JPH0657154B2 - 所望のポリペプチドを発現させるためのクローニングビーイクル - Google Patents

所望のポリペプチドを発現させるためのクローニングビーイクル

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JPH0657154B2
JPH0657154B2 JP63173625A JP17362588A JPH0657154B2 JP H0657154 B2 JPH0657154 B2 JP H0657154B2 JP 63173625 A JP63173625 A JP 63173625A JP 17362588 A JP17362588 A JP 17362588A JP H0657154 B2 JPH0657154 B2 JP H0657154B2
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    • C07K2319/75Fusion polypeptide containing domain for protein-protein interaction containing a fusion for binding to a cell surface receptor containing a fusion for activation of a cell surface receptor, e.g. thrombopoeitin, NPY and other peptide hormones

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、細菌宿主の形質転換に適したプラスミッドを
包含する、哺乳動物ホルモン、例えばソマトスタチン
(somatostatin)およびその他のポリペプチドの発現を
暗号化(コード)している異種DNAを含有している組
換え型微生物クローニングビーイクルに関する(このプ
ラスミッドは、形質転換されていない状態における宿主
にとって同種(homologous)のレギュロンを異種DNA
の構造遺伝子の解読相内に含んでいる)。
本発明はまた、(a)ポリペプチドハプテンおよび発現さ
れた生成物に免疫原性を付与するに十分な大きさの付加
的タンパク質からなるタンパク質(これは分析のために
該ハプテンに対する抗体を産生させたり、ワクチン類を
製造するのに使用し得る)、および(b)所望の生成物を
開裂することができる、該所望のポリペプチド生成物と
付加的タンパク質からなるタンパク質などの、微生物に
よる発現を暗号化しているクローニングビーイクルに関
する。
遺伝情報は、DNAの暗号鎖がその繰返しのヌクレオチ
ド成分の特徴的は塩基をあらわす配列順序によって、二
本鎖デオキシリボ核酸に暗号化されている。ポリペプチ
ドを産生するための暗号化された情報の「発現」は、2
段階の過程からなる。即ち、遺伝子中の調節領域である
レギュロンの命令によって、RNAポリメラーゼが暗号
鎖に沿って移動し、メッセンジャーRNA(リボ核酸)
が産生される。この過程を転写という。続く「翻訳」過
程において、転移RNAと結合している細胞リボソーム
がメッセンジャーRNA(mRNA)のメッセージをポ
リペプチドに変換する。mRNAがDNAから転写した
情報には、該ポリペプチドを構成するアミノ酸の同定と
配列のための信号と共に、リボソーム翻訳の開始および
終止のための信号が含まれている。DNA暗号鎖は、ヌ
クレオチドの特徴的な塩基が特定の情報ビットを暗号づ
けるので「コドン」と称せられるヌクレオチド三連子の
長い連鎖からなっている。例えば、ATG(アデニン−
チミン−グアニン)と読まれる3個のヌクレオチドは、
mRNAには「翻訳はじめ」のシグナルとして解読さ
れ、終止コドンであるTAG、TAAおよびTGAは
「翻訳止め」と解読される。この開始コドンおよび終止
コドンの間には、いわゆる構造遺伝子が存在し、このコ
ドンは最終的には翻訳されるアミノ酸配列を決定する。
この決定は、既によく解明されている「遺伝暗号」に従
って行なわれる。これについては例えば、種々のアミノ
酸に対するコドンを記載したJ.D.WatsonのMolecula
r Biology of the Gene(W.A.Benjamin Inc.,N.Y.,
3rd ed.1976)参照。この遺伝暗号は、異なったコ
ドンが同じアミノ酸を産生すいという意味では「縮退」
であるが、個々のアミノ酸に対しては1個またはそれ以
上のコドンが存在し、それだけであるという意味におい
て正確である。従って、例えば、TTT、TTC、TT
AおよびTTGなどのコドンは全て、その様に読まれる
時はセリンを指定し、それ以外のアミノ酸を指定しな
い。転写の際には、適切な読みとり(解読)フェイズ
(相)即ち読み取り枠が保持されなければならない。こ
のことは、例えば ……GCTGGTTGTAAG… という配列において、RNAポリメラーゼ転写物質(tr
anscriber)が、コドン(下線部分)の始まりを異なっ
た塩基から読みはじめた場合(下式)を考えれば理解で
きる。
……GCT GGT TGT AAG… →Ala-Gly-Cys-Lys ……G CTG GTT GTA AG… →Leu-Val-Leu ……GC TGG TTG TAA A… →Trp-Leu-(stop) この様に、最終的に製造されるポリペプチドは、構造遺
伝子とレギュロンとの空間的関係に重大な影響を受け
る。
遺伝的発現の過程を、より良く理解させるために、遺伝
子の成分について以下に定義する。
オペロン ポリペピチド発現のための構造遺伝子および
この発現を調節する調節領域「レギュロン」からなる遺
伝子。
プロモーター 転写を開始するために、RNAポリメラ
ーゼが結合しなければならない上記レギュロン内にある
遺伝子。
オペレーター レプレッサータンパク質が結合すること
ができる遺伝子であり、この結合により、RNAポリメ
ラーゼがこのオペレーターに隣接するプロモーターと結
合するのが阻害される。
誘発物質 レプレッサータンパク質を不活性化する物質
であって、これによってオペレーターが遊離されるので
RNAポリメラーゼはプロモーターに結合することがで
き、転写が開始される。
異化代謝産物活性化ガンパク質(CAP)結合部位 C
APの仲介により、環状アデノシンモノ燐酸(c−AM
P)と結合する遺伝子であって、これもまた、通常は、
転写の開始に必要である。このCAP結合部位は、特殊
な場合には不要である。例えば、ファージλplacUV5
のラクトースオペロン(lac−オペロンと略す)にプロ
モーター突然変異が起こると、発現のためにc−AMP
およびCAPを必要としなくなる(J.Beckwith etal,
J.Mol.Biol.69,ISS−160(1972))。
プロモーターオペレーターシステム ここでは、CAP
結合部位を含むかどうかに関係なく、また、レプレッサ
ータンパク質の発現を暗号づけする能力を有するかどう
かにも関係なく、遺伝子操作することのできるオペロン
の調節領域をいう。
さらに、後記の組み換え型DNAについての議論に必要
な用語についても以下に定義する。
クローニングビーイクル 「形質転換(transformatio
n)」と呼ばれる過程により単細胞生物「マイクロー
ブ」中に入れた場合、複製可能な、“無傷(intact)”
の「レプリコン」を含有する非染色体性二本鎖DNA。
この様にして形成転換された生物を転換体(transforma
nt)という。
プラスミッド 本発明においては、ウイルスまたはバク
テリア由来のクローニングビーイクルであって、バクテ
リアの場合はバクテリア(細菌)プラスミッドという。
相補性 一本鎖DNAの塩基配列が持っている特性であ
って、それぞれの鎖上の相補的塩基間の水素結合によっ
て二本鎖DNAが形成されることを可能にしている性
質。アデニン(A)はチミン(T)と相補性があり、グアニン
(G)はシトシン(C)と相補性がある。
生化学の最近の進歩により、例えばプラスミッドに外来
性(exogenous)DNAを含ませた「組換え型」クロー
ニングビーイクルを組み立てる(構成する)ことが可能
となった。特殊な場合には、この組み換え体は「異質」
DNAを含んでいてもよい。異質DNAとは、組換え型
ビーイクルによって形質転換される生物によって通常は
産生されないポリペプチドを暗号化しているDNAを意
味する。例えば結合し得る末端を有する直線(線状)D
NAを得るためにプラスミッドを開裂する。これを結合
可能な末端を有する外来性遺伝子と結合させ、そのまま
のレプリコンと所望の発現型特性を持った、一つの生物
学的機能部分を得る。この組換え型部分を微生物に挿入
して形質転換し、この転換体を単離し、クローンし、新
しい遺伝情報を発現することのできる大きな集団を得
る。組換え型クローニングビーイクルを形成させ、これ
で微生物を形質転換する方法や手段は多くの文献に記載
されている。
本明細書で言及する文献などを参考までに以下に列挙す
る。
H.L.Heynecker et al,Nature263,748−75
2(1976);Cohen et al,Proc.Nat.Acad.Sci.U.
S.A.69,2110(1972);同70,129
3(1973);同70,3240(1973);同
,1030(1974);Morrow et al,Proc.Nat.Ac
ad.Sci.U.S.A.71,1743(1974);Nov
ick,Bacteriological Rev.33,210(1969);
Hershfield et al,Proc.Soc.Nat′l.Acad.Sci.U.S.
A.71,3455(1974)およびJackon et al,
69,2904(1972)。
DNAの組換えには、分離したDNAフラグメントの隣
接末端をなんらかの方法で修理し、結合させやすくする
ための種々の方法を利用することができる。この結合
(ligation)とは、隣接するヌクレオチド間に燐酸ジエ
ステル結合を形成させることを言い、最も普通には酵素
DNAリガーゼ(合成酵素)によって結合する。こ
の様にいて、平滑末端(blunt end)も直接結合させる
ことができる。あるいはまた、それらの隣接末端に相補
的一本鎖を含有するフラグメントを有する場合、それぞ
れの末端をその後の結合のために位置づける水素結合に
よって、結合は有利に行なわれる。粘着末端(または相
補末端)と呼ばれるこの様な一本鎖は、末端転移酵素を
用いて平滑末端にヌクレオチドを付加することによって
形成してもよく、場合により平滑末端の一方の鎖をλ−
エクソヌクレアーゼの如き酵素を用いて単に破壊するこ
とによって形成してもよい。また、むしろ最も普通に
は、長さが約4ないし6の塩基ペアの特定のヌクレオチ
ド配列の内部および周囲の燐酸ジエステル結合を開裂す
る制限エンドヌクレアーゼ(restrictionendonuclease
s)によってもよい。多くの制限エンドヌクレアーゼお
よびそれらの認識部位が知られており、いわゆるEco RI
エンドヌクレアーゼが最も広く使用されている。二本鎖
DNAを、回転対象の回文「回帰点」(palindromes)
で開裂させる制限エンドヌクレアーゼは、粘着末端を残
す。従って、プラスミッドまた他のクローニングビーイ
クルを開裂してそれぞれが半分の制限エンドヌクレアー
ゼ認識部位からなる末端を残す様にすることが出来る。
同じ制限エンドヌクレアーゼによって得た外来性DNA
の開裂生成物は、そのプラスミッド末端のそれらと相補
性の末端を有することになろう。あるいはまた、後記す
る様に、粘着末端を含有する合成DNAを、この開裂し
たビーイクルに挿入することができる。外来性DNAを
挿入するまで、ビーイクルの粘着末端が再結合するのを
阻止するために、この末端をアルカリ性ホスファターゼ
で消化(digest)してもよく、この結果、外来性フラグ
メントの混入を締結させるための分子選択が行なわれ
る。ビーイクルの他の方向に関して適切な方向性を有す
るフラグメントの挿入は、このフラグメントが、2個の
異なった制限エンドヌクレアーゼによって除去されたビ
ーイクルDNAにとってかわり、それ自身が、それぞ
れ、その異なったエンドヌクレアーゼの認識配列の半分
を構成いている末端からなる場合には、増強され得る。
組換え型DANに関して、最近、広範囲に研究されてい
るが、ただちに、そして実際に応用し得る成果はほとん
ど得られていない。このことは常套の手段によって、ヌ
クレオチドを1つづつ組み立てたものであれ、単離した
「mRNA」から逆転写によって得たもの(相補的、c
DNA)であれ、「合成DNA」によって暗号化された
ポリペプチドなどを発現する試みに失敗しているという
点において特にそうである。
本明細書では、合成遺伝子からの、機能を有するポリペ
プチド生成物の最初の発現の例であると思われるものに
ついて、および広範囲の応用を約束する関連の新事実に
ついて記載する。この生成物とは、生長ホルモン分泌阻
害剤であるソマトスタチン(GuilleminU.S.P.
