JPH09234076A - ヒトcgrp前駆体およびその調製方法 - Google Patents

ヒトcgrp前駆体およびその調製方法

Info

Publication number
JPH09234076A
JPH09234076A JP8068990A JP6899096A JPH09234076A JP H09234076 A JPH09234076 A JP H09234076A JP 8068990 A JP8068990 A JP 8068990A JP 6899096 A JP6899096 A JP 6899096A JP H09234076 A JPH09234076 A JP H09234076A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cgrp
fusion protein
protein
formula
gly
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP8068990A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiko Kaminuma
敏彦 上沼
Tsutomu Soma
勤 相馬
Masahiro Tajima
正裕 田島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Shiseido Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shiseido Co Ltd filed Critical Shiseido Co Ltd
Priority to JP8068990A priority Critical patent/JPH09234076A/ja
Publication of JPH09234076A publication Critical patent/JPH09234076A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトカルシトニン関連遺伝子(CGRP)の
効率的な生産を可能にする手段の提供。 【解決手段】 特定鎖長のペプチド配列をCGRPのN
末端側に残存するように発現できる融合タンパク質をコ
ードするDNA、その発現、およびCGRPの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトカルシトニン
遺伝子関連ペプチド(以下、ヒトCGRPという)を有
利に製造できる、ヒトCGRPを含む融合タンパク質、
その融合タンパク質をコードするDNA、該DNAを用
いる前記融合タンパク質の製造方法に関する。さらに、
本発明は、ヒトCGRPを含むヒトCGRP中間体およ
びその調製方法、ならびに該中間体からのヒトCGRP
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒトCGRPは、配列番号:1に示され
る37個のアミノ酸残基からなり、かつN末端がアミド
化されている化合物であって、血管拡張作用等を有し、
高血圧の治療等の用途が検討されている興味深いペプチ
ドである。特表昭60−501562号公報には、ヒト
CGRPの組換えDNA技術の製造方法が記載されてい
る。記載された方法によれば、C末端に付加的アミノ酸
残基を有するヒトCGRPのN末端を選択的に化学また
は酵素分解しうる結合、例えばメチオニンもしくはグル
タミン酸残基、を介してクロラムフェコールアセチルト
ランスフェラーゼタンパク質もしくはβ−ガラクトシダ
ーゼタンパク質を結合させた融合タンパク質をコードす
るDNAの発現に成功している。
【0003】しかし、記載された組換えプラスミドで形
質転換された大腸菌は、必ずしも満足すべき前記融合タ
ンパク質の産生能を示さないようである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、より効率のよいヒトCGRPの製造方法を提供
できる改良した組換えDNA技術を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、C末端に
付加的アミノ酸残基を有するヒトCGRP前駆体のN末
端に、特定のスペーサーペプチド部分を介して一定のタ
ンパク質を結合した融合タンパク質が、それらを酵素処
理してヒトCGRPを製造する上で、極めて有利に使用
できることを見い出した。より具体的には、融合タンパ
ク質を前記一定のタンパク質に対するアフィニティーク
ロマトグラフィー処理中に、一定のタンパク質を開裂し
た、ヒトCGRP前駆体が、そのN末端に特定のスペー
サーペプチドが結合していることによって、得られる中
