JPH0656900B2 - 半導体光素子 - Google Patents

半導体光素子

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JPH0656900B2
JPH0656900B2 JP59103586A JP10358684A JPH0656900B2 JP H0656900 B2 JPH0656900 B2 JP H0656900B2 JP 59103586 A JP59103586 A JP 59103586A JP 10358684 A JP10358684 A JP 10358684A JP H0656900 B2 JPH0656900 B2 JP H0656900B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の技術分野) 本発明は半導体光素子に係わり、特に、光導電型の光検
出素子に関するものである。
(従来技術) 光通信システムを実現するには、電気信号を光信号に変
換する半導体レーザと、光信号を伝搬する光ファイバ
と、光信号を電気信号に変換する光検出器が必要とな
る。この光検出器にはアバランシ・ホト・ダイオード,
pin ホトダイオード,光導電素子等があり、中でも光導
電素子は構造上光電気集積回路へ適合性が良いと考えら
れ、最近特に注目を浴びている。
第1図は従来の光導電素子の構造図であり、1は半絶縁
性のGaAs基板、2は光吸収層で非ドープのGaAs層(厚さ
2μm)(以下、「光吸収層」と称す)、3は光吸収
層2より禁止帯幅の大きい非ドープのAl0.3Ga0.7As層
(厚さ100Å)(以下、「非ドープ層」と称す)、4
はSiドープのAl0.3Ga0.7As層(ドナー濃度1018cm-3
厚さ500Å)(以下、「Siドープ層」と称す)、5,
6は金属電極、7,8は接触抵抗低減のための高不純物
濃度領域である。例えば、波長0.8μmの光9をSiドー
プ層4の側から入射すると、光はSiドープ層4および非
ドープ層3を通過して光吸収層2で吸収され、電子・正
孔対を発生する。この電子・正孔は電極5,6に電圧を
印加することにより、取り出されて光検出を行なうこと
ができる。
第2図は素子の動作をより詳しく説明するためのバンド
構造図である。入射光9により生成された電子・正孔対
のうち電子は、非ドープ層3と接する光吸収層2の中に
形成される電子蓄積領域10に流入して電子濃度が増加す
る。従つて、電極5−6間に一定の電圧(例えば2V)
を印加すれば、光入射に対応して電流が増加し、光検出
を行なうことができる。なお、EFはフェルミ準位、EC
伝導帯端のエネルギー準位、EVは価電子帯端のエネルギ
ー準位である。
第1図のような構造では、拡散電位差によつて光吸収層
2,非ドープ層3及びSiドープ層4に空乏層ができる
が、その大部分は不純物濃度の低い光吸収層2の側に生
じる。光吸収層2と非ドープ層3のヘテロ界面から光吸
収層2の中の空乏層端までの距離dは光吸収層2の不純
物濃度,光吸収層2と非ドープ層3のヘテロ界面におけ
る伝導帯端のエネルギー位置等により変わるが、仮に光
吸収層2のイオン化不純物濃度Niを1015cm-3,拡散電
位差VDを1Vと仮定すると、ポアソン方程式を解くこと
により となり、距離d1.2μmとなる。ここで、εoは真
空中の誘電率、εsは比誘電率、qは電気素量である。
また、空乏層中の電界Fは基板1の側の空乏層端より距
離xだけ空乏層内に入つた点において、 で与えられる。
すなわち、基板1の方に進むにしたがつて電界Fは小さ
くなり、ヘテロ界面から1.2μm以上離れると空乏層
は存在しなくなり電界Fは零となる。
一方、入射光9は光吸収層2と非ドープ層3の界面から
減衰しながら進むが、光吸収層2の中における吸収係数
を104cm-1とすれば、1.2μm入つた光吸収層2の所
で70%が吸収されるに過ぎない。残り30%は空乏層外部
で吸収され、これにより生じた電子は拡散によつて空乏
層まで達した後、内部電界によつて電子蓄積領域10まで
移動する必要があつた。従つて、光電流の応答速度は、
電子の拡散過程で制限されるので遅くなる。更に、応答
速度は光照射により発生した電子,正孔が電極5と電極
6の間を移動する時間によつても左右される。従つて、
第1図の構造では正孔の移動速度が遅いため、応答速度
が遅くなるという欠点があつた。
このように光検出器の応答速度が遅くなれば、伝送すべ
き情報の通信速度も遅くしなければならないため、高速
応答の光検出器が強く望まれていた。
また、空乏層中で発生した電子・正孔対は内部電界が小
