JPH0651426A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH0651426A
JPH0651426A JP22225092A JP22225092A JPH0651426A JP H0651426 A JPH0651426 A JP H0651426A JP 22225092 A JP22225092 A JP 22225092A JP 22225092 A JP22225092 A JP 22225092A JP H0651426 A JPH0651426 A JP H0651426A
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JP
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layer
film
temperature
polyester
acid
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JP22225092A
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English (en)
Inventor
Masahiko Murayama
雅彦 村山
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】巻きぐせが少なく、耐接着性に優れたハロゲン
化銀写真感光材料を得る。 【構成】ポリエステルフィルム上に少なくとも1層の感
光層を有してなるハロゲン化銀写真感光材料において、
少なくともバッキング層の最外層を構成する成分のガラ
ス転移点温度がいずれも110℃以上、200℃以下で
あることを特徴とする、ハロゲン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真感光材料に関するも
のであり、特に製膜、延伸時に表裏に10℃以上100
℃以下の温度差を伴い、かつ50℃以上支持体のガラス
転移温度以下の温度で加熱処理されたガラス転移温度が
90℃以上200℃以下のポリエステルを支持体とし
た、耐密着性に優れ、かつ巻ぐせの付きにくいハロゲン
化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料は一般的に、プラスチック
フィルム支持体上に少なくとも1層の写真感光性層を塗
布することによって製造される。このプラスチックフィ
ルムとしては一般的にトリアセチルセルロース(以下
「TAC」と記す)に代表される繊維系のポリマーとポ
リエチレンテレフタレート(以下「PET」と記す)に
代表されるポリエステル系のポリマーが使用されてい
る。一般に写真感光材料としては、Xレイ用フィルム、
製版用フィルム及びカットフィルムの如くシート状の形
態のものと、ロールフィルムの代表的なものは、35m/
m 巾又はそれ以下の巾でパトローネ内に収められてお
り、一般のカメラに装填して撮影に用いるカラー又は黒
白ネガフィルムである。ロールフィルム用支持体として
は、主にTACが用いられているが、この最大の特徴
は、光学的に異方性が無く透明度が高いことである。さ
らにもう一点優れた特徴があり、それは現像処理後のカ
ール解消性についても優れた性質を有している点であ
る。即ち、TACフィルムはその分子構造からくる特徴
として比較的プラスチックフィルムとしては吸水性が高
い為、ロールフィルムとして巻かれた状況で経時される
ことによって生じる巻ぐせカールが現像処理における吸
水で分子鎖が流動し、巻き経時で固定化された分子鎖が
再配列を起こす。その結果一旦形成された巻きぐせカー
ルが解消するという優れた性質を有している。この様な
TACのごとき巻きぐせカール回復性を有さないフィル
ムを用いた写真感光材料では、ロール状態で用いられた
際に、例えば現像後写真印画紙に画像を形成させる焼き
付け工程等で、スリ傷の発生、焦点ボケ、搬送時のジャ
ミング等の問題が生じてしまう。一方、PETフィルム
は優れた生産性、機械的強度、ならびに寸度安定性を有
するためTACに代替するものと考えられてきたが、写
真感光材料として広範囲に用いられているロール形態で
は巻きぐせカールが強く残留するため現像処理後の取り
扱い性が悪く、上記の優れた性質がありながらその使用
範囲が限定されてきた。
【0003】ところで、近年写真感光材料の、用途は多
様化しており撮影時のフィルム搬送の高速化、撮影倍率
の高倍率化、ならびに撮影装置の小型化が著しく進んで
いる。その際には、写真感光材料用の支持体としては、
強度、寸度安定性、薄膜化等の性質が要求される。さら
に、撮影装置の小型化に伴い、パトローネの小型化の要
求が強くなっている。従来、135システムでは、直径
25mmのパトローネが用いられてきたが、例えばこのス
プール(巻芯)を10mm以下にし、同時に、現行135
システムで用いているTAC支持体厚みの122μmか
ら90μmに薄手化すれば、パトローネを直径20mm以
下に小型化することができる。このようなパトローネの
小型化を行うためには、2つの問題が存在する。第1の
問題は、フィルムの薄手化に伴う力学強度の低下であ
る。特に、曲げ弾性は厚みの3乗に比例して小さくな
る。ハロゲン化銀写真感材は、一般にゼラチンに分散し
た感光層を塗設しており、この層が低湿化で収縮を引き
起こし、幅方向カール(U字型)状カールを発生する。
この収縮応力に抗するだけの曲げ弾性が支持体に必要と
なる。第2の問題は、スプールの小型化に伴う経時保存
中に発生する強い巻ぐせである。従来の135システム
では、パトローネ内部で最も巻径の小さくなる36枚撮
フィルムでも、巻径は14mmである。これを10mm以下
に小型化しようとすると著しい巻ぐせが付き、これによ
り種々のトラブルが発生する。例えば、ミニラボ自現機
で現像処理を行うと、一端がリーダーに固定されている
だけで、もう一端は固定されないため、フィルムが巻上
り、ここに処理液の供給が遅れ“処理ムラ”の発生原因
となる。また、このフィルムの巻上りは、ミニラボ中の
ローラーで押しつぶされ、「折れ」が発生する。
【0004】これらの問題は、ポリエステルフィルム支
持体上に少なくとも1層の感光層を有してなるハロゲン
化銀写真感光材料において、該ポリエステルフィルム支
持体のガラス転移温度が90℃以上200℃以下である
ことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料によって達
成された。以上の問題解決に際して、該ポリエステル支
持体に如何にして均一に熱処理を施すか、という点が極
めて重要となる。該ポリエステルフィルム支持体の熱処
理は、巻ぐせの付いていない平面の形状で該支持体を固
定する目的から、平面に貼り付けて固定して行なうのが
もっとも好ましい。しかしながらこの方法は莫大な面積
の平面状の板を必要とするため生産効率の点から著しく
不利である。従って比較的大きな曲率半径の巻芯に巻き
付けて熱処理する方法が一般的である。
【0005】この際問題となるのが、熱処理工程におけ
る密着不良および接着である。すなわち、熱処理工程は
通常下塗層及びバッキング層塗設の後に行なわれるが、
熱処理温度が該ポリエステルのガラス転移温度より低す
ぎると充分に巻癖が改良されず、製品に現像トラブルが
頻発することになる。しかし一方熱処理温度が該ガラス
転移温度より高すぎる場合、下塗層、バッキング層間で
密着を生じ、層間移動等を生じて、次の感光層塗設を均
一に行なうことができなくなり、製品の歩止まり性が低
下して著しく生産性が低下し、製造上不利となる。ここ
で下塗、バッキング層塗設前に熱処理工程を組込むと上
記の問題は解決する。しかし下塗、バッキング層塗設の
際の乾燥温度が該ガラス転移温度より低すぎると下塗、
バッキング層の接着性が低下し、製品における感光層は
く離のトラブルを生じて製造上不利である。一方下塗、
バッキング層塗設の際の乾燥温度が該ガラス転移温度よ
り高すぎると今度は熱処理を再度行なうことになり、巻
癖改良効果がなくなり現像トラブルを生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、優れた力学物性を有し、かつ巻きぐせが少なく、更
に耐密着性の改良されたハロゲン化銀写真感光材料を提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル
フィルム上に少なくとも1層の感光層を有してなるハロ
ゲン化銀写真感光材料において、バッキング層を構成す
る成分のガラス転移点温度がいずれも110℃以上、2
00℃以下であることを特徴とするハロゲン化銀写真感
光材料によって達成された。本発明におけるバッキング
層について詳細に説明する。本発明は、該感光材料がバ
ッキング層塗設後、あるいはバッキング層及び下引き層
塗設後、表裏が互いに接触した状態で熱処理を施される
所に特色があるが、この時、表側の支持体、あるいは下
引き層と、裏側、すなわち感光層と反対側に塗設された
バッキング層とが密着することが問題であった。本発明
においては、この密着不良を改良するために、バッキン
グ層が熱によって変形し密着することを防止する点が特
徴となっている。この方法は、力学強度を左右する支持
体の成分や、あるいは複雑な反応の進行する感光層と相
互作用して接着する役割を担う下引き層に何ら手を加え
ることなく、密着不良を効果的に改良できる点で、有利
である。本目的を達成するためには、ポリマーを含むバ
ッキング層を構成する成分が、該熱処理工程の温度にお
いて容易に変形しないことが必要である。すなわち、ポ
リマーを含むバッキング層を構成する成分のすべてのガ
ラス転移点温度が、後述する該ポリエステル支持体のガ
ラス転移点温度以上、すなわち50℃以上、200℃以
下、好ましくは、熱処理工程温度以上、さらに好ましく
は110℃以上であることが望ましい。200℃以上の
場合、該バッキング層を構成する成分ばかりでなく、他
の層や支持体成分の熱分解も生ずるため、現実的ではな
い。本発明におけるバッキング層についてさらに詳細に
説明する。本発明は該バッキング層を構成する成分のガ
ラス転移点温度がいずれも110℃以上、300℃以下
であることに特徴があるが、実際には主成分であるポリ
マー以外の添加物成分が低分子量化合物であるため、そ
のガラス転移温度を定義することは一般に困難である。
そこでポリマー以外の添加物成分が含まれる場合を考慮
して、バッキング層を構成する成分をその構成比で混合
した混合物のガラス転移点温度をもって、該バッキング
層を構成する成分のガラス転移点温度(以下Tgbと記
す)と定義する。Tgbが該ポリエステル支持体のガラス
転移点温度より低い場合、熱処理工程においてバッキン
グ層の変形が現われ、密着不良を生じるため、本発明の
バッキング層のTgbは該ポリエステル支持体のガラス転
移点温度より高いことが必要であり、さらに好ましくは
gbは115℃以上であることが好ましく、より好まし
くは120℃以上である。これらの条件を達成する限り
ポリマー及びポリマー以外の添加剤成分の組み合わせに
特に制限はないが、好ましいポリマーとしてはアセチル
セルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、アクリロ
ニトリル樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、尿素
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアリレート等があ
げられる。この中でも特に好ましいのはアセチルセルロ
ース(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース
など)、及びゼラチンである。また、密着不良改良の効
果は、該ポリマーを含む層が最外層に近いほど良好なた
め、本発明におけるバッキング層の構成成分について
は、その構成成分が最外層に近い層の成分であるほど好
ましい。更に好ましくは、その構成成分が最外層の構成
成分であることが好ましい。さらに密着不良改良のため
には、バッキング層と反対面の感材表面に凹凸を付与す
ればよく、粗い表面ほど好ましいことがわかっている
が、粗い表面にするほど写真感材の鮮鋭度の低下やヘイ
ズのアップを生じるためにその粗さは限定される。した
がって、本発明はバック面の表面の突起物の平均高さが
0.2〜3.0μmであり、好ましくは1.0〜2.0
μmである。又、そのバック面の突起物は表面に多数あ
る程良いが、必要以上に多いとヘイズとなり問題であ
る。
【0008】好ましい突起物は本発明の突起物の平均高
さを有する範囲であれば、例えば球形、不定型マット剤
で突起物を形成する場合はその含有量が5〜300mg/
m2であり、より好ましいのは10〜200mg/m2であ
る。本発明のバック側に、平均高さ0.2〜3.0μm
を有する表面はもっとも簡便な方法としてマット剤を含
有させればよい。この時、使用されるマット剤としては
