JPH07108232B2 - ペプチド又は蛋白質の製造方法 - Google Patents

ペプチド又は蛋白質の製造方法

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JPH07108232B2
JPH07108232B2 JP2271880A JP27188090A JPH07108232B2 JP H07108232 B2 JPH07108232 B2 JP H07108232B2 JP 2271880 A JP2271880 A JP 2271880A JP 27188090 A JP27188090 A JP 27188090A JP H07108232 B2 JPH07108232 B2 JP H07108232B2
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    • C07K2319/705Fusion polypeptide containing domain for protein-protein interaction containing a protein-A fusion

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、遺伝子組換え技術を利用して、宿主によりペ
プチド又は蛋白質を融合蛋白質として生産した後、特異
的なプロテアーゼなどを作用させて、ペプチド又は蛋白
質を生産するペプチド又は蛋白質の製造方法に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 遺伝子組換え技術を利用して、異種のペプチドや蛋白質
を生産する場合、目的遺伝子産物を直接発現させても、
大量生産できない場合が多い。その理由として、開始コ
ドン近傍のmRNAの高次構造の影響により、目的遺伝子の
翻訳開始反応が阻害されること[D.Iserentant,E.Fier
s,Gene,,1(1980)]、目的遺伝子産物が低分子量で
ある場合には、特に宿主由来のプロテアーゼにより分解
され易いことなどが指摘されている。
これらの問題を解決する方法として融合蛋白質法が注目
されている。この融合蛋白質法では、宿主内で安定でか
つ多量に生産されるペプチド又は蛋白質などのキャリア
ーと、目的とするペプチド又は蛋白質とを融合させて生
産する。なお、この融合蛋白質法には、一般的な蛋白質
の範疇、すなわちアミノ酸数が50未満のキャリアーを用
いる場合も含まれる。また、融合蛋白質として直接発現
させる場合にも、宿主内のメチオニンアミノペプチダー
ゼによるプロセシングが不完全であるため、開始コドン
に由来するメチオニンが、完全には除去されずに残存
し、N末端にメチオニンが付加した目的遺伝子産物が得
られる場合が多い。このメチオニンが付加した遺伝子産
物は、抗原性に問題が生じる可能性が指摘されている
(特開昭62−171699号公報)。従って、このような融合
蛋白質やメチオニンが付加した遺伝子産物から目的とす
るペプチド又は蛋白質を得るためには、融合蛋白質等か
ら目的とする部分のみを切りだす必要がある。この切り
だし方法として、従来、化学的な方法と、酵素的な方法
が知られている。
化学的な方法としては、例えば、臭化シアンによるMet
のC末端側の切断[D.V.Goeddel,et al.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 76,106−110(1979)]、BNPS−スカトール
(Skatol)やN−クロロスクシンイミド(NCS)によるT
rpのC末端側の切断[Y.Saito,et al.,J.Biochem.101,1
23−134(1987)]、70%ギ酸などの酸によるAsp−Pro
間の切断[Biochem.Biophys.Res.Commun.,40,1173(197
0)]、ヒドロキシアミンによるAsn−Gly間の切断など
が知られている。しかしながら、基質融合蛋白質の構造
依存性が強いため、臭化シアンによる切断を除いて、切
断反応による収率は低く、副反応も生じ易い。臭化シア
ンによる切断は広く利用されているが、目的とする遺伝
子産物中にMetが存在する場合には、利用できないだけ
でなく、Metの次のアミノ酸がSer、Thrである場合に
は、殆ど切断反応が起らない場合がある。また、Asp−P
ro間、Asn−Gly間を切断する場合には、切断後に生成す
るペプチド又は蛋白質のN末端側及びC末端側の双方に
アミノ酸が残存するため、切断により、N末端、C末端
に目的とするアミノ酸配列を有する遺伝子産物を得るの
が困難である。
酵素的な方法として、切断されるペプチド結合の前(P1
位)又は後(P1′位)のアミノ酸に対する特異性、すな
わち、1次特異性の厳密なプロテアーゼを利用した切断
方法、例えば、トリプシン、エンドプロテイナーゼArg
−Cなどのトリプシン様酵素によるArg、LysのC末端側
の切断[J.Shine,et al.,Nature,285,456−461(198
0)]、リジルエンドペプチダーゼ、エンドプロテイナ
ーゼLys−CなどによるLysのC末端側の切断(特開昭61
−275222号公報)、酸性アミノ酸に特異的なV8プロテア
ーゼなどの酵素によるGlu、AspのC末端側の切断(特公
表昭60−501391号公報)などが知られている。しかしな
がら、これらのプロテアーゼは、一般に、その認識アミ
ノ酸が目的遺伝子産物に含まれていない場合にのみ有効
であり、非常に限定された遺伝子産物にしか適用できな
い。
1次特異性だけでなく、切断されるペプド結合周辺の配
列に対する特異性、すなわち2次特異性が厳密な酵素も
利用されている。例えば、コラゲナーゼによるチキンプ
ロ(chicken pro)α−2コラーゲン(collagen)やPro
−X−Gly−ProのX−Gly間の切断[特公昭62−44920号
公報、J.Germino,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,4
692−4696(1984)]、血液凝固因子XaによるIle−Glu
−Gly−ArgのC末端側の切断(特開昭61−135591号公
報)、トロンビン(Thrombin)によるGly−Pro−Argな
どのC末端側の切断(特開昭62−135500号公報)、カリ
クレイン(Kallikrein)によるPhe−ArgのC末端側の切
断(特開昭62−248489号公報)、エンテロペプチダーゼ
(Enteropeptidase)によるVal−Asp−Asp−Asp−Asp−
LysのC末端側の切断[T.P.Hopp,.et al.,Biotechnolog
y,,1204−1210(1988)及び特開昭56−166200号公
報]、レニン(renin)によるPro−Phe−His−Leu−Leu
−Val−TyrのLeu−Leu間の切断(特開昭60−262595号公
報)、リゾスタフィン(Lysostaphin)によるポリ(pol
y)−GlyのC末端側の切断(特開平1−160496号公
報)、ユビキチン(Ubiquitin)−Nα−プロテインヒ
ドロラーゼ(protein hydrolase)によるユビキチン(U
biquitin)のC末端側の切断(T.R.Butt,et al.,Proc.N
atl.Acad.Sci.USA,86,2540−2544(1989)]、ウロキナ
ーゼ(urokinase)によるGlu−Gly−ArgのC末端側の切
断(特開平2−100685号公報)などが報告されている。
しかしながら、コラゲナーゼ、レニンによる分解では、
切断部位のN末端側及びC末端側の双方にペプチドが残
存するため、目的とするアミノ酸配列を有する遺伝子産
物を得るのが困難である。トロンビンを始めとする多く
の酵素は、その認識配列以外の部位をも切断することが
報告され、特異性が低いので汎用性に欠ける[J.Y.Chan
g,Eur.J.Biochem.151,217−224(1985)など]。融合蛋
白質から目的遺伝子産物を切りだすため、血液凝固因子
Xaは、現在最も広く利用されているが、特異的認識配列
以外の部位をも分解するため、目的遺伝子産物が得られ
ない例が報告されており[S.Nishikawa,et al.,Protein
Engineer.,487−492(1987)など]、汎用性に欠け
る。例えば、血液凝固因子Xa、カリクレインを用いて、
融合蛋白質から、目的遺伝子産物として、バソアクティ
ブ・インテスティナル・ポリペプチド[Vasoactive Int
estinal Polypeptide(以下、VIPと略称する)]誘導体
を切りだす場合には、VIP内部、例えばArg14−Lys間な
どで切断が生じるため、VIP誘導体は得られない。さら
に、これらのプロテアーゼの使用量は、基質融合蛋白質
1モルに対して、0.1〜0.001モル、通常0.01モル程度で
あり、かなりの酵素量を必要とする。
一方、キャリアー配列と、目的遺伝子をコードするDNA
配列とを、ジペプチドからなるプロセシングシグナルを
