JP3499002B2 - 中空糸膜型血液処理器および血液処理装置 - Google Patents

中空糸膜型血液処理器および血液処理装置

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JP3499002B2 JP15295694A JP15295694A JP3499002B2 JP 3499002 B2 JP3499002 B2 JP 3499002B2 JP 15295694 A JP15295694 A JP 15295694A JP 15295694 A JP15295694 A JP 15295694A JP 3499002 B2 JP3499002 B2 JP 3499002B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、中空糸膜型血液処理器
に関するものであり、例えば、中空糸膜型人工透析器、
血漿分離器等に関する。また、本発明は、体液バランス
の調整、水分の除去などの目的のために血液を処理する
血液処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、中空糸膜型血液処理器とし
て、例えば、中空糸膜型人工透析器が使用されており、
その一般的構造は、透析液の流入口および流出口を有す
る筒状ハウジング内に多数の透析用中空糸膜からなる中
空糸膜束が挿入されている。そして、中空糸膜束の両端
部は、筒状ハウジングの両端部にポッティング剤により
形成された隔壁により液密に固定され、さらに、隔壁の
外側に血液流入口および血液流出口を形成するキャップ
状のヘッダーが取り付けられている。透析用中空糸膜と
しては、例えば酢酸セルロース、銅アンモニアセルロー
スなどの再生セルロースが使用され、ポッティング剤と
しては、ポリウレタンなどが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近では、隔壁端面に
おける血栓の発生、中空糸の閉塞など防止するために隔
壁端面を高分子材料により被覆し平坦面とすることが考
えられてきている。透析器は、透析器内に血液を循環す
る前に血液が流入される部分(中空糸膜の内部側)に生
理食塩水などを用いてプライミングを行い、内部の空気
を液体に置換する。プライミング作業は、血液流入側が
下となるように透析器を立てた状態とし、下方(血液流
入口)よりプライミング液を流入させ、上方(血液流出
口)より流出させることにより行われる。この際、高分
子材料により被覆された隔壁面では、疎水性が高くな
り、付着した気泡が除去しにくいという問題を本発明者
らが知見した。血液流入側では、流入するプライミング
液が隔壁面に当接するため付着した気泡は自然に除去さ
れる傾向にあるが、血液流出側隔壁面では、中空糸の端
部開口よりプライミング液が流出のみであるため、隔壁
面に付着した気泡は自然に除去されにくく、血液流出側
ポートを鉗子などでたたくなどの作業が必要となる。し
かし、疎水性が高いため容易に除去できず、作業時間が
かかった。
【0004】さらに最近では、持続的血液濾過法(CH
F,Continuous Hemofiltration)、持続的血液透析法
(CHDF,Continuous Hemodiafiltration)といった
持続的な血液成分分離が検討されるようになってきた。
これら持続的血液濾過法および持続的血液透析法は、通
常の血液透析、血液濾過を行いにくい患者への適用が検
討されている。このような患者の多くは、循環状態が悪
く、また不均衡症状が強く出るなどの特色があり、具体
的には、急性腎不全、心不全による腎機能低下、多臓器
不全などの症状を呈する場合が多い。持続的血液濾過法
および持続的血液濾過透析法は、上記のような重症の患
者に主に適用され、輸液などの投与と平行して除水を行
う手段として検討されている。
【0005】そして、これらが使用される場所は、病院
内のICU、CCUなどとなる。このような重症の患者
への適用は、緊急性が要求される場合が多く、その準備
および取り扱いが容易であることが必要であり、このよ
うなCHF、CHDFに使用される血液処理装置は、内
部に液体が充填された状態で提供されるものが多い。し
かし、内部には貴方が混入しており、使用に当たり、こ
の気泡の除去作業および内部に充填されている液体の排
出作業を行うことが必要である。この場合において、よ
り迅速な気泡の除去を行えることが好ましい。
【0006】そこで、本発明の目的は、隔壁面での血栓
の発生が少なく、かつ、血液流出側隔壁に付着した気泡
の除去が容易な中空糸膜型血液処理器およびそれを用い
た血液処理装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するもの
は、ハウジングと、該ハウジング内に挿入された多数の
液体処理用中空糸膜からなる中空糸膜束と、該中空糸膜
束の両端部を前記ハウジングの両端部に液密に固定する
血液流入側隔壁および血液流出側隔壁と、前記ハウジン
グの両端部付近にそれぞれ設けられ、前記中空糸膜の外
面と前記ハウジングの内面と隔壁とにより形成される空
間に連通する血液処理用流体流入口および血液処理用流
体流出口と、前記ハウジングのそれぞれの端部に取り付
けられた血液流入口および血液流出口とを有する中空糸
膜型血液処理器であって、前記血液流入側隔壁の端面
は、第1の高分子材料により被覆されており、さらに、
前記血液流出側隔壁の端面は、前記第1の高分子材料よ
り濡れ性の高い第2の高分子材料により被覆されている
中空糸膜型血液処理器である。
【0008】また、上記目的を達成するものは、ハウジ
ングと、該ハウジング内に挿入された多数の液体処理用
中空糸膜からなる中空糸膜束と、該中空糸膜束の両端部
を前記ハウジングの両端部に液密に固定する血液流入側
隔壁および血液流出側隔壁と、前記ハウジングの一端部
付近に設けられ、前記中空糸膜の外面と前記ハウジング
の内面と隔壁とにより形成される空間に連通する血液濾
過液流出口と、前記ハウジングのそれぞれの端部に取り
付けられた血液流入口および血液流出口とを有する中空
