JPH0655871B2 - プロピレン重合体組成物 - Google Patents

プロピレン重合体組成物

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JPH0655871B2
JPH0655871B2 JP1072875A JP7287589A JPH0655871B2 JP H0655871 B2 JPH0655871 B2 JP H0655871B2 JP 1072875 A JP1072875 A JP 1072875A JP 7287589 A JP7287589 A JP 7287589A JP H0655871 B2 JPH0655871 B2 JP H0655871B2
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信 飯田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規なプロピレン重合体組成物に関するもので
ある。さらに詳しくいえば、本発明は、衝撃時に白化が
生じにくく、かつ耐衝撃性及び剛性などに優れ、射出成
形材料、軟質押出成形材料、耐寒性フイルム材料などと
して好適な、プロピレンランダム共重合体に特定の有機
リン化合物を配合させて成るプロピレン重合体組成物に
関するものである。
[従来の技術] 一般にポリプロピレン樹脂は耐熱性、耐薬品性、剛性、
成形性などが良好であることから、フイルム成形、シー
ト成形、ブロー成形、射出成形などの材料として広く用
いられている。
ところで、該ポリプロピレン樹脂は、単独重合体の場
合、耐衝撃性については必ずしも十分ではないため用途
の制限を免れないという問題がある。したがって、耐衝
撃性の良好なポリプロピレン樹脂として、従来ブロック
ポリプロピレンやプロピレンとエチレンなどのα−オレ
フィンとのランダム共重合体などが用いられている。
しかしながら、前者のブロックポリプロピレンにおいて
は、衝撃時、白化が生じて、表面外観が損なわれ、商品
価値の低下を招きやすいという欠点があるし、一方、後
者のプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体
においては、該α−オレフィン単位の含有量を増やすと
結晶性が低下して、耐衝撃性は向上するものの、剛性が
低下しすぎて、用途が制限されるのを免れないという欠
点がある。
[発明が解決しようとする課題] 本発明はこのような事情のもとで、衝撃時に白化が生じ
にくく、かつ耐衝撃性及び剛性などに優れたプロピレン
重合体組成物を提供することを目的としてなされたもの
である。
[課題を解決するための手段] 本発明者は、前記の好ましい性質を有するプロピレン重
合体組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の
プロピレンランダム共重合体に、造核剤として特定の構
造の有機リン化合物を所定の割合で配合させることによ
り、その目的を達成しうることを見い出し、この知見に
基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)プロピレン以外のα−オレ
フィン単位の含有量が1〜10重量%、メルトインデッ
クスが0.2〜60g/10分、沸騰n−ヘキサン不溶
分量が60〜97重量%及びトライアッドランダム分率
が7ユニット%以上であるプロピレンランダム共重合体
100重量部に対し、(B)一般式 (式中のR1は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル
基、R2は炭素数1〜18のアルキル基、 又はM1 1/a、M1はNa、K、Mg、Ca又はAl、a
はM1の原子価である) で表される有機リン化合物、及び一般式 (式中のZは炭素数1〜3のアルキレン基、R3、R4
5及びR6は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜6のア
ルキル基であり、それらは同一であってもよいし、たが
いに異なっていてもよく、M2はNa、K、Mg、Ca
又はAl、bはM2の原子価である) で表される有機リン化合物の中から選ばれた少なくとも
1種0.001〜0.5重量部を配合させて成るプロピ
レン重合体組成物を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明組成物において、(A)成分として用いられるプ
ロピレンランダム共重合体は、プロピレン以外のα−オ
レフィン単位の含有量が1〜10重量%、好ましくは2
〜8重量%の範囲にあることが必要である。この含有量
が1重量%未満では耐衝撃性に劣るし、10重量%を超
えると剛性、耐熱性、硬度などが低下する傾向を示す。
また、プロピレンと共重合されるα−オレフィンとして
は、例えばエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキ
セン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、
デセン−1などの直鎖モノオレフィン、4−メチルペン
テン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチル
ペンテン−1などの分枝モノオレフィン、あるいはブタ
ジエンなどのジエン類などが挙げられるが、これらの中
でエチレンとブテン−1が好適である。また、これらの
α−オレフィンは1種用いてもよいし、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
該プロピレンランダム共重合体のメルトインデックス
(MI)は0.2〜60g/10分、好ましくは0.5
〜50g/10分の範囲にあることが必要である。この
MIが0.2g/10分未満では該組成物は成形性に劣
り、かつ剛性、耐熱性、硬度が十分ではないし、60g
/10分を超えると該組成物の耐衝撃性が低下する傾向