介して連結し、融合蛋白質を生産し、前記ジペプチドを
酵素的に切断することにより、目的遺伝子産物を取得す
る方法も知られている。例えば、前記ジペプチド、特に
塩基性アミノ酸残基対を利用した目的遺伝子産物の取得
方法として、酵母サッカロマイセス・セレビジエ(Sacc
haromyces cerevisiae)の生産するα−接合因子のプレ
プロリーダー配列(Lys−Argを含む)を利用して目的遺
伝子産物を分泌生産する方法(特開昭59−132892号公
報)やクライベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyce
s lactis)のα−接合因子のプレプロリーダー配列を利
用して目的遺伝子産物を分泌生産する方法(特開平1−
124390号公報)などが報告されている。これらの方法で
は、融合蛋白質がインビボ(in vivo)で限定分解され
た後、目的遺伝子産物が菌体外に分泌生産される。しか
しながら、これらの方法は、特殊な宿主、例えば、塩基
性アミノ酸残基対における切断、分泌、糖鎖の付加など
のプロセシングシステムを有するサッカロマイセス・セ
レビジエ、クライベロマイセス・ラクティスや動物細胞
AtT−20cell lineなどを用いた場合にのみ利用可能であ
り、一般的な方法ではない。また、これらの系を用いる
場合には、プロセシングが不完全な遺伝子産物、すなわ
ち、プレプロリーダー配列に由来するGlu−Ala配列など
が付加された遺伝子産物が生成すること(特開昭59−13
2892号公報、特公表昭62−502661号公報など)、各種の
プロテオリシス、グレコシレーションなどのプロセシン
グの様々なステップが律速となるため、生産効率が一般
に低く、生産量が少ないなどの問題がある。
従って、本発明の目的は、汎用性があり、大量処理が可
能なペプチド又は蛋白質の製造方法を提供することにあ
る。
本発明の他の目的は、宿主微生物により異種の融合蛋白
質を生産させ、特異性の強い酵素により、融合蛋白質か
ら目的遺伝子産物を効率よく切りだすことができるペプ
チド又は蛋白質の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、融合蛋白質を生産した後、
インビトロ(in vitro)で分解するペプチド又は蛋白質
の製造方法を提供することにある。
[発明の構成] 本発明は、多くの生理活性ペプチドや蛋白質が、Lys−L
ys、Arg−Lys、Lys−Arg、Arg−Argなどのジペプチドを
プロセシングシグナルとし、前駆体からペプチド又は成
熟型蛋白質へとプロセシングされることから、多くの生
理活性ペプチド及び成熟型の蛋白質内には、これらのジ
ペプチドが存在しない場合が多い点に着目してなされた
ものである。本発明では、これらのプロセシングシグナ
ルであるジペプチドをコードする塩基配列を、キャリア
ーと、目的遺伝子産物をコードするDNA断片との間に挿
入し、特定の宿主微生物により、目的遺伝子産物を融合
蛋白質として生産する。そして、このようにして生産さ
れた融合蛋白質に、前記ジペプチドを特異的に認識し、
かつジペプチドのC末端側、N末端側、またはジペプチ
ド間を特異的に加水分解するプロテアーゼ;または前記
プロテアーゼと、N末端側から特異的に塩基性アミノ酸
残基を遊離するアミノペプチダーゼや、C末端側から特
異的に塩基性アミノ酸残基を遊離するカルボキシペプチ
ダーゼとを適当に組合わせて作用させる場合には、目的
とするペプチド又は蛋白質が成熟型でしかも高い効率で
得られることを見いだした。
すなわち、本発明は、下記式[I a]又は[I b] A−B−C [I a] C−B−A [I b] [式中、Aはキャリアーを示し、Bは酵素的に切断可能
なX1−X2(X1は、Lys、Arg又はProを示し、X2は、Lys又
はArgを示す。但し、X1がProであるとき、X2はArgであ
る。また、X1は、式[I a]においてはAのC末端側
に、式[I b]においてはCのC末端側に結合し、X
2は、式[I a]においてはCのN末端側に、式[I b]
においてはAのN末端側に結合している)で表されるジ
ペプチドを示す。Cは目的とするペプチド又は蛋白質を
示す]で表される融合蛋白質を、宿主微生物として、ア
ルカリプロテアーゼ及び中性プロテアーゼの生産能を欠
き、かつプロテアーゼ活性が野生株の3%以下である枯
草菌に、spoOA△677変異遺伝子が導入されたプロテアー
ゼ生産性の低い枯草菌を用いて生産した後、少なくと
も、前記ジペプチドを特異的に認識し、かつジペプチド
のペプチド結合を特異的に加水分解するプロテアーゼで
処理するペプチド又は蛋白質の製造方法を提供する。
また、本発明は、少なくとも、下記式[II]又は[II
I] B−C [II] C−B [III] [式中、Bは酵素的に切断可能なX1−X2(X1は、Lys、A
rg又はProを示し、X2は、Lys又はArgを示す。但し、X1
がProであるとき、X2はArgである)で表されるジペプチ
ドを示す。Cは目的とするペプチド又は蛋白質、nは2
以上の整数を示す]で表される単位を含む融合蛋白質
を、宿主微生物として、アルカリプロテアーゼ及び中性
プロテアーゼの生産能を欠き、かつプロテアーゼ活性が
野生株の3%以下である枯草菌に、spoOA△677変異遺伝
子が導入されたプロテアーゼ生産性の低い枯草菌を用い
て生産した後、少なくとも、前記ジペプチドを特異的に
認識し、かつジペプチドのペプチド結合を特異的に加水
分解するプロテアーゼで処理するペプチド又は蛋白質の
製造方法を提供する。
なお、従来、塩基性アミノ酸残基対に特異的なプロテア
ーゼを、異種の宿主により生産した融合蛋白質に作用さ
せて、目的とする遺伝子産物を得た報告は存在しない。
また、本発明には、適当な化学修飾法、例えばLysの無
水シトラコン酸による可逆的修飾などとの組合せによる
ペプチド又は蛋白質の製造方法も含まれる。
本明細書においては、ペプチドは、通常の配列記載方法
に従って、左側をN末端側、右側をC末端側とする。ま
た、本明細書において、キャリアーとは、AとBとの間
に介在するスペーサー、ペプチドなども含む意味に用い
る。
以下に、本発明を詳細に説明する。
キャリアーAは、宿主微生物により菌体内、菌体外、ペ
リプラズム内に生産されるペプチド又は蛋白質である限
り、制限されないが、ジペプチドX1−X2が存在しないの
が好ましい。このようなキャリアーAとしては、例え
ば、α−アミラーゼ、中性又はアルカリ性プロテアー
ゼ、セルラーゼ、β−ラクタマーゼ、β−ガラクトシダ
ーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラー
ゼ、RecA蛋白質、trpE、ヒトインターロイキン−2、ヒ
ト成長ホルモン、ジヒドロ葉酸還元酵素、プロテイン
A、λcII、アルカリフォスファターゼ、ペニシリナー
ゼなどの全部又はその一部;これらの誘導体が挙げられ
る。前記誘導体には、Cysが除去又は置換されたもの、C
ysを付加したもの、ジペプチドX1−X2などの内在配列を
除去したものなどが含まれる。
キャリアーAは、場合によっては、アミノ酸であっても
よい。また、キャリアーAには、開始コドンに由来する
Metのみを目的遺伝子産物の直前、又は1〜数十のアミ
ノ酸を介して、プロセシングシグナルのN末端側に結合
した融合蛋白質をコードする配列も含まれる。
好ましいキャリアーには、黄色ブドウ状球菌[スタフィ
ロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)]
由来のプロテインAなどが含まれる。このプロテインA
は、遺伝子の発現に関与するプロモーター領域とリボソ
ーム結合部位とを有している。プロモーター領域は、例
えば、黄色ブドウ状球菌8325−4株[ウーレンら、J.Bi
ol.Chem.,259,1695(1984)]に由来し、−131〜−120
番目のヘアピン構造と−151〜−138番目のパリンドロー
ム配列とを有するプロモーターであってもよいが、好ま
しいプロモーター領域は、本出願人が特開昭63−245677
号公報において提案した塩基配列で表される領域であ
る。このプロモーター領域は、−300〜−1番目の配列
に対応し、その特徴は、前記黄色ブドウ状球菌8325−4
株に由来するプロモーター領域と異なり、前記ヘアピン
構造及びパリンドローム配列が存在しない点にある。
プロモーター領域の下流(1〜108番目の塩基配列)に
は、分泌に関与するS領域をコードする遺伝子が存在
し、この分泌シグナル領域の下流(109〜1524番目の塩
基配列)には構造遺伝子が存在する。構造遺伝子は、E
(109〜276番目の塩基配列)、D(277〜459番目の塩基
配列)、A(460〜633番目の塩基配列)、B(634〜807
番目の塩基配列)、C(808〜981番目の塩基配列)、お
よびX(982〜1524番目の塩基配列)からなる6つのユ
ニットで構成され、N末端から、上記の順序に結合して
いる。また、1525〜1552番目の塩基配列はノンコーディ
ング部分であり、1525〜1527番目には終始コドンTAAが