間体の物理的性質が安定化されることを見い出した。そ
のため、その後の酵素処理等を有利に実施でき、ヒトC
GRP(成熟型)を効率よく製造できることが確認でき
た。
【0006】したがって、本発明によれば、前記中間体
の出発原料となる融合タンパク質が提供される。かかる
融合タンパク質は、例えば、式 P−S−CGRP(NH2 -)−X (I) 式中、Pは原核細胞または真核細胞で発現可能なタンパ
ク質部分を表し、Sは、前記式で表される融合タンパク
質をある種の酵素で消化したとき、少なくとも6個のア
ミノ酸残基からなる配列をCGRP(NH2 -)のN末端
に残存させてH−S′−CGRP(NH2 -)−X(ここ
で、S′はS部分またはP−S部分よりある種の酵素で
消化された後のペプチド残部である)を形成し、次いで
別の酵素で消化したとき、H−CGRP(NH2 -)−Xを
形成するスペーサーペプチド部分を表し、CGRP(N
2 -)はヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチドのC末端
がアミド化されていない部分を表し、そしてXはN
2、GlyまたはGly−Yで表されるペプチド残基
(ここで、YはGlyをCGRP(NH2 -)のC末端に
残存させたまま開裂することのできるペプチド残基であ
る)を表す、で表すことができる。
【0007】また、前記(I)で示される融合タンパク
質をコードするDNAも提供される。このDNAは、組
換えDNA技術により、該融合タンパク質を生産するの
に使用できるので融合タンパク質の生産方法も提供でき
る。
【0008】さらに、該融合タンパク質は、適当なアフ
ィニティークロマトグラフィーの担体上で、酵素処理す
ることにより、式(II) S′−CGRP(NH2 -)−X (II) 式中、CGRP(NH2 -)およびXは請求項1の定義に
同じであり、S′はS部分またはP−S部分からある種
の酵素で消化された後のペプチド残部である、で示され
るヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド中間体を融合タ
ンパク質から容易に開裂させて、単離できる。したがっ
てまた、該中間体も提供される。
【0009】さらにまた、かかる中間体をC末端アミド
化酵素で処理して、CGRP(NH2 -)のC末端をアミ
ド化(成熟型に)し、次いで、ペプチド残部S′を適当
な酵素で処理することにより、そのC末端で開裂脱離せ
しめるヒトCGRPの製造方法も提供される。
【0010】
【発明の具体的な記述】式(I)で示される融合タンパ
ク質中のタンパク質「P」部分は、β−ガラクトシダー
ゼ、T7ファージの gene 10遺伝子産物、グルタチオ
ン−S−トランスフェラーゼ、プロテインAのIgG結
合ドメイン、γ−インターフェロンのN末端60アミノ
酸、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ
およびマルトース結合タンパク質からなる群より選ばれ
るものが好ましい。これらのタンパク質は、これらのタ
ンパク質をコードし、さらにマルチクローニング部位を
備えたそれらの発現ベクターが容易に入手または作製で
き、本発明の融合タンパク質を組換えDNA技術により
生産するのに都合がよいからである。
【0011】このような発現ベクターのうち、宿主とし
て原核細胞、特に大腸菌(E.coli)を使用する場
合に適する市販されているものとしては、例えば、グル
タチオン−S−トランスフェラーゼ(以下、GSTとい
う)をコードするpGEX系のpGEX−2T、pGE
X−3Xなど(ファルマシア社、プロテインAをコード
するpRIT2T(ファルマシア社)、T7ファージの
gene 10遺伝子産物をコードするpGEMEX−2
(プロメガ社)、β−ガラクトシダーゼをコードするp
EX1、pEX2など(クロンテック社)、およびその
他マルトース バインデイグ プロテインをコードするp
MAL系のベクターが挙げられる。また、本発明の融合
タンパク質をコードするDNAは、宿主細胞としてそれ
自体既知の真核細胞およびベクターを用いて発現するこ
ともできる。なお、この場合、融合タンパク質のC末端
がアミド化された形態で得られる場合もある。
【0012】本発明の融合タンパク質中の「S」部分ま
たはP−S部分は、該融合タンパク質をある種の酵素で
処理したとき、少なくとも6個のアミノ酸残基からなる
配列を有していて、「CGRP(NH2 -)」で表わされ
るペプチドのN末端にS′ペプチド残部としてそのまま
残存でき、その後、別の酵素で処理して該S′部分を前
記N末端から脱離できるペプチド部分である。前記の酵
素としては、トリプシン、Xa因子、プロテアーゼI、
コラゲナーゼ、エンテロペプチダーゼ、トロンビン、V