が生じる。
また、該プロピレンランダム共重合体は、沸騰n−ヘキ
サン不溶分量が60〜97重量%、好ましくは70〜9
5重量%の範囲にあることが必要である。この沸騰n−
ヘキサン不溶分量が60重量%未満では結晶性が低すぎ
て組成物の剛性が劣るし、97重量%を超えると組成物
の耐衝撃性が低下する傾向が生じる。
さらに、該プロピレンランダム共重合体は、トライアッ
ドランダム分率が7ユニット%以上、好ましくは10ユ
ニット%以上であることが必要である。このトライアッ
ドランダム分率が7ユニット%未満では該組成物は耐衝
撃性が十分ではない。ここでいうトライアッドランダム
分率とは、13C−NMR法により得られるもので、「マ
クロモレキュールズ(Macromolecules)」
第15巻、No.4、1150ページ(1982年)に記
載されている各トライアッド分率のうち、PPE、PE
P、EPE、EEP4種の合計のことであり、式 トライアッドランダム分率(ユニット%) =fPPE+fPEP+fEPE+fEEP で表すことができる。なお、前記式はプロピレンとエチ
レンとの共重合体の例を示す。
前記プロピレンランダム共重合体の製造方法については
特に制限はなく、従来公知の方法によって製造すること
ができる。例えば公知の立体規則性触媒の存在下に、ス
ラリー重合法、溶液重合法、気相重合法、オレフィンモ
ノマーを媒体とする液相重合法などにより、プロピレン
と他のα−オレフィンとを共重合させることにより、容
易に製造することができる。重合温度は、通常100℃
以下、好ましくは30〜90℃の範囲で選ばれ、また、
圧力は触媒の種類、反応器の特性、重合方式などの重合
条件によって異なるが、通常1〜50kg/cm2・Gの範
囲で選ばれる。
本発明組成物においては、(B)成分の造核剤として、
一般式 (式中のR1、R2、M1及びaは前記と同じ意味をも
つ) で表される有機リン化合物や、一般式 (式中のZ、R3、R4、R5、R6、M2及びbは前記と
同じ意味をもつ) で表される有機リン化合物が用いられる。
前記一般式(I)におけるR1は水素原子又は炭素数1
〜18のアルキル基であり、この炭素数1〜18のアル
キル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、
t−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル
基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられ
る。
また、R2は前記に例示した炭素数1〜18のアルキル
基、 (R1は前記と同じ意味をもつ)又はM1 1/aであり、M1
はNa、K、Mg、Ca又はAl、aはこれらのMの原
子価である。
前記一般式(I)で表される有機リン化合物の具体例と
しては、次の化合物などを挙げることができる。
一方、一般式(II)におけるR3、R4、R5及びR6は、
それぞれ水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であ
り、この炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメ
チル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イ
ソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ア
ミル基、t−アミル基、ヘキシル基などが挙げられる。
前記R3、R4、R5及びR6は、同一であってもよいし、
たがいに異なっていてもよい。またZはメチレン基、エ
チリデン基、プロピレン基又はイソプロピレン基の炭素
数1〜3のアルキレン基であり、M2はNa、K、M
g、Ca又はAl、bはこれらのM2の原子価である。
前記一般式(II)で表される有機リン化合物の具体例と
しては、次の化合物などを挙げることができる。
本発明組成物においては、(B)成分として前記一般式
(I)で表される有機リン化合物を1種用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また前記一
般式(II)で表される有機リン化合物を1種用いてもよ
いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、
前記一般式(I)で表される有機リン化合物1種以上
と、前記一般式(II)で表される有機リン化合物を1種
以上とを組み合わせて用いてもよい。
前記(B)成分の有機リン化合物は、(A)成分のプロ
ピレンランダム共重合体100重量部に対し、0.00
1〜0.5重量%、好ましくは0.003〜0.3重量
部の割合で配合することが必要である。この量が0.0
01重量部未満では本発明の効果が十分に発揮されない
し、0.5重量部を超えるとその量の割には効果の向上
は認められない。
本発明組成物には、所望に応じ、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、従来プロピレン系樹脂組成物に慣用されて
いる各種添加剤、例えば酸化防止剤、光安定剤、滑剤、
帯電防止剤、防曇剤、他の造核剤、アンチブロッキング
剤、残留塩素捕捉剤、透明化剤、金属不活性化剤、着色
剤などを添加することができる。
前記酸化防止剤としては、フェノール系やリン系のもの
を好ましく挙げることができるが、特にこれらの併用が
好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、例えば
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリ
ス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)イソシアヌレイト(チバガイギー社製、Irgan
ox3114)、2,2′−メチレンビス(4−エチル