さいために再結合してしまい、感度の低下を招いてい
た。
(発明の目的及び特徴) 本発明は、上述した従来技術の欠点に鑑みなされたもの
で、高速応答でかつ高感度な光導電型の光検出器を提供
することを目的とする。
(発明の構成及び作用) 本発明の特徴は光吸収層と電気的接続を有するための少
なくとも1対の電極が具備されている光素子において、
光吸収層より禁止帯幅が大きくかつ導電型の異なる第1
の半導体層および第2の半導体層が、それぞれ光吸収層
の一方側と他方側に配置されるように、前記光吸収層よ
りも禁止帯幅が大きくかつ不純物をドープしていない第
3の半導体層を介して或は介さずに、形成された層構造
を複数組備え、前記光吸収層の層厚を不純物濃度の値に
よつて定められる層厚以下になるように定めることによ
り、受光領域における前記光吸収層内には層厚方向に内
部電界が生じるようにしたことにある。
以下に図面を用いて本発明を詳細に説明する。
実施例1 第3図は本発明による一実施例であり、半絶縁性InP基
板11の上に非ドープInPバッファ層12(厚さ2μm,
n1×1015cm-3)が積層され、SiドープIn0.52Al0.48
As第1の半導体層13(厚さ1000Å,n1×1018c
m-3)と第1の半導体層13と導電型が異なるBeドープIn
0.52Al0.48As第2の半導体層14(厚さ1000Å,p1
×1018cm-3)との間に非ドープIn0.52Al0.48As第3の半
導体層15(厚さ200Å,キャリア濃度×1015cm-3
が非ドープIn0.53Ga0.47As光吸収層16(厚さ5000Å,
キャリア濃度×1015cm-3)を挾んで2層形成され、こ
れらの層構造が複数積層されている。尚、第1〜3の半
導体層13〜15は光吸収層16より禁止帯幅が大きい。ま
た、17,18は電極間距離が約10μmで電極幅が約50μm
から成る金属電極であり、7,8は接触抵抗低減のため
の高不純物濃度領域である。
同図から明らかなように、光吸収層16を中心にして、そ
の両側に第3の半導体層15が、更にその一方と他方には
第1の半導体層13と第2の半導体層14がそれぞれ形成さ
れている。このような層構造にすることにより、光吸収
層16で高不純物濃度領域7,8を除く領域(以下、「受
光領域」と称す)の大部分に内部電界を発生させること
ができる。後述するように、受光領域のうち活性領域全
体に内部電界が発生する。従つて、光照射により発生し
た電子・正孔は内部電界で空間的に分離されて、電子及
び正孔の各々の蓄積領域に集まるために、再結合等によ
る感度の劣化をなくし、かつ高速応答が可能となる。
第4図は本実施例の構成をより解りやすく説明するため
のバンド構造図である。例えば、波長1.5μmの入射
光9を基板11の下側或いは第1の半導体層13の上側から
照射すると、入射光9は各受光領域で吸収され、電子・
正孔対が生成される。これらの電子・正孔対は、各光吸
収層16に垂直方向の内部電界によつて直ちに分離され、
電子及び正孔のポテンシャルが最小である電子蓄積領域
10(以下、「電子領域」と略す)及び正孔蓄積領域10a
(以下、「正孔領域」と略す)に集まる。ここで、光吸
収層16の内部電界の分布はポアソン方程式を解くことに
より(2)式から求まるが、光吸収層16の層厚とイオン化
不純物濃度によつて異なる。例えば、光吸収層16の層厚
を5000Å,拡散電位差VDを0.75V,比誘電率εsを1
2とすれば、受光領域で電子及び正孔の蓄積領域を除い
た光吸収層16の領域(以下、「活性領域」の称す)を全
て空乏化にするためのイオン化不純物濃度Niは約4×10
15cm-3となる。よつて、この値以下の不純物濃度であれ
ば、受光領域における光吸収層内の活性領域の全体に内
部電界が生じる。
また、光吸収層厚dを設定するに際しては、光吸収層16
の禁止帯幅をEg,不純物濃度Ni,比誘電率をεsとした
を満足するようにすれば、実用上問題はない。
尚、受光領域で電子及び正孔の蓄積領域は伝導帯端又は
価電子帯端がフェルミ準位EFより低エネルギー側に位置
するので、外部からエネルギー(光照射)を与えなくと
も、若干の電子や正孔が集まるため空乏化しない。
すなわち、各活性領域の全体に電界がかかることによ
り、電子と正孔が電子領域及び正孔領域に移動する時間
は、従来の構造に比べて極めて速くなる。また、電子・
正孔が各蓄積領域内から電極に向けて移動する際も、各
蓄積領域内及びその両側にはドープ用の不純物が存在し
ないような構造となつているため散乱を受けにくくなつ