その組成において特に限定されず、無機物でも有機物で
もよく2種類以上の混合物でもよい。
【0009】本発明に用いられる粒子は、現像処理後も
感材中に残存する粒子であり、処理液に溶けないことを
特徴とし、著しい親水性あるいはアルカリ性又は酸性で
溶解するような基を多量含有しない方が望ましい。本発
明のマット剤の無機化合物、有機化合物は、例えば、硫
酸バリウム、マンガンコロイド、二酸化チタン、硫酸ス
トロンチウムバリウム、二酸化ケイ素、などの無機物の
微粉末があるが、さらに例えば湿式法やケイ酸のゲル化
より得られる合成シリカ等の二酸化ケイ素やチタンスラ
ッグと硫酸により生成する二酸化チタン(ルチル型やア
ナタース型)等が挙げられる。また、粒径の比較的大き
い、例えば20μm以上の無機物から粉砕した後、分級
(振動濾過、風力分級など)することによっても得られ
る。
【0010】又、ポリテトラフルオロエチレン、セルロ
ースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリ
レート、ポリエチレンカボネート、澱粉等の有機高分子
化合物の粉砕分級物もあげられる。あるいは又懸濁重合
法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは
分散法等により球型にした高分子化合物、または無機化
合物を用いることができる。また以下に述べるような単
量体化合物の1種または2種以上の重合体である高分子
化合物を種々の手段によって粒子としたものであっても
よい。
【0011】次に以降に用いる巻ぐせ測定法およびそれ
に関する用語等について説明を加える。 (1)コアセット フィルムをスプールに巻き付けて巻ぐせを付けること。 (2)コアセットカール コアセットにより付けた長さ方向の巻ぐせ。巻ぐせの程
度は、ANSI/ASC pH1.29−1985のTe
st Method Aに従って測定し、1/R〔m〕(Rはカー
ルの半径)で表示した。 (3)絶対コアセットカール 巻ぐせ改良を行う前の写真フィルムのコアセットカー
ル。 (4)コントロールドコアセットカール 巻ぐせ改良を行った後の写真フィルムのコアセットカー
ル。 (5)真のコアセットカール (絶対コアセットカール)−(コントロールドコアセッ
トカール) (6)カール低減率 (真のコアセットカール/絶対コアセットカール)×1
00 (7)ガラス転移温度(Tg) 示差熱分析計(DSC)を用い、サンプルフィルム10
mgをヘリウムチッ素気流中、20℃/分で昇温していっ
た時、ベースラインから偏奇しはじめる温度と新たなペ
ースラインに戻る温度の算術平均温度もしくはTgに吸
熱ピークが現われた時はこの吸熱ピークの最大値に示す
温度をTgとして定義する。 (8)弾性率 引張試験機を用い、標線間隔50mmのダンベル型標準試
験片の形に打ち抜いたサンプルを引張速度10mm/分で
延伸していった時、サンプルの標線が示すひずみと、そ
れに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、
ひずみ量に対する応力の傾きを求める。これがヤング率
と呼ばれる値であり、ここではこれを弾性率と定義す
る。また種々の温度での弾性率を測定し、温度に対する
弾性率の変化率を20℃での弾性率で割った値を弾性率
の温度係数と定義する。
【0012】上述の2つの問題、即ち、強い力学強度と
少い巻ぐせを達成するためには、2つの方法が存在す
る。第1の方法は、巻ぐせ回復性を有するTACを変性
し、力学強度の向上を狙う方法である。第2の方法は、
力学強度に優れる、PETに代表されるポリエステル支
持体に、巻ぐせが付きにくいように改良する方法であ
る。前者の方法でこの課題を達成することは、非常に困
難であると予想される。すなわち、現行カラーネガ写真
材料で用いているTAC支持体の厚みは122μmあ
り、これを90μmにまで低下させると、曲弾性率は、
厚みの3乗に比例するため、122μm支持体の4割に
まで低下する。即ち、2.5倍強い弾性率を持つ支持体
を達成する必要がある。また、スプール径を10mm以下
にまで低下させると、巻ぐせ回復性を有するTACです
ら、現像処理中に充分に回復しきれず、前述の「処理ム
ラ」や「折れ」が発生する。このように、「弾性率の
2.5倍向上」と「巻ぐせ回復性の向上」という2つの
課題を同時に解決することはかなり困難であると考えら
れる。
【0013】一方、後者の方法で達成しようとする場
合、例えば、PETを用いた場合本来有する強い弾性率
のため、TAC122μm相当の曲げ弾性を90μmで
達成できる。さらに、ポリエチレンナフタレート(以下
PENと記す)を用いると、PETよりさらに弾性率が
高く80μm近くまで薄くすることができる。従って後
者の場合、これらの支持体の巻ぐせ改良のみを行えば良
いわけであり、検討の結果本発明に到った。
【0014】ポリエステルフィルムの巻ぐせを低減させ
る方法として、従来いくつかの試みがなされている。例
えば特開昭51−16358に記載されている方法、即
ちガラス転移温度を30℃ないし5℃下廻る温度で熱処
理する方法が知られている。この方法は、加熱処理中に
フィルム内でエンタルピー緩和をおこさせ、自由体積を
減少させることにより、分子の流動を抑制し、巻ぐせを
付きにくくしようとするものである。この方法を用いる
と、巻ぐせが付きにくくなる効果は認められるものの十
分な効果が表われるまでに、1日以上ガラス転移温度近
くで加熱処理を行う必要があり、多大な時間とエネルギ
ーを必要とするという欠点を有していた。
【0015】一方特開平1−131550号公報に示さ
れている様な方法、即ち、製品として巻取る方向と逆向
きにカールが付くようにベース内に構造を付けておき、
製品貯蔵時に付く径時カールと相殺させる方法がある。
この方法は逐次2軸延伸工程において、縦延伸と横延伸
の間でフィルム表裏面に温度勾配を付けることで結晶
性、配向性の差を付けることで永久カールを付けようと
するものである。この方法を用いた場合、本発明で課題
としているような細いスプールに巻きつけた場合には、
充分な巻ぐせ改良効果を得ることができなかった。
【0016】ところが、延伸時に温度差をもたせて製膜
したポリエステルフィルムを、ガラス転移温度以下50
℃以上の温度で熱処理したところ著しく巻ぐせの付きに
くいフィルムが得られた。この効果は、ガラス転移温度
が90℃以上200℃以下のポリエステルに於て有効だ
った。これは、この熱処理の効果が、ガラス転移温度を
越える温度にさらされると消失するため、なるべくガラ
ス転移温度が高いポリエステルが望ましく、一般ユーザ
ーに使われた際に最も高温にさらされる温度、即ち夏季
の車中の温度80℃を越える温度として90℃以上のガ
ラス転移温度を有することが必要である。
【0017】一方、透明性を有し、200℃を越える汎
用ポリエステルフィルムは現在まで存在しない。従って
本発明に用いられるポリエステルの温度は、90℃以上
200℃以下であることが必要である。このようなポリ
エステルとして種々のものが存在するが、巻きぐせの付
きにくさと力学強度の両方をバランスして高い性能を持
つのがナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを
主原料とするポリエステル、中でも特に、ポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)で
あった。これらの支持体は、50μm以上300μm以
下の厚みであることが必要である。50μm以下では乾
燥時に発生する感光層の収縮応力に耐えることができ
ず、一方300μm以上ではコンパクト化のために厚み
をうすくしようとする目的と矛盾する。
【0018】また、この熱処理は、50℃以上ガラス転
移温度以下の温度で0.1〜1500時間行う必要があ
る。この効果は熱処理温度が高いほど速く進む。しかし
熱処理温度がガラス転移温度を越えるとフィルム内の分
子がむしろ乱雑に動き逆に自由体積が増大し、分子が流
動し易い、即ち巻ぐせの付易いフィルムとなる。従って
この熱処理はガラス転移温度以下で行うことが必要であ
る。一方、50℃以下の温度では、この効果は著しく遅
い速度でしか進行しないため多大な時間を必要とし非現
実的である。従ってこの熱処理は、ガラス転移温度を少
し下廻る温度で行うことが処理時間短縮のために望まし
く、50℃以上ガラス転移温度以下、より好ましくは、
ガラス転移温度を30℃下廻る温度以上ガラス転移温度
以下である。一方、この温度条件で熱処理を行う場合、
0.1時間以降効果が認められる。一方、1500時間
以上では、その効果はほとんど飽和する。従って0.1
時間以上1500時間以下で熱処理することが必要であ
る。
【0019】また、延伸時の温度差は、10℃以上10
0℃以下であることが必要である。より好ましくは、1
0℃以上30℃以下の温度差であることが望ましい。温
度差が10℃以下では表裏に充分な構造の差を付けるこ
とができない。温度差を大きくするほど、カールの大き
なベースを作ることができるが、実質100℃以上の温
度差を付けようとした場合、結晶化が進行しすぎて透明
なフィルムが得られなかったり、またフィルム均一に延
伸できない等の問題が生ずる。
【0020】以下にさらに詳細に本発明について説明を
加える。しかし本発明はこれらによって制限されるもの
ではない。まず、本発明で用いるガラス転移温度が90
℃以上200℃以下のポリエステルについて述べる。本
発明のガラス転移温度が90℃以上のポリエステル
(B)はジオールとジカルボン酸から形成されるが、使
用可能な二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、無水フタル酸、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、セバシン酸、無水コハク酸、マレイン酸、
フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水シトラコ
ン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ジフェニレンp,
p′−ジカルボン酸、テトラクロロ無水フタル酸、3,
6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】等を挙げることができる。使用可能なジオ
ールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパン
ジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オク
タンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−
ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロ
ヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノー
ル、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1,4
−ベンゼンジメタノール、
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】等を挙げることができる。また、必要に応
じて、単官能または、3以上の多官能の水酸基含有化合
物あるいは、酸含有化合物が共重合されていても構わな
い。また、本発明のポリエステルには、分子内に水酸基
とカルボキシル基(あるいはそのエステル)を同時に有
する化合物が共重合されていても構わない。このような
化合物の例としては、以下が挙げられる。
【0027】
【化5】
【0028】これらのジオール、ジカルボン酸から成る
ポリエステルの中で、さらに好ましいものとしては、ポ
リエチレン、2,6−ジナフタレート(PEN)、ポリ
アクリレート(PAr)、ポリシクロヘキサンジメタノ
ールテレフタレート(PCT)等のホモポリマー、およ
び、ジカルボン酸として2,6−ナフタレンジカルボン
酸(NDCA)、テレフタル酸(TPA)、イソフタル
酸(IPA)、オルトフタル酸(OPA)、シクロヘキ
サンジカルボン酸(CHDC)、パラフェニレンジカル
ボン酸(PPDC)、ジオールとして、エチレングリコ
ール(EG)、シクロヘキサンジメタノール(CHD
M)、ネオペンチルグリコール(NPG)、ビスフェノ
ールA(BPA)、ビフェノール(BP)また、ヒドロ
キシカルボン酸としてパラヒドロキシ安息香酸(PHB
A)、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸(H
NCA)を共重合させたものが挙げられる。これらの中
でさらに好ましいものとして、ナフタレンジカルボン
酸、テレフタール酸とエチレングリコールのコポリマー
(ナフタレンジカルボン酸とテレフタール酸の混合モル
比は0.3:0.7〜1.0:0の間が好ましく、0.