存在する。E領域は、プロテインAのN末端に存在する
ユニットであり、免疫グロブリンG(IgG)との結合能
力が比較的小さい。D、A、B、及びC領域は、それぞ
れIgGのFc部分との強い結合能力を有し、X領域は、プ
ロテインA分子を黄色ブドウ状球菌の細胞壁に結合させ
る機能を有するユニットである。
このように、プロテインAは、IgGのFc領域と特異的に
結合する5つの繰返し領域と、細胞壁と結合する領域と
を有している。このことを利用して、Fc領域と特異的に
結合する領域の後に、目的とするペプチド又は蛋白質を
連結し、融合蛋白質として発現させた後、アフィニティ
ークロマトグラフィーで簡単に精製することができる。
従って、キャリアータンパク質をコードする遺伝子は、
前記プロテインA中のIgGのFc部分に対して結合能を有
する領域、特に、プロテインAの成熟タンパク質中の44
0番目のアミノ酸まで、すなわち、プロテインAの構造
遺伝子中の440番目のアミノ酸(シグナルペプチドを除
いて)であるAspまでの領域が好ましい。また、キャリ
アータンパク質は、プロテインAの成熟タンパク質中の
187番目のアミノ酸まで、すなわち、プロテインAの構
造遺伝子中の187番目のアミノ酸(シグナルペプチドを
除いて)であるLeuまでの領域が好ましい。
黄色ブドウ状球菌のプロテインAには、前記のように、
遺伝子の発現に関与するプロモーター、リボソーム結合
部位、分泌シグナル及びタンパク質をコードする領域が
含まれている。従って、プロテインAを導入したプラス
ミドは、分泌発現能を有し、タンパク質をコードする領
域の後に、ペプチド又は蛋白質をコードする遺伝子を連
結すると、タンパク質とペプチド前駆体とからなる融合
蛋白質を分泌発現する。
融合蛋白質の処理に用いるプロテアーゼとしては、ジペ
プチドX1−X2、すなわち、Lys−Lys、Arg−Lys、Lys−A
rg、Arg−Arg又はPro−Argを特異的に認識し、かつ、ジ
ペプチドのC末端側、N末端側またはジペプチド間にお
ける特異的な加水分解を触媒するプロテアーゼである限
り、その起源を問わず使用できる。
Lys−Arg、Arg−Arg、Arg−Lys、Lys−Lys間の特異的に
加水分解するプロテアーゼとしては、大腸菌(Escheric
hia coli)由来のOmpTプロテアーゼ[プロテアーゼVII,
K.Sugimoto,et al.,J.Bacteriol.170,5625−5632(198
8)]、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella ty
phimurium)由来のE−Protein[J.Grodberg and J.J.D
unn,J.Bacteriol.171,2903−2905(1989)]、鎮痛ペプ
チドの生合成に関与するプロテアーゼ[W.Demmer and
K.Brand,Biochem.Biophy.Res.Commun.,138,356−362(1
986)]などが挙げられる。
Arg−Lys、Arg−ArgのN末端側を特異的に加水分解する
プロテアーゼとしては、例えば、ソマトスタチンの成熟
に関与するプロテアーゼ[P.Gluschankof,et al.,J.Bio
l.Chem.262,9615−9620(1987)]などが挙げられる。
Lys−Arg、Arg−ArgのC末端側を特異的に加水分解する
プロテアーゼとしては、例えば、IRCM−セリンプロテア
ーゼ(Serine Protease)1[J.A.Cromlish,et al.,J.B
iol.Chem.261,10850−10858(1986)]、POMC−コンバ
ーティングエンザイム(converting enzyme)[Y.P.Lo
h,et al.,J.Biol.Chem.260,7194−7205(1985)]、酵
母サッカロマイセス属[Saccharomyces,K.Mizuno,et a
l.,Biochem.biophys.Res.Commun.144,807−814(198
7)]、クライベロマイセス属(Kluyveromyces)、スポ
ロボロマイセス属(Sporobolomyces)、フィロバジジウ
ム属(Filobasidium)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、
イサチェンキア属(Issatchenkia)、ピキア属(Pichi
a)、ロドスポリジウム属(Rhodosporidium)、サッカ
ロミコプシス属(Saccharomycopsis)由来のプロテアー
ゼ(特開平1−191683号公報、特開平2−49585号公
報)などが挙げられる。
多くの生理活性ペプチドや蛋白質がLys−Arg、Arg−Arg
のC末端側における加水分解を受けて成熟型にプロセシ
ングされる。従って、Lys−Arg、Arg−Argを特異的に認
識し、かつそのC末端側における加水分解を触媒するプ
ロテアーゼが特に好ましい。さらに好ましいプロテアー
ゼは、酵母由来の塩基性アミノ酸残基対特異的プロテア
ーゼであり、このプロテアーゼは、Lys−Arg、Arg−Arg
(又はPro−Arg)のC末端側を特異的に加水分解し、Ar
g−Lys、Lys−Lys配列を切断しないこと、酵母起源であ
るため大量に調整することが比較的容易であること、一
般に安全性が高いことなどの理由から、特に好ましい。
前記プロテアーゼは、ジペプチドを特異的に認識し、か
つジプチドのC末端またはN末端を特異的に加水分解
し、目的ペプチド又は蛋白質を与える場合には、単独で
使用できる。
また、前記プロテアーゼは、融合蛋白質の構造およびジ
ペプチドの切断部位に応じて、ジペプチドのN末端から
塩基性アミノ酸を遊離するアミノペプチダーゼおよび/
またはC末端から塩基性アミノ酸を遊離するカルボキシ
ペプチダーゼと組合せて使用してもよい。
塩基性アミノ酸を特異的に認識し、ジペプチドのC末端
側またはN末端側から塩基性アミノ酸を遊離するカルボ
キシペプチダーゼまたはアミノペプチダーゼは、このよ
うな特異性を有する酵素であれば、その起源を問わず使
用可能である。カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチ
ダーゼとしては、例えば、カルボキシペプチダーゼB
(E.C.3.4.17.2)、カルボキシペプチダーゼE(エンケ
ファリン・コルベルターゼ、カルボキシペプチダーゼN
(E.C.3.4.17.3)、yscα[サッカロマイセス・セレビ
ジア由来のKEX1遺伝子産物;A.Dmochowska,et al.,Cell,
50,573−584(1987)]、アミノペプチダーゼB(E.C.
3.4.11.6)などが挙げられる。
目的とするペプチド及び蛋白質Cは、特に限定されな
い。ペプチド及び蛋白質Cには、例えば、インスリン、
ガストリン、各種オピオノイドペプチド、上皮細胞成長
因子、エンドセリン、VIP、心房性利尿ホルモン(AN
P)、サブスタンスP、カルシトニン、インシュリン様
成長因子I,II、ガラニン、モチリン、バソプレシンなど
の各種の生理活性ペプチドまたはこれらの前駆体;ヒル
ジン、エグリンC、分泌性白血球由来プロテアーゼイン
ヒビターなどの阻害剤、ヒトアルブミン、血液凝固因
子、リンフォカイン、神経成長因子、肝細胞再生因子な
どの各種の分化誘導因子、成長因子などの蛋白質が含ま
れる。
好ましいペプチドには、VIP前駆体が含まれる。このVIP
は28個のアミノ酸残基からなり、血管拡張作用や血流増
加作用などの薬理作用を有する[Science 169,1217(19
70)]。VIPは、下記のアミノ酸配列で表される。
H−His−Ser−Asp−Ala−Val−Phe−Thr−Asp−Asn−T
yr−Thr−Arg−Leu−Arg−Lys−Gln−Met−Ala−Val−L
ys−Lys−Tyr−Leu−Asn−Ser−Ile−Leu−Asn−NH2 このアミノ酸配列で表されるVIPは、17番目のアミノ酸
がLeuではなくMetである点で、先行技術文献[特開平1
−296996号公報およびEur.J.Biochem.178,343−350(19
88)]に記載のVIPと異なる。
VIP前駆体は、VIPのC末端にGly−X(式中、Xは、O
H、Lys−OH、Arg−OH、Lys−Arg−OH、またはArg−Lys
−OHを示す)が付加したものである。
本発明の1つの態様において、融合蛋白質は、下記式
[I a]又は[I b]で表されるように、前記キャリアー
Aと、目的とするペプチド又は蛋白質Cとが、酵素的に
切断可能なスペーサー配列B、すなわちジペプチドX1
X2を介して結合し、かつ前記宿主微生物により生産可能
であればよい。
A−B−C [I a] C−B−A [I b] 融合蛋白質の構造がA−B−C[I a]である場合に
は、Bを認識してそのC末端側を特異的に加水分解する
プロテアーゼを、C−B−A[I b]である場合には、
Bを認識してそのN末端側を特異的に加水分解するプロ
テアーゼを作用させ、目的とするペプチド又は蛋白質を
得ることが好ましい。
また、塩基性アミノ酸残基対を特異的に認識し、そのN
