JPH0653949B2 - 銅の電解精製方法 - Google Patents

銅の電解精製方法

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JPH0653949B2
JPH0653949B2 JP62187329A JP18732987A JPH0653949B2 JP H0653949 B2 JPH0653949 B2 JP H0653949B2 JP 62187329 A JP62187329 A JP 62187329A JP 18732987 A JP18732987 A JP 18732987A JP H0653949 B2 JPH0653949 B2 JP H0653949B2
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electrolytic
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は銅の電解精製方法に関し、特に硝酸銅を主成分
とする電解液に硝酸を添加してpH値を一定に保持するこ
とにより電析物への不純物の混入を防止するようにした
銅の電解精製方法に関する。
〔従来の技術〕
従来の銅の電解精製方法として、電解浴に硫酸銅と硫酸
を主成分とする硫酸銅浴を使用する方法がある。この方
法は安価で管理も容易であるが、本質的に電解浴中の硫
酸イオン(SO4 --)が電析Cu中に吸蔵される可能性があ
り、それにより、電析物を溶融鋳塊化する際にCu中にS
が混入する恐れがある。このような短所はあるものの、
電解条件を制御することにより現在99.999%の純度を得
ている。銅純度の指標として残留抵抗比RRR(=室温で
の比抵抗/4.2゜Kでの比抵抗)が用いられる。近年、需
要の増加している99.9999%以上の超高純度の銅材を得
るためにはRRR値が少なくとも7000以上にする必要があ
る。硝酸銅浴による精製方法では電析物の帯溶精製の回
数を増加させることにより、この要求に対処している。
以上述べた方法とは別に、99.999%より高い純度の銅を
得る方法として硝酸銅浴を使用する精製方法が知られて
いる。硝酸イオン(NO3 -)は電析Cu中に吸蔵されても、溶
融鋳塊化する際にNがCuに全く固溶しないため、純度低
下の原因とはならず、高純度化に有利な精製方法であ
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、従来の硝酸銅浴を使用する銅の電解精製方法に
よると、品質および形状的に良好な電析物が得られる電
解条件の範囲が非常に狭く、管理が容易でないという不
都合がある。例えば、硝酸銅浴の電析物は粒状晶や樹枝
状晶になり易く、また、亜酸化銅(Cu2O)も析出し易い。
このような結晶の電析物は溶融鋳塊化する前の洗浄に多
くの工数を要する。亜酸化銅が析出する原因としてpH値
の変動が挙げられる。電解浴は本質的にpH値が変動し易
く、一般に電解の進行につれてpH値が増加する傾向にあ
る。pH値の増加は、 2Cu++H2O+2e→Cu2O+2H+ の反応により、陰極にCu2Oの析出をひきおこし、Cuの析
出が抑制されると考えられる。
〔発明点を解決するための手段〕
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、工数の増加
による製造コストの上昇を伴わずに高純度の銅を得るた
め、硝酸銅を主成分とする水溶液を電解液とし、連続ま
たは間欠的な硝酸の添加によりpH値を一定に保持するよ
うにした銅の電解精製方法を提供する。
即ち、本発明の銅の電解精製方法は以下の工程を備えて
いる。
(1)電解液を作成する工程 純水中に高純度に精製した硝酸銅(Cu(NO3)2・3H2O)を、
例えば、70g/溶解し、これに所定量の硝酸を添加し
た水溶液を電解液とする。
(2)硝酸を添加してpH値を一定にする工程 被精製材を陽極とし、陰極に精製材を析出させる電解の
進行中において、電解浴に、例えば、20%(重量パーセ
ント)の濃度の硝酸を、例えば、0.005cc/min〜0.01cc/
minの割合で連続的あるいは間欠的に供給し、pH値を、
例えば、0.1〜1.5に維持する。pH値が1.5より大きいとC
