分の中空糸膜が液体に接触して
も、水を含浸せず、よって、中空糸膜の肉厚の膨張が抑
制され、液体の充填、さらにオートクレーブ滅菌の前後
を問わず、中空糸膜の隔壁部分の内径の縮径化を防止す
ることができる。
次に、本発明の中空糸膜型人口透析器の製造方法の一
例を、簡単に説明する。
まず、透析液流入口および透析液流出口を側壁に有す
る円筒状ハウジングを作成し、そのハウジング内に、多
数の透析用中空糸膜束よりなる中空糸膜束を挿入する。
そして、中空糸膜束の両端部の中空糸膜を均一に分散
させた後、中空糸膜束の両端部に、目止め剤を充填した
容器を被嵌し、さらに、この容器をハウジングの端部に
固定する。さらに、ハウジングの透析液流入口および透
析液流出口よりポッティング剤を遠心注入し、中空糸膜
束のそれぞれの端部をハウジングに固定し、上記容器を
取り外した後、ポッティング剤部分をスライスし、それ
ぞれの隔壁を形成する。
そして、疎水性物質、例えば液状の疎水性樹脂、また
は疎水性樹脂が液状でない場合さらには疎水性樹脂のみ
では、粘度が高い場合には、疎水性樹脂を溶解し、かつ
透析用中空糸膜およびポッティング剤を溶解しにくい溶
媒(中空糸膜を若干溶解するものであつてもよい)に溶
解した疎水性樹脂液体中に、上記の隔壁部分を浸漬し、
隔壁部分の中空糸膜の内部に疎水性樹脂液体を充填す
る。また、浸漬のみでは、疎水性樹脂液体が中空糸膜の
内部に流入しない場合は、透析液流入口および流出口を
閉塞し、反対側の隔壁部分に吸引装置を取り付け、中空
糸膜の内部を吸引することにより流入させてもよい。
そして、疎水性樹脂液体中より、引き上げ、反対側の
隔壁部分に、気体供給装置を取り付け、中空糸膜の内部
に気体(例えば、エアー)を注入し、中空糸膜の端部の
内面に付着している余分な疎水性樹脂液体を除去する。
なお、気体供給装置と吸引装置は両者の機能を有する装
置を用いてもよい。そして、上記の1回の操作では、十
分に疎水性樹脂液体が中空糸膜に付着しない場合は、適
宜に複数回上記操作を行い、そして、疎水性樹脂液体が
付着された部分を乾燥させ、中空糸膜に疎水性樹脂を存
在させる。1回の疎水性樹脂のコーティングでは、十分
なコーティングができない場合は、上記操作を複数回繰
り返して行う。
そして、中空糸膜の内部に気体を注入し、余分の疎水
性樹脂を除去する際、除去された樹脂の一部が、隔壁の
端面に付着することがあり、端面に不均一に付着した樹
脂を平滑なプラスチックシートあるいはゴムシートを用
いて除去することが好ましい。
そして、反対側の隔壁部分においても同様の操作を行
うことにより、それぞれの隔壁部分の中空糸膜の内表面
に疎水性樹脂をコーティングする。その後、それぞれの
隔壁の外部に流路形成部材を取り付けることにより、本
発明の中空糸膜型人口透析器を作成することができる。
また、上記方法に限らず、例えば、透析用中空糸膜を
束ねた中空糸膜束を作成し、この中空糸膜束の端部を、
疎水性物質または反応性基を有する物質の処理溶液に浸
漬し、処理溶液から引き上げ、中空糸膜束の処理した側
と逆の端部より空気を流し、中空糸膜内の処理溶液を除
去した後、洗浄溶媒を用いて洗浄し、さらに、中空糸膜
束の反対側の端部も同様に処理した後、中空糸膜束を乾
燥させた後、ハウジングに上記処理を行った中空糸膜束
を挿入し、その端部をポッティング剤としてポリウレタ
ンを用いて固定し隔壁を形成させることにより製造して
もよい。
次に、本発明の実施例を挙げて説明する。
[実施例] (実施例1) 長さ198mm、端部内径44mm、中間部内径32mmのポリカ
ーボネート製ハウジングに、内径約200μm、肉厚約12