末端側、C末端側、またはその間を加水分解する適当な
プロテアーゼと、適当なエキソペプチダーゼとを組合せ
て目的物を得ることもできる。例えば、A−B−C[I
a]の構造を有する融合蛋白質に、Bを認識し、そのN
末端側またはその間で特異的に加水分解するプロテアー
ゼと、ペプチドのN末端側から塩基性アミノ酸のみを特
異的に遊離するアミノペプチダーゼとを共同して作用さ
せることにより、目的物を得ることもできる。また、C
−B−A[I b]の構造を有する融合蛋白質に、Bを認
識し、そのC末端側、またはその間で特異的に加水分解
するプロテアーゼと、ペプチド鎖のC末端側から特異的
に塩基性アミノ酸を遊離するカルボキシペプチダーゼと
の共同作用により、目的物を得ることもできる。
さらに、目的遺伝子産物が、例えばアミノ酸数が100個
以下の比較的低分子量のペプチドである場合には、その
生産量、生産性を高めるため、キャリアーに、目的ペプ
チドが複数連結したタンデム型融合蛋白質として生産す
る試みがなされている。タンデム型融合蛋白質法により
目的遺伝子産物を得るには、目的ペプチドを適当なスペ
ーサを介して結合させ、融合蛋白質からスペーサーを完
全に除去しなければならない。
このタンデム型融合蛋白質法に関して、例えば、Lysを
含まないペプチド(心房性ナトリウム利尿ペプチド、AN
P)を、Lys−Ser−Ser−Lysを介して結合したタンデム
型融合蛋白質を生産した後、リジルエンドペプチダー
ゼ、カルボキシペプチダーゼBの作用により、目的ペプ
チドを得ることが報告されている[M.Lennick,et al.,G
ene,61,103−112(1987)]。しかしながら、このよう
な方法は、Lysを含有しない目的ペプチドにしか適用で
きず、汎用性に欠ける。また、同様ないくつかの方法が
報告されているが(特開昭62−226998号公報、特開昭63
−71195号公報など)、これらの方法は、前記と同様
に、汎用性に欠けること、多段階の反応を必要とするこ
と、スペーサーの長さが大きいことなどの種々の問題が
ある。
本発明の方法は、このようなタンデム型融合蛋白質法に
より、目的ペプチドを生産する場合にも、極めて有用で
ある。すなわち、X1−X2で表されるジペプチドBを目的
ペプチド間に挿入したタンデム型融合蛋白質を前記特定
の微生物により生産した後、ジペプチドに特異的なプロ
テアーゼと、塩基性アミノ酸に特異的なアミノペプチダ
ーゼ、カルボキシペプチダーゼとを組合せて作用させる
ことにより、成熟型のペプチドを効率よく多量に得るこ
とができる。
なお、特殊な場合として、目的とするペプチド又は蛋白
質のC末端アミノ酸がProである場合には、スペーサと
してArgを挿入すると、クライベロマイセス・ラクティ
ス、スポロボロマイセス・オドラスなどの酵母由来の塩
基性アミノ酸残基対特異的プロテアーゼが、Pro−Arg配
列のC末端側も効率的に加水分解する。このことを利用
して、Pro−ArgのC末端側を前記プロテアーゼにより特
異的に加水分解した後、プロリンカルボキシペプチダー
ゼ(E.C.3.4.16.2)を作用させることにより、目的とす
るペプチド又は蛋白質を得ることができる。
タンデム型融合蛋白質は、下記式[II]又は[III]で
表される単位を少なくとも含み、かつ前記特定の宿主微
生物により生産可能であればよい。なお、前記微生物に
より生産可能であり限り、タンデム型融合蛋白質には、
キャリアーAが存在しなくてもよい。
B−C [II] C−B [III] [式中、Bは酵素的に切断可能なX1−X2(X1は、Lys、A
rg又はProを示し、X2は、Argを示す)で表されるジペプ
チドを示す。Cは目的とするペプチド又は蛋白質、nは
2以上の整数を示す] なお、前記式[II][III]中、N末端又はC末端にキ
ャリアーA、ジペプチドB又は目的ペプチドCが結合し
ていない場合には、N末端にはアミノ酸のH、C末端に
はアミノ酸のOHが結合している。
前記単位[II]を含むタンデム型融合蛋白質の構造とし
ては、例えば、 AB−C) [II a] CB−CnB−A [II b] CB−CnA [II c] CB−C) [IId] などが挙げられる。また、前記単位[III]を含むタン
デム型融合蛋白質の構造としては、例えば、 (C−BnA [III a] A−BC−BnC [III b] AC−BnC [III c] (C−BnC [IIId] などが挙げられる。
前記タンデム型融合蛋白質の構造の中で、キャリアーA
とジペプチドBとが結合した構造[II a][II b][II
I a][III b]や、キャリアーAと、タンデム化した目
的ペプチドC及びジペプチドBとが結合した構造[II
c][III c]、特に構造[II a][II b][II c]が好
ましい。
タンデム型融合蛋白質から目的ペプチド又は蛋白質を得
るには、融合蛋白質の結合様式に応じて、Bを特異的に
認識し、ジペプチドを特異的に加水分解するプロテアー
ゼと、必要に応じて、ペプチド鎖のC末端側またはN末
端側から塩基性アミノ酸を特異的に遊離するエンドペプ
チダーゼとを同時にまたは順次作用させればよい。より
具体的には、タンデム型融合蛋白質に、Bを特異的に認
識し、ジペプチドのC末端側で特異的にペプチド結合を
加水分解するプロテアーゼと、ペプチド鎖のC末端側か
ら塩基性アミノ酸を特異的に遊離するカルボキシペプチ
ダーゼとを同時にまたは順次作用させることにより、目
的とするペプチド又は蛋白質を得ることができる。ま
た、同様にBを特異的に認識し、ジペプチドのN末端側
を特異的に加水分解するプロテアーゼと、ペプチド鎖の
N末端側から塩基性アミノ酸を特異的に遊離するアミノ
ペプチダーゼを同時または順次作用させることにより、
目的とするペプチドまたは蛋白質を得ることができる。
さらに、Bを特異的に認識し、ジペプチド間を特異的に
加水分解するプロテアーゼと、ペプチド鎖のN末端側お
よびC末端側から塩基性アミノ酸を特異的に遊離するア
ミノペプチダーゼおよびカルボキシペプチダーゼを同時
または順次作用させることによっても、目的とするペプ
チドまたは蛋白質を得ることができる。
特に好ましい方法は、目的ペプチド間に、Lys−Arg又は
Arg−Arg配列を挿入したタンデム型融合蛋白質を生産し
た後、Lys−Arg又はArg−Argを特異的に認識し、ジペプ
チドのC末端側で加水分解を触媒するプロテアーゼと、
塩基性アミノ酸に特異的なカルボキシペプチダーゼとを
作用させて目的ペプチドを得る方法である。この方法
は、目的ペプチド間に挿入する配列が2アミノ酸と極め
て短いこと、挿入するジペプチドX1−X2がペプチド中に
殆ど存在しないため汎用性が極めて高いこと、2種類又
は3種類の酵素を同時に作用させることが可能であるた
め、操作が容易であり、ステップ数が少ない等の多くの
利点を有する。
目的とするペプチド又は蛋白質のN末端側やC末端側に
LysやArgが存在する場合には、その構造を十分に活かし
た融合蛋白質の構造を設計し、目的とするペプチド又は
蛋白質の構造に応じた切断方法が選択される。より詳細
には、いくつかのC末端アミド化ペプチドにおいて、そ
の生合成前駆体であるC末端Gly−Lys−Arg延長ペプチ
ドが、成熟型のペプチドよりも活性が強い例が報告され
ている(特開昭62−246595号公報)。このようなペプチ
ドを生産する場合には、ペプチド間にGly−Lys−Argを
スペーサーとして挿入したタンデム型融合蛋白質を生産
し、Lys−Argを特異的に認識し、そのC末端側を特異的
に加水分解するプロテアーゼを作用させることにより、
目的とするGly−Lys−Arg延長ペプチドを得ることがで
きる。同様なGly−Lys延長ペプチドは、Lys−Argを特異
的に認識し、そのC末端側において特異的に加水分解す
るプロテアーゼと、C末端側からArgのみを特異的に遊
離するカルボキシペプチダーゼとを同時に又は順次作用
させることによっても得ることができる。
本発明の製造方法の利点を、前記VIP−Glyを例にとっ
て、より具体的に説明する。VIP−Glyの内部には、前記
のように、Met、Arg、Arg−Lys、Lys−Lys、Aspなどの
プロセシングシグナルとなりうる配列が含まれているた
め、従来報告されている方法により、融合蛋白質からVI
P−Glyを切りだすのは困難である。しかしながら、酵母
由来の塩基性アミノ酸残基対特異的プロテアーゼは、X
−Arg(Xは、Lys、Arg又はProを示す)配列を特異的に
認識し、ジペプチドのC末端を優先的に加水分解する特
性を有している。このことを利用して、VIP−Glyの生産
が可能となる。すなわち、例えば、キャリアーとして、
プロテインAの1位から402位と、スペーサーであるArg
−Gly−Ser−Ser−Arg−Val−Asp−Val−Ile−Glu−Gly
−Arg−Met−Thr−Ile−Phe−Thr−Phe−Argとが結合し
たキャリアーを用い、目的ペプチドとして、5分子のVI
P−GlyをLys−Argを介して結合したペプチドを用い、前
記キャリアーとペプチドとが結合したタンデム型融合蛋