3,904,594)、インシュリンおよびグルカゴン
であり、その成果は先端疼痛、先端巨大症、急性膵炎お
よびインシュリン依存糖尿病の治療への応用を示唆して
いる(R.Guillemin et al,Annual Rev.Med.27,3
79(1976)参照)。
添付の図面および以下に詳述する記載から明らかな様
に、ここに述べるソマトスタチンモデルは、ここに記載
された新事実が多くの有益な面に応用され得ることを示
している。
図面についての説明 添付の図面は、本発明の好ましい実施形式、即ち、組換
え型プラスミッドを含有するバクテリア形質転換体によ
る、ソマトスタチンホルモンおよびヒトインシュリンの
発現に利用される1つの脈絡を例示したものである。
第1図 方法の概要模式図。化学的なDNA合成によっ
て調節したソマトスタチンのための遺伝子を、プラスミ
ッドpBR322上の大腸菌(E.coli)βーガラクト
シダーゼ遺伝子と融合させる。大腸菌への形質転換の
後、この組換え型プラスミッドは、インビトロにおいて
臭化シアンによりメチオニン残基を選択的に開裂するこ
とができ、かくして活性な哺乳動物のポリペプチドホル
モンを生成させることができるタンパク質前駆体の合成
を指示する。A、T、CおよびGは、ソマトスタチン遺
伝子の暗号鎖中のデオキシリボヌクレオチドの特有の塩
基を表わす(それぞれAはアデニン、Tはチミン、Cは
シトシン、Gはグアニンを表わす)。
第2図 構造遺伝子の模式的構造。その暗号鎖(即ち上
方の鎖)は、ソマトスタチンのアミノ酸配列のためのコ
ドンからなる(図に示されている)。
第3図 構造遺伝子を組み立てるのに使用するヌクレオ
チドトリマーの好ましい調製方法を模式的に示したも
の。第3図において、ヌクレオチドを描写するのに通常
の表示法を用い、下記に示す様に5′OHは左側に、
3′OHは右側に描いた。
第4図 親プラスミッドとしてpBR322を用い、ソ
マトスタチン(図中SOMで表わす)含有タンパク質を
発現し得る組換え型プラスミッド(例えばpSOM11
−3)を調製するためのフローチャート。第4図におい
て、各プラスミッドの近似的分子量をドルトン(d)で表
わした。ApγおよびTcγはそれぞれアンピシリンお
よびテトラサイクリン耐性のための遺伝子を表し、Tc
は、Tcγ遺伝子の一部分を切り取った事に由来する
テトラサイクリン感受性を表わす。プラスミッド上の開
裂部位に特異的な種々の制限エンドヌクレアーゼの相対
的な位置を図に示した(例えば、Eco RI BamHIなど)。
第5図AおよびB 2個のプラスミッドの主要な箇所の
ヌクレオチド配列を示した。また、メッセンジャーRN
A(mRNA)転写の方向も示してある。この転写は必
ず暗号鎖の5′末端から開示される。制限エンドヌクレ
アーゼ基質部位も示されている。描写してある配列は、
それぞれlac(ラクトース)−オペロンの調節要素およ
びソマトスタチンのアミノ酸配列(イタリック)を発現
するためのコドンの両者を含有している。βーガラクト
シダーゼ(以降、βーgalという)のためのアミノ酸配
列番号は角かっこに示してある。
第6図〜第8図 後述すう実験の部で詳細に記載する
が、これらの図は、放射免疫分析の比較実験の結果を示
しており、組換え型プラスミッドによって発現された生
成物のソマトスタチン活性を示している。
第9図 その暗号鎖がヒトインシュリンのA鎖およびB
鎖のアミノ酸配列のためのコドンからなる合成遺伝子の
模式構造。
第10図 ヒトインシュリンのB鎖を発現することので
きる組換え型プラスミッドを組み立てるためのフローチ
ャート。
詳細な説明 1.異種ポリペプチドを暗号化している遺伝子の調製 アミノ酸配列が知られているポリペプチドを暗号化して
いるDNAは、「遺伝暗号」に従ってコドンを選択すこ
とによって調製することができる。精製などを容易にす
るために、例えば約11ないし約16個のヌクレオチド
からなるオリゴデオキシリボヌクレオチドフラグメント
を別々に調製し、次いでこれらを所望の配列に組み立て
る。即ち、好都合な大きさの第1組および第2組のオリ
ゴデオキシリボヌクレオチドフラグメントを調製する。
この第1組は、適切な配列で結合させると、ポリペプチ
ド発現のためのDNA暗号鎖となる(例えば第2図のフ
ラグメントA、B、CおよびD参照)。第2組は、同様
に適切な順序で結合させると、暗号鎖と相補性のある鎖
となる(例えば第2図のフラグメントE、F、Gおよび
H参照)。それぞれの鎖のフラグメントは、相補性によ
って、フラグメントブロックの粘着末端(相補末端)が
水素結合することにより、自動的に集合する様に、好都
合に重なり合う。集合に続いて、通常の方法で結紮(結
合、ligation)することにより、この構造遺伝子が完成
する。
あるアミノ酸配列に対するコドンの選択に際しては、遺
伝暗号の縮退によって、かなりの自由度が許される。し
かし、本発明の目的に沿うには、コドンの選択は以下の
3つの条件に従って決定するのが好都合であった。先ず
第1は、所望の遺伝子中で互いに隣接するフラグメント
を除いては、フラグメントどうしの不適当な相補正を裂
ける様にコドンおよびフラグメントを選択し、フラグメ
ント集合を行なった。第2は、転写が早まって終結しな
い様に、AT塩基ペアに富む(例えば約5またはそれ以
上)配列を避けることであり、GC塩基ペアに富んだ配
列が先に存在する場合には特にそうである。第3は、少
なくとも選ばれた大部分のコドンが微生物ゲノムの発現
に好ましいものであること(例えばW.Fiers,et al,Na
ture260500(1976)参照)である。本発明に
おいて、微生物ゲノムを発現するのに好適なコドンを以
下に定義する。
ソマトスタチンの場合の最も好ましいアミノ酸(コド
ン)と構造遺伝子の関係は以下の通りである。
gly(GGT)、cys(TGT)、lys(AAG)、trp
(TGG)、ala(GCT、GCG)、asn(AAT、A
AC)、phe(TTC,TTT)、thr(ACT,AC
G)、ser(TCC、TCG) 所望のポリペプチドの構造遺伝子をそのまま、発現のた
めにクローニングビーイクルに挿入する場合は、この遺
伝子の前には開始コドン(例えばATG)を置き、直後
に1またはそれ以上の終結、即ち終止コドンを置く(第
2図参照)。しかし、後述する様に、特定のポリペプチ
ドのアミノ酸配列は、先行する、そして/または後続す
る付加的なタンパク質と共に発現してもよい。このポリ
ペプチドの使用目的からして、この付加的タンパク質を
切断する必要がある場合には、隣接したポリペプチド−
付加的タンパク質コドンの接合点に適当な開裂部位を暗
号づける。即ち、例えば第1図に於いては、発現産物は
ソマトスタチンおよびβ−ガラクトシダーゼポリペプチ
ドの大部分の両者からなるタンパク質前駆体である。こ
の場合、翻訳を開始するためにATGを暗号化する必要
はない。何故なら、リボソームによる付加的なβーgal
タンパク質の解読が、ソマトスタチン構造遺伝子にまで
通読されていくからである。しかし、臭化シアンによっ
て特異的に開裂されるアミノ酸であるメチオニンを調製
する暗号を与えるATG信号を挿入すると、タンパク質
前駆体を所望のポリペプチドに簡単に変換することがで
きる様になる。
第2図はまた、組換えに使用する異種DNAにとって好
ましいもう1つの特徴、即ち、好都合に、制限エンドヌ
クレアーゼ認識部位の2本鎖の片方からなる粘着末端が
存在していることを示している。既述した理由により、
この両端末は、組換えに際してそれぞれ異なった認識部
位を形成する様にデザインするのが好ましい。
ここに述べる新事実はソマトスタチンモデルを用いて好
適に例示されるが、実際にアミノ酸配列が既知であれ
ば、どの様なものであっても、それに対する異種DNA
暗号を、必要な変更を加えて、使用することができるこ
とは容易に理解されるはずである。例えば、既に記述し
た、および以下に記載する技術は、必要な変更を加える
ことによって、ポリロイシンおよびポリアラニンの如き
ポリ(アミノ)酸類、酵素類、血清タンパク質、痛みの
閾値をかえるβ−エンドルフィン(β−endorphins)の
如き鎮痛性ポリペプチドなどの製造に利用することがで
きる。最も好ましくは、この様にして製造されるポリペ
プチド類は哺乳動物のホルモン類またはその中間体であ
ろう。この様なホルモン類としては、例えばソマトスタ
チン、ヒトインシュリン、ヒトおよび牛の成長ホルモ
ン、間質細胞刺激ホルモン、ACTH、膵臓ポリペプチ
ドなどが含まれる。中間体としては、例えばヒトプレプ
ロインシュリン、ヒトプロインシュリン、ヒトインシュ
リンのA鎖およびB鎖などである。異種DNAとして
は、インビトロで調製されるDNAの外にmRNAから
の逆転写によって得られるcDNAも包含されてよい
(例えばUllrich et al.Science1961313(19
77)参照)。
2.タンパク質前駆体の発現を暗号化している組換え体 第1図に於いて模式的に描かれた過程では、発現によっ
て、特異な異種構造遺伝子によって暗号づけられたポリ
ペプチド(ソマトスタチン)と付加的なタンパク質(β
−ガラクトシダーゼ酵素のタンパク質からなる)の両者
からなるタンパク質前駆体が産生される。次いでソマト
スタチンアミノ産配列に隣接する選択的な開裂部位によ
って、所望のポリペプチドを不必要(余分)なタンパク
質から分離することができる。例示したケースは、ここ
に記載する技術によって使用することのできる種々の方
法の代表的なものである。
大抵の場合、開裂はプラスミッドまたは他のビーイクル
の複製環境の外で、例えば微生物培養体の収穫の後で行
なう。この様にすれば、小さなポリペプチドと不要なタ
ンパク質との一時的な接合により、例えばインビボにお
いて固有の酵素によってこの小さなポリペプチドが分解
されるのを防ぐことができる。同時に、この付加的なタ
ンパク質は通常、細胞外で開裂するまでこの所望のポリ
ペプチドの生物活性を失効させるので、操作中の生物学
的安全性を増す効果がある。勿論、特殊な場合には細胞
内で開裂させるのが望ましい場合もある。例えば、前駆
体の発現を暗号化しているDNAと直列的に処理して、
インシュリン前駆体を活性形にかえる酵素を暗号づけし
たDNAをクローニングビーイクルに付与することもで
きる。
好ましいのは、目的とする特定のポリペプチドが不要の
タンパク質を脱離するのに用いる開裂部位に相当する開
裂部位を分子内に含有していないことである(勿論、こ
の条件が満たされていなくとも、競合反応によって、低
収率であるとはいえ、その所望の生成物が得られること
は理解されるであろう)。目的生成物がメチオニンを含
んでいない場合、所望の配列に隣接するメチオニンのと
ころで臭化シアンを用いて開裂するのが非常に効果的で
あるということがわかった。同様に、生成物がアルギニ
ンおよびリシンを含まない場合は、例えばトリプシンま
たはキモトリプシンを用い、所望の配列に隣接するarg-
arg、lys-lysなどの開裂部位を酵素的に開裂させること
ができる。開裂によって、例えば不要のアルギニンが付
着した目的生成物が得られた場合には、このアルギニン
はカルボキシペプチダーゼによる消化によって除去する
ことができる。arg-argを開裂するのにトリプシンを用
いる場合は、目的とするポリペプチド中のリシン部位は
無水マレイン酸または無水シトラコン酸などによって、