糸膜型血液処理器であって、前記血液流入側隔壁の端面
は、第1の高分子材料により被覆されており、さらに、
前記血液流出側隔壁の端面は、前記第1の高分子材料よ
り濡れ性の高い第2の高分子材料により被覆されている
中空糸膜型血液処理器である。
【0009】さらに、上記目的を達成するものは、軟質
合成樹脂からなる本体部材と、該本体部材に取り付けら
れた上記のいずれかの中空糸膜型血液処理器と、該血液
処理器の血液流入口に接続された第1送血管と、血液処
理器の血液流出口に接続された第2送血管と、前記血液
処理器の血液処理用流体(透析液)流出口または血液濾
過液液流出口に接続された送液管とを有する血液処理装
置である。
【0010】そこで、本発明の中空糸膜型血液処理器を
図面に示した実施例を用いて説明する。図1は、本発明
の血液処理器を中空糸膜型人工透析器に応用した実施例
の一部断面正面図であり、図2および図3は、図1に示
した中空糸膜型人工透析器の隔壁の部分の拡大断面図で
ある。
【0011】この中空糸膜型血液処理器(中空糸膜型人
工透析器)1は、ハウジング2と、ハウジング2内に挿
入された多数の液体処理用中空糸膜からなる中空糸膜束
3と、中空糸膜束の両端部をハウジング2の両端部に液
密に固定する血液流入側隔壁5および血液流出側隔壁6
と、ハウジング2の両端部付近にそれぞれ設けられ、中
空糸膜3の外面とハウジング2の内面と隔壁5,6とに
より形成される空間に連通する血液処理用流体流入口
(透析液流入口)11および血液処理用流体流出口(透
析液流出口)12と、ハウジング2のそれぞれの端部に
取り付けられた血液流入口7aおよび血液流出口8aと
を有している。さらに、中空糸膜3の端面を含む血液流
入側隔壁5の端面は、濡れ性が低い第1の高分子材料9
により被覆されており、さらに、中空糸膜3の端面を含
む血液流出側隔壁6の端面は、第1の高分子材料9より
濡れ性の高い第2の高分子材料10により被覆されてい
る。
【0012】本発明の中空糸膜型人工透析器1に用いら
れる透析用中空糸膜3は、酢酸セルロース、銅アンモニ
アセルロースなどの再生セルロース、セルロース誘導
体、エチレン−ビニルアルコール共重体、アクリルニト
リル共重合体、ポリサルフォンン、ポリメチルメタクリ
レートなどにより形成された透析用の中空糸膜が使用さ
れる。中空糸膜3は、肉厚が5〜35μm、好ましくは
10〜20μm、外径が50〜500μm、好ましくは
100〜300μmであり、全長にわたり貫通した中空
部を有している。
【0013】中空糸膜型人工透析器1として、図1にそ
の一実施態様である中空糸膜型人工透析器の組み立て状
態を示してある。この中空糸膜型人工透析器1は、筒状
体のハウジング2と、このハウジング2内全体に広がっ
て透析用中空糸膜3が6,000〜50,000本収納
されている。そして、この透析用中空糸膜3は、その両
端部の開口が閉塞されない状態で隔壁5,6によりハウ
ジング2の端部に液密に固着されている。そして、この
隔壁5,6により、ハウジング2の内部は、透析用中空
糸膜3の外壁とハウジング2の内壁と隔壁5,6により
形成される透析液室と、中空糸膜3の内部に形成される
血液室とに区画される。筒状ハウジング2は、ポリカー
ボネート、アクリロニトリル−スチレン共重合体などに
より形成されており、筒状、好ましくは円筒状のもので
ある。筒状ハウジング2には、その一方の端部付近に、
透析液流入口11が、他端付近に、その流出口12が設
けられている。
【0014】隔壁5,6は、ポリウレタン、シリコーン
ゴムなどのポッティング剤により形成されている。さら
に、隔壁5の外側には、血液流入口7aと環状凸部を有
するキャップ状の流路形成部材7がネジリング4aによ
り固定されており、また隔壁6の外側には、血液流出口
8aと環状凸部を有するキャップ状の流路形成部材8が
ネジリング4bにより固定されている。そして、流路形
成部材7,8の凸部には、環状の凹部を有しており、図
2に示すように、その凹部には、シリコーンゴムなどに
より形成されたOリングが設けられており、このOリン
グが、隔壁に当接しており、流路形成部材7,8を隔壁
5,6に液密に固着している。また、上記説明におい
て、ネジリングを用いたものにて説明したが、これに限
らず流路形成部材を直接ハウジングに高周波、超音波な
どを用いて融着させてもよく、また接着剤などを用いて
接着してもよい。
【0015】さらに、図2に示すように、血液流入側隔
壁5の端面は、中空糸膜3の端面も含めて第1の高分子
材料9により被覆されている。これにより、隔壁5の端
面は、中空糸膜3の開口を閉塞することなく、全体が高
分子材料9により被覆されるとともに、ほぼ平坦面を形
成している。つまり、高分子材料9は、中空糸膜3の端
面を含む血液流入側隔壁の端面がほぼ平坦面となるよう
に被覆されている。これにより、隔壁面の形成時のスラ
イスにより形成された隔壁表面の荒れがあっても、この
高分子材料被覆9により、表面全体が被覆されてことに
より平滑となり、血栓の発生を抑制する。また、第1の
高分子材料9としては、隔壁の形成材料との接着性、被
膜形成性、Oリングまたは流路形成部材により押圧され
るためある程度の弾性または可撓性を有するものが使用
される。
【0016】第1の高分子材料のコーティングの厚さ
は、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜10μ
mである。また、高分子材料の一部が中空糸膜の中空部
を閉塞しないようにかつあまり内径を狭くしない程度
に、内部に流入(浸透)または内表面に薄く付着し、か
つ、固化していることが好ましい。このようにすれば、
使用時に血液中の水分を吸収して膨潤し、内径が縮径化
することを抑制できる。また、固化していれば、中空糸
膜内に流入した部分が突起となり、隔壁面に付着してい
る高分子材料の剥離を防止できる。さらに、第1の高分
子材料9としては、生体適合性の高いもの、つまり抗血
栓性を有することが好ましい。血液流入側隔壁面には、
中空糸内に流入する血液が当接するため、この隔壁面が
抗血栓性が高いことにより、隔壁面における血液と隔壁
との接触に起因した血栓の発生、さらには中空糸の閉塞