8プロテアーゼ(プロテアーゼGlu−Cとも称され
る)、等が挙げられ、ヒトCGRPのペプチド鎖に対し
ては実質的に作用しない2種の酵素を「ある種の酵素」
と「別の酵素」の組み合わせとして使用する。
【0013】したがって、「S′」部分のアミノ酸配列
は、使用する酵素に応じて、その配列を選ぶことができ
るので限定されない。
【0014】例えば、「P」部分としてGSTを選び、
前記融合タンパク質の発現ベクターとして、上述のpG
EX−2Tを選ぶ場合には、少なくとも6個のアミノ酸
残基からなる配列は、アミノ酸の一文字記号により表す
と、LVPRGSRPAE(配列番号:2参照)からな
るアミノ酸配列を「S」部分のスペーサーペプチド部分
として選ぶことが好ましい。なお、LVPRGS(配列
番号:3参照)は、pGEX−2Tの発現産物に由来
し、RPAE(配列番号:4参照)は本発明者らが設計
したオリゴヌクレオチドに由来する部分である。
【0015】このようなスペーサーペプチドを「S」部
分として選ぶと、融合タンパク質をトロンビンで処理す
ることにより、GSRPAE(配列番号:5参照)から
なるアミノ酸配列が「CGRP(NH2 -)」のN末端に
残存した、式 S′−CGRP(NH2 -)−X (II) で示され、例えば配列表の配列番号:6(式中、XはG
luである)に示されるようなヒトCGRP中間体が提
供できる。
【0016】このトロンビン処理は、前記融合タンパク
質を、適当な緩衝溶液中で行うこともできるが、適当な
アフィニティークロマトグラフィーの担体上に、式
(I)で示されるP部分のGSTを介して固定した状態
で処理することもできる。
【0017】アフィニティークロマトグラフィー担体上
(例えば、グルタチオンアガロースゲル)に固定したま
まトロンビン処理すると、トロンビン溶液またはトロン
ビン不含溶液により、式(II)で示される中間体ペプ
チドを融合タンパク質およびGST切断部分から容易に
分離することができる。こうして本発明に従う中間体が
効率よく得られる。
【0018】また、本発明に従えば、驚くべきことに、
S′−CGRP(NH2 -)Xは、そのN末端にS′として
6個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖が結合している
ことによって安定化され、続く酵素処理等によるS′−
CGRP(NH2 -)Xからの成熟CGRP(C末端がアミ
ド化されている)への変換収率を有意に高めうることが
見い出された。S′−CGRP(NH2 -)Xから成熟CG
RPを得るための酵素処理としては、例えばS′が上記
GSRPAEからなり、XがG(Gly)である場合に
は、ペプチドC末端アミド化酵素を用いるC末端Gly
残基からのアミド(NH2)化段階、或いはGSRPA
EのV8プロテアーゼによるCGRP部分からの開裂段
階のいずれを先行させるかまたは同時に行うこともでき
るが、CGRPのS′残部による安定化を考慮すると、
V8プロテアーゼ処理を先行させることが好ましい。
【0019】こうして、生物活性を示すCGRPが融合
タンパク質から有利に調製されるが、融合タンパク質の
生産は、それをコードするDNAを有するプラスミドを
適当な宿主で発現させることにより行うことができる。
このようなプラスミドの調製は、配列表:1に示される
アミノ酸配列をコードするDNA(CGRP遺伝子とい
う)を用い、それ自体既知の遺伝子操作法によって行う
ことができる。
【0020】使用するCGRP遺伝子は、既知のcDN
A由来のものを使用してもよいが、配列表:1のアミノ
酸配列に基づき、化学合成したものを使用してもよい。
化学合成したCGRP遺伝を含むDNAの代表的なもの
としては、本発明者らが設計し合成した配列表:7で示
される遺伝子を使用するのが安定な発現が達成できる点
で好ましい。
【0021】以下、説明を簡略化する目的で、配列番
号:7のDNA、発現ベクターとしてpGEX−2Tを
使用する場合について説明するが、他のDNAおよび発
現ベクターも同様に使用できることは、当業者にとって
明らかであろう。
【0022】CGRP(NH2 -)発現プラスミドの構築 大腸菌を宿主とし、遺伝子組換え技術によりヒトCGR
Pを生産するために、図1の操作手順に従って発現プラ
スミド(図2参照)を構築した。
【0023】まず、CGRP(NH2 -)のN末端にグル
タミン酸、C末端にグリシンを付加し、グルタチオン−
S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質として生産
するベクターを構築する。
【0024】5′側にPstIサイト、3′側にBam
HIサイトを付加した合成DNA(ヒトCGRP遺伝子
をコード)をPstI、BamHIで二重消化後、pU