μm、銅アンモニアセルロース製透析用中空糸膜約7100
本を挿入し、その端部をポッティング剤としてポリウレ
タンを用いて、固定し隔壁を形成した。隔壁の最も長い
部分(ハウジングと接触する部分)の長さは15mmであっ
た。そして、疎水性樹脂として、反応性シリコーン(東
芝シリコーン株式会社製、NCT−911 50%,イソプロピ
ルアルコール10%,トルエン40%)を用い、溶媒として
トリフルオロエタン(三井クロロケミカル会社株式製、
商品名フレオンTF)を用いて、濃度5重量%のシリコー
ン溶液を作成した。このシリコーン溶液を容器に入れ、
その容器中に、隔壁の端部より約15mm、15分間浸漬し、
引き上げたのち反対側の隔壁部分に取り付けた気体供給
装置により、中空糸膜内部に、圧縮空気を30l/minの流
速で、30分間流し、中空糸膜の端部の内面に付着してい
る余分なシリコーン溶液を除去した。そして、反対側の
隔壁部分においても同様の操作を行った。その後、室温
下にて、一昼夜乾燥を行った。この作業を、3回繰り返
した後、それぞれの隔壁の外部にポリプロピレン製のキ
ャップ状の流路形成部材を取り付けることにより、第1
図に示すような構造の本発明の中空糸膜型人口透析器を
作成した。この中空糸膜型透析器の膜面積は、約0.8m2
であった。
[比較例1] 長さ198mm、端部内径44mm、中間部内径32mmのポリカ
ーボネート製ハウジングに、内径約200μm、肉厚約12
μm,銅アンモニアセルロース製透析用中空糸膜約7100本
を挿入し、その端部をポッティング剤としてポリウレタ
ンを用いて、固定し隔壁を形成した。隔壁の最も長い部
分(ハウジングと接触する部分)の長さは15mmであっ
た。そして、それぞれの隔壁の外部に外部にポリプロピ
レン製の流路形成部材を取り付けることにより、中空糸
膜型人口透析器を作成し、比較例とした。この中空糸膜
型透析器の膜面積は、約0.8m2であった。
(実施例2) 長さ198mm、端部内径44mm、中間部内径32mmのポリカ
ーボネート製ハウジングに、内径約200μm、肉厚約12
μm,銅アンモニアセルロース製透析用中空糸膜約7100本
を挿入し、その端部をポッティング剤としてポリウレタ
ンを用いて、固定し隔壁を形成した。隔壁の最も長い部
分(ハウジングと接触する部分)の長さは15mmであっ
た。反応性基を有する物質として、ジフェニルメタンジ
イソシアナート(ひまし油含有、TP−0001、日本ポリウ
レタン工業株式会社製)を用い、アセトンを溶媒とし
て、上記物質を20%含有する処理溶液を作製した。
中空糸膜としては、銅アンモニウムセルロース製透析
用中空糸膜約7100本を束ねた中空糸膜束を作成し、この
中空糸膜束の一端部を、マグネチックスターラー撹拌
下、中空糸膜束の端部より2cm程を上記処理溶液に浸漬
した。そして、室温で20分間浸漬後、処理溶液から引き
上げ、中空糸膜束の処理した側と逆の端部より、1.0Kg/
cm2圧で空気を流し、中空糸膜内の処理溶液を除去し
た。その後、塩化メチレンを洗浄溶媒洗浄を行った。洗
浄は、中空糸膜束の処理した端部を洗浄溶媒中に浸漬
し、処理を受けた部分の中空糸内部に洗浄溶媒が吸い上
がったことを確認し、ただちに洗浄溶媒中より引き上
げ、中空糸膜束の処理した側の逆の端部より、1.0Kg/cm
2圧で空気を流し、中空糸膜内の洗浄溶液を除去する。
これを洗浄溶液を交換しながら3回繰り返した。そし
て、中空糸膜束の反対側の端部も同様に処理した後、中
空糸膜束を、60℃オーブンにて乾燥した。
そして、長さ198mm、端部内径44mm、中間部内径32mm