あらかじめ保護することができる。例示的にここに述べ
た開裂技術は多くの変法の代表的なものに過ぎないこと
は、本明細書に照らした当業者には容易に理解されるで
あろう。
開裂され得るタンパク質は、特定のポリペプチドのC−
末端またはN−末端のいずれかに隣接して発現されても
よく、あるいは、プロインシュリンとインシュリンを区
別する封入配列(includedsequence)の場合の様に、ポ
リペプチド自身の内部に発現されてもよい。また、使用
するビーイクルは、目的とするポリペプチドの繰り返し
の配列からなり、それぞれのペプチドが特異な開裂部位
で隔てられている様なタンパク質を発現する様に暗号づ
けされていてもよい。しかし、図に例示した場合の様
に、目的生成物の構造遺伝子の前に、不要のタンパク質
のためのコドンが翻訳されるのが最も好ましい。いずれ
の場合においても、レギュロンに対して適切な読取り枠
(解読枠)を維持する様に注意しなければならない。
3.免疫原性物質(Immunogens)の発現 特定のポリペプチドおよび不要のタンパク質の両者を発
現し得るということは、免疫原性物質を調製する有力な
手段となり得る。ポリペプチド「ハプテン」(付着体、
即ち、抗体などと特異的に結合する決定子を以ている
が、通常は免疫反応を示すには小さ過ぎる物質)は、免
疫原性能を付与するに十分は大きさの付加的タンパク質
との接合体として発現することができる。事実、一例と
してここで調製したβ−gal−ソマトスタチン接合体は
免疫原性能を有する大きさであり、ソマトスタチンハプ
テンと結合する抗体を産生するものと期待し得る。10
0個以上のアミノ酸、最も普通には200個以上のアミ
ノ酸からなるタンパク質は免疫原性能を有する。
前記した方法で調製された接合体は、ハンプテンの放射
免疫分析(radioimmune assay)または他の分析に、あ
るいはまたワクチンの製造に有用な抗体を産生する。以
下に後者の応用例について述べる。臭化シアンまたはウ
イルスの外殻タンパク質の他の開裂物質により、そのタ
ンパク質自体に対して産生された抗体に結合するオリゴ
ペプチドが産生する。このようなオリゴペプチドハプテ
ンのアミノ酸配列がわかれば、そのための異種DNAを
免疫原性能を付与する付加的タンパク質との接合体とし
て発現させることができる。この様な接合体をワクチン
として使用すれば、免疫をつけるために外殻タンパク質
自体を使用する場合に併発する副作用を減少することが
できると期待される。
4.調節要素 第1図は、形質転換生物が、その形質転換されていない
状態の生物にとって同種(homologous)のレギュロンの
コントロール下で挿入された異種DNAからポリペプチ
ド生成物を発現する過程を表わしている。即ち、ラクト
ース依存性大腸菌の染色体DNAは、なかんずく、酵素
β−ガラクトシダーゼをつくり上げることにより、ラク
トース消化を行なうラクトースオペロン、即ちlac−オ
ペロンを含んでいる。例示したこの例では、このlac−
調節要素は、大腸菌に感染するバクテリアファ−ジλpl
ac5から得られる。一方、このファージのlac−オペロ
ンは、同じ細菌種からの形質導入(transduction)によ
って誘導されたものであり、従って「相同」(homolog
y)である。記載した方法において好適に使用される同
種レギュロンは、また、その生物由来のプラスミッドD
NAから誘導されてもよい。
このlac−プロモーター−オペレーターシルテムは、簡
便であり効率がよいので、前述の系に用いるのが望まし
い。このシステムはまた、その機能(能力)がIPTG
(イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシダーゼ)によ
って誘発(induce)される点からも望ましい。勿論、そ
の他のオペロンまたはその一部、例えばラムダ(lambd
a)プロモーター−オペレーター、アラビノースオペロ
ン[ファイ80ダラ(phi 80dara)]またはコリシ
ン(colicine)El、ガラクトース、アルカリ性ホスフ
ァターゼあるいはトリプトファンのオペロなども使用す
ることができる。トリプトファンオペロン(trypオペロ
ン)由来のプロモーター−オペレーターは誘発(induct
ion)(インドールアクリル酸による)および収穫まで
100%抑制すると期待される。
5.プラスミッド組み立て全般について 第4図に模式的に示した処置法の詳細については実験の
部で述べる。ここでは、好ましい実施形式の組換え型プ
ラスミッドを組み立てるために用いられる種々の技法に
ついて簡単に述べておく。
合成ソマトスタチン遺伝子のクローニングおよび発現に
は、2個のプラスミッドを使用した。それぞれのプラス
ミッドは、β−ガラクトシダーゼ構造遺伝子領域の異な
った領域にEcoRI基質部位を有する(第4図および第
5図参照)これらのプラスミッドのEcoRI部位に、合
成ソマトスタチンDNAフラグメントを挿入すると、la
c−オペロン調節要素のコントロール下で、そのフラグ
メント中の遺伝情報が発現される。ソマトスタチンフラ
グメントをこれらのプラスミッドに挿入すうと、翻訳に
よって、10個のアミノ酸)pSOM1)または実質上
全β−ガラクトシダーゼサブユニット構造(pSOM1
1−3)のいずれかに先導されたソマトスタチンポリペ
プチドが得られる。
このプラスミッド組み立て設計は、良く性質が解明され
ているクローニングビーイクルであるプラスミッドpB
R322を用いて開始する。プラスミッドにlac−要素
を導入するには、lac−プロモーター、CAP(環状A
MP受容タンバク質)総合部位、オペレーター、リボソ
ーム結合部位およびβ−ガラクトシダーゼ構造遺伝子の
最初の7個のアミノ酸コドンを備えているHaeIII制限エ
ンドヌクレアーゼフラグメント(203ヌクレタチド)
を挿入することにより行なったこのHaeIIIフラグメント
はλ−plac5DNAから得た。この末端がTDNAポ
リメラーゼおよびデオキシリボヌクレオチド3燐酸で修
復されたEcoRI−開裂pBR322プラスミッドを、
このHaeIIIフラグメントと平滑末端結紮し、挿入点にEc
oRI末端を生成させた。これらHaeIIIおよび修復EcoR
I末端の結合によって、それぞれの末端にEcoRI制限
部位が形成される(第4図および第5図参照)。このD
NAを持ったE.coliRRIの形質転換体は5−ブロモ
−4−クロロ−インコリルガラクトシド(X−gal)培
地上、テトラサイクリン(Tc)およびアンピシリン(A
p)に対する耐性によって選択した。この指示培地上に
おいて、レプレッサーと結合する(titrating)lac−オ
ペレーターの数が増加したことによって、β−ガラクト
シダーゼを構成的に合成することのできるコロニーは、
それが青色になることで同定される。HaeIIIフラグメン
トは、2つの方向づけが可能であるが、これらは、フラ
グンメント中のHha制限部位が非対象に存在することに
よって区別される。プラスミッドpBH10をさらに修
正して、lac−オペレーターの遠位部のEcoRIエンドヌ
クレアーゼ部位を除去した(pBH20)。
8個の化学的に合成したオリゴデオキシリボヌクレオチ
ド(第2図)の5′末端を[32P]−γ−ATPを用
いてポリヌクレオチドキナーゼでラベルし、TDNA
リガーゼにより結合させる。重なり合うフラグメント間
の水素結合により、ソマトスタチン遺伝子は自動的に集
合し、最終的には、粘着制限部位末端によって重合し、
より大きな分子となる。この結合した生成物をEcoRI
およびBamHI制限エンドヌクレアーゼで処理し、第2図
に示した様なソマトスタチン遺伝子を生成させる。
EcoRIおよびBamHI末端を有するこの合成ソマトスタ
チン遺伝子フラグメントを、あらかじめEcoRIおよびB
amHI制限エンドヌクレアーゼならびにアルカリ性ホス
ファターゼで処理したpBH20プラスミッドと結合さ
せる。この様にアルカリ性ホスファターゼで処理する
と、挿入されたフラグメントを備えているプラスミッド
のための分子選択が行なわれることになる。こうして得
られた、この結合DNAを有するアンビシリン耐性の形
質転換体をテトラサイクリン感受性についてスクリーニ
ングし、あるものについては適切な大きさのEcoRI−B
amHIフラグメントが挿入されているかどうかについて
試験した。
2個のクローン(分枝系)からEcoRI−BamHIフラグ
メントの両方の鎖を、BamHIおよびEcoRI部位から開
始するヌクレオチド配列分析により分析した。この配列
分析をlac−調節要素にまで延長した。その結果、lac−
フラグメント配列はそのままであった。そして1つのケ
ース、pSOM1も場合は、両鎖のヌクレオチド配列は
別々に決定されたが、それぞれ第5図Aに示した配列を
示した。
lac−調節要素を有するpSOM1プラスミッドのEcoR
I−Pstフラグメントを除去し、pBR322のEcoRI
−Pstフラグメントで置き換え、プラスミッドpSOM
11を調製した。lac−オペロン調節領域および大部分
のβ−ガラクトシダーゼ構造遺伝子を備えたλ−plac5
のEcoRIフラグメントを、pSOM11のEcoRI部位
に挿入した。λ−plac5のEcoRI lac−フラグメント
には2つの方向性が考えられる。この2つの方向性の一
方はソマトスタチン遺伝子にまで適切な読み取り枠を維
持するがもう一方はそうではない。別々に単離したクロ
ーンをソマトスタチン活性を有するかどうかについて分
析し、適切な方向性を有する遺伝子を含有しているクロ
ーンを同定した。それはpSOM11−3と認定したク
ローンであった。
6.微生物について 形質転換を行なうための候補になり得るものとしては種
々の単細胞微生物、例えが細菌類、真菌類および藻類な
どを挙げられる。即ち、培養または発酵によって増殖し
得る単細胞生物である。細菌類は、大抵の場合、最も処
理し易い生物である。形質転換されやすい細菌類は、腸
内細菌群(Enterobacteriaceae)、例えば大腸菌(Esch
erichiacoli)株およびサルモネラ(Salmonella)株、
バチルス科(Bacillaceae)のもの、例えば枯草菌(Bac
illus subtilis)、肺炎球菌(Pneumococcus)、連鎖球
菌(Streptococcus)およびインフルエンザ菌(Haemoph
ilus influenzae)などである。
以下に述べるソマトスタチン実験において選択した微生
物は、遺伝子型がPro-Leu-Thi-RB -MB rcAStrrL
acy-の大腸菌RRI(E.coli.strainRRI)であっ
た。E.coliRRIは、高頻度組換型供与菌(Hfr dobn
or)としてのE.coliK12株KL16と交配させるこ
とにより、E.coliHB101(H.W.Boyer et al,
J.Mol.Biol.(1969)41459〜472)から得
られる。これについてはJ.H.Milley,Experiments i
n Molecular Genetics(Cold Spring Harbor,NewYork,
1972)参照。
E.coliRRIおよびE.coliRRI(pBR322)
両者の培養菌はAmerican Type Culture Collection(A
TCC)に寄託された。これらの菌株はそれぞれATC
C番号31343および31344の番号で入手可能で