Cl9ベクターのPstIとBamHIサイトの間にT
4リガーゼにより連結して、プラスミドpUCl9−C
GRPを得た。一方、大腸菌発現ベクターpGEX−2
T(ファルマシア)のSmaIサイトにHindIII
リンカーを連結したベクターpGEX−2THを得た。
こうして得られたpUCl9−CGRPおよびpGEX
−2THをBamHI、HindIIIで二重消化後、
T4リガーゼにより両プラスミド連結した。得られたプ
ラスミドをBamHI、SalIで二重消化後、Klenow
fragment によりDNAの両端を平滑化し、T4リガー
ゼにより再環化させてヒトCGRP(NH2 -)発現プラ
スミドを構築した。
【0025】この結果、得られたヒトCGRP(N
2 -)発現プラスミドのグルタチオンS−トランスフェ
ラーゼ遺伝子のC末端には、以下の配列からなるトロン
ビン(LVPRGSのRGの間を切断)およびV8プロ
テアーゼ(EのC末端側を切断)切断部位に相当する塩
基配列が存在する。
【0026】 制限酵素によるDNAの消化は、37℃で24時間反応
を行った。T4リガーゼによるDNAの連結は16℃で
3時間反応を行った。また、Klenow fragmentによるD
NAの末端平滑化はdNTPs存在下、37℃で2時間
反応を行った。大腸菌はプラスミドの構築にはJM10
5株を、融合タンパク質の発現にはHB101株を用
い、その形質転換は塩化カルシウム法により行った。さ
らに目的とするプラスミドの確認は、培養した大腸菌か
らフェノール/クロロホルム抽出およびエタノール沈殿
によりプラスミドを回収し、適当な制限酵素で消化した
後アガロースゲル電気泳動により分子量を確認すること
により行った。
【0027】融合タンパク質の発現 上記で得られたCGRP(NH2 -)発現プラスドで常法
により大腸菌(E. coli)HB101を形質転換し、形
質転換体 E. coli HB101(E−CGRP−Gl
y)を得た。この形質転換体を、50Lジャーファーメ
ンター(日立製作所製)を用い、M9ZB培地(トリプ
トン1、塩化ナトリウム0.5、塩化アンモニウム0.
1、リン酸二水素カリウム0.3、リン酸一水素二ナト
リウム0.6、グルコース0.4、硫酸マグネシウム1m
M、IPTG0.4mM、アンピリン150μg/m
L:単位無記載の数は重量/容量%)35L中で、通気
量1.8vvm、温度35℃、pH7.0、圧力1.5f
kg/cm2および回転数900rpmで10時間培養
した。
【0028】培養後集菌し、緩衝液[リン酸緩衝溶液
(PBS)]を用いマントンゴーリンで菌体を破砕後、
遠心し、上清のGST活性を測定した。
【0029】なお、比較のため、リンカー(式(I)の
S部分に相当)をpGEX−2TのSmaIサイトに連
結して作製したpGEX−2THおよびかかるリンカー
を連結することなく、CGRP(NH2 -)GlyのN末
端にGluを有するGSTとの融合タンパク質の発現プ
ラスミドで、それぞれ E. coli HB101を形質転換
した形質転換体、E. coli(pGEX−2TH)および
E. coli(CGRP−Gly)を、上記と同様に培養処
理し、菌体破砕上清を得た。
【0030】各上清のGST活性を、100mMリン酸
緩衝液(pH6.5)、10mM1−クロロ−2,4−
ジニトロベンゼン(関東化学)および10mM還元型グ
ルタチオン(Sigma)を含む反応液中で、340n
mの吸光度増加を分光光度計(島津製作所)により測定
(Habig W.H.ら;j.Biol.Chem.249,7130,1974、参照)し
たところ、各形質転換体は下記のような活性、タンパク
質濃度および比活性を示した。
【0031】 活 性 タンパク質 比 活 性 (△A340/分mL) 濃度(mg/mL) (△A340/分/mg) ブランク 0.95 0.00 E.coli HB101(E-CGRP-Gly) 90.18 8.56 10.53 E.coli HB101(pGEX-2TH) 54.60 8.50 6.42 E.coli HB101(CGRP-Gly) 34.35 9.89 3.47 融合タンパク質の精製およびGSTの開裂 グルタチオンアガロースゲル(Sigma製)を用いる
アフィニティークロマトグラフィーカラム(5cm×1
5cm)に、E. coli HB101(E−CGRP−Gl
y)由来の上清をかけ融合タンパク質をバインディング
させた。このカラムに、トロンビン(持田製薬)を緩衝
液(0.1M Tris−Hcl、pH8.0)に溶解し
た溶液(3.3U/mL)を流し、中間体GSRPAE
−CGRP(NH2 -)Glyを溶離した。
【0032】溶離液を、ブフナーロート上に敷いたCA
CELL PAK C8(資生堂)20gに吸着した後、