の第1図に示すような形状を有するポリカーボネート製
ハウジングに上記処理を行った中空糸膜束を挿入し、そ
の端部をポッティング剤としてポリウレタンを用いて固
定し隔壁を形成した。隔壁の最も長い部分の長さは約15
mmであった。また、上記物質により処理された部分の中
空糸膜の長さは、約4cmであった。そして、それぞれの
隔壁の外部にポリプロピレン製の流路形成部材を取り付
けることにより、中空糸膜型人工透析器を作製した。こ
の中空糸膜型人工透析器の膜表面積は約0.8m2であっ
た。
(実施例3) 処理溶液として、反応性基を有する物質としてカルボ
ジイミド変成メチルジイソシアナートを用い、ベンゼン
/ジメチルスルホキシド(ベンゼン/ジメチルスルホキ
シド=9:1)を溶媒とし、上記物質を10%含有する処理
溶液を用いた以外は、実施例2と同様に作製した。
(実施例4) 処理溶液として、反応性基を有する物質としてカルボ
ジイミド変成メチルジイソシアナートを用い、クロロホ
ルム/ジメチルスルホキシド(クロロホルム/ジメチル
スルホキシド=9:1)を溶媒として、上記物質を10%含
有する処理溶液を用いた以外は、実施例2と同様に作製
した。
(実施例5) 長さ198mm、端部内径44mm、中間部内径32mmのポリカ
ーボネート製ハウジングに、内径約200μm、肉厚約12
μmの銅アンモニアセルロース製透析用中空糸膜約7100
本を挿入し、その端部を、ポッティング剤としてポリウ
レタンを用いて固定し、隔壁を形成した。隔壁の最も長
い部分(ハウジングと接触する部分)の長さは15mmであ
った。
反応性基を有する物質として、ジフェニルメタンジイ
ソシアナートを用い、ジメチルスルホキシド/ジオキサ
ン/フレオン=2:3:5の混合溶液を溶媒として、上記物
質を10%含有する処理溶液を作製した。この処理溶液を
ガラスシャーレに5mm程の深さになるように入れ、この
ガラスシャーレに垂直に上記モジュールを1分間浸漬
し、引き上げた後、中空糸内の処理溶液を除去し、隔壁
表面に残った処理溶液を拭き取り、反対側の隔壁部分に
おいても同様の操作を行った。その後、室温下にて、一
晩乾燥を行った。
乾燥後、それぞれの隔壁の外部にポリプロピレン製の
キャップ状の流路形成部材を取り付け、ジオキサン/水
=3:7の混合溶液を洗浄液とし、30分間循環させ、後、
水を10分間循環させ、ファイバー内を洗浄した。
(実施例6) 反応性基を有する物質として、ジフェニルメタンジイ
ソシアナートを用い、ジメチルスルホキシド/ベンゼン
=1:9の混合溶液を溶媒として上記物質を10%含む処理
溶液を作製した。中空糸膜としては、銅アンモニウムセ
ルロース製透析用中空糸膜約7100本を束ねた中空糸膜束
を作製し、この中空糸膜束の一端部をマグネチックスタ
ーラー撹拌下、中空糸膜束の端部より2cm程を上記処理
溶液に浸漬した。そして、室温で20分間浸漬後、処理溶
液から引き上げ、中空糸膜の処理した側と逆の端部よ
り、1.0Kg/cm2圧で空気を流し、中空糸膜内の処理溶液
を除去した。その後、塩化メチレンを洗浄溶媒として、
中空糸膜束の処理した端部を洗浄溶媒中に浸漬し、処理
を受けた部分の中空糸内部に洗浄溶媒が吸い上がったこ
とを確認し、ただちに洗浄溶媒中より引き上げ、中空糸
膜束の処理した側と逆の端部より、1.0Kg/cm2圧で空気
を流し、中空糸膜内の洗浄溶液を除去した。これを洗浄
溶液を交換しながら3回繰り返した。
そして、中空糸膜束の反対側の端部も同様に処理した
後、中空糸膜束を60℃オーブンにて一晩乾燥した。そし
て、長さ198mm、端部内径44mm、中間部内径32mmの第1
図に示すような形状を有するポリカーボネート製ハウジ