−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3
−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート(チバガイギー社製、Irga
nox1076)、4,4′−チオビス(3−メチル−
6−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−
3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]メタン(チバガイギー社製、
Irganox1010)、4,4′−ブチリデンビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′
−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)(チバガ
イギー社製、Irganox1098)、トリエチレン
グリコール−ビス[3−(3′−t−ブチル−5′−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビ
ス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸エチル)カルシウムとPEワックスとの混合
物(重量比1:1)などが挙げられる。リン系酸化防止
剤としては、例えばジステアリルペンタエリスリトール
ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスファイト
(サンド社製、Sandostab.P−EPQ)、ト
リスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられ
る。また光安定剤としては、例えばサリシレート系、ベ
ンゾフェノン系、トリアゾール系、シュウ酸アリニド
系、ヒンダードアミン系などが挙げられ、さらに滑剤と
しては、例えばステアリン酸アミド、パルミチン酸アミ
ド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられ
る。
[実施例] 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらの例によってなんら限定されるものでは
ない。
なお、各物性及び共重合体の沸騰n−ヘキサン不溶分量
を次に示す方法に従って求めた。
(1)剛性 JIS K‐7203に準拠して、曲げ強さ(kg/c
m2)と曲げ弾性率(kg/cm2)を求めて、剛性を評価し
た。
(2)アイゾット衝撃強さ(kg・cm/cm) JIS K‐7110に準拠して、23℃及び0℃にお
けるアイゾット衝撃強さを求めた。
(3)白化 JIS K‐7211に準拠し、高さ50〜100mm、
温度23℃の条件で白化の程度を求めた。
◎:白化なし ×:白化大 (4)共重合体の沸騰n−ヘキサン不溶分量(wt%) 共重合体ペレットの粉砕物を、ソックスレー抽出器を用
い、n−ヘキサンで6時間抽出を行い、その不溶分量を
求めた。
また、有機リン化合物のして次のものを用いた。
NA−10:リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナ
トリウム NA−11:メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェノール)アシッドホスフェートナトリウム (実施例1〜12、比較例1〜10) 第1表に示す種類のエチレン−プロピレンランダム共重
合体100重量部に、第1表に示す種類と量の有機リン
化合物(造核剤)を配合し、これを230℃で均一に混
練して樹脂組成物を調製し、各物性を評価した。その結
果を第1表に示す。
(比較例11) エチレン−プロピレンランダム共重合体の代わりにエチ
レン−プロピレンブロック共重合体を用いて第1表に示
す条件で実施例1と同様の操作を行った。結果は第1表
に示す。
(以下余白) [発明の効果] 本発明のプロピレン重合体組成物は、プロピレンランダ
ム共重合体に、造核剤である特定の有機リン化合物を配
合させたものであって、衝撃時に白化が生じにくく、か
つ耐衝撃性及び剛性などに優れており、例えば射出成形
材料、軟質押出成形材料、耐寒性フィルム材料などとし
て好適に用いられる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)プロピレン以外のα−オレフィン単
    位の含有量が1〜10重量%、メルトインデックスが
    0.2〜60g/10分、沸騰n−ヘキサン不溶分量が
    60〜97重量%及びトライアッドランダム分率が7ユ
    ニット%以上であるプロピレンランダム共重合体100
    重量部に対し、(B)一般式 (式中のR1は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル
    基、R2は炭素数1〜18のアルキル基、 又はM1 1/a、M1はNa、K、Mg、Ca又はAl、a
    はM1の原子価である) で表される有機リン化合物、及び一般式 (式中のZは炭素数1〜3のアルキレン基、R3、R4
    5及びR6は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜6のア
    ルキル基であり、それらは同一であってもよいし、たが
    いに異なっていてもよく、MはNa、K、Mg、Ca
    又はAl、bはM2の原子価である) で表される有機リン化合物の中から選ばれた少なくとも
    1種0.001〜0.5重量部を配合させて成るプロピ
    レン重合体組成物。
JP1072875A 1989-03-25 1989-03-25 プロピレン重合体組成物 Expired - Lifetime JPH0655871B2 (ja)

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