白質(以下、PAVIPG(P)R5と略称する)を、アルカリ
プロテアーゼ及び中性プロテアーゼの生産能を欠き、か
つプロテアーゼ活性が野生株の3%以下である枯草菌
に、spoOA△677変異遺伝子を導入したプロテアーゼ生産
性の低い菌株を宿主として菌体外に分泌生産する。前記
PAVIPG(P)R5には、血液凝固因子Xaの認識配列である
Ilu−Glu−Gly−Arg、カリクレインの認識配列であるPh
e−Arg、酵母クライベロマイセス・ラクティス由来の塩
基性アミノ酸残基対特異的プロテアーゼの認識配列であ
るLys−Argが含まれている。PAVIPG(P)R5を精製した
後、酵母クライベロマイセス・ラクティス由来の塩基性
アミノ酸残基対特異的プロテアーゼ(特開平2−49585
号公報;以下、PBRS−Proteaseと略称する)により単独
で限定分解することにより、Lys−ArgのC末端側の分解
が生じ、VIP−Gly−Lys−Arg及びVIP−Glyが生成する。
また、PAVIPE(P)R5に、PBRS−Proteaseとカルボキシ
ペプチダーゼとを同時に又は順次作用させることによ
り、VIP−Glyのみを得ることができる。
本発明において、前記融合蛋白質を生産する宿主微生物
としては、アルカリプロテアーゼ及び中性プロテアーゼ
の生産能を欠き、かつプロテアーゼ活性が野生株の3%
以下である枯草菌に、spoOA△677変異遺伝子を導入した
プロテアーゼ生産性の低い菌株であればよい。
枯草菌バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)
は、安全性が高く、菌体外に蛋白質を多量に分泌する。
そして、前記プロテアーゼ生産性の低い菌株をプラスミ
ドにより形質転換する場合には、宿主に由来するプロテ
アーゼによる融合蛋白質の分解を著しく抑制でき、VIP
−Glyなどのペプチドまたは蛋白質を効率よく多量に得
ることができる。
このような菌株には、例えば、特願平1−281440号にお
いて、本発明者らが提案したように、バチルス・サブチ
リス104HL株にspoOA△677変異遺伝子を導入したバチル
ス・サブチリスSPO11株(微工研菌寄第10987号)、バチ
ルス・サブチリスDY−16株にspoOA△677変異遺伝子を導
入したバチルス・サブチリスSPL14株(微工研菌寄第109
88号)などが含まれる。
融合蛋白質にプロテアーゼを作用させる条件は、使用す
るプロテアーゼに適合した緩衝液、添加物の共存下、並
びにpH条件下、添加物の共存下で行なうことができる。
前記添加物としては、例えば、尿素、塩酸グアニジン、
塩化カルシウム;ラウリル硫酸ナトリウム(以下、SDS
と略称する)、トリトン(Triton)X−100、ルブロー
ル(Lubrol)PXなどのイオン性、非イオン性又は両性界
面活性剤;メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、アセトニトリルなどの有機溶媒;ジイソプロピルフ
ルオロフォスフェイト(DFP)、フェニルメタンスルホ
ン酸フルオリド(PMSF)、パラクロロ水銀安息香酸(PC
MB)、ヨードアセトアミド(IAA)、エチレンジアミン
テトラアセテート(EDAT)、o−フェナントロリン、ロ
イペプチン、ペプスタチンAなどの阻害剤などが挙げら
れる。より具体的には、酵母クライベロマイセス・ラク
ティス由来の塩基性アミノ酸残基対特異的プロテアーゼ
PBRS−Proteaseを用いる場合には、pH6〜10、好ましく
は6〜8程度、温度15〜60℃、好ましくは25〜50℃程度
の反応条件で行なうことができる。また、添加物の濃度
は、適宜選択でき、例えば、塩化カルシウムの好ましい
濃度は0.01〜10mM程度、尿素の好ましい濃度は0.1〜6M
程度、SDSの好ましい濃度は0.001〜0.1%程度、ルブロ
ールPXの好ましい濃度は0.01〜10%程度である。pHは、
適当な酸や塩基の添加により調整してもよく、適当な緩
衝液、例えば、トリス−塩酸、リン酸、コハク酸、酢
酸、3,3−ジメチルグルタル酸、フマル酸などを含む緩
衝液により調整してもよい。
酵素は、高純度のものを使用するのが好ましいが、基質
融合蛋白質の目的とする部位以外で加水分解が生じない
程度であれば、純度は問わない。また、純度の低い酵素
と阻害剤とを共存させて反応させてもよい。この場合、
阻害剤として、利用するプロテアーゼを阻害せず、かつ
目的とする部位以外で加水分解する夾雑プロテアーゼの
作用を阻害する阻害剤を用いると、目的とする部位以外
でのプロテアーゼによる分解を抑制することも可能であ
る。
酵素量は、基質融合蛋白質1μモルを限定分解するため
には、プロテアーゼ0.001〜100U、好ましくは0.01〜10U
程度である。なお、1Uは、低分子の合成基質、例えばBo
c−Gln−Arg−Arg−MCA(Bocはt−ブトキシカルボニル
基、MCAは4−メチルクマリル−7−アミドを示す)を
用いて目的とする部位(Arg−ArgとMCAの間)において
1分間に1μモルの基質の加水分解を触媒する酵素量で
ある。カルボキシペプチダーゼを共存又は独立して反応
させる場合、カルボキシペプチダーゼの使用量は、エン
ド型プロテアーゼに対して、0.01〜10000倍程度、好ま
しくは10〜1000倍程度の活性を有する量である。
基質融合蛋白質と酵素との反応は、遊離の酵素、または
担体に酵素を固定化した固定化酵素を用いてバッチ式で
行なってもよい。固定化酵素の担体としては、慣用の担
体、例えば、ポリアクリルアミド、キチン、デキストラ
ン、κ−カラギーナン、セライト、セルロースなどが挙
げられる。また、反応は、遊離の酵素と膜型のバイオリ
アクターとを組合せて行なってもよく、固定化酵素を用
いて連続式バイオリアクターなどを用いて行なってもよ
い。
前記融合蛋白質を生産する宿主微生物は、慣用の遺伝子
操作技術により調製できる。例えば、キャリアーAが連
結された融合蛋白質を生産する宿主微生物を例にとって
説明すると、次の通りである。
先ず、前記融合蛋白質の構造に対応させて、キャリアー
Aをコードする遺伝子と、ペプチド又は蛋白質Cをコー
ドする遺伝子とを、前記ジペプチドBをコードする遺伝
子を介して連結する。得られた遺伝子断片に、発現のた
めの制御部位であるプロモーター、リボソーム結合部
位、及び必要に応じて分泌シグナルを連結し、得られた
DNA断片を、ベクターDNAに連結することにより、プラス
ミドを構築できる。なお、キャリアーとして前記プロテ
インAなどを用いる場合には、プロモーター、リボソー
ム結合部位、分泌シグナル及び蛋白質をコードする遺伝
子を、ベクターに導入する必要はない。DNAの連結に
は、通常の連結技術、例えば制限酵素を用いて切断した
DNAとベクターDNAとをリガーゼを用いて連結する制限酵
素法、リンカー法などにより構築できる。
なお、ベクターDNAは、前記宿主微生物により複製可能
なDNAであればよい。このようなベクターとしては、例
えば、スタフィロコッカス属由来のプラスミドpUB110、
pC194、pBD64、pE194、pSAO501、pT127およびこれらの
誘導体が挙げられる。好ましいベクターDNAは、プラス
ミドpUB110のDNAである。これらのプラスミドを有する
バチルス・サブチリスは、いずれもオハイオ大学バチル
スストックセンター(住所:484,West 12th Avenue,Colu
mus Ohaio,43210 U.S.A.)から入手できる。
また、タンデム型融合蛋白質を生産させる場合、複数の
ペプチドをコードする遺伝子の構築、各遺伝子断片の連
結には、慣用の遺伝子操作法が利用できる。その際、大
腸菌の宿主ベクターなどを利用することもできる。例え
ば、タンデム型遺伝子の構築をVIP−Glyを例にとって説
明すると、次の通りである。複数のVIP−Glyをコードす
る遺伝子の構築には、VIP−Gly遺伝子の5′側に、制限
酵素Tth111Iの切断認識塩基配列であるGACNNNGTCが存在
することを利用できる。前記制限酵素Tth111Iによる切
断片は、突出末端であるが対称構造を有していないの
で、制限酵素Tth111Iによる切断部位を利用して、ペプ
チドをコードする複数の遺伝子を目的の方向に導入する
切断点として極めて有用である。すなわち、挿入するVI
P−Gly遺伝子として、5′側に制限酵素Tth111Iの切断
部位を有し、3′側に前記制限酵素の切断部位を有しな
い遺伝子を合成する。一方、VIP−Gly遺伝子が導入され
たプラスミドを制限酵素Tth111Iで切断すると共に、
5′側のリン酸残基をアルカリホスファターゼにより除
去し、前記挿入するVIP−Gly遺伝子をDNAリガーゼによ
り連結する。得られたベクターにより大腸菌を形質転換
すると共に、形質転換株を培養し、2つのVIP−Gly遺伝
子が導入されたプラスミドを調製する。上記操作を繰返
し行なうことにより、このTth111I切断部位を利用し
て、理論的には、何回でも、VIP−Gly遺伝子のタンデム
化が可能であり、複数のVIP−Gly遺伝子が連結されたプ
ラスミドを調製できる。