15%アセトニトリル水溶液100mLで洗浄し、次い
で60%アセトン水溶液で処理した。さらにHPLC
(島津製作所)により精製して[精製GSRPAE−C
GRP(NH2 -)Gly 100mg融合タンパク質1.
2g(中間体172mg:100%)から58%]を得
た。
【0033】N末端アミド化 GSRPAE−CGRP(NH2 -)Gly→GSRPA
E−CGRP 上記で得られた中間体1mg、ならびに3mMアスコル
ビン酸、10mM KI、0.25mg/mLカタラーゼ
(Sigma)および200nM CuSO4を含む50mM
Hepes−KOH(pH6.4)緩衝液中にN末端ア
ミド化酵素(資生堂:2.0unit)を加え、37℃
で一晩反応させた。反応混合液を、Capcell Pak C8
(6×35mm:資生堂)により、溶出液として0.1
M NaClO4および0.1%H2PO4水溶液(NaO
HでpH7.0に調整)、次いでアセトニトリル濃度を
1%から60%まで直線的に変化させるグレージェント
を用いるHPLC(流速:1.5mL/分、検出:21
4nm)を行った。GSRPAE−CGRP画分を集
め、目的生成物70mg(収率:中間体から41%、N
−末端Glyから70%)を得た。
【0034】なお、上記酵素反応はウマ血清から精製し
たN末端アミド化酵素(比活性13.7unit/mg
タンパク質)を用いた(特公平7−4238号公報参
照)。
【0035】N末端付加GSRPAEアミノ酸残基の切
GSRPAE−CGRP→CGRP 上記で得られたGSRPAE−CGRP70mgを、1
mM EDTAを含有する100mM炭酸アンモニウム
緩衝溶液中で、V8プロテアーゼ[Staphyrococcus aur
eus V8由来:比活性5800unit/mg(Sigma
製)]を用い、25℃で7時間、インキュベーションし
た。反応混合液を、Capcell Pak C8(6×35mm:
資生堂)により、溶出液として0.1M NaClO4
よび0.1%H3PO4水溶液(pH2.0)、次いでアセ
トニトリル濃度を20%から40%まで直線的に変化さ
せるグレージェントを用いるHPLC(流速:1.5m
L/分、検出:214nm)を行った。CGRP画分を
集め、凍結乾して、CGRP(成熟型)50mg(収
率:中間体から29%、N末端−NH2から71%)を
得た。
【0036】このCGRPは、ペプチドシーケンサーお
よびFAB−Massによる分析、ならびにウサギによ
る紅班形成性の測定によって、市販のCGRP(バッケ
ム社)と同一であることが確認された。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、ヒトカルシトニン関連
ペプチド(CGRP)を効果よく製造するための融合タ
ンパク質中間体ペプチドおよび前駆体ペプチド[CGR
P(NH2 -)Gly]、ならびにそれらをコードするD
NA、かかるDNAの発現による前記融合タンパク質、
ペプチド類の生産、得られたペプチド類からCGRPの
生成法が提供される。
【0038】特に、本発明では、CGRPをコードする
遺伝子をそのN末端に少なくとも6個のアミノ酸残基を
残こして切断されるように融合タンパク質発現プラスミ
ドを設計したことによって、タンパク質の発現量を高め
るとともに、該融合タンパク質からCGRPへの酵素処
理における収率の向上が達成される。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の融合タンパク質の発現プラスミドを構
築するための操作手順を示す流れ図である。
【図2】本発明の発現プラスミドの構造を示す図であ
る。
【手続補正書】
【提出日】平成8年4月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】ヒトCGRPは、配列番号:1に示され
る37個のアミノ酸残基からなり、かつ末端がアミド
化されている化合物であって、血管拡張作用等を有し、
高血圧の治療等の用途が検討されている興味深いペプチ
ドである。特表昭60−501562号公報には、ヒト
CGRPの組換えDNA技術の製造方法が記載されてい
る。記載された方法によれば、C末端に付加的アミノ酸
残基を有するヒトCGRPのN末端を選択的に化学また
は酵素分解しうる結合、例えばメチオニンもしくはグル
タミン酸残基、を介してクロラムフェコールアセチルト
ランスフェラーゼタンパク質もしくはβ−ガラクトシダ
ーゼタンパク質を結合させた融合タンパク質をコードす
るDNAの発現に成功している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】このような発現ベクターのうち、宿主とし
て原核細胞、特に大腸菌(E.coli)を使用する場