ている。更に、電子・正孔は各蓄積領域内で2次元的な
導電粒子として振るまうことになる。従つて、光電流の
応答速度は従来の構造に比べて極めて速くなる。
一方、感度は本実施例のごとく電子と正孔が空乏層領域
の内部電界により直ちに電子領域及び正孔領域に分離さ
れるため、再結合による感度の劣化がなく高感度とな
る。更に、本実施例のように光吸収層16の数を複数にす
るか、または光吸収層16の層厚を厚くすることにより量
子効率が高まり、さらに高感度の光検出器が得られる。
また、入射面での反射を無くすために反射阻止膜を施せ
ば、入射光の大部分を電子・正孔に変換でき高感度にな
ることは言うまでもない。
尚、本実施例における光入射の方法であるが、電極17,
18側の上面、基板11側あるいは横側から入射しても良
い。
実施例2 第5図は本発明の他の実施例であり、15aは第3図の第
3の半導体層(厚さ200Å)の厚さを5000Åにしたも
のであり、19は非ドープIn0.52Al0.48Asバッファ層(厚
さ1μm,キャリア濃度1×1015cm-3)である。
第6図はそのバンド構造図を示す。第6図から明らかな
ように、本実施例は第1の半導体層13(または第2の半
導体層14)−第3の半導体層15−光吸収層16−第3の半
導体層15−第2の半導体層14(または第1の半導体層1
3)という層構造を複数積層する場合に、実施例1の如
く単純に繰り返して複数積層するのではなく、光吸収層
16より禁止帯幅が大きく、かつ不純物をドープしていな
い第3の半導体層15aを介しながら複数積層したもので
ある。このような構造にすることにより、活性領域の内
部電界の向きを統一して形成することができ、前記実施
例1と同様に高感度,高速応答の光検出が可能となる。
また、本実施例では2組の層構造を積層したが量子効率
をさらに高めるのに3組以上積層しても良い。
実施例3 第7図(a)及び(b)は本発明による他の実施例であり、前
述した本発明の実施例1及び2で層15を除いたものであ
る。
実施例1及び2においては、光吸収層16の両側に非ドー
プの半導体層15が形成されていた。層15は電子或いは正
孔が各々の蓄積領域内で層に平行に走行する際に、層1
3,14内のイオン化不純物による散乱を軽減することに
設けられたものである。ここで、このイオン化不純物に
よる散乱の影響は低温(例えば77K)で顕著になるも
のであり、室温においては格子散乱による影響が大き
い。即ち、本発明による半導体光素子は室温において使
用する場合には、層15の有無はあまり応答速度に影響を
与えることはない。こうした観点から、第7図(a)及び
(b)に示すように層15を除いた構造でも実用上何ら差支
えない。
実施例4 第8図(a),(b),(c)及び(d)は本発明による他の実施例
であり、前述した本発明の実施例1,2及び3にポテン
シャル調整のためのゲート電極20を設けたものである。
このゲート電極20に電圧を印加すると、電極17と電極18
との間の暗電流を減少させることができるので、光検出
の感度を高めることが可能となる。尚、本実施例では電
極20と第1の半導体層13との間でショットキー接合が形
成されているので、電極20と第1の半導体層13との間に
絶縁膜が不要であるが、ショットキー接合が形成されて
いない場合は絶縁膜を挿入する必要がある。
また、光を電極側の上面から入射する場合には、電極20
を透明電極にする必要があるが、他の面から入射する場
合にはもちろんその必要はない。
尚、本実施例では半絶縁性基板11を用いたが、この代り
に導電性の基板を用い、半絶縁性バッファ層を介して半
導体層を形成しても良いことは言うまでもない。
以上の説明では、基板としてはInPを、又光吸収層及び
その両側の層としてそれぞれIn0.53Ga0.47As及びIn0.52
Al0.48Asを用いたが、こうした組合せに限るものではな
い。例えば、InP基板を用いる場合には、InPとほぼ格子
整合のとれたIn1-x-yGaxAlyAsのうち組成を変えたもの
を光吸収層及びその両側の層として用いればよい。又In
1-x-yGaxAlyAsの代りに、In1-xGaxAsyPzの2種の組成を
用いてもよい。更にGaAsを基板として用いた場合には、
Al1-xGaxAsにおける2種の組成の組合せを用いればよ
い。以上の記述はいくつかの例を示しただけであり、こ
れらに限らず広く化合物半導体全般を利用することがで
き、又基板に関してはAl2O3を始めとする絶縁体であつ
てもかまわない。
このような素子構造の作製にあたつては、分子線エピタ
キシャル法をはじめとして、有機金属気相堆積法,気相