ある。ソマトスタチン産生菌、E.coliRRI(pSO
M11−3)もまた、寄託された(ATCC番号;31
447)。
ヒトインシュリンについては、AおよびB鎖遺伝子は、
E.coliK12株294(endA(エンドヌクレアー
ゼ)、thi-、hsr-、hsmK +)[ATCC番号;3144
6]でクローン(clone)した。そしてこの微生物をA
鎖で発現に用いた(E.coliK12株294[PIA
1][ATCC番号;31448])。ヒトインシュリ
ンのB鎖は、先ずHB101の誘導体、即ちE.coliK
12D1210lac+(iQo+Zty+)中で発現された。このB
遺伝子含有生物E.coliK12株D1210(pIB
1)も同様に寄託された(ATCC番号;3144
9)。あるいはまた、B遺伝子は、最初に述べた生物、
即ち株294に挿入し、それから発現してもよい。
またこれらのE.coli菌株は茨城県筑波群谷田部町東1
丁目1番3号に住所を有する工業技術院微生物工業技術
研究所に寄託されている。それぞれの菌株の受託番号は
以下の通りである。
実験 I.ソマチスタチン 1.ソマチスタチン遺伝子フラグメントの構成 第2図で示した、それぞれA〜Hと名付けた8つのオリ
ゴデオキシリボヌクレオチドを主としてケイ・イタクラ
(K.Itakura)らの、ザ・ジャーナル・オブ・ジ・ア
メリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.So
c)第97巻、7327頁(1975年)の改良トリエ
スル法によってまず構成した。しかしながら、フラグメ
ントC、EおよびHの場合は、より長いオリゴデオキシ
リボヌクレオチドを組立てる基本単位として、完全に保
護されたトリマーをまず製造することからなる改良技術
にたよらなければならなかった。この改良技術の概略を
示した第3図において、BはチミンN−ベンソイル化ア
デニン、N−ベンゾイル化シトシンまたはN−イソブチ
ル化グアニンである。要するに、第3図に示す様に、強
力な結合剤、即ち2,4,6−トリイソプロピルベンゼ
ンスルホニルテトラゾリド(TPSTe、4ミリモル;
2)の存在下で過剰のI(2ミリモル)とII(1ミリモ
ル)とのカップリング反応を60分間で殆ど完了させ
た。5′−保護基を2%ベンゼンスルホン酸溶液を用い
て除去した後、5′−水酸基ダイマーVは、CHCl
中NaHCO水溶液で溶媒抽出することにより過剰の
3′−燐酸ジエステルモノマーIVから簡単に分離するこ
とができた。次いで、完全に保護されたトリマーブロッ
クを5′−水酸基ダイマーV、I(2ミリモル)および
TPSTe(4ミリモル)から製造し、シリカゲルを用
いたクロマトグラフィーにより単離した(ビイ・テイ・
フント(B.T.Hunt)ら、ケミストリィ・アンド・イ
ンダストリィ(Chem.and Ind.)1967巻、1868
頁(1967年))。この改良技術で製造したトリマー
の収率を第II表に示す。
すべての保護基を除去した後、8つのオリゴデオキシリ
ボヌクレオチドをパーマフェース(Permaphase)AAX
を用いた高圧液体クトマトグラフィーで精製した[アー
ル・エイ・ヘンリィ(R.A.Henry)ら、J.Chrom.S
ci.第II巻、358頁(1973年)]。各オリゴマー
の純度は、ポリヌクレオリドキナーゼの存在下、オリゴ
マーを[γ−32P]−ATPで標識した後、薄層DE
AE−セルロースを用いたホモクロマトグラフィーおよ
び20%アクリルアミドスラブ中での電気泳動でチェッ
クした。一つの主要な標識生成体が各DNAフラグメン
トから得られた。
2.オマトスタチンDNAの結合(ligation)およびア
ルクルアミドゲル分析 化学的に合成したフラグメントA〜Hの5′OH末端
を、Tポリヌクレオチドキナーゼで別々に加燐酸化し
た。反応生成体をオートラジオグラフィーで追跡できる
ように加燐酸化反応に[32P]−γ−ATPを用いた
が、オートラジオグラフィーに頼らず、標識していない
ATPを用いることもできることは容易に理解されるは
ずである。キナーゼ反応の直前に、[γ−32P]AT
P25μCi(約1500Ci/ミリモル)[マキサム
(Maxam)およびギルバート(Gilbert)、プロシーディ
ングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミィ・オブ・サ
イエンシズ・オブ・ザ・ユーナイテッド・ステイツ・オ
ブ・アメリカ(Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.)第7
4巻、1507頁(1977年)]を0.5mlのエッペ
ンドルフ(Eppendorf)チューブ中で蒸発乾固いた。フ
ラグメント5μgをTDNAキナーゼ(ヒドロキシル
アパタイト(水酸燐灰石)画分、2500単位/m)
2単位と、全量150μのpH7.6のトリス塩酸70
ミリモル、MgCl210ミリモル、ジチオトレイット5ミ
リモル中で20分間37℃でインキュベートした。結合
の目的に使用するこのフラグメントを、可能な限り確実
に加燐酸化するために、pH7.6のトリス塩酸70ミリ
モル、MgCl210ミリモル、ジチオトレイット5ミリモ
ルATP0.5ミリモルおよびDNAキナーゼ2単位か
らなる混合物10μを加え、更に7℃で20分間イン
キュベートを続けた。このフラグメント(250μg/
μ)を、それ以上処理しないで、−20℃で保存し
た。キナーゼ反応を行ったフラグメントA、B、Eおよ
びF(各1.25μg)全量50μのpH7.6のトリ
ス塩酸20ミリモル、MgCl210ミリモル、ジチオトレ
イット10ミリモルATP0.5ミリモルおよびT
NAリガーゼ(ヒドロキシルアパタイト画分、400単
位/m;27)中で、4℃で16時間結合させた。フ
ラグメントC、D、GおよびHも同様の条件下で結合さ
せた。サンプル2μをとり、10%ポリアクリルアミ
ドゲルで電気泳動し、次いでオートラジオグラフィーで
分析した[エッチ・エル・ハイネカー(H.L.Heynek
er)ら、ネイチャー(Nature)第263巻、748頁
(1976年)]。未反応のDNAフラグネントは早い
泳動物質として現われ、結合したフラグメントのモノマ
ー体は、ブロムフェノールブルー染料(BPB)と共に
泳動する。結合したフラグメントA、B、EおよびF並
びに結合したフラグメントC、D、GおよびHの粘着末
端によって、いくらか二量化が起こる。これらの二量化
体(ダイマー)は最も遅い泳動物質となって現われ、制
限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびBamHIによってそ
れぞれ開裂され得る。
この二つの半分の分子(結合したA+B+E+Fおよび
結合したC+D+G+H)を、4℃で16時間、150
μの最終容量で行う追加の結合過程によって結合させ
た。1μを分析用に採取した。TDNAリガーゼを
不活性化するために反応混合物を65℃で15分間加熱
した。この加熱処理は、DNA混合物の泳動パターンに
影響を与えない。十分な量の制限エンドヌクレアーゼBa
mHIを反応混合物に加え、30分間で37℃でソマトス
タチンDNAの多量体(マルチマー形)を開裂させた。
NaCl100ミリモルを加えた後、このDNAをEcoRI
エンドヌクレアーゼで消化した。この制限エンドヌクレ
アーゼによる消化は、このDNAをフェノール−クロロ
ホルムで抽出することにより終了させた。ソマトスタチ
ンDNAフラグメントを、未反応の、および部分的に結
合したDNAフラグメントから分離するため、10%ポ
リアクリルアミドゲルを用いた分取用(preparative)
電気泳動にかけて精製した。ソマトスタチンDNAフラ
グメントを含有する帯をゲルから切取り、このゲルを小
片に薄く切り、DNAを溶離用緩衝液(酢酸アンモニウ
ム0.5モル、MaCl210ミリモル、EDTA0.1ミ
リモル、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)0.1%)
を用い、65℃で一夜抽出することによりこのDNAを
溶離した。このDNAをエタノール2倍容量を加えて沈
澱させ、遠心分離し、pH7.6の10ミリモルのトリス
塩酸200μに再溶解し、同じ緩衝液に対して透析す
るとソマトスタチンDNA濃度は4μg/mとなっ
た。
3.組換え型プラスミッドの構成 第4図はソマトスタチン遺伝子を含む組換え型プラスミ
ッドを構成する方法の概略を示したものであり、これに
ついて以下に詳述する。
A.親プラスミッドpBR322 実験的トマトスタチンクローニングに選んだプラスミッ
トはpBR322であり、これは、抗生物質アンピシリ
ン(Ap)およびテトラサイクリン(Tc)に対する耐性遺
伝子を有する小さな(分子量約2.6メガダルトン)プ
ラスミッドである。第4図に示したごとく、アンピシリ
ン耐性遺伝子には、制限エンドヌクレアーゼPstIによる
開裂部位が存在し、テトラサイクリン耐性遺伝子には、
制限エンドヌクレアーゼBamHIによる同様の開裂部位が
存在しており、EcoRI部位はAr/pとTr/cの間
に位置している。このプラスミッドpBR322は、
5.8メガダルトンのAprTcrColimmプラスミッドである
pBR313から誘導される[アール・エル・ロドリク
エツ(R.L.Rodriquez)ら、アイ・シイ・エヌ−ユ
ウ・シイ・エル・エイ・シンポジア・オン・モレキュラ
ー・アンド・セルラー・バイオロジイ(ICN−UCL
A Symposia on Molecular and Cellular Biology)第
5巻、471〜77頁(1976年);モレキュラー・
メカニズムス・イン・ザ・コントロール・オブ・ジーン
・エクスプレッション(Molecular Mechanisms in the
Control of Gene Expressino)471〜77頁、アカデ
ミック・プレス、インコーポレイテッド(Academic Pre
ss,Inc.1976年)のアール・エル・ロドリクエツら
によるコントラクション・アンド・キャラクタライゼイ
ション・オブ・クローニング・ヴイヒクルス(Construc
tion and Characterization of Cloning Vehicles)参
照]。プラスミッドpBR32は、エフ・ボリバー
(F.Bolivar)らの[「コンストラクション・アンド
・キャラクタライゼイション・オブ・ニュー・クローニ
ング・ヴイヒクルス・II。ア・マルチパーパス・クロー
ニング・システム」(“Construction and Characteriz
ation of New Cloning VehiclesII.A Multipurpose Clo
ning System”)ジーン(Gene)(1977年11
月)]にその特徴および誘導方法が詳しく記載されてい
る。
B.プラスミッドpBH10の構成 プラスミッドpBR322DNA5μgを37℃で30
分間pH7.6のトリス塩酸100ミリモル、NaCl100
ミリモル、MgCl26ミリモル中で制限エンドヌクレアー
ゼEcoRI10単位を用いて消化した。反応をフェノール
−クロロホルム抽出により終了させ、次いでDNAを
2.5倍容量のエタノールを加えて沈澱させ、TDN
Aポリメラーゼ緩衝液[pH8.8のトリス塩酸67ミリ
モル、MgCl6.7ミリモル、(NHSO16.