ングに上記処理を施した中空糸膜束を挿入し、その端部
をポッティング剤としてポリウレタンを用いて固定し、
隔壁を形成した。隔壁の最も長い部分の長さは、約15mm
であった。また、上記物質により処理された部分の中空
糸膜の長さは、約4cmであった。そして、それぞれの隔
壁の外部にポリプロピレン製の流路形成部材を取り付け
ることにより、中空糸膜型人工透析器を作製した。この
中空糸膜型人工透析器の膜面積は約0.8m2であった。
(実施例7) 処理溶液として、反応性を有する物質としてジフェニ
ルメタンジイソシアナートを用い、ジメチルスルホキシ
ド/ジオキサン/フレオン=2:4:4の混合溶液を溶媒と
して、上記物質を10%含有する処理溶液に、添加剤とし
てトリエタノールアミン5%を含有する他は、実施例1
と同様に作製した。
(比較例2) 長さ198mm、端部内径44mm、中間部内径32mmのポリカ
ーボネート製ハウジングに銅アンモニウムセルロース製
透析用中空糸膜約7100本を挿入し、その端部をポッティ
ング剤としてポリウレタンを用いて固定し隔壁を形成し
た。隔壁の最も長い部分の長さは約15mmであった。そし
て、それぞれの隔壁の外部にポリプロピレン製の流路形
成部分材を取り付けることにより、中空糸膜型人工透析
器を作製し比較例とした。この中空糸膜型人工透析器の
膜表面積は約0.8m2であった。
[実験1] 上記実施例1および比較例1の中空糸膜型人工透析器
をそれぞれ2個作成した。そして、実施例1、比較例1
の透析器を用いて、乾燥状態のもの、湿潤状態のものを
それぞれ各1個作成した。そして、乾燥状態の各透析器
の隔壁部分を厚さ約5mmスライスして、乾燥時の中空糸
膜の内径および肉厚をそれぞれ40箇所測定した。さら
に、湿潤状態のものは、透析器内部に蒸留水を液満に充
填し、121℃、90分オートクレーブ滅菌を行なって作成
し、さらに上記蒸留水を排出し、湿潤した状態におい
て、湿潤状態の各透析器の隔壁部分を厚さ約5mmスライ
スして、湿潤時の中空糸膜の内径および肉厚をそれぞれ
40箇所測定した。測定には、オリンパス株式会社製、万
能投影機UP−350を用いて行った。結果は第1表に示す
通りであった。
[実験2] 上記実施例1および比較例1の中空糸膜型人工透析器
の隔壁部分を厚さ約5mmにスライスしたものを作成し
た。それらを用いて、染色試験を行った。染料として
は、塩基性染料(トルイジンブルー,Mw:305.8)を用
い、0.04w/v%のトルイジンブルー溶液を作成し、上記
の隔壁部分にてスライスしたものを3分間浸漬し、その
後十分水洗を行い、オリンパス株式会社製、万能投影機
UP−350を用いて観察した。比較例1の透析器の隔壁部
分をスライスしたものでは、中空糸膜全体が青色に染色
されていたが、実施例1の透析器の隔壁部分をスライス
したものでは、中空糸膜の全面(スライス面)において
も染色されておらず、中空糸膜の内部までシリコーンが
流入していることが確認された。
[実験3] 上記実施例1および比較例1の中空糸膜型人工透析器
の隔壁部分を厚さ約5mmにスライスしたものを作成し、
その隔壁端面の表面状態を、走査型電子顕微鏡(JSM 80
3,日本電子株式会社製)を用いて観察した。その結果、
比較例1のものでは、隔壁端面にスライスによる荒れが
見られたが、実施例1のものでは、表面は平滑であっ
た。また、実施例1のものには、シリコーンのムラおよ
び中空糸膜の端部における丸みは確認されなかった。
[実験4] 上記実施例2〜7および比較例2の中空糸膜型人工透
析器をそれぞれ2個作成した。そして、実施例2,3,4お