5:0.5〜0.8:0.2が更に好ましい。)、テレ
フタル酸とエチレングリコール、ビスフェノールAのコ
ポリマー(エチレングリコールとビスフェノールAの混
合モル比は0.6:0.4〜0:1.0の間が好まし
く、更には0.5:0.5〜0:0.9が好まし
い。)、イソフタール酸、パラフェニレンジカルボン
酸、テレフタル酸とエチレングリコールのコポリマー
(イソフタール酸;パラフェニレンジカルボン酸のモル
比はテレフタル酸を1とした時それぞれ0.1〜10.
0、0.1〜20.0、更に好ましくは、それぞれ0.
2〜5.0、0.2〜10.0が好ましい)、ナフタレ
ンジカルボン酸、ネオペンチルグリコールとエチレング
リコールのコポリマー(ネオペンチルグリコールとエチ
レングリコールのモル比は1:0〜0.7:0.3が好
ましく、より好ましくは0.9:0.1〜0.6:0.
4)テレフタル酸、エチレングリコールとビフェノール
のコポリマー(エチレングリコールとビフェノールのモ
ル比は、0:1.0〜0.8:0.2が好ましく、さら
に好ましくは0.1:0.9〜0.7:0.3であ
る。)、パラヒドロキシ安息香酸、エチレングリコール
とテレフタル酸のコポリマー(パラヒドロキシ安息香
酸、エチレングリコールのモル比は1:0〜0.1:
0.9が好ましく、さらに好ましくは0.9:0.1〜
0.2:0.8)等の共重合体およびPENとPET
(組成比0.3:0.7〜1.0:0が好ましく、0.
5:0.5〜0.8:0.2が更に好ましい)、PET
とPAr(組成比0.6:0.4〜0:1.0が好まし
く、0.5:0.5〜0:0.9が更に好ましい)等の
ポリマーブレンドでも良い。
【0029】PENは、これらのポリエステルの中で最
もバランスが取れており、力学強度、特に高い弾性率を
有し、かつガラス転移温度も120℃付近と充分高い。
しかし蛍光を発するという欠点を有している。一方、P
CTは力学強度も高く、ガラス転移温度も110℃付近
と高いが結晶化速度が極めて高く、透明なフィルムを得
にくい欠点を有している。PArはこれらのポリマーの
中で、最も高いガラス転移温度(190℃)を有する
が、力学強度がPETに比べて弱い欠点を有する。従っ
て、これらの欠点を補うためこれらのポリマーをブレン
ドもしくはこれらを形成するモノマーを共重合したもの
を用いることができる。これらのホモポリマーおよびコ
ポリマーは、従来公知のポリエステルの製造方法に従っ
て合成できる。例えば酸成分をグリコール成分と直接エ
ステル化反応するか、または酸成分としてジアルキルエ
ステルを用いる場合は、まず、グリコール成分とエステ
ル交換反応をし、これを減圧下で加熱して余剰のグリコ
ール成分を除去することにより、合成することができ
る。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、グリコ
ールと反応させてもよい。この際、必要に応じて、エス
テル交換反応、触媒あるいは重合反応触媒を用いたり、
耐熱安定化剤を添加してもよい。これらのポリエステル
合成法については、例えば、高分子実験学第5巻「重縮
合と重付加」(共立出版、1980年)第103頁〜第
136頁、“合成高分子V”(朝倉書店、1971年)
第187頁〜第286頁の記載を参考に行うことができ
る。これらのポリエステルの好ましい平均分子量の範囲
は約10,000ないし500,000である。
【0030】また、このようにして得られたポリマーの
ポリマーブレンドは、特開昭49−5482、同64−
4325、特開平3−192718、リサーチ・ディス
クロージャー283,739−41、同284,779
−82、同294,807−14に記載した方法に従っ
て、容易に形成することができる。さらに、これらのポ
リエステル(B)にはポリエステル(A)との接着性を
向上させるために、ガラス転移温度を90℃以下にしな
い範囲に於て、ポリエステル(A)を一部ブレンドした
り、ポリエステル(A)を構成するモノマーを共重合さ
せたり、または、ポリエステル(B)中に、不飽和結合
を有するモノマーを共重合させ、ラジカル架橋させたり
することができる。
【0031】次に本発明に用いるポリエステル(B)の
好ましい具体的化合物例を示すが、本発明がこれに限定
されるものではない。 ポリエステル(B)化合物例 ・ホモポリマー PEN:〔2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)/エチレングリコー ル(EG)(100/100)〕 Tg=119℃ PCT:〔テレフタル酸(TPA)/シクロヘキサンジメタノール(CHDM )(100/100)〕 Tg=93℃ PAr:〔TPA/ビスフェノールA(BPA) (100/100)〕 Tg=192℃ ・共重合体(( )内はモル比を表わす。) PBC−1 2,6−NDCA/TPA/EG(50/50/100) Tg=92℃ PBC−2 2,6−NDCA/TPA/EG(75/25/100) Tg=102℃ PBC−3 2,6−NDCA/TPA/EG/BPA(50/50/75/ 25) Tg=112℃ PBC−4 TPA/EG/BPA(100/50/50)Tg=105℃ PBC−5 TPA/EG/BPA(100/25/75)Tg=135℃ PBC−6 TPA/EG/CHDM/BPA(100/25/25/50) Tg=115℃ PBC−7 IPA/PPDC/TPA/EG(20/50/30/100) Tg=95℃ PBC−8 NDCA/NPG/EG(100/70/30) Tg=105℃ PBC−9 TPA/EG/BP(100/20/80) Tg=115℃ PBC−10 PHBA/EG/TPA(200/100/100) Tg=125℃ ・ポリマーブレンド(( )内は重量比を表わす。) PBB−1 PEN/PET(60/40) Tg=95℃ PBB−2 PEN/PET(80/20) Tg=104℃ PBB−3 PAr/PEN(50/50) Tg=142℃ PBB−4 PAr/PCT(50/50) Tg=118℃ PBB−5 PAr/PET(60/40) Tg=101℃ PBB−6 PEN/PET/PAr(50/25/25)Tg=108℃ 以上のようなポリエステルは全てTACよりも強い曲弾
性率を有し、当初の目的であるフィルムの薄手化を実現
可能である。しかし、これらの中で最も強い曲弾性を有
していたのがPENであり、これを用いるとTACで1
22μm必要だった膜厚を80μmにまで薄くすること
が可能である。
【0032】また、これらのポリマーフィルム中に蛍光
防止および経時安定性付与の目的で紫外線吸収剤を、練
り込んでも良い。紫外線吸収剤としては、可視領域に吸
収を持たないものが望ましく、かつその添加量はポリマ
ーフィルムの重量に対して通常0.5重量%ないし20
重量%、好ましくは1重量%ないし10重量%程度であ
る。0.5重量%未満では紫外線劣化を抑える効果が期
待できない。紫外線吸収剤としては2,4−ジヒドロキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベン
ゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベン
ゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベ
ンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジ
メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2
(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2(2′−ヒドロキシ3′,5′−ジ−t−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒド
ロキシ−3′−ジ−t−ブチル−5′−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サ
リチル酸フェニル、サリチル酸メチル等のサリチル酸系
紫外線吸収剤が挙げられる。
【0033】また、ポリエステルフィルムを写真感光材
料用支持体として使用する際に問題となる性質の一つに
支持体が高屈折率であるために発生するふちかぶりの問
題があげられる。ポリエステル特に芳香族系ポリエステ
ルの屈折率は、1.6〜1.7と高いのに対し、この上
に塗設する感光層の主成分であるゼラチンの屈折率は
1.50〜1.55とこの値より小さい。従って、光が
フィルムエッジから入射した時、ベースと乳剤層の界面
で反射しやすい。従って、ポリエステル系のフィルムは
いわゆるライトパイピング現象(ふちかぶり)を起こ
す。この様なライトパイピング現象を回避する方法とし
てはフィルムに不活性無機粒子等を含有させる方法なら
びに染料を添加する方法等が知られている。本発明にお
いて好ましいライトパイピング防止方法はフィルムヘイ
ズを著しく増加させない染料添加による方法である。フ
ィルム染色に使用する染料については特に限定を加える
ものでは無いが色調は感光材料の一般的な性質上グレー
染色が好ましく、また染料はポリエステルフィルムの製
膜温度域での耐熱性に優れ、かつポリエステルとの相溶
性に優れたものが好ましい。染料としては、上記観点か
ら三菱化成製の Diaresin 、日本化薬製の Kayaset等ポ
リエステル用として市販されている染料を混合すること
により目的を達成することが可能である。染色濃度に関
しては、マクベス社製の色濃度計にて可視光域での色濃
度を測定し少なくとも0.01以上であることが必要で
ある。更に好ましくは0.03以上である。
【0034】本発明によるポリエステルフィルムは、用
途に応じて易滑性を付与することも可能であり、易滑性
付与手段としては特に限定を加えるところでは無いが、
不活性無機化合物の練り込み、あるいは界面活性剤の塗
布等が一般的手法として用いられる。かかる不活性無機
粒子としてはSiO2 、TiO2 、BaSO4 、CaC
3、タルク、カオリン等が例示される。また、上記の
ポリエステル合成反応系に不活性な粒子を添加する外部
粒子系による易滑性付与以外にポリエステルの重合反応
時に添加する触媒等を析出させる内部粒子系による易滑
性付与方法も採用可能である。これら易滑性付与手段に
は特に限定を加えるものでは無いが、写真感光材料用支
持体としては透明性が重要な要件となるため、上記易滑
性付与方法手段では外部粒子系としてはポリエステルフ
ィルムと比較的近い屈折率をもつSiO2 、あるいは析
出する粒子径を比較的小さくすることが可能な内部粒子
系を選択することが望ましい。更には、練り込みによる
易滑性付与を行う場合、よりフィルムの透明性を得るた
めに機能付与した層を積層する方法も好ましい。この手
段としては具体的には複数の押し出し機ならびにフィー
ドブロック、あるいはマルチマニフォールドダイによる
共押出し法が例示される。
【0035】次に表裏の温度差を持たせた製膜方法につ
いて述べる。具体的には、例えばキャスティング後縦方
向に特定倍率延伸する際、片面若しくは両面に赤外線ヒ
ータ等の補助的加熱手段を設け、表裏の延伸温度を変え
ることにより、巻きぐせカールが回復した後発現してく
る製膜カールをコントロールする。第1図に本発明に従
った構成によるポリエステルフィルムの縦延伸ゾーンの
側面図を示している。(図1)キャスティング後のフィ
ルム1が縦延伸ローラ2、3で加熱された後、冷却ロー
ラ4を通り、図示されていない横延伸ゾーンに送られ
る。延伸ローラ3の直後に赤外線ヒータ5が設けられて
いる。このような構成により、赤外線ヒータ直後の表裏
の温度差を10〜100℃、より好ましくは10〜30
℃の範囲にとることにより、有効にカールをコントロー
ルすることができる。本発明におけるカールコントロー
ルメカニズムは、フィルムの表裏での結晶化度及び配向
度が異なると熱処理工程での体積収縮率に差を生ずる事
