JPH0653564B2 - 六方晶窒化硼素の高純度化方法 - Google Patents

六方晶窒化硼素の高純度化方法

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JPH0653564B2
JPH0653564B2 JP62107866A JP10786687A JPH0653564B2 JP H0653564 B2 JPH0653564 B2 JP H0653564B2 JP 62107866 A JP62107866 A JP 62107866A JP 10786687 A JP10786687 A JP 10786687A JP H0653564 B2 JPH0653564 B2 JP H0653564B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、酸素,炭素,水溶性硼素化合物の含有が極め
て少ない六方晶窒化硼素の高純度化方法に関し、更に詳
しくは、電子材料,非酸化性セラミック焼成用充填粉
末,化粧品原料,医療用添加剤,立方晶窒化硼素の原料
に使用する極めて高純度の六方晶窒化硼素を得る方法に
関する。
[従来の技術] 六方晶窒化硼素(以下窒化硼素をBNという)粉末は白
色で黒鉛と同様に層状構造であり種々の特性を有してい
る。特に熱伝導性,電気絶縁性,化学安定性,潤滑性,
耐熱性などが優れており、これらの性質を生かして多岐
の用途に供されている。粉末としての用途にはプラスチ
ック添加剤,潤滑剤などの使用法が多い。
最近では電子技術の進歩に従って、BNの耐熱性,電気
絶縁性を利用した充填剤,添加剤の用途において高純度
のBNの要求が多くなってきている。例えば合成ゴムに
BN粉末を添加して電気絶縁性および熱伝導性の優れた
シートを製造する方法(特開昭54−163398号公
報記載に係る発明)がある。このとき使用するBN粉末
に要求される特性は、 (イ)表面を平滑にして合成ゴムとの密着性を良くする
こと、 (ロ)高純度結晶質BNを使用し熱伝導性,電気絶縁性
に優れた特性を付与すること、 である。
また、高圧相転移により立方晶窒化硼素(c−BN)を
製造する原料として六方晶BNを使用しているが、酸素
を含んだ六方晶BNを原料とすると、c−BNの収率が
悪いばかりでなく、得られた製品の強度,光学的透明度
も悪くなる。このため通常は2000℃〜2200℃に
加熱して不純物を取り除いて高純度六方晶BNを得てい
る(特公昭58−181708号公報記載に係る発
明)。
さらに最近ではHIP(Hot Isostatic Press)装置よ
り高密度,高強度焼結体の開発が進められているが、こ
のとき離型を容易にするためBN粉末が使用される。六
方晶BN粉末中に酸素,炭素の含有量が多いと焼結体中
に拡散して焼結を低下させるので高純度粉末が要求され
ている。
従来、かかる用途に適する高純度の六方晶BNの製造
は、大別すると次の3つの方法に分類される。
(1)高温に加熱して不純物を蒸発、あるいは分解除去
する方法(特開昭58−60603号,特開昭58−1
81708号公報記載に係る発明)。
(2)アルカリ水溶液を用いて洗浄により不純物を除去
する方法(特開昭59−107907号公報記載に係る
発明)。
(3)三塩化硼素とアンモニアから下記(A)式により
高純度な六方晶BNを得る方法。
BCl3 +NH3 →BN+3HCl…(A) [発明が解決しようとする問題点] しかしながら、これらの従来の方法にあっては、充分に
純度の高い六方晶BNを大量に製造することが出来ず、
特に炭素,酸素の含有量が夫々100ppm以下で水溶
性硼素化合物の含有量が100ppm以下の高純度なも
のが製造出来ない問題点を有している。
即ち、前記方法(1)によれば、結晶質BNを高温加熱
することによって不純物のオキシナイトライド、酸化硼
素は分解揮発し、除去することができる。しかし、発生
した硼素の酸化物は、層厚が薄い少量処理の場合には簡
単に試料充填層外に熱対流、拡散により除去できるが、
大量の処理ではガス状で充填層内に残留し冷却過程で凝
固しBN表面あるいは粒子間に不純物として析出する。
このため前記方法(1)は大量処理が困難な方法であ
り、また高温処理のためエネルギーコストも高価にな
る。また少量処理により高純度品を得た場合において