よび比較例2の透析器を用いて、乾燥状態のもの、湿潤
状態のものをそれぞれ各1個作成した。そして、乾燥状
態の各透析器の隔壁部分を厚さ約5mmスライスして、乾
燥時の中空糸膜の内径および肉厚をそれぞれ30箇所測定
した。さらに、湿潤状態のものは、透析器内部に蒸留水
を液満に充填し、121℃、90分オートクレーブ滅菌を行
って作成し、さらに上記蒸留水を排出し、湿潤した状態
において、湿潤状態の各透析器の隔壁部分を厚さ約5mm
スライスして、湿潤時の中空糸膜の内径および肉厚をそ
れぞれ30箇所測定した。測定には、光学顕微鏡(OPTIPH
OT−POL、ニコン株式会社製)を用いて行った。結果は
第2表に示す通りであり、実施例2,3,4のものは、膨潤
時の膨張を抑制し、中空糸膜の内径狭搾が抑制されてい
ることが確認できた。
(実験5) 雑種成犬(体重11kg・14kg)2頭を用い、体外循環実
験を行った。全身麻酔下、神経、分枝血管および周囲の
組織を損傷しない様に注意しながら石(あるいは左)総
顕動静脈を剥離した。さらに、生理食塩水を満たした留
置カテーテルを挿入し、結紮固定した。
この様にして準備された犬を使い、第4図に示すよう
な実験回路を用いて実験を行った。実験には、実施例3
および比較例2で得られた膜面積0.8m2を有する滅菌済
み中空糸膜型人工透析器を用い、実験回路としては、第
4図に示す様に、犬33の動脈に回路34、犬33の静脈に回
路39を連結した。中空糸膜型人工透析器1の入口側にマ
ノメーター36、出口側にマノメーター37を配した。中空
糸膜型人工透析器1の透析液出入口と、透析装置32と
は、チューブ40,41で連結した。この様にして構成され
た回路および中空糸膜型人工透析器1は生理食塩水1lで
まず、プライミング洗浄した。
体外循環実験は、血流量150ml/min、透析液流量500ml
/min(39℃)に設定して行った。実験条件として、ヘパ
リン等の抗凝固剤の投与は行わず2時間循環し、中空糸
膜型人工透析器前後に取り付けたマノメターを用いて、
中空糸膜型人工透析器の前後の圧力差の変化を経時的に
測定した。その結果を第5図に示す。比較例2の中空糸
膜型人工透析器は、循環開始約45分で圧力差が著しく上
昇し、循環不能になった。本発明の実施例3の中空糸膜
型人工透析器では、ゆるやかな圧力上昇にとどまった。
[発明の作用] 本発明の中空糸膜型人工透析器の作用を、第1図の中
空糸膜型人工透析器を用いて説明する。
本発明の中空糸膜型人工透析器は、体外循環回路中に
取り付けられ、体外循環回路および透析器1内をプライ
ミングした後、中空糸膜型人工透析器1の血液流入口7
より、人工透析器1内に血液を流入する。流入された血
液は、透析用中空糸膜3の内面に接触し、また、透析液
は、透析液流入口11より、透析器1内に流入し中空糸膜
3の外側に接触する。このとき、血液中の過剰な水分、
および尿素窒素、尿酸、クレアチニンなどの老廃物が透
析液に移動し、また、血液中のK、Na、Cl、Pなどの電
界質濃度の調整が行われ、血液は、血液流出口8より流
出する。そして、隔壁に接触する部分の透析用中空糸膜
3には、疎水性樹脂4が存在しており、その部分の内面
は疎水性表面となっているので、プライミング時におけ
る生理食塩水、さらに血液に接触しても、その部分の中
空糸膜は、水を含浸しにくいので、中空糸膜の肉厚の膨
張が起こらず、当初のままの内径を維持する。
[発明の効果] 本発明の中空糸膜型人工透析器は、ハウジングと、該
ハウジング内に挿入された多数の透析用中空糸膜からな
る中空糸膜束と、該中空糸膜束の両端部を前記ハウジン