によると考えられる。即ち高温側よりむしろ低温側に於
て、結晶成長し易く密度が上昇し体積収縮が発生する。
従って、低温側を内巻とした永久カールが発生する。こ
れらの差は表面のX線回折により解析が可能である。
【0036】製膜工程について特に限定するものではな
いが、本発明に好適な例としてキャスティング後縦方向
に特定倍率延伸し、更にテンターによって横方向に延伸
する逐次二軸延伸の場合について説明する。工程的には
結晶化はキャスティング時から縦横の延伸までの全工程
に亙って起きるから、表裏の結晶化度の差を付与するス
テップは、キャスティング時、縦延伸時、及び横延伸時
のいずれかまたは複数のステップにまたがって設定する
ことが考えられる。キャスティング時は、フィルムの厚
みが最も厚く、表裏温度差を付けやすいという利点があ
るが、条件によっては微結晶を成長させてしまい、光学
的、力学的性質等で写真用支持体として不適なフィルム
にしてしまったり、生じた結晶の差が等温結晶化度の差
として現れるため後工程の延伸時に結晶が破壊され、カ
ールのコントロールが不能になったりする欠点がある。
これに対して、延伸工程で生ずる結晶化度の差は、配向
結晶化度の差として現れるため破壊されにくく、また通
常延伸部には加熱、冷却の手段が設けられており補助的
加熱手段を付加するには容易である事から、本発明の方
法を適用するのは延伸工程において好適である。更に、
縦延伸工程と横延伸工程との比較では、後者の方がフィ
ルムの面積が数倍になっており必要な設備改造が大規模
にならざるを得ない。従って、上記のような逐次二軸延
伸の工程においては、縦延伸時に表裏の結晶化度の差を
付与するのが最適である。
【0037】次に本発明に使用される巻芯について記
す。これらの巻芯は、50℃以上、該ポリエステルのガ
ラス転移温度以下の温度範囲において、500000kg
/cm2 以上の弾性率を有しかつ弾性率の温度係数が30
以下である。弾性率はより好ましくは550000kgで
ある。また、その弾性率の温度係数は30以下が好まし
く、より好ましくは25以下である。これらの特性を有
する巻芯の横断面は真円であることは必須である。これ
らの巻芯の材質としては、本発明の弾性率を有していれ
ば特に制限されないが、好ましくは金属、セラミック又
はセラミックコーティングされた金属である。ここで金
属の好ましい例としては、アルミニウム、ステンレス
(鉄、クロム、ニッケルの合金を指す)、真ちゅう
(銅、ニッケルの合金)、銅、鉄、ジュラルミン(銅、
マグネシウム、マンガン、ケイ素含有合金)が挙げら
れ、より好ましくはアルミニウム、ステンレス、鉄であ
る。
【0038】又セラミックス材料としては、特に限定さ
れないが、好ましいものとして3Al2 3 −2SiO
2 、BaTiO3 、SrTiO3 、Y2 3 −Th
2 、ZrTiO3 、ZrO2 、Si3 N、SiC、M
gO・SiO2 、MgCr2 4−TiO2 、を挙げる
ことができ、特に好ましいのは、3Al2 3 −2Si
2 、BaTiO3 、SiTiO3 、ZrO2 である。
又、これらの巻芯は、2種類以上の材料の混合又は積層
体からなってもよい。例えば、アルミニウムの表面をA
2 3 で被覆してもよいし、CrO2 で被覆してもよ
い。あるいは又、ステンレス材料の表面をCrO2 で被
覆してもよいし、場合によってはフッ素樹脂で極く薄く
表面コートしてもよい。
【0039】次に本発明に用いられる巻芯は、その直径
(外径)は5cm以上であり、より好ましくは7cm〜2
m、更に好ましくは10cm〜1.5mであり、特に好ま
しいのは15cm〜1mである。又、それらの巻芯に本発
明のポリエステルを巻き付ける際にはその表裏は特に制
限されないが、巻き癖のつく方向と逆向きの面を内側に
向けて巻きつける方が好ましい。次に本発明のポリエス
テルの熱処理方法について記す。本発明のポリエステル
は、50℃以上、ポリエステルのTg以下の温度で本発
明の巻芯に巻き込まれるが、その際の温度のかけ方とし
て製膜又は下塗り直後に、冷却することなくそのままの
高温度(50℃以上、ポリエステルのTg以下)で巻き
込むことが好ましい。更にまた、巻芯は予め熱処理され
る温度に加熱されていることが好ましい。
【0040】この時、短時間で所定の温度になるように
巻芯の中心部を空洞としておき、熱媒体(例えば、温
水、水蒸気、オイル(例えばシリコーンオイル、食用オ
イル、鉱物油など)など)で加熱することで達成でき
る。又、この方法により加熱後の巻芯の冷却も容易であ
り製造上優位となる。この時、巻芯の外側となる本発明
の材料の厚さは、本発明のポリエステルを変形すること
なく使用できれば特に制限されないが、好ましくは2mm
以上であり、より好ましくは5mm以上、特に好ましくは
1cm以上である。本発明に用いられる巻芯は、高温処理
されるポリエステルが巻き込まれるわけであるが、その
塗布巾や塗布長さについては特に限定されない。好まし
くは巾は0.1〜10mであり、より好ましくは0.5
〜5mであり、更に好ましくは1〜5mである。また、
塗布長さは好ましくは50〜10000mであり、より
好ましくは500〜8000m、更に好ましくは100
0〜5000mである。次に本発明のポリエステル支持
体の下塗り層について記す。これらのポリマーフィルム
を支持体に使用する場合、これらポリマーフィルムがい
ずれも疎水性の表面を有するため、支持体上にゼラチン
を主とした保護コロイドからなる写真層(例えば感光性
ハロゲン化銀乳剤層、中間層、フィルター層等)、ある
いは弱い疎水性を有するバッキング層などを強固に接着
させる事は非常に困難である。この様な難点を克服する
ために試みられた従来技術としては、(1) 薬品処理、機
械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高
周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザ
ー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化
処理をしたのち、直接写真乳剤を塗布して接着力を得る
方法と、(2) 一旦これらの表面処理をした後、あるいは
表面処理なしで、下塗層を設けこの上に写真乳剤層を塗
布する方法との二法がある。(例えば米国特許第2,6
98,241号、同2,764,520号、同2,86
4,755号、同3,462,335号、同3,47
5,193号、同3,143,421号、同3,50
1,301号、同3,460,944号、同3,67
4,531号、英国特許第788,365号、同80
4,005号、同891,469号、特公昭48−43
122号、同51−446号等)。
【0041】これらの表面処理は、いずれも、本来は疎
水性であった支持体表面に多少共、極性基を作らせる
事、表面の架橋密度を増加させることなどによるものと
思われ、その結果として下塗液中に含有される成分の極
性基との親和力が増加すること、ないし接着表面の堅牢
度が増加すること等が考えられる。又、下塗層の構成と
しても種々の工夫が行なわれており、第1層として支持
体によく接着する層(以下、下塗第1層と略す)を設
け、その上に第2層として写真層とよく接着する親水性
の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布する所謂重
層法と、疎水性基と親水性基との両方を含有する樹脂層
を一層のみ塗布する単層法とがある。
【0042】(1) の表面処理のうち、コロナ放電処理
は、最もよく知られている方法であり、従来公知のいず
れの方法、例えば特公昭48−5043号、同47−5
1905号、特開昭47−28067号、同49−83
767号、同51−41770号、同51−13157
6号等に開示された方法により達成することができる。
放電周波数は50Hz〜5000kHz 、好ましくは5kHz
〜数100kHz が適当である。放電周波数が小さすぎる
と、安定な放電が得られずかつ被処理物にピンホールが
生じ、好ましくない。又周波数が高すぎると、インピー
ダンスマッチングのための特別な装置が必要となり、装
置の価格が大となり、好ましくない。被処理物の処理強
度に関しては、通常のポリエステル、ポリオレフィン等
のプラスチックフィルムの濡れ性改良の為には、0.0
01KV・A ・分/m2〜5KV・A ・分/m2、好ましくは
0.01KV・A ・分/m2〜1KV・A ・分/m2、が適当で
ある。電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは
0.5〜2.5mm、好ましくは1.0〜2.0mmが適当
である。
【0043】多くの場合、もっとも効果的な表面処理で
あるグロー放電処理は、従来知られているいずれの方
法、例えば特公昭35−7578号、同36−1033
6号、同45−22004号、同45−22005号、
同45−24040号、同46−43480号、米国特
許3,057,792号、同3,057,795号、同
3,179,482号、同3,288,638号、同
3,309,299号、同3,424,735号、同
3,462,335号、同3,475,307号、同
3,761,299号、英国特許997,093号、特
開昭53−129262号等を用いることができる。グ
ロー放電処理条件は、一般に圧力は0.005〜20To
rr、好ましくは0.02〜2Torrが適当である。圧力が
低すぎると表面処理効果が低下し、また圧力が高すぎる
と過大電流が流れ、スパークがおこりやすく、危険でも
あるし、被処理物を破壊する恐れもある。放電は、真空
タンク中で1対以上の空間を置いて配置された金属板或
いは金属棒間に高電圧を印加することにより生じる。こ
の電圧は、雰囲気気体の組成、圧力により色々な値をと
り得るものであるが、通常上記圧力範囲内では、500
〜5000Vの間で安定な定常グロー放電が起る。接着
性を向上せしめるのに特に好適な電圧範囲は、2000
〜4000Vである。
【0044】又、放電周波数として、従来技術に見られ
るように、直流から数1000MHz、好ましくは50Hz
〜20MHz が適当である。放電処理強度に関しては、所
望の接着性能が得られることから0.01KV・A ・分/
m2〜5KV・A ・分/m2、好ましくは0.15KV・A ・分
/m2〜1KV・A ・分/m2が適当である。特に有機溶剤系
下塗の前処理として好ましい紫外線処理は、従来知られ
ているいずれの方法、例えば特願昭39−14534
号、同39−16094号、特公昭45−3828号等
を用いることができる。
【0045】紫外線照射条件について、さらに詳細に記
す。即ち、本方法は上記の紫外線照射をフィルム製膜工
程の間に行なう方法であり、好ましくは延伸工程の後半
乃至は熱固定時に行なう方法である。本方法によれば紫
外線照射を90°〜250℃の範囲の高温で行なえるた
めに照射の効率を上げる事が可能なばかりでなく、製膜
終了後に照射を行なう場合と比較して、紫外線照射のた
めの高温度の装置内を改めてフィルム支持体が通る必要
がない故に、熱効率の向上及び製造工程の短縮という点
に於いても有利である。上記紫外線照射は延伸工程及び
熱固定時に行なわれるが、特に熱固定時に行なえば15
0℃〜250℃の高温度で照射処理されるので熱固定後
の照射と比較して 1/2〜2/3 量の照射時間で所期の目的
が達せられ、ことに有利である。延伸前あるいは延伸中
に紫外線照射を行なった場合には水銀燈の長さが短いも
のでよいという点で有利であるのにかかわらず、温度が
比較的低温に制限されるために、処理の効率は熱固定中
に照射した場合と比較して劣る。
【0046】写真フィルム支持体の製膜下塗工程に例を
とって、より具体的な説明を加えると次の通りである。
290℃〜300℃の温度で溶融され、冷却ドラム上に
押し出されたフィルム支持体は次に85℃〜90℃の温
度に加湿された熱ロールを通過する間に長さ方向に2.