といったことを防止できる。
【0017】さらに、高分子材料9としては、疎水性を
ある程度有するものが好適である。疎水性が高いほう
が、気泡の付着が少ない。このため、血液流入側として
は好適であり、疎水性が高いほうが付着すると取れにく
いが、この隔壁面には、流入するプライミング液または
血液が当接するので液体の当接により付着した気泡は除
去されるので問題はない。逆に親水性の高い高分子材料
を被覆すると、隔壁の表面には直接気泡は付着しにくい
が、血液ポート内を気泡が循環しその後に流入してきた
気泡を取り込み肥大化し、ひいては、エアーブロックを
生じる危険性がある。
【0018】第1の高分子材料としては、さらに、被覆
物となったときの表面の接触角が、92°以上、特に9
5゜であることが好ましく、さらには、100゜以上で
あることが好ましい。このような高分子材料としては、
シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが使用できる。シリコ
ーン樹脂としては、例えば、1液型または2液型硬化性
シリコーン樹脂、例えば、2液型RTVシリコーンゴム
(例えば、ビニルメチルシロキサンとメチルハイドロジ
ェンシロキサンの重合体)、2液型LTVシリコーンゴ
ム、1液型RTVシリコーンゴム、1液型LTVシリコ
ーンゴムなどが好適に使用できる。フッ素樹脂として
は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエ
チレン、パーフルオロアクリレート、テトラフルオロエ
チレンなどが好適に使用できる。
【0019】さらに、図3に示すように、血液流出側隔
壁6の端面は、中空糸膜3の端面も含めて第2の高分子
材料10により被覆されている。これにより、隔壁6の
端面は、中空糸膜3の開口を閉塞することなく、全体が
高分子材料10により被覆されるとともに、ほぼ平坦面
を形成している。つまり、高分子材料10は、中空糸膜
3の端面を含む血液流出側隔壁6の端面がほぼ平坦面と
なるように被覆されている。このため、隔壁面の形成時
のスライスにより形成された隔壁表面の荒れがあって
も、この高分子材料被覆10により、表面全体が被覆さ
れてことにより平滑となり、血栓の発生を抑制する。ま
た、第2の高分子材料10としては、隔壁の形成材料と
の接着性、被膜形成性、Oリングまたは流路形成部材に
より押圧されるためある程度の弾性または可撓性を有す
るものが使用される。
【0020】第2の高分子材料のコーティングの厚さ
は、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜10μ
mである。また、高分子材料の一部が中空糸膜の中空部
を閉塞しないようにかつあまり内径を狭くしない程度
に、内部に流入(浸透)または表面に薄く付着し、か
つ、固化していることが好ましい。このようにすれば、
使用時に血液中の水分を吸収して膨潤し、内径が縮径化
することを抑制できる。また、固化していれば、中空糸
膜内に流入した部分が突起となり、隔壁面の付着してい
る高分子材料の剥離を防止できる。さらに、第2の高分
子材料10としては、第1の高分子材料より濡れ性の高
いもの、言い換えれが、親水性またはそれに近いもので
あることが好ましい。
【0021】具体的には、第2の高分子材料としては、
さらに、被覆物となったときの表面の接触角が、88°
以下であること、特に、85゜以下が好ましく、さらに
は、80゜以下であることが好ましい。このような高分
子材料としては、ウレタン樹脂、ヒドロキシアクリレー
ト系樹脂などが使用できる。ウレタン樹脂としては、ポ
リエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタ
ンなどが使用される。好ましくは、ポリエーテル型ポリ
ウレタンである。また、ヒドロキシアクリレート系樹脂
としては、ポリヒドロキシアクリレート、ヒドロキシア
クリレート−スチレン共重合体(例えば、HEMA−S
t−HEMAブロックコポリマー)などが使用できる。
【0022】そして、中空糸膜型透析器1は、使用前に
滅菌される。滅菌としては、エチレンオキサイドガス滅
菌、オートクレーブ滅菌などの公知の方法が用いられ
る。オートクレーブ滅菌を行う場合は、透析器内部(透
析液室および血液室)に生体に無害な液体(例えば、生
理食塩水、無菌水)を充填し、開口部分(透析液流入口
および流出口、血液流入口および流出口)を弾性部材を
用いて密封した状態にて、オートクレーブ滅菌すること
により行われる。
【0023】上記説明では、本発明の中空糸膜型血液処
理器を人工透析器に応用した実施例を用いて説明した
が、これに限らず、血漿分離器、血液濾過器など種々の
血液処理器に使用できる。そして、血漿分離器、血液濾
過器などの血液処理器では、ハウジングには、上述した
人工透析器のような透析液流入口と流出口の2つの液体
ポートは必要なく、血漿または血液より除去した水分な
どを排出するための一つの血液成分流出口があればよ
い。なお、血液成分流出口は、2以上設けてもよい。
【0024】次に、本発明の中空糸膜型血液処理器を血
液透析器に応用した製造方法を簡単に説明する。まず、
透析液流入口および透析液流出口を側壁に有する円筒状
ハウジングを作成し、そのハウジング内に、多数の透析
用中空糸膜束よりなる中空糸膜束を挿入する。そして、
中空糸膜束の両端部の中空糸膜を均一に分散させた後、
中空糸膜束の両端部に、目止め剤を充填した容器を被嵌
し、さらに、この容器をハウジングの端部に固定する。
さらに、ハウジングの透析液流入口および透析液流出口
よりポッティング剤を遠心注入し、中空糸膜束のそれぞ
れの端部をハウジングに固定し、上記容器を取り外した
後、ポッティング剤部分をスライスし、それぞれの隔壁
を形成する。
【0025】そして、一方の血液流入側隔壁を第1の高
分子材料溶液[溶媒としては、透析用中空糸膜、ポッテ
ィング剤およびハウジングを溶解しにくい溶媒(中空糸
膜を若干溶解するものであつてもよい)]中に、上記の
隔壁端部を浸漬する。なお、中空糸内部に高分子材料が
過剰に流入することを防止するために、他方の隔壁(血