6ミリモル、ウシの血清アルブミン167μg/m.
dNTP(デオキシヌクレオシドトリホスフェート)各
50マイクロモル;エイ・パネット(A.Panet)ら、
バイオケミストリィ(Biochem.)第12巻、5045頁
(1973年)参照]50μ中に再懸濁した。T
NAポリメラーゼ2単位を加えて反応を開始させた。3
0分間37℃でインキュベートした後、DNAをフェノ
ール−クロロホルムで抽出して反応を終了させ、次いで
エタノールで沈澱させた。λplac5DNA[シャピロ
(Shapiro)ら、ネイチャー(Nature)第224巻、7
68頁(1969年)]3μgを、最終容量20μの
pH7.6のトリス塩酸6ミリモル、MgCl26ミリモル、
β−メルカプトエタノール6ミリモル中で、制限酵素Ha
eIII(3単位)を用いて37℃で1時間消化した。65
℃で10分間加熱してこの反応を終了させた。pBR3
22処理DNAをHaeIIIで消化したλplac5DNAと混
合し、最終容量30μで、pH7.6のトリス塩酸20
ミリモル、MgCl210ミリモル、ジチオトレイット10
ミリモル、ATP0.5ミリモル中、12℃で12時
間、TDNAリガーゼ(ヒドロキシルアパタイト画
分;エイ・パネットら、前出)1.2単位を用いて平滑
末端を結合した。この結合したDNA混合物をpH7.6
のトリス塩酸10ミリモルに対して透析しE.coli菌株
RRIの形質転換に用いた。形質転換株は、5−ブロモ
−4−クロロ−イドコリルガラクトシッド(X−gal)
培地[ジェイ・エッチ・ミラー(J.H.Miller)、エ
クスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジーネテイック
ス(Experiments in Molecular Genetics)、コールド
・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニュ
ーヨーク、1972年]40μg/mを含有する最少
培地プレート上でテトラサイクリンおよびアンピシリン
耐性のものを選んだ。β−ガラクトシダーゼ合成能を有
するコロニーは、その青色で同定した。それぞれ独立に
単離した45の青色コロニーをスクリ−ニングした結
果、そのうちの3つが約200の塩基対で隔てられた2
るのEcoRI部位をゆうするプラスミッドDNAを含有
することを見出した。203b.p.HaeIII lac−調節フラ
グメント中で非対象に存在するHhaIフラグメント[ダビ
リュー・ギルバート(W.Gilbert)ら、プロテイン−
リガンド・インターアクションズ(Protein-Ligand Int
eractions)、エッチ・サンド(H.Sand)およびジイ
・ブラウエル(G.Blauer)共編、ドウ・グルイテル
(De Geuyter)、ベルリン、(1975年)193〜2
10頁]の位置によって、これらのプラスミッド中のHa
eIIIフラグメントの方向、ここではEcoRIフラグメン
トの方向を決定することができる。プラスミッドpBH
10は、所望の方向性を有するフラグメントを備えてい
ること、すなわちlac−転写がプラスミッドのTc
伝子に入って行くことがわかった。
C.プラスミッドpBH20の構成 次に、lac−オペレーター末端のEcoRI部位を除くた
め、プラスミッドpBH10の修飾を行なった。これは
僅か約40個の塩基ペアで隔てられているTcとlac
−プロモーター間に位置するもう1つのEcoRI部位を
RNAポリメラーゼによって部分的に保護しつつ、この
末端部位をEcoRIエンドヌクレアーゼで選択的に開裂
することによって行った。RNAポリメラーゼを結合さ
せた後、このDNA(5μg)を最終容量10μ中で
EcoRI(1単位)を用いて37℃で10分間消化い
た。65℃で10分間加熱してこの反応を終了させた。
このEcoRI粘着末端を、pH4.5の酢酸ナトリウム2
5ミリモル、NaCl300ミリモル、ZnCl21ミリモル中
でS1ヌクレアーゼを用いて25℃で5分間消化した。
この反応混合物をEDTA(最終10ミリモル)および
pH8のトリス塩酸(最終50ミリモル)を加えて終了さ
せた。DNAをフェノール−クロロホルムで抽出し、エ
タノールで沈澱させ、TDNA結合緩衝液100μ
に再懸濁した。TDNAリガーゼ(1μ)を加え
て、この混合物を12℃で12時間インキューベートし
た。結合したDNAをE.coli菌株RRIに入れて形質
転換し、AprTcr形質転換株をX−gal抗生物質培地上で
選択した。10個の単離した青色のコロニーからスクリ
ーニングしたDNAを制限酵素分析した結果、これらの
クローンは一つのEcoRI部位を備えたプラスミッドD
NAを有することがわかった。これらのコロニーのうち
7るはlac(ラック)およびTcrUプロモーター間に
位置するEcoRI部位を保持していた。これらのノラス
ミッドの一つ、pBH20の、EcoRI部位から、lac−
調節領域へのヌクレオチド配列順序が確認された。この
プラスミッドを、次にソマトスタチン遺伝子のクローン
に用いた。
D.プラスミッドpSOM1の構成 20μgのプラスミッドpBH20を、最終容量50μ
中で、制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびBamHI
によって完全に消化した。細菌性アルカリ性フォスファ
ターゼを加え[ワーシントン(Worthington)BAPE
0.1単位]、65℃で10分間インキュベートを続け
た。フェノール−クロロホルム抽出によって反応を終了
させ、DNAを2倍容量のエタノールで沈殿させ、遠心
分離し、1ミリモルEDTA、pH6.7の10ミリモル
トリス塩酸50μに溶解した。このアルカリ性フォス
ファターゼ処理はEcoRI、BamHI処理したpBH20
DNAの自己結合を有効に防ぐが、それでもなお、結合
によって、ソマトスタチンDNAを含有する環状組換え
型プラスミッドは生成させることができる。E.coliR
RIの直線プラスミッドDNAによる形質転換は非常に
効率が低いので、この形質転換株の大部分は組換え型プ
ラスミッドを含有するだろう。ソマトスタチンDNA
(4μg/m)50μを、pH7.6のトリス塩酸2
0ミリモル、MgCl210ミリモル、ジチオトレイット1
0ミリモル、ATP0.5ミリモルおよびTDNAリ
ガーゼ4単位を含有する全容量50μ中22℃でBamH
I、EcoRIおよびアルカリ性フォスファターゼで処理
した25μのpBH20DNAを結合させた。10、
20および30分後、ソマトスタチンDNA(40ng)
を反応混合物に追加した(ソマトスタチンDNAを徐々
に加えることは、プラスミッドとの結合を自己結合より
優先させるのに好ましい。)。結合反応を1時間続け、
次いで混合物をpH7.6のトリス塩酸10ミリモルに対
して透析した。対照実験として、BamHI、EcoRI、ア
ルカリ性フォスファターゼで処理したpBH20DNA
を、ソマトスタチンDNAの非存在下で、同様の条件下
で結合させた。両方の調製品をそれ以上処理せずにE.
coliRRIの形質転換に用いた。形質転換実験は、P3
物理的収納設備(P3physical containment facilit
y)で行なった。[ナショナル・インスティテューツ・
オブ・ヘルス、ユウ・エス・エイ(National Institute
s of Health、U.S.A.、リコンビナントDNAリサ
ーチ・ガイドラインス(RecombinantDNAResearch Guide
lines)1976年]。形質転換株をAp20μg/m
およびX−gal40μg/mを含有する最少培地プレ
ート上で選んだ。すべてTcに感受性を有する10個の
形質転換株を単離した。照合のため、これらをpSOM
1、pSOM2……pSOM10と命名した。対照実験
では形質転換株は得られなかった。10個の形質転換株
のうち4つはEcoRI部位およびBamHI部位の両方を有
するプラスミッドを含有していた。これらの組換え型プ
ラスミッドの小さなEcoRI、BamHIフラグメントのサ
イズは、4例全てにおいて、試験管内で製造したソマト
スタチンDNAのサイズと同様であった。マキサム(Ma
xam)およびギルバート(Gilbert)の、プロシーデイン
グス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイ
エンシズ・オブ・ザ・ユーナイテッド・ステーツ・オブ
・アメリカ(Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.)第74
巻、560頁(1977年)による塩基配列分析の結
果、プラスミッドpSOM1が所望のソマトスタチンD
NAフラグメントを挿入されたことがわかった。
プラスミッドpSOM1を有するクローンのDNA配列
分析の結果、このクローンはソマトスタチンからなるペ
プチドを生産するはずであることが予想される。しかし
ながら、ソマトスタチン放射免疫活性が細胞ペレット抽
出物または培養上澄液の抽出物中に検出されず、また、
増殖培地に直接70%ギ酸および臭化シアンが加えた場
合にもソマトスタチンの存在が検出されなかった。E.