なお、制限酵素Tth111Iが認識する切断部位を、VIP−Gl
y以外の他のペプチドのコードする遺伝子の5′側に付
加し、前記と同様にして順次連結することにより、他の
ペプチドをコードする遺伝子をタンデム化できる。
前記ペプチドをコードする遺伝子の数は、2以上であれ
ばよいが、通常、2〜20程度である。
複数のペプチドをコードする遺伝子は、生物から抽出し
てもよく、化学合成してもよい。複数個のペプチドをコ
ードする遺伝子として、化学合成した遺伝子を複数用い
るのが好ましい。また、複数のペプチドは、同種の複数
のペプチドで構成されていてもよく、異種の複数のペプ
チドで構成されていてもよい。
前記のようにして得られたプラスミドにより、宿主微生
物を形質転換することにより、融合蛋白質を生産する微
生物が得られる。前記プラスミドによる宿主微生物の形
質転換は、慣用の方法、例えば、チャン(Chang)らの
プロトプラスト化法[Chang,S.,et al.,Mol.Gen.Gene
t.,168,111−115(1979)]などを利用して行なうこと
ができる。
前記融合蛋白質は、前記形質転換された宿主微生物を培
養することにより得られる。なお、融合蛋白質が菌体内
やペリプラズムに蓄積される場合には、慣用の方法、例
えば、菌体を破砕することにより、融合蛋白質を得るこ
とができる。宿主微生物の培養は、慣用の液体培養に準
じて行なうことができる。すなわち、形質転換株の培養
は、慣用の成分、例えば、無機塩、炭素源、窒素源、増
殖因子成分などを含む液体培地で、振盪培養又は通気攪
拌培養法により行なうことができる。培地のpHは、例え
ば、7〜8程度である。培養は、微生物の培養に採用さ
れる通常の条件、例えば、温度15〜45℃、好ましくは25
〜40℃、培養時間6〜60時間程度の条件で行なうことが
できる。
本発明の製造方法は、医薬などとして有用なペプチドお
よび蛋白質を得る上で有用である。
[発明の効果] 本発明のペプチド又は蛋白質の製造方法は、特定のプロ
セシングシグナルであるジペプチドを、特異的な酵素に
より切断するので、汎用性があり、大量処理が可能であ
る。
また、特定の宿主微生物により異種の融合蛋白質を生産
させるので、宿主に由来するプロテアーゼによる融合蛋
白質の分解を著しく抑制でき、融合蛋白質から目的遺伝
子産物であるペプチド又は蛋白質を切りだすことによ
り、高い収率で目的のペプチドまたは蛋白質を得ること
ができる。
さらには、融合蛋白質を生産した後、インビトロ(in v
itro)で分解し、ペプチド又は蛋白質を製造できる。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例で用いた酵素は、いずれも寳酒造
(株)製の酵素であり、それらの仕様に記載されている
条件で反応を行った。
実施例1 融合蛋白質PAVIPG(P)R5からVIP−Gly−Lys−Arg及び
VIP−Glyの切りだし (1)塩基性アミノ酸残基対特異的プロテアーゼの調製 クライベロマイセス・ラクティス(IFO 1903)をYM培地
30中で2日間培養し、培養液を遠心分離して湿重量31
4gの菌体を回収した。この菌体を300mlの緩衝液1[10m
Mのトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)、0.5mMの塩化カルシ
ウム]に懸濁し、ダイノーミルで菌体を粉砕し、粉砕液
を、1700g、10分間の遠心分離に供し菌体残渣を除去
し、得られた上清を、150000g、60分の超遠心分離に供
し、沈澱として膜画分79.4gを調整した。この膜画分を6
00mlの抽出用緩衝液[10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.
0)、3%のルブロールPX、0.1Mの塩化ナトリウム]に
懸濁し、一晩攪拌して酵素を抽出し、超遠心分離に供
し、上清として膜抽出液を得た。
この抽出液を50℃で30分間熱処理し、生成した沈澱を、
39000g、20分間の遠心分離により除去し、限外濾過によ
り濃縮した後、緩衝液2[10mMのトリス−塩酸緩衝液
(pH7.0)、0.5mMの塩化カルシウム、0.2%のルブロー
ルPX]に透析して得られた画分を熱処理膜抽出液とし
た。
この画分を緩衝液2で予め平衡化したDEAE−トヨパール
650M(2.5×40cm)に注入し、同緩衝液で十分に洗浄し
た後、0〜0.6M塩化ナトリウムの勾配溶出法により酵素
を溶出し活性画分を得た。
活性画分を限外濾過により濃縮した後、0.5Mの塩化ナト
リウムを含む緩衝液2を、予め平衡化したコンカナバリ
ンA(Con A)−セファロース(1.6×25cm)に注入し、
同緩衝液で十分洗浄した後、0.5Mの塩化ナトリウム、0.
67Mのα−メチル−D−マンノシドを含む緩衝液2で溶
出した。活性画分を濃縮し、Con A−セファロース画分
とした。
Con A−セファロース画分を緩衝液2に透析し、同緩衝
液で予め平衡化したアルギニン−セファロース(1.6×5
0cm)に注入し、十分に平衡化した後、0〜0.5M塩化ナ
トリウム勾配溶出法により溶出し、活性画分を限外濾過
により濃縮し、アルギニン−セファロース画分とした。
アルギニン−セファロース画分を緩衝液2に透析し、同
緩衝液で予め平衡化したモノQ(Mono Q、0.5×5.0cm)
に注入し、同緩衝液で十分に洗浄した後、0〜0.5M塩化
ナトリウム勾配溶出法により溶出したところ、活性画分
として2つのピーク得られた。これらの画分を別個に回
収して濃縮し、それぞれMono Q−I、Mono Q−II画分と
した。これらの画分を別個に緩衝液2に透析し、予め同
緩衝液で平衡化したベンズアミジン−セファロース(1.
6×5.0cm)に注入し、同緩衝液で十分に洗浄した後、0
〜0.5M塩化ナトリウム勾配溶出法により酵素を溶出し
た。得られた活性画分をそれぞれBenz−I、Benz−II画
分とした。
塩基性アミノ酸残基対特異的プロテアーゼの精製工程の
要約を表1に示す。
(2)プラスミドpMD200の構築 バチルス・サブチリスを宿主とし、スタフィロコッカス
・アウレウスのプロテインA遺伝子を発現し、培養上清
中にプロテインAを分泌生産するプラスミドpMD200の構
築図を第1図に示す。
プロテインA遺伝子を含むプラスミドpDCP2411(特開昭
63−245677号公報参照)は、スタフィロコッカス・アウ
レウスの1菌株からクローニングしたプロテインA遺伝
子を、大腸菌で複製可能なプラスミドpUC118に連結した
プラスミドである。pDCP2411の取得法、およびpDCP2411
に含まれるプロテインA遺伝子の全塩基配列は、前記特
開昭63−245677号公報に詳細に記載されている。このプ
ラスミドを含む大腸菌形質転換株から、アルカリ法[Sa
mbrook.,et al.,Moleculer Cloning.,1,33(1989)]に
よりpDCP2411を調製した。
pDCP2411を制限酵素EcoRIとBamHIとで切断し、生成した
プロテインA遺伝子を含む約1.9kbのDNA断片(以下、プ
ロテインA遺伝子断片という)をアガロースゲル電気泳
動法を用いて分離した後、電気溶出法を用いて溶出し、
精製した[Sambrook.et al.,Molecular Cloning,6,28
(1989)]。前記プロテインA遺伝子断片は、プロテイ
ンA遺伝子のプロモーター、リボソーム結合部位、分泌
のためのシグナル配列、およびプロテインAの構造遺伝
子を含んでいる。
次いで、ベクターとなるpUB110を制限酵素EcoRIとBamHI
とで切断し、生じた約3.7KbkbのDNA断片(以下、pUB110
ベクター遺伝子断片という)を、上記と同様にして、ア
ガロースゲル電気泳動法を用いて分離した後、電気溶出
法を用いて溶出し、精製した。
プロテインA遺伝子断片と、pUB110ベクター遺伝子断片
とを、T4DNAリガーゼを用いて連結し、プラスミドpMD20
0を構築した。
(3)VIPをコードする遺伝子を含むプラスミドの構築 VIP遺伝子を構築するため、VIPのアミノ酸配列に従っ
て、対応する遺伝子コドンを枯草菌のコドン使用頻度に
合せ、下記の8種類の遺伝子を、ABI430A DNA合成装置
で作製した。
T4−DNAキナーゼを用いて、それぞれの合成DNAの5′末
端にリン酸を付加した。また、プラスミドpUC19を制限
酵素XbaIとSphIとで切断し、DNAリガーゼにより、5′
末端にリン酸を付加したそれぞれの合成DNAを、pUC19の
XbaI−SphI間に挿入し、VIP−Gly遺伝子を含むプラスミ
ドpMD321aを構築した。第2図にプラスミドpMD321aの構
築図を示す。
得られたpMD321aにおける合成遺伝子部分の塩基配列お
よびアミノ酸配列を以下に示す。
この合成遺伝子部分は、VIP−Glyをコードする塩基配列
と、その全に存在する、血液凝固因子Xaの認識配列IleG
luGlyArg、BrCNにより切断されるMet、およびプロテイ
ンCの認識配列ThrIlePheThrPheArgをコードする遺伝子
より構築されている。
また、VIP−Gly遺伝子の下流には、2つの終始コドン