エピタキシャル法,液相エピタキシャル法等の結晶成長
方法が適用可能であり、又電極形成等に関しても従来の
技術で作製できる。
(発明の効果) 本発明は入射光を吸収してできた電子・正孔対を光吸収
層16の内部電界により直ちに空間的に分離するため、電
子と正孔の再結合を防止できるので、高速応答でかつ高
感度の光検出素子であり、光ファイバ通信あるいは光電
気集積回路用の素子に応用でき、その効果は極めて大で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来の光導電素子の構造を示す斜視図、第2図
は第1図の従来例のバンド構造図、第3図は本発明によ
る光導電素子の構造を示す斜視図、第4図は第3図の実
施例のバンド構造図、第5図は本発明による他の実施例
を示す斜視図、第6図は第5図の実施例のバンド構造
図、第7図及び第8図は本発明による他の実施例を示す
斜視図である。 1……基板、2……光吸収層、3……非ドープ層、4…
…Siドープ層、5,6……金属電極、 7,8……高不純物濃度領域、9……入射光、 10……電子蓄積領域、10a……正孔蓄積領域、 EF……フェルミ準位、EC……伝導帯端のエネルギー準
位、EV……価電子帯端のエネルギー準位、11……基板、
12……バッファ層、 13……第1の半導体層、14……第2の半導体層、 15,15a……第3の半導体層、16……光吸収層、 17,18……金属電極、20……ゲート電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋葉 重幸 東京都目黒区中目黒2−1―23 国際電信 電話株式会社研究所内 (72)発明者 宇高 勝之 東京都目黒区中目黒2−1―23 国際電信 電話株式会社研究所内 (56)参考文献 特開 昭57−26482(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光吸収層の一方の面側に1対の電極が配置
    されるとともに該1対の電極の下にそれぞれ高不純物濃
    度領域が設けられ、該高不純物濃度領域を介して該1対
    の電極と前記光吸収層とが電気的接続を有する半導体光
    素子において、前記光吸収層より禁止帯幅が大きくかつ
    導電型の相異なる第1の半導体層および第2の半導体層
    がそれぞれ前記光吸収層の一方側と他方側に配置される
    ように形成された層構造を複数組備え、前記光吸収層の
    層厚を不純物濃度の値によって定められる層厚以下にな
    るように定めて受光領域における前記光吸収層内の空乏
    層領域には層厚方向に内部電界が生ずるように構成され
    たことを特徴とする半導体光素子。
  2. 【請求項2】前記光吸収層の不純物濃度をNi ,比誘電
    率をεs ,禁止帯幅をEg とし、又、電気素量をq,真
    空中の誘電率をεo とした時、前記光吸収層の層厚dは で定められる条件を満足するように定められていること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の半導体光素
    子。
  3. 【請求項3】光吸収層の一方の面側に1対の電極が配置
    されるとともに該1対の電極の下にそれぞれ高不純物濃
    度領域が設けられ、該高不純物濃度領域を介して該1対
    の電極と前記光吸収層とが電気的接続を有する半導体光
    素子において、前記光吸収層より禁止帯幅が大きくかつ
    導電型の相異なる第1の半導体層および第2の半導体層
    がそれぞれ前記光吸収層の一方側と他方側に配置される
    ように前記光吸収層よりも禁止帯幅が大きくかつ不純物
    をドープしていない第3の半導体層を介して形成された
    層構造を複数組備え、前記光吸収層の層厚を不純物濃度
    の値によって定められる層厚以下になるように定めて受
    光領域における前記光吸収層内の空乏層領域には層厚方
    向に内部電界が生ずるように構成されたことを特徴とす
    る半導体光素子。
  4. 【請求項4】前記光吸収層の不純物濃度をNi ,比誘電
    率をεs ,禁止帯幅をEg とし、又、電気素量をq,真
    空中の誘電率をεo とした時、前記光吸収層の層厚dは で定められる条件を満足するように定められていること
    を特徴とする特許請求の範囲第3項記載の半導体光素
    子。
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