も、BNの表面には水溶性硼素化合物が多量に存在して
いる。
また、前記(2)のアルカリ水溶液を用いてBNを洗浄
する方法は、電子材料等に好ましくないアルカリを使用
することから、アルカリイオンがBNの表面イオンと結
合して残留し、その後の水洗でも完全に除去できない欠
点がある。またアルカリ水溶液を使用し洗浄する目的
は、アルカリによるBNの分解によって角をとり、BN
を成形した時の充填性を向上させるためで、水溶性硼素
を除去する方法としては効果が少ない。本発明者らがこ
の明細書に記述された方法により追試験を行ったとこ
ろ、100℃の沸騰水で浸出し抽出中の水可溶性硼素化
合物は200μg/g−BN以上あった。この理由とし
ては洗浄時のBN粉末とアルカリ水溶液とのぬれが十分
でない水可溶性硼素化合物の洗浄が完全に行われていな
いことによる。
さらに、前記(3)の三塩化硼素とアンモニアから高純
度の六方晶BNを製造する方法では、高純度のものは得
られるが高結晶質の六方晶BNは得難く、絶縁性,熱伝
導性において劣る欠点があり、加水分解性も結晶質の六
方晶BNに比べて大きい。
以上のごとく市販されている高結晶質の六方晶BNは耐
加水分解性の向上、あるいは表面の安定化を目的に製造
されたものでなく、水溶性硼素の低減化が考慮されてい
ない問題点があった。
また、不純物として含有されている酸素,炭素はBN結
晶の内部で欠陥を形成したり、環境が不安定な条件で使
用すると分解したりする問題点があった。
さらに、水溶性硼素化合物は、主としてBN中の不安定
硼素と酸化硼素であり、これらの化合物は吸湿性を有し
ているため、例えば、水溶性硼素を含むBNはシリコン
ゴムへの添加剤として使用した場合、ゴムとBN粉末の
密着性が悪化し、それに伴い熱伝導性,電気絶縁性も悪
化する問題点があった。
さらにまた、水溶性硼素化合物を含む六方晶BNを立方
晶BNの原料として使用した場合においても、水溶性硼
素化合物の含有量が多いと立方晶BNの回収率が低くな
る問題点があった。
本発明は、かかる問題点に鑑み創案されたものであっ
て、極めて純度の高い六方晶BNを工業的に製造する方
法を得んとするものである。
[問題点を解決するための手段] そこで、本発明は、結晶質窒化硼素粉末を、メタノー
ル、エタノール、グリセリン、界面活性剤含有水、又は
アルカリ金属を含む界面活性剤含有水中で均一に分散、
解砕した後、濾過を行い、さらに100℃以下および/
または水蒸気気圧10mmHg以下の条件で乾燥させる工
程と、前記工程で得られた乾燥粉末を非酸化性雰囲気中
で1600℃以上の温度で加熱処理を施す工程とを備え
たことを、その構成としている。
[作用] 結晶質BN粉末中の水溶性硼素化合物は、結晶質BN粉
末を溶媒中で均一に分散,解砕した後、濾過を行うこと
により、瀘液とともにBN粉末から除去される。そし
て、このように濾過されたBN粉末は乾燥され、さらに
非酸化性雰囲気中で加熱処理されることにより、含有す
る酸素及び炭素が除去される。
[実施例] 以下、本発明に係る六方晶BNの高純度化方法を詳細に
説明する。
本発明に係る方法の大略は、高結晶質BN粉末をメタノ
ール,エタノール,グリセリン等の溶媒により凝集塊の
状態から一次粒子状まで細かく分散させ、濾過、乾燥す
ることで細かい粒子を形成した後、非酸化性雰囲気中で
加熱処理を施すことにより不純物を蒸発除去することで
達成したものである 先ず、本発明に用いられる結晶質BNは、完全に六方晶
構造を有した状態のものである。なお、BNは合成条件
により結晶構造が異なるのは周知の通りであり、例え
ば、硼酸と尿素を原料としてN2 雰囲気中でBNを合成
した場合を例にとると、800℃からBNは生成される
が、このBNは完全に六方晶構造にまでなりきっていな
いもので、結晶学上は乱層構造と呼ばれ、隣接する層が
互いにランダムに位置した層状構造になっている。通常
の結晶質のBNは黒鉛と同様に六方晶の層状構造をとり
各層は完全に平行になっており、この点が乱層構造のB
Nと異なる点である。さらに温度を上げていくと乱層構
造から六方晶構造に徐々に変化し、それと同時に粒成長
と不純物のB23 ,硼素アンモニウム,結晶中の酸
素,炭素などが除去されて純度も向上していく。160
0℃以上になると一次粒子子径も1μm以上になる。さ