液流出側隔壁)にポートを取り付け、かつその開口を閉
塞(例えば、ポートの開口部にチューブを取り付けチュ
ーブをクランプにより閉塞する)し、中空糸内部を気密
状態として行うことが好ましい。そして、高分子材料溶
液より取り出した後、ポートの開口よりエアーを送り、
中空糸内部に流入した高分子材料溶液を排出する。これ
は、例えば、ポートの開口部に取り付けたチューブのク
ランプを外し、チューブに接続した気体供給装置、例え
ば、エアーコンプレッサー、により空気を送ることによ
り行われる。必要回数(例えば、2〜5回)この作業を
繰り返して行い、血液流入側隔壁の端面に付着した第1
の高分子材料が固化した後、血液流出側隔壁端面の処理
を行う。
【0026】そして、血液流出側隔壁を第2の高分子材
料溶液[溶媒としては、透析用中空糸膜、ポッティング
剤およびハウジングを溶解しにくい溶媒(中空糸膜を若
干溶解するものであつてもよい)]中に、その隔壁端部
を浸漬する。なお、中空糸内部に高分子材料が過剰に流
入することを防止するために、他方の隔壁(血液流入側
隔壁)にポートを取り付け、かつその開口を閉塞(例え
ば、ポートの開口部にチューブを取り付けチューブをク
ランプにより閉塞する)し、中空糸内部を気密状態とし
て行うことが好ましい。そして、高分子材料溶液より取
り出した後、ポートの開口よりエアーを送り、中空糸内
部に流入した高分子材料溶液を排出する。これは、例え
ば、ポートの開口部に取り付けたチューブのクランプを
外し、チューブに接続した気体供給装置、例えば、エア
ーコンプレッサー、により空気を送ることにより行われ
る。必要回数(例えば、2〜5回)この作業を繰り返し
て行い、血液流入側隔壁の端面に付着した第2の高分子
材料を固化させる。
【0027】また、上述の第1および第2の高分子材料
のコーティング工程において、中空糸膜の内部に気体を
注入し、余分の高分子材料を除去する際、除去された樹
脂の一部が、隔壁の端面に付着することがあり、端面に
不均一に付着した樹脂を平滑なプラスチックシートある
いはゴムシートを用いて除去することが好ましい。その
後、それぞれの隔壁の外部に流路形成部材(ポート)を
取り付けることにより、本発明の中空糸膜型人工透析器
を作成することができる。
【0028】
【実施例】次に、本発明の実施例を挙げて説明する。 [実施例] (実施例1)長さ155mm、端部内径36mm、中間
部内径29mmのポリカーボネート製ハウジングに、内
径約200μm、肉厚約12μm,銅アンモニアセルロ
ース製透析用中空糸膜約7,000本を挿入し、その端
部をポッティング剤としてポリウレタンを用いて、固定
し隔壁を形成した。そして、第1の高分子材料として、
反応型シリコーン(東芝シリコーン株式会社製、NCT
−911 50%,イソプロピルアルコール 10%,
トルエン40%)を用い、溶媒としてn−ヘキサンを用
いて、濃度2重量%のシリコーン溶液を作成した。血液
流出側隔壁の端部にエアーコンプレッサーの接続用ポー
トを取り付けるとともにポートとエアーコンプレッサー
をつなぐチューブをクランプにより閉塞して中空糸内部
を気密状態とた。そして、他方の血液流入側隔壁を上記
のシリコーン溶液を充填した容器中に、血液流入側隔壁
の端部より約1mmの部分を5秒間浸漬し、引き上げた
のち反対側のポートに接続されたエアーコンプレッサー
により、中空糸膜内部に、空気圧1kg/cm3にてエ
アーを30秒間送り、中空糸膜の端部の内面に付着して
いる余分なシリコーン溶液を除去した。そして、この作
業を3回繰り返した後、約12時間乾燥させた。
【0029】そして、第2の高分子材料として、ポリエ
ーテル型ポリウレタン(日本ポリウレタン株式会社製、
2液常温硬化型ポリウレタン)を用い、希釈溶媒として
エタノールとアセトンの混合物(エタノール:アセトン
=6:4)を用いて、濃度2重量%のポリウレタン溶液
を作成した。そして、血液流出側隔壁に取り付けたエア
ーコンプレッサーの接続用ポートを取り外し、血液流入
側隔壁にエアーコンプレッサーの接続用ポートを取り付
け、さらに、ポートとエアーコンプレッサーをつなぐチ
ューブをクランプにより閉塞して中空糸内部を気密状態
とした。そして、血液流出側隔壁を上記のポリウレタン
溶液を充填した容器中に、血液流出側隔壁の端部より約
1mmの部分を5秒間浸漬し、引き上げたのち反対側の
ポートに接続されたエアーコンプレッサーにより、中空
糸膜内部に、空気圧1kg/cm3にてエアーを30秒
間送り、中空糸膜の端部の内面に付着している余分なポ
リウレタン溶液を除去した。そして、この作業を3回繰
り返した後(なお、3回目のエアー送気のみ60秒)、
約12時間乾燥させた。そして、それぞれの隔壁の外部
にポリプロピレン製のキャップ状の流路形成部材を取り
付けることにより、図1に示すような構造の本発明の中
空糸膜型人工透析器を作成した。この中空糸膜型透析器
の膜面積は、約0.6m2であった。
【0030】(実施例2)上記実施例1の中空糸膜型人
工透析器内に無菌水を充填した後、高圧蒸気滅菌を行っ
たものを作成した。
【0031】(比較例1)長さ155mm、端部内径3
6mm、中間部内径29mmのポリカーボネート製ハウ
ジングに、内径約200μm、肉厚約12μm,銅アン
モニアセルロース製透析用中空糸膜約7,000本を挿
入し、その端部をポッティング剤としてポリウレタンを
用いて、固定し隔壁を形成した。そして、反応型シリコ
ーン(東芝シリコーン株式会社製、NCT−911 5
0%,イソプロピルアルコール 10%,トルエン40
%)を用い、溶媒としてn−ヘキサンを用いて、濃度2
重量%のシリコーン溶液を作成した。血液流出側隔壁の
端部にエアーコンプレッサーの接続用ポートを取り付け
るとともにポートとエアーコンプレッサーをつなぐチュ
ーブをクランプにより閉塞して中空糸内部を気密状態と
した。そして、他方の血液流入側隔壁を上記のシリコー
ン溶液を充填した容器中に、血液流入側隔壁の端部より
約1mmの部分を5秒間浸漬し、引き上げたのち反対側
のポートに接続されたエアーコンプレッサーにより、中
空糸膜内部に、空気圧1kg/cm3にてエアーを30