合に適する市販されているものとしては、例えば、グル
タチオン−S−トランスフェラーゼ(以下、GSTとい
う)をコードするpGEX系のpGEX−2T、pGE
X−3Xなど(ファルマシア社、プロテインAをコー
ドするpRIT2T(ファルマシア社)、T7ファージ
のgene 10遺伝子産物をコードするpGEMEX
−2(プロメガ社)、β−ガラクトシダーゼをコードす
るpEX1、pEX2など(クロンテック社)、および
その他マルトースバインデイグプロテインをコードする
pMAL系のベクターが挙げられる。また、本発明の融
合タンパク質をコードするDNAは、宿主細胞としてそ
れ自体既知の真核細胞およびベクターを用いて発現する
こともできる。なお、この場合、融合タンパク質のC末
端がアミド化された形態で得られる場合もある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】また、本発明に従えば、驚くべきことに、
S′−CGRP(NH )Xは、そのN末端にS′と
して6個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖が結合して
いることによって安定化され、続く酵素処理等による
S′−CGRP(NH )Xからの成熟CGRP(C
末端がアミド化されている)への変換収率を有意に高め
うることが見い出された。S′−CGRP(NH
Xから成熟CGRPを得るための酵素処理としては、例
えばS′が上記GSRPAEからなり、XがG(Gl
y)である場合には、ペプチドC末端アミド化酵素を用
いるC末端Gly残基からのアミド(NH)化段階、
或いはGSRPAEのV8プロテアーゼによるCGRP
部分からの開裂段階のいずれを先行させるかまたは同時
に行うこともできるが、CGRPのS′残部による安定
化を考慮すると、C末端アミド化処理を先行させること
が好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】C末端アミド化 GSRPAE−CGRP(NH )Gly→GSRP
AE−CGRP 上記で得られた中間体1mg、ならびに3mMアスコル
ビン酸、10mMKI、0.25mg/mLカタラーゼ
(Sigma)および200nM CuSOを含む5
0mM Hepes−KOH(pH6.4)緩衝液中に
N末端アミド化酵素(資生堂:2.0unit)を加
え、37℃で一晩反応させた。反応混合液を、Capc
e11 Pak C8(6×35mm:資生堂)によ
り、溶出液として0.1M NaClOおよび0.1
%HPO水溶液(NaOHでpH7.0に調整)、
次いでアセトニトリル濃度を1%から60%まで直線的
に変化させるグレージェントを用いるHPLC(流速:
1.5mL/分、検出:214nm)を行った。GSR
PAE−CGRP画分を集め、目的生成物70mg(収
率:中間体から41%、N−末端Glyから70%)を
得た。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】なお、上記酵素反応はウマ血清から精製し
末端アミド化酵素(比活性13.7unit/mg
タンパク質)を用いた(特公平7−4238号公報参
照)。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】特に、本発明では、CGRPをコードする
遺伝子をそのN末端に少なくとも6個のアミノ酸残基を
残して切断されるように融合タンパク質発現プラスミド
を設計したことによって、タンパク質の発現量を高める
とともに、該融合タンパク質からCGRPへの酵素処理
における収率の向上が達成される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 P−S−CGRP(NH2 -)−X (I) 式中、Pは原核細胞または真核細胞で発現可能なタンパ
    ク質部分を表し、 Sは、前記式で表される融合タンパク質をある種の酵素
    で消化したとき、少なくとも6個のアミノ酸残基からな
    る配列をCGRP(NH2 -)のN末端に残存させてH−
    S′−CGRP(NH2 -)−X(ここで、S′はS部分ま
    たはP−S部分よりある種の酵素で消化された後のペプ
    チド残部である)を形成し、次いで別の酵素で消化した
    とき、H−CGRP(NH2 -)−Xを形成するスペーサー
    ペプチド部分を表し、 CGRP(NH2 -)はヒトカルシトニン遺伝子関連ペプ
    チドのC末端がアミド化されていない部分を表し、そし
    てXはNH2、GlyまたはGly−Yで表されるペプ
    チド残基(ここで、YはGlyをCGRP(NH2 -)の
    C末端に残存させたまま開裂することのできるペプチド