5〜3.3倍延伸される。次に、この支持体は、図2に
示されている、両側に鎖体に並んだ留の枠を有する枠縁
からなる製膜、照射装置に送られ、両耳を順次にかまれ
た状態で幅方向に95℃〜110℃の温度範囲で2.5
〜3.3倍延伸され、次に210°〜230℃の温度で
熱固定される。この延伸装置は三つのブロックに大きく
わかれている。つまり図2の1.9mの予備加熱横延伸
ゾーン、2.6mの熱固定、照射ゾーン及び3.4mの
冷却ゾーンとにわかれており、この装置で1m幅のフィ
ルム支持体が60m/min の速度で処理される。紫外線
照射装置は次の様になっている。つまり石英管よりなる
有効アーク長約1mの3KW高圧水銀燈が1mの間隔を
おいて熱固定ゾーンの中に12本設置されている(図1
の9)。
【0047】また各水銀燈はフィルム面から0.3mの
距離をおいて平行に並べられており各々のランプにはク
ロムメッキされた反射鏡(第1図の10)がつけられ照
射の効率を上げる様になっている。紫外線照射時フィル
ムは両耳を常に留の枠ではさまれており、熱収縮時の張
力を受けた状態を維持したまま連続的に処理されるため
に、非常に平滑性の優れた面を与える。図1において、
11は排風、12は熱風、13は冷風、14は留の枠、
15は捲取をあらわす。この様にして照射処理されたフ
ィルム支持体面に冷却ゾーン以後の適当な工程に於いて
(必要ならば捲取後別の下塗機を用いて)該ポリエステ
ルの溶剤あるいは膨潤剤を1〜25%(重量百分率)含
有する混合有機溶剤を使用した親水性樹脂溶液あるいは
ゼラチン分散液を塗布することによってゼラチン、ハロ
ゲン化銀写真乳剤との接着性の非常に優れたフィルム支
持体が完成される。
【0048】ここに用いられる下塗液中には、有機溶剤
の他、下塗層の補強、支持体あるいは乳剤層との接着性
の改良、帯電防止、あるいは支持体着色等の目的のため
の添加剤、即ち、硬膜剤、帯電防止剤、染料等を加えて
もよい。又場合によっては下塗液中に、硬膜剤、例えば
エチレンイミン誘導体、エポキシ誘導体を添加すること
によって、添加しない場合よりも短い紫外線照射でも所
期の接着性が得られる場合もある。本発明において特に
有効な紫外線は波長が3200〜2200Åの間の紫外
線である。次に(2) の下塗法について述べると、これら
の方法はいずれもよく研究されており、重層法における
下塗第1層では、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、
ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、
無水マレイン酸などの中から選ばれた単量体を出発原料
とする共重合体を始めとして、ポリエチレンイミン、エ
ポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロースな
ど数多くのポリマーについて、下塗第2層では主として
ゼラチンについてその特性が検討されてきた。単層法に
おいては、多くは支持体を膨潤させ、親水性下塗ポリマ
ーと界面混合させる事によって良好な接着性を達成して
いる場合が多い。本発明に使用する親水性下塗ポリマー
としては水溶性ポリマー、セルロースエステル、ラテッ
クスポリマー、水溶性ポリエステルなどが例示される。
水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、
ガゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、ポリビ
ニールアルコール、ポリアクリル酸共重合体、無水マレ
イン酸共重合体などであり、セルロースエステルとして
はカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロースなどである。ラテックスポリマーとしては塩化ビ
ニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有共重合体、アク
リル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有共重合
体、ブタジエン含有共重合体などである。この中でも最
も好ましいのはゼラチンである。本発明に使用される支
持体を膨潤させる化合物として、レゾルシン、クロルレ
ゾルシン、メチルレゾルシン、o−クレゾール、m−ク
レゾール、p−クレゾール、フェノール、o−クロルフ
ェノール、p−クロルフェノール、ジクロルフェノー
ル、トリクロルフェノール、モノクロル酢酸、ジクロル
酢酸、トリフルオロ酢酸、抱水クロラールなどがあげら
れる。この中で好ましいのは、レゾルシンとp−クロル
フェノールである。本発明の下びき層には種々の硬化剤
を用いることができる。ゼラチン硬化剤としてはクロム
塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアルデ
ヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート
類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒド
ロキシ−S−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹
脂などを挙げることができる。本発明の下びき層にはS
iO2 、TiO2 、マット剤の如き無機物微粒子又はポ
リメチルメタクリレート共重合体微粒子(1〜10μ
m)を含有することができる。これ以外にも、下塗液に
は、必要に応じて各種の添加剤を含有させることができ
る。例えば界面活性剤、帯電防止剤、アンチハレーショ
ン剤、着色用染料、顔料、塗布助剤、カブリ防止剤等で
ある。本発明において、下塗第1層用の下塗液を使用す
る場合には、レゾルシン、抱水クロラール、クロロフェ
ノールなどの如きエッチング剤を下塗液中に含有させる
必要は全くない。しかし所望により前記の如きエッチン
グ剤を下塗中に含有させることは差し支えない。
【0049】さらに有機溶剤系下塗について詳しく説明
する。まず重層下塗について説明する。第1層としての
疎水性バインダーはPETとの親和性があるものが好ま
しく選択基準として溶解度パラメーターがあげられる。
実際には非晶性ポリエステル、塩酢ビ共重合体、ポリビ
ニルアセタール、ニトロセルロースなどがある。第2層
には有機溶剤にゼラチンを分散させたものが多い。次に
単層下塗について説明する。この系は親水性バインダー
を直接PETへ塗布し、密着させる系である。バインダ
ーは有機溶剤へゼラチンを分散させたものか、ゼラチン
とニトロセルロースを分散させたものがある。しかし、
この系ではPETの膨潤剤を同時に塗布し、バインダー
をPETの中へ投錨(アンカリング)させ、物理的にも
PETと強く密着させる必要がある。
【0050】本発明において使用される親水性バインダ
ーとしては、側鎖に、−OH、−COOH、O=(C
O)2 =、−SO3 M(MはH又はアルカリ金属)−N
2 、環状アミド−CONR1 2 (R1 、R2 はH又
はC=4以下のアルキル基)あるいは窒素を含む異節環
基等を単独あるいは2種以上同等に含む、有機溶剤に可
溶で、水に膨潤乃至溶解する合成高分子化合物:例え
ば、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセ
テートマレート、無水マレイン酸を含むビニル共重合
物、例えば酢酸ビニルと無水マレイン酸(1:1)共重
合物(必要あればドイツ特許第1040898号参
照)、ポリビニルアルコールのSO3 M基を含む混合ア
セタール化合物(イギリス特許第894509号参
照)、ポリビニルアルコールの−COOM基を含む混合
アセタールあるいは2価の酸の部分エステル化物、ポリ
ビニルピロリドンとポリアクリル酸との混合物等、多く
の親水性樹脂が挙げられる。又上記親水性バインダー溶
液のかわりに、ゼラチンの分散液からなる下塗液も用い
られる。
【0051】本発明に用いるポリエステルの溶剤あるい
は膨潤剤としては、例えば芳香族あるいは部分的に飽和
された芳香族基を含むケトンあるいはアルデヒドおよび
窒素を含む異節環基をもつアルデヒド(イギリス特許第
772600号参照)、一般式R−COOHあるいはR
−X−COOHであらわされるカルボン酸あるいはその
酸の無水物、エステル、アミドあるいはその酸から得ら
れるニトリル、ここでRは芳香族あるいは環中に窒素を
含む芳香族異節環化合物、Xは−CH2 又は−OCH2
(イギリス特許第776157号参照)、芳香族基を含
む脂肪族一価アルコールあるいはアミン(イギリス特許
第785789号参照)、アルコール類、ケトン類、カ
ルボン酸およびその置換基を有するものあるいはそのエ
ステル(イギリス特許第797425号)、芳香族核に
−NO2 、−Clを置換したベンジルアルコール(アメ
リカ特許第2830030号)、抱水クロラール(ドイ
ツ特許第1020457号)、ピロール(ドイツ特許第
1092652号)等があり、上記記載の溶剤の具体的
な例としては、安息香酸、サリチル酸、サリチル酸エス
テル、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢
酸、三弗化酢酸、2−ニトロプロパノール、ベンジルア
ルコール、ベンツアルデヒド、アセトニルアセトン、ア
セトフェノン、ベンツアミド、ベンゾニトリル、ベンジ
ルアミン、ニコチン酸メチル等が挙げられる。この他、
既に公知のポリエステルの溶剤あるいは膨潤剤として
は、フェノール、オルトクロルフェノール、クレゾール
その他のフェノール誘導体がある。
【0052】本発明に使用する有機溶剤はその下塗液成
分中に1〜25%(重量百分率)の先に例示した如きポ
リエステルの溶剤あるいは膨潤剤を含んであることが必
要である。25%以上の場合は、完成されたフィルムの
平面性が著しく害される場合が多く、又1%以下の場合
は所期の効果がほとんどない。ポリエステルの溶剤ある
いは膨潤剤の添加量は、用いるポリエステルフィルム支
持体、その照射条件の他、ポリエステル溶剤あるいは膨
潤剤の種類によって、また共存する他の有機溶剤の種類
によって変えることができる。又当然のことではある
が、ポリエステルの溶剤あるいは膨潤剤は2種以上同時
に混合して使用しても差支えない。この場合添加量は、
混合したポリエステルの溶剤あるいは膨潤剤の総量が全
有機溶剤の1〜25%になるようにする。
【0053】本発明に係わる下塗液は、一般によく知ら
れた塗布方法、例えばティップコート法、エアーナイフ
コート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイ
ヤーバーコート法、グラビアコート法、或いは米国特許
第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用
するエクストルージョンコート法により塗布することが
出来る。所望により、米国特許第2,761,791
号、同3,508,947号、同2,941,898
号、及び同3,526,528号明細書、原崎勇次著、
「コーティング工学」253頁(1973年、朝倉書店
発行)などに記載された方法により2層以上の層を同時
に塗布することが出来る。
【0054】バック層のバインダーとしては、疎水性ポ
リマーでもよく、下びき層に用いる如き親水性ポリマー
であってもよい。本発明の感光材料のバック層には、帯
電防止剤、易滑剤、マット剤、界面活性剤、染料等を含
有することができる。本発明のバック層で用いられる帯
電防止剤としては、特に制限はなく、たとえばアニオン
性高分子電解質としてはカルボン酸及びカルボン酸塩、
スルホン酸塩を含む高分子で例えば特開昭48−220
17号、特公昭46−24159号、特開昭51−30
725号、特開昭51−129216号、特開昭55−
95942号に記載されているような高分子である。カ
チオン性高分子としては例えば特開昭49−12152
3号、特開昭48−91165号、特公昭49−245
82号に記載されているようなものがある。またイオン
性界面活性剤もアニオン性とカチオン性とがあり、例え
ば特開昭49−85826号、特開昭49−33630
号、US2,992,108、US3,206,31
2、特開昭48−87826号、特公昭49−1156
7号、特公昭49−11568号、特開昭55−708
37号などに記載されているような化合物を挙げること
ができる。
【0055】本発明のバック層の帯電防止剤として最も
好ましいものは、ZnO、TiO3、SnO2 、Al2
3 、In2 3 、SiO2 、MgO、BaO、MoO
3 の中から選ばれた少くとも1種の結晶性の金属酸化物
あるいはこれらの複合酸化物の微粒子である。本発明に
使用される導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物の
微粒子はその体積抵抗率が107 Ωcm以下、より好まし
くは105 Ωcm以下である。またその粒子サイズは0.