グの両端部に液密に固定する隔壁と、前記ハウジングに
設けられ、前記中空糸膜の外面と前記ハウジングの内面
と隔壁とにより形成される空間に連通する透析液流入口
および透析液流出口と、前記ハウジングの両端部にそれ
ぞれ取り付けられた血液流入口および血液流出口とを有
する中空糸膜型人工透析器であって、前記透析用中空糸
膜は、水を含有する液体との接触により膨潤する親水性
透析用中空糸膜であり、かつ、該中空糸膜の前記隔壁と
接触する部分は、水分を含有する液体と接触したとき
に、膨潤しにくい部分となっているので、隔壁に接触す
る部分の透析用中空糸膜は、プライミング時における生
理食塩水、処理される血液に接触しても、その部分の中
空糸膜は、水を含浸しないので、中空糸膜の肉厚の膨張
が起こらず、当初のままの内径を維持でき、隔壁部分に
接触している中空糸膜の内径が変化せず、隔壁部分にお
いて、血液の流れが悪くなり、人工透析器の圧力損失の
増加を招くことを防止できる。
また、本発明の中空糸膜型人工透析器は、ハウジング
と、該ハウジング内に挿入された多数の透析用中空糸膜
からなる中空糸膜束と、該中空糸膜束の両端部を前記ハ
ウジングの両端部に液密に固定する隔壁と、前記ハウジ
ングに設けられ、前記中空糸膜の外面と前記ハウジング
の内面と隔壁とにより形成される空間に連通する透析液
流入口および透析液流出口と、前記ハウジングの両端部
にそれぞれ取り漬けられた血液流入口および血液流出口
とを有する中空糸膜型人工透析器であって、前記透析用
中空糸膜は、水を含有する液体との接触により肉厚が膨
張する親水性透析用中空糸膜であり、かつ、前記隔壁と
接触する部分の透析用中空糸膜は、隔壁と接触しない他
の部分に比して、実質的に水分を吸収しにくい部分とな
っているので、隔壁に接触する部分の透析用中空糸膜
は、プライミング時における生理食塩水、さらに血液に
接触しても、その部分の中空糸膜は、水を含浸しないの
で、中空糸膜の肉厚の膨張が起こらず、当初のままの内
径を維持でき、隔壁部分に接触している中空糸膜の内径
が変化せず、隔壁部分において、血液の流れが悪くな
り、血栓の発生、目詰まり、残血を起こすこと、および
透析器の圧力損失の増加を招くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の中空糸膜型人工透析器の一実施例の
一部断面図であり、第2図は、第1図に示した中空糸膜
型人工透析器の隔壁部分の拡大断面図であり、第3図
は、本発明の中空糸膜型人工透析器の他の実施例の血液
ポート部の拡大断面図である。第4図は、本発明の実験
に用いた体外循環実験回路の概略図であり、第5図は、
本発明の実験における中空糸膜型人工透析器前後の圧力
差の変化を示す図であり、第6図は、従来の中空糸膜型
人工透析器の隔壁部の拡大断面図、第7図は、従来の中
空糸膜型人工透析器に血液および透析液を流したときの
隔壁部の状態を示す拡大断面である。 1……中空糸膜型人工透析器、2……ハウジング、 3……透析用中空糸膜、4……疎水性樹脂、 5,6……隔壁

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハウジングと、該ハウジング内に挿入され
    た多数の透析用中空糸膜からなる中空糸膜束と、該中空
    糸膜束の両端部を前記ハウジングの両端部に液密に固定
    する隔壁と、前記ハウジングに設けられ、前記中空糸膜
    の外面と前記ハウジングの内面と隔壁とにより形成され
    る空間に連通する透析液流入口および透析液流出口と、
    前記ハウジングの両端部にそれぞれ取り付けられた血液