(TAATAG)の後に、枯草菌のズブチリシンのターミネー
ター[M.Honjo.et al.,J.Biotechnology,2,75−85(198
5)]が存在する。
(4)5分子のVIPをコードする遺伝子を含むプラスミ
ドの構築 5分子のVIPをコードする遺伝子(以下、タンデム型VIP
遺伝子という)を含むプラスミドpMD321R5aの構築図を
第3図に示す。
pMD321aのVIP−Gly遺伝子の5′側には、制限酵素Tth11
1Iの切断認識塩基配列であるGACGCAGTCが存在する。一
方、第3図に示されるように、挿入するVIP遺伝子の
5′側にTth111I切断部位を残し、3′側が切断不能な
遺伝子を合成した。
また、タンデム化したVIP−Glyを切断して回収するた
め、塩基性残基対特異的プロテアーゼ(特開平2−4958
5号公報)による切断の認識配列であるLys−Argに対応
する遺伝子を導入し、第3図に示すように、タンデム化
のためのVIP−Gly−Lys−Arg遺伝子を合成した。
次いで、pMD321aをTth111Iで完全に切断し、アルカリホ
スファターゼにより、この5′側のリン酸基を除去し
た。そして、作製したタンデム化のためのVIP−Gly−Ly
s−Arg遺伝子と混合し、DNAリガーゼにより連結した
後、大腸菌JM109株を形質転換した。
得られたアンピシリン耐性の形質転換株からプラスミド
遺伝子を調製し、目的通りVIP−Gly遺伝子が2個タンデ
ムに連結されたプラスミドpMD321R2aを構築した。
得られたpMD321R2aは、2個のタンデムに繋ったVIP−Gl
y遺伝子の5′領域付近にTthl11Iよる切断点を唯一有し
ている。
そして、pMD321R2aをTth111Iで切断し、アルカリホスフ
ァターゼにより5′領域を脱リン酸化した後、タンデム
化のためのVIP−Gly−Lys−Arg遺伝子と混合し、DNAリ
ガーゼにより連結した後、大腸菌JM109株を形質転換し
た。得られたアンピシリン耐性形質転換株からプラスミ
ドを調製し、目的の遺伝子が3個タンデムに導入された
プラスミドpMD321R3aを得た。同様の操作をさらに繰返
し、5個のVIP−Gly遺伝子が、Lys−Argを介して、タン
デムに連結されたpMD321R5aを作製した。
(5)プラスミドpMD500R5の構築 バチルス・サブチリスを宿主とし、5分子のVIPを含む
ペプチド前駆体(以下、ペプチド前駆体という)を分泌
するプラスミドpMD500R5の構築を第4図に示す。
前記プラスミドpMD200を制限酵素PstIで切断した後、DN
Aブランチングキット(Blunting Kit)を用いて末端を
平滑化し、さらに制限酵素SphIで切断し、約5.5Kbの断
片をアガロースゲル電気泳動法により精製し、タンデム
型VIP遺伝子を組込むためのベクターとした。
ベクターに組込むタンデム型VIP遺伝子は、前記プラス
ミドpMD321R5aを制限酵素KpnIで切断した後、DNAブラン
チングキットを用いて末端を平滑化し、さらに制限酵素
SphIで切断し、約0.5Kbの断片をポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法により精製することにより取得した。この
DNA断片は、血液凝固因子Xa、及びプロテインCの認識
するアミノ酸配列をコードする遺伝子の下流に、タンデ
ム型VIP遺伝子が連結した構造を有している。また、各V
IP遺伝子のC末端には、VIPをアミド化するため、Glyを
コードする遺伝子を連結している。さらに、VIP−Glyを
コードする遺伝子の間には、ペプチド前駆体タンパク質
からVIP−Glyを切断して回収するため、塩基性アミノ酸
残基特異的プロテアーゼの一種であるPBRS−プロテアー
ゼの認識配列Lys−Argをコードする遺伝子が挿入されて
いる。
次いで、ベクターDNAとタンデム型VIP遺伝子断片とをT4
リガーゼを用いて連結し、ペプチド前駆体タンパク質分
泌プラスミドpMD500R5を構築した。このpMD500R5は、バ
チルス・サブチリスを宿主とし、キャリアーと、目的ペ
プチドである5分子のVIP−GlyがLys−Argを介して結合
した領域とが結合した構造を有するプラスミドである。
キャリアーは、プロテインAの1位から402位と、スペ
ーサーである血液凝固因子Xa及びプロテインCの認識配
列に相当するアミノ酸配列を含むArg−Gly−Ser−Ser−
Arg−Val−Asp−Val−Ile−Glu−Gly−Arg−Met−The−
Ile−Phe−Thr−Phe−Argとが結合して構成されてい
る。
(6)バチルス・サブチリスを宿主とした融合蛋白質PA
VIPG(P)R5の生産と精製 チャン(Chang)らの方法[Chang,S.,et al.,Mol.Gen.G
enet.,168,111−115(1979)]に従って、pMD500R5によ
りバチルス・サブチリスSPL14(FERM P−10988)を形
質転換した。得られた形質転換株バチルス・サブチリス
SPL14(pMD500R5)(微工研菌寄第11742号)により分泌
される融合蛋白質を以下のようにして精製した。
先ず、0.5Mコハク酸を含むMedium A培地4を用いて、
SPL14(pMD500R5)を37℃で16時間振盪培養した。培養
停止後、濃度を10mMになるようにプロテアーゼ阻害剤で
あるフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)、
EDTAを添加し、4℃、5000rpmの条件で、30分間遠心分
離し、菌体を除いた。得られた培養上清を0.22μmのフ
ィルターで濾過した後、培養上清3.61mlを、300mlのIgG
−セファロースゲル(ファルマシア(株)製)を充填し
たカラムに約6ml/分の流速で注入し、融合蛋白質を精製
した。さらに、カラムを、TSTブァッフアー[50mMのト
リス塩酸(pH7.6)、150mMのNaCl、0.05%のツイーン
(Tween)20]2.88を用い、流速4ml/分の条件で洗浄
した後、0.1M酢酸(pH3.0)を用いて、流速4ml/分の条
件で融合蛋白質を溶出した。この時、溶出液は、1/2倍
量の0.2M重炭酸アンモニウム溶液を用いて直ちに中和し
た。得られた融合蛋白質溶出液を、限外濾過(分子量カ
ット10000)のフィルターを用いて濃縮した後、融合蛋
白質を以下の条件で分取した。
カラム Phenyl−5PWRP 内径21.5mm×15cm 流速 6ml/分 溶媒 A:0.05%トリフルオロ酢酸 B:0.044%トリフルオロ酢酸 /60%アセトニトリル 傾斜 27.5〜30%/50分、 120ml/% そして、分取した成分を凍結乾燥することにより、目的
とする分子量64000の融合蛋白質を得た。
融合蛋白質中のVIP量を、「酵素免疫測定法」(石川栄
治他編集、医学書院)記載のVIP−Glyの酵素免疫測定法
により、次に示す方法で測定した。
先ず、VIPを用いてウサギを免疫し、抗VIP血清を得た。
この抗VIP血清より「酵素免疫測定法」の第83−92頁記
載のマレイミド−ヒンジ法により抗VIP−IgG、抗VIP−
F(ab′)、抗VIP−ペルオキシダーゼ標識−Fab′を
調製した。
酵素免疫測定法によるVIP−Glyの測定は、以下の手順で
行った。
ELISAプレート(96穴)に抗VIP−F(ab′)を吸着さ
せ、1%牛血清アルブミンでブロッキングした。このプ
レートに被試験液を添加したVIP−Glyを、固相に吸着し
た抗VIP−F(ab′)に結合させた後、洗浄し、更に
抗VIP−ペルオキシダーゼ標識−Fab2を添加し、固相に
結合したVIP−Glyをサンドイッチした。遊離の標識抗体
を除去した後、10mMオルト−フェニレンジアミン(OP
D)、0.025%過酸化水素、50mM酢酸ナトリウム緩衝液
(pH5.0)を含む反応液を添加し、ペルオキシダーゼの
反応により生成する色素を波長490nmの吸収で測定し
た。
標準物質として、アプライド・バイオシステムズ(AB
I)社製のペプチド合成装置により固相合成し、逆相高
速液体クロマトグラフィーにより精製し、アミノ酸組成
を確認したVIP−Glyを用いた。
その結果、目的とする融合蛋白質が分泌生産されてお
り、ELISAにおいて、VIP活性を示したピークの波長214n
mの吸収からタンパク質量を算出したところ、4の培
養液から、約37mgの融合蛋白質が得られた。
以下に、融合蛋白質PAVIPG(P)R5の構造を模式的に示
す。なお、目的とするペプチド(VIP−Gly)を、2重線
のアンダーラインで示し、ファクターXa、カリクレイ
ン、塩基性アミノ酸残基対特異的プロテアーゼの認識部
位を、1重線のアンダーラインで示す。
(7)融合蛋白質PAVIPG(P)R5からVIP−Gly、VIP−G
ly−Lys−Argの切りだし 融合蛋白質100μg(1.55nモル)を、前記ステップ
(1)で精製した塩基性アミノ酸残基対特異的プロテア
ーゼ(Benz−I画分)0.05mU[1Uは、30℃、50mMのトリ
ス塩酸(pH7.0)、0.1%のルブロール(Lubrol)PX、0.