秒間送り、中空糸膜の端部の内面に付着している余分な
シリコーン溶液を除去した。そして、この作業を3回繰
り返した後、約12時間乾燥させた。
【0032】そして、血液流出側隔壁に取り付けたエア
ーコンプレッサーの接続用ポートを取り外し、血液流入
側隔壁にエアーコンプレッサーの接続用ポートを取り付
け、さらに、ポートとエアーコンプレッサーをつなぐチ
ューブをクランプにより閉塞して中空糸内部を気密状態
とした。そして、血液流出側隔壁を上記のシリコーン溶
液を充填した容器中に、血液流出側隔壁の端部より約1
mmの部分を5秒間浸漬し、引き上げたのち反対側のポ
ートに接続されたエアーコンプレッサーにより、中空糸
膜内部に、空気圧1kg/cm3にてエアーを30秒間
送り、中空糸膜の端部の内面に付着している余分なシリ
コーン溶液を除去した。そして、この作業を3回繰り返
した後(なお、3回目のエアー送気のみ60秒)、約1
2時間乾燥させた。そして、それぞれの隔壁の外部にポ
リプロピレン製のキャップ状の流路形成部材を取り付け
ることにより、図1に示すような構造の本発明の中空糸
膜型人工透析器を作成した。この中空糸膜型透析器の膜
面積は、約0.6m2であった。
【0033】[実験1]上記実施例1および比較例1の
中空糸膜型人工透析器を用いて以下の実験を行った。ま
ず、人工透析器を血液流入側が下方に血液流出側が上方
となるように立てた状態にて固定し、血液流入側流路形
成部材の血液流入口に送液側チューブを取り付け、ま
た、血液流出側流路形成部材の血液流出口に排液側チュ
ーブを取り付け、それらチューブの端部は、生理食塩水
容器内に挿入した。そして、血液流入口に接続したチュ
ーブの途中にローラーポンプを取り付けた。
【0034】そして、この状態において、流路形成部材
内のエアー抜き作業を行った。なお、実験は、生理食塩
水の流速が、50、100、130ml/minについ
て行った。結果は、表1ないし表4に示すとおりであっ
た。なお、表1ないし表4におけるA,B,C,Dは、
以下のとおりである。 A:血液流入側流路形成部材内のエアー除去時間 B:Aの作業に要した送液側チューブのフラッシング回
数(鉗子によるチューブの開閉作業回数) C:血液流出側流路形成部材内のエアー除去のために流
路形成部材を鉗子で叩いた回数 D:人工透析器の血液流路のエアー除去時間(プライミ
ング作業時間)
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】[実験2]実施例2の中空糸膜型人工透析
器を用いて以下の実験を行った。実施例2の中空糸膜型
人工透析器のそれぞれの流路形成部材を取り外し、血液
流入側隔壁および血液流出側隔壁のそれぞれの周縁部
(中空糸の存在しない部分)を約2mmの厚さで、約2
0mm2切り取った。そして、血液流入側隔壁切断片
(試料X,シリコーンコート)および血液流出側隔壁切
断片(試料Y、ポリウレタンコート)の接触角を接触角
測定機(エルマ株式会社製、型式G−1−1000)を
用いて測定した。測定は、それぞれ10個所行った。結
果は表5に示すとおりであった。なお、表5におけるθ
1は、試料の上に滴下した水の右側の接触角であり、θ
2は、試料の上に滴下した水の左側の接触角である。
【0039】
【表5】
【0040】平均は、それぞれのデータの最大値と最小
値を除いたものより算出した。
【0041】次に、本発明の血液処理装置を図4に示す
持続的血液濾過装置に応用した実施例を用いて説明す
る。本発明の血液処理装置装置40は、軟質合成樹脂か
らなる本体部材13と、この本体部材の一部に一定容量
に形成された血液成分貯留部30と、本体部材13に取
り付けられた血液成分分離器17と、血液成分分離器1
7の血液流入口7aに接続された第1送血管21と、血
液成分分離器17の血液流出口8aに接続された第2送
血管20と、血液成分分離器17の血液成分流出口11
と本体部材13の血液成分貯留部30の血液成分流入口
とを接続する第1送液管29と、血液成分貯留部30の
血液成分流出口に接続された第2送液管35とを有して
いる。
【0042】具体的に説明すると、図4に示す実施例の
持続的血液濾過装置40は、本体部材13と、この本体
部材13に、着脱可能に取り付けられた血液濾過器17
と、本体部材13に接続された脱血側チューブである第
1送血管21および送血側チューブである第2送血管2
0とを有している。
【0043】本体部材13は、例えば、後述する血液成
分貯留部30の一部を形成する膨出部分を有する軟質材
料からなる第1のシートに、平面形状を呈する第2のシ
ートを重ね合わせ、シートの周縁および膨出部周縁を熱
融着することにより作成されている。このため、本体部
材13に歪みが生じることがなく好適である。ここで、
軟質材料としては、可撓性を有する樹脂シート(例え
ば、軟質ポリ塩化ビニルシート等)が好ましい。本体部
材13の上部には、袋状の可撓性樹脂シート内に硬質板
材(例えば、PP板)が設けられるとともに、吊り下げ
部を形成する穴26,27,28が設けられており、穴
26,27,28の周縁部分の可撓性樹脂シートは熱融
着されて、ハンガー部が形成されている。また、第2送
血管20の途中にはドリップチャンバー14が、さら
に、第1送血管21の途中にはドリップチャンバー15
が取り付けられている。このドリップチャンバー14,
15が取り付けられている部分の本体部材13は、部分
的に打ち抜かれており、その打ち抜かれた部分に各ドリ
ップチャンバー14,15が嵌め込まれている。ドリッ
プチャンバー14,15は、ほぼ円筒状を有しており、
ある程度の保形性を有する軟質樹脂(例えば、塩化ビニ
ル樹脂)により形成されている。
【0044】そして、ドリップチャンバー14の上方に
は、モニタリングポート16と軟質樹脂製第2送血管2
0が取り付けられている。モニタリングポート16は、
その端部にゴムキャップ等の封止部材が取り付けられ、
針を穿刺することにより外部と連通可能になっている。
また、ドリップチャンバー14の下端は、袋状の樹脂シ
ート内に収納された第2送血管20と接続されている。
また、第2送血管20は、ドリップチャンバー14の内