    流入口および血液流出口とを有する中空糸膜型人工透析
    器であって、前記透析用中空糸膜は、水を含有する液体
    との接触により膨潤する親水性透析用中空糸膜であり、
    かつ、該中空糸膜の前記隔壁と接触する部分は、水分を
    含有する液体と接触したときに、膨潤しにくい部分とな
    っていることを特徴とする中空糸膜型人工透析器。
  2. 【請求項2】前記中空糸膜の前記隔壁と接触する部分
    は、該中空糸膜が有する極性基、または該中空糸膜が含
    有する物質が有する極性基と反応する反応性基を有する
    物質により処理されている請求項1に記載の中空糸膜型
    人工透析器。
  3. 【請求項3】前記中空糸膜が含有する物質は、水または
    グリセリンである請求項2に記載の中空糸膜型人工透析
    器。
  4. 【請求項4】前記反応性基は、イソシアネート基、エポ
    キシ基、チオシアネート基、酸クロリド基、アルデヒド
    基のいずれかである請求項2または3に記載の中空糸膜
    型人工透析器。
  5. 【請求項5】前記中空糸膜が有する極性基または該中空
    糸膜が含有する物質が有する極性基は、水酸基、アミノ
    基、カルボキシル基のいずれかである請求項2ないし4
    のいずれかに記載の中空糸膜型人工透析器。
  6. 【請求項6】ハウジングと、該ハウジング内に挿入され
    た多数の透析用中空糸膜からなる中空糸膜束と、該中空
    糸膜束の両端部を前記ハウジングの両端部に液密に固定
    する隔壁と、前記ハウジングに設けられ、前記中空糸膜
    の外面と前記ハウジングの内面と隔壁とにより形成され
    る空間に連通する透析液流入口および透析液流出口と、
    前記ハウジングの両端部にそれぞれ取り付けられた血液
    流入口および血液流出口とを有する中空糸膜型人工透析
    器であって、前記透析用中空糸膜は、水を含有する液体
    との接触により肉厚が膨張する親水性透析用中空糸膜で
    あり、かつ、前記隔壁と接触する部分の透析用中空糸膜
    は、隔壁と接触しない他の部分に比して、実質的に水分
    を吸収しにくい部分となっていることを特徴とする中空
    糸膜型人工透析器。
  7. 【請求項7】前記隔壁と接触する部分の透析用中空糸膜
    は、該部分の中空部の内表面および隔壁表面に位置する
    端面が、疎水性表面となっているものである請求項6に
    記載の中空糸膜型人工透析器。
  8. 【請求項8】前記隔壁に接触する部分の透析用中空糸膜
    には疎水性樹脂が存在もしくは疎水性物質が含有されて
    いるものである請求項7に記載の中空糸膜型人工透析
    器。
  9. 【請求項9】前記疎水性樹脂は、前記隔壁に接触する部
    分の透析用中空糸膜および隔壁のスライス面全体にコー
    ティングされている請求項8に記載の中空糸膜型人工透
    析器。
  10. 【請求項10】前記透析用中空糸膜は、再生セルロー
    ス、セルロース誘導体、エチレン−ビニルアルコール共
    重合体、アクリロニトリル共重合体のいずれかである請
    求項1ないし9のいずれかに記載の中空糸膜型人工透析
    器。
  11. 【請求項11】前記疎水性物質の含有または疎水性樹脂
    のコーティングは、実質的に隔壁と接触する部分の中空
    糸膜のみに行われている請求項8または9に記載の中空
    糸膜型人工透析器。
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