coliRRI抽出液は外因性のソマトスタチンを非常に早
く品質低下させることが観察されている。従ってプラス
ミッドpSOM1を有するクローンにソマトスタチン活
性が存在しないのは、内因性蛋白分解酵素による細胞内
での分解によるものであると考えることができる。従っ
て、このプラスミッドpSOM1を用いて、ソマトスタ
チンを含有し、タンパク分解に抵抗すると期待するに十
分な大きさの前駆対タンパク質のための暗号を備えたプ
ラスミッドを組み立てることにした。
E.プラスミッドpSOM11およびpSOM11−3
の構成 翻訳の位相を保って(in phase)、ソマトスタチン遺伝
子がβ−ガラクトシダーゼ遺伝子のC−末端に位置し得
るプラスミッドを組み立てた。この遺伝子のC−末端の
近くにEcoRI部位が存在することおよびこのタンパク
質のアミノ酸配列がわかっているので[ビィ・ポリスキ
ィ(B.Polisky)ら、プロシーデイングス・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイエンシズ・オブ
・ザ・ユーナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Pr
oc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.)第73巻、3900頁
(1976年)、エイ・ヴイ・ホウラー(A.V.Fowl
er)ら、同上、第74巻、1507頁(1976年)、
エイ・アイ・ブクハリ(A.I.Bukhari)ら、ネイチ
ャー・ニュウ・バイオロジィ(Nature New Biology)第
243巻、238頁(1973年)およびケイ・イー・
ラングレイ(K.E.Langley)、ジャーナル・オブ・
バイオロジカル・ケミストリィ(J.Biol.Chem.)第2
50巻、2587頁(1975年)]、適切な解読枠を
維持しながら、EcoRI BamHIソマトスタチン遺伝子
をEcoRI部位に挿入することができた。このようなプ
ラスミッドを構成するために、pSOM1DNA(50
μg)を、最終容量100μg中で制限酵素EcoRIお
よびPstIで消化した。分取用5%ポリアクリルアミドゲ
ルを用いて、lac−調製要素を備えた小さいフラグメン
トとソマトスタチン遺伝子を備えた大きいPst-EcoRI
フラグメントを分離した。この大きい帯をゲルから切取
り、このゲルを小片に薄く切り、DNAを65℃で一夜
抽出することにより、このDNAを溶離した。同様な方
法で、プラスミッドpBR322DNA(50μg)を
PstIおよびEcoRI制限エンドヌクレアーゼで消化し、
この様にして得られた2つのDNAフラグメントを分取
用5%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動により
精製した。pBR322から得た小さいpstI-EcoRIフ
ラグメント(1μg)を、pSOM1から得た大きいPs
tI-EcoRIDNAフラグメント(5μg)と、TDN
Aリガーゼ1単位を用いて、最終容量50μで12時
間12℃で結合させた。この結合した混合物を、E.co
liRRIの形質転換に用い、転換株をX−gal培地上、
アンピシリン耐性について選択した。予期した通り、ほ
とんどすべてのApr転換株(95%)はX−gal指示プレ
ート上に白いコロニー(lac−オペレーターがない)を
与えた。この様にして得られたプラスミッドpSOM1
1を、プラスミッドpSOM11−3の構成に用いた。
pSOM11DNA5μgとλplac5DNA5μgの混
合物を、EcoRI(10単位、37℃で30分間)で消
化した。この制限エンドヌクレアーゼによる消化を、フ
ェノール−クロロホルム抽出で終了させた。次いでこの
DNAをエタノールで沈殿させ、TDNAリガーゼ緩
衝液(50μ)に再懸濁した。TDNAリガーゼ
(1単位)をこの混合物に加え、12℃で12時間イン
キュベートした。この結合した混合物を、pH7.6の1
0ミリモルのトリス塩酸に対して透析し、E.coli菌株
RRIの形質転換に用いた。転換株をアンピシリンを含
有するX−galプレート上でAprについて選択し、構成的
なβ−ガラクトシダーゼ生産能についてスクリーニング
した。コロニーの約2%が青色(pSOM11−1、1
1−2など)であった。これらのコロニーから得られた
プラスミッドDNAを制限酵素分析した結果、このすべ
てのプラスミッドは約44メガダルトンの新しいEcoR
Iフラグメントを有し、これはlac−オペロン調節部位
およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の大部分を有するこ
とがわかった。このEcoRIフラグメントには二つの指
向(方向性)が可能であるので、HindIII制限部位が非
対称に配置していることを、これらのコロニーの何れ
が、ソマトスタチン遺伝子へとlac−転写が進行してい
くEcoRIフラグメントを有するかを決定するのに用い
た。HindIII-BamHIの二重消化の結果、プラスミッド
pSOM11−3、pSOM11−5,pSOM11−
6およびpSOM11−7を有するクローンのみが、こ
の方向性を有するEcoRIフラグメントを含有すること
がわかった。
4.ソマトスタチン活性の放射免疫分析 ソマトスタチンの標準的放射免疫分析法(RIA)[エ
イ・アリムラ(A.Arimura)ら、プロシーデイングス
・オブ・ザ・ソサイエティ・フォア・エクスペリメンタ
ル・バイオロジィ・アンド・メデイシン(Proc.Soc.Ex
p.Biol.Med.)第148巻、784頁(1975年)]
を、アッセイ容量を減じ、燐酸緩衝液を用いることによ
り修正した。Tyr11ソマトスタチンをクロラミンT法を
用いてヨウ素化した(同上)。ソマトスタチンを分析す
るために、通常、臭化シアン5mg/mを含有する70
%ギ酸中に入れたサンプルを、円錐形のポリプロピレン
チューブ[0.7m、サルステット(Sarstedt)]中
で、湿ったKOH上、減圧下で乾燥する。PBSA緩衝
液(NaCl75ミリモル;燐酸ナトリウム75ミリモル
(pH7.2);ウシの血清アルブミン1mg/mおよび
アジ化マトリウム0.2mg/m)20μを加え、次
いで[125I]ソマトスタチン「カクテル」40μ
およびウサギの抗ソマトスタチン免疫血清S39[ヴァ
ール(Vale)ら、メタボリズム(Methabolism)第25
巻、1491頁(1976年)]をPBSA中に1,0
00倍希釈した液20μを加えた。[125I]ソマ
トスタチンカクテルはPBSA緩衝液1m当り、正常
ウサギのγグロブリン[アンチボディズ・インコーポレ
イテッド(Antibodies,Inc.)]250μg、プロテア
ーゼインヒビター[「トラシロール」(“Traylo
l”)、カルビオケム(Calbiochem)]1500単位お
よび[125I]Tyr11−ソマトスタチン約100,0
00カウントを含有していた。室温で、少くとも16時
間経過後に、PBSA緩衝液中のヤギの抗−ウサギγグ
ロブリン(アンチボディズ・インコーポレイテッド、P
=0.03)0.333mをサンプルシューブに加え
た。この混合物を37℃で2時間インキュベートし、5
℃に冷却し、次いで10,000×gで5分間遠心分離
した。上澄液を除き、ペレットをγカウンターでカウン
トした。用いた抗血清の量で、カウントの20%が非標
識競合ソマトスタチンなしで沈降した。多量のソマトス
タチン(200ng)でのバックグラウンドは普通3%で
あった。半最大競合は、ソマトスタチン10pgで得られ
た。E.coli菌株RRI(受容菌株)の抽出液での最初
の実験の結果、ソマトスタチン10pg以下が、臭化シア
ン処理細菌タンパク質16μgまたはそれ以上の存在下
で容易に検出しうることがわかった。ギ酸処理した細菌
抽出液からのタンパク質2μg以上は、バックグラウン
ドの増加によっていくらか妨害するが、臭化シアン開裂
は、この妨害を非常に減少させた。再組立て実験は、ソ
マトスタチンは臭化シアン処理した抽出液中で安定であ
ることを示した。
A.細菌抽出液による競合 菌株E.coliRRI(pSMO11−5)およびE.co
liRRI(pSMO11−4)をルリア(Luria)ブロ
ス中で、37℃で5×10細胞/mまで増殖させ
た。次にIPTG1ミリモルを加え、増殖を2時間続け
た。その一部(アリクオット)である1mをエッペン
ドルフ(Eppendorf)遠心分離機中で数時間遠心分離
し、このペレットを臭化シアン5mg/mを含有する7
0%ギ酸500μに懸濁させた。室温で約24時間経
過後、このアクリオットを水で10倍に希釈し、第6図
に示した容量で3回ソマトスタチンを測定した。第6図
で、[B/B。]はサンプルの存在下に結合した[
125I]ソマトスタチンの、競合するソマトスタチン
の非存在下で結合した[125I]ソマトスタチンに対
する比である。各点は3本のチューブの平均である。希
釈していないサンプルのタンパク質含量は、E.coliR
RI(pSMO11−5)では2.2mg/m、E.co
liRRI(pSMO11−4)では1.5mg/mであ
った。
B.ソマトスタチン用pSOM11クローンの最初のス
クリーニング 11クローン(pSOM11−2、pSOM11−3な
ど)の臭化シアン処理抽出液を、第6図の場合について
記載した如くにいて調製した。各抽出液30μを採取
し、3回放射免疫分析した。その結果を第7図に示す。
図では分析値の範囲を示してある。ソマトスタチンのピ
コグラム値は、同じ実験の一部として得られた標準曲線
から読み取った。
今までに述べた放射免疫分析の結果は、次のように要約
することができる。pSOM1での実験結果とは違っ
て、4つのクローン(pSOM11−3、11−5、1
1−6および11−7)は、容易に検出しうるソマトス
タチン放射活性を有することがわかった(第6図および
第7図)。制限フラグメント分析の結果、pSOM11
−3、pSOM11−5、pSOM11−6およびpS
OM11−7は所望のlac−オペロン方向性を有し、一
方pSOM11−2およびpSOM11−4は反対の方
向性を有することがわかった。この様に、正しいlac−
オペロンの方向性とソマトスタチン放射免疫活性の産生
との間には完全な相関が存在する。
C.陽性および陰性クローンに及ぼすIPTG誘導及び
CNBr開裂の影響 このソマトスタチンプラスミッドのデザインにおいて、
ソマトスタチンはlac−オペロンのコントロール下に合
成されることを予想した。lac−リプレッサー遺伝子
は、このプラスミッド中に包含されておらず、受容株
(E.coliRRI)は、細胞当り、僅か10〜20のリ
プレッサー分子を生産する野生型染色体lac−リプレッ
サー遺伝子を含有している。このプラスミッドのコピー
数(従ってlac−オペレーターの数)は、細胞当たり約
20〜30であるので、完全な抑制は不可能である。下
記の第III表に示すように、E.coliRRI(pSOM
11−3)中のソマトスタチンの比活性は、lac−オペ
ロンの誘導物質であるIPTGによって増加した。予期
したごとく、誘導レベルは低く、2.4〜7倍であっ
た。実験7(第III表)で、β−ガラクトシダーゼの最
初の92のアミノ酸の指標であるα活性もまた、2倍と
なった。いくつかの実験では、ソマトスタチン放射免疫
活性は、全細胞タンパク質を臭化シアンで開裂する前に
は検出できなかった。放射免疫分析に用いた抗血清S3
9は、遊離のN末端アラニンを必要とするので、臭化シ
アンによる開裂前には活性は期待されなかった。
D.臭化シアン処理抽出液のゲル濾過 陽性クローン(pSOM11−3、11−5、11−6
および11−7)のギ酸および臭化シアン処理抽出液を
プールし(全容量250μ)、乾燥し、50%酢酸
0.1mに再懸濁した。[H]ロイシンを加え、こ
のサンプルを50%酢酸中、セファデックスG−50を
つめた0.7×47cmのカラムにかけた。カラムの画分
の一部である50μをとり、ソマトスタチンについて
分析した。プールした陰性のクローン抽出液(11−
2、11−4および11−11)を同様にして処理し
た。結果を第8図に示す。同じカラムで既知のソマトス
タチン[ベックマン・コーポレイション(Beckman Cor
p)]が、図中、矢印(6)で示されるように溶離する。こ
の系において、ソマトスタチンは、除外された大きなペ
プチドおよび完全に包含された小さな分子から良好に分
離される。ソマトスタチンについて陽性のクローンの抽
出液のみが、カラム画分に放射免疫活性を示し、この活
性部は化学的に合成したソマトスタチンと同じ位置に溶
離して来る。