部に連通するとともに、袋状の樹脂シート内に収納され
ており、第2送血管20の端部は、袋状の樹脂シート内
より露出し、血液濾過器17の血液流出ポート4に接続
されている。また、ドリップチャンバー14と同様に、
ドリップチャンバー15の上方にも、モニタリングポー
ト18が取り付けられている。モニタリングポート18
は、その端部にゴムキャップ等の封止部材が取り付けら
れ、針を穿刺することにより外部と連通可能になってい
る。
【0045】さらに、ドリップチャンバー15の上端
は、2枚の樹脂シート間を通る第1送血管21と接続さ
れている。そして、ドリップチャンバー15の下端は、
袋状の樹脂シート内に収納された第1送血管21と連通
している。そして、この第1送血管21の端部は、袋状
の樹脂シート内より露出し、血液濾過器17の血液流入
口7に接続されている。ドリップチャンバー14の内部
容量としては、20ml程度が好ましく、また、ドリッ
プチャンバー15の内部容量としては、15ml程度が
好ましい。また、ドリップチャンバー14は、図4に示
すように、ドリップチャンバー15より大きいことが好
ましい。これは、ドリップチャンバー14は、循環中発
生した血栓などの体内への流入を防ぐため、メッシュを
組み込む場合があるため、また、循環中発生した気泡の
体内への流出を確実に防ぐため、ドリップチャンバー1
4はある程度の容積が必要となるからである。その程度
としてはドリップチャンバー15の内部容量の4/3程
度が好ましい。
【0046】また、本体部材13の中央には、前述のよ
うにして形成された一定容量に規制された血液成分貯留
部30が設けられている。そして、この血液成分貯留部
30の上部に設けられた濾液流入口には、濾液チューブ
である第1送液管29が、熱融着などにより液密に接続
されており、この第1送液管29の他端は、血液濾過器
17の濾液流出口11に接続されており、さらに、第1
送液管29には、流量調整部材33(例えば、ローラー
クレンメ)が取り付けられている。また、血液成分貯留
部30の下端には、濾液排出用チューブである第2送液
管35が取り付けられており、さらにこの第2送液管3
5には、流路開閉部材19(例えば、スライドクレン
メ)が取り付けられている。また、なお、血液成分貯留
部30はこのように本体部材に一体に形成することが、
作業準備などの点より好ましいが、別部材にて形成して
接続してもよい。血液濾過器17の他の濾液流出口12
は、密封部材34(例えば、ゴム栓)により密封されて
いる。血液成分貯留部30の内部容量としては、500
ml程度が好ましい。なお、第1送液管29には、流量
調整部材33の下流側にドリップチャンバー(図示せ
ず)を配設し、濾液の微量制御を行ってもよい。
【0047】そして、第1送血管21の途中には、ポン
プ用チューブ22が取り付けられており、さらに、第1
送血管21の端部には、動脈側シャントコネクター25
が、同様に第2送血管20の端部には、静脈側シャント
コネクター24が取り付けられており、さらにシャント
コネクター24,25は、接続チューブ23により接続
されている。また動脈側ドリップチャンバーの下方に血
液採取ポート31、静脈側ドリップチャンバーの下方に
血液採取ポート32が設けられている。
【0048】血液濾過器17としては、上述した中空糸
膜型人工透析器と同様に、ハウジングと、ハウジング内
に挿入された多数の液体処理用中空糸膜からなる中空糸
膜束と、中空糸膜束の両端部をハウジングの両端部に液
密に固定する血液流入側隔壁および血液流出側隔壁と、
ハウジングの一端部付近に設けられ、中空糸膜の外面と
ハウジングの内面と隔壁とにより形成される空間と連通
する血液成分流出口(血液濾過液流出口)と、ハウジン
グのそれぞれの端部に取り付けられた血液流入口および
血液流出口とを有する中空糸膜型血液処理器であって、
中空糸膜の端面を含む血液流入側隔壁の端面は、濡れ性
が低い第1の高分子材料により被覆されており、さら
に、中空糸膜の端面を含む血液流出側隔壁の端面は、第
1の高分子材料より濡れ性の高い第2の高分子材料によ
り被覆されている。
【0049】具体的には、再生セルロース(例えば、銅
アンモニアセルロース、酢酸セルロース)、ポリサルホ
ン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメ
タアクリレートなどの中空糸膜を用いた中空糸膜型血液
濾過器が好適に使用でき、膜面積としては、0.2〜
0.6m2程度が好ましい。またこの血液濾過器17と
しては75〜150ml/min程度の血流において、
100〜500ml/h程度の濾液を得ることができる
ものが好ましい。また、第1の高分子材料および第2の
高分子材料については、上述した実施例のものが好適で
あり、その他の濾過器の構成も上述した実施例と同様の
ものが好適である。
【0050】そして、上記の持続的血液濾過装置40内
には、生体に安全な液体、具体的には、生理的な浸透圧
(280〜300mOsm)を有するもの、例えば、生
理食塩水が充填され、血液濾過装置40の端部が密封さ
れていることが好ましい。このように、あらかじめ液体
を充填しておけば、使用時におけるプライミング作業の
必要がなく好ましい。そして、このように内部に液体が
充填された状態にて血液濾過装置40は滅菌される。滅
菌は、高圧蒸気滅菌または放射線滅菌が好適である。ま
た、滅菌前に、血液濾過装置40全体を袋に入れ密封し
てもよい。
【0051】そして、この血液処理装置では、濾過器の
血液流入側隔壁および血液流出側隔壁が高分子材料によ
り被覆されているため、使用時の血栓の発生、血栓など
による中空糸の閉塞が生じにくく、さらに、使用時に上
方となる血液流出側隔壁は、血液流入側隔壁に使用され
た第1の高分子材料より濡れ性の高い第2の高分子材料
により被覆されているため、表面に気泡が付着してもそ
の除去が容易であり、離脱した気泡は、ドリップチャン
バーによって捕捉される。さらに、使用前に内部に充填
されている生理食塩水を新鮮な生理食塩水との置換作業
を行うがこの際にも、血液流出側隔壁に付着した気泡の
除去作業が容易であり、使用前準備が容易であり、早急