らに加熱を続け1800℃になると完全に六方晶構造で
2μm〜6μmの一次粒子径を有する純度99%以上
(Nの分析値から計算した値)のBNになる。
結晶構造を定量化する方法として結晶子の大きさを測定
する方法(学振117委員会法)がある。結晶子の大き
さはc軸方向の平均厚さ(Lc)とa軸方向の平均直径
(La)で表されるが(002)のX線回折ピークが最
も強度が強いのでLcが精度も良い。Lcで結晶構造を
評価すると100Å以下では乱層構造であり、100Å
〜400Åでは準黒鉛構造をとり、400Å以上では完
全に六方晶構造であった。特にBNの重要な特性の1つ
である潤滑性はLcが400Å以上でないと発現されな
かった。また非表面積を窒素吸着法で測定したところ完
全に黒鉛構造のBNは4〜10m2 /gであったが、準
黒鉛構造のBNは25〜100m2 /gであった。また
大気中の湿分との反応性についても差異がみられ、準黒
鉛構造のBN粉末を1ケ月間ポリエチレン製の容器に保
存しておくとBNの加水分解により発生したアンモニア
臭が感ぜられたが、一方黒鉛構造のBNからは検知され
なかった。この点からも結晶質のBNの方が耐加水分解
性に優れ比表面積も小さいことから本方法の原料として
適している。このように結晶質BNが準黒鉛構造のBN
に比べて耐加水分解性において優れている原因として
は、 (1)結晶質BNの方が比表面積が小さく湿分との反応
界面積が小さい。
(2)結晶質BNは六方晶の完全結晶であるため表面の
Bは結晶内部と強固に結合しており結合エネルギーも大
きく容易に水蒸気に侵食されない。
(3)結晶質BNは高純度であり表面に不純物のCO,
Hなどが少なく親水基が少ないので吸湿性が低く反応性
に乏しい。
などが考えられる。
なお、洗浄工程の中でBNを分解させるのに効果的な成
分であるナトリウム,カリウムを含んだ希薄水溶液を使
用すれば、BNの表面を一部分解し、洗浄な面を出すた
め後工程の熱処理が非常に効果的に行える。なお、不純
物としてナトリウム,カリウムは、残留するが、後記す
る熱処理により容易に除去することが可能である。
このときの原料の結晶質BNは後の洗浄工程で効果的に
洗浄するために、粉砕,分級により、マイクロトラック
法で測定した粒径が50μm上のものは除去し、可能な
限り一次粒子径に近い状態にまで粒度調整しておく必要
がある。
水可溶性硼素化合物の洗浄除去を効果的に進めるには、 (イ)結晶質BNが洗浄水とのなじみ(濡れ性)がよ
く、分散性が良いこと、 (ロ)洗浄水の可溶性硼素化合物の除去効果が大である
こと、 が重要である。
これらの項目の中で濡れ性と分散性については結晶質B
Nが黒鉛と同様に単に水と混合するだけでは容易に分散
しないことによる。このため操作も容易に進行しなくな
る。そこで種々な界面活性剤と試薬を使用して分散効果
を調べたところ、分子中の親水基と親油基の両者の釣合
を示すHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値で1
0〜16の範囲にあるアニオン系,ノニオン系,カチオ
ン系いずれかの界面活性剤、あるいは水可溶性有機溶媒
水溶液が適していることが判明した。
界面活性剤としては、HLB値が10〜16の範囲を示
すものが洗浄効果が高く、例えば、ポリオキシエチレン
(5)ソルビタンモノステアレート,ポリオキシエチレ
ン(4)ソルビタントリオレエート,ポリオキシエチレ
ングリコール400モノオレエート,トリエタノールア
ミンオレエート,ポリオキシエチレン(9)ノニルフェ
ノール,ポリオキシエチレングリコール400モノオレ
エート,トリエタノールアミンオレエート,ポリオキシ
エチレン(9)ノニルフェノール,ポリオキシエチレン
グリコール400モノオレエート,ポリオキシエチレン
(4)ソルビタンモラウレート、などがある。
水可溶性有機溶媒としては、メチルアルコール,エチル
アルコール,グリコール,グリセリン、などのアルコー
ル類およびアセトン,アセチルアセトン,エチルアミ
ン,アセトアルデヒド,フェノールなどがある。
界面活性剤の濃度は0.001〜1重量%の範囲が好ま
しい。この理由は1重量%を越えるとそれ以上添加して
も分散効果に差がなく過剰に添加しても経済的に好まし
くないからである。また、0.001重量%未満ではそ