活性情報の要約 ソマトスタチンのアミノ酸配列を含有するポリペプチド
合成を行なうための情報は、次のように要約される。
(1)ソマトスタチン放射免疫活性は、証明された正しい
配列のソマトスタチン遺伝子を含有し、正しい方向性の
lac-EcoRIDNAフラグメントを有するプラスミッド
pSOM11−3を含有するE.coli細胞が存在する。
同じソマトスタチン遺伝子を有するが、lac-EcoRIフ
ラグメントの方向が反対である、これと関連したプラス
ミッドpSOM11−2を有する細胞は、検出しうるソ
マトスタチン活性を示さない、(2)デザイン案で予想さ
れたように、細胞抽出液を臭化シアンで処理するまで
は、ソマトスタチン放射免疫活性は観察されない。(3)
ソマトスタチン活性は、lac−オペロンの誘導物質であ
るIPTGによって誘導されることから明らかなよう
に、lac−オペロンによってコントロールされる。(4)ソ
マトスタチン活性部は、既知のソマトスタチンとセファ
デックスG−50において、一緒にクロマトグラフィー
される。(5)クローンしたソマトスタチン遺伝子のDN
A配列は正しい。翻訳の位相がずれていれば、どの位置
においても、ソマトスタチンと異なっているペプチドが
産生されるであろう。放射免疫活性が検出されたこと
は、ソマトスタチンに密接に関連したポリペプチドの産
生を示しており、従って翻訳は相中(in phase)にある
に違いないことを示している。翻訳が位相からはずれず
に起こるので、遺伝暗号は正しい配列順序のソマトスタ
チンを有するペプチドの製造を指令する。(6)最後に、
E.coliRRI(pSOM11−3)抽出液の前記サン
プルは、ラットの脳下垂体細胞からの成長ホルモンの分
泌を抑制するが、一方同様にて製造された、同じタンパ
ク質濃度のE.coliRRI(pSOM11−2)のサン
プルは、成長ホルモンの分泌に何ら影響を及ぼさない。
ソマトスタチンの安定性、収率および精製 EcoRIlac−オペロンフラグメント(pSOM11−
2、pSOM11−3など)を有する菌株は、プラスミ
ッドの表現型に関して分かれてくる。たとえば、約15
世代後、E.coliRRI(pSOM11−3)培養体の
約半分は、β−ガラクトシダーゼを構成し(すなわちla
c−オペレーターを有する)、これらのうち約半分はア
ンピシリン耐性であった。ソマトスタチン陽性(pSO
M11−3)および陰性(pSOM11−2)の菌株は
不安定である。従って、この増殖が不利である理由は、
大きいがしかし、不完全で不活性なガラクトシダーゼの
過剰生産によるものと思われる。ソマトスタチンの収率
は、多分、lac−領域を欠いたプラスミッドを有する培
養体からの細胞選択の結果と思われるが、全細胞タンパ
ク質に対して0.001〜0.03%の間で変動した
(表1)。ソマトスタチンの最高の収率は、単一のアン
ピシリン耐性菌から増殖をはじめた場合、即ち構成コロ
ニーから得られる。これらの場合でも、収穫期の細胞の
30%はlac−領域を欠いていた。従って凍結状態(凍
結乾燥)で貯蔵し、単一のこのようなコロニーから増殖
させて収穫する方法がこれまでに記載した系として示さ
れる。前駆体タンパク質の発現が、誘導および収穫前ま
では基本的には全く抑制されるような、lac−リプレッ
サーを過剰に生産する細菌株を運ぶことによって収率を
増加させてもよい。あるいは、前述したごとく、通常全
く抑制されるトリプトフアンまたはその他ののオペレー
ター−プロモーター系を用いてもよい。
たとえばイートン・プレス(Eaton Press)中で細胞破
壊することによって得られる粗抽出液中には、β−ガラ
クトシダーゼ−ソマトスタチン前駆体タンパク質は不溶
であるので、最初の低速度の遠心分離のペレット中に見
い出される。この活性体は70%ギ酸、6モル塩酸グア
ニジジウムまたは2%ナトリウムドデシル硫酸に溶解さ
せることができる。しかしながら、イートンプレスから
の粗抽出液を8モルの尿素で抽出し、残渣を臭化シアン
で開裂するのが最も好ましい。最初の実験で、E.coli
菌株RRI(pSOM11−3)から得たソマトスタチ
ン活性は、開裂生成物をアルコールで抽出し、50%酢
酸を用いてセファデックスG−50でクロマトグラフィ
ーすることによって約100倍に上昇した。生成物を再
びセファデックスG−50でクロマトグラフィーし、次
いで高圧液体クロマトグラフイーにかければ、実質的に
純粋なソマトスタチンが得られる。
IIヒトインシュリン 次に、上に述べた技術を、ヒトインシュリンの製造に応
用した。即ち、インシュリンB鎖線(104塩基ペア)
のための遺伝子およびイシュリンA鎖(77塩基ペア)
のための遺伝子を、ヒトポリペプチドのアミノ酸配列か
らデザインした。それぞれの鎖は、EcoRIおよびBamH
I制限エンドヌクレアーゼのための一本鎖粘着末端を有
する様に、そして別々にpBR322プラスミッドに挿
入する様にデザインした。組み立て用のブロックとして
トリヌクレオチドを用い、ブロック燐酸トリエステル法
によって、合成フラグメントであるデカないしペンタデ
カヌクレオチドを合成し、最後に高性能液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)により精製した。次いで、このヒ
トインシュリンAおよびB鎖合成遺伝子をプラスミッド
pBR322中で別々にクローンした。このクローンし
た合成遺伝子を、先に述べた様にしてE.coliβ−ガラ
クトシダーゼと融合させ、有効に転写、翻訳を行い、安
定な前駆体タンパク質を得た。β−ガラクトシダーゼ前
駆体からインシュリンペプチドを開裂させ、放射免疫分
析によって検出し、精製した。次いでインシュリン放射
免疫活性を、E.coli生成物と混合することにより産生
せしめた。
1.ヒトインシュリン遺伝子のデザインと合成 ヒトインシュリンンのために組立てられた遺伝子を第9
図に示す。ヒトインシュリンのための遺伝子、B鎖およ
びA鎖は、ヒトのポリペプチドのアミノ酸配列からデザ
インした。それぞれの遺伝子をプラスミッドpBR32
2に正しく挿入するために、そぞれ遺伝子の5′末端に
は、EcoRIおよびBamHI制限エンドヌクレアーゼのた
めの一本鎖粘着末端が存在する。全B鎖遺伝子を構成す
る前に、アミノ酸配列Glu-Alaによって、それぞれ半分
の遺伝子を増幅(amplification)および確認し得る様
に、HindIIIエンドヌクレアーゼ認識部位をB鎖遺伝子
の中央に挿入した。このB鎖およびA鎖遺伝子は、デカ
マーからペンダデカマーに渡る29が異なったオリゴデ
オキシリボヌクレオチドから組み立てられり様にデザイ
ンした。それぞれの矢印は改良燐酸トリエステル法によ
って合成されたフラグメントを表している。Hないし
およびBないしB10はB鎖遺伝子用であり、A
ないしA12はA鎖遺伝子用である。
2.オリゴデオキシリボヌクレオチドの化学合成 オリゴデオキシリボヌクレオチド合成のための方法及び
原料については、以下に述べる変更を除いては、基本的
にはイタクラ等により報告されている(Itakura,K.et a
l(1975)J.Biol.Chem.2504592およびIta
kura,K.et al(1975)J.Amer.Chem.Soc.97,7
327)。
a)完全に保護されたモノヌクレオチド、5′−O−ジメ
トキシトリチル−3′−p−クロロフエニル−β−シア
ノエチルホスフエートは、1−メチルイミダゾールの存
在下でアセトニトリル中、単官能性燐酸化剤、p−クロ
ロフエニル−β−シアノエチルホスホロクロリデート
(1.5モル当量)を用いて、ヌクレオリド誘導体から
合成した(VamBoom.J.H.et al(1975)Tetrahe
dron31,2953)。生成物は、分取用液体クロマト
グラフィー(Prep500LC、Waters Associates)に
より、大規模に(100〜300g)単離した。
b)溶媒抽出法(Hirose,T.et al(1978)Tetrahedro
n Letters,2449)を用いて、32個の2官能性トリ
マー(表IV参照)は5〜10ミリモルスケールで、3′
−末端ブロックとしての4個のダイマー、3個のテトラ
マーおよび13個のトリマーは、1ミリモルケースで合
成した。完全に保護されたトリマーの同質性(homogene
ity)は、2種のメタノール/クロロホルム溶媒系、即
ち、溶媒aは5%V/V、溶媒bは10%V/V(表IV
参照)を用い、シリカゲルによる薄層クロマトグラフィ
ーにより確認した。この化合物群から出発して、一定の
配列を持った29個のオリゴデオキシリボヌクレオチ
ド、即ち18個はB鎖、11個はA鎖遺伝子用のもの、
を合成した。
ポリヌクレオチドを構成するために使用した塩基単位
は、2種類のトリマーブロック、即ち表IVの2官能性ト
リマーブロックおよび3′−水酸基をアニソイル基で保
護した相当する3′−末端トリマーであった。この2官
能性トリマーは、ピリジン−トリエチルアミン−水
(3:1:1V/V)混合物によって相当する3′−燐
酸ジエステル成分に、そしてまた、2%ベンゼンスルホ
ン酸により相当する5′−水酸基成分に加水分解した。
先に述べた3′−末端ブロックは2%ベンゼンスルホン
酸で処理して相当する5′−水酸基体とした。過剰のこ
の3′−燐酸ジエステルトリマー(1.5モル当量)と
5′−水酸基成分(1モル当量)との縮合反応は、2,
4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルテトラゾ
リド(TPSTe、3〜4当量)の存在下で行なわれ、
3時間でほとんど完全に終了した。過剰の3′−隣接ジ
エステルブロック反応体を除去するために、この反応混
合物を半融ガラス濾過器上にセットした短いシリカゲル
カラムに通した。このカラムから、副産物及び縮合剤を
溶出するために最初はクトトホルムで溶離洗浄し、次い
でCHCl:MeOH(95:5V/V)で溶出する
と、ほとんど大部分の完全に保護されたオリゴマーが溶
離した。この条件下で、カラムに通した3′−燐酸ジエ
ステルブロック反応体はカラムに残存した。同様にし
て、所望の長さが得られるまでブロック結合を繰り返し
た。
オリゴヌクレトリド合成に際し、a)それぞれのトリマー
およびテトラマーブロックの分析、b)中間体フラグメン
ト(ヘキサマー、ノナマーおよびデカマー)の分析、c)
最後の縮合反応の分析、d)最終産物の精製、のために高
性能液体クトマトグラフィー(HPLC)を広範囲に利
用した。このHPLCは、Spectra-Physice3500B
液体クロトマトグラフを使用して行なった。全ての保護
基を、50℃で濃NHOHにより(6時間)、そして
室温で80%AcOHにより(15分)除去した後、溶
媒A(0.01M KHPO、pH4.5)中、溶媒
B(0.05M KHPO−1.0MKCl、pH
4.5)による直線傾斜法を用い、パーマフェイズAA
X(ジュポン)[Van Boom,J.et al(1977)J.Chromato
graphy131169]カラム(1m×2mm)で化合物を
分析した。緩衝液Aから開始し、1分毎に3%の緩衝液
Bを加えることにより、こう配をつけた。溶出は60℃
で、1分当たり2mの流速で行った29個の最後のオ
リゴヌクレオチドの精製もまた、パーマフェイズAAX
で、上記と同じ条件下で行った。目的とするピークのも
のを集め、透析により脱塩し、凍結乾燥した。Tポリ
ヌクレオチドキナーゼを用い、(γ−32P)ATPで
5′−末端を標識した後、それぞれのオリゴヌクレオチ
ドの同質性を20%ポリアクリルアミドゲルによる電気
泳動によりチェックした。
3.B鎖遺伝子およびA鎖遺伝子の組み立ておよびクロ
ーニング インシュリンのB鎖のための遺伝子は、左末端にEcoR
I制限部位、中央にHindIII部位、および右末端にBamH
I部位を有する様にデザインした。これは、両者の半分
づつ、即ち左のEcoRI−HindIII半分体(BH)および
右のHindIII-BamHI半分体(BB)を、別々に好適なク
ローニングビーイクルpBR322中でクローンし、そ
れらの配列を確かめた後、結合させて完全なB遺伝子と
することができる様にするために行なった(第10
図)。このBB半分体は、第9図においてB1ないしB
10と記号付けした、燐酸トリエステル化学合成によっ
て製造した10個のオリゴデオキシリボヌクレオチドを
結合することによって組み立てた。これらのフラグメン
トが粘着末端(HindIIIおよびBamHI)によって、望ま
しくない重合を起こさない様に、B1とB10は燐酸化
しなかった。分取用アクリルアミドゲル電気泳動によっ
て精製し、最も大きなDNA帯を溶離した後、このBB