01〜0.7μ、特に0.02〜0.5μですることが
望ましい。
【0056】次に本発明の写真感光材料の写真層につい
て記載する。ハロゲン化銀乳剤層としては黒白用カラー
用何れでもよい。ここではカラーハロゲン化銀写真感光
材料について説明する。本発明の感光材料は、支持体上
に青感色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀
乳剤層の少なくとも1層が設けられていればよく、ハロ
ゲン化銀乳剤層および非感光性層の層数および層順に特
に制限はない。典型的な例としては、支持体上に、実質
的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲ
ン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有する
ハロゲン化銀写真感光材料であり、該感光性層は青色
光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単
位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材
料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側
から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置
される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であって
も、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたよ
うな設置順をもとりえる。上記、ハロゲン化銀感光性層
の間および最上層、最下層には各層の中間層等の非感光
性層を設けてもよい。該中間層には、特開昭61−43
748号、同59−113438号、同59−1134
40号、同61−20037号、同61−20038号
明細書に記載されているようなカプラー、DIR化合物
等が含まれていてもよく、通常用いられるように混色防
止剤を含んでいてもよい。各単位感光性層を構成する複
数のハロゲン化銀乳剤層は、西独特許第1,121,4
70号あるいは英国特許第923,045号、特開昭5
7−112751号、同62−200350号、同62
−206541号、同62−206543号、同56−
25738号、同62−63936号、同59−202
464号、特公昭55−34932号、同49−154
95号明細書に記載されている。ハロゲン化銀粒子は、
立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有す
るもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有するも
の、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれ
らの複合形でもよい。
【0057】ハロゲン化銀の粒径は、約0.2ミクロン
以下の微粒子でも投影面積直径が約10ミクロンに至る
までの大サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳
剤でもよい。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤
は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(RD)No.
17643(1978年12月)、22〜23頁、
“I.乳剤製造(Emulsion preparation and types)" 、
および同No. 18716(1979年11月)、648
頁、グラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテ
ル社刊(P. Glafkides, Chemie et Phisique Photograp
hique, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳
剤化学」、フォーカルプレス社刊 (G. F. Duffin Photo
graphic Emulsion Chemistry (Focal Press,196
6)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォ
ーカルプレス社刊(V. L. Zelikman et al., Making an
d Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 19
64)などに記載された方法を用いて調製することがで
きる。米国特許第3,574,628号、同3,65
5,394号および英国特許第1,413,748号な
どに記載された単分散乳剤も好ましい。また、アスペク
ト比が約5以上であるような平板状粒子も本発明に使用
できる。平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィック
・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff, Pho
tographic Science and Engineering)、第14巻、24
8〜257頁(1970年);米国特許第4,434,
226号、同4,414,310号、同4,433,0
48号、同4,439,520号および英国特許第2,
112,157号などに記載の方法により簡単に調製す
ることができる。結晶構造は一様なものでも、内部と外
部とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状
構造をなしていてもよい。また、エピタキシャル接合に
よって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよ
く、また例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以
外の化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形
の粒子の混合物を用いてもよい。
【0058】ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化
学熟成および分光増感を行ったものを使用する。本発明
の効率は、金化合物と含イオウ化合物で増感した乳剤を
使用したときに特に顕著に認められる。このような工程
で使用される添加剤はリサーチ・ディスクロージャーN
o. 17643および同No. 18716に記載されてお
り、その該当箇所を後掲の表にまとめた。本発明に使用
できる公知の写真用添加剤も上記の2つのリサーチ・デ
ィスクロージャーに記載されており、下記の表に関連す
る記載箇所を示した。
【0059】 (添加剤種類) (RD17643) (RD18716) 1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 2 感度上昇剤 同上 3 分光増感剤、強色増感剤 23〜24頁 648頁右欄〜 649頁右欄 4 増 白 剤 24頁 5 かぶり防止剤および安定剤 24〜25頁 649頁右欄〜 6 光吸収剤、フィルター染料、 紫外線吸収剤 25〜26頁 649頁右欄〜 650頁左欄 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左〜右欄 8 色素画像安定剤 25頁 9 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 10 バインダー 26頁 同上 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12 塗布助剤、表面活性剤 26〜27頁 650頁右欄 また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防
止するために、米国特許4,411,987号、や同第
4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと
反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加するこ
とが好ましい。
【0060】本発明には種々のカラーカプラーを使用す
ることができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスク
ロージャー(RD)No. 17643、VII −C〜Gに記
載された特許に記載されている。イエローカプラーとし
ては、例えば米国特許第3,933,501号、同第
4,022,620号、同第4,326,024号、同
第4,401,752号、同第4,248,961号、
特公昭58−10739号、英国特許第1,425,0
20号、同第1,476,760号、米国特許第3,9
73,968号、同第4,314,023号、同第4,
511,649号、欧州特許第249,473A号、等
に記載のものが好ましい。マゼンタカプラーとしては5
−ピラゾロン系及びピラゾロアゾール系の化合物が好ま
しく、米国特許第4,310,619号、同第4,35
1,897号、欧州特許第73,636号、米国特許第
3,061,432号、同第3,725,067号、リ
サーチ・ディスクロージャーNo. 24220(1984
年6月)、特開昭60−33552号、リサーチ・ディ
スクロージャーNo. 24230(1984年6月)、特
開昭60−43659号、同61−72238号、同6
0−35730号、同55−118034号、同60−
185951号、米国特許第4,500,630号、同
第4,540,654号、同第4,556,630号、
WO(PCT)88/04795号等に記載のものが特
に好ましい。
【0061】シアンカプラーとしては、フェノール系及
びナフトール系カプラーが挙げられ、米国特許第4,0
52,212号、同第4,146,396号、同第4,
228,233号、同第4,296,200号、同第
2,369,929号、同第2,801,171号、同
第2,772,162号、同第2,895,826号、
同第3,772,002号、同第3,758,308
号、同第4,334,011号、同第4,327,17
3号、西独特許公開第3,329,729号、欧州特許
第121,365A号、同第249,453A号、米国
特許第3,446,622号、同第4,333,999
号、同第4,753,871号、同第4,451,55
9号、同第4,427,767号、同第4,690,8
89号、同第4,254,212号、同第4,296,
199号、特開昭61−42658号等に記載のものが
好ましい。発色色素の不要吸収を補正するためのカラー
ド・カプラーは、リサーチ・ディスクロージャーNo. 1
7643のVII −G項、米国特許第4,163,670
号、特公昭57−39413号、米国特許第4,00
4,929号、同第4,138,258号、英国特許第
1,146,368号に記載のものが好ましい。発色色
素が過度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許
第4,366,237号、英国特許第2,125,57
0号、欧州特許第96,570号、西独特許(公開)第
3,234,533号に記載のものが好ましい。ポリマ
ー化された色素形成カプラーの典型例は、米国特許第
3,451,820号、同第4,080,211号、同
第4,367,282号、同第4,409,320号、
同第4,576,910号、英国特許2,102,13
7号等に記載されている。
【0062】カップリングに伴って写真的に有用な残基
を放出するカプラーもまた本発明で好ましく使用でき
る。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のR
D17643、VII 〜F項に記載された特許、特開昭5
7−151944号、同57−154234号、同60
−184248号、同63−37346号、米国特許
4,248,962号に記載されたものが好ましい。現
像時に画像状に造核剤もしくは現像促進剤を放出するカ
プラーとしては、英国特許第2,097,140号、同
第2,131,188号、特開昭59−157638
号、同59−170840号に記載のものが好ましい。
その他、本発明の感光材料に用いることのできるカプラ
ーとしては、米国特許第4,130,427号等に記載
の競争カプラー、米国特許第4,283,472号、同
第4,338,393号、同第4,310,618号等
に記載の多当量カプラー、特開昭60−185950
号、特開昭62−24252号等に記載のDIRレドッ
クス化合物放出カプラー、DIRカプラー放出カプラ
ー、DIRカプラー放出レドックス化合物もしくはDI
Rレドックス放出レドックス化合物、欧州特許第17
3,302A号に記載の離脱後復色する色素を放出する
カプラー、R.D.No. 11449、同24241、特
開昭61−201247号等に記載の漂白促進剤放出カ
プラー、米国特許第4,553,477号等に記載のリ