u2Oが陰極に析出する。pH値が0.1より小さくなると陰極
でのH2ガスの発生量が増加し、電流効率が著しく低下す
る。また、陰極の電流密度は3.0A/dm2が好ましいが、そ
れより大きくなるとH2ガスの発生量が増加し、電流効率
が著しく低下する。
〔実施例〕
本発明の実施例は以下の通りである。
本発明の第1の実施例において、純水中に高純度に精製
した硝酸銅(Cu(NO3)2・3H2O)を70g/溶解し、これに
所定量の硝酸を添加した水溶液を電解液とする。第1表
に電解浴のpH値を示す。
純度99.996%の無酸素銅板を陽極とし、純度99.9993%
の銅条(厚さ0.1mm)を陰極とし、液温30℃、所定の電
流密度で電解精製を行う。電解中は、電流密度にも依存
するが、20%(重量パーセント)の濃度の硝酸を0.005c
c/min〜0.01cc/minの割合で連続的に供給し、初期のpH
値を維持する。第2表は電解浴のpH値、電流密度による
電流効率を比較したものである。
電解浴のpH値が1.5より大きいと、電流効率が高くなる
が、陰極にCu2Oが析出する。pH値が0.1より小さいと、C
u2Oは析出しないが陰極でのH2ガスの発生量が増加し、
電流効率が著しく低下する。電流密度が3.0A/dm2より大
きくなると、H2ガスの発生量が増加し、電流効率が著し
く低下する。電流密度が3.0A/dm2以下でpH値が1.5〜0.1
の範囲ではCu2Oの析出もなく電流効率も80%以上であっ
た。本実施例の電解条件で得られた電着銅を真空溶解
後、直径1.0mmの線材とし、焼純後、RRR値を測定したと
ころ、いずれも10.000以上の値を示した。
本発明の第2の実施例において、純水中に高純度に精製
した硝酸銅(Cu(NO3)2・3H2O)を70g/溶解し、硝酸を
滴下し、pH値を1.0に調整して電解液とする。液温を30
℃に保ち、電解中は20%(重量パーセント)の濃度の硝
酸を0.005cc/minの割合で連続的に補給し、pH値を一定
に維持する。純度99.996%の無酸素銅板を陽極とし、純
度99.9993%の銅条(厚さ0.1mm)を陰極とする。これら
の条件で電流密度2.7A/dm2の直流と交流を併用した電解
を行う。比較のため同じ電流密度で直流のみの電解も行
う。直流時間20秒、交流時間6秒(ただし、60Hz)の繰
り返しで電解を行った結果、直流のみの場合は全体にこ
ぶ状の結晶が析出し易く、かつ、電着物の厚さが陰極の
周辺部は中央部に比べて2倍と大きな差があるのに対
し、直流と交流を併用した場合はこぶ状の結晶はなくな
り、電着面は平滑で、陰極の周辺部の電着厚さは中央部
の20%増程度に差が小さくなった。
また、この2種の電着物から第1の実施例と同様の方法
で試料を作成し、RRR値を測定したところ、直流のみの
場合は11.300であったのに対し、直流と交流を併用した
場合は13.000であった。
〔発明の効果〕
以上説明した通り、本発明の銅の電解精製方法によれ
ば、硝酸銅を主成分とする水溶液を電解液とし、連続ま
たは間欠的な硝酸の添加によりpH値を一定に保持したた
め、工数の増加による製造コストの上昇を伴わずに高純
度の銅が得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被精製材としての銅を陽極とし、硝酸銅を
    含む水溶液を電解液とし、陰極に精製された銅を析出さ
    せる銅の電解精製方法において、 前記電解液が電解の進行中に微量の硝酸を、連続または
    間欠的に、添加されることにより、電解液のpH値が1.5
    〜0.1にされることを特徴とする銅の電解精製方法。
  2. 【請求項2】前記陰極が3.0A/dm2以下の電流密度にさ
    れることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の銅の
    電解精製方法。
  3. 【請求項3】前記陽極と前記陰極がその間に印加される
    直流電流に交流電流が重畳されて電解を行うことを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の銅の電解精製方法。
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