5mMのCaCl2中において、0.1mMのBoc−Gln−Arg−Arg−M
CA(Bocはt−ブトキシカルボニル基、MCAは4−メチル
クマリル−7−アミドを示す)と反応させる条件におい
て、1分間に1μモルのAMCを遊離する活性とした]
と、50mMのトリス塩酸(pH7.0)、1mMのCaCl2中、37℃
で反応させた。反応時間0時間、6時間における逆相高
速クロマトグラフィーのクロマトグラムを第5図(A)
(B)に示す。切断反応の進行に伴いピーク1、ピーク
2が主に出現した。このピーク1、ピーク2を逆相高速
クロマトグラフィーにより分取し、プロテインシーケン
サーによりそのアミノ酸配列を解析したところ、ピーク
1はVIP−Gly−Lys−Arg、ピーク2はVIP−Glyと完全に
一致した。
実施例2 融合蛋白質PAVIPG(P)R5からVIP−Glyの切り出し 融合蛋白質100μg(1.55nモル)を実施例1のステップ
(1)で精製した塩基性アミノ酸残基対特異的プロテア
ーゼ(Benz−I画分)0.1mU(1Uは、前記と同様な活性
を意味する)、及びカルボキシペプチダーゼB(シグマ
社製)50mU[1Uは、25mMトリス塩酸(pH8.0)中におい
て、1mMのBz−Gly−Arg(Bzはベンジルオキシカルボニ
ル基を示す)と25℃で反応させた条件下において、1分
間に1μモルのArgを遊離する酵素活性とした]と、50m
Mのトリス塩酸(pH7.0)、1mMのCaCl2中、37℃で反応さ
せた。反応時間0時間、4時間における逆相高速クロマ
トグラフィーのクロマトグラムを第6図(A)(B)に
示す。切断反応の進行に伴い、前記実施例1においてVI
P−Glyと同定された1つのピークが主に出現し、VIP−G
ly−Lys−Argは殆ど出現しなかった。
比較例1 融合蛋白質PAVIPG(P)R5の血液凝固因子Xaによる限定
分解 100μgの融合蛋白質PAVIPG(P)R5と血液凝固因子Xa
(ベーリンガー・マイハイム・山内社製)15.5pモル
を、50mMのトリス塩酸(pH8.0)、1mMのCaCl2、0.1MのN
aCl中で反応させたところ、目的とするIle−Glu−Gly−
ArgのC末端側だけではなくVIP内部のArg14−Lys間にお
いても切断反応が生じ、目的とする蛋白質[Met−Thr−
Ile−Phe−Thr−Phe−Arg−(VIP−Gly)−VIP−Gl
y]は得られなかった。
比較例2 融合蛋白質PAVIPG(P)R5のカリクレインによる限定分
解 100μgの融合蛋白質PAVIPG(P)R5とカリクレイン
(ヒト血清、シグマ社製)15.5pモルを、50mMのトリス
酸塩(pH8.0)、1mMのCaCl2、0.1MのNaCl中で反応させ
たところ、VIP内部のArg14−Lys間、並びにVIP−Gly−
(14−29)内において更に切断反応が生じたため、目的
とする蛋白質[(VIP−Gly−Lys−Arg)−VIP−Gly]
は得られなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図はプラスミドpMD200の構築図、 第2図はプラスミドpMD321aの構築図、 第3図はプラスミドpMD321R5aの構築図、 第4図はプラスミドpMD500R5の構築図である。 第5図(A)(B)は実施例1における反応液の逆相高
速クロマトグラフィーによる溶出パターンを示すクロマ
トグラム、 第6図(A)(B)は実施例2における反応液の逆相高
速クロマトグラフィーによる溶出パターンを示すクロマ
トグラムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−199578(JP,A) 特開 昭63−71195(JP,A) 特開 平2−49585(JP,A) 特開 昭61−268193(JP,A) J.Biol.Chem.,Vol. 262,No.20,P.9615−9620(1987) J.Bacteriol.,Vol. 170,P.5625−5632(1988)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式[I a]又は[I b] A−B−C [I a] C−B−A [I b] [式中、Aはキャリアーを示し、Bは酵素的に切断可能
    なX1−X2(X1は、Lys、Arg又はProを示し、X2は、Lys又
    はArgを示す。但し、X1がProであるとき、X2はArgであ
    る。また、X1は、式[I a]においてはAのC末端側
    に、式[I b]においてはCのC末端側に結合し、X
    2は、式[I a]においてはCのN末端側に、式[I b]
    においてはAのN末端側に結合している)で表されるジ
    ペプチドを示す。Cは目的とするペプチド又は蛋白質を
    示す] で表される融合蛋白質を、宿主微生物として、アルカリ
    プロテアーゼ及び中性プロテアーゼの生産能を欠き、か
    つプロテアーゼ活性が野生株の3%以下である枯草菌
    に、spoOA△677変異遺伝子が導入されたプロテアーゼ生
    産性の低い枯草菌を用いて生産した後、少なくとも、前
    記ジペプチドを特異的に認識し、かつジペプチドのペプ
    チド結合を特異的に加水分解するプロテアーゼで処理す
    るペプチド又は蛋白質の製造方法。
  2. 【請求項2】少なくとも、下記式[II]又は[III] B−C [II] C−B [III] [式中、Bは酵素的に切断可能なX1−X2(X1は、Lys、A
    rg又はProを示し、X2は、Lys又はArgを示す。但し、X1
    がProであるとき、X2はArgである)で表されるジペプチ
    ドを示す。Cは目的とするペプチド又は蛋白質、nは2
    以上の整数を示す] で表される単位を含む融合蛋白質を、宿主微生物とし
    て、アルカリプロテアーゼ及び中性プロテアーゼの生産
    能を欠き、かつプロテアーゼ活性が野生株の3%以下で
    ある枯草菌に、spoOA△677変異遺伝子が導入されたプロ
    テアーゼ生産性の低い枯草菌を用いて生産した後、少な
    くとも、前記ジペプチドを特異的に認識し、かつジペプ
    チドのペプチド結合を特異的に加水分解するプロテアー
    ゼで処理するペプチド又は蛋白質の製造方法。
  3. 【請求項3】プロテアーゼ生産性の低い枯草菌が、バチ
    ルス・サブチリス104HL株にspoOA△677変異遺伝子が導
    入されているバチルス・サブチリスSPO11株(微工研菌
    寄第10987号)、または、バチルス・サブチリスDY−16
    株(微工研菌寄第9488号)にspoOA△677変異遺伝子が導
    入されているバチルス・サブチリスSPL14株(微工研菌
    寄第10988号)である請求項1又は請求項2記載のペプ
    チド又は蛋白質の製造方法。
  4. 【請求項4】プロテアーゼが、ジペプチドを特異的に認
    識し、かつジペプチドのC末端を特異的に加水分解する
    請求項1又は請求項2記載のペプチド又は蛋白質の製造
    方法。
  5. 【請求項5】融合蛋白質を、(a)ジペプチドを特異的
    に認識し、かつジペプチドのN末端、C末端又はジペプ
    チド間を特異的に加水分解するプロテアーゼと、(b)
    ジペプチドのN末端又はC末端側から塩基性アミノ酸を
    遊離するアミノペプチダーゼ又はカルボキシペプチダー
    ゼとで処理する請求項1又は請求項2記載のペプチド又
    は蛋白質の製造方法。
  6. 【請求項6】プロテアーゼが、酵母サッカロマイセス
    (Saccharomyces)属、クライベロマイセス(Kluyverom
    yces)属、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属、
    フィロバジジウム(Filobasidium)属、ハンゼヌラ(Ha
    nsenula)属、イサチェンキア(Issatchenkia)属、ピ
    キア(Pichia)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidiu
    m)属、及びサッカロミコプシス(Saccharomycopsis)
    属由来の少なくとも一種のプロテアーゼである請求項
    1、2、4または5に記載のペプチド又は蛋白質の製造
    方法。
  7. 【請求項7】N末端側から塩基性アミノ酸を特異的に遊
    離するアミノペプチダーゼが、アミノペプチダーゼB
    (E.C.3.4.11.6)である請求項5記載のペプチド又は蛋
    白質の製造方法。
  8. 【請求項8】C末端側から塩基性アミノ酸を特異的に遊
    離するカルボキシペプチダーゼが、カルボキシペプチダ
    ーゼB(E.C.3.4.17.2)、カルボキシペプチダーゼE
    (エンケファリン・コンベルターゼ)、カルボキシペプ
    チダーゼN(E.C.3.4.17.3)、及びyscαの少なくとも
    一種である請求項5記載のペプチド又は蛋白質の製造方
    法。
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