ガンド放出するカプラー、特開昭63−75747号に
記載のロイコ色素を放出するカプラー等が挙げられる。
本発明に使用するカプラーは、種々の公知分散方法によ
り感光材料に導入できる。
【0063】水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の
例は米国特許第2,322,027号などに記載されて
いる。水中油滴分散法に用いられる常圧での沸点が17
5℃以上の高沸点有機溶剤の具体例としては、フタル酸
エステル類、リン酸またはホスホン酸のエステル類、安
息香酸エステル類、アミド類、アルコール類またはフェ
ノール類、脂肪族カルボン酸エステル、アニリン誘導
体、炭化水素類などが挙げられる。また補助溶剤として
は、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃以上約16
0℃以下の有機溶剤などが使用でき、典型例としては酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルア
セテート、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。ラ
テックス分散法の工程、効果および含浸用のラテックス
の具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特
許出願(OLS)第2,541,274号および同第
2,541,230号などに記載されている。本発明の
感光材料は乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜
厚の総和が28μm以下であり、かつ、膜膨潤速度T1/
2 が30秒以下が好ましい。膜厚は、25℃相対湿度5
5%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、膜膨潤速
度T1/2 は当該技術分野において公知の手法に従って測
定することができる。例えばエー・グリーン(A. Green)
らによりフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エ
ンジニアリング( Photogr. Sci. Eng.)、19巻、2
号、124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨
潤計)を使用することにより測定でき、T1/2 は発色現
像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨
潤膜厚の90%を飽和膜厚とし、このT1/2 の膜厚に到
達するまでの時間と定義する。膜膨潤速度T1/2 は、バ
インダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、ある
いは塗布後の経時条件を変えることによって調整するこ
とができる。また、膨潤率は150〜400%が好まし
い。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚
から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚に従って計算
できる。
【0064】本発明に従ったカラー写真感光材料は、前
述のRD.No. 17643の28〜29頁、および同N
o. 18716の615左欄〜右欄に記載された通常の
方法によって現像処理することができる。本発明のハロ
ゲン化銀カラー感光材料には処理の簡略化及び迅速化の
目的で発色現像主薬を内蔵しても良い。内蔵するために
は、発色現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ま
しい。例えば米国特許第3,342,597号のインド
アニリン系化合物、同第3,342,599号、リサー
チ・ディスクロージャー14,850号および同15,
159号記載のシッフ塩基型化合物、同第13,924
号に記載されている。
【0065】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例 支持体に用いるポリエステルは、PEN、PET、PA
r、PCT、およびポリ(オキシイソフタロイルオキシ
−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンイソプロピリ
デン−3,5−ジメチル−1,4−フェニレン)のペレ
ットをあらかじめ150℃で4時間真空下で乾燥した
後、表1−1に示す様な混合比で2軸混練押出機を用
い、280℃で混練押出した後、ペレット化し調製し
た。このペレットを熔融押出しした後、縦方向に3.4
倍、横方向に4倍の延伸を施し、厚み80μmの二軸延
伸ポリエステルフィルムを製造するに際し、図1に示し
たように縦延伸ゾーンの片面(本実施例ではキャスティ
ング時キャスティングドラムに接した面:以下CD面と
称する)に補助加熱源として赤外線ヒータを設置した。
製膜温度としては、押出し温度300℃、縦延伸温度
(CD面側)140℃、横延伸温度130℃、熱固定2
50℃6秒で製膜した。以上のようにして支持体A−1
〜26を作成した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】このようにして製膜したフィルムは低温面
側を内巻面としてカールし易い傾向を有する。
【0069】2)下塗層の塗設 支持体A1〜26は、その各々の両面にコロナ放電処理
をした後、下記組成の下塗層を延伸時高温面側に設け
た。コロナ放電処理はピラー社製ソリッドステートコロ
ナ処理機6KVAモデルを用い、30cm幅支持体を20
m/分で処理する。このとき、電流・電圧の読み取り値
より被処理物は、0.375KV・A ・分/m2の処理がな
された。処理時の放電周波数は、9.6KHz 、電極と誘
電体ロールのギャップクリアランスは、1.6mmであっ
た。塗布量は10cc/m2、乾燥条件は120℃2分であ
った。 ゼラチン 3g 蒸留水 250cc ソジウムα−スルホジ−2−エチルヘキシルサクシネート 0.05g ホルムアルデヒド 0.02g また、支持体Cに対しては下記組成の下塗層を設けた。 ゼラチン 0.2g サリチル酸 0.1g メタノール 15cc アセトン 85cc ホルムアルデヒド 0.01g また、支持体A−1〜26については、その各々の両面
に紫外線照射処理を施した後、下記組成の下塗液を塗布
し、120℃で2分間乾燥後巻取った。塗布量は10cc
/m2であった。紫外線照射処理は前述の図1に示した装
置を用い、前述の延伸及び熱固定条件で紫外線照射を施
した。従って照射時間は6秒、照射条件は前述の通り3
KWの高圧水銀燈12本がフィルム面から0.3mの距
離を置いて並べられているものである。これらの試料を
それぞれA’−1〜26とし、後述のバック層および感
光層塗設を、A−1〜26同様に施した。 ゼラチン 1重量部 水 1 〃 酢酸 1 〃 メタノール 50 〃 エチレンジクロライド 50 〃 p−クロロフェノール 4 〃
【0070】3)バック層の塗設 下塗後の支持体A1〜26の下塗層を設けた側とは反対
側の面に下記組成のバック層を塗設した。 3−1)導電性微粒子分散液(酸化スズ−酸化アンチモ
ン複合物分散液)の調製:塩化第二スズ水和物230重
量部と三塩化アンチモン23重量部をエタノール300
0重量部に溶解し均一溶液を得た。この溶液に1Nの水
酸化ナトリウム水溶液を前記溶液のpHが3になるまで滴
下し、コロイド状酸化第二スズと酸化アンチモンの共沈
澱を得た。得られた共沈澱を50℃に24時間放置し、
赤褐色のコロイド状沈澱を得た。赤褐色コロイド状沈澱
を遠心分離により分離した。過剰なイオンを除くため沈
澱に水を加え遠心分離によって水洗した。この操作を3
回繰り返し過剰イオンを除去した。過剰イオンを除去し
たコロイド状沈澱200重量部を水1500重量部に再
分散し、600℃に加熱した焼成炉に噴霧し、青味がか
った平均粒径0.2μmの酸化スズ−酸化アンチモン複
合物の微粒子粉末を得た。この微粒子粉末の比抵抗は2
5Ω・cmであった。上記微粒子粉末40重量部と水60
重量部の混合液をpH7.0に調製し、攪拌機で粗分散の
後、横型サンドミル(商品名ダイノミル;WILLYA. BACH
OFENAG製)で滞留時間が30分になるまで分散して調製
した。
【0071】3−2)バック層の調製:下記処方〔A〕
を乾燥膜厚が0.3μmになるように塗布し、130℃
で30秒間乾燥した。この上に更に下記の被覆層用塗布
液(B)を乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布し、
130℃で2分間乾燥した。バッキング層ポリマーの種
類については表1に示した。 〔処方A〕 上記導電性微粒子分散液 10重量部 ゼラチン 1重量部 水 27重量部 メタノール 60重量部 レゾルシン 2重量部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.01重量部 〔被覆層用塗布液(B)〕 バッキング層用ポリマー 1重量部 アセトン 70重量部 メタノール 15重量部 ジクロルメチレン 10重量部 p−クロルフェノール 4重量部
【0072】4)支持体の熱処理 上記方法にて、下塗り層、バック層を塗設した後、表1
に示す条件にて、熱処理を実施した。熱処理は全て直径
30cmの巻芯に、下塗面を外巻にして実施した。また比
較例として熱処理を施さないものも用意した。これらの
支持体の力学強度の中で、支持体の薄手化に伴い最も重
要な曲げ弾性について測定を行った。曲弾性率の測定は
円環法と呼ばれる方法を用いて行った。即ち、幅35mm
で、長さ方向に平行にスリットしたサンプルで円周10
cmの円環を作りこれを水平に置き、これを12mm、変形
する時の荷重を測定し、曲げ弾性率の目安とした。今回
の測定では、いづれも下塗り層が円環の内周になるよう
にして測定し、また測定環境は25℃60%RHで行っ
た。これらで測定した結果を表1に示した。PEN(A
1〜6)は80μmでほぼTAC122μmに相当する
曲弾性率を示している。また、この値は本発明の熱処理
を行っても変化しなかった。
【0073】5)感光層の塗設 上記方法で得た支持体上に下記に示すような組成の各層
を重層塗布し、多層カラー感光材料A−1〜26を作成
した。 (感光層組成) 各層に使用する素材の主なものは下記のように分類され
ている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収
剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機
溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬
化剤 ExS:増感色素 各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を
示し、ハロゲン化銀については、銀換算の塗布量を示
す。ただし増感色素については、同一層のハロゲン化銀
1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
【0074】(試料101) 第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.18 ゼラチン 1.40 ExM−1 0.18 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.20
【0075】第2層(中間層) 乳剤G 銀 0.065 2,5−ジ−t−ペンタデシルハイドロキノン0.18 ExC−2 0.020 UV−1 0.060 UV−2 0.080 UV−3 0.10 HBS−1 0.10 HBS−2 0.020 ゼラチン 1.04
【0076】第3層(低感度赤感乳剤層) 乳剤A 銀 0.25 乳剤B 銀 0.25 ExS−1 6.9×10-5 ExS−2 1.8×10-5 ExS−3 3.1×10-4 ExC−1 0.17 ExC−3 0.030 ExC−4 0.10 ExC−5 0.020 ExC−7 0.0050 ExC−8 0.010 Cpd−2 0.025 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.87
【0077】第4層(中感度赤感乳剤層) 乳剤D 銀 0.70 ExS−1 3.5×10-4 ExS−2 1.6×10-5 ExS−3 5.1×10-4 ExC−1 0.13 ExC−2 0.060 ExC−3 0.0070 ExC−4 0.090 ExC−5 0.025 ExC−7 0.0010 ExC−8 0.0070 Cpd−2 0.023 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.75
【0078】第5層(高感度赤感乳剤層) 乳剤E 銀 1.40 ExS−1 2.4×10-4 ExS−2 1.0×10-4 ExS−3 3.4×10-4 ExC−1 0.12 ExC−3 0.045 ExC−6 0.020 ExC−8 0.025 Cpd−2 0.050 HBS−1 0.22 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.20