の効果が十分発現されないからである。
有機溶媒ではメチルアルコール,エチルアルコールが価
格,入手の容易さから最も適している。BN粉末の洗浄
液中への分散方法はまずBN粉末を水可溶性有機溶媒、
例えばメチルアルコール,エチルアルコールなどに分散
させて高濃度のスラリー状にした状態で使用する。有機
溶媒中に洗浄水に添加すれば、アルコールの使用量も少
なくてよく分散性も非常に良好であった。また水可溶性
有機溶媒と界面活性剤の併用はさらに効果的である。
そのときの洗浄温度は10℃〜100℃でよいが、沸点
が100℃よりも低い分散剤を使用する場合は、分散剤
の沸点以下の温度が好ましい。下限は溶出反応の効率か
らいって10℃までである。ただ高温ほど洗浄効果は大
きく処理時間は短時間でよい。
洗浄の際のスラリー濃度は薄いほど洗浄効果は大きい
が、経済性の面から最適な範囲がある。上限はBNが5
0重量%のスラリーである。これ以上濃くなると攪拌が
均一に十分行われず、攪拌インペラや容器壁との摩擦も
大きくなり不純物の混入の原因になる。
下限を特定する積極的な理由は乏しいが経済性と脱水機
能力の点から2.5重量%までが好ましい。
スラリーの攪拌は、通常攪拌、高速攪拌あるいは剪断力
に基づく分散など洗浄装置の形状に従って最も効果的な
方法を採用することができる。このときの操作は連統
式,バッチ式いずれの方法によっても良いが、洗浄の終
結点は、実際のプロセスにおいて製造したBN中の水溶
性硼素の分析値から決定する必要がある。洗浄後のスラ
リーの脱水は遠心脱水,真空脱水,加圧脱水あるいは自
然沈降による脱水のいずれの方法によってもよい。
最終工程の乾燥は、洗浄により精製したBNをできるだ
け加水分解させずに行う方が熱処理工程が効果的にな
る。BNの加水分解はH2 Oとの反応によりB23
NH3 に変化する反応である。
2BN+3H2 O→B23 +2NH3 …(B) このとき反応(B)を生ずる条件は、次の2点が不可欠
である。
(a)水蒸気気圧が10mmHgを越えていること。
(b)乾燥温度が100℃を越えていること。
従って、反応(B)を生じさせない方法は(a),
(b)どちらかの条件外で乾燥を行えばよいことにな
る。
上記条件の中で(a)の水蒸気分圧の特定は10mmH
g以下であればBN酸化反応 2BN+(3/2)O2 →B23 +N2 …(C) の生ずる500℃より低い温度範囲であれば水による加
水分解反応と酸化反応を生ずることなく乾燥できるため
である。この条件を満足できる乾燥方法は真空乾燥であ
る。
条件(b)の乾燥温度を特定したのは、水蒸気分圧を限
定せず乾燥させた場合に加水分解反応を生ずるのは10
0℃を越えた場合であるからである。加水分解反応は酸
化反応に比べて非常に低い温度から始まっている。この
ときのH2 Oの形態は水と水蒸気であるがどちらが加水
分解反応に寄与しているかを確認するため、100℃で
の乾燥時間24hと同時間BN粉末を100℃の熱水に
浸漬させた後濾過しで抽出水中の硼素量を定量したとこ
ろ、熱水で浸漬させた方法では硼素はBN粉末1gに対
して10μg以下であり100℃で乾燥させたものの1
/10以下であった。このことから加水分解反応は主と
して水蒸気に起因しているといえる。100℃以下の低
温乾燥法として凍結乾燥,大気乾燥などがあり、いずれ
の方法によっても可能である。
さらに、水蒸気分圧10mmHg以下かつ乾燥温度10
0℃以下であればより好ましいのは当然である。熱処理
条件としては乾燥工程で残留した表面に付着した可溶性
硼酸ナトリウム,アルカリを除去する点と結晶中に酸窒
化硼素,シアン基の形で残留している酸素,炭素を加熱
除去できる温度が必須条件である。そのときの雰囲気条
件はBNの酸化を防止するために非酸化性でありBNの
分解を防止し酸素を還元除去する目的からN2 NH3
2 雰囲気,あるいは減圧中の加熱が有効である。加熱
温度は酸素,炭素を除去できる温度が必要である。この
目的で加熱温度を変化させて熱処理を行ったBN中の官
能基を赤外吸収法で測定したところ1600℃以上から
B−N−O,CN基等が減少を始めた。O,Cの成分分
析からも1600℃以上の温度であれば明確な減少を示
している。熱処理温度の上限はBNの分解温度3000
℃まで可能であるが、使用する加熱炉により制限され