フラグメントを、HindIIIおよびBamHIで開裂したプラ
スミットpBR322に挿入した。このDNAから誘導
されたアンピシリン耐性コロニーの約50%は、テトラ
サイクリンに対する感受性を有しており、これは非プラ
スミッドHindIII-BamHIフラグメントが挿入されたとを
示している。これらのコロニーの内、4個(pBB10
1−pBB104)からの小さなHindIII-BamHIフラグ
メントの配列を決定した結果、デザイン通り正しいこと
がわかった。
BHフラグメントも同様にして調製し、EcoRIおよびH
indIII制限エンドヌクレアーゼで開裂しpBR322に
挿入した。アンピシリン耐性のプラスミッドから、3個
のテトラサイクリン感受性形質転換体(pBH1〜pB
H3)を分析した。この小さなEcoRI−HindIIIフラグ
メントは、所望のヌクレオチド配列を有することがわか
った。
A鎖遺伝子は3つの部分から組み立てた。左側の4個、
中央の4個および右側の4個のオリゴヌクレオチド(第
9図参照)を別々に結合し、次いでこれらを混合、結合
した(オリゴヌクレオチドA1およびA12は燐酸化し
なかった)。組み立てたA鎖遺伝子を燐酸化し、ゲル電
気泳動によって精製し、pBR322のEcoRI−BamH
I部位にクローンした。2個のアンピシリン耐性、デト
ラサイクリン感受性クローン(pA10およびpA1
1)からのEcoRI−BamHIフラグメントは所望のA遺
伝子配列を含んでいた。
4.AおよびBインシュリン遺伝子の発現のためのプラ
スミッドの組み立て 第10図は、lacーインシュリンBプラスミッド(oI
B1)の組み立てを示したものである。プラスミッドp
BH1及びpBB101はEcoRIおよびHindIIIエンド
ヌクレアーゼで消化した。pBH1のこの小さいBHフ
ラグメントおよびpBB101のおおきいフラグメント
(BBフラグメントおよびpBR322の大部分を含有
している)をゲル電気泳動によって精製し、混合し、Ec
oRIで開裂したλplac5の存在下で結合させた。この
λplac5のメガダルトンEcoRIフラグメントはlac−調
節領域およびβ−ガラクトシダーゼ構造遺伝子の大部分
を含んでいる。この制限部位の配置によりBHのBBへ
の正しい結合が保証される。このiac-EcoRIフラグメ
ントの挿入方向は2通りある。従って、形質転換後に得
られるクローンの半分だけが望ましい方向性を有してい
るはずである。10個の、アンピシリン耐性を示し、β
−ガラクトシダーゼを構成的に産生するクローンの方向
性を制限分析によって調べた。これらのコロニーの内、
5個が完全なB遺伝子配列およびβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子からB鎖遺伝子に至る正しい読み取り枠を備えて
いた。その1つ、pIB1を次の実験用として選んだ。
同様の実験によって、λplac5からの4.4メガダルト
ンのlacフラグメントをpA11プラスミッドのEcoRI
部位に導入し、pIA1を得た。pIA1は、A遺伝子
フラグメントがB遺伝子フラグメントの代わりとして置
き替わっていることを除けばpIB1と同じである。D
NA配列分析の結果、正しいAおよびB鎖遺伝子配列が
それぞれpIA1およびpIB1に保持されていること
がわかった。
5.発現 β−ガラクトシダーゼに正しく付着したインシュリン遺
伝子を含有する菌株は、両者ともβ−ガタクトシダーゼ
大のタンパク質を多量に産生する。全細胞タンパク質の
約20%がこのβ−ガラクトシダーゼ−インシュリンA
またはB鎖混成物であった。この混成タンパク質は不溶
性であり、第1低速ペレット中に存在し、そこでこれら
はタンパク質の約50%を占める。
インシュリンAおよびB鎖の発現を検出するために、本
発明者らは、この別々の鎖から完全なインシュリンを復
元することに基づく放射免疫分析(RIA)を使用し
た。27μ分析容量(assay vo lume)を採用してい
るKatsoyannisらのインシュリン復元方法(Katsoyannis
et al(1967)Biochemistry,2642−265
5)は非常に好適なアッセイ法である。インシュリン鎖
を混合し、S−スルホン化(S−Sulfonated)誘導体を
復元した後、インシュリン活性は容易に検出される。イ
ンシュリンの別々のS−スルホン化鎖は、還元および酸
化後、用いた抗インシュリン抗体と有意に反応しない。
この復元分析法を使用するために、β−ガラクトシダー
ゼ−AまたはB鎖混成タンパク質の一部を精製し、臭化
シアンで開裂し、S−スルホン化誘導体を形成させた。
ヒトインシュリン用の、化学的に合成した遺伝子から正
しい発現が得られたいう証拠は以下の如く要約すること
ができる。a)両方の鎖に放射免疫活性が検出された。b)
クローニング後に得られたDNA配列およびプラスミッ
ド機構は、デザイン通り正しいことが直接確かめられた
放射免疫活性が得られるので、翻訳は同位相にある(in
phase)に違いない。従って、遺伝暗号は、ヒトインシ
ュリンの配列を有するペプチドが産生されていく様に命
令する。c)臭化シアンで開裂した後のE.coli産生物
は、異なった原理に基づく3種の異なったクロマトグラ
フィー系(ゲル濾過、イオン交換および逆相HPLC)
において、インシュリン鎖としての挙動を示した。d)
E.coli産生A鎖はHPLCにより小規模で精製され
た。そしてこれは正しいアミノ酸組成を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は生物学的にソマトスタチンを産生するためのフ
ローチャート、第2図は構造遺伝子の模式構造、第3図
はヌクレオチドトリマー調製のためのフローチャート、
第4図は親プラスミッドpBR322から組換え型プラ
スミッドpSOM11−3を調製するためのフローチャ
ート、第5図は2個のプラスミッドの要所となるヌクレ
オチド配列、第6図ないし第8図は組換え型プラスミッ
ドによって発現された生成物のソマトスタチン活性を示
すグラフ、第9図はヒトインシュリンのA鎖およびB鎖
のアミノ酸配列のためのコドンからなる合成遺伝子の模
式構造、第10図はヒトインシュリンのB鎖を発現する
組換え型プラスミッドを組みたてるためのフローチャー
トである。 1……pSOM11−4、2……pSOM11−5、 3……プールした陽性クローン、4……3H−Leu、 5……プールした陰性クローン、6……既知のソマトス
タチンが溶離する位置を示す矢印。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レギユロン、所望のポリペプチドのアミノ
    酸配列を暗号化している構造遺伝子および1個またはそ
    れ以上の終止コドンを含む組換え型微生物クローニング
    ビーイクルであって、該構造遺伝子の解読枠を変えるこ
    となく、付加的タンパク質を暗号化しているDNA配列
    が該レギユロンおよび終止コドン間に挿入されており、
    発現によって、上記所望のポリペプチドおよび付加的タ
    ンパク質の両者からなる前駆体タンパク質が産生される
    こと、および該付加的タンパク質が所望のポリペプチド
    のアミノ酸配列に隣接するところに選択的開裂部位を含
    有しており、該選択的開裂部位は該所望のポリペプチド
    のアミノ酸配列、該付加的タンパク質のアミノ酸配列、
    およびそれらのアミノ酸配列を切断する薬剤または酵素
    によって決定されるものであることを特徴とするクロー
    ニングビーイクル。
  2. 【請求項2】所望のポリペプチドが同様の選択的開裂部
    位を含有していない第1項記載のクローニングビーイク
    ル。
  3. 【請求項3】第1項に記載の構成要素が(レギユロン)
    −(付加的タンパク質のためのコドン)−(所望のポリ
    ペプチドのためのコドン)−(終止コドン)の順で配列
    されている細菌性プラスミッドである第1項記載のクロ
    ーニングビーイクル。
  4. 【請求項4】開裂部位がメチオニンである第3項記載の
    クローニングビーイクル。
  5. 【請求項5】所望のポリペプチドがソマトスタチンであ
    る第4項記載のクローニングビーイクル。
  6. 【請求項6】プラスミッドpSOM1の名称を有する第
    5項記載のクローニングビーイクル。
  7. 【請求項7】プラスミッドpSOM11の名称を有する
    第5項記載のクローニングビーイクル。
  8. 【請求項8】所望のポリペプチドがヒトインシュリンA
    鎖である第3項記載のクローニングビーイクル。
  9. 【請求項9】プラスミッドpIA1の名称を有する第8
    項記載のクローニングビーイクル。
  10. 【請求項10】所望のポリペプチドがヒトインシュリン
    B鎖である第3項記載のクローニングビーイクル。
  11. 【請求項11】プラスミッドpIB1の名称を有する第
    10項記載のクローニングビーイクル。
  12. 【請求項12】レギユロン、ポリペプチドハプテンのア
    ミノ酸配列を暗号化している構造遺伝子および1若しく
    はそれ以上の終止コドンを含有する組換え型微生物クロ
    ーニングビーイクルであって、該構造遺伝子の解読枠を
    変えることなく、付加的タンパク質を暗号化しているD
    NA配列が該レギユロンおよび終止コドン間に挿入され
    ており、発現によって基本的にハプテンおよび付加的タ
    ンパク質のアミノ酸配列からなる接合タンパク質が産生
    されること、および該付加的タンパク質が、接合するこ
    とによって免疫原性を付与するに十分な大きさのもので
    あることを特徴とする第1項記載のクローニングビーイ
    クル。
  13. 【請求項13】レギユロン、所望のポリペプチドのアミ
    ノ酸配列を含有している接合タンパク質を暗号化してい
    る構造遺伝子、および1個またはそれ以上の終止コドン
    を含む組換え型微生物クローニングビーイクルであっ
    て、選択的開裂部位を暗号化しているDNA配列が、該
    所望のポリペプチドの解読相に変化を与えることなく、
    該所望のポリペプチドのアミノ酸配列に隣接して挿入さ
    れていることを特徴とする第1項記載のクローニングビ
    ーイクル。
  14. 【請求項14】レギユロン、所望のポリペプチドのアミ
    ノ酸配列を暗号化している構造遺伝子および1個または
    それ以上の終止コドンを含む組換え型微生物クローニン
    グビーイクルであって、該構造遺伝子の解読枠を変える
    ことなく、付加的タンパク質を暗号化しているDNA配
    列が該レギユロンおよび終止コドン間に挿入されてお
    り、発現によって、上記所望のポリペプチドおよび付加
    的タンパク質の両者からなる前駆体タンパク質が産生さ
    れること、および該付加的タンパク質が所望のポリペプ
    チドのアミノ酸配列に隣接するところに選択的開裂部位
    を含有しており、該選択的開裂部位は該所望のポリペプ
    チドのアミノ酸配列、該付加的タンパク質のアミノ酸配
    列、およびそれらのアミノ酸配列を切断する薬剤または
    酵素によって決定されるものであることを特徴とするク
    ローニングビーイクルであるプラスミッドを含有する1
    またはそれ以上の細菌からクローンされた形質転換細菌
    培養体であって、該培養体の構成物が前駆体タンパク質
    を発現することができることを特徴とする形質転換細菌
    培養体。
  15. 【請求項15】該プラスミッドの構成要素が(レギユロ
    ン)−(付加的タンパク質のためのコドン)−(所望の
    ポリペプチドのためのコドン)−(終止コドン)の順で
    配列されている細菌性プラスミッドである第14項記載
    の形質転換細菌培養体。
  16. 【請求項16】E.coli RRI(pSOM1)を含有
    する第14項記載の培養体。
  17. 【請求項17】E.coli RRI(pSOM11)を含
    有する第14項記載の培養体。
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JPH0513630A (ja) * 1991-07-05 1993-01-22 Furukawa Electric Co Ltd:The ヒートパイプ式半導体冷却器

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