な処置を要する患者に有効である。
【0052】また、本発明の血液成分分離装置として
は、血液成分分離器として、血漿分離器を用い、血液成
分貯留部内に血漿を貯留する構成としたものも考えられ
る。この血漿分離器としては、30〜80ml/min
程度の血漿量を得ることができるものが好ましい。その
他の構成は、図4に示した実施例と同様のものが使用で
きる。
【0053】このように、この血液処理装置では、各構
成部材が使用可能な状態に配置されているので、血液処
理に必要な構成部材がそれぞれ接続された形で集約され
ており、使用時に特別な接続作業の必要がなく、準備が
容易である。さらに、本体部材が軟質樹脂により形成さ
れているので、取り扱いが容易であるとともに、ベッド
サイドに吊り下げて置いてもあまり邪魔にならない。さ
らに、濾液貯留部は、一定容量に形成されているので、
患者に点滴などにより所定時間中に投与する液体量を、
この濾液貯留部の容量とほぼ同じものとすることによ
り、患者に投与する液体量と除水量をほぼ等しいものと
することができる。つまり、点滴の管理を行うのみでよ
く、特別な除水量の管理を行う必要がなく、除水の管理
が極めて容易である。よって、持続的血液濾過法、持続
的血液透析法といった持続的な血液処理にすぐに使用す
ることができる。
【0054】さらに、一部に血液成分貯留部を形成して
なる本体部材と、血液成分分離器、第1送血管、第2送
血管、第1送液管がそれぞれ使用時の状態で配置および
接続されているので、血液成分分離処理にすぐに使用す
ることができる。また、本発明の血液成分分離装置の本
体部材と、軟質合成樹脂の袋状シートにより構成し、該
袋状シートを部分的にシールすることにより、血液成分
貯留部を一体的に形成することにより、血液成分貯留部
を別部材として構成する必要がない。さらに、第1送血
管および/または第2送血管の大部分を、血液成分貯留
部以外の部分の袋状シート内に収納しているので、それ
ぞれの送血管を本体部材表面に固定、または支持する必
要がなく、使用時において送血管が邪魔にならないとと
もに、本体部材より外れる危険性も減少するので、安全
面において優れている。
【0055】(実施例3)本発明の血液処理装置の具体
的実施例を説明する。血液濾過器としては、実施例1の
血液透析器を使用した。本体部材は、軟質ポリ塩化ビニ
ルシートを重ね合わせ、部分的に熱融着することにより
袋状に作成し、本体部材の上部には、袋状の可撓性樹脂
シート内にPP板を収納し、吊り下げ用の穴を設けた。
本体部材の左側部分には、静脈側ドリップチャンバーお
よび動脈側ドリップチャンバー取り付け部を打ち抜きに
より作成した。動脈側ドリップチャンバー(容量15m
l)は、塩化ビニル樹脂により作成した円筒状のもの
で、上部にモニタリングポートを有するものを用い、動
脈側ドリップチャンバーの下端には、チューブが接続さ
れ、また上端には第1送血管(ポンプチューブを中間部
に有する)を取り付けたものを用いた。また、静脈側ド
リップチャンバー(容量20ml)は、塩化ビニル樹脂
によって作製した円筒状のもので、上部にモニタリング
ポートを有するものを用い、静脈側ドリップチャンバー
の下端には、第2送血管が接続され、また上端にはチュ
ーブを取り付けたものを用いた。
【0056】本体部材の中央には、樹脂シートを融着す
ることにより濾液貯留部(容量500ml、最大容量6
00ml)を形成し、この濾液貯留部の上部に設けられ
た濾液流入口に第1送液管を接続し、下端に設けられた
濾液流出口には第2送液管を接続した。そして、静脈側
ドリップチャンバーおよび動脈側ドリップチャンバー下
方にそれぞれ血液採取ポートを設け、各チューブを図4
に示すように配置した。そして、第1送液管にはローラ
クレンメを取り付け、第2送液管にはスライドクレンメ
を取り付けた。また、第2送血管と第1送血管は接続チ
ューブにより接続し、血液成分分離装置を作成し、内部
に生理食塩水を充填した後、高圧蒸気滅菌を行い本発明
の血液成分分離装置を作成した。
【0057】
【作用】本発明の中空糸膜型血液処理器の作用を、図1
の中空糸膜型人工透析器を用いて説明する。本発明の中
空糸膜型人工透析器は、体外循環回路中に取り付けら
れ、体外循環回路および透析器1内をプライミングした
後、中空糸膜型人工透析器1の血液流入口7より、人工
透析器1内に血液を流入する。流入された血液は、透析
用中空糸膜3の内面に接触し、また、透析液は、透析液
流入口11より、透析器1内に流入し中空糸膜3の外側
に接触する。このとき、血液中の過剰な水分、および尿
素窒素、尿酸、クレアチニンなどの老廃物が透析液に移
動し、また、血液中のK、Na、Cl、Pなどの電界質
濃度の調整が行われ、血液は、血液流出口8より流出す
る。そして、
【0058】また、本発明の血液成分分離装置の作用を
図5に示した実施例を用いて説明する。まず、血液成分
分離装置40の吊り下げ部26を用いて、ベッドサイド
に置いたスタンドに吊り下げる。高さとしては、患者の
高さより若干低い位置とする。そして、第1送血管21
のポンプチューブ22をローラポンプ(図示せず)に取
り付ける。続いて、患者に、先端に穿刺針を有する脱血
用カテーテルおよび送血用カテーテル(ともに図示せ
ず)を穿刺し、それぞれのカテーテルの途中を鉗子など
によりクランプする。次に、血液成分分離装置40の接
続チューブ23を取り外し、コネクタ25に脱血用カテ
ーテルを接続し、ローラポンプを作動させ、血液成分分
離装置40内に血液をゆっくり流入させる。流入した血
液により血液成分分離装置40内に充填されている液体
は、コネクタ24より流出し、血液成分分離装置40内
のほぼ全体の液体が血液に置換された後、送血用カテー
テルをコネクタ24に接続し、ローラポンプを設定流速
にて作動させる。そして、血液成分貯留部30の下部に
接続されている第2送液管35の流路開閉部材19は閉
塞状態に維持し、血液成分貯留部30の上部に接続され
ている第1送液管29に取り付けられている流量調整部
材33を適度に開放し、血液成分分離器17より濾液が
血液成分貯留部30に流入するようにする。
【0059】そして、この血液成分分離装置40では、