る。通常は黒鉛抵抗加熱炉が使用されるため発熱体ある
いは炉壁,ルツボから炭素含有物質が発生するため22
00℃以上はBN中の炭素量の増加になる。
ルツボとして高純度BNルツボを使用して、タングステ
ンヒータ加熱を行えば2500℃まで加熱可能である。
保持時間は高温ほど短時間でよく、また粉末の充填条件
によっても変化させる必要がある。
このようにして精製されたBNは表面が改質され、従来
法では得られない高純度であり、特に水可溶性硼素が著
しく少ないために、電子材料,c−BN原料として適し
ている。
また近年生産量が増加しているSi34 ,AlN,S
iCなどの焼成用充填粉末としての用途も拡大してい
る。この時酸素,炭素含有の多い粉末を使用すると焼結
体内部に拡散し特性を低下させる。
特に酸素が多い焼結体だと高温特性が低下する原因にな
り、本方法で製造した高純度粉末を使用すれば焼結特性
のすぐれた製品が得られた。高純度なため硼酸などの不
純物を含まず薬品,化粧品用にも使用できる。
本発明は粉末内部のみならず表面を安定化されているた
めに今後開拓が進むであろう新たな分野において十分適
用できる。
[実施例1〜5 比較例1〜2] 加熱処理により高純化を行ったBN粉末をジェットミ
ル,気流分級機を使用して25μm以下に粉砕分級した
後、5倍量のエタノールを添加してボールミルで30h
混合した。その後防爆型の乾燥機でエタノールを完全に
除去した後、解砕して微粉状にした。微粉状のBNをB
Nルツボに5cmの高さで高密度0.18g/cm3
条件で充填した。充填後、種々な焼成温度と雰囲気中で
加熱したそのときの製品中の炭素,酸素,水可溶性硼素
の分析値を表1に示す。
[実施例6〜9] 実施例1と同一の試料を使用して表2に示す種々な溶媒
を試料の5倍量添加してボールミルで30h洗浄後、真
空乾燥を行ったその後、解砕して微粉状にした。微粉状
のBNをBNルツボに5cmの高さで高密度0.18g
/cm3 の条件で充填した。充填後2000℃で2hの
熱処理をN2 雰囲気中で行った。その結果を表2に示
す。
なお、このような水可溶性硼素含有量の測定は以下の方
法によって行う。
BN2.5gをエチルアルコール10ccに分散させた
後、純粋40ccを加えてスラリーとして調整し、乾留
器をつけたフラスコを使用して100℃で1h水可溶物
を溶出し、濾過してエチルアルコールを蒸発除去し、再
び純水を加えて50ccとした抽出水を検体としてクル
クミン酸法(A.Tolk and W.A.TaP Tal anta.vol 16.No.
111(1969))で全硼素量を定量する。この方法による
測定値は、製品の品質特性を表示する値として直接利用
することができ、さらに品質評価としては極めて厳しい
評価法であるということができる。
[発明の効果] 以上の説明から明らかなように、本発明に係る六法晶窒
化硼素の高純度化方法によれば、酸素,炭素及び水溶性
硼素化合物の含有量の極めて低い六法晶窒化硼素を得る
ことが出来、具体的には、表1に示すように酸素及び炭
素ともに1000ppm以下、水溶性硼素化合物は20
ppm以下という高純度な六法晶窒化硼素を得る効果が
ある。
そのため、結晶構造が安定な六法晶窒化硼素を供給出来
ると共に、水溶性硼素化合物の含有が少ないため、例え
ば、シリコンゴムの添加剤,立方晶窒化硼素の原料等と
して好適な六法晶窒化硼素を得る効果がある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶質窒化硼素粉末を、メタノール、エタ
    ノール、グリセリン、界面活性剤含有水、又はアルカリ
    金属を含む界面活性剤含有水中で均一に分散、解砕した
    後、濾過を行い、さらに100℃以下および/または水
    蒸気分圧10mmHg以下の条件で乾燥させる工程と、前
    記工程で得られた乾燥粉末を非酸化性雰囲気中で160
    0℃以上の温度で加熱処理を施す工程とを備えたことを
    特徴とする六方晶窒化硼素の高純度化方法。
JP62107866A 1987-04-30 1987-04-30 六方晶窒化硼素の高純度化方法 Expired - Lifetime JPH0653564B2 (ja)

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