    残基である)を表す、で示される融合タンパク質。
  2. 【請求項2】 Pのタンパク質が、β−ガラクトシダー
    ゼ、T7ファージのgene 10遺伝子産物、グルタチオ
    ン−S−トランスフェラーゼ、プロテインAのIgG結
    合ドメイン、γ−インターフェロンのN末端60アミノ
    酸、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ
    およびマルトース結合タンパク質からなる群より選ばれ
    るタンパク質である請求項1記載の融合タンパク質。
  3. 【請求項3】 S′がGly−Ser−Arg−Pro
    −Ala−Gluのアミノ酸配列を含むスペーサーペプ
    チド部分であり、Pがグルタチオン−S−トランスフェ
    ラーゼである請求項1または2記載の融合タンパク質。
  4. 【請求項4】 XがGlyである請求項1〜3項のいず
    れかに記載の融合タンパク質。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の融合タ
    ンパク質をコードするDNA。
  6. 【請求項6】 式 S´−CGRP(NH2 -)−X (II) 式中、CGRP(NH2 -)およびXは請求項1の定義に
    同じであり、S′はS部分または式(I)のP−S部分
    からある種の酵素で消化された後のペプチド残部であ
    る、で示されるヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド中
    間体。
  7. 【請求項7】 S′がGly−Ser−Arg−Pro
    −Ala−Gluである請求項6記載の中間体。
  8. 【請求項8】 XがGlyである請求項6または7記載
    の中間体。
  9. 【請求項9】 請求項5記載の融合タンパク質をコード
    するDNAを担持する発現プラスミドで形質転換した宿
    主細胞を、栄養培地で培養して、前記融合タンパク質を
    生産し、次いで培養物から前記融合タンパク質を回収す
    ることを特徴とするタンパク質の生産方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜4のいずれかに記載の融合
    タンパク質を含有する水性媒体をPのタンパク質に対し
    て親和性を有するアフィニティークロマトグラフィーの
    担体に供してP部分を介して固定し、次いで式(I)の
    P−Sの配列の少なくとも1箇所を開列させて式(I
    I)のS′−CGRP(NH2 -)−Xで示されるヒトカ
    ルシトニン遺伝子関連ペプチド中間体を生成せしめ、同
    時かまたは引続いて前記中間体を溶出させることを特徴
    とする請求項6または7記載の式(II)で示されるヒ
    トカルシトニン遺伝子関連ペプチド中間体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項6または7記載のヒトカルシト
    ニン遺伝子関連ペプチド中間体をC末端アミド化酵素で
    処理し、次いで式(II)で示されるS′部分をそのC
    末端で開裂させること、を特徴とするヒトカルシトニン
    遺伝子関連ペプチドの製造方法。
JP8068990A 1996-03-01 1996-03-01 ヒトcgrp前駆体およびその調製方法 Withdrawn JPH09234076A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8068990A JPH09234076A (ja) 1996-03-01 1996-03-01 ヒトcgrp前駆体およびその調製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8068990A JPH09234076A (ja) 1996-03-01 1996-03-01 ヒトcgrp前駆体およびその調製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09234076A true JPH09234076A (ja) 1997-09-09

Family

ID=13389620

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8068990A Withdrawn JPH09234076A (ja) 1996-03-01 1996-03-01 ヒトcgrp前駆体およびその調製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09234076A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0838224A3 (en) * 1996-10-02 1999-12-01 Kuraray Co., Ltd. Polymer-drug conjugates with an enzyme cleavable linker