血液成分貯留部30は一定容量となっているので、容量
以上に患者より除水することがない。よって、例えば、
点滴により患者に所定時間中に投与する液体量を、この
血液成分貯留部30の容量とほぼ同じものとすることに
より、患者に投与する液体量と除水量をほぼ等しいもの
とすることができ、点滴の管理を行うのみでよく、特別
な除水量の管理を行う必要がない。こうして一定時間血
液成分分離処理を行った後に、患者に穿刺された脱血用
カテーテルを取り外し、該カテーテル内に生理食塩水を
導入して送血管内、血液成分分離器内を充填することに
より、返血処理を行う。
【0060】
【発明の効果】本発明の中空糸膜型血液処理器は、ハウ
ジングと、該ハウジング内に挿入された多数の液体処理
用中空糸膜からなる中空糸膜束と、該中空糸膜束の両端
部を前記ハウジングの両端部に液密に固定する血液流入
側隔壁および血液流出側隔壁と、前記ハウジングの両端
部付近にそれぞれ設けられ、前記中空糸膜の外面と前記
ハウジングの内面と隔壁とにより形成される空間に連通
する血液処理用流体流入口および血液処理用流体流出口
と、前記ハウジングのそれぞれの端部に取り付けられた
血液流入口および血液流出口とを有する中空糸膜型血液
処理器であって、前記血液流入側隔壁の端面は、第1の
高分子材料により被覆されており、さらに、前記血液流
出側隔壁の端面は、前記第1の高分子材料より濡れ性の
高い第2の高分子材料により被覆されている。
【0061】また、他の態様の本発明の中空糸膜型血液
処理器は、ハウジングと、該ハウジング内に挿入された
多数の液体処理用中空糸膜からなる中空糸膜束と、該中
空糸膜束の両端部を前記ハウジングの両端部に液密に固
定する血液流入側隔壁および血液流出側隔壁と、前記ハ
ウジングの一端部付近に設けられ、前記中空糸膜の外面
と前記ハウジングの内面と隔壁とにより形成される空間
に連通する血液濾過液流出口と、前記ハウジングのそれ
ぞれの端部に取り付けられた血液流入口および血液流出
口とを有する中空糸膜型血液処理器であって、前記血液
流入側隔壁の端面は、第1の高分子材料により被覆され
ており、さらに、前記血液流出側隔壁の端面は、前記第
1の高分子材料より濡れ性の高い第2の高分子材料によ
り被覆されている。
【0062】このため、血液流入側および血液流出側の
それぞれの隔壁面での血栓の発生が少なく、かつ、血液
流出側隔壁に付着した気泡の除去が容易に行え、使用前
の準備作業が容易である。また、使用時に血液流出側隔
壁に付着した気泡の除去も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の中空糸膜型血液処理器の一実
施例の部分断面正面図である。
【図2】図2は、本発明の中空糸膜型血液処理器の血液
流入側隔壁の拡大部分断面図である。
【図3】図3は、本発明の中空糸膜型血液処理器の血液
流出側隔壁の拡大部分断面図である。
【図4】図4は、本発明の血液処理装置の一実施例の概
略図である。
【符号の説明】
1 中空糸膜型人工透析器 2 ハウジング 3 中空糸膜 5 血液流入側隔壁 6 血液流出側隔壁 11 透析液流入口 12 透析液流出口 7 血液流入口 8 血液流出口 9 第1の高分子材料 10 第2の高分子材料 40 血液成分分離装置
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−277370(JP,A) 特開 平3−218771(JP,A) 特開 平1−170471(JP,A) 特開 昭61−13966(JP,A) 特開 昭58−175567(JP,A) 特開 昭52−20693(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングと、該ハウジング内に挿入さ
    れた多数の液体処理用中空糸膜からなる中空糸膜束と、
    該中空糸膜束の両端部を前記ハウジングの両端部に液密
    に固定する血液流入側隔壁および血液流出側隔壁と、前
    記ハウジングの両端部付近にそれぞれ設けられ、前記中
    空糸膜の外面と前記ハウジングの内面と隔壁とにより形
    成される空間に連通する血液処理用流体流入口および血
    液処理用流体流出口と、前記ハウジングのそれぞれの端
    部に取り付けられた血液流入口および血液流出口とを有
    する中空糸膜型血液処理器であって、前記血液流入側隔
    壁の端面は、第1の高分子材料により被覆されており、
    さらに、前記血液流出側隔壁の端面は、前記第1の高分
    子材料より濡れ性の高い第2の高分子材料により被覆さ
    れていることを特徴とする中空糸膜型血液処理器。
  2. 【請求項2】 ハウジングと、該ハウジング内に挿入さ
    れた多数の液体処理用中空糸膜からなる中空糸膜束と、
    該中空糸膜束の両端部を前記ハウジングの両端部に液密
    に固定する血液流入側隔壁および血液流出側隔壁と、前
    記ハウジングの一端部付近に設けられ、前記中空糸膜の
    外面と前記ハウジングの内面と隔壁とにより形成される
    空間に連通する血液濾過液流出口と、前記ハウジングの
    それぞれの端部に取り付けられた血液流入口および血液
    流出口とを有する中空糸膜型血液処理器であって、前記
    血液流入側隔壁の端面は、第1の高分子材料により被覆
    されており、さらに、前記血液流出側隔壁の端面は、前
    記第1の高分子材料より濡れ性の高い第2の高分子材料
    により被覆されていることを特徴とする中空糸膜型血液
    処理器。
  3. 【請求項3】 軟質合成樹脂からなる本体部材と、該本
    体部材に取り付けられた請求項1または2の中空糸膜型
    血液処理器と、該血液処理器の血液流入口に接続された
    第1送血管と、血液処理器の血液流出口に接続された第
    2送血管と、前記血液処理器の血液処理用流体流出口ま
    たは血液濾過液流出口に接続された送液管とを有する血
    液処理装置。
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