【0079】第6層(中間層) Cpd−1 0.10 HBS−1 0.50 ゼラチン 1.10
【0080】第7層(低感度緑感乳剤層) 乳剤C 銀 0.35 ExS−4 3.0×10-5 ExS−5 2.1×10-4 ExS−6 8.0×10-4 ExM−1 0.010 ExM−2 0.33 ExM−3 0.086 ExY−1 0.015 HBS−1 0.30 HBS−3 0.010 ゼラチン 0.73
【0081】第8層(中感度緑感乳剤層) 乳剤D 銀 0.80 ExS−4 3.2×10-5 ExS−5 2.2×10-4 ExS−6 8.4×10-4 ExM−2 0.13 ExM−3 0.030 ExY−1 0.018 HBS−1 0.16 HBS−3 8.0×10-3 ゼラチン 0.90
【0082】第9層(高感度緑感乳剤層) 乳剤E 銀 1.25 ExS−4 3.7×10-5 ExS−5 8.1×10-5 ExS−6 3.2×10-4 ExC−1 0.010 ExM−1 0.030 ExM−4 0.040 ExM−5 0.019 Cpd−3 0.040 HBS−1 0.25 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.44
【0083】第10層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.030 Cpd−1 0.16 HBS−1 0.60 ゼラチン 0.60
【0084】第11層(低感度青感乳剤層) 乳剤C 銀 0.18 ExS−7 8.6×10-4 ExY−1 0.020 ExY−2 0.22 ExY−3 0.50 ExY−4 0.020 HBS−1 0.28 ゼラチン 1.10
【0085】第12層(中感度青感乳剤層) 乳剤D 銀 0.40 ExS−7 7.4×10-4 ExC−7 7.0×10-3 ExY−2 0.050 ExY−3 0.10 HBS−1 0.050 ゼラチン 0.78
【0086】第13層(高感度青感乳剤層) 乳剤F 銀 1.00 ExS−7 4.0×10-4 ExY−2 0.10 ExY−3 0.10 HBS−1 0.070 ゼラチン 0.86
【0087】第14層(第1保護層) 乳剤G 銀 0.20 UV−4 0.11 UV−5 0.17 HBS−1 5.0×10-2 ゼラチン 1.00
【0088】第15層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径 1.7 μm) 5.0×10-2 B−2(直径 1.7 μm) 0.10 B−3 0.10 S−1 0.20 ゼラチン 1.20
【0089】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために W−1ないしW−3、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−17及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、
イリジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
【0090】
【表3】
【0091】表2において、 (1)乳剤A〜Fは特開平2-191938号の実施例に従い、
二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用いて粒子調製時
に還元増感されている。 (2)乳剤A〜Fは特開平3-237450号の実施例に従い、
各感光層に記載の分光増感色素とチオシアン酸ナトリウ
ムの存在下に金増感、硫黄増感とセレン増感が施されて
いる。 (3)平板状粒子の調製には特開平1-158426号の実施例
に従い、低分子量ゼラチンを使用している。 (4)平板状粒子および粒子構造を有する正常晶粒子に
は特開平3-237450号に記載されているような転位線が高
圧電子顕微鏡を用いて観察されている。
【0092】
【化6】
【0093】
【化7】
【0094】
【化8】
【0095】
【化9】
【0096】
【化10】
【0097】
【化11】
【0098】
【化12】
【0099】
【化13】
【0100】
【化14】
【0101】
【化15】
【0102】
【化16】
【0103】
【化17】
【0104】
【化18】
【0105】
【化19】
【0106】
【化20】
【0107】6)サンプル評価 このようにして作成した写真フィルムサンプルA−1〜
26について巻ぐせの評価を実施した。評価は下記手順
に従って行った。 6−1)コアセット サンプルフィルムを35mm幅で、1.2mの長さにスリ
ットした。これを25℃60%RHで1晩調湿後、感光
層を内巻にし、表1に示したように8mmのスプールに巻
きつけた。これを密封容器中に入れ、80℃で2hr加熱
して巻ぐせを付けた。この温度条件は夏季に車中にフィ
ルムを置いていたことを想定した条件である。 6−2)現像処理、カール測定 上記条件で巻きぐせを付けたフィルムを、一晩25℃の
部屋の中で放冷した後、密封容器からサンプルフィルム
を取出し、これを自動現像機(ミニラボFP−550
B:富士写真フイルム製)で現像処理し、直ちに25℃
60%RH下にて、カール板を用いてカール測定を行っ
た。なお、現像処理条件は下記のとおりである。 6−3)密着テスト サンプルフィルムを熱処理直後、または現像処理前後の
状態で密着テストを行なった。密着は密着した面積の百
分率で示した。
【0108】 処理工程 温 度 時間 発色現像 38℃ 3分 停 止 38℃ 1分 水 洗 38℃ 1分 漂 白 38℃ 2分 水 洗 38℃ 1分 定 着 38℃ 2分 水 洗 38℃ 1分 安定浴 38℃ 1分 用いた処理液は次の組成を有する。 発色現像液 苛性ソーダ 2g 亜硫酸ソーダ 2g 臭化カリウム 0.4g 塩化ナトリウム 1g ホー砂 4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 2g エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム2水塩 2g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β− ヒドロキシエチル)アニリン・モノサルフェート) 4g 水を加えて 全量 1リットル 停止液 チオ硫酸ソーダ 10g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 30ミリリットル 酢酸 30ミリリットル 酢酸ソーダ 5g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量 1リットル 漂白液 エチレンジアミン4酢酸鉄(III)ナトリウム・2水塩 100g 臭化カリウム 50g 硝酸アンモニウム 50g ホー酸 5g アンモニア水 pHを5.0に調節 水を加えて 全量 1リットル 定着液 チオ硫酸ソーダ 150g 亜硫酸ソーダ 15g ホー砂 12g 氷酢酸 15ミリリットル カリ明ばん 20g 水を加えて 全量 1リットル 安定浴 ホー酸 5g クエン酸ソーダ 5g メタホー酸ソーダ(4水塩) 3g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量 1リットル
【0109】6−3)結果 結果を表1及び表2に示した。ガラス転移温度が90℃
を越えるPEN(A1〜6)では、延伸時温度差を付け
た場合、約6時間で明瞭にカール低減率を示すことがわ
かる。さらにPENを用いることで円環法による曲弾性
率が33gとなりTAC122μmでの値36gに近い
値を得た。従って本発明の処理を行ったPENを用いる
ことで、直径8mmの細いスプールに巻いてもほとんど実
害を及ぼす巻ぐせが付かず、かつ、80μmにまで支持
体を薄くできた。
【0110】一方、ガラス転移温度が90℃以下のPE
T(A−21〜24)では、熱処理、延伸時の温度差、
およびこれらの組合せいずれを用いてもカールは低減し
なかった。またTgが90℃以上であるA−7〜12に
ついても本発明の効果が現れ、充分なカール低減率およ
びそれに伴って現像処理トラブルがなくなっている。P
ENそれ自体わずかに蛍光を発し、実用上問題ないレベ
ルだが写真感度に影響する。PENのブレンド比を低く
してゆくとPENのナフタレン環に由来する蛍光が減少
してゆき、A−13以降、蛍光は全く問題がなくなる。
しかしその分だけ曲げ弾性率が低くなる欠点を有する。
またTgが192℃であるPAr(A−25)について
も本発明の効果が認められ、Tg200℃以下での効果
が示された。一方、Tgが200℃を越えるポリマー支
持体(A−26)の場合、得られた支持体の透明性がな
く、ハロゲン化銀写真感光材料としての適用はできなか
った。さらに、A−26の場合、熱処理によってバッキ
ング層が分解、着色することがわかり、この点からも該
感光材料としての適用はできないことが示された。一
方、Tgが90℃を下廻るとA−17〜20に示すよう
に本発明の巻癖改良効果は認められなかった。また、P
Ar/PCT系ポリマーブレンド(A−17〜20)に
おいてもTgが90℃を上廻り、本発明の巻癖改良効果
が確認できた。さらに密着不良改良についての結果も表
1−2に示した。ここでバッキング層の構成成分の混合
物のTg(Tgb)を示したが、これは最外層についての
値である。熱処理直後、現像処理前/後のいずれの場合
も、Tgbが110℃を越えるアセチルセルロース、ゼラ
チンについては顕著な密着不良改良が認められたが、1
10℃より低い他のポリマーを用いた場合、密着不良を
生じた。すなわち本発明の密着不良改良効果がいずれの
支持体においても確認された。すなわち、バッキング層
の少なくとも最外層の構成成分のガラス転移温度が11
0℃より高い場合、熱処理後及び製品形態における密着
不良が著しく改善されることが示された。以上A−26
を除く全ての感材において写真性および接着性に特に問
題は認められなかった。すなわちいずれのポリマーを用
いても写真性に影響はなく、ハロゲン化銀写真感光材料
においてこのような手法を好ましく用いることができる
ことが示された。また、有機溶剤系下塗を施したA’−
1〜25についても本発明の効果が同様に認められ、ま
た写真性、接着性に特に問題はなく、いずれの下塗方法
によってもハロゲン化銀写真感光材料として好ましい製
品が得られることが示された。
【0111】
【発明の効果】本発明を実施することにより、極めて巻
ぐせが付きにくく、かつ優れた力学強度を有し、かつ耐
密着性に優れたハロゲン化銀写真感光材料を作ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従った縦延伸ゾーンの側面図を示す。
【図2】本発明の延伸装置の側面図を示す。
【符号の説明】
1 フィルム 2 縦延伸ローラ 3 縦延伸ローラ 4 冷却ローラ 5 赤外線ヒータ 6 予備加熱横延伸ゾーン 7 熱固定および照射ゾーン 8 冷却ゾーン 9 高圧水銀灯 10 反射鏡 11 排気 12 熱風給気 13 冷風給気 14 留の枠 15 巻取り

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルム上に少なくとも1
    層の感光層を有してなるハロゲン化銀写真感光材料にお
    いて、バッキング層を構成する成分のガラス転移点温度
    がいずれも110℃以上、200℃以下であることを特
    徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  2. 【請求項2】 該バッキング層が該ハロゲン化銀写真感
    光材料の最外層であることを特徴とする、請求項1記載
    のハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 該ポリエステルフィルムのガラス転移温
    度が90℃以上200℃以下であることを特徴とする、
    請求項1〜2記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  4. 【請求項4】 該ポリエステルフィルムを50℃以上、
    該ポリエステルのガラス転移温度以下で熱処理した支持
    体を用いることを特徴とする、請求項1〜3記載のハロ
    ゲン化銀写真感光材料。
  5. 【請求項5】 該ポリエステルフィルム支持体が、ナフ
    タレンジカルボン酸とエチレングリコールを主成分とす
    るポリエステルから成ることを特徴とする請求項1〜4
    記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  6. 【請求項6】 該ナフタレンジカルボン酸とエチレング
    リコールを主成分とするポリエステルが、ポリエチレン
    −2−6−ナフタレンジカルボキシレートであることを
    特徴とする請求項1〜4記載のハロゲン化銀写真感光材
    料。
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