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0838224A3 (en) * 1996-10-02 1999-12-01 Kuraray Co., Ltd. Polymer-drug conjugates with an enzyme cleavable linker

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0150565B1 (ko) 유전자 조환에 의한 사람 인슐린 전구체의 제조 및 이를 이용한 인슐린의 제조방법
US5506120A (en) Method of producing peptides or proteins as fusion proteins
JP4857279B2 (ja) カルボキシ末端をアミド化したペプチドの製造方法
JP5352234B2 (ja) 特定のエンドプロテアーゼによって塩基性アミノ酸のc末端を用いてポリペプチドをアミド化する方法
JPH02500876A (ja) 組換えポリペプチドの製品およびその製造、単離および精製方法
CN109486800B (zh) 一种新型赖氨酰肽链内切酶及其制备方法
JP4749548B2 (ja) インテイン媒介ペプチド連結
WO1986007380A1 (en) Process for preparing polypeptide
Polyak et al. Introduction of spacer peptides N-terminal to a cleavage recognition motif in recombinant fusion proteins can improve site-specific cleavage.
US7001745B1 (en) Intein mediated peptide ligation
Forsberg et al. Thrombin and H64A subtilisin cleavage of fusion proteins for preparation of human recombinant parathyroid hormone
RU2144957C1 (ru) РЕКОМБИНАНТНАЯ ПЛАЗМИДНАЯ ДНК pPINS07, КОДИРУЮЩАЯ ГИБРИДНЫЙ ПОЛИПЕПТИД, СОДЕРЖАЩИЙ ПРОИНСУЛИН ЧЕЛОВЕКА, И ШТАММ БАКТЕРИЙ Escherichia coli - ПРОДУЦЕНТ ГИБРИДНОГО ПОЛИПЕПТИДА, СОДЕРЖАЩЕГО ПРОИНСУЛИН ЧЕЛОВЕКА
US8530217B2 (en) Processing of peptides and proteins
JP2021511785A (ja) 組換えポリペプチド生産用n末端融合パートナーおよびこれを用いた組換えポリペプチドの生産方法
CN101172996A (zh) 用于多肽融合表达的连接肽及多肽融合表达方法
JPH09234076A (ja) ヒトcgrp前駆体およびその調製方法
JP2845558B2 (ja) メチオニンアミノペプチダーゼのdna配列
WO2012048856A1 (en) Proinsulin with helper sequence
KR102643064B1 (ko) 발현 수준 및 가용성이 증대된 인간 엔테로키나제 융합 단백질 및 그 제조방법
US5641646A (en) Process for preparation of human glicentin
JP2887060B2 (ja) グリセンチンの生産方法
KR0149955B1 (ko) 융합단백질을 이용한 인간 글루카곤의 제조방법
KR101949009B1 (ko) 융합단백질-다당 복합체의 제조방법 및 이의 용도
NZ229748A (en) Process of producing a protein from a precursor having an n-terminal pro by enzymatic cleavage
KR100562873B1 (ko) 인간 인슐린 발현 플라스미드 및 이를 이용한 인간인슐린의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20030506